JPH0921497A - 内面塗膜付伝熱管 - Google Patents

内面塗膜付伝熱管

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JPH0921497A
JPH0921497A JP7196038A JP19603895A JPH0921497A JP H0921497 A JPH0921497 A JP H0921497A JP 7196038 A JP7196038 A JP 7196038A JP 19603895 A JP19603895 A JP 19603895A JP H0921497 A JPH0921497 A JP H0921497A
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JP
Japan
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coating film
tube
heat transfer
coating
thickness
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JP7196038A
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Mitsuo Mori
森  光男
Takeshi Isobe
剛 磯部
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気防食下において塗膜の密着性の低下、劣
化を防止するとともに、塗膜の可とう性を損ねることな
く耐摩耗性を向上させた内面塗膜付伝熱管を提供する。 【解決手段】 銅又は銅合金管の内面に、20℃におけ
る体積抵抗率が1.0×10-2Ω・cm以下であり、か
つ平均長さが塗膜厚さの1.5倍以上であると同時に1
0μm以上の繊維状物質を、塗膜中の樹脂と繊維状物質
の合計量に対して5〜20体積%含み、乾燥後の塗膜硬
度が鉛筆硬度で2H〜2Bである平均塗膜厚5〜20μ
mの防食塗膜を形成させた内面塗膜付伝熱管。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱交換器用の内面
塗膜付伝熱管に関するもので、特に内面塗膜の防食性お
よび可とう性(flexibility)を損ねることなく、また伝
熱性を大きく低下させることなく、伝熱管の管端部にお
ける電気防食に起因する塗膜のふくれ・剥離を抑制する
と同時に、塗膜の耐摩耗性を改善したことを特徴とする
内面塗膜付伝熱管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】火力、原子力発電所の復水器、化学プラ
ント・船舶等の各種熱交換器では、管内に冷却水を通水
させる伝熱管として銅合金管が広く用いられている。冷
却水として、海水、あるいは河川水を用いるため、管内
面には種々の腐食が発生しやすく、その防止のため鉄イ
オン注入による防食皮膜を形成することが広く行われて
いる。しかし、環境上の問題、また鉄イオン注入の管理
の煩雑さ、補修管として部分的に新管を装着した場合の
防食皮膜形成の困難さ等の問題のため、近年、工場出荷
時に、あらかじめ有機樹脂を用いて管内に防食塗膜を形
成させる方法が提案され、例えば、特公昭56−450
79号、同59−50269号公報等に記載されてい
る。
【0003】しかしながら、そのようにして形成された
内面防食塗膜付伝熱管は、既設発電所等で補修管として
部分的に使用されることが多い。既設の発電所では、伝
熱管管端部あるいは管板を保護するために通常、電気防
食が実施されており、特に管端部近傍は自然電位よりも
数百mV卑な電位に保持される。そのような電気防食下
では内面防食塗膜付伝熱管は、特に管端部において陰極
剥離といわれる塗膜のふくれ・剥離などの劣化現象が生
じる。かかる場合、防食電位が十分な値を保持していれ
ば管端部は電気防食により保護されるが、電気防食が有
効に働いていない場合、インレットアタックと称される
管端部特有の腐食が生じることがある。また、有機樹脂
を用いて伝熱管内面に形成された塗膜は、通常、鉛筆硬
度で2H〜2Bの硬度であるため、管内面洗浄に用いら
れる洗浄用ボール(カーボランダムボール、プラスチッ
クコーティッドボール等)を使用すると塗膜の摩耗が著
しく、管材が露出し、伝熱管の防食性能が極端に低下す
る恐れがある。耐摩耗性を向上させるには、通常塗膜硬
度を高くする方法が用いられるが、その結果、塗膜の可
とう性が低下し、長尺伝熱管の場合、管の曲がりなどに
よって容易に塗膜が剥離する場合がある。
【0004】かかる問題点の解決法として、特開平6
−193792号及び特開平3−156298号に記
載の技術が提案されている。の発明では塗膜を強靭化
し、顔料と樹脂との密着性を向上させ、塗膜中への水
分、あるいは腐食性物質の透過を防ぐとともに塗膜のふ
くれ・剥離を抑制する方法が用いられている。しかしこ
のものは、アミノシランなどのシランカップリング剤を
使用することを必要とし、また2種類の顔料を併せて多
量に含有させる必要がある。また、従来このような内面
塗膜付伝熱管では、伝熱管自体の熱伝達性を考慮せねば
ならず、そのため内面の塗膜の厚さに制限があり、水分
や腐食性物質の塗膜中への透過を完全に阻止するだけの
十分な膜厚を形成することができないという制約があ
る。したがって、長期間使用しているうちに、塗膜中に
水分が浸透し、管材との界面にまで達し、その界面で電
気防食により供給される陰イオンと反応し高濃度のアル
カリ性溶液を形成し、塗膜の密着性が低下する結果とな
ることは避けられない。また、に記載の発明は、体積
抵抗率0.1Ω・cm以下の導電性樹脂皮膜を管内面に
形成するものであるが、導電性樹脂皮膜を形成するに
は、導電性樹脂を用いたり、導電性の顔料を塗膜中に多
量に含有させる必要がある。その結果塗料のコストが高
くなるという問題点が生じる。また、導電性樹脂は一般
的に密着性が低いことや、顔料の含有量が増すと防食性
能が低下するなどの問題点があった。さらに洗浄用ボー
ルなどの使用に対する耐久性にも劣っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
電気防食下において塗膜の、密着性の低下、劣化を防止
するとともに、塗膜の可とう性を損ねることなく耐摩耗
性を向上させた内面塗膜付伝熱管を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の従来
の内面塗膜付伝熱管の欠点を克服するため鋭意研究を重
ねた結果、平均長さが塗膜厚さの1.5倍以上であると
ともに10μm以上であり、体積抵抗率が所定値以下の
繊維材を含有させることにより、塗膜と管材との密着性
の低下を防ぐとともに、塗膜の耐摩耗性を向上でき、薄
い膜厚であるにもかかわらず、電気防食下における塗膜
の劣化を防止しうることを見い出し、この知見に基づき
本発明をなすに至った。すなわち、本発明は (1)銅又は銅合金管の内面に、20℃における体積抵
抗率が1.0×10-2Ω・cm以下であり、かつ平均長
さが塗膜厚さの1.5倍以上であると同時に10μm以
上である繊維状物質を、塗膜中の樹脂と繊維状物質の合
計量に対して5〜20体積%含み、乾燥後の塗膜硬度が
鉛筆硬度で2H〜2Bである平均塗膜厚5〜20μmの
防食塗膜を形成させたことを特徴とする内面塗膜付伝熱
管を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】電気防食下の内面塗膜付伝熱管に
おいては、特に管端部における陰極剥離といわれる塗膜
のふくれ・剥離などの劣化現象が生じる。これは、海水
中の物質(Na+ 、Mg2+、Ca2+、H2 O等)が、塗
膜内を浸透し、管材と塗膜との界面において、電気防食
により供給される陰イオン(e- )と反応し、高濃度の
アルカリ性溶液を形成した結果、塗膜の密着性が著しく
低下することに起因すると考えられる。本発明では、上
記のような塗膜を伝熱管内部に形成することにより、通
常、管材と塗膜との界面で生じる、強アルカリ性溶液を
形成する反応を塗膜表面(塗膜面と冷却水との界面)
(以下、単に塗膜表面という)において生じさせ、その
結果、塗膜の密着性の低下、ひいては管端部での塗膜の
ふくれ・剥離などの劣化現象を抑制した内部塗膜付伝熱
管を提供する。
【0008】本発明の伝熱管の内面塗膜は、樹脂に、特
定の体積抵抗率と特定の平均長さをもつ繊維状物質を、
繊維状物質と塗膜中の樹脂の合計量に対し5〜20体積
%配合して形成される。この繊維状物質の塗膜中の濃度
は、繊維状物質を顔料とみなして本発明において、下記
の顔料体積濃度を示す式によって求められる濃度であ
る。
【0009】
【数1】
【0010】繊維状物質の濃度が高すぎると樹脂分が不
足し、欠陥の多い塗膜となり、防食性能の低下が生じ
る。また、可とう性も低下し、コストがかかりすぎると
いう欠点もある。低すぎると電気防食によって供給され
る陰イオン(e- )を管材と塗膜との界面から、塗膜表
面にまで十分に伝達することができず、管材と塗膜との
界面、あるいは塗膜内において、強アルカリ性溶液が形
成される反応が生じ、塗膜の劣化が引き起こされる。ま
た、十分な耐摩耗性の向上も得られないという問題が生
ずることがある。樹脂としては、通常のものを用いるこ
とができ、例えばエポキシ系、シリコン系、アルキド
系、ビニル系、アクリル系、フッ素系、ポリウレタン系
などが使用できる。好ましくはエポキシ系、シリコン
系、アルキド系を用い、付着性、耐薬品性、耐摩耗性な
どの点から、エポキシ系樹脂が特に好ましい。
【0011】この樹脂に配合する繊維状物質は、体積抵
抗率が1.0×10-2Ω・cm以下、好ましくは1.0
×10-4〜1.0×10-6Ω・cmのものを用いる。体
積抵抗率が1.0×10-2Ω・cmより大きい場合、電
気防食によって供給される陰イオン(e- )を管材と塗
膜との界面から、塗膜表面にまで十分に伝達することが
できず、管材と塗膜との界面、あるいは塗膜内におい
て、強アルカリ性溶液が形成される反応が生じ、塗膜の
劣化が引き起こされるからである。
【0012】なおかつ、この繊維状物質は平均長さが塗
膜厚さの1.5倍以上であると同時に10μm以上、好
ましくは2.2倍〜3.0倍のものとする。平均長さが
塗膜厚さの1.5倍未満または10μm未満の繊維状顔
料あるいは粒状顔料、りん片状顔料では、平均塗膜厚5
〜20μmの場合、管材部分と塗膜表面とを直接つなげ
ることができず、強アルカリ性溶液が形成される反応を
塗膜表面で行わせることが十分にはできない。塗膜中の
これらの顔料濃度を上げれば顔料同士が直接接触するよ
うになり、ある程度は塗膜表面にまで陰イオン(e-
を伝達できるようにすることは可能であるが、十分なと
ころまで行うのは難しく、また、濃度の増加による塗膜
の防食性能の低下という問題も生じる。本発明では、体
積抵抗率1.0×10-2Ω・cm以下であり、かつ平均
長さが塗膜厚さの1.5倍以上であると同時に10μm
以上である繊維状物質を用いることにより、5〜20体
積%という低、中濃度で十分な耐電気防食性を有する塗
膜が形成できる。塗膜自体の体積抵抗率を小さくするこ
とによっても、陰イオン(e- )を塗膜表面に伝達する
ことは可能であるが、塗膜自体の体積抵抗率を小さくす
るためには、高価な導電性顔料を多量に使用したり、導
電率の良い樹脂を使用する必要があり、本発明と比較し
てコスト高になるという問題が生ずる。
【0013】また、本発明では、平均長さが塗膜厚さの
1.5倍以上であると同時に10μm以上である繊維状
物質を用いることにより塗膜の耐摩耗性が改善される。
洗浄用ボール(カーボランダムボール、プラスチックコ
ーティッドボール等)の使用による塗膜の摩耗は、洗浄
用ボールの表面に存在する研磨剤によって生じる機械的
作用の結果である。耐摩耗性を向上させるには、通常、
焼き付けなどにより、樹脂分の架橋濃度を上げ、塗膜硬
度を上昇させるか、体質顔料として用いられる無機顔料
の含有量を増加させる方法が用いられる。しかし、塗膜
硬度を高くした場合、塗膜の可とう性が低下し、長尺伝
熱管内面に塗膜を形成した場合、管の曲がりなどによっ
てたやすく塗膜の剥離が生じる。また無機顔料の含有量
を増加させると、耐摩耗性は向上するが顔料同士を結合
させる樹脂分(バインダー)が不足し、欠陥の多い塗膜
となり、防食性能の低下が生じる。平均長さが塗膜厚さ
の1.5倍以上の繊維状物質を用いることにより、塗膜
表面において、洗浄用ボールにより樹脂分が摩耗し、結
合力が低下しても、繊維状物質の塗膜表面以外の部分
は、塗膜内に存在するため、繊維状物質の欠落は生じる
ことはなく、表面において繊維状物質のみが残り、露出
することにより、樹脂分の摩耗がそれ以上進行すること
はなくなる。
【0014】本発明に用いられる繊維状物質は、前記の
体積抵抗率と平均長さを有するものであれば特に制限な
く用いることができ、顔料、充填剤あるいは強化剤のい
ずれでもよく、その種類は問わない。具体的には、例え
ばステンレスファイバー、カーボンファイバー、アルミ
ニウムファイバー、ニッケルファイバー、真鍮ファイバ
ーなどがあげられ、顔料の安定性の点からステンレスフ
ァイバーあるいはカーボンファイバーが特に好ましい。
この繊維状物質を前記の樹脂に加え、繊維が折れないよ
うに撹拌する。必要に応じて溶剤、レベリング剤、沈降
防止剤等、通常添加するものを加えてもよい。粘度調整
のための溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノン等を用いることが
できる。
【0015】このようにして調製した塗料を、乾燥時の
硬度が鉛筆硬度で2H〜2B、好ましくは2H〜HB
で、塗膜厚が5〜20μm、好ましくは10〜20μm
の塗膜として、銅または銅合金の伝熱管の内面に塗装す
る。乾燥時の塗膜硬度が2Hより高い場合、塗膜の可と
う性が低下し、管の曲がりなどにより塗膜の剥離が容易
に生じる。また、2Bより軟らかい場合、塗膜の耐摩耗
性が低下する。塗膜厚については、5μm未満では十分
な防食性能および耐摩耗性能を有することはできず、2
0μmを越えると伝熱性能の低下、および繊維状物質が
管材の陰イオン(e- )を塗膜表面に十分に伝達するこ
とができなくなるために、耐電気防食性能の低下が生じ
る。
【0016】なお、本発明においては、塗膜を形成させ
る前に伝熱管内面の酸化皮膜を除去することがより好ま
しい。酸化皮膜を除去せずに塗膜を形成した場合でも、
前述のように十分な耐電気防食性能および耐摩耗性能を
有するが、酸化皮膜を除去することにより繊維状物質を
直接、銅および銅合金素地と接触させることができ、さ
らなる耐電気防食性能の向上を図ることができる。
【0017】
【実施例】以下に本発明を、実施例に基づきさらに詳細
に説明する。下記に示すようにして、本発明品、および
比較用の供試管を作成した。(各供試管の作成条件を表
1にまとめて示した。) 実施例1〜6 エポキシ樹脂中に繊維状物質としてステンレスファイバ
ー(体積抵抗率35×10-6Ω・cm、平均長さは塗膜
厚さの1.5倍以上であると同時に10μm以上の条件
を満たす)を、体積濃度が表1に示すように5%又は2
0%となるように調整し、繊維が折れないように注意
し、十分に混練を行い、塗料を作成した。この塗料中に
溶剤を加えて粘度を調整し、サンドブラスト処理により
管内面酸化皮膜を除去したアルミニウム黄銅管(JIS
H3300 C6870T 外径25.4mm、肉厚
1.24mm、長さ3000mm)の内面にエアレスス
プレー塗装を行い、平均塗膜厚が表1に示すように5〜
20μmの塗装皮膜を形成し、管内に空気を通風させる
ことにより乾燥させた。通風する空気の温度を変えるこ
とにより、塗膜硬度を表1に示すように2B〜2Hに調
整し、供試管を得た。
【0018】実施例7 繊維状物質として平均長さが塗膜厚さの3.5倍である
ステンレスファイバーを用いた以外は実施例1〜6と全
く同様にして、供試管を得た。
【0019】実施例8 繊維状物質としてPAN系カーボンファイバー(体積抵
抗率1.0×10-2Ω・cm、平均長さが塗膜厚さの
1.5倍)を用いた以外は実施例1〜6と全く同様にし
て、供試管を得た。
【0020】実施例9 アルミニウム黄銅管の管内面酸化皮膜の除去を行わない
以外は、実施例1〜6と同様にして供試管を得た。
【0021】実施例10 アルミニウム黄銅管の変わりに70/30キュプロニッ
ケル管(JIS H3300 C7150T)を用いた
以外は実施例1〜6と同様にして供試管を得た。
【0022】比較例1 繊維状物質として酸化チタン(体積抵抗率8.0×10
-1Ω・cm、平均長さが塗膜厚さの1.5倍)を用いた
以外は、実施例1〜6と同様にして供試管を得た。
【0023】比較例2 繊維状物質としてガラス繊維(体積抵抗率>1014Ω・
cm、平均長さが塗膜厚さの1.5倍)を用いた以外
は、実施例1〜6と同様にして供試管を得た。
【0024】比較例3 繊維状物質としてセラミックファイバー(体積抵抗率>
1017Ω・cm、平均長さが塗膜厚さの1.5倍)を用
いた以外は、実施例1〜6と同様にして供試管を得た。
【0025】比較例4 平均長さが塗膜厚さの1.5倍であるの繊維状ステンレ
スファイバーの代わりに、平均長さが塗膜厚さの1.3
倍であるステンレスファイバーを用いた以外は実施例1
〜6と同様にして供試管を得た。
【0026】比較例5 平均長さが塗膜厚さの1.5倍である繊維状ステンレス
ファイバーの代わりに、平均長さが塗膜厚さの0.7倍
である粒状ステンレス顔料を用いた以外は実施例1〜6
と同様にして供試管を得た。
【0027】比較例6、7 繊維状物質の体積濃度を表1に示すように25%又は3
%とした以外は実施例1〜6と同様にして供試管を得
た。ただし、体積濃度25%の場合、常温乾燥でも塗膜
硬度は3Hとなった。
【0028】比較例8 100〜200℃で熱処理を行い、塗膜硬度を3Hとし
た以外は実施例1〜6と同様にして供試管を得た。
【0029】比較例9、10 平均塗膜厚を表1に示すように3μm又は30μmにし
た以外は実施例1〜6と同様にして供試管を得た。 比較例11、12 比較例11、12には市販の導電性塗料(顔料分散型と
導電性ポリマー型)を用いて供試管を得た。
【0030】上記の実施例、比較例で得られた供試管に
ついて、以下に示した試験方法で、塗膜と管材との密着
性、耐電気防食性、耐摩耗性、塗膜の可とう性、耐食
性、伝熱性を試験、評価したところ、表2のような結果
を得た。 (1)密着性試験 内面塗膜付伝熱管を半割りし、管材中央長手方向に人工
傷をいれ、これを供試管片試料とし、試料の塗膜面であ
る管内面から2mm離れた直径2mmのノズル先端部よ
り管内面人工傷部分に直角に3vol%の空気を含む3
%食塩水溶液を流速12m/sで衝突させる試験を30
日間実施したのち、試料の表面状況を観察した。評価基
準および表2中の記号は次のとおりである。 ○:健全 △:人工傷に沿う部分剥離 ×:面状剥
【0031】(2)耐電気防食試験 供試管(長さ1000mm)を管板に取り付け管端部が
−700mV(vs.SCE)あるいは−1000mV
(vs.SCE)になるように陰分極させた状態で、管
内に常温の人工海水(ASTM規格 D1141−52
相当品)を流速2m/sで通水せしめた状態で、30
日間試験を行い、塗膜の表面状態を観察した。評価基準
および表2中の記号は次のとおりである。 ○:健全 △:ふくれ発生 ×:面状剥離
【0032】(3)耐摩耗性試験 供試管(長さ200mm)内に常温の人工海水(AST
M規格 D1141−52 相当品)を流速2m/sで
循環通水させ、カーボランダムボール(φ25mm、タ
プロゲジャパン製)を1000個通過させ、塗膜の摩耗
状態を観察した。評価基準および表2中の記号は次のと
おりである。 ○:管材面の露出が認められない。 △:部分的に管材面の露出が認められる。 ×:全面的の管材面の露出が認められる。
【0033】(4)可とう性試験(耐屈曲性試験) 供試管を半割りにし、塗膜面を外側にして120Rで曲
げを行い塗膜の外観状況を観察した。評価基準および表
2中の記号は次のとおりである。 ○:健全 △:一部剥離 ×:全面剥離 (5)耐食性試験 Na2 S溶液の添加によりS2-濃度を0.8mg/リッ
トルに調整した人工海水を、供試管内面に流速2m/s
で通水させ、30日間の試験期間後、腐食深さを測定し
た。
【0034】(6)熱貫流率測定 長さ1260mmの供試管について熱貫流率を測定し、
無塗装の新管に対する熱貫流率の低下率を算出した。熱
貫流率の測定法としては、熱貫流率測定装置に内面塗膜
付熱交換管と無塗装の新管を並列に取り付け、管外を約
100℃の水蒸気とし、管内に冷却水として約85℃の
温水を2m/sの流速で流し、冷却水の入口と出口の温
度、および飽和水蒸気の温度を測定し、以下の手順で熱
貫流率低下率を算出した。 測定管と無塗装の新管の見掛けの熱貫流率(K)を算
出する。算出の数式は次の通りである。
【0035】
【数2】
【0036】汚れ係数(r)を算出する。算出の数式
は次の通りである。 r=1/K1 −1/K0 (m2・hr・℃/kcal ) K1 :測定管の見掛けの熱貫流率(kcal/m2・hr・℃) K0 :新管の見掛けの熱貫流率(kcal/m2・hr・℃)
【0037】測定管の熱貫流率(K1 )を算出する。
算出の数式は次の通りである。 1/K1 =1/K0HEI+r KoHEI:HEI基準による新管の基準熱貫流率(3200kca
l/m2・hr・℃)
【0038】無塗装の新管に対する測定管の熱貫流率
の低下率を算出する。算出の数式は次の通りである。
【0039】
【数3】
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】表2の結果から分かるように、本発明によ
る内面塗膜付伝熱管は、いずれの条件でも優れた耐久性
および伝熱性能を有している。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電気防食下において生じる防食塗膜のふくれ・剥離およ
び洗浄用ボールによる塗膜の摩耗が防止され、防食性能
および伝熱性能の低下を飛躍的に抑制した内面塗膜付伝
熱管が得られる。また、本発明では、塗膜中の繊維状物
質の体積濃度が5〜20体積%という比較的低、中濃度
で、従来と変わらない薄い膜厚で、十分な耐電気防食性
を有する塗膜を形成でき、塗膜の可とう性を損なうこと
なく耐摩耗性を向上させることができるという優れた効
果を奏する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅又は銅合金管の内面に、20℃におけ
    る体積抵抗率が1.0×10-2Ω・cm以下であり、か
    つ平均長さが塗膜厚さの1.5倍以上であるとともに1
    0μm以上である繊維状物質を、塗膜中の樹脂と繊維状
    物質の合計量に対して5〜20体積%含み、乾燥後の塗
    膜硬度が鉛筆硬度で2H〜2Bである平均塗膜厚5〜2
    0μmの防食塗膜を形成させたことを特徴とする内面塗
    膜付伝熱管。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018159408A (ja) * 2017-03-22 2018-10-11 株式会社栗本鐵工所 管持ち上げ装置
JP2018159407A (ja) * 2017-03-22 2018-10-11 株式会社栗本鐵工所 管持ち上げ装置
JP2019157013A (ja) * 2018-03-14 2019-09-19 Aca株式会社 炭素繊維含有塗料、および、これを塗布した熱交換機

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018159408A (ja) * 2017-03-22 2018-10-11 株式会社栗本鐵工所 管持ち上げ装置
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