JPH09208635A - シラン変性ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

シラン変性ポリオレフィンの製造方法

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JPH09208635A
JPH09208635A JP1754596A JP1754596A JPH09208635A JP H09208635 A JPH09208635 A JP H09208635A JP 1754596 A JP1754596 A JP 1754596A JP 1754596 A JP1754596 A JP 1754596A JP H09208635 A JPH09208635 A JP H09208635A
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JP
Japan
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polyolefin
silane
extruder
vinylsilane compound
screw
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JP1754596A
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Takamasa Fukuoka
孝政 福岡
Hiroyuki Kurio
浩行 栗尾
Masashi Okabe
優志 岡部
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 押出機を用いたポリオレフィンのシラン変性
工程において、スコーチの発生を抑止し、長期にわたっ
てシラン変性ポリオレフィンの生産を安定的に行うこと
ができるシラン変性ポリオレフィンの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 本発明によるシラン変性ポリオレフィン
の製造方法は、スクリュ押出機内で溶融状態にあるポリ
オレフィンにビニルシラン化合物を供給してグラフト反
応を行うに際して、溶融状態にあるポリオレフィンを、
該ポリオレフィンの温度におけるビニルシラン化合物の
飽和蒸気圧以上に加圧する位置にて、スクリュ押出機に
ビニルシラン化合物を供給することを特徴とするもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、押出機を使って、
ラジカル反応によりポリオレフィンにシリコーン誘導体
をグラフトするシラン変性ポリオレフィンの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】シラン変性ポリオレフィンは、水分と接
触すると架橋反応を生じ、機械的強度、耐熱性、耐クリ
ープ性、耐環境応力亀裂性、耐薬品性などの諸特性が通
常の未変性ポリオレフィンに比較し飛躍的に向上するた
め、被覆電線、給湯管、難燃材料などの原料として好適
に用いられている。
【0003】従来プラスチックの成形加工に用いられて
きた押出機を用いて、ラジカル反応によりポリオレフィ
ンにシリコーン誘導体をグラフトする方法は、シラン変
性ポリオレフィンの製造法として公知技術であり、今日
でも広く実施されている。
【0004】従来よりシラン変性ポリオレフィンの製造
ではスクリュ押出機が用いられ、例えば、固相のポリオ
レフィンにビニルトリメトキシシランなどのビニルシラ
ン化合物と有機過酸化物を加えて混合攪拌し一定時間拡
散させた後、得られた組成物を押出機に投入してグラフ
ト反応を完結させる方法、あるいはポリオレフィンとビ
ニルシラン化合物の各々を押出機に個別に投入してこれ
らをグラフト反応させる方法が一般的に行われている。
【0005】特に後者の方法は、完全な連続反応プロセ
スが可能であるので安定性に優れ、またビニルシラン化
合物が揮散しやすい予備混合の工程が無いので作業環境
の点においても優れている。
【0006】しかし何れの方法でも、ビニルシラン化合
物のグラフト反応押出に特有なスコーチ(早期架橋によ
るゲル)が発生して良好な成形体を製造することが困難
な場合が多い。このスコーチの発生は、予めポリオレフ
ィンに吸着していた、或いは系外から侵入した水分によ
り、押出機の内部でシラン変性ポリオレフィンのビニル
シラン化合物が加水分解反応によりシラノール化合物と
なり、さらに脱水縮合反応によりシロキサン縮合物にな
るためと考えられている。
【0007】この問題に対処すべく、一般には、水分を
吸収する、あるいは水分と反応する有機あるいは無機化
合物である、いわゆるスコーチ抑制剤を組成物に添加す
ることが当業者間でよく行なわれており、例えば特公平
1−98655号公報ではスコーチ抑制剤として特定の
ポリシロキサンが用いられている。
【0008】しかしながら、これらのスコーチ抑制剤を
用いてもスコーチ発生の抑止はまだ不充分であり、実際
にはシラン変性ポリオレフィンの製造を数日或いは数週
間にわたって連続操業することは困難とされてきた。ま
た、これらのスコーチ抑制剤の使用は、シラン変性ポリ
オレフィン製造における原料コストのアップを招く。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題点を解決すべく、押出機を用いたポリオレフ
ィンのシラン変性工程において、スコーチの発生を抑止
し、長期にわたってシラン変性ポリオレフィンの生産を
安定的に行うことができるシラン変性ポリオレフィンの
製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明により、スクリュ
押出機内で溶融状態にあるポリオレフィンにビニルシラ
ン化合物を供給してグラフト反応を行うに際して、溶融
状態にあるポリオレフィンを、該ポリオレフィンの温度
におけるビニルシラン化合物の飽和蒸気圧以上に加圧す
る位置にて、スクリュ押出機にビニルシラン化合物を供
給することを特徴とするシラン変性ポリオレフィンの製
造方法が提供せられる。
【0011】本発明によるシラン変性ポリオレフィンの
製造方法に用いられるポリオレフィンは、オレフィン性
モノマーの(共)重合体であり、特に限定されるもので
はないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン
−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩素化
ポリエチレンなどが挙げられ、これらの1種もしくは2
種以上が好適に用いられるが、なかでも低密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン
などのポリエチレンやポリプロピレンなどの1種もしく
は2種以上がより好適に用いられる。尚、ここで言う
「(共)重合体」とは「重合体」または「共重合体」を
意味する。
【0012】本発明によるシラン変性ポリオレフィンの
製造方法に用いられるビニルシラン化合物は下記一般式
(I) で示される。
【0013】RSiR' n 3-n ……(I)
【0014】式(I) 中、Rはアルケニル基またはアルケ
ニルオキシ基、R' は水素原子またはアルキル基、Yは
加水分解し得る有機基、nは0、1もしくは2をそれぞ
れ表す。
【0015】Rで示されるアルケニル基としては、例え
ば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル
基、シクロヘキセニル基、シクロペンタジエニル基など
が挙げられる。また、Rで示されるアルケニルオキシ基
としては、例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基な
どが挙げられる。
【0016】加水分解し得る有機基Yとしては、例え
ば、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセ
トキシ基、プロピオニルオキシ基、アルキルアミノ基、
アリールアミノ基などが挙げられる。nが0または1で
ある場合、Yは同一であっても異なっていてもよい。
【0017】さらに、R' で示されるアルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基などが
例示される。nが2である場合、R' は同一であっても
異なっていてもよい。
【0018】上記一般式(I) で示されるビニルシラン化
合物の具体例としては、n=0の場合ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセ
トキシシラン、n=1の場合ビニルジメトキシメチルシ
ラン、ビニルジエトキシメチルシラン、n=2の場合ビ
ニルメトキシジメチルシラン、ビニルエトキシジメチル
シランなどが挙げられる。これらは単独でもしくは2以
上の組み合わせで好適に用いられる。
【0019】該ビニルシラン化合物の使用量は、特に限
定されるものではないが、少なすぎると最終的に得られ
る水架橋ポリオレフィンのゲル分率が十分高くならず、
機械的強度、耐熱性、耐クリープ性などの諸特性が十分
向上しない。逆に、この使用量が多すぎると、シラン変
性ポリオレフィンの溶融粘度が高くなりすぎて、押出機
に過負荷がかかり作業性が悪化したり、伸張率や熱融着
性などが低下して成形性を著しく悪化させるばかりか、
ビニルシラン化合物が系中に未反応物として残留する可
能性が高くなる。したがって、ビニルシラン化合物の使
用量は前記ポリオレフィン100重量部に対し、好まし
くは0.5〜10重量部、より好ましくは0.7〜5重
量部である。
【0020】本発明方法において、上記ポリオレフィン
に上記ビニルシラン化合物をグラフト付加させる反応に
は、ラジカル開始剤が用いられる。ラジカル開始剤は、
ポリオレフィンのグラフト反応に一般的に用いられる任
意の化合物であればよく、例えば、ベンゾイルパーオキ
サイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3な
どの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジメ
チルアゾジイソブチレートなどのアゾ化合物などが挙げ
られる。これらは単独でもしくは2以上の組み合わせで
好適に用いられる。なかでもジクミルパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
シン−3などの1種もしくは2種以上がより好適に用い
られる。
【0021】本発明によるシラン変性ポリオレフィンの
製造方法において、上記ラジカル開始剤の使用量は、特
に限定されるものではないが、前記ポリオレフィン10
0重量部に対し、好ましくは0.01〜5重量部、より
好ましくは0.02〜2重量部である。
【0022】ラジカル開始剤の使用量が少なすぎると、
グラフト化反応が十分進行しないので所望のゲル分率が
得られず、逆に多すぎると、ポリオレフィン中における
遊離ラジカル部位が多くなりすぎ、いわゆる過酸化物架
橋が進行するので、スコーチ現象(早期架橋物)の発
生、表面平滑性の低下、粘度の異常上昇などが起こり、
作業性が悪化する。
【0023】尚、シラン変性ポリオレフィンには、本発
明の目的を阻害しない範囲で必要に応じ、シラノール縮
合触媒、プロセス熱安定剤、他の酸化防止剤や紫外線吸
収剤、有機および無機充填剤、顔料、染料、加工助剤な
どの各種添加剤の1種もしくは2種以上が含有されてい
ても良い。
【0024】上記シラノール縮合触媒は、シラノール間
の脱水縮合を促進する触媒として一般的に用いられる任
意の化合物であればよく、例えば、ジブチル錫ジラウレ
ート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエ
ート、酢酸第一錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸
鉛、エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、
ピリジンなどの化合物、硫酸、塩酸などの無機酸、トル
エンスルホン酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸など
の有機酸などが挙げられ、これらの1種もしくは2種以
上が好適に用いられるが、なかでもジブチル錫ジラウレ
ートがより好適に用いられる。
【0025】上記紫外線吸収剤としては、2−(5−メ
チル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−{2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチ
ルベンジル)フェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフ
ェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,
5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系
化合物が好適に使用される。
【0026】本発明の製造方法に用いられるスクリュ押
出機は、プラスチックの成形加工で一般的に用いられる
押出機であり、特に限定されるものではないが、1軸ス
クリュ押出機、2軸スクリュ押出機、3本以上のスクリ
ュを備えた多軸スクリュ押出機などが挙げられ、いずれ
も好適に用いられる。
【0027】上記1軸スクリュ押出機としては、一般的
なフルフライト型スクリュに加え、不連続フライト型ス
クリュ、ピンバレル、ミキシングヘッドなどを具備した
押出機などが使用できる。また、上記2軸スクリュ押出
機としては、噛み合い同方向回転型押出機、噛み合い異
方向回転型押出機、非噛み合い異方向回転型押出機など
が好適に使用し得る。
【0028】上記各種スクリュ型押出機のなかでも、混
練性能などを考慮すると、噛み合い(セルフワイピン
グ)同方向回転型2軸スクリュ押出機がより好適に用い
られる。同押出機のスクリュ形状は、2〜3条タイプの
フルフライト型を中心として、部分的にニーディングデ
ィスク、シールリング、逆ネジ、ローターなどのスクリ
ュエレメントを有しているものが好適に使用され得る。
また押出機に真空ベントを設けることは水分、残存モノ
マー、開始剤残渣などの不要物を除去するためには有効
である。
【0029】本発明によるシラン変性ポリオレフィンの
製造方法では、スクリュ押出機内で溶融状態にあるポリ
オレフィンにビニルシラン化合物を供給してグラフト反
応を行うに際して、溶融状態にあるポリオレフィンを、
該ポリオレフィンの温度におけるビニルシラン化合物の
飽和蒸気圧以上に加圧する位置にて、スクリュ押出機に
ビニルシラン化合物を供給する。
【0030】ここで「溶融状態にあるポリオレフィン」
とは、実質的に完全溶融しスクリュ押出機内で流動でき
る状態にあるポリオレフィンを意味し、その樹脂温度
は、例えば一般的な低密度ポリエチレンでは120℃以
上、高密度ポリエチレンでは135℃以上である。
【0031】また「ビニルシラン化合物の飽和蒸気圧」
とは、グラフト反応に使用するビニルシラン化合物の液
体と平衡状態で共存する蒸気の圧力を意味する。一般
に、飽和蒸気圧と温度の関係はアントワン式と呼ばれる
経験式で示され、例えば任意の温度T(℃)におけるト
リメトキシビニルシランの飽和蒸気圧P(mmHg)の値
は以下の如く表される。
【0032】
【式1】
【0033】よって本発明方法における「溶融状態にあ
るポリオレフィンを、該ポリオレフィンの温度における
ビニルシラン化合物の飽和蒸気圧以上に加圧する」と
は、例えばビニルシラン化合物がトリメトキシビニルシ
ランである場合には、200℃で溶融状態にあるポリオ
レフィンに5880mmHg(7.99kgf/cm2
以上の圧力を掛けることをいう。
【0034】スクリュ押出機内で溶融状態にあるポリオ
レフィンに所望の圧力を掛けるには、スクリュ形状の調
整が必要である。単軸スクリュ押出機の場合はスクリュ
のネジリードや溝深さを適切なものにすればよく、また
はスクリュフライトを部分的に取り除いたり、さらには
切り欠きを設けてバックフローを与えることでも圧力を
調節することができる。2軸押出機でも基本的には上記
と同様の方法が用いられるが、他にニーディング用スク
リュや逆リードスクリュ、またシール用リングなどのエ
レメントを配することでも樹脂圧力を調節することがで
きる。以上のスクリュ形状の調整は流量と圧力差の関係
を表す、いわゆるスクリュ特性曲線を用いれば容易に行
うことができる。
【0035】本発明でシラン化合物を供給する方法は特
に限定されないが、溶融状態にあるポリオレフィンの圧
力がビニルシラン化合物の蒸気圧以上であるため、ビニ
ルシラン化合物はこの圧力以上に加圧される必要があ
る。これには高圧の微量送液ポンプ、例えばプランジャ
ー式ポンプなどを用いることが好ましい。押出機シリン
ダーにおいて前述の方法で、溶融状態にあるポリオレフ
ィンが適切に加圧される任意の位置にビニルシラン化合
物を注入する場合、注入口にノズルや逆止弁を設けるこ
とも効果的である。
【0036】本発明の製造方法に必須となる反応ゾーン
での樹脂温度と圧力の条件が満たされれば、グラフト反
応の為の押出機操作条件、例えば、スクリュ回転数、押
出量、シリンダーバレルやダイなどの設定温度などはい
ずれも限定されず、樹脂の滞留時間、熱安定性、吐出物
のパリソン強度などを考慮して適宜決定されればよい。
【0037】押出機出口より吐出されたシラン変性ポリ
オレフィンは、造粒の後、再び押出成形により所望の形
状に賦形してもよい。また、得られたシラン変性ポリオ
レフィンはブロー、カレンダリング、射出成形などの押
出成形以外の方法で賦形することも可能である。あるい
は同押出機先端にダイを設け、シラン変性ポリオレフィ
ンを直接所望の形状に賦形してもよい。賦形されたシラ
ン変性ポリオレフィンは、水分と接触させることで水架
橋させることができるが、この方法としては、高温熱水
処理法、水中浸漬法などが挙げられる。
【0038】本発明方法の作用は下記のように考えられ
る。
【0039】本発明の製造法によればスコーチの発生を
効果的に解消することができる。ただし、その理由は必
ずしも明らかではない。恐らくは、押出機に供給される
ビニルシラン化合物が蒸気圧以上に加圧されているため
に沸点以上でも気化せず、かつ溶融ポリオレフィンと急
激に混練されて反応するので、シラン化合物が押出機内
のバレル内壁面やスクリュ表面に直接触れる可能性が低
くなり、その結果ビニルシランが押出機内で長期滞留し
て縮合し堆積してやがてスコーチとして排出される危険
性が低くなるものと推察される。
【0040】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め、以下に実施例を挙げる。
【0041】実施例1 まず、図1に基づいて、押出機の構成を説明する。
【0042】図1に示す押出機は、セルフワイピング型
の2条スクリュエレメントとニーディングディスクエレ
メントから構成されるスクリュ(直径47mm、L/D
=24.5)、および7分割のシリンダーバレルを備え
た噛み合い型同方向回転2軸スクリュ押出機(型式「T
EX−44型」、日本製鋼所製)であって、その押出方
向先端には、幅85mm厚さ3mmの平板用ダイが連結
してある。該7分割のシリンダーバレルは、押出方向に
向かって配列された第1バレル区画(C1)〜第7バレル区
画(C7)からなり、第1バレル区画(C1)が原料供給部、第
2バレル区画(C2)と第3バレル区画(C3)が可塑化部、第
4バレル区画(C4)がモノマー注入部、第5バレル区画(C
5)、第6バレル区画(C6)および第7バレル区画(C7)が反
応部となるよう、スクリュ形状が図1の下段に示すよう
に調整されている。バレル区画およびダイの設定温度
は、第1バレル区画で室温、第2バレル区画で80℃、
第3〜4バレル区画で160℃、第5〜7バレル区画お
よびダイで190℃とした。尚、第4バレル区画の上部
中央には穴を設け、そこには予め樹脂圧力計(型式「C
Z−100P」、理化工業社製)をセットし、出力変換
機(型式「CT−300」、理化工業社製)を介して樹
脂圧を、また同バレル区画の下部中央部には樹脂用熱電
対(型式「JIS−K」、理化工業社製)をセットして
樹脂温度を、それぞれ直読できるようにした。
【0043】上記構成の押出機において、原料供給部よ
り、高密度ポリエチレン(商品名「ハイゼックス」、三
井石油化学社製)をスクリュフィーダーを用いて30k
g/時間で供給したところ、第5バレル区画の樹脂圧力
は22kgf/cm2 、樹脂温度は197℃を示した。
ここで押出条件を一旦停止し、第5バレル区画より圧力
計を取外し、圧力計の取付け穴に液体添加用ノズル(日
本製鋼所製)をセットした。
【0044】一方、ビニルシラン化合物であるビニルト
リメトキシシラン(商品名「サイラエースS210」、
チッソ社製、197℃における蒸気圧は7.48kgf
/cm2 )100重量部に対し、ラジカル開始剤である
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン(商品名「パーヘキサ25B」、日本油脂
社製)8重量部を加えて溶解し、モノマー溶液を得た。
この溶液を圧力表示付の小型2連式プランジャーポンプ
(型式「WORK−21 MP−312」、ラボコーテ
ック社製)を用いて、300g/時間の流量で上記液体
添加用ノズルに送液し、再びポリエチレンの押し出しを
開始した押出機内に供給した。
【0045】この後にグラフト反応押出の定常操作を7
2時間継続した。この間にダイより吐出するシラン変性
ポリエチレンの樹脂組成物の表面を目視で観察したが、
スコーチ発生などの異常は全く認められなかった。また
72時間後に樹脂組成物の一部をサンプリングし、これ
を110℃の水蒸気が循環する養生器に24時間放置し
て水架橋した後に、JIS K6769に基づきゲル分
率の測定を行ったところ、83.2重量%であった。
【0046】実施例2 ポリエチレンの供給量を50kg/時間、モノマー溶液
の供給量を500g/時間としたこと以外は実施例1と
同様の操作を行った。なお予め測定した第5バレル区画
の樹脂圧力は27kgf/cm2 、樹脂温度は203℃
であった(ビニルトリメトキシシランの203℃におけ
る蒸気圧は8.53kgf/cm2 )。72時間の連続
押出の間に吐出するシラン変性ポリエチレンの樹脂組成
物の表面には、スコーチ発生などの異常は全く認められ
なかった。また72時間後のサンプルのゲル分率は8
0.9重量%であった。
【0047】比較例1 スクリュ形状を図2の下段に示すものに変えたこと以外
は実施例1と同様の操作を行った。なお予め測定した第
5バレル区画の樹脂圧力は1kgf/cm2 、樹脂温度
は202℃であった(ビニルトリメトキシシランの20
2℃における蒸気圧は8.34kgf/cm2 )。グラ
フト反応押出の定常操作を継続したところ、開始後約3
1時間経った時より、吐出するシラン変性ポリエチレン
の樹脂組成物の表面にスコーチ(直径2mm程度のゲル
状付着物)が発生し始め、その後スコーチは増え続け操
作開始より33時間後には全く劣悪な表面となったため
押出を中断した。この時サンプリングしたポリエチレン
のゲル分率は82.0重量%であった。
【0048】以上の通り、実施例1、2の製造方法で得
られたシラン変性ポリエチレンは養生後のゲル分率が高
く、スコーチの発生もない良好な樹脂組成物であった
が、比較例1の製造方法ではシラン変性ポリエチレンの
ゲル分率は高いものの、1日を越えて連 製造を続ける
とスコーチが大量に発生してしまった。
【0049】
【発明の効果】本発明のシラン変性ポリオレフィンの製
造方法によれば、押出機を用いたポリオレフィンのシラ
ン変性工程において、スコーチの発生を抑止し、長期に
わたってシラン変性ポリオレフィンの生産を安定的に行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1の上段は本発明の押出機の一例を示す概
略図、図1の下段はそのスクリュ形状の調整状態を示す
概略図である。
【図2】 図2の上段は従来の押出機の一例を示す概略
図、図2の下段はそのスクリュ形状を示す概略図であ
る。
【図3】 図3は各種スクリュの略号の意味を示すもの
である。
【符号の説明】
C1:第1バレル区画 C2:第2バレル区画 C3:第3バレル区画 C4:第4バレル区画 C5:第5バレル区画 C6:第6バレル区画 C7:第7バレル区画

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スクリュ押出機内で溶融状態にあるポリ
    オレフィンにビニルシラン化合物を供給してグラフト反
    応を行うに際して、溶融状態にあるポリオレフィンを、
    該ポリオレフィンの温度におけるビニルシラン化合物の
    飽和蒸気圧以上に加圧する位置にて、スクリュ押出機に
    ビニルシラン化合物を供給することを特徴とするシラン
    変性ポリオレフィンの製造方法。
JP1754596A 1995-10-30 1996-02-02 シラン変性ポリオレフィンの製造方法 Pending JPH09208635A (ja)

Priority Applications (3)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102067717B1 (ko) * 2018-12-20 2020-01-20 주식회사 엘지화학 가교 폴리올레핀 분리막 및 그의 제조방법

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