JPH09209176A - エッチング加工性に優れたFe−Ni系合金薄板 - Google Patents

エッチング加工性に優れたFe−Ni系合金薄板

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JPH09209176A
JPH09209176A JP1434396A JP1434396A JPH09209176A JP H09209176 A JPH09209176 A JP H09209176A JP 1434396 A JP1434396 A JP 1434396A JP 1434396 A JP1434396 A JP 1434396A JP H09209176 A JPH09209176 A JP H09209176A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エッチング加工性に優れたFe−Ni系合金
薄板を提供する。 【解決手段】 冷間圧延仕上げを行ったFe−Ni系合
金薄板において、圧延方向と圧延方向に垂直な方向の表
面粗さを十点平均粗さでそれぞれRzLおよびRzTとする
時、RzL≦0.5μm、RzT≦0.5μmであり、好ま
しくは、1<RzT/RzL≦4の値を満足させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ICリードフレー
ムやカラーテレビのブラウン管に用いられるFe−Ni
系合金薄板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ICリードフレームやカラー
テレビのブラウン管に用いられる電子部材用材料には、
Fe−42Ni合金やFe−36Ni合金といった低熱
膨張特性に優れたFe−Ni系合金の薄板が用いられて
きている。このFe−Ni系合金薄板の加工方法として
は、主に金型によるプレス加工と化学的手段によるエッ
チング加工が行われている。
【0003】しかし、最近になってリードフレームの多
ピン化やブラウン管用シャドウマスクの高精細化が要求
されるに伴い、エッチング加工には従来にない超微細加
工が要求されるようになってきたことから、エッチング
加工の際に生じるサイドエッチングによるエッチング精
度の限界が問題となってきた。このサイドエッチングと
は、エッチング加工の際にFe−Ni系合金薄板の表面
とフォトレジストの密着が不十分であるため、フォトレ
ジストとFe−Ni系合金薄板表面との接着面に僅かな
剥離が生じてしまい、その剥離部分の隙間に腐食液が入
り込みフォトレジストによってカバーされた部分をも侵
食してしまう現象である。
【0004】また、リードフレームは、Si等のチップ
と外部との間の電気信号の伝達を担うものである。すな
わち、チップとリードフレームに形成したインナーリー
ド部分との間には電気信号を伝える手段として通常、A
uワイヤーまたはAlワイヤーが接続されている。この
ワイヤーとインナーリードの接続、いわゆるワイヤーボ
ンディングはワイヤーをインナーリードに押しつけるこ
とによって行われるため、インナーリードにはある程度
以上の面積を有する平面が求められる。しかし、リード
フレームの多ピン化の要求に伴ない形成するリード幅を
薄幅化していくと、上述のサイドエッチングにより、ワ
イヤーボンディングに必要なインナーリードの平坦部を
確保することができなくなるという問題が発生する。
【0005】このようなFe−Ni系合金薄板のエッチ
ング加工性を改善する方法として特開平4−10336
号公報は次の方法を提案している。すなわち、特開平4
−10336号では、Fe−Ni系合金薄板の表面粗さ
を中心線平均粗さRaで0.3〜0.8μmとし表面を
粗くすることにより、Fe−Ni系合金薄板表面とフォ
トレジストのアンカー効果を利用することでフォトレジ
ストの密着性を良くし、サイドエッチングを発生しにく
いものとしてエッチング加工性を改善しようとするもの
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開平4−1
0336号公報に記載の方法は、高精度のエッチング加
工性を行う上で有効な方法の一つである。しかし、特開
平4−10336号公報に記載の方法では、形成するリ
ード幅が狭くなると、サイドエッチングを十分に抑える
ことができないという問題が生じている。たとえば0.
25mm以下といった極めて細いリードを有するリード
フレームのエッチング加工になってくると依然としてサ
イドエッチングによる精度ムラが生じていた。
【0007】また、上述のリードの薄幅化に対応するた
めのエッチングを行う場合、薄板の方向によりエッチン
グの進行速度の微妙な違いからエッチング加工にムラが
生じることが問題となってきており、薄板の方向により
エッチング速度に差がなく、より精度の高いFe−Ni
系合金薄板が求められている。そこで本発明は上述した
問題に鑑み、サイドエッチングを効果的に防止するとと
もに薄板の方向によるエッチング速度の違いを少なくす
ることでエッチング加工性に優れたFe−Ni系合金薄
板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のよ
うな表面粗さを大きくする方法では、表面を粗くするこ
とにより生じた粗さの谷にまで完全にフォトレジストを
浸透させることができず、微小に残留するフォトレジス
トの未密着部の存在がサイドエッチングの改善を妨げて
いることを見出した。そして、極めて微細な0.25m
m以下のリード幅を要求されるリードフレーム材にも適
用が可能のように素材の表面状態とサイドエッチング等
のエッチング特性との関係を再検討した。その結果、本
発明者らは、従来のように表面粗さを高める手法でな
く、反対に表面粗さを極力抑えることで、微小なフォト
レジストの未密着部に起因するサイドエッチングを抑え
ることができることを見出した。
【0009】また従来、表面粗さを高めるために行われ
ていた、いわゆるダル圧延では、ダル圧延における圧延
方向と圧延方向に垂直な方向の表面粗さに大きな差が生
じ、これが、薄板の方向によるエッチング速度の差によ
るエッチング加工性の精度ムラの一因であった。その結
果、本発明者らは、Fe−Ni系合金薄板の圧延方向と
圧延方向に垂直な方向の表面粗さの差を小さくすること
で、薄板の方向によるエッチング速度の違いを少なくで
きることを見出した。
【0010】すなわち、本発明は、冷間圧延仕上げを行
ったFe−Ni系合金薄板において、圧延方向と圧延方
向に垂直な方向の表面粗さを十点平均粗さでそれぞれR
zLおよびRzTとする時、RzL≦0.5μm、RzT≦0.
5μmの値を満足することでフォトレジストとFe−N
i系合金薄板表面との間に十分な密着性を得ることがで
き、その結果、高精度のエッチング加工性に優れたFe
−Ni系合金薄板である。更に1<RzT/RzL≦4の値
を満足することでRzLとRzTとの間に大きな差を生じさ
せないことにより、エッチング加工時の薄板の方向によ
るエッチング速度の差を生じ難くしたことでエッチング
加工性をより改善することができる。
【0011】上記の値を満足する表面粗さを得るために
は、例えば、冷間圧延の際に使用するロールの表面粗さ
を制御すること、または圧延油に極圧添加剤を添加する
ことでロールとFe−Ni系合金薄板の間に圧延油が均
一に広がるようにすることで本発明のエッチング加工性
に優れたFe−Ni系合金薄板を得ることが可能とな
る。
【0012】また好ましくは、Fe−Ni系合金薄板の
組成として、mass%にてNi:32.0〜52.0
%を含有し、残部が実質的にFeからなり、不純物を含
む微少元素のうち、C:0.015%以下、Si:0.
2%以下、Mn:0.3%以下、P:0.005%以
下、S:0.006%以下、Cr:0.02%以下、C
o:0.10%以下、Cu:0.02%以下、Al:
0.02%以下、N:0.003%以下、Mo:0.0
2%以下、B:20ppm以下とする。これによってF
e−Ni系合金薄板の組成に依存するエッチング加工性
を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の最大の特徴の一つは、F
e−Ni系合金薄板の表面粗さを極力小さくすることで
エッチング加工時に使用されるフォトレジストとFe−
Ni系合金薄板表面との密着性がより改善されることを
見いだした点にある。具体的には、圧延方向と圧延方向
に垂直な方向の表面粗さを十点平均粗さでそれぞれRzL
およびRzTとする時、RzL≦0.5μm、RzT≦0.5
μmの値を満足することにより、Fe−Ni系合金薄板
表面とフォトレジストとの密着性はより強固となる。
【0014】よって、Fe−Ni系合金薄板表面とフォ
トレジストとの間に隙間が発生せず、腐食時における腐
食液の回り込みによるサイドエッチングが抑えられ、こ
の結果、0.25mm以下といった極めて細いリードを
有する高精度のリードフレームをも十分にエッチング加
工することができるのである。また、本発明の表面粗さ
を別の表現で表せば、圧延方向と圧延方向に垂直な方向
の表面粗さを中心線平均粗さでそれぞれRaLおよびRaT
とする時、RaL≦0.08μm、RaT≦0.08μm、
表面粗さの最大値Rmax.を1.0μm以下程度に相当す
る。
【0015】更に、圧延方向と圧延方向に垂直な方向の
表面粗さとの間に生じる差を小さく制限することで薄板
の方向によるエッチング速度の差を小さくでき、その結
果、エッチングの精度ムラを解消できる。一般的に圧延
加工された薄板は、圧延方向へは延ばされているが、圧
延方向に垂直な方向へは殆ど延ばされていない。したが
って、圧延方向の表面粗さの方が圧延方向に垂直な方向
の表面粗さよりも細かく表面肌も滑らかであるといった
特徴を持つ。ところが、圧延方向と圧延方向に垂直な方
向の表面粗さに大きな差があると、先に述べたように、
エッチング速度が薄板の方向によって異なってくるた
め、圧延方向によってエッチングの精度ムラが生じる。
【0016】従来からのDIP(Dual Inlin
e Package)型のICパッケージ用リードフレ
ームは、相対する二方向からリードが出ているため、上
述の問題はさほど顕著ではないが、最近の多ピン化によ
るQFP(Quad Flat Package)型の
ICパッケージ用リードフレームでは、四方向からリー
ドが出ているため、上述の問題の影響によって方向の異
なるリード間でエッチング加工精度が異なり精度にムラ
が生じるため、特にQFP型のICパッケージ用リード
フレームに対して本発明は有効である。より好ましく
は、1<RzT/RzL≦4の値を満足することにより、圧
延方向によるエッチング速度の違いが解消され、エッチ
ング加工性の精度ムラを除去できる。
【0017】次に、本発明の好ましい成分の限定理由に
ついて述べる。従来からのFe−Ni系合金薄板には、
主要な構成元素であるFeおよびNi以外にも精錬過程
における脱酸剤としてSi、Mn、Alが、不可避的不
純物としてC、P、S等の元素がある程度含有されてい
た。これらの元素は、Fe−Ni系合金を工業的に製造
する上で必要、あるいは不可避的に混入する元素である
が、エッチング特性のみに関して言えば、エッチング加
工性を劣化させることはあっても、向上させることはな
く、含有されないに越したことはない元素である。
【0018】これまでのリードフレームやシャドウマス
クに要求される低熱膨張特性には、これらの不純物があ
る程度含有されていても、さほどの問題とはならなかっ
た。しかし、エッチング加工を必須とする多ピン用のリ
ードフレームや、シャドウマスクの高精細化が求められ
るようになった現在では、これまで許容されていたこれ
らの不純物もエッチング加工性に悪影響を及ぼす元素と
して問題となってきた。本発明は、エッチング加工時に
使用されるフォトレジストと薄板表面との密着性が強固
であることから、高精度のエッチング加工性を兼ね備え
たFe−Ni系合金薄板を提供するものであるため、F
e−Ni系合金薄板それ自体のエッチング加工性が良好
であることが好ましい。
【0019】そこで、Fe−Ni系合金薄板それ自体の
エッチング加工性を向上させる上で、次の元素の含有量
を規定した。Niは、32.0〜52.0%とした。N
iは、本発明の成分の最重要元素であり、製品の熱膨張
特性を決定づける元素である。ICリードフレームやカ
ラーテレビのブラウン管に用いられる電子部材用材料
は、Siチップ、ICパッケージ等の樹脂、ブラウン管
を構成するガラス等と近似した熱膨張係数を得ることが
必要であり、製品の品質に大きく影響を及ぼす。
【0020】Cは、0.015%以下とした。Cは、F
e−Ni系合金の耐食性すなわち、エッチング性を左右
する最も重要な元素であり、Cの含有量が高いとエッチ
ング速度が低下し、エッチング加工性が低下する。好ま
しくは、0.005%以下とする。Siは、0.2%以
下とした。Siは、精錬工程における脱酸剤として添加
されるが、エッチング速度を低下させるためできるだけ
少ない方がよい。好ましくは、0.05%以下とする。
【0021】Mnは、0.3%以下に規定した。Mnも
精錬工程における脱酸剤として添加される他に、熱間加
工性に悪影響を及ぼすSをMnSの形で組織中に固定
し、結果として、熱間加工性を向上させる元素である。
しかし、エッチング速度を低下させるためできるだけ少
ない方がよい。好ましくは、0.1%以下とした。P
は、0.005%以下とした。Pは、エッチング速度を
低下させ、また製品の靭性を劣化させる原因となり、で
きるだけ少ない方がよい。
【0022】Sは、0.006%以下に規定した。Sは
エッチング速度を低下させ、また上述したごとく、熱間
加工性に最も悪影響を及ぼし易い元素であるためできる
だけ少ない方がよい。Cr、Mo、Cuは、いずれも
0.02%以下とした。Cr、Mo、Cuは、いずれも
製品の耐食性を向上させる元素であり、すなわちエッチ
ング加工性を劣化させる元素であるため、少ない方がよ
い。特にCrは、酸化され易い元素であるため、Si、
Mnが少ない場合は、酸化物として組織中に大きな介在
物を形成する。これは、エッチングの際に脱落し、結果
として、製品の表面にピットが生じる原因にもなる。
【0023】Coは、Niを添加する際、不可避的に混
入しやすい元素であり、エッチング速度を低下させるの
で0.10%以下とした。Alは、0.02%以下に規
定した。Alも精錬工程における脱酸剤として添加され
る元素である。しかし、Alはエッチング速度を低下さ
せ、また製品中に残存すると酸化物系介在物としてエッ
チング加工性に悪影響を及ぼすためできるだけ少ない方
がよい元素である。Nは、Cと同様にエッチング加工性
を劣化させる元素であり、0.003%以下とした。
【0024】Bは、20ppm以下に規定した。Bは、
Fe−Ni系合金の熱間加工性を改善する目的で添加さ
れる場合がある元素であるが、熱間加工性に最も悪影響
を及ぼすSの含有量を十分低くしているため、特に添加
する必要もない。このように、Fe−Ni系合金薄板の
純度を高めていくと、エッチング速度が高くなり、エッ
チング加工精度が向上する。
【0025】しかし、このようにエッチング速度の高い
素材においては、フォトレジストの未密着部が微小なも
のであっても、その未密着部におけるエッチングの進行
を速めてしまうため、よりフォトレジストと薄板との密
着性の改善が必要となる。したがって、本発明のように
表面粗さの最適化によるフォトレジストと薄板との密着
性の改善は上述した純度の高いFe−Ni系合金薄板に
対して特に有効である。
【0026】
【実施例】上述したような本発明を実施例をもって、以
下に更に詳しく説明する。 (実施例1)まず表1に示す表面粗さの異なる試料A〜
Hを準備した。試料の組成は、いずれも表2の試料N
o.3に準ずるものである。表1において、試料A〜D
は、RzL≦0.5μm、RzT≦0.5μmの値を満足す
る本発明の表面粗さを有する試料であり、本発明の試料
のうち試料A〜Cは、RzT/RzL≦4を満足するもので
ある。試料E〜Hは比較例として従来の表面が粗い試料
である。これらの試料に対して、0.2mmのリード幅
を得るように薄板表面にフォトレジストを密着させ、塩
化第二鉄溶液によるエッチング試験を行った。エッチン
グ性の評価は図1に示すエッチングファクターによっ
た。
【0027】
【表1】
【0028】なお、フォトレジストの密着性が良好であ
れば、サイドエッチ量は小さくなるので、エッチングフ
ァクターは大きくなり、逆にフォトレジストの密着性が
不良の場合は、エッチングファクターが小さくなる。ま
た、エッチング速度の圧延方向への依存性を圧延方向に
おけるエッチングファクターE.F.Lおよび圧延方向に垂
直な方向におけるエッチングファクターE.F.Tによって
評価した。
【0029】比較例の試料E〜Hは、圧延方向に測定し
たエッチングファクターは十分に大きな値を示しており
フォトレジストの密着性は良好である。しかし、圧延方
向に垂直な方向に測定したエッチングファクターは、フ
ォトレジストの密着性が悪いためにかなり小さく、よっ
て、エッチング加工性にムラが生じており、好ましくな
いことがわかる。
【0030】一方、本発明の試料A〜Dは、圧延方向と
圧延方向に垂直な方向の両方向においてエッチングファ
クターは十分な大きさの値を示しており、フォトレジス
トの密着性が良好であり、サイドエッチングが少ない試
料であることがわかる。本発明の試料のうち、圧延方向
における表面粗さの差が小さい試料A〜Cは、両方向の
エッチングファクターの差が小さく、ムラのない高精度
のエッチング加工性を兼ね備えていることがわかる。
【0031】(実施例2)Fe−42Ni系合金薄板を
用いて各成分元素の影響を調査するために、表2に示す
組成の試料を準備した。
【0032】
【表2】
【0033】試料No.1〜5は、本発明の表面粗さを
有するFe−Ni系合金薄板であり、そのうち、試料N
o.1および2は更に純度の高い組成を有する試料であ
る。試料No.6は本発明の表面粗さ規定よりも表面が
粗く、更に純度の高い組成を有するFe−Ni系合金薄
板であり、本発明の効果を説明するための比較例であ
る。なお、試料No.1〜5については、表面粗さはR
zL:0.10〜0.40μm、RzT:0.20〜0.4
0μmであって、RzT/RzLは本発明の規定範囲内であ
る1〜4に納まっているものであり、表面粗さが、エッ
チングファクターに影響を及ぼす可能性がかなり低い状
態で評価を行った。
【0034】まず本発明である試料No.1〜5につい
て説明する。試料No.3〜5は、本発明の表面粗さを
有する試料であり、上述したように圧延方向と圧延方向
に垂直な方向において十分に大きなエッチングファクタ
ーを示しており、また両値の差も小さく高精度のエッチ
ング加工性を備えている。試料No.1および2は、本
発明の表面粗さに加えて、更に純度の高い組成を有する
試料であり、試料No.3〜5に対して、圧延方向と圧
延方向に垂直な方向のエッチングファクターが大きくな
っており、また両値の差も小さく、エッチング性に優れ
ていることがわかる。
【0035】一方、試料No.6は本発明の表面粗さ規
定よりも表面が粗い試料である。圧延方向に測定したエ
ッチングファクターは十分に大きな値を示しておりフォ
トレジストの密着性は良好である。しかし、圧延方向に
垂直な方向に測定したエッチングファクターは、フォト
レジストの密着性が悪いためにかなり小さく、よって、
エッチング加工性にムラが生じてしまう。
【0036】すなわち、純度の高いFe−Ni系合金薄
板であっても、本発明の表面粗さ規定よりも表面が粗い
とエッチング加工性が悪くなる。したがって、エッチン
グ加工性に優れたFe−Ni系合金薄板を得るために
は、表面粗さを本発明の範囲にすることが必要であるこ
とがわかる。また、本発明の表面粗さを有するFe−N
i系合金薄板について、好ましくは、本発明の組成を満
足することで、エッチングファクターをより大きくする
ことができることがわかる。
【0037】
【発明の効果】このように冷間圧延仕上げを行ったFe
−Ni系合金薄板において、圧延方向と圧延方向に垂直
な方向の表面粗さを十点平均粗さでそれぞれRzLおよび
RzTとする時、RzL≦0.5μm、RzT≦0.5μmと
することで、エッチングの際にフォトレジストとFe−
Ni系合金薄板表面との間に十分な密着性を得ることが
でき、好ましくは、1<RzT/RzL≦4の値を満足する
ことで、薄板の方向によるエッチング速度の違いに起因
するエッチング加工性のムラを更に改善することができ
る。その結果、高精度のエッチング加工性に優れたFe
−Ni系合金薄板を提供することができ、電子部材の品
質の向上に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エッチングファクターE.F.を説明する図で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 23/50 H01L 23/50 V

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷間圧延仕上げを行ったFe−Ni系合
    金薄板において、圧延方向と圧延方向に垂直な方向の表
    面粗さを十点平均粗さでそれぞれRzLおよびRzTとする
    時、RzL≦0.5μm、RzT≦0.5μmの値を満足す
    ることを特徴とするエッチング加工性に優れたFe−N
    i系合金薄板。
  2. 【請求項2】 冷間圧延仕上げを行ったFe−Ni系合
    金薄板において、1<RzT/RzL≦4の値を満足するこ
    とを特徴とする請求項1に記載のエッチング加工性に優
    れたFe−Ni系合金薄板。
  3. 【請求項3】 mass%にてNi:32.0〜52.
    0%を含有し、残部が実質的にFeからなり、不純物を
    含む微少元素のうち、C:0.015%以下、Si:
    0.2%以下、Mn:0.3%以下、P:0.005%
    以下、S:0.006%以下、Cr:0.02%以下、
    Co:0.10%以下、Cu:0.02%以下、Al:
    0.02%以下、N:0.003%以下、Mo:0.0
    2%以下、B:20ppm以下であることを特徴とする
    請求項1または2に記載のエッチング加工性に優れたF
    e−Ni系合金薄板。
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