JPH09217068A - 炭化水素の熱分解管 - Google Patents

炭化水素の熱分解管

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JPH09217068A
JPH09217068A JP2248396A JP2248396A JPH09217068A JP H09217068 A JPH09217068 A JP H09217068A JP 2248396 A JP2248396 A JP 2248396A JP 2248396 A JP2248396 A JP 2248396A JP H09217068 A JPH09217068 A JP H09217068A
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pipe
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groove
pyrolysis
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Kenzo Fujii
憲三 藤井
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オレフィンの収率が高く、熱分解管内へのコ
ークス析出が少なく、連続運転可能な期間が長く、熱分
解装置全体の操業率を向上できる炭化水素の熱分解に供
せられる熱分解管を提供すること。 【解決手段】 炭化水素の熱分解管30において、管内
面に半円弧状の凹凸を連続させて波形をなす 5〜10個の
溝33を管の長手方向に沿って形成し、その溝33と管
の長手方向とがなす角度を、 管の長手方向の入口側区
分31と出口側区分32において、0〜20度の範囲内で
異なる角度α1、α2に設定した。また、入口側区分31
の角度α1を出口側区分32の角度α2よりも大きくし、
入口側区分31と出口側区分32を管の入口から50〜80
%の区間内で分割した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素の熱分解
によりエチレン、プロピレン、その他の有用なオレフィ
ンを製造するために好適な炭化水素の熱分解管に関す
る。
【0002】
【背景技術】一般に、炭化水素の熱分解によるオレフィ
ンの製造には、熱分解管を内蔵した熱分解炉を用い、炭
化水素を 800〜950℃ に昇温して熱分解した後、急冷す
る方法が採用されている。この場合、熱分解管内の流体
への伝熱効率を高めるため、熱分解管の内面や外面にフ
ィンあるいは隆起部を設けたり、管を楕円形にする等種
々の工夫がなされている。また、オレフィンの収率、特
に有用なエチレンの収率の向上を図るため、熱分解管内
での滞留時間を短くし、かつ、可及的速やかに冷却する
等の工夫がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、反応条
件を厳しくして転化率を向上させようとすれば、熱分解
管内への生成コークスの付着が著しくなり、この付着コ
ークスの除去操作を頻繁に行う必要が生じ、いずれにし
ても従来は、熱分解方法全体の効率を向上させることの
できる熱分解管の開発が望まれていた。
【0004】そこで、本出願人は、先に、このような要
望を満足させることができる熱分解管を提案した(特公
平3-23587号公報,特公平4-47719号公報)。これを、図
2〜図4を参照しながら説明する。図2に示すように、
熱分解炉10はバーナ12を有するとともに、複数本、
例えば12本の直管式熱分解管14を備えている。これ
らの熱分解管14の入口側は入口ヘッダ16により連結
されるとともに、出口側は出口ヘッダ18により各4本
つづ連結され、入口ヘッダ16には原料供給管20が、
各出口ヘッダ18には炉外においてそれぞれ急冷器22
が接続されている。
【0005】前記原料供給管20には炭化水素および水
蒸気が供給され、これらの原料は供給管20に設けられ
た予熱器24,26によりそれぞれ予熱された後に入口
ヘッダ16に供給されるようになっている。前記各熱分
解管14の横断面は、図3に示されるように、熱分解管
14内面の形状が半円弧状の凹凸を連続させて波形をな
す複数条の溝14Aを有し、これらの各溝14Aは、図
4に示されるように、管長手方向に所定の傾斜角度α、
ピッチPのらせん状に形成されている。
【0006】このような形状の熱分解管14の具体的な
構成は、材質がニッケル・クロム合金のASTM規格HPか
らなり、外径D0=47.6mm 、溝底部間直径d1=32.35mm
、凸部間直径d2=23.1mm とされ、従って、平均内径
d=27.7mm、溝深さh=4.62mm、最小肉厚t=7.63mmと
され、また、溝数8、溝傾斜角度α=10度、溝ピッチP
=494mm 、各直管式熱分解管長さL(図2参照)=11m
とされている。なお、溝ピッチPは、次式より求めるこ
とができる。
【0007】πd/P=tanα,d=(d1+d2)/2 〔α:溝傾斜角度(deg),P:ピッチ(mm),d:管
の平均直径(mm),d1:溝底部間直径(mm),d2:凸
部管直径(mm)〕
【0008】ここにおいて、平均内径dとは、熱分解管
14の外径D0から肉厚の最大(t+h)、最小(t)
の平均値の2倍を引いた値、もしくは、溝底部間直径d
1 と凸部間直径d2 との平均値をいう。なお、実測内円
周S=124mm と平均内径円周C=π・d=86.978 とか
ら拡面率S/Cを計算すると、S/C=1.426 となり、
原料の接触面積が大幅に増加していることがわかる。
【0009】このような熱分解管14を12本用いて熱分
解を行った。原料として、表1に示す性状のナフサ、バ
キューム・ガスオイル(減圧軽油)、水添脱硫ガスオイ
ルを用いた。各原料毎の熱分解条件は表2に示すとおり
である。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】このような条件で熱分解を続けることによ
り、熱分解管14内にコーキングが生じ、管内の圧力損
失が増大し、かつ、熱分解管14の伝熱効果が低下して
熱分解管14の外表面温度が上昇した。この温度が1092
℃に達したところで熱分解を中断し、デコーキングを行
い、熱分解管14による各原料毎の熱分解生成物の収率
を調べたところ、表3に示すような結果が得られた。
【0013】
【表3】
【0014】また、熱分解管14とは別に、外径39.9mm
、内径26.9mm の内外径同芯の平滑円管を用意し、同様
にして熱分解生成物の収率を調べた。この結果を表3に
示す。これらの結果により、らせん状の溝14Aを備え
た熱分解管14を用いれば、オレフィン特にエチレンの
収率を向上できることが判った。
【0015】さらに、溝14Aを備えた熱分解管14に
関して、熱分解管の外表面温度の限界と、熱分解管内の
圧力損失とは相関関係があるので、圧力損失の増大の特
定値を以て熱分解中断の目安とし、この特定値を用いた
場合の熱分解の連続運転可能な期間を求めた。これを表
4に示す。
【0016】
【表4】
【0017】平滑円管を用いた場合の連続運転可能な期
間が13日であったのに対して、熱分解管14の場合は20
日以上と長期間であり、コーキングを著しく抑制するこ
とができ、熱分解装置全体の操業率が向上されている。
【0018】そして、表1の性状のナフサを原料炭化水
素とし、熱分解条件を同一としかつ同様な熱分解生成物
の収率を得るよう運転した場合について、熱分解管14
の溝傾斜角度αをパラメータとした圧力損失と連続運転
可能な期間を表5に示す。この結果、熱分解管14の溝
14Aにおけるらせんの管14長手方向に対する傾斜角
度αは、圧力損失、連続運転可能な期間の観点から5〜2
0度とすることが好ましいことがわかった。
【0019】
【表5】
【0020】このように、熱分解管14においては、伝
熱効率を高めて原料の分解を促進してオレフィンの収率
の向上およびコーキング速度の低下を図るためには溝1
4Aの傾斜角度αを比較的大きくすることが好ましく、
一方で、圧力損失を低く抑えて供給量を増加させるため
には傾斜角度αをある程度小さくすることが好ましいこ
とが示されている。しかし、これらは相反するため、両
方を考慮して傾斜角度αを決定すると、各々の目的を十
分に達成することができないという問題があった。
【0021】本発明の目的は、オレフィンの収率が高
く、熱分解管内へのコークス析出が少なく、連続運転可
能な期間が長く、熱分解装置全体の操業率を向上できる
炭化水素の熱分解に供せられる熱分解管を提供すること
にある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の炭化水素の熱分
解管は、ナフサ乃至重質軽油を 800〜950℃ に昇温しつ
つ熱分解させてオレフィンを製造する際に用いられる炭
化水素の熱分解管において、その平均内径が 15〜45mm
であり、かつ、管内面の形状が横断面において半円弧状
の凹凸を連続させて波形をなす 5〜10個の溝を有し、こ
れらの溝は、管の長手方向に沿って形成され、その溝と
管の長手方向とがなす角度が、 0〜20度で、かつ、管の
長手方向の少なくとも二以上の分割区分において異なる
角度に設定されていることを特徴とする。ここで、溝と
管の長手方向とがなす角度が 0度の区分においては、溝
は管の長手方向と平行となる。
【0023】このように、溝と管の長手方向との角度を
各区分でそれぞれに設定することで、管の長手方向にお
いて、伝熱効率の高められる比較的大きい角度の区分
と、圧力損失を低減できる比較的小さい角度の区分とを
混在させることが可能となる。従って、比較的大きい角
度の区分により炭化水素の熱分解を促進できるようにな
るので、オレフィンの収率を向上できるとともに、コー
クスの生成を抑制でき、連続運転可能な期間を長くでき
る。また、比較的小さい角度の区分により、管内の圧力
損失を低く抑えられるので、炭化水素の供給量を増加さ
せることができる。これらにより、熱分解装置全体の操
業率を飛躍的に向上させることができる。
【0024】また、溝と管の長手方向との角度が 0〜20
度の範囲内とされ、比較的小さいため、熱分解管内での
圧力損失を管全体で小さく抑えることができ、炭化水素
の供給量を一定以上に保つことができる。
【0025】さらに、管の入口側と出口側の二つの分割
区分に分割され、管の入口側の分割区分における溝と管
の長手方向とがなす角度は、管の出口側の分割区分にお
ける前記溝と管の長手方向とがなす角度よりも大きいこ
とが望ましい。
【0026】これによれば、管の入口側の区分の内表面
積が出口側の区分よりも大きくなるため、入口側の区分
の伝熱効率を高められるようになる。従って、管内に導
入された炭化水素を速やかに加熱でき、熱分解を一層促
進できるようになるので、オレフィン収率をより高める
ことができるとともにコーキング速度を確実に低下させ
ることができる。
【0027】加えて、出口側の区分の溝と管の長手方向
との角度は、入口側の区分よりも小さいため、管全体の
圧力損失をより確実に低下させることが可能となり、原
料の供給量を増加させることができる。なお、この効果
は、入口側の分割区分における角度を出口側の分割区分
よりも小さくした場合よりも顕著である。
【0028】そして、入口側の分割区分における溝と管
の長手方向とがなす角度に対する出口側の分割区分にお
ける溝と管の長手方向とがなす角度の比が 0〜0.8 であ
ることが望ましい。ここで、角度の比 0 とは、出口側
の区分における溝と管の長手方向とがなす角度が 0度の
場合である。このようにすることで、溝と管の長手方向
とがなす角度を異ならせたことによる効果を一層確実に
発揮できるようになり、オレフィン収率の向上および連
続運転期間の長期化が一層図られる。
【0029】管の入口側の分割区分と出口側の分割区分
とは、管の長手方向において入口から 50〜80% の区間
内で分割されていることが望ましい。このようにすれ
ば、各分割区分が、管の長手方向において十分な長さを
もって形成されるようになり、各分割区分における溝と
管の長手方向とがなす角度による効果が確実に得られ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】図1に示す本実施形態の熱分解管
30は、図3および図4の従来の熱分解管14と略同様
な構成を備え、溝と管の長手方向との角度が異なるのみ
であるので、詳しい説明は省略し、以下には異なる部分
のみを詳述する。熱分解管30は、管の長手方向におい
て、入口から 50〜80% の区間内で入口側区画31と出
口側区画32とに二分割されている。熱分解管30内に
は、図3および図4の溝14Aと略同寸法形状の溝33
がその長手方向に沿って形成されている。入口側区間3
1および出口側区間32において、 これらの溝33と
管の長手方向とがなす角度は、0〜20度の範囲内で異な
る角度α1,α2とされている。
【0031】管の入口側区分31における溝33Aと管
の長手方向とがなす角度α1は、管の出口側区分32に
おける溝33Bと管の長手方向とがなす角度α2よりも
大きく、入口側区分31における角度α1に対する出口
側区分32における角度α2の比は 0〜0.8 (α2/α1
=0〜0.8)とされている。このような熱分解管30は、
溶融金属の固化前に捩じりを施すことによって製作され
た溶造管等により構成できる。
【0032】このような本実施形態によれば、以下のよ
うな効果がある。すなわち、管の長手方向において、溝
33と管の長手方向との角度α1が比較的大きい入口側
区分31と比較的小さい角度α2の出口側区分32とを
混在させたので、入口側区分31で伝熱効率を高め、出
口側区分32で熱分解管30内の圧力損失を低減させる
ことができる。従って、入口側区分31により炭化水素
の熱分解を促進できるようになるので、オレフィンの収
率を十分に向上できるとともに、コークスの生成を抑制
でき、連続運転可能な期間を長くできる。また、出口側
区分32により、管内の圧力損失を低く抑えることがで
きるので、炭化水素の供給量を増加させることができ
る。これらにより、熱分解装置全体の操業率を飛躍的に
向上させることができる。
【0033】さらに、溝33と管の長手方向との角度α
1,α2を 0〜20度の範囲内としたので、熱分解管30内
での圧力損失を小さく抑えることができ、炭化水素の供
給量を一定以上に保つことができる。
【0034】さらに、熱分解管30を入口側区分31と
出口側区分32の二つの分割区分に分割し、入口側区分
31における溝33Aと管の長手方向とがなす角度α1
を、出口側区分32における溝33Bと管の長手方向と
がなす角度α2よりも大きくしたため、入口側区分31
の内表面積を出口側区分32よりも大きくでき、入口側
区分31の伝熱効率を高めることができる。従って、管
内に導入された炭化水素を速やかに加熱でき、熱分解を
一層促進できるようになるので、オレフィン収率の一層
の向上を図ることができるとともにコーキング速度を確
実に低下させることができる。
【0035】加えて、出口側区分32における角度α2
は、入口側区分31における角度α1よりも小さいた
め、管全体の圧力損失をより確実に低下させることが可
能となり、原料の供給量を増加させることができる。な
お、この効果は、入口側区分31における角度α1を出
口側区分32の角度α2よりも小さくした場合よりも顕
著である。
【0036】そして、入口側区分31における角度α1
に対する出口側区分32における角度α2の比、すなわ
ち、α2/α1を 0〜0.8 としたため、熱分解管30にお
いて溝33と管の長手方向とがなす角度を異ならせたこ
とによる効果を一層確実に発揮できるようになり、オレ
フィン収率の向上および連続運転期間の長期化が一層図
られるうえに、簡単に形成できる。
【0037】さらに、入口側区分31と出口側区分32
とは、管の長手方向において入口から 50〜80% の区間
内で分割されているので、各区間31,32が、管の長
手方向において十分な長さをもって形成されるようにな
り、各区分31,32における溝33と管の長手方向と
がなす角度α1,α2による効果が確実に得られる。
【0038】なお、本発明は前記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を
含み、以下に示すような変形なども本発明に含まれる。
溝33と管の長手方向とがなす角度α1,α2や、入口側
区分31と出口側区分32との切り換え位置等の条件
は、既存のエチレン装置下流処理部門や分解炉の能力や
熱分解管の長さ等との関連で、要求されるオレフィン得
率や能力等を考慮して適宜設定すればよい。しかし、高
収率、高能力の熱分解管を得るためには、入口側区分3
1における角度α1を10〜20度とし、出口側区分32に
おける角度α2を0〜10度として、入口側区分31と出口
側区分32との分割を入口から50〜70%の区間で行うこ
とが好ましい。
【0039】前記実施形態では、熱分解管30の溝33
の数を8個としたが、溝33の数は5〜10個であればよ
い。これは、管30の内径に対し、溝33の数が 5未満
では熱分解管30の肉厚の差が顕著になり、このため発
生する熱応力の部分的差異が長期間の使用において熱分
解管30の破損を招く虞れがあり、一方、溝33の数が
10を越えると各溝の幅が狭くなり、コークスが付着しや
すくなって好ましくないからである。
【0040】また、熱分解管30の平均内径dを 27.7m
mとしたが、管内反応流体の滞留時間、伝熱量および経
済性の点から 15〜45mmの範囲で有効である。すなわ
ち、管内径が45mmを越えて大であると、管内流体の単位
重量当りの伝熱面積が小さくなり、従って、管内流体を
昇温させるために管内流体の熱分解管30内での滞留時
間が長くなるからである。一方、管内径を15mmより小さ
くすると、熱分解管 1本当りの処理量が小さくなるた
め、熱分解管30の本数を増やす必要が生じ、炉および
急冷器の構造が複雑となって経済性、作業性の低下を招
くこととなるからである。
【0041】前記実施形態では、入口側区分31と出口
側区分32とで二分割された熱分解管30を用いたが、
三分割以上としてもよく、これによれば、一層優れた特
性を有する熱分解管が得られる。しかし、製造上複雑と
なり、経済的でないため、二分割にすることが好まし
い。
【0042】さらに、熱分解の条件については、熱分解
温度 800〜950℃、圧力 2kg/cm2・G以下、水蒸気対原
料炭化水素の重量比 0.3〜1.0 とすることが好ましく、
このような条件は通常の炭化水素熱分解に採用されてい
る。また、反応流体の滞留時間は 170ms 以下とするこ
とが好ましい。すなわち、エチレン収率を重視する場合
は 150ms 以下が好ましく、エチレン+プロピレン収率
を重視する場合は 120ms〜170ms とすることが好まし
い。運転条件によって生産パターンを変化させる場合に
は、150ms 前後の設計条件とすればよい。
【0043】さらにまた、炭化水素としては、上記に限
定されず、本発明に適用できる炭化水素としては、ナフ
サから重質軽油まで、およびガス状の脂肪族炭化水素が
挙げられる。また、熱分解炉は、一般の熱分解炉のいか
なる形式でもよいが、多管式熱分解炉が、曲管部がない
点から、好ましい。
【0044】
【実施例】
[実施例1]前記実施形態において、熱分解管30の長
手方向寸法における入口側区分31の長手方向寸法の割
合L1と出口側区分32の長手方向寸法の割合L2とを、
表6に示すように、L1=70%、L2=30%とした。すな
わち、L1の値が、熱分解管30の長手方向における入
口側区分31と出口側区分32との入口からの分割位置
を示すことになる。また、各区分31,32における角
度α1,α2をα1=10度,α2=0度とした。
【0045】この熱分解管30を用いて、同一のデコー
キング日数になるようにそれぞれ供給量を調整して表1
に示す性状のナフサの熱分解を行い、オレフィン(エチ
レン+プロピレン(pp))得率および圧力損失を求めた。
この結果を表6に示す。なお、表6中の能力は、〔オレ
フィン得率〕×〔供給量〕の値であり、数値の大きいも
のほど能力が高い。
【0046】
【表6】
【0047】[実施例2〜実施例6]入口側区分31お
よび出口側区分32における各長手方向寸法L1,L2
角度α1,α2を表6に示すとおりに形成し、それ以外は
前記実施例1と同様にしてオレフィン得率および圧力損
失を求めた。この結果を表6に示す。
【0048】[比較例]管全体における溝傾斜角度αが
10度の従来の熱分解管14を用いて、前記実施例1と同
様にしてオレフィン得率および圧力損失を求めた。この
結果を表6に示す。
【0049】表6より、比較例は溝と管の長手方向との
角度の切り換えが途中にないため、実施例4を除く実施
例1〜6と比べてオレフィン得率が低い。また、実施例
4は、比較例とオレフィン得率が同じ値であるが、比較
例よりも供給量が多く能力が高い。これにより、溝33
と管の長手方向とがなす角度を異ならせることで、オレ
フィンの収率および能力を高められることがわかる。
【0050】さらに、実施例5で用いた熱分解管30
は、入口側区分31の溝33Aの傾斜角度α1 に対する
出口側区分32の溝33Bの傾斜角度α2 の比(α2
α1)が1.5 であり、0〜0.8の範囲外であるうえに、入
口側区分31の溝33Aの傾斜角度α1 が出口側区分3
2の傾斜角度α2 よりも小さいため、実施例1〜3と比
較してオレフィン得率が低かった。これにより、出口側
区分32の傾斜角度α2を入口31よりも小さくして、
傾斜角度α1,α2 の比を 0〜0.8 とすることが好まし
いことがわかる。
【0051】また、実施例6の熱分解管30は、入口か
ら 30%の位置で入口側区分31と出口側区分32とが
分割されており、入口から 50〜80%の区間外であるた
め、各溝33A,33Bの傾斜角度α1,α2が同一の比
較例と比べて供給量が少なく能力が低い。これにより、
傾斜角度の切り換えを入口から 50〜80%の区間で行う
ことで操業率を向上できることがわかる。
【0052】実施例1〜3より、出口側区分32の傾斜
角度を 0度とし、入口側区分31の傾斜角度の比(α2
/α1)を 0 にすると、高いオレフィン得率が得られる
ことがわかる。但し、供給量が少なくなるので、能力が
やや低下してしまう。
【0053】実施例4では、傾斜角度の比(α2/α1
が 0.77 の熱分解管30を用いた。この熱分解管30の
入口側区分31の溝33AのピッチP1と、出口側区分
32のピッチP2は、それぞれP1=377mm、P2=494mm
であり、ピッチP1 とピッチP2 との比(P2/P1)が
1.3であった。なお、ピッチP1,P2の値が小さいほど
傾斜角度α1,α2は大きい。この結果、実施例4の熱分
解管30は、実施例1〜3ほどオレフィン得率は高くな
かったが、能力が最も高かった。
【0054】これらの結果より、ピッチP1,P2 の比
(P2/P1)が大きいほど、すなわち、傾斜角度の比
(α2/α1)が小さいほど、オレフィン得率重視の特性
を有する熱分解管30が得られるが、供給量の減少によ
る能力低下を招いてしまうため、ピッチP1,P2 の比
は 2 以下とすることが好ましいことがわかる。また、
実施例4の熱分解管30の能力が最も高かったため、出
口側区分32の傾斜角度α 2は、0度よりも大きいことが
好ましいことがわかる。
【0055】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
オレフィンの収率を高めることができるうえに、熱分解
管内へのコークス析出を抑制して連続運転可能な期間を
長くすることができ、熱分解装置全体の操業率を向上で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭化水素の熱分解管における一条の溝
形状を示す内面展開模式図。
【図2】熱分解管を備えた熱分解炉の概略構成図。
【図3】従来の熱分解管を示す拡大横断面図。
【図4】図1の熱分解管における一条の溝形状を示す管
内面展開模式図。
【符号の説明】
10 熱分解炉 20 原料供給管。 30 熱分解管 31 入口側区分 32 出口側区分 33 溝

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナフサ乃至重質軽油を 800〜950℃ に昇
    温しつつ熱分解させてオレフィンを製造する際に用いら
    れる炭化水素の熱分解管であって、その平均内径が 15
    〜45mm であり、かつ、管内面の形状が横断面において
    半円弧状の凹凸を連続させて波形をなす 5〜10個の溝を
    有し、これらの溝は管の長手方向に沿って形成され、そ
    の溝と管の長手方向とがなす角度が、 0〜20度で、か
    つ、管の長手方向の少なくとも二以上の分割区分におい
    て異なる角度に設定されていることを特徴とする炭化水
    素の熱分解管。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した炭化水素の熱分解管
    において、管の入口側と出口側の二つの分割区分に分割
    され、管の入口側の分割区分における前記溝と管の長手
    方向とがなす角度は、管の出口側の分割区分における前
    記溝と管の長手方向とがなす角度よりも大きいことを特
    徴とする炭化水素の熱分解管。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載した炭化水素の熱分解管
    において、前記入口側の分割区分における前記溝と管の
    長手方向とがなす角度に対する前記出口側の分割区分に
    おける前記溝と管の長手方向とがなす角度の比が 0〜0.
    8 であることを特徴とする炭化水素の熱分解管。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載した炭化水素の熱分解管
    において、管の入口側の分割区分と出口側の分割区分と
    は、管の長手方向において入口から 50〜80% の区間内
    で分割されていることを特徴とする炭化水素の熱分解
    管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100619351B1 (ko) * 2000-07-26 2006-09-06 에스케이 주식회사 탄화수소 열분해 반응기 튜브 내벽에 코크 저감을 위한 코팅방법

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