JPH0921878A - 液体シンチレーションカウンタ - Google Patents

液体シンチレーションカウンタ

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JPH0921878A
JPH0921878A JP17202195A JP17202195A JPH0921878A JP H0921878 A JPH0921878 A JP H0921878A JP 17202195 A JP17202195 A JP 17202195A JP 17202195 A JP17202195 A JP 17202195A JP H0921878 A JPH0921878 A JP H0921878A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体シンチレーションカウンタにおいて、ク
エンチングによるα線β線弁別の誤差を補正し、α線及
びβ線の計数値を正確に求める。 【解決手段】 光電子増倍管10から出力された検出パ
ルスは、増幅器12によって増幅される。パルス幅弁別
回路14は、増幅器12からの検出パルスのうちパルス
幅が所定の閾値以上のものを弁別して出力する。通常計
数部18は増幅器12から出力された検出パルスの計数
値を求め、弁別計数部20はパルス幅弁別回路14によ
って弁別された検出パルスの計数値を求める。試料のク
エンチング指標値は、波高分析部22及びクエンチング
演算部26によって求められる。弁別計数値演算部32
は、試料のクエンチング指標値に対応するα線及びβ線
弁別比率を各弁別比率記憶部28及び30から求め、こ
れら各弁別比率と通常計数部18及び弁別計数部20の
計数結果とを用いて連立方程式演算を行い、α線及びβ
線の計数値を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体シンチレーシ
ョンカウンタに関し、特にα線とβ線の計数値を弁別し
て求めることができる液体シンチレーションカウンタに
関する。
【0002】
【従来の技術】液体シンチレーションによる放射線測定
は、新薬開発のための代謝実験やバイオ関連の実験、放
射線取扱施設の排水管理等、様々な分野に利用されてい
る。
【0003】この放射線測定は、液体シンチレータ溶液
中へ測定対象試料を混ぜ、試料から発生させられる放射
線をシンチレータの発光として捕らえ、これを例えば光
電子増倍管等で検出するものである。そして、その検出
結果、すなわちパルスカウント数等からサンプルの放射
能等の値が求められる。このような方法により放射線測
定を行う装置が、液体シンチレーションカウンタであ
る。
【0004】従来の液体シンチレーョンカウンタでは、
α線とβ線とを弁別して計数する場合、光電子増倍管の
検出パルスのパルス幅やパルスディケイ、ライズタイム
を利用していた。なお、パルスディケイとは、パルスの
ピークから終端までの時間幅である。α線及びβ線の検
出パルスのパルス幅、パルスディケイ、ライズタイムの
関係は、図5及び図6に示される。
【0005】例えば、パルス幅を利用する場合では、図
5に示すようにα線の検出パルスはβ線の検出パルスに
比べてパルス幅が大きいので、パルス幅について閾値を
設定し、検出パルスのパルス幅がこの閾値に対して大き
いか小さいかでα線とβ線の弁別を行っていた。
【0006】すなわち、従来の液体シンチレーションカ
ウンタは、例えば所定の閾値以上のパルス幅を有する検
出パルスを弁別して出力するパルス幅弁別回路を備え、
このパルス幅弁別回路から出力される検出パルスを計数
することによりα線の計数値を求めていた。そして、こ
のようにして求められたα線の計数値を、パルス弁別回
路を介さずに検出パルスを直接計数して求めた計数値か
ら減算した結果をβ線の計数値としていた。
【0007】パルスディケイやライズタイムを利用する
場合もこれと同様である。一般に、図5に示すように、
α線検出パルスのディケイはβ線検出パルスのディケイ
より長く、また図6に示すように、α線検出パルスのラ
イズタイムはβ線検出パルスのライズタイムより長い。
そこで、予めパルスディケイ又はライズタイムについて
閾値を設定しておき、個々の検出パルスのパルスディケ
イ又はライズタイムをそのパルスディケイ閾値又はライ
ズタイム閾値と比較することによりα線とβ線の弁別を
行っていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】周知のように、液体シ
ンチレーションによる測定では、試料のクエンチングが
計数効率に影響を与える。試料のクエンチングとは、試
料に不純物が混入したり試料が着色したりすることによ
り、シンチレータの発光効率自体が低下したり、あるい
は発生したシンチレーション光が光電子増倍管に到達す
るまでに減衰したりして光電子増倍管の検出パルスが小
さくなり、この結果計数効率が低下することをいう。こ
の試料のクエンチングによって検出パルスの大きさが変
化すると、パルス幅やパルスディケイ(以下、パルス幅
等と略す)も変化するため、従来のようなα線β線弁別
法ではα線とβ線が正確に弁別できないという問題があ
った。
【0009】すなわち、α線、β線の検出パルスのパル
ス幅等は、常に同じわけではなく、統計的なばらつきの
ためそれぞれある一定の分布を示す。従って、α線β線
弁別のための閾値は、この分布を考慮して定められる。
しかし、このようにして閾値を定めたとしても、試料に
クエンチングが起こると検出パルスのパルス幅等が全体
的に小さくなるため、α線の検出パルスの一部のパルス
幅等が弁別閾値より小さくなり、この結果α線の一部が
α線として弁別されず、β線としてカウントされてしま
う。このため、求められるα線及びβ線の計数値に誤差
が生じてしまう。このように、従来のα線β線弁別法で
は、試料のクエンチングにより、求められるα線及びβ
線の計数値に誤差を生じるという問題があった。
【0010】本発明は前述の問題点を解決するためにな
されたものであり、クエンチングによるα線β線弁別の
誤差を補正し、α線の計数値及びβ線の計数値を正確に
求めることができると共に、α線、β線それぞれの放射
能値も算出することができる液体シンチレーションカウ
ンタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本発明に係る液体シンチレーションカウンタは、
試料から発せられたシンチレーション光を検出する光電
子増倍管と、前記光電子増倍管から出力される検出パル
スのうち所定のパルス幅条件を満たすものを弁別して出
力するパルス弁別手段と、前記光電子増倍管からの検出
パルスを計数する通常計数手段と、前記パルス弁別手段
から出力された検出パルスを計数する弁別計数手段と、
前記試料のクエンチング指標値を求めるクエンチング測
定手段と、α線についての前記光電子増倍管の検出パル
スのうち前記所定のパルス幅条件を満たすものの比率と
試料のクエンチング指標値との相関関係を記憶するα線
弁別比率記憶手段と、β線についての前記光電子増倍管
の検出パルスのうち前記所定のパルス幅条件を満たすも
のの比率と試料のクエンチング指標値との相関関係を記
憶するβ線弁別比率記憶手段と、前記α線弁別比率記憶
手段及び前記β線弁別比率記憶手段から、前記クエンチ
ング測定手段で求められたクエンチング指標値に対応す
るα線弁別比率及びβ線弁別比率をそれぞれ求め、これ
らα線弁別比率及びβ線弁別比率と、前記通常計数手段
の計数値及び前記弁別計数手段の計数値とを用いて連立
方程式演算を行うことにより、α線の計数値及びβ線の
計数値を求める弁別計数値演算手段とを有することを特
徴とする。
【0012】従来の弁別計数法においてα線及びβ線の
計数値に誤差が生じていたのは、弁別に用いる閾値が固
定されているため、試料のクエンチングの程度が変化し
て検出パルスの大きさ及び波高値が変化した場合に、そ
の検出パルスが本来の線種とは異なった線種としてカウ
ントされるからであった。
【0013】これに対し、本発明では、固定的な閾値を
用いる以上そのような弁別誤差は必然的に存在するもの
との前提に立ち、逆にそのような弁別誤差が試料のクエ
ンチングの程度によってどのように変化するかという相
関関係を予め求め、閾値弁別によって求められた計数値
をその相関関係を用いて補正することにより、クエンチ
ングの影響を排除した正確な計数値を求める。
【0014】すなわち、本発明では、パルス弁別手段
は、光電子増倍管からの検出パルスのうち所定のパルス
幅条件を満たすものを弁別して出力し、弁別計数手段
は、この弁別出力された検出パルスを計数する。ここ
で、パルス幅条件とは、パルス幅やパルスディケイに関
する条件のことであり、パルス幅が所定の閾値より大き
いこと等の条件をいう。一方、通常計数手段は、光電子
増倍管から出力された検出パルスを直接計数する。
【0015】本発明の目的は、光電子増倍管から出力さ
れる検出パルスのうちのα線によるものの計数値とβ線
によるものの計数値とをそれぞれ正確に求めることにあ
るが、通常計数手段で求められる計数値は、これらα線
計数値とβ線計数値の和である。一方、弁別計数手段で
求められる計数値は、α線及びβ線それぞれの検出パル
スのうち所定のパルス幅条件を満たすものの計数値同士
の和である。
【0016】ここで、α線の全検出パルスのうち所定の
パルス幅条件を満たすものの比率、及びβ線の全検出パ
ルスのうち所定のパルス幅条件を満たすものの比率が、
それぞれα線弁別比率及びβ線弁別比率として予め求め
られていたとすると、これら弁別比率と前述の通常計数
手段及び弁別計数手段の計数値とを用いて、求めるべき
α線計数値及びβ線計数値のみを未知数とした連立方程
式を立てることができる。そして、この連立方程式を解
くことにより、α線計数値及びβ線計数値を求めること
ができる。
【0017】なお、前述したように、検出パルスのパル
ス幅等は試料のクエンチングの程度によって変化するた
め、それらα線弁別比率及びβ線弁別比率も試料のクエ
ンチングの程度に応じて変化する。従って、本発明で
は、試料のクエンチングの程度を示すクエンチング指標
値とα線弁別比率との相関関係、及び試料のクエンチン
グ指標値とβ線弁別比率との相関関係をそれぞれ予め求
めておき、それらをα線弁別比率記憶手段及びβ線弁別
比率記憶手段に格納する。これら相関関係は、例えば、
α線標準試料及びβ線標準試料(α線あるいはβ線のみ
を発する線源を液体シンチレータに溶かし込んで調製し
た試料。クエンチングの程度が異なるものを複数個セッ
トにして用いる。)等を用いて求めることができる。
【0018】そして、弁別計数値演算手段が、クエンチ
ング測定手段によって求められたクエンチング指標値に
対応するα線弁別比率及びβ線弁別比率を、これら各弁
別比率記憶手段から求める。そして、弁別計数値演算手
段は、更にこれら各弁別比率と通常計数手段及び弁別計
数手段の計数値とを用いて連立方程式演算を行うことに
より、α線計数値及びβ線計数値を算出する。
【0019】また、本発明に係る液体シンチレーション
カウンタは、前記通常計数手段及び弁別計数手段が、検
出パルスを波高分析してエネルギースペクトルを求める
波高分析手段をそれぞれ有し、前記弁別計数値演算手段
が、エネルギースペクトルにおける各エネルギーごと
に、そのエネルギーの計数値を用いて前記連立方程式演
算を行い、α線及びβ線のエネルギースペクトルをそれ
ぞれ求めるエネルギースペクトル演算手段を有すること
を特徴とする。
【0020】すなわち、本発明に係る液体シンチレーシ
ョンカウンタでは、通常計数手段及び弁別計数手段にお
いて、それぞれ波高分析を行ってエネルギースペクトル
を求める。これら各計数手段のエネルギースペクトルの
各エネルギーチャネルごとに前述の連立方程式演算を行
うことにより、α線及びβ線それぞれのエネルギースペ
クトルを算出する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る液体シンチレ
ーションカウンタの好適な態様を図面に基づき説明す
る。
【0022】図1は、本発明に係る液体シンチレーショ
ンカウンタの第1の態様の構成を示す機能ブロック図で
ある。図1において、光電子増倍管(PMT)10は、
試料(図示しない)から発せられたシンチレーション光
を検出し、検出パルスを出力する。光電子増倍管10か
ら出力された検出パルスは、増幅器12によって増幅さ
れる。
【0023】増幅器12は、パルス幅弁別回路14及び
マルチチャネルアナライザ部16に接続されている。そ
して、パルス幅弁別回路14は、マルチチャネルアナラ
イザ部16に接続されている。
【0024】パルス幅弁別回路14は、増幅器12から
入力される検出パルスのうち、パルス幅が所定の閾値以
上のもののみを弁別し、マルチチャネルアナライザ部1
6に対して出力する。このパルス幅の閾値としては、従
来装置のパルス幅弁別回路においてα線とβ線の弁別の
ために用いていた値を用いればよい。
【0025】マルチチャネルアナライザ部16は、機能
上、通常計数部18、弁別計数部20、波高分析部22
の3つの要素に分けることができるが、ハードウエアと
しては液体シンチレーションカウンタにおいて通常用い
られているマルチチャネルアナライザを基本的にそのま
ま用いることができる。この場合、機能上の各要素はソ
フトウエア処理によって実現される。
【0026】マルチチャネルアナライザ部16におい
て、弁別計数部20は、増幅器12から出力された検出
パルスのうち、パルス幅弁別回路14から出力されたも
ののみを計数し、この計数結果を弁別計数値演算部32
に与える。
【0027】また、波高分析部22は、増幅器12から
入力される検出パルスの波高分析を行って試料のエネル
ギースペクトルを求める。このエネルギースペクトル
は、横軸にパルス波高(入射放射線のエネルギーに対
応)、縦軸に計数値をとったグラフとして表現できる。
このようにして求められたエネルギースペクトルは、演
算処理部24内のクエンチング演算部26に入力され
る。
【0028】また、通常計数部18は、波高分析部22
の各チャネルの計数値を合計することにより、増幅器1
2から出力された検出パルスの総計数値を求める。すな
わち、通常計数部18は、パルス幅弁別回路14を通し
ていない、増幅器12から出力されたままの検出パルス
についての計数値を求める。求められた計数結果は、演
算処理部24内の弁別計数値演算部32に入力される。
【0029】マルチチャネルアナライザ部16の出力は
演算処理部24にて演算処理される。演算処理部24
は、機能的には、クエンチング演算部26、α線弁別比
率記憶部28、β線弁別比率記憶部30及び弁別計数値
演算部32の4つの要素に分けることができる。演算処
理部24としては、一般的に用いられているマイクロコ
ンピュータを利用することができるが、この場合、上記
4つの要素はソフトウエア的に実現される。
【0030】演算処理部24において、クエンチング演
算部26は、例えば外部標準線源チャネル比法(ESC
R法)を用いて試料のクエンチング指標値を算出する。
ESCR法とは、放射能が既知のγ線源(外部標準線
源。例えば137 Cs)を外部から照射したときにシンチ
レータ中に生じるコンプトン電子のエネルギースペクト
ルがクエンチングによって変化することを利用して、試
料のクエンチングの程度を求める方法である。この方法
では、図7に示すように、コンプトンスペクトルのLL
〜∞までの計数値を3:1に内分するチャネル(波高
値)Rγを求め、これをもとに次式によってESCR値
という値を求める。
【0031】ESCR値=k・Rγ (kは定数) そして、このようにして求められたESCR値をクエン
チング指標値として用いる。
【0032】本態様では、試料のクエンチング指標値を
求めるときに、試料自体の放射線の影響を除去するため
に、試料の放射線を測定する前に試料に対して外部標準
線源を照射し、このときのエネルギースペクトルを求
め、その後試料自体の放射線を測定するときに、外部標
準線源を照射せずにエネルギースペクトルを求め、前者
から後者を差し引くことにより純粋なコンプトンスペク
トルを求める。そして、このコンプトンスペクトルから
上述のようにしてESCR値を算出する。
【0033】なお、本態様では、試料のクエンチング指
標値を求める方法としては、ESCR法に限らず、SC
CR法(セルフコンスタントチャネル比法)等の他の方
法を用いてもよい。
【0034】弁別計数値演算部32は、通常計数部18
及び弁別計数部20から受けとった計数値とクエンチン
グ演算部26で求められたクエンチング指標値とを用い
て、α線及びβ線の計数値をそれぞれ求める。
【0035】以下、この弁別計数値演算部32における
演算処理について説明する。
【0036】本態様では、α線の全検出パルスのうちに
占める閾値より大きなパルス幅の検出パルス(すなわち
α線の検出パルスのうちでパルス幅弁別回路から出力さ
れるもの)の比率をα線弁別比率と定義し、同様にβ線
の全検出パルスのうちに占める閾値より大きなパルス幅
の検出パルス(すなわちβ線の検出パルスのうちでパル
ス幅弁別回路から出力されるもの)の比率をβ線弁別比
率と定義している。そして、試料のクエンチングの程度
が変化したときにこれらα線弁別比率及びβ線弁別比率
がどのように変化するかという相関関係を示す補正曲線
を予め求めておき、これら補正曲線を、例えばテーブル
形式でそれぞれα線弁別比率記憶部28及びβ線弁別比
率記憶部30に格納しておく。図2は、α線弁別比率記
憶部28及びβ線弁別比率記憶部30にそれぞれ格納さ
れるα線についての補正曲線及びβ線についての補正曲
線の一例を示すグラフである。このような補正曲線の作
成方法については後に詳述する。
【0037】弁別計数値演算部32は、まずクエンチン
グ演算部26で求められた試料のクエンチング指標値を
受けとり、このクエンチング指標値に対応するα線弁別
比率及びβ線弁別比率をα線弁別比率記憶部28及びβ
線弁別比率記憶部30から読み取る。次に、弁別計数値
演算部26は、得られたα線弁別比率及びβ線弁別比率
と、通常計数部18及び弁別計数部20の計数値とを用
いて、次式に従ってα線及びβ線の計数値を各々求め
る。なお、ここでは、1分当りの計数率を求める場合を
例にとって説明する。
【0038】
【数1】x + y = A …(1) Cx +Dy = B …(2) A:通常計数部18で求めた計数率(cpm ) B:弁別計数部20で求めた計数率(cpm ) C:α線弁別比率 D:β線弁別比率 x:α線の計数率(cpm ) y:β線の計数率(cpm ) 上式について詳説すると、まず求めるべきα線の計数率
x及びβ線の計数率y自体は共に未知数であるが、本態
様はα線とβ線のみを測定する場合を対象としているの
で、α線の計数率xとβ線の計数率yとの和は、光電子
増倍管10から出力される検出パルスの総計数率、すな
わち通常計数部18の計数率となる(上記(1)式)。
また、弁別比率の定義から、Cxは、α線の検出パルス
のうちパルス幅弁別回路14によって弁別されるものの
計数率を示しており、Dyは、β線の検出パルスのうち
パルス幅弁別回路14によって弁別されるものの計数率
を示している。したがって、CxとDyの和は、パルス
幅弁別回路14から出力される検出パルスの総計数率、
すなわち弁別計数部20の計数率となる(上記(2)
式)。
【0039】そして、計数率A及びBは、それぞれ通常
計数部18及び弁別計数部20で求められており、また
弁別比率C及びDは、試料のクエンチング指標値に基づ
き各弁別比率記憶部28及び30から求められているの
で、それらを用いて上記(1)式及び(2)式の連立方
程式を解くことにより、α線計数率x及びβ線計数率y
の値を求めることができる。すなわち、上記(1)式及
び(2)式の連立方程式を解くことによって得られる次
の(3)式及び(4)式に基づきα線計数率x及びβ線
計数率yの値が求められる。
【0040】
【数2】 x = (B−AD)/(C−D) …(3) y = (B−AC)/(D−C) …(4) このようにして求められたα線計数率及びβ線計数率
は、試料のクエンチング指標値の影響が補正された値と
なっている。
【0041】次に、α線弁別比率記憶部28及びβ線弁
別比率記憶部30に格納される補正曲線の作成方法につ
いて説明する。
【0042】前述したように、図2には補正曲線の一例
が示されているが、このような補正曲線は、各液体シン
チレーションカウンタごとに作成される。この補正曲線
は、工場出荷時に、あるいはユーザの必要に応じて適宜
作成され、各弁別比率記憶部28及び30に格納され
る。
【0043】α線についての補正曲線を作成するには、
α線のみを発する線源を液体シンチレータに溶かし込ん
で調製したα線標準試料を用いる。α線標準試料は、ク
エンチング指標値が互いに異なるものを複数用意する。
これら各α線標準試料は、基準装置によって計数率(c
pm値又はcps値)が所定の計数率になるように調製
しておく。
【0044】本態様の液体シンチレーションカウンタに
は、通常の試料の放射線測定を行うモードのほかに、補
正曲線を作成するモードが用意されており、補正曲線を
作成する際には、液体シンチレーションカウンタを補正
曲線作成モードに設定する。この補正曲線作成モードで
は、以下の処理を行うことにより補正曲線を作成する。
なお、この例においては、補正曲線作成の対象となる液
体シンチレーションカウンタは、通常計数部18の計数
効率、すなわち増幅器12の出力パルスを直接計数した
場合の計数効率を、上記基準装置の計数効率に合わせる
ように予め調整されているものとする。
【0045】まず、用意した1組のα線標準試料を液体
シンチレーションカウンタにセットする。そして、各α
線標準試料ごとに、順次クエンチング指標値の測定、及
び弁別計数部20の計数率、すなわちパルス幅弁別回路
14で弁別された検出パルスの計数率の測定を行う。
【0046】そして、測定された弁別計数部20の計数
率を、上記基準装置で測定された所定の計数率で割るこ
とによりα線弁別比率を求める。このようにして、各α
線標準試料についてα線弁別比率を求め、これを既に測
定されている各α線標準試料のクエンチング指標値と対
応づけながら記憶する。そして、各α線標準試料ごとに
ついて求められたクエンチング指標値とα線弁別比率と
の相関関係を補間することにより、図2に示したような
補正曲線が求めれられる。
【0047】以上、α線についての補正曲線の作成手順
を説明したが、β線についても、予め基準装置で所定の
計数率になるように調製されたクエンチング指標値の異
なる複数のβ線標準試料を用いて、全く同様の手順で補
正曲線が作成できる。
【0048】このようにして作成されたα線及びβ線に
ついての補正曲線は、それぞれα線弁別比率記憶部28
及びβ線弁別比率記憶部30に、例えばテーブル形式で
格納される。この補正曲線を用いることにより、通常の
試料測定時において、試料のクエンチングの影響を補正
した正確なα線計数率及びβ線計数率を求めることがで
きる。
【0049】なお、以上の例では、弁別計数部20の計
数率を、基準装置で予め測定されている所定の計数率で
割ることにより各弁別比率を求めていたが、この他の方
法として、各標準試料について通常計数部18でも計数
率を求め、各標準試料ごとに弁別計数部20の計数率を
通常計数部18の計数率で割ることにより弁別比率を求
める方法もある。この場合は、予め用意された標準試料
の代わりに、例えばユーザ自身が調製した試料を標準試
料として用いることもできる。このようにすれば、例え
ばクエンチャの種類等を実際の測定対象に合わせた試料
を標準試料として用い、補正曲線を作成することができ
る。
【0050】このように、本態様によれば、試料のクエ
ンチングの影響を補正した正確なα線計数率及びβ線計
数率を求めることができる。
【0051】次に、本発明の第2態様について説明す
る。
【0052】図3は、本発明に係る液体シンチレーショ
ンカウンタの第2態様の構成を示す機能ブロック図であ
る。上記第1態様は、α線及びβ線の計数率を求めるた
めの構成であったが、この第2態様は、α線及びβ線の
エネルギースペクトルを、クエンチングの影響を補正し
て正確に求めるための構成である。図3においては、図
1の構成要素と同一の構成要素、あるいは図1の構成要
素に相当する構成要素には、図1と同一の符号を付し、
その説明を省略する。
【0053】この第2態様は、マルチチャネルアナライ
ザ部16及び演算処理部24の内部の構成のみが上記第
1態様と異なっている。すなわち、本態様では、マルチ
チャネルアナライザ部16が、第1波高分析部34及び
第2波高分析部36の2つの波高分析部から成り、演算
処理部24が弁別計数値演算部の代わりに弁別スペクト
ル演算部38を有している。なお、この第2態様のマル
チチャネルアナライザ部16及び演算処理部24は、ハ
ードウエア的には第1態様と同一のものでよく、この場
合機能上の相違はソフトウエアによって実現すればよ
い。
【0054】マルチチャネルアナライザ部16におい
て、第1波高分析部34は、増幅器12から出力された
検出パルスのエネルギースペクトルを求める。第1波高
分析部34の出力側は、クエンチング演算部26及び弁
別スペクトル演算部38に接続されている。すなわち、
本態様においても、上記第1態様同様クエンチング補正
を行うためにESCR法等により試料のクエンチング指
標値を測定する必要があるので、第1波高分析部34の
出力がクエンチング演算部26に与えられる構成となっ
ている。なお、クエンチング演算部26の動作は、第1
態様と同様である。また、第1波高分析部34の出力
は、α線及びβ線のエネルギースペクトルを求めるため
に、弁別スペクトル演算部38にも与えられる。
【0055】一方、第2波高分析部36は、パルス幅弁
別回路14から出力された閾値以上のパルス幅を有する
検出パルスのエネルギースペクトルを求める。この第2
波高分析部36の出力は、α線及びβ線のエネルギース
ペクトルを求めるために、弁別スペクトル演算部38に
与えられる。
【0056】弁別スペクトル演算部38では、まずクエ
ンチング演算部26で求められた試料のクエンチング指
標値に対応するα線及びβ線の弁別比率を、α線弁別比
率記憶部28及びβ線弁別比率記憶部30に格納された
各補正曲線のデータから求める。なお、各弁別比率記憶
部28及び30に格納される補正曲線のデータは、上記
第1態様と同様の方法で作成される。すなわち、各標準
試料について第2波高分析部36によって求められるエ
ネルギースペクトルから、閾値より大きなパルス幅を有
する検出パルスの総計数率が求められ、これを予め基準
装置で測定された所定の計数率で割る等の処理を行うこ
とによりα線弁別比率、又はβ線弁別比率が求められ
る。そして、各標準試料ごとについて求められたクエン
チング指標値と各弁別比率との相関関係を補間すること
により、各弁別比率記憶部28及び30に格納する補正
曲線が求められる。
【0057】そして、弁別スペクトル演算部38は、第
1波高分析部34及び第2波高分析部36からそれぞれ
エネルギースペクトルを受けとり、それらエネルギース
ペクトルの各チャネルごとの計数率について上記(1)
式及び(2)式と同様の連立方程式を解くことにより、
各チャネルごとのα線の計数率及びβ線の計数率を算出
する。すなわち、1つのチャネルについての第1波高分
析部34による計数率をAとし、第2波高分析部36に
よる同じチャネルについての計数率をBとして、これら
を上記(3)式及び(4)式に代入することにより、そ
のチャネルについてのα線とβ線の計数率をそれぞれ求
めることができる。そして、これをすべてのチャネルに
ついて行うことにより、α線のエネルギースペクトルと
β線のエネルギースペクトルが求められる。
【0058】以上説明したように、第2態様によれば、
試料のクエンチングの影響を補正してα線及びβ線のエ
ネルギースペクトルを正確に求めることができる。
【0059】なお、第2態様の説明においては、マルチ
チャネルアナライザ部16には第1波高分析部34と第
2波高分析部36の2つの波高分析部があるとしたが、
これは実際に2つの波高分析器を用意してもよいし、1
つの波高分析器を2つに分けて使用する構成としてもよ
い。また、1つの波高分析器を時分割して使用すること
により、2つの波高分析部と同等の動作を行わせる構成
とすることもできる。
【0060】なお、以上説明した第1態様及び第2態様
では、パルス幅弁別回路14の閾値として、従来装置に
おいてα線とβ線の弁別のために用いられていた値を用
いたが、本発明の演算方法は、原理的にはいかなる値を
閾値としても有効である。従って、そのような従来用い
られていた閾値に限らず、パルス幅弁別回路14におけ
る閾値の選択にはある程度の自由度がある。
【0061】また、第1態様及び第2態様では、検出パ
ルスのパルス幅が所定の閾値より大きいことをパルス幅
条件とする例を示したが、これに限らず、パルス幅条件
として他の条件を用いてもよい。他の条件としては、例
えばパルスディケイと閾値との大小関係等が挙げられ
る。
【0062】また、以上の説明では、パルス幅弁別回路
14のパルス幅弁別の閾値は固定であったが、この閾値
自体を測定対象試料のクエンチング指標値に応じて変え
ることにより、α線β線弁別計数の精度を向上させるこ
とも可能である。この場合、予めクエンチング指標値と
最適閾値との関係を、例えば図8に示す閾値補正曲線と
して求め、メモリに格納しておき、この閾値補正曲線か
ら求められる最適閾値を用いて弁別計数を行う。すなわ
ち、未知試料の測定においては、前述したように、まず
外部標準線源等を用いてクエンチング指標値を求める。
求められたクエンチング指標値は、前記α線及びβ線の
弁別比率を求めるのに用いられると共に、パルス幅弁別
の最適閾値を求めるのにも用いられる。つまり、メモリ
に記憶された閾値補正曲線から、そのクエンチング指標
値に対応する最適閾値が求められ、パルス幅弁別回路1
4に設定される。その後、未知試料自体の放射線の測定
を行い、最適閾値を用いたパルス弁別の結果(すなわ
ち、弁別計数部20の計数結果)に基づいて、α線及び
β線の弁別計数値の演算を行う。この場合、パルス幅弁
別回路14としては、ソフトウエアによる命令に応じて
ハードウエア的に閾値を変更できるものを用いる。
【0063】閾値補正曲線は、例えばcpm値が既知で
クエンチングの程度がそれぞれ異なるβ線標準試料のセ
ットを用いて、次の方法で作成する。
【0064】すなわち、まずβ線標準試料のクエンチン
グ指標値を求め、次にそのβ線標準試料について、パル
ス幅弁別回路14の閾値の設定を様々に変更しながらそ
れぞれの閾値についての弁別計数部20の計数結果を求
める。そして、その計数結果が当該β線標準試料の既知
cpm値に対して、予め定められた所定割合(この割合
は、特定の数値だけでなく、ある程度の広がりを有する
範囲とすることも可能である)となるときの閾値を求
め、この値を当該β線標準試料の当該クエンチング指標
値における最適閾値として記憶する。この作業を各β線
標準試料について行うことにより、図8に示すような閾
値補正曲線を作成することができる。なお、最適閾値の
判定基準となる前記所定割合は、装置の使用状態や経験
に従って決定する。その所定割合の具体的な値として
は、例えば(1±0.2)%の値を採用することもでき
る(この値は、β線の検出パルスが弁別計数部20にて
辛うじて計数される程度の設定である)。
【0065】このように最適閾値を定めれば、クエンチ
ングによる検出パルスの波形変化に対応して常に最適の
閾値が用いることができるので、弁別計数の精度を高め
ることができる。
【0066】なお、このようにパルス幅弁別の閾値をク
エンチング指標値に応じて変化させる場合には、α線弁
別比率記憶部28及びβ線弁別比率記憶部30の各補正
曲線も変える必要がある。すなわち、この場合クエンチ
ング指標値と弁別比率との相関関係を求める際に、各ク
エンチング指標値ごとに前記最適閾値を用いた場合の計
数結果に基づいて弁別比率を算出し、α線及びβ線の補
正曲線を作成する。
【0067】以上、図1及び図3の機能ブロック図に従
って、第1及び第2態様の構成及び動作について説明し
た。次に、図4を参照して、これら態様を実現する具体
的なハードウエア構成の一例を説明する。
【0068】図4において、試料100の両側の位置に
は、光電子増倍管(PMT)110a及び110bが設
けられている。PMT110a及び110bは、試料1
00から発せられたシンチレーション光を検出して、電
気的な検出パルスを出力する。なお、この図では、クエ
ンチング指標値を求めるのに用いる外部標準線源は図示
しない。
【0069】PMT110a及び110bの出力は、高
速同時計数回路112及びパルス加算回路114に入力
される。
【0070】高速同時計数回路112は、PMT自体の
熱雑音等の雑音成分を除去してシンチレーション光の検
出パルスだけを取り出すために、2つのPMTの出力が
同時に入力された場合にのみ、後述するマルチチャネル
アナライザ118に対して同時計数確認信号を出力す
る。
【0071】パルス加算回路114は、PMT110a
及び110bの出力を加算し、更にその加算結果を線形
増幅した出力を、パルス幅弁別回路116及びマルチチ
ャネルアナライザ118に出力する。パルス幅弁別回路
116は、パルス加算回路114から順次出力されるパ
ルスのパルス幅を所定のパルス幅閾値と比較することに
より、そのパルス幅閾値以上のパルス幅を有するパルス
のみを弁別し、マルチチャネルアナライザ118に出力
する。なお、パルス加算回路114及びパルス幅弁別回
路116では、同時計数を行っていないため、その出力
はPMTの雑音等を含んだものとなっている。
【0072】そこで、この構成では、マルチチャネルア
ナライザ118は、高速同時計数回路112から同時計
数確認信号が得られた場合にのみ、パルス加算回路11
4及びパルス幅弁別回路116からのパルス信号を受け
入れるように制御されている。従って、マルチチャネル
アナライザ118は、高速同時計数回路112から検出
パルスのタイミングに関する情報を受け取り、パルス加
算回路114及びパルス幅弁別回路116から検出パル
スの波高(エネルギー)に関する情報を受け取ることに
なる。そして、マルチチャネルアナライザ118は、パ
ルス加算回路114及びパルス幅弁別回路116から受
け入れられたパルス信号をエネルギーごとに弁別して計
数し、エネルギースペクトルを求める。この例では、マ
ルチチャネルアナライザ118は、パルス加算回路11
4とパルス幅弁別回路116の2つの出力についてそれ
ぞれ個別に計数を行い、それぞれについてエネルギース
ペクトルを求める。このため、この例では、マルチチャ
ネルアナライザ118の有する複数のチャネルを、パル
ス加算回路114用とパルス幅弁別回路116用の2つ
のチャネル群に分割し、それぞれのチャネル群でエネル
ギースペクトルを求めている。なお、これに限らず、パ
ルス加算回路114用とパルス幅弁別回路116用の2
つマルチチャネルアナライザを設ける構成や、あるいは
1つのマルチチャネルアナライザを時分割して、それぞ
れパルス加算回路114のため及びパルス幅弁別回路1
16のために用いる構成であってもよい。
【0073】このようにして求められたパルス加算回路
114及びパルス幅弁別回路116のそれぞれの出力に
ついてのエネルギースペクトルは、マイクロコンピュー
タ120に入力される。マイクロコンピュータ120で
は、入力されたエネルギースペクトルに基づき、上記第
1態様又は第2態様等において説明した演算処理を行
い、α線及びβ線の計数率、又はα線及びβ線のエネル
ギースペクトルを求める。
【0074】このハードウエア構成によれば、第1態様
及び第2態様の両方の動作を実現することができる。こ
れら上記態様の動作は、マイクロコンピュータ120に
おいて用いるソフトウエアにより実現され、ソフトウエ
アを変更すれば第1態様の動作と第2態様の動作とを切
り換えることもできる。なお、両態様の動作を同時に行
うようなソフトウエアを用いることも可能である。
【0075】また、この構成においては、上記態様にお
けるα線弁別比率記憶部28及びβ線弁別比率記憶部3
0は、マイクロコンピュータ120内のメインメモリに
構築される。すなわち、α線及びβ線のための補正曲線
は、マイクロコンピュータ120内のメインメモリ上に
作成及び記憶され、高速にアクセス可能となっている。
なお、このメインメモリ上の補正曲線データをディスク
等の外部記憶装置に格納することも可能である。
【0076】ソフトウエアによる上記態様の各機能の実
現の方法を第1態様を例にとって説明する。第1態様に
おけるマルチチャネルアナライザ部16内の通常計数部
18及び弁別計数部20は、図4の構成では、マルチチ
ャネルアナライザ118から出力された2つのエネルギ
ースペクトルについて、マイクロコンピュータ120が
それぞれ各チャネルの計数値を積算することによって実
現される。また、クエンチング演算部26や弁別計数演
算部32は、それぞれESCR法のアルゴリズムや前述
した(3)式及び(4)式の演算処理のアルゴリズムを
実現するプログラムをマイクロコンピュータ120で実
行することにより実現される。
【0077】また、上記第1態様及び第2態様を発展さ
せると、試料の放射能を、α線によるものとβ線による
ものとに弁別して求めることもできる。
【0078】この場合、α線及びβ線のそれぞれについ
て予め放射能補正曲線を作成しておく必要がある。α線
の放射能補正曲線を作成する場合は、前述した計数率の
補正曲線を作成する場合と同様、クエンチングの程度が
異なる複数のα線標準試料を用意する。ここで、各α線
標準試料は、放射能(例えば、Bq値)が既知であり、
かつ基準装置によって計数率が計測されており、試料容
器外面にそれら放射能及び計数率の値がバーコード等に
より表示されているものとする。なお、放射能補正曲線
作成の対象となる液体シンチレーションカウンタは、上
記基準装置に合わせて計数効率が予め調整されているも
のとする。
【0079】そして、放射能補正曲線作成時には、液体
シンチレーションカウンタは、α線標準試料のクエンチ
ング指標値を求めると共に、各α線標準試料の放射能及
び計数率の値を読取り、次式に従って計数効率を求め
る。
【0080】
【数3】 [計数効率] = [計数率(cps) ]/[放射能(Bq)] この式において、計数率及び放射能の単位は、cpmと
dpmの組み合わせでもよい。
【0081】そして、このようにして求められたクエン
チング指標値と計数効率とを互いに関連づけながら記録
し、この作業をすべてのα線標準試料について行うこと
により、α線についての放射能補正曲線が完成する。β
線についても、同様の操作を行うことにより、放射能補
正曲線を作成することができる。
【0082】そして、実際の試料のα線及びβ線の放射
能を求める際には、まずその試料のクエンチング指標値
を求め、このクエンチング指標値に対応するα線及びβ
線についての計数効率を各放射能補正曲線から求める。
そして、求められたα線及びβ線の計数効率と、第1態
様の方法で求めたα線計数率及びβ線計数率とを次式に
代入することによりα線及びβ線の放射能をそれぞれ求
めることができる。
【0083】
【数4】[放射能] = [計数率]/[計数効率] このように、本発明によれば、試料の放射能をα線とβ
線とに弁別して求めることもできる。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
試料のクエンチングの影響を補正しつつ、試料から発せ
られるα線とβ線の計数率をそれぞれ正確に求めること
ができる。
【0085】更に、本発明によれば、試料のクエンチン
グの影響を補正しつつ、試料から発せられるα線とβ線
のエネルギースペクトルをそれぞれ正確に求めることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る液体シンチレーションカウンタ
の第1態様の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】 補正曲線の一例を示す図である。
【図3】 本発明に係る液体シンチレーションカウンタ
の第2態様の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】 本発明に係る液体シンチレーションカウンタ
の具体的なハードウエア構成の一例を示すブロック図で
ある。
【図5】 α線及びβ線の検出パルスのパルス幅とパル
スディケイを説明するための図である。
【図6】 α線及びβ線の検出パルスのライズタイムを
説明するための図である。
【図7】 ESCR法を説明するための図である。
【図8】 閾値補正曲線の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 光電子増倍管(PMT)、12 増幅器、14
パルス幅弁別回路、16 マルチチャネルアナライザ
部、18 通常計数部、20 弁別計数部、22波高分
析部、24 演算処理部、26 クエンチング演算部、
28 α線弁別比率記憶部、30 β線弁別比率記憶
部、32 弁別計数値演算部、34 第1波高分析部、
36 第2波高分析部、38 弁別スペクトル演算部。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料から発せられたシンチレーション光
    を検出する光電子増倍管と、 前記光電子増倍管から出力される検出パルスのうち所定
    のパルス幅条件を満たすものを弁別して出力するパルス
    弁別手段と、 前記光電子増倍管からの検出パルスを計数する通常計数
    手段と、 前記パルス弁別手段から出力された検出パルスを計数す
    る弁別計数手段と、 前記試料のクエンチング指標値を求めるクエンチング測
    定手段と、 α線についての前記光電子増倍管の検出パルスのうち前
    記所定のパルス幅条件を満たすものの比率と試料のクエ
    ンチング指標値との相関関係を記憶するα線弁別比率記
    憶手段と、 β線についての前記光電子増倍管の検出パルスのうち前
    記所定のパルス幅条件を満たすものの比率と試料のクエ
    ンチング指標値との相関関係を記憶するβ線弁別比率記
    憶手段と、 前記α線弁別比率記憶手段及び前記β線弁別比率記憶手
    段から、前記クエンチング測定手段で求められたクエン
    チング指標値に対応するα線弁別比率及びβ線弁別比率
    をそれぞれ求め、これらα線弁別比率及びβ線弁別比率
    と、前記通常計数手段の計数値及び前記弁別計数手段の
    計数値とを用いて連立方程式演算を行うことにより、α
    線の計数値及びβ線の計数値を求める弁別計数値演算手
    段と、 を有することを特徴とする液体シンチレーションカウン
    タ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液体シンチレーション
    カウンタにおいて、 前記通常計数手段及び弁別計数手段は、検出パルスを波
    高分析してエネルギースペクトルを求める波高分析手段
    をそれぞれ有し、 前記弁別計数値演算手段は、エネルギースペクトルにお
    ける各エネルギーチャネルごとに、そのエネルギーの計
    数値を用いて前記連立方程式演算を行い、α線及びβ線
    のエネルギースペクトルをそれぞれ求めるエネルギース
    ペクトル演算手段を有することを特徴とする液体シンチ
    レーションカウンタ。
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