JPH09209156A - マイクロ波プラズマcvd装置及び方法 - Google Patents

マイクロ波プラズマcvd装置及び方法

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JPH09209156A
JPH09209156A JP3883196A JP3883196A JPH09209156A JP H09209156 A JPH09209156 A JP H09209156A JP 3883196 A JP3883196 A JP 3883196A JP 3883196 A JP3883196 A JP 3883196A JP H09209156 A JPH09209156 A JP H09209156A
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JP
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plasma
chamber
microwave
film
substrate
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JP3883196A
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Nobumasa Suzuki
伸昌 鈴木
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Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、高密度プラズマ中で薄膜形成を行っ
ても、基板温度が上昇し基板が溶けたり、または共有結
合が解裂するなどのダメージを受けずに、低温で高品質
な薄膜を高速に形成することを可能にするマイクロ波プ
ラズマCVD装置及び方法を提供することを目的として
いる。 【解決手段】本発明は、プラズマ発生室及び成膜室内に
ガスを導入し、同時にマイクロ波導入手段によりマイク
ロ波エネルギーを投入してプラズマ発生室内にプラズマ
を発生させガスを励起、分解して、成膜室内に配された
基体上に堆積膜を形成するマイクロ波プラズマCVD装
置及び方法において、前記プラズマ発生室内の該成膜室
側とは対向側に電子注入手段を有することを特徴とする
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波プラズ
マCVD装置及び方法に関する。更に詳しくは、本発明
は、低温で高品質膜を高速に形成するために高密度プラ
ズマを用いても、入射イオンエネルギーが低いために基
板温度が上昇しにくい、マイクロ波プラズマCVD装置
及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波プラズマCVD装置を使用す
る成膜は例えば次のように行われる。即ちマイクロ波プ
ラズマCVD装置のプラズマ発生室及び成膜室内にガス
を導入し、同時にマイクロ波エネルギーを投入してプラ
ズマ発生室内にプラズマを発生させガスを励起、分解し
て、成膜室内に配された基体上に堆積膜を形成する。マ
イクロ波プラズマCVD装置においては、ガスの励起源
としてマイクロ波を使用することから、電子を高い周波
数をもつ電界により加速でき、ガス分子を効率的に電
離、励起させることができる。それ故、マイクロ波プラ
ズマCVD装置については、ガスの電離効率、励起効率
及び分解効率が高く、高密度のプラズマを比較的容易に
形成し得る、低温で高品質な薄膜を高速に形成できると
いった利点がある。
【0003】マイクロ波プラズマCVD装置の例とし
て、近年、マイクロ波の均一で効率的な導入装置として
複数のスロットが内側面に形成された環状導波管を用い
た装置が提案されている(特許出願番号H3−2930
10)。このマイクロ波プラズマCVD装置を図4に示
す。1101はプラズマ発生室、1102はプラズマ発
生室1101を形成する石英管、1103はマイクロ波
をプラズマ発生室1101に導入するためのスロット付
環状導波管、1104はプラズマ発生用ガス導入手段、
1111はプラズマ発生室1101に連結した成膜室、
1112は被覆基体、1113は基体1112の支持
体、1114は基体1112を加熱するヒータ、111
5は成膜用ガス導入手段、1116は排気である。プラ
ズマの発生及び成膜は以下のようにして行う。排気系
(不図示)を介してプラズマ発生室1101内及び成膜
室1111内を真空排気する。続いてプラズマ発生用ガ
スをガス導入口1104を介して所定の流量でプラズマ
発生室1101内に導入する。次に排気系(不図示)に
設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、
プラズマ発生室1101内を所定の圧力に保持する。マ
イクロ波電源(不図示)より所望の電力を環状導波管1
103を介してプラズマ発生室1101内に供給する。
電子がマイクロ波電界により加速され、プラズマ発生室
1101内に高密度プラズマが発生する。この時に成膜
用ガス導入管1115を介して成膜用ガスを成膜室11
11内に導入しておくと成膜用ガスは発生した高密度プ
ラズマにより励起され、支持体1113上に載置された
被覆基体1112の表面に成膜される。この際用途に応
じて、プラズマ発生用ガス導入口1104に成膜用ガス
を導入しても良い。このようなマイクロ波プラズマCV
D装置を用いることにより、大口径空間に均一な電子密
度1012/cm3台の高密度プラズマが発生でき、原料
ガスを充分に反応させ活性な状態で基板に供給できるの
で、低温でも高品質な薄膜が高速に形成できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4に
示したような高密度プラズマを発生するマイクロ波プラ
ズマCVD装置を用いて、プラスチック基板など耐熱性
の低い基板上に薄膜を形成する場合、高密度プラズマ中
の大量のイオンがシース電位により加速され基板に入射
するため基板表面温度が上昇し基板が溶けるなどのダメ
ージを受けるという問題がある。
【0005】そこで、本発明は、上記従来のマイクロ波
プラズマCVD装置における課題を解決し、高密度プラ
ズマ中で薄膜形成を行っても、基板温度が上昇し基板が
溶けたり、または共有結合が解裂するなどのダメージを
受けずに、低温で高品質な薄膜を高速に形成することを
可能にするマイクロ波プラズマCVD装置及び方法を提
供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、マイクロ波プラズマCVD装置及び方法に
つきつぎのように構成したものである。すなわち、本発
明のマイクロ波プラズマCVD装置は、プラズマ発生室
及び成膜室内にガスを導入し、同時にマイクロ波導入手
段によりマイクロ波エネルギーを投入してプラズマ発生
室内にプラズマを発生させガスを励起、分解して、成膜
室内に配された基体上に堆積膜を形成するマイクロ波プ
ラズマCVD装置において、前記プラズマ発生室内の該
成膜室側とは対向側に電子注入手段を有することを特徴
とする。本発明において、前記装置は、プラズマ発生室
と、該プラズマ発生室に連結した成膜室と、該成膜室内
に設置される被履基体を支持する手段と、該プラズマ発
生室の周囲の一部に配されたマイクロ波導入手段と、該
プラズマ発生室及び該成膜室内にガスを導入する手段
と、該プラズマ発生室及び該成膜室内を排気する手段と
で構成することができる。そして、そのマイクロ波導入
手段として、複数のスロットを備えた無終端環状導波管
を用いることができる。また、本発明の前記装置は、前
記マイクロ波の電界に垂直な磁界を前記プラズマ発生室
内に発生させる手段を有するように構成してもよい。そ
の際、前記磁界は、前記マイクロ波の周波数の略略3.
57×10-11(T/HZ)倍の磁束密度をもつようにす
ることが好ましい。また、本発明の前記装置において
は、前記プラズマと離隔した位置に前記基体支持体が配
される構成を採ることができる。また、本発明の前記装
置において、前記被履基体表面に紫外光を照射する手段
を有する構成を採ることができ、その被履基体を、プラ
スチック基板で構成することができる。
【0007】さらに、本発明のマイクロ波プラズマCV
D方法は、プラズマ発生室内の成膜室側とは対向側に設
けられた電子注入手段を有し、プラズマ発生室及び成膜
室内にガスを導入し、同時にマイクロ波導入手段により
マイクロ波エネルギーを投入してプラズマ発生室内にプ
ラズマを発生させガスを励起、分解して、成膜室内の基
体支持体に設置された基体上に堆積膜を形成するマイク
ロ波プラズマCVD方法において、該基体支持体上に被
履基体を設置する工程と、該プラズマ発生室及び該成膜
室内を排気する工程と、該プラズマ発生室及び該成膜室
内にガスを導入し、所定の圧力に保持する工程と、該プ
ラズマ発生室にマイクロ波を導入すると共に前記電子注
入手段より電子を注入してプラズマを発生せしめ該基体
上に薄膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。そ
して、本発明の前記方法は、プラズマ発生室と、該プラ
ズマ発生室に連結した成膜室と、該成膜室内に設置され
る被履基体を支持する手段と、該プラズマ発生室の周囲
の一部に配されたマイクロ波導入手段と、該プラズマ発
生室内の成膜室側とは対向側に設けられた電子注入手段
と、該プラズマ発生室及び該成膜室内にガスを導入する
手段と、該プラズマ発生室及び該成膜室内を排気する手
段とで構成されるマイクロ波プラズマCVD装置を用い
て、成膜室内に配された基体上に堆積膜を形成すること
ができる。本発明の前記方法においては、紫外光照射手
段を用い、薄膜形成中に前記被履基体表面上に紫外光を
照射するようにしてもよく、また、前記被履基体を、プ
ラスチック基板で形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の上記構成は、本発明者
が、従来のマイクロ波プラズマCVD装置における上述
した問題点を解決し、上記目的を達成すべく鋭意努力し
た結果、概要、プラズマ中に電子を注入することによ
り、プラズマ電位、ひいてはシース電位を低下せしめ基
板に入射するイオンエネルギーを低減し、高密度プラズ
マ中で薄膜形成を行っても基板温度上昇が抑制され基板
が溶けるなどのダメージを受けずに、低温で高品質な薄
膜を高速に形成することができるという知見に基づくも
のである。つぎに、その詳細を図面に基づいて説明す
る。図1は、本発明のマイクロ波プラズマCVD装置例
である。101はプラズマ発生室、102はプラズマ発
生室101を形成する石英管、103はマイクロ波をプ
ラズマ発生室101に導入するためのスロット付環状導
波管、104はプラズマ発生用ガス導入手段、105は
プラズマ中に電子を注入する手段、111はプラズマ発
生室に連結した成膜室、112は被覆基体、113は基
体112の支持体、114は基体112を加熱するヒー
タ、115は成膜用ガス導入手段、116は排気であ
る。
【0009】プラズマの発生及び成膜は以下のようにし
て行う。排気系(不図示)を介してプラズマ発生室10
1内及び成膜室111内を真空排気する。続いてプラズ
マ発生用のガスをガス導入口104を介して所定の流量
でプラズマ発生室101内に導入する。次に排気系(不
図示)に設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を
調整し、プラズマ発生室101内及び成膜室111内を
所定の圧力に保持する。電子注入手段105を用いてプ
ラズマ発生室101内に電子を注入するともに、マイク
ロ波電源(不図示)より所望の電力を導波管103を介
してプラズマ発生室101内に供給することによりプラ
ズマ発生室101内にプラズマが発生する。この時に成
膜用ガス導入管115を介して成膜用ガスを成膜室11
1内に導入しておくと成膜用ガスは発生した高密度プラ
ズマにより励起され、支持体113上に載置された被覆
基体112の表面上に成膜する。この際用途に応じて、
プラズマ発生用ガス導入口104に成膜用ガスを導入し
ても良い。
【0010】負電荷をもつ電子をプラズマ中に注入する
ことによりプラズマ電位が低下し、ひいてはプラズマと
基板表面との間に形成されるシース電位も低下するの
で、イオンがあまり加速されずに基板に入射するため、
高密度プラズマを用いても、イオン入射により基板表面
が加熱され基板が溶ける、共有結合が解裂する、などの
ダメージを受けずに、低温で高品質な薄膜を高速に形成
することが可能になる。本発明のマイクロ波プラズマC
VD装置において用いられる電子注入手段は、プラズマ
発生室の寸法とプラズマ密度に応じて電子を50−50
0mA程度注入できるものなら使用可能である。例え
ば、直径200mmの円筒状プラズマ発生室内に電子温
度2eV、電子密度1×1012/cm3のプラズマが発
生していて、プラズマ電位を20Vから5Vに低下させ
たい場合には、約200mAの電子を注入すればよい。
電子源は、熱陰極型でも、冷陰極型でも、電界放出型で
も、表面電流放出型でもよい。但し、プラズマ発生室の
圧力を電子源の動作範囲よりも高くしたい場合は、電子
源とプラズマ発生室との間にコンダクタンスの小さなメ
ッシュ電極などを設け、電子源側を差動排気する必要が
ある。本発明において用いられるマイクロ波周波数は、
2.45GHz以外でも、0.8GHz乃至20GHz
の範囲から適宜選択することができる。本発明において
用いられる導波管の形状は、円筒状のものでも、プラズ
マ発生室の形状によって円盤状や多角形など他の形でも
良い。本発明において用いられるマイクロ波導入装置
は、スロット付き環状導波管以外でも、アプリケータ方
式でも、リジターノコイル・ヘリカルコイルなどのアン
テナでも使用可能である。
【0011】プラズマの更なる高密度化のために磁界発
生手段を用いても良い。磁界発生手段としては導波管の
スロット付近の電界に垂直な磁界を発生できるものな
ら、コイル以外でも、永久磁石でも使用可能である。ま
た磁気回路は、ミラー磁場以外でも、発散磁場でも、マ
ルチカスプ磁場でも、円筒マグネトロン磁場でも、使用
可能である。コイルを用いる場合には過熱防止のため水
冷機構や空冷など他の冷却手段を用いてもよい。また、
薄膜中の弱結合・揮発性成分・不純物成分の減少や強結
合の形成による膜質の向上のため、基体に付着した反応
中間体に吸収される紫外光を気体表面に照射してさせて
もよい。光源としては、被覆基体上に付着した反応中間
体に吸収される光を放射するものなら適用可能で、エキ
シマレーザ、エキシマランプ、希ガス共鳴線ランプ、低
圧水銀ランプなどが適用である。
【0012】本発明のマイクロ波プラズマCVD方法に
おけるプラズマ発生室内もしくは成膜室内の圧力は好ま
しくは0.5mTorr乃至0.5Torrの範囲から
選択することができる。本発明のマイクロ波プラズマC
VD方法による堆積膜の形成は、使用するガスを適宜選
択することによりSi3N4、SiO2、Ta2O5、TiO
2、TiN、Al2O3、AlN、MgF2などの絶縁膜、a
−Si、poly−Si、SiC、GaAsなどの半導
体膜、Al、W、Mo、Ti、Taなどの金属膜等、各
種の堆積膜を効率よく形成することが可能である。
【0013】本発明のプラズマCVD方法により成膜す
る基体は、半導体であっても、導電性のものであって
も、あるいは電気絶縁性のものであってもよいが、耐熱
性の低いプラスチックなどの基体の場合、特に効果を発
揮する。導電性基体としては、Fe,Ni,Cr,A
l,Mo,Au,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pbな
どの金属またはこれらの合金、例えば真鍮、ステンレス
鋼などが挙げられる。絶縁性基体としては、SiO2系
の石英や各種ガラス、Si3N4, NaCl,KCl,L
iF,CaF2,BaF2,Al2O3,AlN,MgOな
どの無機物、ポリエチレン,ポリエステル,ポリカーボ
ネート,セルロースアセテート,ポリプロピレン,ポリ
塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリスチレン、ポリ
アミド、ポリイミドなどの有機物のフィルム、シートな
どが挙げられる。
【0014】薄膜形成用ガスとしては、一般に公知のガ
スが使用できる。プラズマの作用で容易に分解され単独
でも堆積し得るガスは、化学量論的組成の達成やプラズ
マ発生室内の膜付着防止のため成膜室内の成膜用ガス導
入手段などを介して成膜室内へ導入することが望まし
い。また、プラズマの作用で容易に分解されにくく単独
では堆積し難いガスは、プラズマ発生室内のプラズマ発
生用ガス導入口を介してプラズマ発生室内へ導入するこ
とが望ましい。a−Si、poly−Si,SiCなど
のSi系半導体薄膜を形成する場合の成膜用ガス導入手
段を介して導入するSi原子を含有する原料としては、
SiH4,Si2H6などの無機シラン類、テトラエチル
シラン(TES)、テトラメチルシラン(TMS)、ジ
メチルシラン(DMS)などの有機シラン類、SiF
4,Si2F6,SiHF3,SiH2F2,SiCl4,S
i2Cl6,SiHCl3,SiH2Cl2,SiH3Cl,
SiCl2F2などのハロシラン類等、常温常圧でガス状
態であるものまたは容易にガス化し得るものが挙げられ
る。 また、この場合のプラズマ発生用ガス導入口を介して導
入するプラズマ発生用ガスとしては、H2、He、Ne、
Ar、Kr、Xe、Rnが挙げられる。
【0015】Si3N4,SiO2などのSi化合物系薄
膜を形成する場合の成膜用ガス導入手段を介して導入す
るSi原子を含有する原料としては、SiH4、Si2H
6などの無機シラン類、テトラエトキシシラン(TEO
S)、テトラメトキシシラン(TMOS)、オクタメチ
ルシクロテトラシラン(OMCTS)などの有機シラン
類、SiF4、Si2F6,SiHF3,SiH2F2,Si
Cl4,Si2Cl6,SiHCl3,SiH2Cl2,Si
H3Cl,SiCl2F2などのハロシラン類等、常温常
圧でガス状態であるものまたは容易にガス化し得るもの
が挙げられる。また、この場合のプラズマ発生用ガス導
入口を介して導入する原料としては、N2、NH3、N2
H4、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、O2、O
3、H2O、NO、N2O、NO2などが挙げられる。A
l、W、MO、Ti、Taなどの金属薄膜を形成する場合の
成膜用ガス導入手段を介して導入する金属原子を含有す
る原料としては、トリメチルアルミニウム(TMAl)、
トリエチルアルミニウム(TEAl)、トリイソブチルア
ルミニウム(TIBAl)、ジメチルアルミニウムハイ
ドライド(DMAlH)、タングステンカルボニル(W
(CO)6)、モリブデンカルボニル(Mo(CO)
6)、トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリ
ウム(TEGa)などの有機金属、AlCl3、WF6、T
iCl3、TaCl5などのハロゲン化金属等が挙げられ
る。また、この場合のプラズマ発生用ガス導入口を介し
て導入するプラズマ発生用ガスとしては、H2、He、N
e、Ar、Kr、Xe、Rnが挙げられる。
【0016】Al2O3、AlN、Ta2O5、TiO2、Ti
N、WO3などの金属化合物薄膜を形成する場合の成膜
用ガス導入手段を介して導入する金属原子を含有する原
料としては、トリメチルアルミニウム(TMAl)、ト
リエチルアルミニウム(TEAl)、トリイソブチルア
ルミニウム(TIBAl)、ジメチルアルミニウムハイ
ドライド(DMAIH)、タングステンカルボニル(W
(CO)6)、モリブデンカルボニル(Mo(CO)6)、ト
リメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TE
Ga)などの有機金属、AlCl3、WF6、TiCl3、T
aCl5などのハロゲン化金属等が挙げられる。また、
この場合のプラズマ発生用ガス導入口を介して導入する
原料ガスとしては、O2、O3、H2O、NO、N2O、NO
2、N2、NH3、N2H4、ヘキサメチルジシラザン(HMD
S)などが挙げられる。
【0017】また本発明のマイクロ波プラズマCVD装
置は表面改質にも適用できる。その場合、使用するガス
を適宜選択することにより例えば基体もしくは表面層と
してSi,Al,Ti,Zn,Taなどを使用してこれら基
体もしくは表面層の酸化処理あるいは窒化処理さらには
B、As、Pなどのドーピング処理等が可能である。更に
本発明において採用する成膜技術はクリーニング方法に
も適用できる。その場合酸化物あるいは有機物や重金属
などのクリーニングに使用することもできる。
【0018】基体を酸化表面成膜する場合のプラズマ発
生用ガス導入口を介して導入する酸化性ガスとしては、
O2、O3、H2O、NO、N2O、NO2などが挙げられ
る。また、基体を窒化表面処理する場合のプラズマ発生
用ガス導入口を介して導入する窒化性ガスとしては、N
2、NH3、N2H4、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)な
どが挙げられる。この場合成膜しないので、成膜用ガス
導入手段を介して原料ガスは導入しない、もしくはプラ
ズマ発生用ガス導入口を介して導入するガスと同様のガ
スを導入する。基体表面の有機物をクリーニングする場
合のプラズマ発生用ガス導入口から導入するクリーニン
グ用ガスとしては、O2、O3、H2O、NO、N2O、NO
2などが挙げられる。また、基体表面の無機物をクリー
ニングする場合のプラズマ発生用ガス導入口から導入す
るクリーニング用ガスとしては、F2、CF4、CH2F2、
C2F6、Cf2Cl2、SF6、NF3などが挙げられる。この場
合成膜しないので、成膜用ガス導入手段を介して原料ガ
スは導入しない、もしくはプラズマ発生用ガス導入口を
介して導入するガスと同様のガスを導入する。
【0019】
【プラズマCVD装置例】以下装置例を挙げて本発明の
マイクロ波プラズマCVD装置をより具体的に説明する
が、本発明はこれら装置例に限定されるものではない。
【0020】(装置例1)本発明の一例である環状導波
管使用マイクロ波プラズマCVD装置を図1に示す。1
01はプラズマ発生室、102はプラズマ発生室101
を構成する石英管、103はマイクロ波をプラズマ発生
室101に導入するためのスロット付環状導波管、10
4はプラズマ発生用ガス導入手段、105は電子注入手
段、111はプラズマ発生室に連結した成膜室、112
は被覆基体、113は基体112の支示体、114は基
体112を加熱するヒータ、115は成膜用ガス導入手
段、116は排気である。環状導波管103は、内壁断
面の寸法がWRT−2規格導波管と同じ27mm×96
mmであって、中心径が354mmである。環状導波管
103の材質は、機械的強度を保つためステンレス鋼で
構成されていて、その内壁面にはマイクロ波の伝搬損失
を抑えるため銅をコーティングした上に更に銀をコーテ
ィングした二層メッキが施されている。環状導波管10
3には、マイクロ波をプラズマ発生室101へ導入する
ためのスロットが形成されている。スロットの形状は長
さ42mm、幅2mmの矩形であり、管内波長の1/4
間隔に形成されている。管内波長は、使用するマイクロ
波の周波数と導波管の断面の寸法に依存するが、周波数
2.45GHzのマイクロ波と上記の寸法の導波管を用
いた場合には約159mmである。使用した環状導波管
103では、スロットは約40mm間隔で28個形成さ
れている。環状導波管103には、4Eチューナ、方向
性結合器、アイソレータ、2.45GHzの周波数を持
つマイクロ波電源(不図示)が順に接続されている。
【0021】プラズマの発生及び成膜は以下のようにし
て行う。排気系(不図示)を介してプラズマ発生室10
1内及び成膜室111内を真空排気する。続いてプラズ
マ発生用のガスをガス導入口104を介して所定の流量
でプラズマ発生室101内に導入する。次に排気系(不
図示)に設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を
調整し、プラズマ発生室101内及び成膜室111内を
所定の圧力に保持する。プラズマ発生室101内に、電
子注入手段105を介して所望の電流の電子を供給する
と共に、マイクロ波電源(不図示)より所望の電力を環
状導波管103を介して供給することによりプラズマ発
生室101内にプラズマが発生する。この時に成膜用ガ
ス導入管115を介して成膜用ガスを成膜室111内に
導入しておくと成膜用ガスは発生した高密度プラズマに
より励起され、支持体113上に載置された被覆基体1
12の表面上に成膜する。この際用途に応じて、プラズ
マ発生用ガス導入口104に成膜用ガスを導入しても良
い。
【0022】図1に示したマイクロ波プラズマCVD装
置を使用して、Ar流量500sccm、圧力5mTo
rr、マイクロ波パワー3kWの条件でプラズマを発生
させ、得られたプラズマの計測を行った。プラズマ計測
は、シングルプローブ法により以下のようにして行っ
た。プローブに印加する電圧を−50から+50Vの範
囲で変化させ、プローブに流れる電流をI−V測定器に
より測定し、得られたI−V曲線からラングミュアらの
方法により電子密度、電子温度、プラズマ電位を算出し
た。その結果、電子密度は3.6×1012/cm3(φ
200面内)、電子温度は1.2eV、プラズマ電位は
6.0Vであり、極めて低温で電子注入を行わない場合
と同様に高密度なプラズマが形成されていることが確認
された。また、プラズマ計測を行った場合と同じ放電条
件で、プラズマによる基板表面温度上昇速度を測定し
た。温度上昇速度測定は以下のようにして行った。基板
表面にクロメル/アルメルシース熱電対の先端をセラミ
ック接着剤を用いて接着し、放電時間に対する基板温度
を測定し、得られた温度−時間曲線の傾きから放電初期
の温度上昇速度を算出した。その結果、得られた基板表
面温度上昇速度は0.6deg/secであり、電子注
入を行わない場合の約1/4に抑えられた。
【0023】(装置例2)本発明の一例である有磁場マ
イクロ波プラズマCVD装置を図2に示す。101はプ
ラズマ発生室、202はプラズマ発生室201を構成す
る石英管、203はマイクロ波をプラズマ発生室201
に導入するためのスロット付環状導波管、204はプラ
ズマ発生用ガス導入手段、205は電子注入手段、20
6はプラズマ発生室201内に電界に平行な磁界を発生
するコイル、211はプラズマ発生室に連結したプラズ
マ発生室、212は被覆基体、213は基体212の支
持体、214は基体212を加熱するヒータ、215は
成膜用ガス導入手段、216は排気である。プラズマの
発生及び成膜は以下のようにして行う。排気系(不図
示)を介してプラズマ発生室201内及び成膜室211
内を真空排気する。続いてプラズマ発生用のガスをガス
導入口204を介して所定の流量でプラズマ発生室20
1内に導入する。
【0024】次に排気系(不図示)に設けられたコンダ
クタンスバルブ(不図示)を調整し、プラズマ発生室2
01内を所定の圧力に保持する。ついで直流電源(不図
示)より所望の電力をコイル206に供給しプラズマ発
生室201内に均一磁界を発生させた後、プラズマ発生
室201内に電子注入手段205を介して所望の電流を
もつ電子を注入すると共にマイクロ波電源(不図示)よ
り所望の電力を環状導波管203を介して供給する。コ
イル209によりプラズマ発生室201内に生じた磁力
線の廻りを螺旋運動する電子がマイクロ波を共鳴的に吸
収して加速され、プラズマ発生室201内に更に高密度
プラズマが発生する。この時に成膜用ガス導入管215
を介して成膜用ガスを成膜室211内に導入しておくと
成膜用ガスは、発生した高密度プラズマにより励起され
たプラズマ発生用ガスと反応し、支持体213上に載置
された被覆基体212の表面を成膜する。この際用途に
応じて、プラズマ発生用ガス導入口204に成膜用ガス
を導入しても良い。
【0025】図2に示したマイクロ波プラズマCVD装
置を使用して、Ar流量500sccm、圧力1mTo
rr、マイクロ波パワー3kW、平均磁束密度875G
の条件でプラズマを発生させ、得られたプラズマの計測
を行った。プラズマ計測は、シングルプローブ法により
以下のようにして行った。プローブに印加する電圧を−
50から+50Vの範囲で変化させ、プローブに流れる
電流をI−V測定器により測定し、得られたI−V曲線
からラングミュアらの方法により電子密度、電子温度、
プラズマ電位を算出した。その結果、電子密度は3.0
×1012/cm3(φ200面内)、電子温度は1.5
eV、プラズマ電位は7.2Vであり、極めて低温で電
子注入を行わない場合と同様に高密度なプラズマが形成
されていることが確認された。
【0026】また、プラズマ計測を行った場合と同じ放
電条件で、プラズマによる基板表面温度上昇速度を測定
した。温度上昇速度測定は以下のようにして行った。 基板表面にクロメル/アルメルシース熱電対の先端をセ
ラミック接着剤を用いて接着し、放電時間に対する基板
温度を測定し、得られた温度−時間曲線の傾きから放電
初期の温度上昇速度を算出した。その結果、得られた基
板表面温度上昇速度は0.6deg/secであり、電
子注入を行わない場合の約1/4に抑えられた。
【0027】(装置例3)本発明の一例である光アシス
トマイクロ波プラズマCVD装置を図3に示す。301
はプラズマ発生室、302はプラズマ発生室301を構
成する石英管、303はマイクロ波をプラズマ発生室3
01に導入するためのスロット付環状導波管、304は
プラズマ発生用ガス導入手段、305は電子注入手段、
311はプラズマ発生室に連結したプラズマ発生室、3
12は被覆基体、313は基体312の支持体、314
は基体312を加熱するヒータ、315は成膜用ガス導
入手段、316は排気、321は基体312の表面に紫
外光を照射するための照明系、322は照明系321か
らの可視紫外光をプラズマ発生室301を通して成膜室
311へ導入する光導入窓である。
【0028】プラズマの発生及び成膜は以下のようにし
て行なう。排気系(不図示)を介してプラズマ発生室3
01内及び成膜室311内を真空排気する。続いて照明
系321からの可視紫外光を光導入窓322を通して基
体312表面に照射すると共に基体312を所望の温度
に保持する。さらにプラズマ発生用のガスをガス導入口
304を介して所定の流量でプラズマ発生室301内に
導入する。次に排気系(不図示)に設けられたコンダク
タンスバルブ(不図示)を調整し、プラズマ発生室30
1内を所定の圧力に保持する。プラズマ発生室301内
に電子注入手段を介して電子を注入すると共にマイクロ
波電源(不図示)より所望の電力を環状導波管303を
介して供給することによりプラズマ発生室301内にプ
ラズマが発生する。この時に成膜用ガス導入管315を
介して成膜用ガスを発生室311内に導入しておくと成
膜用ガスは発生した高密度プラズマにより励起され、支
持体313上に載置された被覆基体312の表面上に成
膜する。この時表面は紫外光により活性化されるので、
より高品質な成膜が可能になる。この際用途に応じて、
プラズマ発生用ガス導入口304に成膜用ガスを導入し
ても良い。
【0029】照明系321の光源としては、低圧水銀ラ
ンプ、キセノン−水銀ランプ、重水素ランプ、Ar共鳴線
ランプ、Kr共鳴線ランプ、Xe共鳴線ランプ、エキシ
マランプ、エキシマレーザ、Ar+レーザ高調波、N2レ
ーザ、YAGレーザ高調波など基体表面に付着した前駆
体に吸収される波長を有する光源ならいずれのものも使
用可能である。
【0030】図3に示したマイクロ波プラズマCVD装
置を使用して、KrCl*エキシマランプパワー80W
の条件で紫外光を照射すると共に、Ar流量500sc
cm、圧力5mTorr、マイクロ波パワー3kWの条
件でプラズマを発生させ、プラズマと紫外光による基板
表面温度上昇速度を測定した。温度上昇速度測定は以下
のようにして行った。基板表面にクロメル/アルメルシ
ース熱電対の先端をセラミック接着剤を用いて接着し、
放電時間に対する基板温度を測定し、得られた温度−時
間曲線の傾きから放電初期の温度上昇速度を算出した。
その結果、得られた基板表面温度上昇速度は0.6de
g/secであり、電子注入を行わない場合の約1/4に抑
えられた
【0031】
【プラズマCVD方法例】以下使用例を挙げて本発明の
マイクロ波プラズマCVD装置をより具体的に説明する
が、本発明はこれら使用例に限定されるものではない。
【0032】[使用例1]図1に示したマイクロ波プラ
ズマCVD装置を使用し、光磁気デイスク用窒化シリコ
ン膜の形成を行った。基体112としては、1.2μm
幅グループ付きのポリカーボネート(PC)基板(φ
3.5インチ)を使用した。まず、PC基板112を基
体支持台113上に設置した後、排気系(不図示)を介
してプラズマ発生室101及び成膜室111内を真空排
気し、10-6Torrの値まで減圧させた。プラズマ発生用
ガス導入口104を介して窒素ガスを100sccm、
アルゴンガスを500sccmの流量でプラズマ発生室
101内に導入した。同時に、成膜用ガス導入手段11
5を介してモノシランガスを150sccmの流量で成
膜室111内に導入した。ついで、排気系(不図示)に
設けられたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、
成膜室111内を10mTorrに保持した。プラズマ
発生室101内に、電子注入手段105を介して電流1
50mAの電子を注入すると共に2.45GHzのマイ
クロ波電源より3kWの電力を環状導波管103を介し
て供給した。
【0033】かくして、プラズマ発生室101内にプラ
ズマを発生させた。この際、プラズマ発生用ガス導入口
104を介して導入された窒素ガスはプラズマ発生室1
01内で励起、分解されて活性種となり、シリコン基板
112の方向に輸送され、成膜用ガス導入手段115を
介して導入されたモノシランガスと反応し、窒化シリコ
ン膜がシリコン基板112上に12秒の間に100nm
の厚さで形成した。成膜後、屈折率などの膜質や基板の
ダメージについて評価した。得られた窒化シリコン膜の
成膜速度は、500nm/minと極めて大きく、膜質
も屈折率2.2、密着性・耐久性良好な究めて良質な膜
であることが確認された。また、電子顕微鏡で基板のグ
ループを観測し、成膜中の加熱などによる形状変化がな
いことが確認された。
【0034】[使用例2]図2に示した有磁場マイクロ
波プラズマCVD装置を使用し、プラスチックレンズ反
射防止用酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜の形成を行
った。基体212としては、直径50mmプラスチック
凸レンズを使用した。レンズ212を基体支持台213
上に設置した後、排気系(不図示)を介してプラズマ発
生室201及び成膜室211内を真空排気し、10-6
orrの値まで減圧させた。プラズマ発生用ガス導入口
204を介して窒素ガスを150sccmの流量でプラ
ズマ発生室201内に導入した。同時に、成膜用ガス導
入手段215を介してモノシランガスを100sccm
の流量で成膜室211内に導入した。
【0035】ついで、排気系(不図示)に設けられたコ
ンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、成膜室211
内を1mTorrに保持した。ついで、直流電源(不図
示)より電力をコイル206に供給しプラズマ発生室2
01内に磁束密度875Gの均一磁界を発生させた後、
プラズマ発生室201内に電子注入手段205を介して
120mAの電流をもつ電子を注入すると共に2.45
GHzのマイクロ波電源(不図示)より1kWの電力を
環状導波菅203を介してプラズマ発生室201内に供
給した。かくして、プラズマ発生室201内にプラズマ
を発生させた。この際、プラズマ発生用ガス導入口20
4を介して導入された窒素ガスは、プラズマ発生室20
1内で励起、分解されて窒素原子などの活性種となり、
レンズ212の方向に輸送され、成膜用ガス導入手段2
15を介して導入されたモノシランガスと反応し、窒化
シリコン膜がレンズ212上に21nmの厚さで形成さ
れた。次に、プラズマ発生用ガス導入口204を介して
酸素ガスを200sccmの流量でプラズマ発生室20
1内に導入した。同時に成膜用ガス導入手段215を介
してモノシランガスを100sccmの流量で成膜室2
11内に導入した。ついで、排気系(不図示)に設けら
れたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、成膜室
211内を1mTorrに保持した。
【0036】ついで、直流電源(不図示)より電力をコ
イル206に供給しプラズマ発生室201内に磁束密度
875Gの均一磁界を発生させた後、プラズマ発生室2
01内に電子注入手段205を介して電子を電流120
mA注入すると共に2.45GHzのマイクロ波電源
(不図示)より500Wの電力を環状導波管203を介
してプラズマ発生室201内に供給した。かくして、プ
ラズマ発生室201内にプラズマを発生させた。この
際、プラズマ発生用ガス導入口204を介して導入され
た酸素ガスは、プラズマ発生室201内で励起、分解さ
れて酸素原子などの活性種となり、ガラス基板212の
方向に輸送され、成膜用ガス導入手段215を介して導
入されたモノシランガスと反応し、酸化シリコン膜がガ
ラス基板212上に86nmの厚さで形成された。成膜
後、成膜速度、反射特性について評価した。得られた窒
化シリコン膜及び酸化シリコン膜の成膜速度はそれぞれ
300nm/min、360nm/minと良好で、膜
質も、500nm付近の反射率が0.3%と極めて良好
な光学特性であることが確認された。また、干渉計でレ
ンズ表面の曲率を参照レンズと測定比較し、成膜による
変化は観測されなかった。
【0037】[使用例3]図2に示した有磁場マイクロ
波プラズマCVD装置を使用し、半導体素子保護用窒化
シリコン膜の形成を行った。基体212としては、Al
配線パターン(ラインアンドスペース0.5μm)が形
成された層間SiO2膜付きP型単結晶シリコン基板
(面方位<100>,抵抗率10Ωcm)を使用した。まず、
シリコン基板212を基体支持台213上に設置した
後、排気系(不図示)を介してプラズマ発生室201及
び成膜室211内を真空排気し、10-6Torrの値ま
で減圧させた。続いてヒータ(不図示)に通電し、シリ
コン基板212を300℃に過熱し、該基板をこの温度
に保持した。プラズマ発生用ガス導入口204を介して
窒素ガスを500sccmの流量でプラズマ発生室20
1内に導入した。同時に、成膜用ガス導入手段215を
介してモノシランガスを100sccmの流量で成膜室
211内に導入した。ついで、排気系(不図示)に設け
られたコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、成膜
室211内を5mTorrに保持した。ついで直流電源
(不図示)より電力をコイル206に供給しプラズマ発
生室201内に磁束密度875Gの均一磁界を発生させ
た後、プラズマ発生室201内に電子注入手段205を
介して電子を電流150mA注入すると共に2.45G
Hzのマイクロ波電源(不図示)より1.2kWの電力
を環状導波管203を介して供給した。
【0038】かくして、プラズマ発生室201内にプラ
ズマを発生させた。この際、プラズマ発生用ガス導入口
208を介して導入された窒素ガスはプラズマ発生室2
01内で励起、分解されて活性種となり、シリコン基板
212の方向に輸送され、成膜用ガス導入手段215を
介して導入されたモノシランガスと反応し、窒化シリコ
ン膜がシリコン基板212上に1.0μmの厚さで形成
した。成膜後、成膜速度、応力などの膜質について評価
した。応力は成膜前後の基板の反り量の変化をレーザ干
渉計Zygo(商品名)で測定し求めた。得られた窒化
シリコン膜の成膜速度は、460nm/minと極めて
大きく、膜質も応力1.1×109dyn/cm2、リーク電流
1.2×10-10A/cm2、絶縁耐圧9MV/cmの極めて
良質な膜であることが確認された。また、電子顕微鏡を
用いてAl配線の断面形状を観測し、成膜による変化は
観られなかった。
【0039】[使用例4]図3に示した光アシストマイ
クロ波プラズマCVD装置を使し、半導体素子層間絶縁
用酸化シリコン膜の形成を行った。基体312として
は、AI配線パターン(ラインアンドスペース0.5μ
m)が形成されたSiO2膜付きP型単結晶シリコン基
板(面方位<100>,抵抗率10Ωcm)を使用し
た。まず、シリコン基板312を基体支持台313上に
設置した後、排気系(不図示)を介してプラズマ発生室
301及び成膜室311内を真空排気し、10-6Tor
rの値まで減圧させた。続いて照明系321のKrCl
*エキシマランプを点灯してシリコン基板312表面に
おける光照度が20mW/cm2となるように光をシリ
コン基板312の表面に照射した。続いてヒータ(不図
示)に通電し、シリコン基板312を300℃に加熱
し、該基板をこの温度に保持した。プラズマ発生用ガス
導入口304を介して酸素ガスを500sccmの流量
でプラズマ発生室311内に導入した。同時に、成膜用
ガス導入手段315からテトラエトキシシラン(TEO
S)ガスを200sccmの流量で成膜室311内に導
入した。
【0040】ついで、排気系(不図示)に設けられたコ
ンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、プラズマ発生
室301内を0.1Torr、成膜室311内を0.0
5Torrに保持した。2.45GHzのマイクロ波電
源より1.5kWの電力を環状導波管303を介してプ
ラズマ発生室301内に供給した。かくして、プラズマ
発生室301内にプラズマを発生させた。プラズマ発生
用ガス導入口304を介して導入された酸素ガスはプラ
ズマ発生室301内で励起、分解されて活性種となり、
シリコン基板312の方向に輸送され、成膜用ガス導入
手段315を介して導入されたテトラエトキシシランガ
スと反応し、酸化シリコン膜がシリコン基板312上に
0.8μmの厚さで形成された。成膜後、成膜速度、均
一性、絶縁耐圧、及び段差被覆性について評価した。段
差被覆性は、Aり配線パターン上に成膜した酸化シリコ
ン膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観測し、段
差上の膜厚に対する段差側壁上の膜厚の比(カバーファ
クタ)を求め評価した。得られた酸化シリコン膜の成膜
速度と均一性は180nm/min±2.7%と良好
で、膜質も絶縁耐圧9.3MV/cm、カバーファクタ
0.9であって良質な膜であることが確認された。ま
た、成膜によるAl配線パターンの断面形状の変化は観
られなかった。
【0041】[使用例5]図3に示した光アシストマイ
クロ波プラズマCVD装置を使用し、半導体素子ゲート
絶縁用酸化シリコン膜の形成を行った。基体312とし
ては、P型単結晶シリコン基板(面方位<100>、抵
抗率10Ωcm)を使用した。シリコン基板312を基
体支持台313上に設置した後、排気系(不図示)を介
してプラズマ発生室301及び成膜室311内を真空排
気し、10-6Torrの値まで減圧させた。続いて照明
系321のKrCl*エキシマランプを点灯してシリコ
ン基板312表面における光照度が20mW/cm2
なるように光をシリコン基板312の表面に照射した。
続いてヒータ(不図示)に通電し、シリコン基板312
を300℃に加熱し、シリコン基板312をこの温度に
保持した。プラズマ発生用ガス導入口304を介して酸
素ガスを200sccmの流量でプラズマ発生室301
内に導入した。同時に、成膜用ガス導入手段315を介
してモノシランガスを50sccmの流量で成膜室31
1内に導入した。ついで、排気系(不図示)に設けられ
たコンダクタンスバルブ(不図示)を調整し、プラズマ
発生室301及び成膜室311内を0.02Torrに
保持した。ついで、2.45GHzのマイクロ波電源よ
り500Wの電力を環状導波管303を介してプラズマ
発生室301内に供給した。
【0042】かくして、プラズマ発生室301内にプラ
ズマを発生させた。この際、プラズマ発生用ガス導入口
304を介して導入された酸素ガスは、プラズマ発生室
301内で励起、分解されて酸素原子などの活性種とな
り、シリコン基板312の方向に輸送され、成膜用ガス
導入手段315を介して導入されたモノシランガスと反
応し、酸化シリコン膜がシリコン基板312上に0.1
μmの厚さで形成された。成膜後、成膜速度、均一性、
リーク電流、絶縁耐圧、及び界面準位密度について評価
した。界面準位密度は容量測定器により得られた1MH
zRF印加の場合のC−V曲線より求めた。得られた酸
化シリコン膜の成膜速度と均一性は110nm/min
±2.3%と良好で、膜質も、リーク電流4×10-11A
/cm2、絶縁耐圧11MV/cm、界面準位密度6×1
10cm-2であって、極めて良質な膜であることが確認さ
れた。
【0043】
【発明の効果】本発明は、以上の構成により、プラズマ
中に電子を注入して、プラズマ電位、ひいてはシース電位
を低下させることが可能となり、基板に入射するイオン
エネルギーを低減することができ、高密度プラズマ中で
薄膜形成を行っても、基板温度が上昇し基板が溶けた
り、または共有結合が切断されるなどのダメージを受け
ずに、低温で高品質な薄膜を高速に形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である電子注入マイクロ波プラズ
マCVD装置の模式図である。
【図2】本発明の一例である有磁場マイクロ波プラズマ
CVD装置の模式図である。
【図3】本発明の一例である光アシストマイクロ波プラ
ズマCVD装置の模式図である。
【図4】従来例の一例であるマイクロ波プラズマCVD
装置の模式図である。
【符号の説明】
101:プラズマ発生室 102:石英管 103:スロット付環状導波管 104:プラズマ発生用ガス導入手段 105:プラズマ中に電子を注入する手段 111:成膜室 112:被覆基体 113:支持体 114:ヒーター 115:成膜用ガス導入手段 116:排気 201:プラズマ発生室 202:石英管 203:スロット付環状導波管 204:プラズマ発生用ガス導入手段 205:プラズマ中に電子を注入する手段 206:コイル 211:プラズマ発生室 212:被覆基体 213:支持体 214:ヒーター 215:成膜用ガス導入手段 216:排気 301:プラズマ発生室 302:石英管 303:スロット付環状導波管 304:プラズマ発生用ガス導入手段 305:プラズマ中に電子を注入する手段 311:プラズマ発生室 312:被覆基体 313:支持体 314:ヒーター 315:成膜用ガス導入手段 316:排気 321:照明系 322:光導入窓 1101:プラズマ発生室 1102:石英管 1103:スロット付環状導波管 1104:プラズマ発生用ガス導入手段 1111:成膜室 1112:被覆基体 1113:支持体 1114:ヒーター 1115:成膜用ガス導入手段 1116:排気
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/31 H01L 21/31 C

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマ発生室及び成膜室内にガスを導
    入し、同時にマイクロ波導入手段によりマイクロ波エネ
    ルギーを投入してプラズマ発生室内にプラズマを発生さ
    せガスを励起、分解して、成膜室内に配された基体上に
    堆積膜を形成するマイクロ波プラズマCVD装置におい
    て、前記プラズマ発生室内の該成膜室側とは対向側に電
    子注入手段を有することを特徴とするマイクロ波プラズ
    マCVD装置。
  2. 【請求項2】 前記装置は、プラズマ発生室と、該プラ
    ズマ発生室に連結した成膜室と、該成膜室内に設置され
    る被履基体を支持する手段と、該プラズマ発生室の周囲
    の一部に配されたマイクロ波導入手段と、該プラズマ発
    生室及び該成膜室内にガスを導入する手段と、該プラズ
    マ発生室及び該成膜室内を排気する手段とで構成されい
    ることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波プラズ
    マCVD装置。
  3. 【請求項3】 前記マイクロ波導入手段として、複数の
    スロットを備えた無終端環状導波管を用いることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載のマイクロ波プラ
    ズマCVD装置。
  4. 【請求項4】 前記装置は、前記マイクロ波の電界に垂
    直な磁界を前記プラズマ発生室内に発生させる手段を有
    することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1
    項に記載のマイクロ波プラズマCVD装置。
  5. 【請求項5】 前記磁界は、前記マイクロ波の周波数の
    略略3.57×10-11(T/HZ)倍の磁束密度をもつ
    ことを特徴とする請求項4に記載のマイクロ波プラズマ
    CVD装置。
  6. 【請求項6】 前記装置は、前記プラズマと離隔した位
    置に前記基体支持体が配されていることを特徴とする請
    求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のマイクロ波プ
    ラズマCVD装置。
  7. 【請求項7】 前記装置は、前記被履基体表面に紫外光
    を照射する手段を有することを特徴とする請求項1〜請
    求項6のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマCV
    D装置。
  8. 【請求項8】 前記被履基体は、プラスチック基板であ
    ることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項
    に記載のマイクロ波プラズマCVD装置。
  9. 【請求項9】 プラズマ発生室内の成膜室側とは対向側
    に設けられた電子注入手段を有し、プラズマ発生室及び
    成膜室内にガスを導入し、同時にマイクロ波導入手段に
    よりマイクロ波エネルギーを投入してプラズマ発生室内
    にプラズマを発生させガスを励起、分解して、成膜室内
    の基体支持体に設置された基体上に堆積膜を形成するマ
    イクロ波プラズマCVD方法において、該基体支持体上
    に被履基体を設置する工程と、該プラズマ発生室及び該
    成膜室内を排気する工程と、該プラズマ発生室及び該成
    膜室内にガスを導入し、所定の圧力に保持する工程と、
    該プラズマ発生室にマイクロ波を導入すると共に前記電
    子注入手段より電子を注入してプラズマを発生せしめ該
    基体上に薄膜を形成する工程とを含むことを特徴とする
    マイクロ波プラズマCVD方法。
  10. 【請求項10】 前記方法は、プラズマ発生室と、該プ
    ラズマ発生室に連結した成膜室と、該成膜室内に設置さ
    れる被履基体を支持する手段と、該プラズマ発生室の周
    囲の一部に配されたマイクロ波導入手段と、該プラズマ
    発生室内の成膜室側とは対向側に設けられた電子注入手
    段と、該プラズマ発生室及び該成膜室内にガスを導入す
    る手段と、該プラズマ発生室及び該成膜室内を排気する
    手段とで構成されるマイクロ波プラズマCVD装置を用
    いて、成膜室内に配された基体上に堆積膜を形成するこ
    とを特徴とする請求項9に記載のマイクロ波プラズマC
    VD方法。
  11. 【請求項11】 前記方法は、紫外光照射手段を用
    い、薄膜形成中に前記被履基体表面上に紫外光を照射す
    ることを特徴とする請求項10に記載のマイクロ波プラ
    ズマCVD方法。
  12. 【請求項12】 前記被履基体は、プラスチック基板で
    あることを特徴とする請求項10または請求項11に記
    載のマイクロ波プラズマCVD方法。
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