JPH09224951A - 手術装置 - Google Patents

手術装置

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JPH09224951A
JPH09224951A JP8081944A JP8194496A JPH09224951A JP H09224951 A JPH09224951 A JP H09224951A JP 8081944 A JP8081944 A JP 8081944A JP 8194496 A JP8194496 A JP 8194496A JP H09224951 A JPH09224951 A JP H09224951A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 手術部位の生体組織に電極が直接触れること
なく、熱影響部を局所領域に制限することのできる高周
波電流による手術装置を提供する。 【解決手段】 液体ジェット流を噴射するノズル電極を
備えた手術用ハンドピースと、液体ジェット流を通して
ノズル電極と施術部位との間に高周波電流を通流させる
高周波電源装置とを備える。ノズル電極は絶縁被覆され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波電流を用い
て切開・切除・凝固・止血などの外科手術を行うための
手術装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高周波電流を用いた手術装置として、所
謂「電気メス」は最も一般的である。この電気メスは、
メス先に電極を備え、この電極を生体組織(手術部位)
に当てて高周波電流により切開・切除したり、切開部分
の生体組織を凝固・止血処置するために用いられてい
る。
【0003】また、本発明に関する従来技術としては、
特開平5−92009号公報に開示された「外科手術用
ハンドピース」がある。この外科手術用ハンドピース
は、先端に電極を持つノズルパイプをハンドピース本体
部に連結し、このノズルパイプの先端から高圧水を噴射
して生体組織(手術部位)を切開・切除する所謂ウォー
タジェットメスの機能と、ノズルパイプ先端の電極で切
開部分の生体組織を凝固および止血処置する電気メスの
機能とを併せ持つものである。
【0004】更に、本発明に関する従来技術としては、
特開平4−220248号公報に開示された「手操作型
電気外科ペンシルの安全性及び効率を向上させる装置」
がある。この手操作型電気外科ペンシルの安全性及び効
率を向上させる装置は、ペンシルの先端に電極を備え、
この電極の周囲から軸方向に沿って収斂した不活性ガ
ス、例えばヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスな
どを噴射しながら電極から火花放電を発生させ、この火
花放電による電気エネルギーによって、生体組織を切開
・切除したり、切開部分の生体組織を凝固・止血処置す
るために用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】電気メスを用いて生体
組織(手術部位)を切開・切除したり、凝固処置を行う
場合には、電極を直接、生体組織(手術部位)に当接さ
せるため、生体組織の表面温度が上昇し、生体組織の炭
化、生体組織周辺の細胞の壊死および壊死細胞の拡大、
また炭化した生体組織が剥離することによって再出血す
るなどという種々の問題点があった。
【0006】このため、手術中において凝固処置を行う
場合、生体組織の炭化、生体組織周辺の細胞の壊死等を
最小限に抑えるために、生体組織(手術部位)の表面温
度の上昇を如何に抑制しながら凝固処置を行うことがで
きるか否かが重要な問題となっていた。
【0007】また、特開平5−92009号公報の外科
用ハンドピースでは、高圧流体を噴射して生体組織(手
術部位)を切開・切除するため、生体組織の表面温度の
上昇を抑制することは可能であるが、凝固処置は電気メ
スで行うため、凝固処置に際しては電極が生体組織に直
接触れるので、やはり前述した電気メスの場合の問題点
が残っている。
【0008】更に、特開平4−220248号公報の手
操作型電気外科ペンシルの安全性及び効率を向上させる
装置では、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスな
どの希少で高価なガスを使用するため、コストが高くか
かり、手術費の高騰の原因となっていた。
【0009】本発明は、上記課題に鑑みて成されたもの
であり、生体組織の炭化、生体組織周辺の細胞の壊死お
よび壊死細胞の拡大等を最小限に止どめることができる
手術装置を提供することを主目的とする。
【0010】また、本発明の別の目的は、生体組織の表
面温度をできるだけ低温に維持しつつ、生体組織を切開
・切除したり、切開・切除等された生体組織の凝固処置
を行うことができる手術装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を
達成するために、液体ジェット流を噴射するノズル電極
を備えた手術用ハンドピースと、前記液体ジェット流を
通してノズル電極と施術部位との間に高周波電流を通流
させる高周波電源装置とを備えたことを特徴とする手術
装置を提供する。
【0012】また、本発明は、前記手術装置において、
ノズル電極の外周面が絶縁被覆されている手術装置も提
供する。
【0013】更に、本発明は、前記手術装置において、
ノズル電極の先端が絶縁被覆の内奥部に位置している手
術装置も提供する。
【0014】更にまた、本発明は、前記手術装置におい
て、ノズル電極の先端が絶縁被覆の先端から突き出して
いる手術装置も提供する。
【0015】本発明による手術装置では、ノズル電極か
ら噴射される液体ジェット流を通してノズル電極と施術
部位との間に手術目的、即ち切開・切除・凝固に応じた
電流値の高周波電流を通流させることにより、生体組織
(手術部位)の切開・切除や凝固処置を行う。
【0016】この場合、ノズル電極と施術部位との間の
電位差によって液体ジェット流は放電柱を形成し、従っ
て、液体ジェット流中を通して施術部位に流れる放電電
流エネルギーを利用して、生体組織(手術部位)を切開
・切除等したり、切開・切除等された生体組織を凝固処
置することができ、従来のように、電極が生体組織に直
接当接することがなく、従って生体組織の炭化、生体組
織周辺の細胞の壊死および壊死細胞の拡大等を最小限に
止どめることが可能になる。
【0017】本発明に係る手術装置において、液体ジェ
ット流を形成する液体は、例えば生理食塩水などの電解
質溶液であり、施術部位には、電解質の液体ジェット流
が噴射されつつ、この液体ジェット流を通じて放電電流
エネルギーによる加熱が与えられるため、液体ジェット
流による冷却効果によって生体組織における熱影響部の
拡がりを最小限に止どめることが可能である。
【0018】本発明に係る手術装置では、電解質の液体
ジェット流を通して与えられる放電電流エネルギーによ
って生体組織を切開・切除または凝固処置するため、液
体ジェット流自体は切開能力を持つほどに高圧にする必
要はない。尚、この液体ジェット流には通電によって活
性酸素を発生する物質を添加しても良く、あるいは感温
ジェルなどの薬液を混入しても良い。
【0019】また、本発明に係る手術装置において、ノ
ズル電極の外周が絶縁被覆されている場合、施術操作中
にノズル電極が、生体組織に直接当接することがなく、
組織の炭化などを生じる恐れがない。
【0020】また、本発明に係る手術装置において、ノ
ズル電極の先端が絶縁被覆の内奥部に位置している場
合、絶縁被覆により、液体ジェット流の噴射案内流路が
形成され、液体ジェット流を集束流として拡散させずに
手術部位へ的確に当てることが可能になる。従って、細
かな手術部位での切開・切除、凝固処置を行うことが容
易になる。
【0021】また、本発明に係る手術装置において、ノ
ズル電極の先端が絶縁被覆の先端から突き出されている
場合には、ノズル電極先端部を体内に刺し入れて、ノズ
ル電極から液体ジェット流を注入することにより体内施
術部位に液体を溜め、この溜められた液体に高周波電流
を流して放電を発生させることにより、体内手術部位の
切開・切除、又は凝固処置を行うことが可能である。こ
の手法は、体内手術部位が広範囲な場合、特に、効率的
に手術を行うことが可能になるという利点がある。
【0022】尚、放電電流の大きさは、電極への印加電
圧の調整以外にも、液体ジェット流を噴射するノズル電
極の噴射径、絶縁被覆の長さ、液体ジェット流の流量な
どを変えることによっても、調整することが可能であ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は、本発明による手術装置の
概略全体構成の一例を示す説明図である。この手術装置
は、ハンドピース1と、このハンドピース1に接続され
た生理食塩水加圧装置2と、高周波電源装置3とから主
に構成されている。
【0024】生理食塩水加圧装置2は、生理食塩水パッ
ク4からの生理食塩水を加圧してフレキシブルホース2
aを介してハンドピース1へ供給する。高周波電源装置
3は電気コード3aによってハンドピース1に接続さ
れ、フットスイッチ3b,3cを操作することによりハ
ンドピース1を介してこのハンドピース1から突出する
ように取付けられたノズル電極6へ高周波電流を供給す
る。
【0025】尚、高周波電源装置3からノズル電極6へ
供給される高周波電流には、生体組織を切開・切除する
際に供給される切開・切除処置用の高周波電流と、生体
組織を凝固する際に供給される凝固処置用の高周波電流
とがある。例えば、切開・切除処置用の電流は連続的な
高周波出力波形であり、凝固処置用の電流は断続的な高
周波出力波形である。
【0026】また、凝固処置を行うに際しては、スプレ
ー凝固とノーマル凝固(ピンポイント凝固)との2つの
手法がある。スプレー凝固とは、生体組織の表面を広範
囲にわたり凝固する手法であり、ノーマル凝固(ピンポ
イント凝固)とは、凝固する生体組織の表面がスプレー
凝固に比べ狭い範囲の場合に使用される手法である。そ
して、これらの各手法は、それぞれの手法に応じた凝固
処置用の高周波電流をハンドピース1へ供給することに
より使い分けることができる。
【0027】この例では、高周波電源装置3に備えられ
たフットスイッチ3bと3cとによって、ノズル電極6
へ供給される切開・切除処置用の高周波電流と凝固処置
用の高周波電流とを切換えることができるようになって
いる。即ち、フットスイッチ3bを踏み込むと、高周波
電源装置3から切開処置に十分な電流値の高周波電流が
連続的にノズル電極6へ供給され、フットスイッチ3c
を踏み込むと凝固処置用の高周波電流がノズル電極6へ
供給されるようになっている。勿論、いずれのフットス
イッチ3b,3cも踏み込まなければ、又は、フットス
イッチ3b,3cの踏み込みを解除すれば、切開・切除
処置用の高周波電流および凝固処置用の高周波電流のい
ずれもノズル電極6へ供給されないようになっている。
【0028】また、この例においては、高周波電源装置
3に、スプレー凝固をする際に供給する凝固処置用の高
周波電流とノーマル凝固をする際に供給する凝固処置用
の高周波電流とを切換える切換スイッチ(図示せず)が
設けられている。
【0029】図2は、ハンドピース1の概略構成を示す
説明図である。このハンドピース1は、把持部5とノズ
ル電極6とにより主に構成されている。
【0030】ノズル電極6は、生理食塩水噴射ノズル及
び高周波電流用電極として機能する金属製のノズルパイ
プであり、把持部5の先端部に固定されている。ノズル
電極6の一端は把持部5の先端部から前方へ突出し、他
端は把持部5の内部でフレキシブルホース2a及び電気
コード3aに接続されている。
【0031】また、把持部5の先端部から前方へ突出し
たノズル電極6の先端部にはオリフィス(図示せず)が
形成されている。このオリフィスは、例えばノズル電極
6の先端開口断面積を縮小して形成しても良く、あるい
はオリフィスの摩耗を防止するために、例えばダイヤモ
ンド、サファイヤあるいはセラミックなどの耐摩耗材か
ら形成されたノズルチップ(図示せず)をノズル電極6
の先端に取り付けて形成しても良い。
【0032】ノズル電極6の外周面は、絶縁被覆7で被
覆されている。尚、この例では絶縁被覆7としてチュー
ブを嵌めているが、ノズル電極6の外周面に絶縁被覆層
を一体形成してもよい。また、この例では、ノズル電極
6から噴射される生理食塩水のジェット流を集束流とす
るために、ノズル電極6の先端が絶縁被覆7の内奥部に
位置している。絶縁被覆7の材質は、例えばプラスチッ
ク、ゴム、フッ素樹脂などであり、内部のノズル電極6
や放電の様子及び手術部位を見易くするために透明又は
半透明なものを用いることが好ましい。
【0033】把持部5には、生理用食塩水の噴射を操作
するための操作レバー8が設けられており、この操作レ
バー8を押圧操作することにより、生理食塩水加圧装置
2から加圧された生理食塩水がフレキシブルホース2a
及びハンドピース1を介してノズル電極6へ供給される
ようになっている。
【0034】上記のように構成された手術装置を用い
て、手術部位を切開・切除する場合、生体組織側を電気
的に接地し、操作レバー8を押圧操作するとともに、フ
ットスイッチ3bを踏み込む。この結果、加圧装置2で
加圧された生理食塩水がフレキシブルホース2a及びハ
ンドピース1を介してノズル電極6からジェット流とな
って噴射されるとともに、高周波電源装置3から電気コ
ード3a及びハンドピース1を介して切開・切除処置の
高周波電流がノズル電極6へ供給される。
【0035】これにより、ノズル電極6からジェット流
となって噴射される生理食塩水は、ノズル電極6の外周
の絶縁被覆7によって集束流として手術部位に当てら
れ、また高周波電源装置3から供給される高周波電流は
前記ジェット流を通してノズル電極と施術部位との間に
通流される。この結果、ジェット流中に放電が発生し、
この放電電流エネルギーによって生体組織の切開・切除
が行われる。
【0036】本例の手術装置では、電極は従来のように
直接、生体組織に当接することがなく、ジェット流を通
して電流エネルギーによって切開・切除等の処置を行う
ことができるので、生体組織の炭化、生体組織周辺の細
胞の壊死および壊死細胞の拡大等を最小限に止どめるこ
とができる。また、電流エネルギーによる生体組織の熱
影響部の拡がりも、生理食塩水のジェット流による冷却
効果によって極めて狭い局所領域に制限することができ
る。
【0037】次に、切開・切除等された生体組織の出血
部位を凝固処置する場合には、操作レバー8を押圧操作
するとともに、フットスイッチ3cを踏み込む。この結
果、加圧装置2で加圧された生理食塩水がフレキシブル
ホース2a及びハンドピース1を介してノズル電極6か
らジェット流となって噴射されるとともに、高周波電源
装置3から電気コード3a及びハンドピース1を介して
凝固処置用の高周波電流がノズル電極6へ供給される。
尚、この例においては、ノーマル凝固(ピンポイント凝
固)手法を使用するものとする。従って、高周波電源装
置3に設けられた切換スイッチ(図示せず)は、ノーマ
ル凝固に応じた凝固処置用の高周波電流を出力する状態
に切り換えられている。
【0038】これにより生理食塩水がノズル電極6から
ジェット流となって噴射され、このジェット流に高周波
電流が流れてジェット流中に放電が生じ、この放電電流
エネルギーによって、生体組織の炭化、生体組織周辺の
細胞の壊死および壊死細胞の拡大等を最小限に止どめつ
つ、切開・切除等された生体組織の出血部位を凝固処置
することができる。この場合も手術部位に生理食塩水の
ジェット流が当たっているため、生体組織の熱影響部の
拡がりは極めて狭い局所領域に制限される。
【0039】尚、接地された生体組織の手術部位に所定
距離で近接位置したノズル電極から噴射されるジェット
流中では、放電がノズル電極6側から徐々に延びて生体
組織表面へ到達する。これは、生体組織表面側よりもノ
ズル電極6側の方が電界が強く、このためノズル電極6
側から部分的な絶縁破壊が起き、加わる電界の強さが増
加するに伴って全路破壊に至るためである。また、この
放電は、高周波電流による表皮効果のため、主にジェッ
ト流の外周面近傍で強くなる。
【0040】図3は、別の例によるハンドピース1aを
示す説明図である。図2に示すハンドピース1との相違
点は、ノズル電極6aの先端が絶縁被覆7aの先端から
突き出している点である。図3に示すように、ノズル電
極6の先端を絶縁被覆7aの先端から突き出しておくこ
とにより、例えば手術部位が体内の場合、ノズル電極6
a自体を体内に刺し入れて、ノズル電極6aから生理食
塩水を噴射することにより体内の手術部位に生理食塩水
を溜め、この溜められた生理食塩水を通じてノズル電極
と手術部位の生体組織との間に放電を発生させることに
より、体内の手術部位の切開・切除または凝固処置を行
うことができる。この場合、ノズル電極6aが体内に刺
し込まれても、ノズル電極6aの外周全体が絶縁被覆7
aで被覆されているため、ノズル電極6aが生体組織に
直接触れることがない。また、凝固処置においては、特
に広範囲のスプレー凝固が行い易くなる。従って、この
場合には、スプレー凝固に応じた凝固処置用の高周波電
流がノズル電極6aへ供給されるにように、高周波電源
装置3に設けられている切換スイッチ(図示せず)を操
作する。
【0041】尚、上記各例において、切開・切除処置に
際して生じる切除組織片や体液・血液及び残存生理食塩
水などの不要流体を吸い込む吸引装置をハンドピースに
取り付けても良いことは述べるまでもない。
【0042】また、上記各例では、生体組織の切開・切
除処置と凝固処置との双方に対応可能な手術装置につい
て説明したが、例えば高周波電源装置から切開・切除処
置のための切開電流と凝固処置のための凝固電流とのブ
レンド電流も供給できるようにしても良い。
【0043】更にまた、放電電流エネルギーの強度を調
整するために、ノズル電極から噴射される液体ジェット
流の流量を変える流量調整機構をハンドピース又は加圧
装置に設けたり、絶縁被覆をノズル電極上で軸方向移動
させるスライド移動機構をハンドピースに設けても良
い。
【0044】また、上記各例においては、ノズル電極6
(図3においてはノズル電極6a)に高周波電流を供給
する場合にはフットスイッチ3b,3cを踏み込むこと
により、またノズル電極6(又は6a)に生理食塩水を
供給する場合には操作レバー8(図3においては操作レ
バー8a)を操作することにより、高周波電流と生理食
塩水をノズル電極6(又は6a)に供給する場合を説明
したが、ハンドピースの操作レバーにフットスイッチの
代わりの機能を果たす連動スイッチを組み込むことによ
り、操作レバー側の操作のみでノズル電極への高周波電
流と生理食塩水の供給を制御するようにしてもよい。
【0045】本発明に係る手術装置と従来の電気メス装
置とについて、切開・切除処置及び凝固処置の模擬実験
を牛肉片を対象にして行い、その表面温度を測定した。
使用機器は、本発明に係る手術装置としてアクアジェッ
トメス(商品名;AJP−1002P、株式会社スギノ
マシン製、図2に示すハンドピース)を、従来の電気メ
スとしてメラソリッドステート電気メス(商品名;MS
−8000SAS、株式会社セムコ製)をそれぞれ用い
た。結果を表1に示す。尚、表1中において、「電気メ
ス」は従来例、「アクアジェットメス」は実施例を示
し、温度測定は放射温度計を使用した。
【0046】
【表1】
【0047】表1より、従来の電気メスに比べ、本発明
に係る手術装置を用いた場合の方が牛肉片の表面温度が
低く、生体組織の炭化、生体組織周辺の細胞の壊死およ
び壊死細胞の拡大等を大幅に防止できることが分かる。
【0048】
【発明の効果】本発明は以上説明した通り、ノズル電極
から噴射される液体ジェット流を通してノズル電極と施
術部位との間に高周波電流を通流させることにより、高
周波電流による切開・切除・凝固の各処置を果たすこと
ができるため、電極を生体組織に直接当接する必要がな
く、従って生体組織の炭化、生体組織周辺の細胞の壊死
および壊死細胞の拡大等を最小限に止どめることができ
るという効果がある。
【0049】また、本発明では、液体ジェット流を手術
部位に当てるため、その冷却効果によって生体組織の熱
影響部を極めて狭い局所領域に制限することができると
いう効果もある。
【0050】ノズル電極の外周面が絶縁被覆されている
場合、ノズル電極が生体組織に直接当接することがない
という効果も得られる。
【0051】ノズル電極の先端が絶縁被覆の内奥部に位
置している場合、絶縁被覆により、液体ジェット流が集
束流となり、手術部位へ的確に導くことができるという
効果も得られる。
【0052】ノズル電極の先端が絶縁被覆の先端から突
き出されている場合、ノズル電極先端部を体内に刺し入
れてノズル電極から液体ジェット流を注入することによ
り、体内手術部位に液体を溜め、この溜められた液体を
通して高周波電流を流すことにより、体内の広範囲の手
術部位に対して同時に切開・切除又は凝固処置を行うこ
とができ、この場合も絶縁被覆によってノズル電極と生
体組織との直接接触が防止できるという効果も得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例に係る通電流水手術
装置の概略全体構成を示す説明図である。
【図2】図1に示したハンドピースの概略構成の一例を
示す説明図である。
【図3】図1に示したハンドピースの概略構成の別の例
を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1a:ハンドピース 2:生理食塩水加圧装置 2a:フレキシブルホース 3:高周波電源装置 3a:電気コード 3b,3c:フットスイッチ 5,5a:把持部 6,6a:ノズル電極 7,7a:絶縁被覆 8,8a:操作レバー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体ジェット流を噴射するノズル電極を
    備えた手術用ハンドピース、および前記液体ジェット流
    を通してノズル電極と施術部位との間に高周波電流を通
    流させる高周波電源装置、を備えたことを特徴とする手
    術装置。
  2. 【請求項2】 ノズル電極の外周面が絶縁被覆されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の手術装置。
  3. 【請求項3】 ノズル電極の先端が絶縁被覆の内奥部に
    位置していることを特徴とする請求項2に記載の手術装
    置。
  4. 【請求項4】 ノズル電極の先端が絶縁被覆の先端から
    突き出していることを特徴とする請求項2に記載の手術
    装置。
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