JPH09209501A - 繊維強化プラスチック製ケーブルの定着部構造 - Google Patents

繊維強化プラスチック製ケーブルの定着部構造

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JPH09209501A
JPH09209501A JP1889396A JP1889396A JPH09209501A JP H09209501 A JPH09209501 A JP H09209501A JP 1889396 A JP1889396 A JP 1889396A JP 1889396 A JP1889396 A JP 1889396A JP H09209501 A JPH09209501 A JP H09209501A
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Hiromi Kimura
浩巳 木村
Morio Seishiyou
守雄 聖生
Tatsuya Eguchi
立也 江口
Hiroyuki Okada
裕行 岡田
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素繊維強化プラスチック製ケーブルの定着
部構造において、強度特性の面で優れており、振動によ
る強度低下を起こすことがなく、しかも、大容量で簡便
な構造を持つコンパクトな定着部構造を提供する。 【解決手段】 繊維強化プラスチック製ワイヤを集束し
たケーブルの端末部の定着部構造において、ケーブルの
荷重端側が小径で自由端側が大径となるように円錐形状
に形成されたソケット内には、ケーブルの端末部のワイ
ヤが荷重端側から自由端側に向けて放射状に分散した状
態に配置され、かつ、ソケット内に充填された定着材
は、荷重端側が熱硬化性樹脂のみで構成されていると共
に、自由端側が熱硬化性樹脂とフィラーとの混合物で構
成されている繊維強化プラスチック製ケーブルの定着部
構造である。 【効果】 大容量で簡便な構造を持つコンパクトな定着
部構造が可能であり、振動等の疲労にによる強度低下を
起こすことがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木及び建築等の
分野において用いられる繊維強化プラスチック製ケーブ
ルの端末部をソケット状にして構造物等に固定する際の
定着部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維やアラミド繊維等の連続繊維を
一方向に引き揃えて樹脂を含浸させた繊維強化プラスチ
ック製ケーブルは、軽量でかつ引張弾性率に優れている
ほか、耐食性にも優れており、このためにスチールケー
ブルの代替として近年期待されている材料である。
【0003】このような繊維強化プラスチック製ケーブ
ル(以下、「FRPケーブル」という)は、複数本の繊
維強化プラスチック製ワイヤ(以下、「FRPワイヤ」
という)を集束し、平行線、疑似平行線(長尺撚り)、
撚り線等の形態で用いられる場合が多い。
【0004】しかしながら、このようなFRPケーブル
は、長さ方向に対する引張強度は高いものの、横方向の
引張強度等の特性が劣っており、また、表面硬度が低
く、局部的な曲げや圧縮、剪断の変形に弱いという問題
がある。従って、FRPケーブルを表面硬度の高い材料
でつかむと、FRPケーブルが損傷を受ける場合があ
り、また、鋼線に比べて損傷に対する感受性が高いた
め、損傷を受けると強度低下を起こす。そして、FRP
ケーブルは、鋼線等の金属材料と異なり、降伏せずに脆
性的に破壊するという特徴があり、従って、ケーブル中
でワイヤ長さに不揃いがあると、鋼線のように短いワイ
ヤが降伏して全体のワイヤが均一の荷重を受け持つとい
うようなことがなく、短いワイヤから順次破断していく
という問題を引き起こす。更に、FRPケーブルは、耐
熱性が低いため、溶融金属を鋳込むとワイヤの劣化が生
じる。
【0005】それ故、FRPケーブルの定着部について
は、その構造に特別の工夫をこらさない限り、FRPケ
ーブルの表面に損傷を与えたり、このFRPケーブルを
形成するFRPワイヤの長さに不揃いを惹き起こし、結
果として十分なFRPケーブル本来の特性を引き出すこ
とができない。すなわち、スチールケーブルの定着方法
をそのままFRPケーブルに適用することは困難であ
り、このFRPケーブル特有の定着部構造を開発するこ
とが必要である。
【0006】そして、このFRPケーブルの定着部構造
としては、金属製の楔を使用した定着部構造(以下、
「楔定着」という)や、モルタル、樹脂等の付着材を使
用した定着部構造(以下、「付着定着」という)があ
る。
【0007】上記楔定着は、金属製の楔により機械的に
FRPケーブルを把持する方法である。すなわち、この
方法は、円錐形等の全体がテーパーを持つ二つ割り又は
三つ割りの金属製楔でケーブルを挟み、楔と同一テーパ
ーを持つソケット中に挿入することにより、ケーブルに
引張荷重をかけた際に楔作用により金属製楔が締め込ま
れ、この時生じる側圧(面圧)によってFRPケーブル
を把持して定着する方法である。この方法においては、
定着時の楔の面圧によりFRPケーブルの表面やFRP
ワイヤが損傷し易く、更に、楔先端部が完全に固定され
るためにこの楔で把持されたFRPケーブルの端末部に
応力集中が発生し易く、繊維強化プラスチックの優れた
強度特性を十分に発揮させることが困難である。しか
も、FRPケーブルに振動等が与えられると、該端末部
に大きな曲げ応力が付加的に発生し、曲げ疲労を引き起
こして強度低下の原因になる場合もある。
【0008】また、上記付着定着の方法は、楔定着にお
けるような問題がなくて比較的優れた方法であると考え
られるが、十分な付着強度を得るには比較的長い付着長
が必要になり、このために定着部構造が大型化するとい
う問題がある。これは、付着定着が楔定着に比べて付着
強度が小さいためである。なお、ここで付着強度とは、
ワイヤが引き抜ける場合の平均剪断応力、すなわち引き
抜け荷重をワイヤ断面積で除した値である。
【0009】そこで、特開平3−156061号公報に
おいては、図2に示すように、円錐状ソケットの荷重端
側にポアソン比の大きな普通モルタル等の付着材7を用
い、自由端側にポアソン比の小さな無収縮モルタル等の
付着材8を用い、かつFRPワイヤ1をソケット3内で
折り曲げ、これによって付着強度を増加させる方法が開
示されている。
【0010】しかしながら、この方法では、FRPワイ
ヤ1と付着材7,8との付着強度が低く、かつ付着材
7,8自体の圧縮強度が低いため、大容量のソケット3
には不向きであり、大容量にするためにはソケット3を
相当大きいものにせざるを得ないという問題がある。
【0011】ところで、モルタルとケーブルとの付着強
度は異形鉄筋で1kgf/mm2 程度であり、FRPワ
イヤの付着強度はそれよりもかなり低い。そこで、特開
平2−92624号公報においては、このモルタルとF
RPワイヤとの付着強度を向上させるため、FRPワイ
ヤの表面に異形化処理を施すことが提案されている。し
かしながら、ソケット部に位置するFRPワイヤ表面の
みに異形化処理を施すのは実質的に不可能であり、ま
た、FRPワイヤ全長に亘って異形化処理を施すのは引
張特性の低下を招来して実用上好ましくない。更に、モ
ルタルの圧縮強度は2〜3kgf/mm2 程度であるた
め、ケーブルが大容量になると、モルタルが圧縮破壊を
引き起こす虞もある。
【0012】また、上記発明では、ワイヤの素抜けを防
ぐためにワイヤが折り曲げられている。しかしながら、
FRPワイヤは、スチールワイヤと異なり、折り曲げた
部分が局部的に強度低下を引き起こすため、この部分で
ワイヤ破断を起こす場合が多い。更に、付着材先端の弾
性率は楔定着の1桁程度低いが、それでもなお、ケーブ
ルに振動等が発生すると、曲げ疲労による強度低下が起
こる可能性がある。
【0013】弾性率が比較的低く、かつワイヤと付着材
との付着強度が比較的高い付着材としてエポキシ樹脂等
の熱硬化性樹脂がある。しかしながら、樹脂は粘弾性挙
動を示すためにクリープ変形によるケーブルの抜け出し
が起こる可能性が高く、また、材料自身の圧縮強度はモ
ルタルより優れているものの、なお大容量のソケットに
は強度が不足している。
【0014】このような樹脂による定着の方法として、
図3に示すように、ワイヤ1を平行に引き揃えたケーブ
ル2に対し、3段階に径の異なるセラミックス球9に同
一径となるようにエポキシ樹脂10をコーティングした
材料を、円錐状ソケット3に鋳込む方法が提案されてい
る〔IV COLOQUIO INTERNATIONAL SOBRE EL ENLACE FIJO
DEL ESTRECHO DE GIBRALTAR, p.237 (1995)〕。
【0015】この方法は、鋳込み材の圧縮強度、弾性率
を樹脂単味の場合に比べて高め、かつスムーズな荷重伝
達が期待できる方法である。しかしながら、この方法に
おいては、径の異なるセラミックス球9に対しエポキシ
樹脂をコーティングした材料を製造するのに非常に手間
がかかるという問題があり、より簡便な構造の開発が望
まれる。
【0016】しかも、ワイヤが平行に引き揃えられてい
るため、ワイヤの素抜けが起き易く、このためにソケッ
ト長さを比較的長くする必要があり、また、撚り線等で
は内部にまで充填材(鋳込み材)が入り込まないため、
撚り線用のソケットとしては使用することができないと
いう問題もある。また、荷重端での充填材の弾性率が高
いため、ケーブルに振動等が発生した場合の曲げ疲労に
よる強度低下が起こる可能性もある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の技
術における種々の問題点を解決するために創案されたも
のであり、その目的とするところは、強度特性の面で優
れており、振動による強度低下を起こすことがなく、し
かも、大容量で簡便な構造を持つコンパクトな定着部構
造を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、繊
維強化プラスチック製ワイヤを集束したケーブルの端末
部の定着部構造であり、ケーブルの荷重端側が小径で自
由端側が大径となるように円錐形状に形成されたソケッ
ト内には、ケーブルの端末部のワイヤが荷重端側から自
由端側に向けて放射状に分散した状態に配置され、か
つ、ソケット内に充填された定着材は、荷重端側が熱硬
化性樹脂のみで構成されていると共に、自由端側が熱硬
化性樹脂とフィラーとの混合物で構成されている繊維強
化プラスチック製ケーブルの定着部構造である。
【0019】本発明において、繊維強化プラスチック製
ワイヤ(FRPワイヤ)としては、特に制限はなくどの
ようなものでも使用可能であり、例えば、強化繊維とし
て炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維
等が、また、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂、ビ
ニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられたもの
や、ポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性樹脂を併
用したもの等が挙げられる。また、このFRPワイヤ
は、その表面が被覆処理されていても、また、されてい
なくてもよい。更に、FRPワイヤのワイヤ径について
は、通常、2〜10mmφのものが好ましく、より好ま
しくは3〜7mmφである。
【0020】また、本発明において、繊維強化プラスチ
ック製ケーブル(FRPケーブル)は、このケーブルの
用途によっても異なるが、通常、上記FRPワイヤの7
〜169本を平行に、あるいは、疑似平行(長尺撚り)
に集束させ、又は、ロープのように撚り線形状にして構
成される。
【0021】このFRPケーブルの端末部は、ケーブル
の荷重端側が小径で自由端側が大径となるように円錐形
状に形成されたソケット内に挿入される。このソケット
には、円錐形状の一部に平行部分を設けたり、テーパー
部分に曲率を設けてもよい。また、このソケットは、定
着時の荷重に耐えるものであればよく、材質としては金
属材料やコンクリートが挙げられ、特に加工性、特性、
コスト等の点から鋼材が好ましく、更に機械構造用炭素
鋼、ニッケルクロム鋼、クロムモリブデン鋼等が好まし
い。
【0022】本発明において、FRPケーブルの端末部
のワイヤは、上記ソケットの中でケーブルの荷重端側か
ら自由端側に向けて放射状に分散した状態に配置され
る。このFRPケーブルは局部的な曲げ変形に弱いた
め、そのFRPワイヤを分散した状態に配置する際には
局部的な曲げ変形が生じないようにすることが好まし
く、特に放物線を描くように配置することが好ましい。
【0023】そして、上記ソケット内には定着材が充填
されるが、この定着材は、ケーブルの荷重端側が熱硬化
性樹脂のみで構成され、また、自由端側が熱硬化性樹脂
とフィラーとの混合物で構成される。ここで、荷重端側
の定着材を熱硬化性樹脂のみとしたのはこの荷重端側の
先端部に応力集中が生じるのを緩和するためであり、こ
の熱硬化性樹脂のみの部分の定着材の長さは、定着材全
体の長さの1/20〜2/3の範囲であるのがよく、こ
の熱硬化性樹脂のみの部分の定着材の長さが定着材全体
の長さの2/3を超えると、フィラーによる熱硬化性樹
脂の強化効率が悪いことからコンパクトな定着部構造を
達成できず、また、1/20より短いと、十分な応力緩
和効果が期待できない。
【0024】上記定着材を構成する熱硬化性樹脂として
は、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げることが
できるが、成形の容易さ、成形後の特性、すなわち力学
的特性や接着強度等の観点から、好適にはエポキシ樹脂
である。
【0025】上記熱硬化性樹脂と混合され、自由端側の
定着材を形成するフィラーは、熱硬化性樹脂を強化する
のに十分な強度を有していればよく、金属材料や無機材
料が好ましい。また、このフィラーは、充填性や充填率
の向上のため、粒子形状、特に球形のものが好ましく、
具体的には鋼球、ガラスビーズ、セラミックスボール等
が用いられる。このフィラーの平均粒径については、通
常0.5〜5mmφ程度であるのがよく、大きすぎると
このフィラーが局部的な応力集中源として働き、樹脂破
壊やワイヤの破壊という問題が発生し、また、小さずき
ると充填率が低下して樹脂の強化効率が低下するという
問題が生じる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発
明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。図1に本発
明のFRPケーブルの定着部構造が示されている。この
定着部構造は、多数のFRPワイヤ1を集束して形成し
たFRPケーブル2の端末部を、ケーブル2の荷重端側
が小径で自由端側が大径となるように円錐形状に形成さ
れたソケット3内に収容し、このソケット3内ではワイ
ヤ1が荷重端側から自由端側に向けて放射状に分散した
状態に配置されている。
【0027】そして、上記ソケット3内には、その荷重
端側に熱硬化性樹脂4のみからなる定着材6が充填さ
れ、また、その自由端側に熱硬化性樹脂4とフィラー5
との混合物からなる定着材6が充填されている。
【0028】本発明の定着部構造によれば、定着材6と
して熱効硬化樹脂4を用いているために付着強度が高
く、中でもエポキシ樹脂を用いることにより、特に高い
付着強度を得ることができる。本発明者らの実験によれ
ば、エポキシ樹脂とワイヤの付着強度は4kgf/mm
2 程度にも達する。このように付着強度が高いのは、エ
ポキシ樹脂が接着剤として優れていることからも明らか
なように、樹脂中に多くの水酸基を持つためであると考
えられる。
【0029】また、本発明の定着部構造においては、F
RPケーブル2中のFRPワイヤ1を放射状に分散した
状態に配置させているので、1本1本のFRPワイヤ1
が確実に定着材6との間で付着し、また、楔効果が発揮
されて十分な面圧(締め付け力)を受けることができ、
高い付着強度を得ることができる。なお、ワイヤを放射
状に分散させない場合には、ケーブルの内部側のワイヤ
が定着材と接着しない場合があり、また、ケーブル全体
に面圧がかかるために内部のワイヤには十分な面圧がか
からない場合があり、高い付着強度を得ることが困難に
なる。
【0030】更に、本発明の定着部構造においては、F
RPワイヤ1をソケット3内で曲げているので、このF
RPワイヤ1の素抜けが発生し難くなっている。この場
合、FRPワイヤ1は局部的に折り曲げられてはいない
ので、強度低下を起こすこともない。
【0031】また、本発明の定着部構造においては、ソ
ケット内に充填された定着材が、荷重端側が熱硬化性樹
脂のみで、自由端側が熱硬化性樹脂とフィラーとの混合
物で構成されているので、ソケットの荷重端側において
は曲げ振動が作用した場合に疲労により特性低下を起こ
すことが可及的に低減され、また、ソケットの自由端側
においては樹脂単味の場合よりも高強度・高剛性の所謂
マッシブ(massive )な構造とすることができ、定着材
の圧縮破壊、降伏、クリープ変形等によるケーブルの抜
け出し等が効果的に防止される。
【0032】しかも、引き抜き時には、荷重端に大きな
剪断応力がかかる剪断応力分布をもち、従って理論上
は、荷重端側の弾性率を低く、自由端側の弾性率を高く
したほうが好ましい。しかしながら、実際上は、2〜1
0mmφのワイヤ径に対しては、図3に示されているよ
うに3段階に弾性率を変える必要がなく、本発明のよう
にワイヤを放射状に分散させることにより、フィラーと
樹脂の混合物の部分と樹脂のみの部分の2段階で、十分
な定着強度を得ることができる。
【0033】従って、エポキシ樹脂をコーティングした
フィラー等のような、製造上困難が伴って製造コストが
嵩む特殊な材料を用いる必要がなく、比較的簡便に製造
することができ、構造もコンパクトになる。また、本発
明のフィラーは樹脂によるコーティングが必要ないた
め、フィラー同士が接触し、このために荷重がフィラー
間を樹脂を介さずに直接に伝達され、たとえ樹脂に何ら
かの損傷があった場合でも比較的確実に定着することが
でき、安全性が高い。しかも、FRPワイヤを放射状に
分散させているので、定着材の弾性率をフィラーの種類
によって変える必要がなく、簡便な構造でコンパクトな
定着部構造を達成できる。
【0034】
【実施例】
実施例1 FRPケーブルとして、炭素繊維(東レ社製T700)
で形成され、径3.5mmφ、表面に合成繊維被覆がさ
れたFRPワイヤ(繊維体積含有率60%)37本を平
行線に集束したものを用いた。
【0035】このFRPケーブルの端部を、荷重端側内
径50mm、自由端側内径150mm、外径190m
m、長さ350mmの大きさのニッケルクロム鋼製ソケ
ット内にその荷重端側より挿入し、ソケット内にはケー
ブル端末部のFRPワイヤを、放物線を描くように、放
射状に分散させて配置させた。
【0036】このソケット内には、その荷重端側にエポ
キシ樹脂のみの定着材の部分の長さが全体の長さの1/
4になるように、また、その自由端側に直径2mmφの
鋼球とエポキシ樹脂との混合物からなる定着材の部分の
長さが全体の長さの3/4になるように、液状エポキシ
樹脂と鋼球とを充填し、この液状エポキシ樹脂をヒータ
ーで80℃に加熱して硬化させ、それぞれ荷重端側のエ
ポキシ樹脂のみの定着材の部分と自由端側の鋼球とエポ
キシ樹脂との混合物からなる定着材の部分とを形成し
た。
【0037】完成したソケット付きFRPケーブルにつ
いて、ゲージ間7mで引張試験を行ったところ、約10
0tfの荷重でFRPケーブルがその一般部で破断し、
ソケットには何らの損傷も認められたかった。
【0038】実施例2 直径5mmφの炭素繊維(東レ社製T700)の表面を
合成繊維で被覆したFRPワイヤ(繊維体積含有率60
%)37本を用い、撚り線ケーブルに形成したFRPケ
ーブルを使用し、また、フィラーとして直径3mmφの
セラミックス球を用いた以外は、上記実施例1と同様の
方法でソケット付きFRPケーブルを製造した。実施例
1と同様の方法で引張試験を行ったところ、約180t
fの荷重でFRPケーブルがその一般部で破断し、ソケ
ットには何らの損傷も認められたかった。
【0039】比較例1 ソケット内の荷重端側にモルタルを、また、自由端側に
無収縮モルタルをそれぞれ定着材として充填し、湿空中
で28日間養生させた以外は、上記実施例1と同様の方
法でソケット付きFRPケーブルを製造した。実施例1
と同様の方法で引張試験を行ったところ、約40tfの
荷重でFRPケーブルがソケットから引き抜け、また、
定着材の破壊が発生した。
【0040】比較例2 ソケット内にその荷重端側よりFRPケーブルの端末部
を挿入し、そのFRPワイヤを平行にしたまま配置し
た。ソケットの自由端側に直径3mmのセラミックス球
を、また、荷重端側に直径1mmのセラミックス球を内
部に包含する直径3mmのエポキシ樹脂球を、更に、こ
れらの中間に直径2mmのセラミックス球を内部に包含
する直径3mmのエポキシ樹脂球をそれぞれ充填し、更
にエポキシ樹脂を注型後硬化させ、ソケット付きFRP
ケーブルを製造した。実施例1と同様の方法で引張試験
を行ったところ、約40tfの荷重でソケット部で破壊
し、FRPケーブルの内部のワイヤが引き抜けを起こし
ていた。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、大容量のFRPケーブ
ルに対して簡便でコンパクトな定着部構造を可能にで
き、また、振動等の疲労による強度低下を可及的に防止
することができ、しかも、定着部の樹脂が何らかの損傷
を受けた場合でも、性能低下が少なくて高い安全性が維
持される。本発明は、単に平行線や疑似平行線だけでな
く、撚り線に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の定着部構造を示す断面説明
図である。
【図2】 図2は、従来の定着部構造の一例を示す断面
説明図である。
【図3】 図3は、従来の定着部構造の他の例を示す断
面説明図である。
【符号の説明】
1…FRPワイヤ、2…FRPケーブル、3…ソケッ
ト、4…エポキシ樹脂、5…フィラー、6…定着材、7
…ポアソン比の大きい定着材、8…ポアソン比の小さい
定着材、9…セラミックス球、10…エポキシ樹脂。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江口 立也 東京都千代田区大手町二丁目6番3号、新 日本製鐵株式会社内 (72)発明者 岡田 裕行 東京都千代田区大手町二丁目6番3号、新 日本製鐵株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化プラスチック製ワイヤを集束し
    たケーブルの端末部の定着部構造において、ケーブルの
    荷重端側が小径で自由端側が大径となるように円錐形状
    に形成されたソケット内には、ケーブルの端末部のワイ
    ヤが荷重端側から自由端側に向けて放射状に分散した状
    態に配置され、かつ、ソケット内に充填された定着材
    は、荷重端側が熱硬化性樹脂のみで構成されていると共
    に、自由端側が熱硬化性樹脂とフィラーとの混合物で構
    成されていることを特徴とする繊維強化プラスチック製
    ケーブルの定着部構造。
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂のみで構成された定着材の
    長さが、荷重端側からソケットの全長の1/20〜2/
    3の範囲である請求項1に記載の繊維強化プラスチック
    製ケーブルの定着部構造。
  3. 【請求項3】 フィラーが、金属及び無機材料から選ば
    れた1種又は2種以上の粒子である請求項1又は2に記
    載の繊維強化プラスチック製ケーブルの定着部構造。
  4. 【請求項4】 フィラーが、平均粒径0.5〜5mmφ
    の鋼球、ガラス球又はセラミックス球若しくはこれらの
    混合物である請求項1〜3の何れかに記載の繊維強化プ
    ラスチック製ケーブルの定着部構造。
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