JPH09223455A - 表面構造制御法およびこれを利用した電子源および平面ディスプレィ - Google Patents

表面構造制御法およびこれを利用した電子源および平面ディスプレィ

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JPH09223455A
JPH09223455A JP2880896A JP2880896A JPH09223455A JP H09223455 A JPH09223455 A JP H09223455A JP 2880896 A JP2880896 A JP 2880896A JP 2880896 A JP2880896 A JP 2880896A JP H09223455 A JPH09223455 A JP H09223455A
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crystal
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JP2880896A
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Hisashi Nagano
久志 永野
Tatsuya Miyake
竜也 三宅
Ichiro Otake
一郎 大嶽
Harubuoe Petetsuku
ハルヴォエ ペテック
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶表面を人為的に制御することにより仕事
関数を減少させ、電子放出材料において効率的な電子ビ
ーム発生源の特性や触媒反応効率の制御を可能とするこ
と。 【解決手段】 基板となる単結晶を傾斜させて切断し、
表面の清浄化を行い表面にステップを形成させ、このス
テップ構造にBa等のアルカリ土類金属やCs等のアル
カリ金属の原子3を蒸着等で吸着させアニールや冷却を
加える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶表面を人為的
に制御することで仕事関数を減少させ、電子放出材料に
おける高効率的な電子ビームの発生特性や、触媒材料に
おける高効率な反応の制御を可能とする材料の表面構造
制御法およびこれに対応した電子源に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子銃カソードは仕事関数低減の
ため、さまざまな不純物を混合している。例えば、含浸
形カソードでは下地材料である多孔質のタングステンに
含浸材であるバリウムBaやカルシュウムCaを含浸さ
せる。これを加熱することで原子状のバリウムBaを発
生させ、表面に拡散し酸化バリウムBaO単原子層を形
成する。このBaO単原子層が表面の仕事関数を減少さ
せ、電子が出やすくなり低い動作温度でも十分なエミッ
ションが得られる高輝度カソードとなる。
【0003】しかしながら、この方法では表面に存在す
る酸化バリウムBaO単原子層は、熱拡散によって内部
からバリウムBaを供給するために、動作温度、空孔密
度、補給量等のさまざまなパラメータが複雑に関係して
おり、カソード設計の際には十分な最適化が必要にな
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は結晶表
面に人為的に2次元あるいは3次元の構造を形成するこ
とにより仕事関数を減少させ、電子放出材料において効
率的な電子ビーム発生源の特性や触媒反応効率の制御を
可能とする表面構造制御方法とともに、これに対応した
電子源およびその応用装置を提案するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、結晶表面を
傾斜させて切断された形に形成し、これによって得られ
る表面のステップ構造を活用することで実現出来る。こ
のステップ部分にバリウムBa等のアルカリ土類金属や
セシウムCs等のアルカリ金属を吸着させ、アニール
(昇温)や冷却を加えることで2次元あるは3次元の構
造で規則的なバリウムBaやセシウムCs等の配列が形
成され、仕事関数を減少させる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の原理を図1のステップサ
イトに吸着したバリウムBa原子の模式図を用いて説明
する。
【0007】基板となる結晶表面を傾斜させて切断し、
表面の清浄化を行うことで表面にはステップ構造1が形
成される。このときのステップ間隔2は切断する傾斜角
度で変化する。このステップ構造1にBa等のアルカリ
土類金属やCs等のアルカリ金属の原子3を蒸着等で吸
着させる。さらに、アニールや冷却を加えることで、バ
リウムBaは酸化され酸化バリウムBaO単原子層とな
り、ステップサイト4に選択的に吸着する。そして、こ
のBaO単原子はステップ構造のステップ間隔2と同じ
周期で2次元的に長周期構造をとる。このときBaOは
正の電気双極子となり仕事関数を減少させるが、長周期
構造がステップサイトに形成されることにより電気双極
子の双極子モーメントの大きさが増大し、それに伴い仕
事関数の減少値も増加する。
【0008】以下、具体的な実施例について説明する。
ここで、実施例1から4で使用された試料は、バリウム
BaまたはセシュウムCsを蒸着する前までの準備段階
では、全て同じ手順で行なわれたものであり、以下のよ
うにして得られる。
【0009】試料の調製の準備段階の具体例 直径8〜9mm、厚さ1.5mm、純度99.99%のタング
ステンWの(110)単結晶を用いる。この単結晶基板
をそれぞれ[001]軸方向に0度、3度、6度、9度、
12度および15度の角度で傾斜させて切断する。(1
10)面からの面方位のずれはラウエ写真を撮影し、そ
のスポットから角度を割り出し±0.5度以内に収まっ
ていることを確認した。さらに、試料の傾斜切断面を機
械研磨する。研磨条件は6μmのダイヤモンドペースト
で5時間、3μmで3時間、1μmで1時間行った。次
に、電解研磨を行う。電解研磨は0.5モル/リットル
の水酸化ナトリウムNaOH溶液中にて8.5V、1A
の電流を15秒間通電する。
【0010】この試料を真空容器内のマニュピレータに
取付け、該真空容器内を超高真空に排気する。到達真空
度は6.65×10-8Paである。次に、加熱によって
試料表面の清浄化を行う。加熱には電子ビーム加熱を用
いた。この際、真空容器内に酸素を供給し、6.65×
10-5Paの酸素雰囲気中において1500Kで2時間
加熱してカーボンCの除去をした後、最後に酸素の供給
を止め、真空中において2300Kでフラッシング加熱
しWOxの除去を行う。この清浄化過程を数回繰り返し
た。
【0011】この段階で試料を走査トンネル顕微鏡ST
Mで観察したところ、傾斜させて切断したものには、
[001]軸方向にステップ構造が観察された。さらに、
傾斜角が大きいもの程、ステップ間隔が小さくステップ
密度が大きくなることも明らかになった。
【0012】このステップ構造に1モノレイヤー程度の
バリウムBaまたはセシュウムCsを蒸着する。蒸着に
はBaまたはCsが含まれたワイヤゲッターを用いた。
これは加熱によりBaまたはCsが発生し蒸発する構造
である。もちろん、BaまたはCsの蒸着にはKセルや
蒸着ポートを用いても可能であるが、今回は最も簡単で
あるゲッター材を用いた。試料を真空容器内に収納し、
蒸着開始前に、ゲッター材のガス出しを行った。ガス出
しは、バリユウムBaの蒸着の場合は4〜5アンペア程
度の電流を30分以上、セシュウムCsの蒸着の場合は
1〜2アンペア程度の電流を30分以上流して行った。
【0013】実施例1 バリユウムBaの蒸着は試料温度500Kにおいて、ゲ
ッター材に電流値7.5A、15分間の通電で行った。
この時の真空度は6.65×10-6Paであった。バリ
ユウムBa蒸着後、6.65×10-5PaTorrの酸
素雰囲気中で1分間酸化させた。この時の試料温度は室
温である。この酸素雰囲気中での酸化処理によって蒸着
で吸着したBaはBaOとなり電気双極子となる。酸化
処理は蒸着中に酸素雰囲気を所定の値に制御することに
よっても実現出来る。
【0014】酸化処理後のBa蒸着試料はアニール及び
冷却を繰り返すことで表面のBa被覆率を変化させて仕
事関数の測定を行った。仕事関数の測定にはケルビンプ
ローブ及びオージェ分光装置を使用した。アニールは1
℃/秒の割合で温度が上がるように温度調整器で制御
し、冷却は自然冷却し500K以下の温度で測定を行っ
た。
【0015】図2にアニール温度と仕事関数の変化を示
す。試料は傾斜角度0度と6度の試料である。この図か
ら1000〜1200Kの温度で仕事関数の減少が観測
された。さらに、0度と6度の試料では、6度の試料の
方が仕事関数の減少値が大きいことも観測された。これ
らの現象は同じ試料において再現性良く示される。
【0016】さらに傾斜角度を変化させて仕事関数が最
も減少する値を測定した。図3は、各傾斜角度における
仕事関数の変化(減少値)である。その結果、傾斜角度
を6度以上にすることによって著しく仕事関数が減少す
ることが明らかになった。
【0017】次に、傾斜角0度および傾斜角6度の試料
の表面構造をヘリウム原子線散乱法で調べた。図4、図
5はそれぞれ傾斜角0度、傾斜角6度の試料のヘリウム
原子線散乱の角度分布を示す。試料のアニール温度は1
500Kである。両者を対比して明らかなように、傾斜
角0度の試料では回折ピークは観測されないが、傾斜角
6度の試料では回折ピークが観測され、何らかの構造を
取っていることが明らかになった。さらに、この回折ピ
ークから表面構造モデルを求めたところ、吸着したバリ
ウムBa原子が約25Åの長周期構造を取っていること
が明らかになった。
【0018】図6はこの長周期構造のモデル図である。
タングステン原子5が構成するタングステン表面に、ス
テップ間隔2でバリウム原子6の線が形成された構造で
ある。この長周期構造の周期と傾斜角6度の試料のステ
ップ間隔が同じ周期であることから、アニールによっ
て、図1で説明したステップ構造1のテラスに吸着した
バリウムBaがマイグレーションによって移動し、ステ
ップサイト4で長周期構造を形成したものと考えられ
る。さらにステップサイト4に吸着した酸化バリウムB
aOの電気双極子の大きさが増大することで仕事関数が
従来より減少した。
【0019】実施例2 実施例1の結果を参考に、蒸着中の試料温度を調整する
ことで表面構造を制御した実施例を示す。試料は温度1
000〜1200Kの温度で加熱保持されて、バリウム
Baを蒸着させた。ゲッター材に電流値6.5A、5分
間通電で行った。この時の真空度は6.65×10-7
orrであった。Ba蒸着後の試料は約1分間ほど蒸着
時の条件に保持した後に冷却する。これによりテラスに
吸着したBaはより安定な吸着サイトであるステップサ
イト4に拡散される。そしてこの試料の仕事関数を測定
した。仕事関数の測定にはケルビンプローブ及びオージ
ェ分光装置を使用した。その結果、実施例1と同様に6
度以上の角度で傾斜した試料において仕事関数の減少値
が大きいことが観測された。
【0020】次に、傾斜角6度の試料の表面構造をヘリ
ウム原子線散乱法で調べたところ、表面のバリウムBa
原子が約25Åの長周期構造を取っていることが明らか
になった。
【0021】実施例3 バリウムBaの代わりにセシュウムCsを用いて実験を
行った。Csの蒸着は試料温度500Kにおいて、ゲッ
ター材に電流値3A、15分間通電で行った。この時の
真空度は6.65×10-7Paであった。Cs蒸着後の
試料は、実施例1と同様に、アニール及び冷却を繰り返
すことで表面のCs被覆率を変化させて仕事関数の測定
を行った。仕事関数の測定にはケルビンプローブ及びオ
ージェ分光装置を使用した。その結果、実施例1と同様
に6度以上の角度で傾斜した試料において仕事関数の減
少値が大きいことが観測された。
【0022】次に、傾斜角6度の試料の表面構造をヘリ
ウム原子線散乱法で調べたところ、表面のセシュウムC
s原子がバリウムBaの場合と同様にステップサイト4
に吸着して約25Åの長周期構造を取っていることが明
らかになった。
【0023】実施例4プローブ顕微鏡の一つである走査
トンネル顕微鏡STMを用いて表面構造を制御した実施
例を示す。実施例1で得られた試料を走査トンネル顕微
鏡で観察したところ、ステップサイト4にワイヤー状に
バリウムBaが吸着していることが明らかになった。
【0024】次に図7に示すように1個のBa原子上に
STM探針7を移動させた後、1.5Vの電圧を印加す
ることにより、Ba原子を1個だけ剥ぎ取る。この作業
をBa原子1個おきに繰り返すことによりワイヤー状の
BaとBaの間隔を制御する。そして、全体の付着率の
調整及び酸化バリウムBaO双極子同志の相互作用が最
も小さくなる間隔、つまり仕事関数が最も小さくなるよ
うに人為的にBaの位置を制御した。これにより仕事関
数が従来より減少する結果が得られた。
【0025】なお、プローブ顕微鏡は、いわゆるAFM
でも良く、AFMの探針を導電性のものとして、STM
で行ったと同様に、原子の操作をすれば良い。
【0026】上記各実施例における酸素処理の効果を図
8で説明する。図8は傾斜角度0度の試料の酸素処理あ
りと処理なしの試料のアニールによる仕事関数の変化を
示したものである。実線は平均値を表している。小さい
丸で示す酸素処理のある場合のデータと、小さい三角で
示す酸素処理のない場合のデータとを対比して明らかな
ように、仕事関数の減少が大きいことがわかる。また、
酸素処理しない場合、アニール温度を高めていくと表面
に単独で吸着しているバリウムBaは脱離しやすく、仕
事関数の減少が約1300K付近で急速に元に戻ってい
る。一方、酸素処理した場合は、酸化バリウムBaOの
吸着構造を取っているためバリウムBaの脱離温度が高
められ、仕事関数は緩やかに変化していることがわか
る。
【0027】実施例5 本発明を利用して電子銃用のカソードを製作した一例を
示す。図9にこの発明のカソードの一般構造を略図で示
す。カソード基板8にはタングステンインゴットから
[001]軸方向に傾斜角6度に傾斜させて切断したW
(110)単結晶ウエハーを用いる。このカソード基板
8を機械研磨及び電解研磨を行うことで表面の平坦性を
向上させる。実施例1から4では長時間かけて前処理を
行ったが、複数枚のカソード基板を一度に処理すること
で時間の短縮を行うことができることが確認された。ま
た、基板研磨材の種類も最適化によって時間及び量も最
小で行った。これらのカソード基板8をカソード電流を
伝えるための金属基材9に固定した。この金属基材9の
下にフィラメント10を配置してカソード基板8ををそ
の作業温度に加熱する働きを持たせている。
【0028】次に表面を加熱清浄化させるために、この
カソード構造を真空容器内に入れ、超高真空まで排気す
る。フィラメント10に直流10V、30Aの通電加熱
を行い、フィラメント10に負の電圧−1kVの高電圧
を印加しカソード基板8をアース電位にすることで電子
ビームを生成し200Wの電力を投入して加熱する。加
熱は6.65×10-5Paの酸素雰囲気中で1500K
で1時間、さらに酸素供給を止め真空中で2300Kで
フラッシング加熱を行う。この作業を数回繰り返した。
これらの作業は複数個同時に行うことで作業時間の短縮
を行った。
【0029】同じ容器内で加熱清浄化後、すぐにバリウ
ムBaを蒸着して表面被覆させる。これにより清浄化で
生じたステップ構造を過剰なBaで保護する意味があ
る。次に、表面のBaの酸化処理を行いBaO単層膜に
する。さらに加熱清浄化と同様な方法でカソードを10
00〜1200Kに加熱することで表面のBaOのマイ
グレーションさせステップサイトにBaOの長周期構造
11を作製しカソード構造とした。
【0030】製作したカソード構造の試験を行った。試
験は真空中である。フィラメント10を使いカソード基
板8を800Kから900Kの温度で加熱し、10Vの
アノード電圧をかけて試験をした。900Kの温度で5
00mAの電子放出電流が得られた。電流密度は5A/
cm2の高電流密度である。さらに長時間使用しても極
めて安定であった。さらに、酸化バリウムBaOが長周
期構造を取った状態でバリウムBa以外の原子を被覆
し、BaOの長周期構造11を安定化させることでさら
なる長寿命化が可能である。また、カソード温度及び表
面被覆材料を最適化することでも高電流密度化が可能で
ある。
【0031】実施例6 薄膜製造技術を用いてカソード電極を製作した一例を示
す。図10はその構造の略図である。カソード基板8に
はタングステンインゴットから切り出したW(110)
単結晶ウエハーを用いる。このウエハーを化学エッチン
グあるいはイオンエッチングで傾斜角6度に傾斜させス
テップ構造を表面に形成させる。この基板の裏面にはA
23等の絶縁物12の薄膜を形成する。さらにフォト
マスク等のエッチング技術を用いて絶縁物12の表面に
フィラメント用のタングステン電極10を形成する。こ
れはカソード基板をまんべんなく加温できるように、波
形に這わせる等の適宜の形を取りうる。カソード基板の
表面にはBaOの単層膜を蒸着等で形成する。これはB
a単層膜を形成後、酸化させてもよい。このBaO単層
膜に加熱または電子ビームあるいはイオンビーム等を用
いて表面被覆率を変化させて表面マイグレーションを起
こし、ステップサイトにBaOの長周期構造11を形成
する。
【0032】タングステン電極10に電流を流すことで
カソード基板8を所定の温度に制御できる。この実施例
では100ミリアンペアの電子放出電流が得られた。こ
の素子は平面型微小フィールドエミッタとなり平面ディ
スプレィに応用ができる。
【0033】さらに図11のようにカソード上部にカバ
ー13の中空状の空間を形成することで、中空内部を真
空に保ち、BaOを安定な状態にすることが可能とな
る。さらに中空上部にゲート電極14を形成することも
可能である。ゲート電極14の電位を制御することで、
放出される電子ビームの強度を制御することができる。
また、タングステン電極や絶縁物には蒸着やCVD等で
エピタキシャル成長を利用した素子も作製することで性
能の良い物ができることが確認された。
【0034】実施例7 平面ディスプレィに応用した一例を示す。図12は平面
型ディスプレィの構造の略図である。微細加工技術を用
いてAl23等の絶縁体の基板15にタングステンのカ
ソード電極16及びゲート電極17、アノード電極18
を形成する。特にカソード電極16には本発明のBaO
の長周期構造11を形成する。さらにアノード電極18
上にはRGBの蛍光体19、20、21をそれぞれ形成
させる。これらの電極はガラス22で封入することで内
部を真空の状態に保つ。カソード電極16から放出され
た電子ビームはゲート電極17よって曲げられアノード
電極18に形成された蛍光体を発光させてそれぞれの色
をだす。どの色を発色させるかは、アノード電極18の
電圧を制御してカソード電極16の電子ビームをどのア
ノード電極18に到達させるかで決定でき、明るさはカ
ソード電極16の輝度及びゲート電極17の電位の制御
で制御できる。さらにこの素子をXYマトリックス構造
に配置することで平面ディスプレィを作製することがで
きる。特にカソード電極16に本発明のカソード構造を
取ることで極めて高輝度な電子ビームが低温及び低エネ
ルギーで得られるため、カソード構造の劣化が抑えられ
長寿命な平面ディスプレィとなる。また、エネルギーも
少ないため小電力化が可能である。
【0035】実施例8 平面ディスプレィに応用した他の一例を示す。図13は
平面型ディスプレィの構造の略図である。微細加工技術
を用いてAl23等の絶縁体の基板15に円柱状の溝を
ほる。この中に蒸着やCVD等を用いてタングステンの
エピタキシャル薄膜を円錐状に形成させる。この円錐状
のタングステン単結晶には同心円状のステップが形成さ
れる。このステップ部分にBaOの長周期構造11を形
成することで本発明の高輝度なカソード電極16を製作
することができた。さらに絶縁体の基板15上にはマト
リックス構造のゲート電極17を形成し電子ビームを引
き出す構造にしてある。それぞれのカソード電極16の
上部にはRGBに対応する蛍光体19、20、21が形
成されたアノード電極18があり引き出された電子ビー
ムで発光させる。この方法ではカソード電極16を小さ
くすることが可能であり、一画素の発光を複数のカソー
ド電極16で行うことで輝度をかせぐとともに、一つの
カソード電極16が不良であっても他のカソード電極1
6でこれを補うように使用できるため、工業的な歩留ま
りの面で有効である。
【0036】
【発明の効果】本発明によって、結晶表面を人為的に制
御することができ、特にバリウムBa等のアルカリ土類
金属やセシュウムCs等のアルカリ金属を選択吸着させ
ることにより、仕事関数を減少させ、効率的に電子を取
り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステップ面での吸着モデルの一例を示す図。
【図2】アニール温度と仕事関数の変化の一例を示す
図。
【図3】傾斜角度における仕事関数の変化の一例を示す
図。
【図4】傾斜角度0度におけるヘリウム原子線散乱の角
度分布の一例を示す図。
【図5】傾斜角度6度におけるヘリウム原子線散乱の角
度分布の一例を示す図。
【図6】長周期構造のモデルの一例を示す図。
【図7】STMによる吸着構造の制御の一例を示す図。
【図8】酸素処理による仕事関数のアニール温度依存性
の一例を示す図。
【図9】本発明の応用例としての電子銃用のカソードの
一例を示す図。
【図10】本発明の応用例としての薄膜製造技術を用い
たカソード電極の一例を示す図。
【図11】本発明の応用例としての平面ディスプレィの
一例を示す図。
【図12】本発明の応用例としての平面ディスプレィの
他の一例を示す図。
【図13】本発明の応用例としての平面ディスプレィの
他の一例を示す図。
【符号の説明】 1−ステップ、2−ステップ間隔、3−原子、4−ステ
ップサイト、5−タングステン原子、6−バリウム原
子、7−STMチップ、8−カソード基板、9−金属基
材、10−フィラメント、11−BaOの長周期構造、
12−絶縁物、13−カバー、14−ゲート電極、15
−基板、16−カソード電極、17−ゲート電極、18
−アノード電極、19−赤の蛍光体、20−緑の蛍光
体、21−青の蛍光体、22−ガラス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ペテック ハルヴォエ 埼玉県比企郡鳩山町赤沼2520番地 株式会 社日立製作所基礎研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の結晶構造を有する材料の結晶表面か
    ら所定角度以上傾斜したステップ構造を形成すること、
    該ステップ構造のステップサイトに所定の単原子を吸着
    させることとよりなることを特徴とする表面構造制御
    法。
  2. 【請求項2】吸着される原子がアルカリ土類金属あるい
    はアルカリ金属である請求項1記載の表面構造制御法。
  3. 【請求項3】ステップ構造の持つ角度がアルカリ土類金
    属あるいはアルカリ金属の長周期構造を形成するもので
    ある請求項1または2記載の表面構造制御方法。
  4. 【請求項4】所定の結晶構造を有する材料の結晶表面か
    ら所定角度以上傾斜したステップ構造を形成すること、
    該材料を所定の温度に制御して該ステップ構造のステッ
    プ表面に所定の単原子を吸着させること、吸着後の該材
    料を酸素の存在下で所定の温度に昇温後冷却してステッ
    プ表面に吸着された所定の単原子を前記ステップサイト
    に移動させることとよりなることを特徴とする表面構造
    制御法。
  5. 【請求項5】前記ステップサイトに吸着された原子をプ
    ローブ顕微鏡によって除去または移動させる請求項1な
    いし4のいずれかに記載された表面構造制御法。
  6. 【請求項6】所定の結晶構造を有する材料の結晶表面か
    ら所定角度以上傾斜したステップ構造を形成されるとと
    もに該ステップ構造のステップサイトに所定の単原子を
    吸着させた部材、該部材の単原子を吸着した面を加熱す
    るための手段とよりなる電子源。
  7. 【請求項7】前記単原子を吸着した面から電子が放出さ
    れる方向に備えられたゲート電極よりなる請求項6記載
    の電子源。
  8. 【請求項8】絶縁体の基板、該基板上に形成された所定
    の結晶構造を有する材料の結晶表面から所定角度以上傾
    斜したステップ構造を形成されるとともに該ステップ構
    造のステップサイトに所定の単原子を吸着させた部材、
    該部材の単原子を吸着した面を加熱するための手段、前
    記部材から供給される電子により発光する発光体、前記
    部材と前記発光体との間に設けられ前記供給電子の量を
    制御するためのゲート電極よりなる平面ディスプレィ。
  9. 【請求項9】前記発光体の複数個が一つの表示単位とさ
    れる請求項8記載の平面ディスプレィ。
JP2880896A 1996-02-16 1996-02-16 表面構造制御法およびこれを利用した電子源および平面ディスプレィ Pending JPH09223455A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1999024868A1 (en) * 1997-11-12 1999-05-20 Polanyi John C Method of molecular-scale pattern imprinting at surfaces
WO2005064636A1 (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 電子放出材料とこれを用いた電子放出素子

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