JPH09208390A - セシウム・リチウム・ボレート結晶 - Google Patents
セシウム・リチウム・ボレート結晶Info
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- JPH09208390A JPH09208390A JP8012353A JP1235396A JPH09208390A JP H09208390 A JPH09208390 A JP H09208390A JP 8012353 A JP8012353 A JP 8012353A JP 1235396 A JP1235396 A JP 1235396A JP H09208390 A JPH09208390 A JP H09208390A
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Abstract
晶として最近開発されたセシウム・リチウム・ボレート
結晶の吸湿劣化や加工歪によるクラックの発生等を防止
し、機械的、化学的、光学的特性の改善した結晶を提供
する。 【解決手段】 化学組成がCsLiB6 O10、または Cs1-x Li1-r Mx+y B6 O10 Cs2(1-z)Li2 Lz B12O20 (Mは、アルカリ金属元素、Lはアルカリ土類元素)で
表わされ、異種元素がドープされたことを特徴とするセ
シウム・リチウム・ボレート結晶。
Description
・ボレート結晶に関するものである。さらに詳しくは、
この発明は、紫外線リソグラフィー、レーザー微細加
工、レーザー核融合などに用いられるレーザー発振装置
や光パラメトリック発振装置の波長変換用非線形光学結
晶等として有用な、機械的、光学的、化学的な特性の向
上が図られたセシウム・リチウム・ボレート結晶に関す
るものである。
ー、レーザー微細加工、および、レーザー核融合などに
用いられるレーザー発振装置においては、安定した紫外
光を効率よく得ることが必要とされており、そのための
ひとつの方法として、現在では、非線形光学結晶を用い
て光源を波長変換して紫外光を効率よく得る方法が注目
されている。
て、パルスYAGレーザー発振装置においては、非線形
光学結晶を用いて、光源の波長変換を行い、パルスYA
Gレーザーの3倍高調波(波長355nm)、または、
4倍高調波(波長266nm)を発生させている。この
ような紫外光を発生させるために必要不可欠な波長変換
用非線形光学結晶については、これまでにも多くの創意
工夫が成されており、例えば、ベータバリウムメタボレ
ート(β−BaB2 O4 )や、リチウムトリボレート
(LiB3 O 5 )、セシウムトリボレート(CsB3 O
5 )などのボレート(ホウ酸塩)結晶が知られている。
このような紫外光を発生するための波長変換用非線形光
学結晶は、波長が200nm以下の光を透過し、高い非
線形光学定数を有している。
形光学結晶の一つであるβ−BaB 2 O4 は、その製造
過程において、融液成長の際に相転移を起こしやすいた
めに結晶育成が非常に難しく、また、角度許容幅が狭
く、そのため、汎用性が非常に乏しかった。またさら
に、波長変換用非線形光学結晶の一つであるLiB3 O
5 やCsB3O5 は、その製造過程において、フラック
ス成長のために育成時間が非常に長くなってしまい、ま
た、波長が555nm近辺までの光しか位相整合がとれ
ないため、例えば、Nd−YAGレーザーで得られる3
倍高調波(波長355nm)の発生においては利用でき
るものの、4倍高調波(波長266nm)の発生におい
ては、利用できないという欠点があった。
明の発明者らは、従来の欠点を解消した全く新しい結晶
として、CsLiB6 O10の化学式で表されるセシウ
ム、リチウム・ボレート結晶および、その組成置換結晶
を開発し、その製造方法や利用法とともに提案した(特
願平7−128698号)。この結晶はこれまでに知ら
れていない画期的なものであって、光学材料としての新
しい展開を可能とするものとして注目されている。
て、その優れた特性にもかかわらず、セシウム・リチウ
ム・ボレート結晶は、吸湿性、水溶性があり、この点に
おいて劣化しやすいという問題があることや、加工歪が
残留し、このことがクラックの発生をもたらしやすいと
いう問題があることもわかってきた。この発明は、この
ような課題を解決するために創案されたものであり、よ
り短波長の光を透過してその波長の変換が可能であり、
その変換効率が高く、広い温度許容幅および角度許容幅
を持つといった、高性能な波長変換用非線形光学結晶で
あるセシウム・リチウム・ボレート結晶とその組成置換
結晶の、機械的、化学的、そして光学的な特性の改善向
上を図ることを目的としているものである。
を解決するものとして、化学組成がCsLiB6 O10で
表され、異種元素がドープされたことを特徴とするセシ
ウム・リチウム・ボレート結晶を提供する。また、この
発明は、上記結晶の組成置換体として、化学組成が次式
種のアルカリ金属元素を示し、0≦x≦1、0≦y≦1
であって、xおよびyが同時に0または1となることは
ない)または、
元素を示し、0<z<1である)で表わされ、異種元素
がドープされたことを特徴とする結晶をも提供する。そ
して、この発明は、ドーピングのための異種元素が、金
属、半金属または非金属(第IV族元素)であることや、
これらの異種金属としては、Al、Ge、Ti、Ga、
C、Si、Sn、Zn、Cu、Cd、Sb、Bi、V、
Ta、Mo、W、Sb、またはPの少なくとも1種であ
ることを特徴としてもいる。
光を発生するための波長変換用非線形光学結晶として一
般的に用いられているベータバリウムメタボレート(β
−BaB2 O 4 )や、リチウムトリボレート(LiB3
O5 )、セシウムトリボレート(CsB3 O5 )などの
ボレート(ホウ酸塩)結晶が、一般的に単独の金属を含
んだボレート結晶であることに注目し、複数種の金属イ
オンを含ませることにより、これまでに知られていない
高性能なボレート結晶が実現できることを見出した。
金属やアルカリ土類金属等の2種以上の金属イオンを含
むボレート結晶を数種類作り、それらのボレート結晶に
Nd−YAGレーザー(波長1064nm)を照射し
て、2倍高調波(波長532nm)の発生実験を行い、
これらの数多くの実験的検証で、最適な金属の組み合わ
せを探索した。
に、とくにCsとLiの両方を含むボレート結晶から、
非常に強い第2高調波が発生することを見出し、この発
明のセシウム・リチウム・ボレート結晶とその組成置換
体としての結晶という全く新しい結晶を実現した。そし
て、さらにこの発明の発明者は、新しいセシウム・リチ
ウム・ボレート結晶(その組成置換結晶を含む)につい
て、これに異種元素をドープする場合には、たとえば残
留歪によるクラックの発生およびその拡大が効果的に抑
制されるとともに、水溶性が低減され、耐水性も向上す
るとの新しい知見を見出した。
金属、半金属または非金属の元素の混入によって実現す
ることができ、たとえば、Al、Ge、Ti、Ga、
C、Si、Sn、Zn、Cu、Cd、Sb、Bi、V、
Ta、Mo、W、Sb、P、Fe、Ni、Co等の元素
がドープされることになる。これらの元素のドープは、
結晶の製造時に、酸化物、炭酸塩等の化合物として混入
することで可能とされる。
て炭酸セシウム(Cs2 CO3 )、炭酸リチウム(Li
2 CO3 )及び酸化ホウ素(B2 O3 )等の適宜な原料
混合物を加熱溶融させることによって所定の結晶を製造
する。Cs、Li以外のアルカリ金属元素やアルカリ土
類金属元素(M)によって置換したセシウム・リチウム
・ボレート結晶については、アルカリ金属元素(M)
が、Na(ナトリウム)の時は、0<x≦0.01程度
の組成が、K(カリウム)の時は、0<x≦0.1程度
の組成が、Rb(ルビジウム)の時は、0<x≦1程度
の組成が製造や物理的性質等の観点から好適な範囲とし
て例示される。もちろん、アルカリ金属元素は、複数種
添加されてよい。
とにより結晶の屈折率を変化させることが可能で、位相
整合角度や角度許容、温度許容などの改善が図られるの
みならず、同時に結晶の構造的変化を与えることによ
り、割れにくく、白濁化しない等の、より安定な結晶を
得ることができる。また、アルカリ土類金属(L)とし
ては、Ba、Sr、Ca、Mgが添加されてもよい。
ルカリ土類金属イオンを添加することにより結晶の屈折
率を変化させることが可能で、位相整合角度や角度許
容、温度許容などの改善が図られると同時に結晶の構造
的変化を与えることにより、割れにくい、より安定な結
晶が得られる。いずれの結晶の場合にも前記のとおりの
各種の異種元素がドープされることになる。
晶の組成によっても相違するが、一般的には、結晶組成
全体に対して0.1〜10モル%程度を目安とすること
ができる。以下、実施例を示しさらに詳しくこの発明に
ついて説明する。もちろんこの発明は以下の例によって
限定されるものではない。
CO3 )及び酸化ホウ素(B2 O3 )の混合物を加熱溶
融させることにより化学量論組成からなるセシウム・リ
チウム・ボレート結晶(CsLiB6 O10)を製造し、
このセシウム・リチウム・ボレート結晶を5層制御育成
炉においてトップシードのキロプロス法による種付け法
により育成した。結晶育成に用いられた5層制御育成炉
は、炉内温度を均一に保つことのできる垂直5段式抵抗
加熱炉内に筒型白金坩堝が設置された構造となってい
る。この筒型白金坩堝内において、結晶育成用の核とし
て白金ワイヤを用い、化学量論組成のセシウム・リチウ
ム・ボレートの種結晶をこの白金ワイヤにつけ、この種
結晶を1分間に15回転の速さで回転し、さらに3分毎
に回転方向を反転しながら結晶育成を行った。この時の
白金坩堝内の温度は結晶の融点である848℃に保って
おく。これにより、約4日間で2.9cm×2.0cm
×2.2cmの、クラックのない、透明で良質なセシウ
ム・リチウム・ボレート結晶を育成することができた。
これは、従来の波長変換用ボレート系非線形光学結晶の
育成に比べ、非常に短期間は育成である。従って、この
発明のセシウム・リチウム・ボレート結晶の育成方法に
より非常に短期間で容易にセシウム・リチウム・ボレー
ト結晶を育成することができる。
igaku AFC5R X線回折装置による結晶構造
解析の結果、正方晶結晶であり、結晶の格子定数はa=
10.494Å、c=8.939Å、計算上の密度は
2.461g/cm3 であることがわかった。このセシ
ウム・リチウム・ボレート結晶は3次元構造を有し、ホ
ウ素と酸素からなるボレートリングのチャンネル内にセ
シウム原子が位置している構造となっている。これは、
従来から一般的に用いられている非線形光学結晶のLi
B3 O5 やCsB3 O5 (ともに斜方晶)とは全く異な
る構造であることが明らかになった。
結晶は、その透過スペクトルを測定した結果、波長18
0nmから275nmの光で透明であった。吸収端は1
80nmにあり従来のBBO(189nm)よりも約9
nm短かかった。以上のようにして得られた結晶(CL
BO)に対して、Al(アルミニウム)をドープするた
め、前記の結晶の製造、育成において、Al2 O3 を混
入して、Al2%ドープのCLBO結晶を製造した。
た。この結晶は、CsがAlに置換された構造を持ち、
a軸が短く、c軸が長くなる。図1は、このAlドープ
した結晶について、水溶性の低減効果を検討した結果を
示したものである。
0%)の溶液を用いた。ドープしないCLBO結晶に比
べて、2%Alドープの結晶の水溶性は顕著に低減され
ていることがわかる。耐水性は大きく向上している。ま
た、光学的には、位相整合波長の短波長化を図ることも
できた。実施例2 実施例1と同様にして、CLBO結晶に、表1のとおり
Al、Gaをドープし、ヴィッカース硬度を評価した。
その結果も表1に示した。
て、機械的特性ちが向上し、割れにくいことがわかる。
ウム・リチウム・ボレート結晶Cs1-x LiRbx B6
O10を製造した。得られた結晶を粉末X線回折法で評価
した結果、Rbを添加していないサンプル(Rb,x=
0)のX線回折パターンに対して、x=0.2、0.
5、0.7と順にRb量を増やして行くことにより、特
に(312)面の反射と(213)面の反射の角度間隔
が序々に狭くなっている。これはCsとRbが任意の割
合で結晶の中に入ることを示すものである。Rbを任意
に添加した結晶はRbが添加されていないCLBOと同
じ結晶形で正方晶結晶であり、また、格子定数が変化し
てゆくことがわかる。
任意に添加できるため、結晶の屈折率を変化させること
が可能で、位相整合角度や角度許容、温度許容などの改
善が図られることが判明した。また、同様にして、Rb
の添加量(x)が0.1以下のものも製造した。結晶構
造の安定性はより良好であることが確認された。
果を検討し、実施例1および2と同様の優れた作用を確
認した。
って、耐水性、クラックの抑制、ひいては光学的特性が
大きく向上されたセシウム・リチウム・ボレート結晶を
提供することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 化学組成がCsLiB6 O10で表され、
異種元素がドープされたことを特徴とするセシウム・リ
チウム・ボレート結晶。 - 【請求項2】 化学組成が次式 【化1】 (Mは、CsおよびLi以外の少くとも1種のアルカリ
金属元素を示し、0≦x≦1、0≦y≦1であって、x
およびyが同時に0または1となることはない)で表わ
され、異種元素がドープされたことを特徴とするセシウ
ム・リチウム・ボレート結晶。 - 【請求項3】 化学組成が次式 【化2】 (Lは、少くとも1種のアルカリ土類金属元素を示し、
0<z<1である)で表わされ、異種元素がドープされ
たことを特徴とするセシウム・リチウム・ボレート結
晶。 - 【請求項4】 異種元素が金属、半金属または非金属で
ある請求項1ないし3のいずれかのセシウム・リチウム
・ボレート結晶。 - 【請求項5】 異種金属が、Al、Ge、Ti、C、S
i、Ga、Sn、Cu、Cd、Sb、Bi、V、Ta、
Mo、W、Sb、またはPの少くとも1種である請求項
4のセシウム・リチウム・ボレート結晶。
Priority Applications (3)
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---|---|---|---|
JP8012353A JP2744604B2 (ja) | 1996-01-26 | 1996-01-26 | セシウム・リチウム・ボレート結晶 |
DE1997615931 DE69715931T2 (de) | 1996-01-26 | 1997-01-27 | Cäsium-Lithiumboratkristall |
EP97300479A EP0786542B1 (en) | 1996-01-26 | 1997-01-27 | Cesium-lithium borate crystal |
Applications Claiming Priority (2)
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JP2744604B2 JP2744604B2 (ja) | 1998-04-28 |
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---|---|---|---|
JP8012353A Expired - Lifetime JP2744604B2 (ja) | 1996-01-26 | 1996-01-26 | セシウム・リチウム・ボレート結晶 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008233104A (ja) * | 2003-09-19 | 2008-10-02 | Japan Science & Technology Agency | 光学材料のレーザー損傷評価方法 |
CN115522261A (zh) * | 2022-09-27 | 2022-12-27 | 合肥学院 | 一种二阶非线性光学晶体硼磷酸铝锂及其制备方法和应用 |
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---|---|---|---|---|
JP4911494B2 (ja) | 2006-03-18 | 2012-04-04 | 国立大学法人大阪大学 | 波長変換光学素子、波長変換光学素子の製造方法、波長変換装置、紫外線レーザ照射装置およびレーザ加工装置 |
-
1996
- 1996-01-26 JP JP8012353A patent/JP2744604B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2744604B2 (ja) | 1998-04-28 |
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