JPH09124747A - シラン変性ポリオレフィンおよびその製造方法 - Google Patents

シラン変性ポリオレフィンおよびその製造方法

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JPH09124747A
JPH09124747A JP28197195A JP28197195A JPH09124747A JP H09124747 A JPH09124747 A JP H09124747A JP 28197195 A JP28197195 A JP 28197195A JP 28197195 A JP28197195 A JP 28197195A JP H09124747 A JPH09124747 A JP H09124747A
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JP
Japan
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silane
polyolefin
group
extruder
modified polyolefin
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JP28197195A
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English (en)
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Masashi Okabe
優志 岡部
Takamasa Fukuoka
孝政 福岡
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期にわたって酸化劣化されにくいシラン変
性ポリオレフィンを提案する。 【解決手段】 ラジカル重合開始剤の存在下にポリオレ
フィンに一般式RSiR′n 3-n (Rはアルケニル
基、アルケニルオキシ基、R′はH、アルキル基、Yは
加水分解性有機基、n=0、1)で示されるビニルシラ
ン化合物、および一般式 (R″はH、アルキル基)で示されるピペリジン化合物
をグラフト反応して得られるシラン変性ポリオレフィン
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光、熱、酸化に対
して安定化されたシラン変性ポリオレフィンおよびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シラン変性ポリオレフィンは、水分と接
触すると架橋反応を生じ、機械的強度、耐熱性、耐クリ
ープ性、耐環境応力亀裂性、耐薬品性等の諸特性が通常
の未変性ポリオレフィンに比較し飛躍的に向上するた
め、被覆電線、給湯管、難燃材料等の原料として好適に
用いられている。
【0003】シラン変性ポリオレフィンには、通常、ポ
リオレフィン主鎖(ポリマー骨格分子)の酸化劣化や断
裂による機械的ないしは熱的性能の低下を防ぐ目的で、
一定の割合の酸化防止剤、例えば成形時の酸化劣化を防
ぐリン系、イオウ系等の加工安定剤や、使用環境が原因
の酸化劣化を防ぐヒンダードフェノール系、ヒンダード
アミン系等の製品安定剤などが用いられることが多い。
【0004】しかしながら、シラン変性ポリオレフィン
を給湯管等のパイプ用途に用いる場合、酸化防止剤が単
独または媒体(例えば樹脂中に拡散した水分)と共に樹
脂中を拡散して管表面に移行し、そこから管を流れる温
水中に溶出するという問題があった。
【0005】この場合、管内の流体を上記溶出物質で汚
染することになるばかりか、酸化防止剤が系外に流失す
ることにより劣化が加速し、やがては予め見積った寿命
以前にパイプの性能が低下してしまう。
【0006】この問題の本質は酸化防止剤の樹脂中での
移行であり、このような移行は成形加工時あるいは製品
使用時に起きるものと考えられている。この点を克服す
るためには、拡散能力の小さい高分子量化された酸化防
止剤を利用することが容易に考えられるが、高分子量化
された酸化防止剤は一般的にポリオレフィンとの相溶性
が低く、結果的に酸化防止効果の低下を招く難点があ
る。
【0007】また特開平5−163364号公報では、
エチレンとヒンダードアミンを有するビニル化合物を高
圧法により共重合させた共重合体を、シラン変性ポリオ
レフィンにブレンドし、シラン変性ポリオレフィンパイ
プを押出成形する方法が開示されている。
【0008】しかし、エチレンとヒンダードアミンの共
重合体を得る重合システムは高圧法であるために、直鎖
状の高分子が得られにくく共重合体の密度が上がらず、
その結果シラン変性ポリオレフィンパイプの強度、クリ
ープ特性等の物性に悪影響を及ぼす。さらには酸化防止
機能を果たすヒンダードアミン骨格が副成分の共重合体
に局在化しており、組成の大部分を占めるシラン変性ポ
リオレフィンは分子内にヒンダードアミン骨格を有しな
いため、酸化防止機能効果が十分に発揮されない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術の上記のような問題点を解決するためシラン変性ポ
リオレフィンを更に化学変性して、長期にわたって酸化
劣化されにくいシラン変性ポリオレフィン、およびその
製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を達成すべく種々検討した結果、ポリオレフィンに特
定のビニルシラン化合物および特定のピペリジン化合物
をラジカル開始剤の存在下にグラフト反応させることに
より、耐酸化劣化性に優れたシラン変性ポリオレフィン
を容易に得ることができることを見出した。
【0011】請求項1記載の発明は、ラジカル重合開始
剤の存在下に、ポリオレフィンに、一般式 RSiR′n 3-n ……(1) (式中Rはアルケニル基またはアルケニルオキシ基、
R′は水素原子またはアルキル基、Yは加水分解し得る
有機基を表し、n=0または1である)で示されるビニ
ルシラン化合物、および一般式
【化3】 (式中R″は水素原子またはアルキル基を表す)で示さ
れるピペリジン化合物をグラフト反応して得られるシラ
ン変性ポリオレフィンである。
【0012】本発明で用いられるポリオレフィンは、オ
レフィン性モノマーの単重合体もしくは共重合体であ
り、特に限定されるものではない。ポリオレフィンとし
ては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン
−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−ブテン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸エステル共重合体、塩素化ポリエチレン等が
挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用い
られ、特に低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレンやポリプロ
ピレン等の1種もしくは2種以上がより好適に用いられ
る。
【0013】本発明に用いられるビニルシラン化合物は
下記一般式(1) で示される。
【0014】RSiR′n 3-n ……(1) 上記一般式(1) 中、基Rはアルケニル基もしくはアルケ
ニルオキシ基を表し、特に限定されるものではない。例
えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニ
ル基、シクロヘキセニル基、シクロペンタジエニル基等
が挙げられる。
【0015】上記一般式(1) 中、基R′は水素原子又
は、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基等のア
ルキル基を表す。
【0016】又、上記一般式(1) 中、基Yは加水分解し
得る有機基を表し、複数のYは同一であっても異なって
いてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ホルミ
ルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ア
ルキルアミノ基、アリールアミノ基等が挙げられる。
【0017】nは0または1である。
【0018】上記一般式(1) で示されるビニルシラン化
合物の具体例としては、特に限定されるものではない
が、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン等が挙げられ、これ
らの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0019】該ビニルシラン化合物の使用量は、特に限
定されるものではないが、少なすぎると最終的に得られ
る水架橋ポリオレフィンのゲル分率が十分高くならず、
多すぎるとシラン変性ポリオレフィンの溶融粘度が高く
なり過ぎて成形性を著しく悪化させるばかりか、系中に
未反応物として残留する可能性が高くなるため、前記ポ
リオレフィン100重量部に対し、好ましくは0.5〜
10重量部、より好ましくは0.7〜5重量部である。
【0020】本発明で使用される特定のピペリジン化合
物は下記一般式(2) で示される。
【0021】
【化4】 上記一般式(2) 中、基R″は水素原子または、メチル
基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基等のア
ルキル基を表す。
【0022】上記一般式(2) で表されるピペリジン化合
物としては、例えば4−メタクリロイルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロ
イルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリ
ジンが好適に用いられる。
【0023】本発明では、上記の1つあるいは2つのピ
ペリジン化合物を用いることができる。ピペリジン化合
物の使用量は前記ポリオレフィン100重量部に対し、
0.05〜1重量部であることが好ましい。ポリオレフ
ィン100重量部に対する該ピペリジン化合物の使用量
が0.05重量部未満であると、最終的に得られる水架
橋ポリオレフィンの酸化防止効果が充分に得られず、長
期の機械的強度、耐クリープ性、耐候性等が不足し、ま
た1重量部を超えての使用は、もはや物性の向上が期待
できずコスト的に無駄であるばかりか、シラン変性ポリ
オレフィンの着色(黄変)の原因となり好ましくない。
より好ましい使用量は0.1〜0.5重量部である。
【0024】本発明に用いられるラジカル開始剤として
は、ポリオレフィンのグラフト反応に一般的に用いられ
る任意の化合物であれば良く、例えば、過酸化ベンゾイ
ル、2,4−ジクロロ過酸化ベンゾイル、t−ブチルペ
ルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエー
ト、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチ
ルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン等の有機過酸化物、
アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチ
レート等のアゾ化合物等が挙げられ、これらの1種もし
くは2種以上が好適に用いられる。なかでもジクミルペ
ルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルペルオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオ
キシ)−3−ヘキシン等の1種もしくは2種以上がより
好適に用いられる。
【0025】該ラジカル開始剤の使用量は、少なすぎる
とグラフト化反応の転化が不十分であり、多すぎるとポ
リオレフィン中における遊離ラジカル部位が多くなり過
ぎていわゆる過酸化物架橋が進行するので、前述のポリ
オレフィン100重量部に対し、好ましくは0.01〜
5重量部、より好ましくは0.02〜2重量部である。
【0026】本発明のシラン変性ポリオレフィンは、該
ラジカル開始剤の存在下に、上記のポリオレフィンに、
上記のビニルシラン化合物、および上記の特定のピペリ
ジン化合物をグラフト反応して得られるものである。
【0027】得られるシラン変性ポリオレフィンは、オ
レフィン骨格にビニルシランとメタクリロイルオキシピ
ペリジンが側鎖としてランダムにグラフトされた高分子
化合物と考えられる。ただしその分子構造は特に限定さ
れない。
【0028】また、本発明のシラン変性ポリオレフィン
には、本発明の目的を損わない範囲で必要に応じ、シラ
ノール縮合触媒、プロセス熱安定剤、他の酸化防止剤や
紫外線吸収剤、有機および無機充填剤、顔料、染料、加
工助剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が含有さ
れていても良い。
【0029】特にこれらの中で、後の水架橋工程での効
率を改善する目的で、シラノール縮合触媒を導入するこ
とは効果的である。この様なシラノール縮合触媒は、シ
ランのシラノール間の脱水縮合を促進する触媒として一
般的に用いられる任意の化合物であれば良く、例えば、
ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、
ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、
酢酸第一錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、エチ
ルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン
等の化合物、硫酸、塩酸等の無機酸、トルエンスルホン
酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸等の有機酸等が挙
げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いら
れる。なかでもジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫
ジラウレートがより好適に用いられる。
【0030】シラノール縮合触媒の含有量は、少なすぎ
ると触媒機能が十分に発揮されず、水架橋に長時間を要
することになり、多すぎると溶融成形時に早期架橋が起
こり成形性を悪化させるので、前述のポリオレフィン1
00重量部に対し、シラノール縮合触媒0.001〜5
重量部であることが好ましく、なかでも0.005〜1
重量部であることがより好ましい。
【0031】次に、請求項2記載の発明について説明す
る。
【0032】本発明によるシラン変性ポリオレフィンの
製造方法は、押出機内にて、ポリオレフィン、上記一般
式(1) で示されるビニルシラン化合物、上記一般式(2)
で示される特定のピペリジン化合物、およびラジカル開
始剤を混合加熱し、グラフト反応させることを特徴とす
る。
【0033】本発明の製造方法に用いられる押出機は、
プラスチックの成型加工で一般的に用いられるスクリュ
ー押出機であり、特に限定されるものではない。例えば
1軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、3本以
上のスクリューを備えた多軸スクリュー押出機等がいず
れも好適に用いられる。
【0034】上記1軸スクリュー押出機としては、一般
的なフルフライト型スクリューに加え、不連続フライト
型スクリュー、ピンバレル、ミキシングヘッド等を備え
た押出機なども挙げられる。また、上記2軸スクリュー
押出機としては、噛み合い同方向回転型押出機、噛み合
い異方向回転型押出機、非噛み合い異方向回転型押出機
等が好適に使用し得る。
【0035】上記各種スクリュー型押出機のなかでも、
混練性能等を考慮すると、噛み合い(セルフワイピン
グ)同方向回転型2軸スクリュー押出機がより好適に用
いられる。同押出機のスクリュー形状は、2〜3条タイ
プのフルフライト型を中心として、部分的にニーディン
グディスク、シールリング、逆ネジ、ローター等のスク
リューエレメントを備えたものが好適に使用され得る。
【0036】グラフト反応の為の押出機操作条件、例え
ば、スクリュー回転数、押出量、シリンダー設定温度等
は特に限定されず、押出機内滞留時間、混練度、成形時
のパリソン強度等を考慮して適宜決定されれば良い。
又、押出機の後段に真空ベントを設けることは水分、残
存モノマー、開始剤残渣等の不溶物を除去するために有
効である。
【0037】本発明のグラフト反応を行うに際し、ポリ
オレフィン、ラジカル開始剤、特定のビニルシラン化合
物、および特定のピペリジン化合物を押出機に供給する
方法は任意であってよい。例えばこれらをそれぞれ単独
に投入してもよいし、または予めラジカル開始剤とピペ
リジン化合物をビニルシラン化合物に溶解して一旦液状
組成物とし、それをポリオレフィンに含浸した後に、得
られた含浸物を投入してもよく、さらには、ポリオレフ
ィンと該液状組成物とを別々に投入してもよい。
【0038】押出機出口より吐出されたシラン変性ポリ
オレフィンは、造粒の後、再び押出成形により所望の形
状に賦型してもよいが、他にもブロー、カレンダリン
グ、射出成形等の押出成形以外の方法で賦型することも
可能である。
【0039】本発明においては、上記のグラフト反応用
の押出機先端に所望形状のダイを設置し、得られたシラ
ン変性ポリオレフィンを所望の形状に賦形する、いわゆ
る一段法の採用は、非常に有効である。その理由は、酸
化防止剤が既に、グラフト反応のモノマーであるビニル
シラン化合物と共にポリオレフィンに導入されているか
らである。更にシラノール縮合触媒をも押出機後段より
直接注入すれば、従来より二段法で用いられてきたシラ
ノール縮合触媒と酸化防止剤を含有するマスターバッチ
が一切不要となるので、一段法の利点が増大する。
【0040】賦型されたシラン変性ポリオレフィンは、
水分と接触させることで水架橋させることが出来る。こ
の水架橋方法としては、高温熱水処理法、水中浸漬法等
が挙げられる。
【0041】本発明は次のような作用を発揮する。
【0042】本発明のシラン変性ポリオレフィンによれ
ば、酸化防止剤である特定のピペリジン化合物が、ビニ
ルシラン化合物と同様にポリオレフィンにグラフト反応
して固定化しているため、成形加工時あるいは後の製品
使用時に酸化防止剤が溶出することがない。また該ピペ
リジン化合物はポリオレフィンと化学結合しているた
め、酸化劣化の連鎖反応を停止させるラジカル捕捉剤と
しての機能が極めて高くなる。その上、本発明で使用す
る特定のピペリジン化合物は、自己再生能力のあるヒン
ダードアミン系安定剤に属するので、その酸化防止効果
は非常に長期にわたって持続する。
【0043】また本発明の製造法によれば、ポリオレフ
ィンにビニルシラン化合物をグラフトさせると同時に該
ピペリジン化合物をグラフトさせることが可能である。
この方法は単にエネルギー効率に優れる製造プロセスで
あるばかりか、両グラフト基をポリオレフィンの分子骨
格にランダムに付加させることが可能になり、酸化防止
効果が高くなる。またラジカル開始剤による過酸化物架
橋に伴う溶融粘度の増加も一度で済むため、グラフトポ
リマーの加工性能低下を防ぐことができる。
【0044】さらに低密度ポリエチレン、直鎖状低密度
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等
のポリオレフィンの種類は限定されないので、汎用性が
非常に広い。
【0045】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例、およびこ
れと比較すべき比較例を示す。
【0046】(実施例1)ビニルシラン化合物であるビ
ニルトリメトキシシラン(商品名「サイラエースS21
0」、チッソ社製、後に示す表中「VTMOS」)に、
ピペリジン化合物である4−メタクリロイルオキシ−
1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(商品名
「LA−82」、旭電化社製、表中「LA−82」)、
およびラジカル開始剤である2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(商品名「パー
ヘキサ25B」、日本油脂社製、表中「DMDBPO
H」)を加えて溶解し、液状組成物を得た。この時の組
成物比(ポリエチレン100重量部に対する重量部)を
表1に示す。
【0047】セルフワイピング型の2条スクリューエレ
メントとニーディングディスクエレメントから構成され
るスクリュー(直径47mm、L/D=35)及び10
分割のシリンダーバレルを備えた噛み合い型同方向回転
2軸スクリュー押出機(型式「TEX−44型」、日本
製鋼所社製)の先端に、厚さ4mm、幅400mmのコ
ートハンガーダイを連結した。尚、上記10分割のシリ
ンダーバレルの各区画は、押出機の上流側から下流側に
向かって第1区画〜第10区画とし、又、各区画及びコ
ートハンガーダイの温度は、第1区画〜第3区画を15
0℃、第4区画〜第10区画及びコートハンガーダイを
170℃に設定した。
【0048】ホッパーに高密度ポリエチレン(商品名
「ハイゼックス 2200J」、三井石油化学社製、表
中「HDPE」)を投入し、スクリューフィーダーを用
いて、20kg/時間の供給量で供給口から上記押出機
に供給した。同時に、マイクロポンプ(型式「VC−1
02 MODEL186−346」、中央理科社製)を
用いて、上記の液状組成物を一定の供給量で同じ供給口
から押出機に供給した。この間、スクリュー回転数90
rpmで押出機を運転し、ダイより吐出したシラン変性
ポリエチレンをロール引き取り機にて冷却賦型して厚さ
約4mmのシート成形体を得た。これを後述するMFR
の評価サンプルとした。
【0049】続いてこのシート成形体を厚さ3mmにプ
レス成形し、得られた成形品を110℃の水蒸気中に1
2時間放置して水架橋工程を完了し、得られた架橋物を
架橋ポリエチレンシート評価サンプルとした。
【0050】(実施例2)ピペリジン化合物として4−
メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン(商品名「LA−87」、旭電化社製、表中
「LA−87」)を用いたこと以外は、実施例1と全く
同様にしてシラン変性ポリエチレンのシート成形体を得
た。これを後述するMFRの評価サンプルとした。続い
てこのシート成形体を実施例1と全く同様に熱処理し
て、水架橋を行った。得られた架橋物を架橋ポリエチレ
ンシート評価サンプルとした。
【0051】(実施例3)実施例1と全く同様にして液
状組成物を得た。この時の組成物比は表1の通りであ
る。
【0052】実施例1で用いたのと全く同じ噛み合い型
同方向回転2軸スクリュー押出機の先端に、外径21.
5mm、内径16.2mmのパイプ用成形ダイを連結
し、10分割のシリンダーバレルおよびパイプ用ダイの
温度設定を、第1区画〜第6区画で170℃、第7区画
で155℃、第8区画〜第10区画及びパイプ用ダイで
140℃とした。
【0053】ホッパーに高密度ポリエチレン(商品名
「ハイゼックス 2200J」、三井石油化学社製、表
中「HDPE」)を投入し、スクリューフィーダーを用
いて、20kg/時間の供給量で供給口から上記押出機
に供給した。同時に、マイクロポンプにより上記の液状
組成物を一定の供給量で同じ供給口から押出機に供給し
た。又、シラノール縮合触媒としてジ−n−ブチル錫ジ
ラウレート(和光純薬社製、表中DBTDL)を、プラ
ンジャーポンプを用いて、8g/時間の供給量で送液
し、圧入ノズルにより第9区画から押出機に供給した。
この間、スクリュー回転数40rpmで押出機を運転
し、パイプダイ吐出口よりシラン変性ポリエチレンのパ
イプ成形体を得た。これを後述するMFRの評価サンプ
ルとした。
【0054】続いてこのパイプを110℃の水蒸気中で
4時間熱処理して水架橋を行った。得られた架橋物を架
橋ポリエチレンパイプ評価サンプルとした。
【0055】(比較例1)ピペリジン化合物を含めて酸
化防止剤を一切用いないこと以外は、実施例1と全く同
様にしてシラン変性ポリエチレンのシート成形体を得
た。これを後述するMFRの評価サンプルとした。続い
てこのシート成形体を実施例1と全く同様に熱処理し
て、水架橋を行った。得られた架橋物を架橋ポリエチレ
ンシート評価サンプルとした。
【0056】(比較例2)ピペリジン化合物としてヒン
ダードアミン化合物であるビス(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名「TI
NUVIN770DF」、チバガイギー社製、表中「7
70」)を用いたこと以外は、実施例1と全く同様にし
てシラン変性ポリエチレンのシート成形体を得た。これ
を後述するMFRの評価サンプルとした。続いてこのシ
ート成形体を実施例1と全く同様に熱処理して、水架橋
を行った。得られた架橋物を架橋ポリエチレンシート評
価サンプルとした。
【0057】(比較例3)ピペリジン化合物として高分
子量型ヒンダードアミン化合物である、ポリ[{6−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジイル} {2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキ
サメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)イミノ}](商品名「CHIMASSORB
944LD」、チバガイギー社製、表中「944」)を
用いたこと以外は、実施例1と全く同様にしてシラン変
性ポリエチレンのシート成形体を得た。これを後述する
MFRの評価サンプルとした。続いてこのシート成形体
を実施例1と全く同様に熱処理して、水架橋を行った。
得られた架橋物を架橋ポリエチレンシート評価サンプル
とした。
【0058】(比較例4)ピペリジン化合物である4−
メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメ
チルピペリジン(商品名「LA−82」、旭電化社製、
表中「LA−82」)0.25重量部に、ラジカル開始
剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペ
ルオキシ)ヘキサン(商品名「パーヘキサ25B」、日
本油脂社製、表中「DMDBPOH」)0.02重量部
を加えて溶解し、液状組成物を得た。この時の組成物比
はいずれもポリエチレン100重量部に対するものであ
る。
【0059】実施例1と同様の押出機を用い、後端に厚
さ2mm、幅400mmのコートハンガーダイを連結し
た。各区画及びコートハンガーダイの温度は、第1区画
〜第3区画を150℃、第4区画〜第10区画及びコー
トハンガーダイを180℃に設定した。
【0060】ホッパーに高密度ポリエチレン(商品名
「ハイゼックス 2200J」、三井石油化学社製、表
中「HDPE」)を投入し、スクリューフィーダーを用
いて、20kg/時間の供給量で供給口から上記押出機
に供給した。同時に、マイクロポンプ(型式「VC−1
02 MODEL186−346」、中央理科社製)を
用いて、上記の液状組成物を一定の供給量で同じ供給口
から押出機に供給した。この間、スクリュー回転数90
rpmで押出機を運転し、ダイより吐出したシラン変性
ポリエチレンをロール引き取り機にて冷却賦形して厚さ
約2mmのシート成形体を得、直ちにシート切断機によ
り裁断し、5mm角のピペリジン変性ポリエチレンペレ
ットを得た。
【0061】ビニルシラン化合物であるビニルトリメト
キシシラン(商品名「サイラエースS210」、チッソ
社製、表中「VTMOS」)1重量部に、ラジカル開始
剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペ
ルオキシ)ヘキサン(商品名「パーヘキサ25B」、日
本油脂社製、表中「DMDBPOH」)0.08重量部
を加えて溶解し、液状組成物を得た。この時の組成物比
は上記のピペリジン変性ポリエチレン100重量部に対
するものである。
【0062】実施例1と同様の押出機を用い、後端に厚
さ4mm、幅400mmのコートハンガーダイを連結し
た。各区画及びコートハンガーダイの温度は、第1区画
〜第3区画を150℃、第4区画〜第10区画及びコー
トハンガーダイを170℃に設定した。
【0063】ホッパーに上記で得られたピペリジン変性
ポリエチレンペレットを投入し、スクリューフィーダー
を用いて、20kg/時間の供給量で供給口から上記押
出機に供給した。同時に、マイクロポンプ(型式「VC
−102 MODEL186−346」、中央理科社
製)を用いて、上記の液状組成物を一定の供給量で同じ
供給口から押出機に供給した。この間、スクリュー回転
数90rpmで押出機を運転し、ダイより吐出したシラ
ン変性ポリエチレンをロール引き取り機にて冷却賦形し
て厚さ約4mmのシート成形体を得た。これを後述する
MFRの評価サンプルとした。
【0064】続いてこのシート成形体を実施例1と全く
同様に熱処理して、水架橋を行った。得られた架橋物を
架橋ポリエチレンシート評価サンプルとした。
【0065】(性能評価試験)実施例および比較例で得
られた成形体を対象として、下記の項目について性能評
価試験を行った。
【0066】○MFR JIS K6760に基づき計測を行った。
【0067】○ゲル分率 JIS K6769に基づき計測を行った。
【0068】○脆化時間 評価サンプルを100℃の熱水中に200日間浸漬し
た。この浸漬後の評価サンプルについて、JIS K7
113に基づき引張試験機で破断点伸び率を測定し、初
期破断点伸び率とした。続いて浸漬後のサンプルを10
0℃のオーブン中に放置し、50日ごとに破断点伸び率
を計測し、伸び保持率が50%以下になった時間を脆化
時間とした。尚、破断点伸び率、伸び保持率は以下の式
により算出した。
【0069】
【数1】 計測結果を表1に示す。
【0070】
【表1】 表1から明らかな通り、実施例1、2のシラン変性ポリ
エチレンは流動性(溶融加工性)に優れ、水架橋後には
ゲル分率が高く、且つ厳しい環境試験後にも初期の性能
を維持している。また実施例3では1段の工程で長期性
能に優れた水架橋シラン変性ポリエチレンパイプを得る
ことができた。
【0071】これに対し、酸化防止剤として同じく自己
再生能力をもつピペリジン化合物を用いた比較例2、同
じく高分子量のピペリジン化合物を用いた比較例3で
は、いずれも酸化防止剤がポリエチレンと化学結合して
いないため熱湯浸漬中にそれらが溶出し、後の促進評価
時に成形体が酸化劣化を起こして早期に脆化した。
【0072】またピペリジン化合物のグラフト反応の後
にビニルシラン化合物のグラフト反応を行った比較例4
では、シラン変性ポリオレフィンの溶融流動性は大きく
低下してしまった。
【0073】
【発明の効果】本発明のシラン変性ポリオレフィンは過
酷な環境での使用に対しても耐酸化劣化性に優れ、初期
性能が長期にわたって持続するものであり、本発明の製
造方法によれば、この様に優れたシラン変性ポリオレフ
ィンを容易かつ安定的に得ることが出来る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジカル重合開始剤の存在下に、ポリオ
    レフィンに、一般式 RSiR′n 3-n ……(1) (式中Rはアルケニル基またはアルケニルオキシ基、
    R′は水素原子またはアルキル基、Yは加水分解し得る
    有機基を表し、n=0または1である)で示されるビニ
    ルシラン化合物、および一般式 【化1】 (式中R″は水素原子またはアルキル基を表す)で示さ
    れるピペリジン化合物をグラフト反応して得られるシラ
    ン変性ポリオレフィン。
  2. 【請求項2】 押出機内にて、ポリオレフィン、一般式 RSiR′n 3-n (式中Rはアルケニル基またはアルケニルオキシ基、
    R′は水素原子またはアルキル基、Yは加水分解し得る
    有機基を表し、n=0または1である)で示されるビニ
    ルシラン化合物、一般式 【化2】 (式中R″は水素原子またはアルキル基を表す)で示さ
    れるピペリジン化合物、およびラジカル重合開始剤を混
    合加熱し、ポリオレフィンにビニルシラン化合物および
    ピペリジン化合物をグラフト反応させることを特徴とす
    るシラン変性ポリオレフィンの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008543540A (ja) * 2005-06-14 2008-12-04 バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー 向上した特性を有する多層プラスチック耐食コーティング
JP2012009663A (ja) * 2010-06-25 2012-01-12 Japan Polyethylene Corp 太陽電池封止材用樹脂組成物
WO2018225709A1 (ja) * 2017-06-08 2018-12-13 タキロンシーアイ株式会社 屋外成型体用変性ポリオレフィン樹脂、それを用いた屋外成型体及びこれらの製造方法

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