JP3522966B2 - 改質ポリプロピレン系樹脂組成物およびその製法 - Google Patents
改質ポリプロピレン系樹脂組成物およびその製法Info
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Description
樹脂と1,3−ブタジエン単量体とラジカル重合開始剤
とを溶融混練することによりうる改質ポリプロピレン系
樹脂組成物、およびその製法に関する。
剛性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などがすぐれたも
のであり、また、安価であることから、フィルム、繊
維、そのほか様々な形状の成形品などの広い範囲の使用
用途を有するものである。
脂は、溶融時の粘度、とくに溶融時の伸長粘度が著しく
低いものであり、そのために、たとえばブロー成形、押
出成形、発泡成形など溶融させた状態の樹脂を大きく変
形させる成形方法においては、適切な成形体に加工しう
る加工条件幅が狭いという問題がある。
おける問題点を改良する方法の一つとして、たとえば、
ポリプロピレン系樹脂にポリエチレンなどを物理的に混
合する方法が広く用いられている。しかしながら、この
方法によれば、加工性を充分に改良するためには多量の
ポリエチレンが必要であり、そのような樹脂からえられ
る成形体は剛性が低いものとなる。
ロピレン系樹脂を用いて成形品を製造する方法もあげら
れる。しかしながら、このような樹脂は押出成形するば
あい、高粘度であるために、押出機への負荷が大きくな
るという問題点を有する。また、このような樹脂は、溶
融状態で大きく変形しにくいために、たとえばブロー成
形においては、高延伸倍率のものに成形しがたく、ま
た、発泡成形においては、高発泡倍率のものに成形しが
たいものである。
崩壊性樹脂であるため、一般にポリマー分子間の架橋剤
として作用しうるラジカル重合開始剤により、このポリ
プロピレン系樹脂のポリマー分子どうしを架橋(分子量
を増加)させ、改質するということは困難である。
て、特開昭62−121704号公報には、特定の酸素
濃度に調節したガス雰囲気下にて、直鎖状の分子構造を
有する半結晶性のポリプロピレン系樹脂に放射線を照射
することによって、このポリプロピレン系樹脂の溶融時
の粘度および抗張力を高める方法が提案されている。前
記特許公報には、この方法により改質されたポリプロピ
レン系樹脂が、そのポリマー分子に長鎖の分岐を有する
構造のものであること、およびこの樹脂がブロー成形、
押出コーティング成形などの成形方法に適したものであ
ることが記載されている。
ピレン系樹脂がこれらの成形方法に適したものである理
由として、この樹脂の溶融状態で測定した伸長粘度が、
歪み量が増加するに従い急激に上昇するものであるとい
うこと、すなわち、この樹脂を溶融状態で引張り変形さ
せるばあいに、伸長歪の増大に従い伸長粘度が増大し、
そして特定の伸長歪の値に達したときを境にして、伸長
粘度が急激に増大するものであるという点があげられて
いる。
レン系樹脂を改質するばあい、放射線を利用するため
に、用いる装置が大規模で、そしてその装置の構造が複
雑なものになるということが避けられない。また、放射
線照射の工程において、プロピレン系樹脂の分解および
ゲル化を防ぎ、安定して製品を製造するためには、放射
線の照射量および雰囲気ガスの酸素濃度を厳密に制御す
る必要がある。また、このようにして製造条件を厳密に
制御する必要性があるために、目的とする改質ポリプロ
ピレン系樹脂の物性にバリエーションをもたせることが
容易なものでなかった。
な装置を用い、容易な方法により、溶融時の粘度、とく
に溶融時の伸長粘度が高い改質ポリプロピレン系樹脂組
成物をうることにある。
した伸長粘度が、歪み率が増加するに従い急激に上昇す
る、押出成形、発泡成形性、ブロー成形性、真空成形性
にすぐれた改質ポリプロピレン系樹脂組成物をうること
にある。
題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹
脂と1,3−ブタジエン単量体とラジカル重合開始剤と
を溶融混練することによりえられる改質ポリプロピレン
系樹脂組成物の溶融粘度が過度に低下しておらず、ま
た、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物はポリプロピ
レン系樹脂の本来有する好適な物理的性質が損なわれて
いるものでなく、溶融時の伸長粘度が高く、加工性が飛
躍的に改良されたものであることを見出し、本発明を完
成するに至った。
脂と1,3−ブタジエン単量体とラジカル重合開始剤と
を溶融混練してうる改質ポリプロピレン系樹脂組成物の
製法に関する。
る改質ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
粘度が、歪み量が増加するに従い急激に上昇する前記改
質ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂と1,3−ブタジエ
ン単量体とラジカル重合開始剤とを溶融混練してえら
れ、溶融時の粘度、とくに溶融時の伸長粘度が高いの
で、溶融させた状態の樹脂組成物を大きく変形させる成
形方法に供するばあいでも、ドローダウンがおこりにく
いなど、加工性が著しく改良されているものである。
樹脂組成物において、溶融状態で測定した伸長粘度が、
歪み量が増加するに従い急激に上昇するという特性を有
するものであることが好ましい。
く変形させる成形方法の例としては、ブロー成形、押出
コーティング成形、発泡成形、真空成形、圧空成形など
の方法があげられる。
粘度が、歪み量が増加するに従い急激に上昇する特性
(以下、「特定の伸長粘度特性」ということもある)に
ついて、つぎに説明する。
ば、直径3mm程度のストランド状の樹脂組成物の成形
体をサンプルとし、このサンプルの両端をロータリーク
ランプではさみ、このサンプルが完全に溶融する温度
(たとえば、本発明における改質ポリプロピレン系樹脂
組成物のばあい、通常180℃程度)にこのサンプルの
温度を維持し、このサンプルを一定の歪み速度で伸長さ
せ、チャック間に生じる応力の測定を経時的に行ない、
応力とその時のサンプルの断面積との関係より、伸長粘
度を求める方法があげられる。
ロットする。このとき、伸長粘度が、測定時間の経過に
従って(歪みが大きくなるに従って)、しだいに大きく
なり、ある測定時間のとき(ある歪みのとき)から、そ
れまでに比べ伸張粘度の増加率が急激に増大するもの
が、特定の伸長粘度特性を有するものであるといえる。
に伸長粘度の対数をとってえた測定時間と伸長粘度との
関係を表わす曲線において、該曲線の測定初期における
伸長粘度が測定時間の経過に従って比較的緩やかに上昇
している部分から引出した直線の傾きに対して、伸長粘
度が測定時間の経過に従って最も急激に上昇している部
分から引出した直線の傾きが1.2倍以上、なかんづく
1.5倍以上であることが好ましい。また、この値の上
限は制限されないが、通常、本発明の改質ポリプロピレ
ン系樹脂組成物の製法によれば、この値が20倍程度の
改質ポリプロピレン系樹脂組成物が製造できる。
直線の傾きは、つぎの式: 直線の傾き=Δ(logηe)/Δ(logt) により求める(ここで、ηeは伸張粘度(Pa・se
c)、tは測定時間(sec)を表わす)。
する改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、通常、この伸
長粘度の測定において、測定時間の経過(歪み量の増
大)につれて、その伸長粘度が低くなる測定領域が存在
せず、測定試料が最終的に、あたかもゴムが切れるよう
に弾性的に破壊する。
ン系樹脂のばあい、一般に、測定時間の経過(歪み量の
増大)と共に伸長粘度が増大するものの、急激な伸長粘
度の増大はほとんど観察されない。また、多くのばあ
い、測定試料が破断する直前にその伸長粘度が低下する
現象がみられ、続いて塑性的に破断する。
リプロピレン系樹脂組成物の伸長粘度と測定時間との関
係を示す。この図は、改質ポリプロピレン系樹脂組成物
を直径3mm、長さ180mmの円柱形のロッドに成形
し、180℃のもと、歪み速度0.05/secで伸長
させたときの伸長粘度(対数)と測定時間(対数)との
関係を示すものである。
示す曲線の測定初期の平坦部(伸長粘度が測定時間の経
過に従って、比較的緩やかに上昇している部分)から引
きだした直線の傾きと、この曲線において伸長粘度が測
定時間の経過に従って最も急激に上昇している部分から
引きだした直線の傾き(図中のカッコ内に、それぞれの
傾きの値を示す)との関係から、前記伸長粘度が、歪み
率が増加するに従い急激に上昇していることが判る。
れるものではなく、ポリプロピレン系樹脂組成物が実質
的に溶融する温度以上であり、ポリプロピレン系樹脂組
成物が熱分解を開始する温度未満である温度範囲から任
意に選んでよく、通常170〜250℃の範囲で設定す
ることが好ましい。また、歪み速度条件は、通常0.0
1〜0.5/secの範囲で設定することが好ましい。
の範囲内にあり、かつ前記歪み速度条件の範囲内にある
任意の1点の測定条件にて認められる樹脂であれば、通
常、これら測定温度および歪み速度条件のすべての範囲
内の測定条件での測定において、この特定の伸長粘度特
性が認められる。
は、ポリプロピレン系樹脂(以下、このポリプロピレン
系樹脂のことを「原料ポリプロピレン系樹脂」というこ
ともある)と1,3−ブタジエン単量体とラジカル重合
開始剤とを樹脂が溶融する温度のもとで混練することに
よりえられる。
プロピレンの単独重合体、プロピレンとほかの単量体と
のブロック共重合体またはプロピレンとほかの単量体と
のランダム共重合体などの結晶性の重合体があげられ、
剛性が高く、安価であるという点からは前記ポリプロピ
レン単独重合体が好ましく、剛性および耐衝撃性がとも
に高いという点からは前記プロピレンとほかの単量体と
のブロック共重合体であることが好ましい。前記原料ポ
リプロピレン系樹脂がプロピレンとほかの単量体とのブ
ロック共重合体またはプロピレンとほかの単量体とのラ
ンダム共重合体であるばあい、ポリプロピレン系樹脂の
特徴である高結晶性、高い剛性および良好な耐薬品性を
保持する点から、含有されるプロピレン単量体成分が全
体の75重量%以上であることが好ましく、全体の90
重量%以上であることがさらに好ましい。
プロピレンと共重合しうるほかの単量体としては、エチ
レン、α−オレフィン、環状オレフィン、ジエン系単量
体およびビニル単量体よりなる単量体の群から選ばれた
1種または2種以上の単量体があげられる。また、この
単量体としてはプロピレンと共重合しやすく、安価であ
る点から、エチレン、α−オレフィンまたはジエン系単
量体が好ましい。
フィンの例としては、ブテン−1、イソブテン、ペンテ
ン−1、3−メチル−ブテン−1、ヘキセン−1、3−
メチル−ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、
3,4−ジメチル−ブテン−1、ヘプテン−1、3−メ
チル−ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などの
炭素数が4〜12のα−オレフィンがあげられる。ま
た、前記のプロピレンと共重合しうる環状オレフィンの
例としては、シクロペンテン、ノルボルネン、1,4,
5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,8,8a−
6−オクタヒドロナフタレンなどがあげられる。また、
前記のプロピレンと共重合しうるジエン系単量体の例と
しては、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリ
デン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチ
ル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オク
タジエンなどがあげられる。また、前記のプロピレンと
共重合しうるビニル単量体の例としては、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレ
イン酸、スチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン
などがあげられる。
テン−1が安価である点から、さらに好ましい。
(重量平均分子量)は工業的に入手しやすいという点か
ら、5万〜200万の範囲内にあることが好ましく、安
価であるという点から、10万〜100万の範囲内にあ
ることがさらに好ましい。
に応じて、ほかの樹脂またはゴムを本発明の効果を損な
わない範囲内で添加してもよい。前記ほかの樹脂または
ゴムとしては、たとえばポリエチレン;ポリブテン−
1、ポリイソブテン、ポリペンテン−1、ポリメチルペ
ンテン−1などのポリα−オレフィン;プロピレン含有
量が75重量%未満のエチレン/プロピレン共重合体、
エチレン/ブテン−1共重合体、プロピレン含有量が7
5重量%未満のプロピレン/ブテン−1共重合体などの
エチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン共重合
体;プロピレン含有量が75重量%未満のエチレン/プ
ロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体
などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン
/ジエン系単量体共重合体;エチレン/塩化ビニル共重
合体、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、エチレン/
アクリロニトリル共重合体、エチレン/メタクリロニト
リル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン/アクリルアミド共重合体、エチレン/メタクリルア
ミド共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレ
ン/メタクリル酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重
合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン
/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸
メチル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、
エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタ
クリル酸金属塩共重合体、エチレン/スチレン共重合
体、エチレン/メチルスチレン共重合体、エチレン/ジ
ビニルベンゼン共重合体などのエチレンまたはα−オレ
フィン/ビニル単量体共重合体;ポリブタジエン、ポリ
イソプレンなどのポリジエン系共重合体;スチレン/ブ
タジエンランダム共重合体などのビニル単量体/ジエン
系単量体ランダム共重合体;スチレン/ブタジエン/ス
チレンブロック共重合体などのビニル単量体/ジエン系
単量体/ビニル単量体ブロック共重合体;水素化(スチ
レン/ブタジエンランダム共重合体)などの水素化(ビ
ニル単量体/ジエン系単量体ランダム共重合体);水素
化(スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合
体)などの水素化(ビニル単量体/ジエン系単量体/ビ
ニル単量体ブロック共重合体);アクリロニトリル/ブ
タジエン/スチレングラフト共重合体、メタクリル酸メ
チル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体などのビ
ニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体グラフト共
重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリア
クリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチ
ル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、
ポリスチレンなどのビニル重合体;塩化ビニル/アクリ
ロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合
体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリル
酸メチル/スチレン共重合体などのビニル系共重合体な
どがあげられる。
ほかの樹脂またはゴムの添加量は、この樹脂の種類また
はゴムの種類により異なり、前述のように本発明の効果
を損なわない範囲内にあればよいものであるが、通常、
25重量%程度以下であることが好ましい。
は必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工
安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金
属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖
移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、
染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果
を損なわない範囲内で添加してもよい。
(各種の添加材料を含むばあいもある)は粒子状のもの
であってもペレット状のものであってもよく、その大き
さや形はとくに制限されるものではない。
ム、安定剤および/または添加剤)を用いるばあいは、
この添加材料は予め原料ポリプロピレン系樹脂に添加さ
れているものであっても、このポリプロピレン系樹脂を
溶融するときに添加されるものであってもよく、また改
質ポリプロピレン系樹脂組成物を製造したのちに適宜の
方法でこの改質ポリプロピレン系樹脂組成物に添加され
るものであってもよい。
は、ポリプロピレン系樹脂と1,3−ブタジエン単量体
とこの1,3−ブタジエン単量体に共重合可能なほかの
ビニル単量体とラジカル重合開始剤とを溶融混練するこ
とにより製造されてもよい。
能なほかのビニル単量体としては、たとえば塩化ビニ
ル;塩化ビニリデン;スチレン;アクリロニトリル;メ
タクリロニトリル;アクリルアミド;メタクリルアミ
ド;酢酸ビニル;アクリル酸;メタクリル酸;マレイン
酸;無水マレイン酸;アクリル酸金属塩;メタクリル酸
金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸ステアリル、アクリル酸グリシルなどのアクリル酸
エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシルな
どのメタクリル酸エステルなどがあげられる。
ブタジエン単量体に共重合可能なほかのビニル単量体と
を併用するばあい、1,3−ブタジエン単量体に共重合
可能なほかのビニル単量体の添加量が、1,3−ブタジ
エン単量体100重量部に対して、100重量部以下で
あることが好ましく、平均して75重量部以下であるこ
とがさらに好ましい。1,3−ブタジエン単量体に共重
合可能なほかのビニル単量体の添加量が前記の範囲を超
えると、えられる改質ポリプロピレン系樹脂組成物のス
トランドを押し出し成形する際に、良好なストランドが
形成できず、好適なペレットをえることができないばあ
いがある。
量体の添加量は、原料ポリプロピレン系樹脂100重量
部に対して、0.1〜50重量部であることが好まし
く、1〜20重量部であることがさらに好ましい。前記
ビニル単量体の量が前記の範囲より少ないばあい、目的
とする改質ポリプロピレン系樹脂組成物が特定の伸長粘
度特性をもたないばあいがあり、一方前記の範囲を超え
るばあいは、原料ポリプロピレン系樹脂の耐熱性や剛性
などの特徴を損なうばあいがある。
過酸化物またはアゾ化合物などがあげられる。前記ラジ
カル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキ
サイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドなどの
ケトンパーオキサイド;1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサ
ン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ブタンなどのパーオキシケタール;パーメタンハイ
ドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブ
チルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼン
ハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイ
ドなどのハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサ
イド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパー
オキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオ
キシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミル
パーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘ
キシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイ
ルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジ
(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカー
ボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボ
ネートなどのパーオキシジカーボネート;t−ブチルパ
ーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレ
ート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパ
ーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキ
サン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソ
フタレートなどのパーオキシエステルなどの有機過酸化
物の1種または2種以上があげられる。これらのうち、
とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、そのよう
なラジカル重合開始剤としては、たとえば1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチル
パーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;ジクミ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−
ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−
ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキ
サイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイ
ド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキ
サイド;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチル
パーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウ
レート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチ
ルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピル
カーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾ
イルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセ
テート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−
ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエス
テルなどの1種または2種以上があげられる。
ポリプロピレン系樹脂組成物が溶融時に大きく弾性変形
しやすく、かつ経済的であるという点から、原料ポリプ
ロピレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重
量部の範囲内にあることが好ましく、0.5〜5重量部
の範囲内にあることがさらに好ましい。
3−ブタジエン単量体、ラジカル重合開始剤およびその
ほか添加される材料の混合や溶融混練の順序および方法
はとくに制限されるものではなく、たとえば、1,3−
ブタジエン単量体を含浸した原料ポリプロピレン系樹
脂、ラジカル重合開始剤および必要に応じて添加される
そのほかの添加材料を混合したのち溶融混練してもよい
し、原料ポリプロピレン系樹脂を溶融混練したのち、こ
れに1,3−ブタジエン単量体、ラジカル重合開始剤お
よび必要に応じて添加されるそのほかの添加材料を同時
にあるいは別々に、一括してあるいは分割して混合し、
溶融混練してもよい。
により異なるが、通常、130〜400℃であること
が、原料ポリプロピレン系樹脂が充分に溶融し、かつ熱
分解せず、充分な伸長粘度特性をうることができるとい
う点で好ましい。また溶融混練の時間(ラジカル重合開
始剤および1,3−ブタジエン単量体を混合してからの
時間)は、一般に30秒間〜60分間である。
ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押
出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸
多円板装置などの横型攪拌機またはダブルヘリカルリボ
ン攪拌機などの縦型攪拌機など高分子材料を適宜の温度
に加熱しえ、適宜の剪断応力を与えながら混練しうる装
置があげられる。これらのうち、とくに単軸または2軸
押出機が生産性の点から好ましい。また、各々の材料を
充分に均一に混合するために、前記溶融混練を複数回繰
返してもよい。
プロピレン系樹脂組成物は、たとえば、ブロー成形、押
出コーティング成形、発泡成形、真空成形、圧空成形な
ど溶融させた状態の樹脂を大きく変形させる成形方法に
も好適に供することができる。
するが、本発明はかかる実施例に制限されるものではな
い。
て、改質ポリプロピレン系樹脂組成物またはポリプロピ
レン系樹脂(未改質のポリプロピレン系樹脂)の、溶融
状態で測定した伸長粘度と測定時間(歪み量)との関係
はつぎの方法により測定した。
たはポリプロピレン系樹脂のペレットを直径3mmのオ
リフィスを設けたキャピログラフに充填し、200℃で
溶融させたのち、押し出して長さ180mm程度のスト
ランド状のサンプルとする。このサンプルを用いて、東
洋精機(株)製のメルテンレオメーターを用いて180
℃、歪み速度0.05/secで、伸長粘度と測定時間
(歪み量)との関係を測定する。このとき、伸長粘度の
測定は、応力を、電荷結合素子(CCD)で測定したサ
ンプルの断面積で割って求める。すなわち、伸長粘度は
つぎの式:
る改質ポリプロピレン系樹脂組成物の伸長粘度と測定時
間との関係を示す)において、測定開始直後から約10
秒間までは緩やかな傾きで伸長粘度が上昇しているが、
それ以降、急激に伸長粘度が上昇している。この急激に
伸長粘度が上昇している部分の傾き(伸長粘度が測定時
間の経過に従って、最も急激に上昇している部分から引
き出した直線の傾き)の測定初期の曲線の平担部の傾き
(伸長粘度が測定時間の経過に従って、比較的緩やかに
上昇している部分から引き出した直線の傾き)に対する
比率(以下、「特定の伸長粘度の比」ということもあ
る)を求める。
ーブレンD501、230℃でのメルトインデックス
0.4g/10分)100重量部と、1,3−ブタジエ
ン単量体10重量部と、α,α´−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン(日本油脂
(株)製、パーブチルP、1分間半減期温度175℃)
1重量部とをブレンドした状態で、(株)日本製鋼所製
の2軸押出機(LABOTEX)に供給して、改質ポリ
プロピレン系樹脂組成物をえた。
プであり、シリンダーの孔径が32mmφであり、最大
スクリュー有効長(L/D)が25.5である。この2
軸押出機のシリンダー部の設定温度を200℃とし、フ
ィード部の設定温度を160℃にして加熱し、スクリュ
ーの回転速度は各軸とも100rpmに設定した。
の溶融状態で測定した伸長粘度と測定時間(歪み量)と
の関係を図1に示す。また、この改質ポリプロピレン系
樹脂組成物の急激に伸長粘度が上昇している部分の傾き
は3.0であり、特定の伸長粘度の比は3.6であっ
た。
ン単量体およびラジカル重合開始剤の表1に記載の量を
用いたほかは実施例1と同様にして、改質ポリプロピレ
ン系樹脂組成物をえた。
定の伸長粘度の比を実施例1と同様の方法で測定した。
その結果を表1に示す。
ーブレンH501、230℃でのメルトインデックス
3.5g/10分)の溶融状態で測定した伸長粘度と歪
み量との関係を求めた。その結果を図2に示す。
1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂の改質を試みた
が、溶融粘度が極度に低下し、ストランドに成形するこ
とができなかった。
物は、溶融時の伸長粘度が高いものであり、また、その
ためにドローダウンがおこりにくいものである。したが
って、本発明の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、ブ
ロー成形、押出コーティング成形、発泡成形などの成形
方法を用いる成形体の材料としても好適に用いることが
でき、また、これらの成形方法を用いるばあいでも、成
形条件を幅広い条件範囲の中から選択することができ
る。
物は、耐薬品性、耐衝撃性、耐熱性、電気絶縁性などが
良好なものである。
成物の溶融状態で測定した伸長粘度と測定時間(歪み
量)との関係を示す。
状態で測定した伸長粘度と測定時間(歪み量)との関係
を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂と1,3−ブタジ
エン単量体とラジカル重合開始剤とを溶融混練させる改
質ポリプロピレン系樹脂組成物の製法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の製法によりえられる改
質ポリプロピレン系樹脂組成物。 - 【請求項3】 溶融状態で測定した伸長粘度が、歪み量
が増加するに従い急激に上昇する請求項2記載の改質ポ
リプロピレン系樹脂組成物。
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-
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