JPH09217668A - 低粘度油用の燃料噴射ノズル - Google Patents

低粘度油用の燃料噴射ノズル

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JPH09217668A
JPH09217668A JP4695896A JP4695896A JPH09217668A JP H09217668 A JPH09217668 A JP H09217668A JP 4695896 A JP4695896 A JP 4695896A JP 4695896 A JP4695896 A JP 4695896A JP H09217668 A JPH09217668 A JP H09217668A
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JP
Japan
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fuel injection
fuel
nozzle
injection nozzle
low
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JP4695896A
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English (en)
Inventor
Hideo Kawamura
英男 河村
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Isuzu Ceramics Research Institute Co Ltd
Original Assignee
Isuzu Ceramics Research Institute Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、耐磨耗性、耐摩擦性を向上させた
低粘度油用の燃料噴射ノズルを提供する。 【解決手段】 この燃料噴射ノズルは、油路55を形成
すると共に先端部に噴口57を備えた高強度のSi3
4 から成るノズル本体51、ノズル本体51の中空穴6
1を往復動して噴口57を開閉する高強度のSi3 4
から成る針弁52、及び針弁52の外面に配置された酸
化鉄を分散したセラミックスから成る被覆層54から構
成されている。ノズル本体51の高温ガスに曝される外
面には、低熱伝導性のSi3 4 から成る遮熱層56が
設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、灯油や植物油等の低
粘度油を噴射する燃料噴射ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車等に搭載されるエンジン
としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが開
発されているが、このようなエンジンの燃料としては、
ガソリンや軽油が使用されている。また、近年では、電
気エネルギー及び給湯を得るために、定置式のコージェ
ネレーションエンジンが開発されている。
【0003】従来、コージェネレーションエンジンから
成る発電装置として、エンジンに発電機を取り付けたシ
ステムが多かったが、ディーゼルエンジンによる発電で
は、ディーゼルエンジンが軽油を燃料とするため燃料コ
ストが高くなり、電力会社から供給される電力コストよ
りも高いものになり、コスト上、優位性を確保すること
ができないという問題がある。また、ガソリンエンジン
を用いて電力を得るには、コストが余りに高くなり過
ぎ、対応できない。例えば、コージェネレーションエン
ジンは、燃料としてガソリンや軽油を使用すると、燃料
費が高価になるので、天然ガスを燃料に使用している。
【0004】しかしながら、コージェネレーションエン
ジンにおいて、天然ガスを燃料として使用しても、天然
ガスの移送問題、或いは燃料コストにも問題がある。即
ち、コージェネレーションエンジンにおいて、天然ガス
を燃料として使用する場合には、天然ガスを液化するに
は高価になるので、コージェネレーションエンジンの設
置場所まで天然ガスをパイプラインを通じて移送するの
が最もコスト上、有効である。従って、市街地、都市部
等のように、多数の場所で天然ガスを消費する所では、
天然ガスを移送するためのパイプラインを敷設すること
もコスト上安価になるが、山間地或いは孤島等の天然ガ
スの移送に費用がかかる場所では、コージェネレーショ
ンエンジンに天然ガスを利用し、エンジンを駆動するの
に燃料コストが高いものとなる。
【0005】そこで、天然ガスよりも安価で且つ移送が
タンクローリ等で容易に行なえる灯油や植物油の燃料を
コージェネレーションエンジンにおいて利用することが
考えられる。しかしながら、灯油は、セタン価が軽油に
比較して小さく、またオクタン価がガソリンに比較して
小さく、燃え難く且つ気化もし難いものであり、しか
も、軽油やガソリンに比較して粘性が低いという性質を
有している。
【0006】近年、ディーゼルエンジンやガソリンエン
ジンに使用される燃料噴射ポンプは、益々高圧化(例え
ば、噴射圧力は、50Mpa→100Mpa→160M
pa)されており、コストも高価なものになっている。
ところが、灯油は、軽油や重油に比較して粘性が低いの
で、ディーゼルエンジンで使用しているような高圧燃料
噴射ポンプを使用することができない。即ち、燃料噴射
ポンプにおいて、燃料の粘性が低いと、燃料噴射ポンプ
や燃料噴射ノズルの送油、プランジャの摺動部に僅かな
隙間が存在すれば、燃料の漏洩が発生し、燃焼室に所定
量の燃料を噴射できないばかりでなく、燃料漏洩によっ
て危険性を伴うことになる。
【0007】また、灯油は、セタン価が20以下という
ように軽油に比較してセタン価が余り高くなく、またオ
クタン価が低く気化性が余り良くないので、自発火又は
点火や着火が難しく、灯油の着火燃焼が困難である。灯
油や植物油の燃料を効果的に燃焼させるためには、エン
ジンの燃焼室内部に流入する圧縮空気の温度が高い方が
良い。即ち、灯油を燃料とするエンジンでは、その熱効
率を高くするため、圧縮比が大きい方が良いが、燃料の
漏洩を防止することを考慮すると、燃料噴射ポンプの噴
射圧力を極力小さくした方が良い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、灯油等
を燃料とするディーゼルエンジンでは、灯油の粘性が軽
油等の粘性に比較して小さく、例えば、軽油が1.8〜
2.5cStであるのに対し、灯油が0.2cStであ
るので、特に、燃料に圧力がかかる燃料噴射ノズルの部
分からの漏洩が大きく、高圧縮するディーゼルエンジン
用の燃料噴射ポンプからの送油系を使用することは極め
て困難である。また、灯油の粘性が低いことは、摺動部
品での摩擦摩耗量が増加し、性能の低下をきたすおそれ
が多い。鉄鋼材を用いて作製した燃料噴射ノズルでは、
線膨張係数が大きく、弾性率が大きいので、加工時の変
形が発生して超高精度の加工精度を得ることができな
い。
【0009】一方、金属で作製した燃料噴射ノズルで
は、灯油のように粘性が小さい液体を潤滑油として用い
た場合に、摺動部材間の油膜が切断され易く、相対的に
互いに摺動する摺動部材同志の固体接触が起こり、早期
に摺動部材が摩耗するという現象が発生する。上記のよ
うな問題の他、灯油は気化性が良く、外部からの熱によ
ってノズル本体内で灯油が気化し、噴射の不安定性を増
大させることになる。そこで、コージェネレーションエ
ンジン等に灯油、植物油等の低粘度油を燃料として使用
した場合に、燃料噴射ノズルを如何に構成すれば、燃料
の漏洩が発生せず、耐摩擦性、耐摩耗性を向上できるか
の課題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、上記
の課題を解決することであり、線膨張係数が小さく、硬
度が大きく且つヤング率の高いセラミックスであるSi
3 4 によって構成し、変形に対する精度を向上させ、
特に、互いに相対摺動する摺動部材間、即ち、ノズル本
体と針弁との間に、Si3 4 中に微細なFe3 4
の酸化鉄を含有した材料が燃料との吸着膜を生成するこ
とに着眼し、前記材料を前記針弁にコーティングし、摺
動面のオイル吸着性を向上させて耐摩擦性や耐摩耗性を
向上させ、粘性の低い燃料でも且つ高圧噴射であったと
しても摺動部からの燃料の漏洩が発生するのを防止し、
更に、燃焼ガスに曝される部分にはTiO2 を含有する
Si3 4 から成る遮熱層を形成してノズル本体での燃
料の気化を防止して燃料を良好に且つ適正に噴射させ、
耐久性、信頼性を向上させた低粘度油用の燃料噴射ノズ
ルを提供することである。
【0011】この発明は、油路を形成すると共に先端部
に噴口を備えた高強度のセラミックスから成るノズル本
体、前記ノズル本体の中空部を往復動し且つ前記ノズル
本体のシート部に着座する先端部に弁フェースを備えた
高強度のセラミックスから成る針弁、及び前記針弁の外
面に配置された酸化鉄を分散含有したセラミックスから
成る被覆層、から構成した低粘度油用の燃料噴射ノズル
に関する。
【0012】また、この低粘度油用の燃料噴射ノズル
は、前記ノズル本体の高温ガスに曝される外面にTiO
2 を含有した低熱伝導性のSi3 4 から成る微細な気
孔を備えた多孔質セラミックスの遮熱層が設けられてお
り、燃焼室からの熱を燃料噴射ノズル内部へ伝達するこ
とがなく、燃料が気化や炭化することがない。
【0013】この低粘度油用の燃料噴射ノズルは、上記
のような構成を有するので、摺動部における前記被覆層
はオイル吸着性が良好にであり、摺動部におけるオイル
切れが発生せず、長期にわたって良好な摺動運動を可能
にし、耐摩擦性、耐摩耗性を向上し、耐久性、信頼性を
向上できる。また、前記ノズル本体の外周面に被覆され
た前記遮熱層によって、燃焼ガスからの熱が前記ノズル
本体へ遮断され、燃料が前記ノズル本体内で気化して前
記ノズル本体内で炭化することがなく、燃料が噴口から
燃焼室へ常に良好にスムースに噴射することができる。
【0014】また、この低粘度油用の燃料噴射ノズル
は、遮熱構造の燃焼室を構成する燃焼室構造体、及び燃
料供給源からの灯油や植物油の低粘度油を圧力の小さい
噴射圧で送り出す燃料噴射ポンプを有する遮熱形エンジ
ンにおいて、前記燃料噴射ポンプから送り出された前記
燃料を前記燃焼室に噴射させるように適用したものであ
る。更に、この低粘度油用の燃料噴射ノズルは、灯油や
植物油の低粘度油を燃料として使用する発電装置を備え
たコージェネレーションエンジンに適用されるものであ
る。
【0015】この低粘度油用の燃料噴射ノズルは、シリ
ンダヘッドに副室を設けると共に副室に燃料を噴射する
のに利用され、主室と副室とを連通する連絡孔に連絡孔
弁を配置し、副室内の圧力が小さい状態で副室にセタン
化の低い灯油や植物油の低粘度油を燃料として利用し、
主室で吸入空気のみを圧縮して圧縮比を高めると共に、
圧縮行程の終りに開弁して高温空気を副室に送り込むこ
とにより着火させ、副室内の筒内温度が低いエンジン始
動時にはTDC付近で燃料を噴射し、副室内の筒内温度
が高く成った定常運転ではTDC前で弁を開放して燃料
を噴射し、噴射された燃料が良好に着火燃焼するように
コントロールする灯油や植物油を燃料とする遮熱形エン
ジンに適用できるものである。
【0016】この低粘度油用の燃料噴射ノズルを適用し
た遮熱形エンジンは、例えば、シリンダヘッドに配置し
た遮熱構造の副室を構成する燃焼室構造体、前記副室と
シリンダ側に形成した遮熱構造の主室とを連通する連絡
孔、前記連絡孔を開閉するため圧縮行程終端付近で開弁
し且つ排気行程中間以降で閉弁する連絡孔弁、燃料供給
源からの灯油や植物油の燃料を圧力の小さい噴射圧で送
り出す燃料噴射ポンプ、前記燃料噴射ポンプからの燃料
を前記副室へ圧力の小さい噴射圧で供給する燃料噴射ノ
ズル、前記シリンダヘッドに形成した吸排気ポートを開
閉する吸排気弁、前記シリンダ内を往復動するピスト
ン、及びエンジン定常運転時には前記連絡孔弁が閉鎖し
た後の排気行程中間から圧縮行程初期付近までの期間に
前記燃料噴射ポンプから送られた燃料を前記燃料噴射ノ
ズルから前記副室内に噴射する制御を行うコントローラ
から構成されている。
【0017】また、前記コントローラは、エンジン始動
時に応答して圧縮行程初期から前記連絡孔弁の開き始め
に継続して圧縮行程終端までの期間に前記燃料噴射ノズ
ルから前記副室内に燃料を噴射する制御を行なうもので
ある。
【0018】また、この遮熱形エンジンでは、セタン価
10以下でオクタン価20以下の燃料でも燃焼させるこ
とができる。更に、前記燃料噴射ノズルは前記連絡孔に
向かって燃料を噴射するように設定され、前記副室はシ
リンダ中央に配置され、前記副室構造体に形成された前
記連絡孔には前記副室から前記主室への火炎が前記シリ
ンダ周辺部へ放射状に噴出するようにガイド溝が形成さ
れている。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
による遮熱形エンジンの実施例を説明する。図1は、こ
の発明による低粘度油用の燃料噴射ノズルの一実施例を
示す断面図である。この低粘度油用の燃料噴射ノズル5
は、主として、シリンダヘッド等に固定されたノズル本
体51、ノズル本体51の先端部に設けた噴口57を形
成したノズルチップ58、及びノズル本体51の中空穴
61内を摺動リフトする針弁52から構成されている。
ノズル本体51には、燃料噴射ポンプからの灯油、植物
油等の低粘度油が送り込まれる油路55、燃料が溜めら
れる燃料溜まり59及び針弁52の弁フェース53が着
座するシート部62が形成されている。ノズルチップ5
8には、サックホール60が形成される部位に複数の噴
口57が形成されている。
【0020】この燃料噴射ノズル5は、ノズル本体51
が高強度のセラミックスから作製されると共に、針弁5
2が高強度のセラミックスから作製されている。この実
施例では、ノズル本体51と針弁52を構成するセラミ
ックスは、Si3 4 が基材として構成されている。こ
の燃料噴射ノズル5において、特に、針弁52の摺動部
を構成する外周面及び弁フェース53を構成する当接面
には、Fe3 4 等の酸化鉄を分散含有したSi3 4
から成る被覆層54がコーティングされていることであ
る。更に、ノズル本体51の高温ガスに曝される外面に
は、TiO2 を含有した低熱伝導性のSi3 4 から成
る遮熱層56が被覆されていることである。
【0021】この燃料噴射ノズル5は、上記のように、
ノズル本体51と針弁52を構成する基材がSi3 4
から構成されているので、両者が線膨張係数がほとんど
同一であり、耐熱衝撃性も高く、バランスの良好な構造
を提供できる。また、針弁52の摺動部の外周面と弁フ
ェース53の当接面との外面に、被覆層54を形成する
には、Si3 4 とFe2 3 との粉末を混合したスラ
リーを針弁52の外面に塗布して含浸し、1800℃程
度で焼結することによって針弁52の外面に酸化鉄を分
散含有したSi3 4 から成る複合構造の被覆層54を
形成するとができる。上記スラリーには、Al2 3
2 3 を添加剤として加える。また、ノズル本体51
の燃焼ガスに曝される外面に遮熱層56を形成するに
は、ノズル本体51の外面にTiO2 とSi3 4 との
粉末を混合したスラリーを塗布して含浸し、1400℃
程度で焼結することによってノズル本体51の外面に遮
熱層56を形成することができる。
【0022】次に、図2及び図3を参照して、この低粘
度油用の燃料噴射ノズルを組み込んだエンジンの実施例
について説明する。図2はこの発明による低粘度油用の
燃料噴射ノズルを組み込んだ遮熱形エンジンの一実施例
を示す説明図、及び図3は図2の遮熱形エンジンの吸気
弁、排気弁及び連絡孔弁の開閉タイミングと燃料噴射ノ
ズルの燃料噴射タイミングを示す線図である。
【0023】この燃料噴射ノズル5を組み込んだ遮熱形
エンジンは、シリンダブロック14にシリンダヘッド7
が固定され、シリンダヘッド7に形成したキャビティ1
9に遮熱構造の副室2を構成する燃焼室構造体3が配置
され、シリンダヘッド7に形成したキャビティ9に遮熱
構造の主室1を構成するヘッドライナ10が配置されて
いる。この遮熱形エンジンは、シリンダブロック14に
配置されたシリンダライナ22、シリンダ8内を往復運
動するピストン15、及び主室1と副室2とを連通する
燃焼室構造体3とヘッドライナ10とに跨がって形成さ
れた連絡孔13を有している。また、ピストン15は、
ピストンヘッド16とピストンスカート17から構成さ
れている。
【0024】この遮熱形エンジンにおいて、ヘッドライ
ナ10は、シリンダ8の一部を構成するライナ上部12
とヘッド下面部11から構成されている。シリンダヘッ
ド7のキャビティ9とヘッドライナ10の外面との間に
は、ガスケット33を介在すると共に、遮熱空気層26
が形成され、主室1が遮熱構造に構成されている。ま
た、シリンダヘッド7のキャビティ19の壁面と燃焼室
構造体3の外面との間には遮熱空気層21が形成され、
副室2が遮熱構造に構成されている。
【0025】ヘッド下面部11には、燃焼室構造体3が
嵌合固定されている。燃焼室構造体3は、シリンダヘッ
ド7のキャビティ19に嵌合され、燃焼室構造体3に形
成された連絡孔13は、ヘッドライナ10に形成された
連絡孔13と連通し、連絡孔13が主室1と副室2とを
連通している。燃焼室構造体3に形成される副室2は、
シリンダ8の中央部に配置されている。ヘッド下面部1
1には、シリンダヘッド7に形成した吸気ポート31と
排気ポート32に連通するポート39,40がそれぞれ
形成され、ポート40には吸気弁29が配置され、ポー
ト39には排気弁30が配置されている。
【0026】この遮熱形エンジンでは、燃料としてセタ
ン価10以下でオクタン価20以下の灯油や植物油の低
粘度油を燃料として使用できる。低粘度油は、燃料供給
源に収容され、該燃料供給源から燃料が燃料供給ポンプ
25によって燃料供給路18を通じて燃料噴射ノズル5
へ供給される。燃料噴射ノズル5は、副室2に燃料を噴
射するように設けられ、連絡孔13に向かって燃料を噴
射するように設定されている。燃料供給ポンプ25は、
電磁送油ポンプに構成でき、コントローラ20の指令で
燃料噴射タイミングがコントロールされるように構成で
きる。この遮熱形エンジンは、燃料供給量を測定してエ
ンジン負荷を検出する負荷センサ27、エンジン回転数
を検出する回転センサ36、副室2の壁温を検出する温
度センサ28等のセンサを有している。コントローラ2
0には、上記各種センサからの検出信号が入力され、エ
ンジン作動状態に対応した適正な燃料を副室2へ供給す
ると共に、検出信号に応答して燃料噴射タイミングを制
御し、燃費を向上させるように構成されている。また、
燃料噴射ノズル5は、電磁力で開閉される電磁駆動装置
を有し、コントローラ20によって始動時や定常運転
時、或いは、燃焼室の温度、エンジン負荷及びエンジン
回転数に応じて噴射期間が決定されるように構成されて
いる。
【0027】この遮熱形エンジンは、主室1と副室2と
を連通する連絡孔13を開閉するため連絡孔13に連絡
孔弁4が配置されている。連絡孔弁4、吸気弁29及び
排気弁30は、エンジンの回転に同期して回転するカム
等から成る動弁機構でされる。連絡孔弁4は、コントロ
ーラ20の指令で電磁駆動装置による電磁力によって開
閉作動するように構成することもできる。燃料噴射ノズ
ル5は、噴射された燃料が壁面に付着するのを避けるた
め、連絡孔13に向かって燃料を噴射するように設定さ
れている。副室2はシリンダ中央に配置され、連絡孔1
3には、副室2から主室1への火炎がシリンダ周辺部へ
噴出するようにガイド溝6が形成されている。
【0028】この遮熱形エンジンは、上記のように構成
されており、次のように作動される。この遮熱形エンジ
ンは、図3に示すように、吸入行程、圧縮行程、膨張行
程及び排気行程の4つの行程を順次繰り返すことによっ
て作動されるものである。図3に示すように、吸気弁2
9及び排気弁30の開閉タイミングに対してエンジン作
動状態に応じて連絡孔弁4の開閉タイミングと燃料噴射
ノズル5の燃料噴射タイミングとを最適タイミングに設
定されている。この遮熱形エンジンは、主室1と副室2
とを連通する連絡孔13を開閉するため、圧縮行程終端
付近で開弁し且つ排気行程中間で閉弁する連絡孔弁4を
副室2を貫通して連絡孔13に配置し、コントローラ2
0によって、エンジン始動時には、燃料噴射ノズル5か
ら燃料を副室2内に圧縮行程初期から連絡孔弁4の開き
始めに継続して圧縮行程終端までの期間に噴射し、ま
た、エンジン定常運転時には、燃料噴射ノズル5から副
室2内に連絡孔弁4が閉鎖した後の排気行程中間から圧
縮行程初期付近までの期間に噴射するように制御される
ことである。また、燃料供給ポンプ25は、粘性の小さ
い低粘度油を燃料とするので、燃料が隙間から漏洩する
のを避けるため、噴射圧力は10Mpa以下と低く設定
されており、近年、排気ガスの清浄化対策として用いら
れている高価な高圧燃料噴射ポンプを用いなくとも清浄
な排気ガスが得られる。
【0029】エンジン始動時には、副室2の壁面温度が
低く、その状態で燃料噴射ノズル5から副室2に燃料を
噴射すると、燃料噴射は壁面に付着する恐れがあるの
で、連絡孔弁4の開弁時に近い時期に燃料噴射タイミン
グを設定することが好ましい。そこで、コントローラ2
0は、エンジン始動時であることに応答して、予め設定
されている副室2への燃料噴射タイミングで燃料噴射ノ
ズル5を制御する。
【0030】エンジン始動時には、吸入行程では吸気弁
29が吸気ポート31を開放して主室1に空気が吸入さ
れ、連絡孔弁4によって連絡孔13を閉鎖した状態であ
る。次いで、圧縮行程に移行するが、圧縮行程初期から
コントローラ20の指令によって燃料供給ポンプ25の
作動で燃料噴射ノズル5が副室2へ灯油や植物油の燃料
の噴射を開始する。燃料噴射ノズル5から副室2への燃
料の噴射は、連絡孔弁4に向かって噴射され、圧縮行程
終端付近で連絡孔弁4が開弁し始めるが、その開き始め
に継続して圧縮行程終端付近で終了する。副室2内に噴
射された燃料噴射はその噴射力で霧化状態を持続した状
態であって壁面に付着することなく、連絡孔弁4が開弁
すると、主室1で圧縮された圧縮空気が連絡孔13を通
じて副室2内へ流入し、燃料噴射は圧縮空気と良好に混
合を促進して着火燃焼し、副室2内の圧力が上昇する。
副室2内の火炎及び混合ガスは連絡孔13を通じて噴出
して膨張行程に移行し、そこで、ピストン15は仕事し
て膨張行程が終了する。次いで、排気弁30が開弁して
排気ポート32が開放し、排気行程に移行して排気ポー
ト32を通じて燃焼ガスが排気され、連絡孔弁4が連絡
孔13を閉鎖する。次いで、吸気弁29が開弁して吸気
ポート31が開放し、吸入空気が主室1へ導入される。
【0031】エンジンの運転状態が安定すると、副室2
の壁面温度が上昇し、副室2に噴射された燃料噴射は、
壁面から熱を吸収し、壁面に付着することなく活性化し
て良好な霧化状態を維持形成できる。そこで、コントロ
ーラ20は、エンジン定常運転時であることに応答し
て、予め設定されている副室2への燃料噴射タイミング
で燃料噴射ノズル5を制御する。
【0032】エンジン定常運転時には、膨張行程でピス
トン15は仕事して終了し、次いで、排気弁30が開弁
して排気ポート32が開放し、排気行程に移行して排気
ポート32を通じて燃焼ガスが排気され、連絡孔弁4が
連絡孔13を閉鎖する。連絡孔弁4が連絡孔13を閉鎖
した排気行程中間において、コントローラ20は燃料噴
射ノズル4から副室2へ燃料噴射を開始する。次いで、
吸気行程に移行し、吸気弁29が開弁して吸気ポート3
1が開放され、吸入空気が主室1へ導入される。吸入行
程では燃料噴射ノズル4から副室2への燃料噴射は継続
され、副室2内へ所定量の燃料を噴射し、圧縮行程初期
近傍で燃料噴射は終了する。次いで、圧縮行程に移行す
るが、圧縮行程において副室2内の燃料噴射は副室2の
壁面から熱エネルギーを吸収し、燃料噴射は活性化して
霧化状態が良好に維持される。圧縮行程終端付近で連絡
孔弁4が開弁し、副室2内の活性化された燃料噴射は主
室1で圧縮された圧縮空気が連絡孔13を通じて副室2
内へ流入することで圧縮空気と良好に混合を促進して着
火燃焼し、副室2内の圧力が上昇する。副室2内の火炎
及び混合ガスは連絡孔13を通じて噴出して膨張行程に
移行し、そこでピストン15は仕事して膨張行程が終了
する。次いで、排気弁30が開弁して排気ポート32が
開放され、排気行程に移行して排気ポート32を通じて
燃焼ガスが排気され、連絡孔弁4が連絡孔13を閉鎖す
る。
【0033】
【発明の効果】この発明による低粘度油用の燃料噴射ノ
ズルは、上記のように、ノズル本体の中空穴の壁面と針
弁の外面に固着させたFe3 4 層が燃料と吸着皮膜を
作り、その化学反応性が強く、摩擦係数が小さく成り且
つ両者間にオイル吸着性に富んだ被覆層が存在するの
で、摺動部におけるオイル切れが発生せず、摺動特性を
向上させて耐摩耗性向上でき、摩擦係数を小さくさせる
ことができる。また、ノズル本体が高温の燃焼ガスに曝
されたとしても、ノズル本体の外面の遮熱層の存在によ
って燃焼ガスからノズル本体内への熱の伝導が遮断さ
れ、燃料がノズル本体内で気化することがなく、燃料が
適正に且つスムースに噴口から噴射される。
【0034】また、この燃料噴射ノズルを用いれば、セ
タン価10以下でオクタン価20以下の灯油や植物油の
低粘度油を燃料として使用することができ、該燃料をエ
ンジン作動に応じて効果的に燃焼させることができ、灯
油や植物油の低粘度油を燃料とするエンジンを成立させ
る。また、この燃料噴射ノズルを組み込んだ遮熱形エン
ジンは、燃料を連絡孔弁で閉鎖された副室に噴射するよ
うに構成すれば、燃料供給ポンプの噴射圧力を大きくす
る必要がない。遮熱形エンジンは、副室に燃料を供給す
る燃料ポンプを高圧にする必要がなく、噴射ノズルも低
圧用の使用でよく、エンジンそのものが低コストで製造
でき、しかも灯油がガソリン、軽油、天然ガスに比較し
て低コストであるので、ランニングコストを低くでき
る。また、灯油自体の移送もタンクローリ等を利用でき
るので、山間僻地にコージェネレーションエンジンを設
置したとしても、燃料を簡単に移送できる。それ故に、
この燃料噴射ノズルを組み込んだ遮熱形エンジンを、発
電装置のコージェネレーションエンジンに利用して安価
な電力を容易に供給するとができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による低粘度油用の燃料噴射ノズルの
一実施例を示す断面図である。
【図2】この発明による低粘度油用の燃料噴射ノズルを
組み込んだ遮熱形エンジンの一実施例を示す説明図であ
る。
【図3】図2の遮熱形エンジンの吸気弁、排気弁及び連
絡孔弁の開閉タイミングと燃料噴射ノズルの燃料噴射タ
イミングを示す線図である。
【符号の説明】
5 燃料噴射ノズル 51 ノズル本体 52 針弁 53 弁フェース 54 被覆層 55 油路 56 遮熱層 57 噴口 62 シート部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油路を形成すると共に先端部に噴口を備
    えた高強度のセラミックスから成るノズル本体、前記ノ
    ズル本体の中空部を往復動し且つ前記ノズル本体のシー
    ト部に着座する先端部に弁フェースを備えた高強度のセ
    ラミックスから成る針弁、及び前記針弁の外面に配置さ
    れた酸化鉄を分散含有したセラミックスから成る被覆
    層、から構成した低粘度油用の燃料噴射ノズル。
  2. 【請求項2】 前記ノズル本体を構成するセラミックス
    はSi3 4 で構成されている請求項1に記載の低粘度
    油用の燃料噴射ノズル。
  3. 【請求項3】 前記針弁を構成するセラミックスはSi
    3 4 で構成されている請求項1又は2に記載の低粘度
    油用の燃料噴射ノズル。
  4. 【請求項4】 前記ノズル本体の高温ガスに曝される外
    面には、TiO2 を含有した低熱伝導性のSi3 4
    ら成る遮熱層が設けられている請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の低粘度油用の燃料噴射ノズル。
  5. 【請求項5】 遮熱構造の燃焼室を構成する燃焼室構造
    体、及び燃料供給源からの灯油や植物油の低粘度油を圧
    力の小さい噴射圧で送り出す燃料噴射ポンプを有する遮
    熱形エンジンにおいて、前記燃料噴射ポンプから送り出
    される前記燃料を送油するプランジャ又はプランジャの
    摺動する部位を酸化鉄を分散含有したセラミックスから
    成る材料にて構成した請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の低粘度油用の燃料噴射ノズル。
  6. 【請求項6】 灯油や植物油の低粘度油を燃料として使
    用する発電装置を備えたコージェネレーションエンジン
    に適用される請求項1〜5のいずれか1項に記載の低粘
    度油用の燃料噴射ノズル。
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