JPH09222404A - 比熱容量測定方法及びその装置 - Google Patents

比熱容量測定方法及びその装置

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JPH09222404A
JPH09222404A JP2977296A JP2977296A JPH09222404A JP H09222404 A JPH09222404 A JP H09222404A JP 2977296 A JP2977296 A JP 2977296A JP 2977296 A JP2977296 A JP 2977296A JP H09222404 A JPH09222404 A JP H09222404A
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哲也 馬場
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 材料の比熱容量を、室温からこれまで測定が
困難であった700℃以上の温度領域で、高精度、短時
間に測定できるようにする。 【解決手段】 平板状の標準試料7と測定試料8とを転
位機構11により同一測定位置に交互に設置し、それら
の試料にそれぞれレーザ加熱源1からパルスレーザを照
射する。標準試料7と測定試料8の上昇温度を測定し、
それらの温度上昇比と、標準試料7の比熱容量標準値に
基づいて、測定試料8の比熱容量を導出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体または液体材
料を対象とし、温度が700℃以上の高温領域でも測定
できる比熱容量測定方法及びその装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の比熱容量測定方法としては、断熱
法、交流加熱法、投下法、浮上法、示差走査熱量法、直
接パルス通電加熱法などが挙げられる(例えば、マグリ
ッチ、セザーリヤン、ペレッキー編、「熱物性計測法概
論、第1巻、測定技術のレビュー」(1984年)プレーナ
ムプレス、ニューヨーク;Maglic,Cezairliyan,Peletsk
y 編「 Compendium of Thermophysical Property Measu
rement Methods,Volume1,Survey of Measurement Techn
iques」,(1984),Plenum Press,New York )。
【0003】これらの方法のうちで、700℃以上の高
温領域に適用可能なものは、投下法、浮上法、直接パル
ス通電加熱法であるが、投下法と浮上法は、高温に保持
した試料を水浴に投下したときの水温の上昇からエンタ
ルピーを測定し、エンタルピーの温度微分から比熱容量
を算出する方法であるため、比熱容量の測定精度が低
く、測定に長時間を要する。また、直接パルス通電加熱
法は、測定対象物が導電性材料に限られると共に、精巧
・高価な測定装置と高度な測定技術を必要とし、世界的
にもごく限られた研究機関においてのみ実施されてい
る。
【0004】上述した現状から、導電性材料、非導電性
材料に対して700℃以上まで比熱容量を短時間で測定
できる方法の開発が要請されている。このような要請に
応えるために、レーザフラッシュ法による比熱容量測定
が試みられてきた。このレーザフラッシュ法による比熱
容量測定の最大の問題は、試料の吸収エネルギーの評価
である。通常、照射レーザビームのエネルギー密度は、
空間的に不均一であり、測定装置の窓材、鏡、レンズ等
による損失、レーザパワーカロリメータの精度等多くの
誤差要因のため、上記吸収エネルギーの高精度の評価は
困難である。
【0005】これらの問題を解決するための第1の試み
として、以下の方法が挙げられる。まず、所定位置に吸
収率一定の薄板を張り付けた比熱容量既知の標準試料を
設置し、パルスレーザを照射して試料が吸収したエネル
ギーを標準試料により校正する。次に、同一の位置に、
同一のレーザビーム受光板を張り付けた測定試料を設置
する。各パルスのエネルギーの変動をモニタすることに
より、パルスごとに試料の吸収エネルギーを評価し、そ
のときの測定試料の温度上昇の値から、比熱容量を測定
する(例えば、高橋洋一、「レーザフラッシュ法による
熱物性測定」、熱物性、第1巻、第1号、p 8〜11、日
本熱物性研究会発行(1987年))。
【0006】この方法においては、受光板のレーザビー
ムに対する吸収率を、試料温度に関係なく一定と仮定し
ているので、特に高温領域の測定においては、大きな誤
差要因となっている。さらに、測温に熱電対を用いるこ
となどのため、1000℃以上の温度までの測定は行わ
れていない。
【0007】第2の試みとしては、空間的にエネルギー
密度が一定で既知のレーザビームを用い、試料表面のレ
ーザビームに対する吸収率、表面温度測定用放射温度計
の実効波長での放射率を実測して、比熱容量の絶対値を
直接求める方法が提案されている(例えば、新井照男、
馬場哲也、小野晃、「レーザフラッシュ法による局所熱
容量測定の可能性」、熱物性、第1巻、第2号、p78〜
80、日本熱物性研究会発行(1987年))。この方法は、
レーザビーム受光板と標準試料とを必要とせず、前者の
方法より高温での比熱容量測定が可能である。しかしな
がら、この方法においても、測定装置の窓材によるレー
ザビームの反射・吸収、レーザパワーカロリメータの測
定精度、レーザビームエネルギー変動モニタ精度などの
要因のため、試料の吸収エネルギーを、±10%以上の
精度で求めるのは容易でない。
【0008】第3の試みとして、空間的に均一化された
レーザパルスにより近接して設置された標準試料と測定
試料を同時に加熱し、標準試料・測定試料の温度上昇を
測定して、両者の温度上昇の比と標準試料に値づけられ
た比熱容量の標準値に基づいて、測定試料の比熱容量を
導出する「レーザフラッシュ示差熱量法」(特開平3−
237346号、発明の名称:比熱測定方法)がある。
この方法によれば、試料及び試料加熱炉の耐熱温度の上
限まで比熱容量測定が可能となる。しかしながら、この
方法においては、レーザビームの空間エネルギー分布を
均一化する必要があるうえ、標準試料と測定試料の位置
においてパルス加熱のエネルギー密度と放射温度計の感
度が異なる可能性があるため、比熱容量測定における誤
差を生じる可能性がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の技術的課題
は、導電性及び非導電性の固体または液体材料の比熱容
量を、室温から試料及び試料加熱炉の耐熱限界までの温
度領域で、しかも、レーザビームの空間エネルギー分布
を均一化したり、標準試料と測定試料の位置の差異によ
るパルス加熱のエネルギー密度むらや放射温度計の感度
むらについて配慮することなく、高精度、短時間に測定
できるようにした測定方法及び装置を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の比熱容量測定方法は、平板状の標準試料と測
定試料とを転位機構により同一の測定位置に交互に設置
し、その測定位置への設置状態において、それらの試料
に共通のレーザ加熱源からのパルスレーザを照射して、
標準試料と測定試料との温度上昇を交互に測定し、両試
料の温度上昇比と標準試料の比熱容量標準値に基づい
て、測定試料の比熱容量を導出することを特徴とするも
のである。上記比熱容量測定方法においては、転位機構
による回転移動あるいは並進移動により標準試料と測定
試料とを同一の測定位置に設置することができる。
【0011】また、本発明の比熱容量測定装置は、試料
にパルスレーザを照射する共通のレーザ加熱源と、その
パルス加熱源から射出されたレーザビームが導入される
真空槽と、この真空槽内に配設され、試料ホルダに保持
させた標準試料と測定試料とを同一の測定位置に交互に
移送する転位機構と、上記真空槽内の標準試料と測定試
料とを測定温度まで加熱する加熱手段と、測定位置にあ
る試料の上記パルスレーザの照射による温度上昇を測定
する放射温度計と、両試料の温度上昇比と標準試料の比
熱容量標準値に基づいて測定試料の比熱容量を導出する
演算装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】上記本発明の比熱容量測定方法及び装置に
おいては、標準試料の比熱容量を基準として、標準試料
と測定試料との温度上昇の比から、測定試料の比熱容量
を求めるため、試料の吸収エネルギーの絶対値、試料の
温度上昇の絶対値が不要であり、さらに、測定に際し
て、標準試料、測定試料の両者ともに、パルス放射加熱
レーザビームに対して同一位置に設置され、この同一測
定位置において放射測温されるため、レーザビームの空
間エネルギー分布の不均一性や放射測温の感度むらによ
る誤差が除去される。また、放射加熱、放射測温による
測定法であるため、原理的に測定温度の上限はなく、現
実の測定温度の上限は、試料加熱炉の稼動温度の上限、
及び試料の黒化表面の耐熱限界によって決まり、その温
度領域で比熱容量を高精度に測定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の
実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る比
熱容量測定方法を実施する測定装置の構成の一例を示す
もので、この測定装置は、大出力パルスレーザからなる
レーザ加熱源1と、そのパルス加熱源1から射出された
レーザビーム2の一部をビームスプリッタ3で反射する
ことにより導かれ、パルスレーザのエネルギーの変動を
観測するパワーメータ4と、上記ビームスプリッ3を通
過する大部分のレーザビーム2が鏡5で反射することに
より導入される真空槽6とを備えている。
【0014】上記真空槽6は、対流による試料からの熱
損失の抑制と、試料の酸化、汚染の防止のため、内部が
10-5Torrより高真空に保たれるものであり、この真空
槽6内には、円板状の標準試料7と測定試料8とを保持
させた試料ホルダ9をその中心軸10の周りに回転可能
に支持させ、その試料ホルダ9の中心軸10に、試料ホ
ルダ9の回転により標準試料7と測定試料8とを同一の
測定位置に交互に移送するための転位機構11を配設し
ている。試料ホルダ9は、標準試料7と測定試料8を中
心軸10の周りに対称的に支持するように構成される。
また、上記真空槽6内には、標準試料7と測定試料8と
を測定温度まで加熱する加熱手段として、ヒータ12を
設けている。
【0015】放射温度計13は、測定位置における試料
裏面の上記パルスレーザの照射による温度上昇を測定す
るもので、この放射温度計13には、その出力信号を記
憶するトランジェントメモリ14が接続され、また、こ
のトランジェントメモリ14には、その出力信号が転送
されて、標準試料7と測定試料8のそれぞれの温度上昇
比、標準試料の比熱容量標準値、及び標準試料7と測定
試料8の質量比に基づいて測定試料8の比熱容量を導出
する演算装置(パーソナルコンピュータ)15が接続さ
れている。
【0016】上記構成を有する比熱容量測定装置により
比熱容量を測定するに際しては、予め真空槽6内を前記
10-5Torrより高真空に保ち、またヒータ12により標
準試料7と測定試料8とを測定温度まで加熱しておく。
なお、円板状の標準試料7と測定試料8とは、それらの
直径を等しく、表面を同一の状態に黒化しておくことに
より、測定位置において両試料の吸収するエネルギーを
等しくし、また、標準試料7及び測定試料8は、試料ホ
ルダ9との接触面積が最小になるようにして試料ホルダ
9に保持させることが望まれる。
【0017】比熱容量の測定は、平板状の標準試料7と
測定試料8とを転位機構11による試料ホルダ9の回転
により同一の測定位置に交互に配置し、その測定位置へ
の配置状態において、それらの各試料7,8に共通のレ
ーザ加熱源1からのパルスレーザを照射し、標準試料7
と測定試料8との裏面の温度上昇を放射温度計13で交
互に測定することにより行われる。放射温度計13の出
力信号は、トランジェントメモリ14に記憶され、それ
が演算装置15に転送されて、両試料の温度上昇比と標
準試料の比熱容量標準値、並びに標準試料7と測定試料
8のそれぞれの質量の比に基づいて、測定試料8の比熱
容量が導出される。
【0018】次に、図2及び図3を参照して、本発明の
比熱容量測定方法における比熱容量の算出の原理につい
て説明する。同図において、測定位置に配置された標準
試料7はレーザビーム2を照射される。この状態から、
転位機構11により試料ホルダ9を180°回転させる
と、標準試料7と測定試料8の場所が入れ替わり、標準
試料7が配置されていた測定位置に測定試料8が配置さ
れ、測定試料8にレーザビーム2が照射される。
【0019】この際、円板状の標準試料7と測定試料8
の直径は等しく、表面は同一の状態に黒化しておくこと
により、測定位置において両試料の吸収するエネルギー
は等しくなる。そして、パルス放射加熱による分光放射
輝度の増加は試料裏面の分光放射率に依存するが、両試
料の表面は同一の状態に黒化されているので、放射温度
計13の出力変化の比は両試料の温度変化の比に等しく
なる。図3のA,Bでは、横軸を時間軸とし、縦軸を放
射温度計出力として、標準試料7についての放射温度計
13の出力変化(同図A)と、測定試料8についての放
射温度計13の出力変化(同図B)とを模式的に示して
いる。
【0020】このような測定条件において、測定試料8
の比熱容量Cm は、標準試料7の比熱容量標準値Cs
ら以下のようにして算出される。いま、標準試料7、測
定試料8における黒化表面のパルスレーザビーム2に対
する吸収率をα、放射温度計13に対する分光放射率を
ε、標準試料7の質量をMs 、測定試料8の質量をMm
とする。標準試料7及び測定試料8が、真空中において
試料ホルダ9と接触面積が最小になるように設置されて
いるとすると、熱放射の影響が小さい場合には、外界と
断熱されていると見なすことができる。
【0021】この状態において、比熱容量の定義から、
標準試料7、測定試料8のそれぞれについて、次の
(1)式、(2)式が成立する。
【数1】 ここで、ΔTs は標準試料7の温度上昇、ΔTm は測定
試料8の温度上昇、Aは標準試料7及び測定試料8の放
射加熱される面積、qは放射加熱エネルギー密度であ
る。
【0022】放射温度計13では、試料の真温度の変化
を測定するのではなく、放射温度計の実効波長λにおけ
る試料の分光放射輝度L(λ,T)の変化を測定する。
試料の分光放射輝度L(λ,T)は、波長と温度のみに
よって決まる黒体の分光放射輝度Lb ( λ,T)と波長
λにおける試料裏面の分光放射率εとの積で表わされ
る。従って、試料温度がTからT+ΔTに上昇した場合
の放射温度計13の出力の変化ΔVは、次の(3)式で
表わされる。 ΔV=kL(λ,T+ΔT)−kL(λ,T) =kεLb (λ,T+ΔT)−kεLb (λ,T) =kε・ΔT・∂Lb (λ,T)/∂T ・・・・(3) ここで、kは放射温度計13の感度である。
【0023】したがって、標準試料7に対する輝度温度
を表示する放射温度計出力の変化をΔVs 、測定試料8
に対する輝度温度を表示する放射温度計出力の変化をΔ
mとすると、ΔVs ,ΔVm はそれぞれ次の(4)
式、(5)式のようになる。 ΔVs =kε・ΔTs ・∂Lb (λ,T)/∂T ・・・・(4) ΔVm =kε・ΔTm ・∂Lb (λ,T)/∂T ・・・・(5)
【0024】上記(1)式を(4)式に、(2)式を
(5)式に代入して、両者の比をとると、
【数2】 となり、従って、次の(6)式が得られる。
【数3】
【0025】上記(6)式は、放射加熱のエネルギー密
度q、試料表面の吸収率α、放射温度計13に対する分
光放射率ε、放射温度計13の感度kを含まず、従っ
て、測定試料8の比熱容量Cm は、上記q,α,εを測
定することなしに、放射温度計13の出力変化比ΔVs
/ΔVm の値から求まることを表わしている。放射によ
る熱損失が無視できない高温領域では、次の(7)式を
用いる。
【数4】 ここで、ΔVs ′,ΔVm ′は、各々標準試料7と測定
試料8の高温での熱放射損失を補正した出力である。
【0026】上述したところから明らかなように、上記
比熱容量測定方法及び装置においては、標準試料7の比
熱容量を基準として、標準試料7と測定試料8との温度
上昇の比から測定試料8の比熱容量を求めるため、試料
の吸収エネルギーの絶対値、試料の温度上昇の絶対値が
不要であり、さらに、測定に際して、標準試料7、測定
試料8の両者ともに、パルス放射加熱レーザビーム2に
対して同一位置に設置され、この同一測定位置において
放射測温されるため、レーザビーム2の空間エネルギー
分布の不均一性や放射温度計13による放射測温の感度
むらによる誤差が生じる余地がない。また、放射加熱、
放射測温による測定法であるため、原理的に測定温度の
上限はなく、現実の測定温度の上限は、試料加熱炉の稼
動温度の上限、及び試料の黒化表面の耐熱限界によって
決まり、その温度領域で比熱容量を高精度に測定するこ
とができる。
【0027】なお、以上においては、転位機構11によ
り試料ホルダ9をその中心軸10の周りに回転移動させ
る場合について説明したが、測定位置の再現性が確保で
きれば試料ホルダ9の回転移動に限定されるものではな
い。例えば、試料ホルダ9を並進移動させる転位機構1
1と結合し、その試料ホルダに支持されている標準試料
7と測定試料8とを、交互に同一の測定位置に配置でき
ように、並進移動させることもできる。
【0028】
【実施例】次いで、図1の測定装置を用いて、本発明に
係る比熱容量測定方法により、測定試料8としての炭素
/炭素複合材料の比熱容量を温度1396Kにおいて測
定した実施例を、図4及び図5を参照して説明する。標
準試料7としては、等方性黒鉛POCO−AXM5Q1
を使用した。試料の大きさは、ともに直径6mm、厚さ
1mmの円板状であり、試料の表面、裏面とも、同一の
状態に黒化されている。図4及び図5は、空間的に均一
なエネルギー密度(約3.1cm-2)でパルス放射加熱を
行った後の試料裏面温度の上昇を放射温度計13により
測定した結果を示している。図4は、標準試料である等
方性黒鉛POCO−AXM5Q1についての測定曲線、
図5は、測定試料である炭素/炭素複合材料についての
測定曲線である。
【0029】標準試料については、放射温度計出力の変
化ΔVs ′の最大値が6.98mVとなり、測定試料に
ついては、同じくΔVm ′の最大値が6.85mVとな
っている。標準試料である等方性黒鉛POCO−AXM
5Q1の比熱容量標準値は、Cs =1.970Jg-1
-1であり、標準試料の質量Ms =0.1187g、測定
試料の質量Mm =0.1281gであるので、これらの
数値から、測定試料の比熱容量Cm は、(7)式に従っ
て、 Cm =1.860(Jg-1-1) となる。
【0030】この測定の誤差要因としては、放射温度計
出力の再現性、パルスレーザビームに対する試料表面の
吸収率及び放射温度計に対する分光放射率の標準試料と
測定試料との間での違い、パルスレーザビームのエネル
ギー変動の評価精度、標準試料及び測定試料の表面積と
質量の測定精度、転移機構による標準試料と測定試料の
設置位置の再現性などが挙げられる。これらの誤差要因
を考慮した比熱容量測定の総合精度は5%より良いと評
価されている。図4および図5の測定曲線はそれぞれ2
秒以内で観測され、データ解析並びに結果の印刷まで含
めて比熱容量を算出するまでの全測定は3分以内と極め
て迅速に完了される。
【0031】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の比熱容
量測定方法及び装置によれば、これまで測定が困難であ
った非導電性の材料を含むすべての固体または液体材料
の比熱容量を、室温から試料及び試料加熱炉の耐熱限界
までの温度領域(2000℃以上)まで、短時間に高精
度で測定することが可能になる。しかも、レーザビーム
の空間エネルギー分布を均一化したり、標準試料と測定
試料の位置の差異によるパルス加熱のエネルギー密度む
らや放射温度計の感度むらについて配慮することなく、
その測定を行うことができる。そのため、本発明は、ニ
ューセラミックス等の新材料、原子炉材料、航空宇宙分
野における複合材料等の高温領域での比熱容量を、実用
的、かつ高精度に測定するための手段として利用でき、
これら技術分野における材料の評価に大きく寄与するこ
とが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る比熱容量測定方法を実施する測定
装置の一例を示すブロック構成図である。
【図2】本発明の比熱容量測定方法における比熱容量の
算出の原理を説明するための説明図である。
【図3】A及びBは、それぞれ標準試料及び測定試料に
ついての放射温度計出力の変化を模式的に示すグラフで
ある。
【図4】標準試料についての放射温度計出力の変化の測
定例を示すグラフである。
【図5】測定試料についての放射温度計出力の変化の測
定例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 レーザ加熱源 2 レーザビ−ム 6 真空槽 7 標準試料 8 測定試料 9 試料ホルダ 11 転位機構 12 ヒータ 13 放射温度計

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平板状の標準試料と測定試料とを転位機構
    により同一の測定位置に交互に設置し、その測定位置へ
    の設置状態において、それらの試料に共通のレーザ加熱
    源からのパルスレーザを照射して、標準試料と測定試料
    との温度上昇を交互に測定し、両試料の温度上昇比と標
    準試料の比熱容量標準値に基づいて、測定試料の比熱容
    量を導出することを特徴とする比熱容量測定方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において、転位機構
    による回転移動により標準試料と測定試料とを同一の測
    定位置に設置することを特徴とする比熱容量測定方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の方法において、転位機構
    による並進移動により標準試料と測定試料とを同一の測
    定位置に設置することを特徴とする比熱容量測定方法。
  4. 【請求項4】試料にパルスレーザを照射する共通のレー
    ザ加熱源と、そのパルス加熱源から射出されたレーザビ
    ームが導入される真空槽と、この真空槽内に配設され、
    試料ホルダに保持させた標準試料と測定試料とを同一の
    測定位置に交互に移送する転位機構と、上記真空槽内の
    標準試料と測定試料とを測定温度まで加熱する加熱手段
    と、測定位置にある試料の上記パルスレーザの照射によ
    る温度上昇を測定する放射温度計と、両試料の温度上昇
    比と標準試料の比熱容量標準値に基づいて測定試料の比
    熱容量を導出する演算装置とを備えたことを特徴とする
    比熱容量測定装置。
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