JPH0920730A - 重合防止剤の回収方法 - Google Patents
重合防止剤の回収方法Info
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- JPH0920730A JPH0920730A JP16757795A JP16757795A JPH0920730A JP H0920730 A JPH0920730 A JP H0920730A JP 16757795 A JP16757795 A JP 16757795A JP 16757795 A JP16757795 A JP 16757795A JP H0920730 A JPH0920730 A JP H0920730A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 スチレンタール中のニトロフェノール系重合
防止剤を、酸やアルカリを使用することなく、簡単な操
作で、効率よく経済的有利に回収する方法を提供するこ
と。 【解決手段】 ニトロフェノール系重合防止剤を含有す
るスチレンタールを80〜160℃の熱水で処理し、ニ
トロフェノール系重合防止剤を抽出する重合防止剤の回
収方法、及びこの熱水処理を行ったのち、水相中のニト
ロフェノール系重合防止剤を芳香族炭化水素系溶剤で逆
抽出する重合防止剤の回収方法である。
防止剤を、酸やアルカリを使用することなく、簡単な操
作で、効率よく経済的有利に回収する方法を提供するこ
と。 【解決手段】 ニトロフェノール系重合防止剤を含有す
るスチレンタールを80〜160℃の熱水で処理し、ニ
トロフェノール系重合防止剤を抽出する重合防止剤の回
収方法、及びこの熱水処理を行ったのち、水相中のニト
ロフェノール系重合防止剤を芳香族炭化水素系溶剤で逆
抽出する重合防止剤の回収方法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重合防止剤の回収
方法に関し、さらに詳しくは、スチレンタール中のニト
ロフェノール系重合防止剤を、酸やアルカリを使用する
ことなく、簡単な操作で、効率よく経済的に有利に回収
する方法に関するものである。
方法に関し、さらに詳しくは、スチレンタール中のニト
ロフェノール系重合防止剤を、酸やアルカリを使用する
ことなく、簡単な操作で、効率よく経済的に有利に回収
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スチレンなどの芳香族ビニル化合
物は、熱などによって重合しやすい性質を有することが
知られている。この芳香族ビニル化合物の製造プロセス
においては、所望の化合物を分離回収したり、濃縮した
り、あるいは精製などのために、種々の蒸留操作が施さ
れている。しかしながら、芳香族ビニル化合物は前記し
たように熱により重合してポリマー状物質を形成するた
め、蒸留工程において種々のトラブルを引き起こし、長
時間の安定な連続運転を不可能にするなど、好ましくな
い事態を招来しやすい。したがって、このような事態を
回避するために、従来から重合防止剤の存在下に蒸留操
作を行う方法がとられている。この重合防止剤、特に芳
香族ビニル化合物の重合防止剤としては、一般に、ジニ
トロフェノールやジニトロ−o−クレゾールなどのニト
ロフェノール系重合防止剤が用いられており、またこれ
らのニトロフェノール系重合防止剤は、蒸留残渣、いわ
ゆるスチレンタール中に蓄積され、プロセス系外へ排出
されている。
物は、熱などによって重合しやすい性質を有することが
知られている。この芳香族ビニル化合物の製造プロセス
においては、所望の化合物を分離回収したり、濃縮した
り、あるいは精製などのために、種々の蒸留操作が施さ
れている。しかしながら、芳香族ビニル化合物は前記し
たように熱により重合してポリマー状物質を形成するた
め、蒸留工程において種々のトラブルを引き起こし、長
時間の安定な連続運転を不可能にするなど、好ましくな
い事態を招来しやすい。したがって、このような事態を
回避するために、従来から重合防止剤の存在下に蒸留操
作を行う方法がとられている。この重合防止剤、特に芳
香族ビニル化合物の重合防止剤としては、一般に、ジニ
トロフェノールやジニトロ−o−クレゾールなどのニト
ロフェノール系重合防止剤が用いられており、またこれ
らのニトロフェノール系重合防止剤は、蒸留残渣、いわ
ゆるスチレンタール中に蓄積され、プロセス系外へ排出
されている。
【0003】このようなニトロフェノール系重合防止剤
を含有するスチレンタールをそのまま焼却処理した場
合、大気中に窒素酸化物などが排出され、環境汚染を引
き起こすおそれがあり、また芳香族ビニル化合物の製造
コストを下げるためにも、スチレンタール中のニトロフ
ェノール系重合防止剤を回収し、再使用することが望ま
れる。このため、スチレンタール中のニトロフェノール
系重合防止剤を回収する方法として、例えば(1)スチ
レンタールをアルカリ性水溶液で処理し、その中に含ま
れるニトロフェノール系重合防止剤を抽出したのち、水
相中のニトロフェノール系重合防止剤を酸性条件下に有
機溶剤で逆抽出する方法(特公昭59−4410号公
報)、(2)スチレンタール中のニトロフェノール系重
合防止剤を含酸素有機溶剤で抽出したのち、蒸留に付し
て回収する方法(特公平4−16455号公報)などが
提案されている。しかしながら、上記(1)の方法にお
いては、ニトロフェノール系重合防止剤の回収率は95
%以上で良好であるものの、酸やアルカリ排水が発生す
る上、腐食を防止するために特殊な材質のものを用いる
必要があり、また洗浄工程も必要となるため、設備費が
高くつくなどの欠点がある。一方、(2)の方法におい
ては、ニトロフェノール系重合防止剤の回収率が66%
以下で低いという大きな問題がある上、蒸留工程が必要
なため、設備費及び用役費が高くつくなどの欠点もあ
る。
を含有するスチレンタールをそのまま焼却処理した場
合、大気中に窒素酸化物などが排出され、環境汚染を引
き起こすおそれがあり、また芳香族ビニル化合物の製造
コストを下げるためにも、スチレンタール中のニトロフ
ェノール系重合防止剤を回収し、再使用することが望ま
れる。このため、スチレンタール中のニトロフェノール
系重合防止剤を回収する方法として、例えば(1)スチ
レンタールをアルカリ性水溶液で処理し、その中に含ま
れるニトロフェノール系重合防止剤を抽出したのち、水
相中のニトロフェノール系重合防止剤を酸性条件下に有
機溶剤で逆抽出する方法(特公昭59−4410号公
報)、(2)スチレンタール中のニトロフェノール系重
合防止剤を含酸素有機溶剤で抽出したのち、蒸留に付し
て回収する方法(特公平4−16455号公報)などが
提案されている。しかしながら、上記(1)の方法にお
いては、ニトロフェノール系重合防止剤の回収率は95
%以上で良好であるものの、酸やアルカリ排水が発生す
る上、腐食を防止するために特殊な材質のものを用いる
必要があり、また洗浄工程も必要となるため、設備費が
高くつくなどの欠点がある。一方、(2)の方法におい
ては、ニトロフェノール系重合防止剤の回収率が66%
以下で低いという大きな問題がある上、蒸留工程が必要
なため、設備費及び用役費が高くつくなどの欠点もあ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術がもつ欠点を克服し、スチレンタール中のニト
ロフェノール系重合防止剤を酸やアルカリを使用するこ
となく、簡単な操作で効率よく経済的に有利に回収する
方法を提供することを目的とするものである。
従来技術がもつ欠点を克服し、スチレンタール中のニト
ロフェノール系重合防止剤を酸やアルカリを使用するこ
となく、簡単な操作で効率よく経済的に有利に回収する
方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、スチレンター
ルを特定の温度の熱水で処理して、その中に含まれるニ
トロフェノール系重合防止剤を抽出することにより、あ
るいは、さらに抽出処理で得られた水相中のニトロフェ
ノール系重合防止剤を特定の有機溶剤により逆抽出する
ことにより、その目的を達成しうることを見出した。本
発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。す
なわち、本発明は、ニトロフェノール系重合防止剤を含
有するスチレンタールを温度80〜160℃の熱水で処
理し、ニトロフェノール系重合防止剤を抽出することを
特徴とする重合防止剤の回収方法、及びこの熱水処理を
行ったのち、水相中のニトロフェノール系重合防止剤を
芳香族炭化水素系溶剤で逆抽出することを特徴とする重
合防止剤の回収方法を提供するものである。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、スチレンター
ルを特定の温度の熱水で処理して、その中に含まれるニ
トロフェノール系重合防止剤を抽出することにより、あ
るいは、さらに抽出処理で得られた水相中のニトロフェ
ノール系重合防止剤を特定の有機溶剤により逆抽出する
ことにより、その目的を達成しうることを見出した。本
発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。す
なわち、本発明は、ニトロフェノール系重合防止剤を含
有するスチレンタールを温度80〜160℃の熱水で処
理し、ニトロフェノール系重合防止剤を抽出することを
特徴とする重合防止剤の回収方法、及びこの熱水処理を
行ったのち、水相中のニトロフェノール系重合防止剤を
芳香族炭化水素系溶剤で逆抽出することを特徴とする重
合防止剤の回収方法を提供するものである。
【0006】本発明でいうスチレンタールとは、芳香族
ビニル化合物に蒸留などの処理を施すことにより生成し
た残渣を指称する。ここで、芳香族ビニル化合物として
は、例えばスチレン,α−メチルスチレン,ジビニルベ
ンゼン,ビニルトルエン及びこれらの各種誘導体などが
挙げられる。また、このスチレンタール中に含有するニ
トロフェノール系重合防止剤としては、特に制限はな
く、従来スチレンなどの芳香族ビニル化合物の重合防止
剤として慣用されているもの、例えば2,4−ジニトロ
フェノールや4,6−ジニトロo−クレゾールなどを挙
げることができる。また、このニトロフェノール系重合
防止剤には、装置内雰囲気において還元されて生成する
2−アミノ−4−ニトロフェノールや6−アミノ−4−
ニトロ−o−クレゾールなども含まれる。これらのニト
ロフェノール系重合防止剤は、スチレンタール中に一種
含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。
ビニル化合物に蒸留などの処理を施すことにより生成し
た残渣を指称する。ここで、芳香族ビニル化合物として
は、例えばスチレン,α−メチルスチレン,ジビニルベ
ンゼン,ビニルトルエン及びこれらの各種誘導体などが
挙げられる。また、このスチレンタール中に含有するニ
トロフェノール系重合防止剤としては、特に制限はな
く、従来スチレンなどの芳香族ビニル化合物の重合防止
剤として慣用されているもの、例えば2,4−ジニトロ
フェノールや4,6−ジニトロo−クレゾールなどを挙
げることができる。また、このニトロフェノール系重合
防止剤には、装置内雰囲気において還元されて生成する
2−アミノ−4−ニトロフェノールや6−アミノ−4−
ニトロ−o−クレゾールなども含まれる。これらのニト
ロフェノール系重合防止剤は、スチレンタール中に一種
含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。
【0007】本発明の方法においては、上記ニトロフェ
ノール系重合防止剤を含有するスチレンタールを熱水で
処理して、該ニトロフェノール系重合防止剤を抽出す
る。この際使用する熱水の温度は80〜160℃の範囲
に設定すべきである。この温度が80℃未満ではニトロ
フェノール系重合防止剤の回収率が低すぎて実用的でな
く、また160℃を超えると処理圧力が高くなりすぎて
設備費が高くつく上、ニトロフェノール系重合防止剤が
変性し、その回収率が低下する傾向がみられる。ニトロ
フェノール系重合防止剤の回収率及び設備費などの面か
ら、好ましい熱水温度は100〜150℃の範囲であ
り、特に120〜140℃の範囲が好適である。また、
処理圧力については、抽出処理に用いられる熱水が液相
を維持するのに充分な圧力であればよく、特に制限はな
い。さらに、この熱水は、スチレンタール1重量部に対
して、通常1〜200重量部の割合で使用される。この
使用量が1重量部未満ではニトロフェノール系重合防止
剤の回収率が不充分であり、また200重量部を超える
と装置が大きくなって設備費が高くつき、好ましくな
い。ニトロフェノール系重合防止剤の回収率及び設備費
などの面から、熱水の好ましい使用量は、スチレンター
ル1重量部に対して20〜150重量部の範囲であり、
特に30〜140重量部の範囲が好適である。また、処
理時間は、処理温度やその他の条件によって左右され、
一概に定めることができないが、通常は10秒〜1時間
程度で充分である。
ノール系重合防止剤を含有するスチレンタールを熱水で
処理して、該ニトロフェノール系重合防止剤を抽出す
る。この際使用する熱水の温度は80〜160℃の範囲
に設定すべきである。この温度が80℃未満ではニトロ
フェノール系重合防止剤の回収率が低すぎて実用的でな
く、また160℃を超えると処理圧力が高くなりすぎて
設備費が高くつく上、ニトロフェノール系重合防止剤が
変性し、その回収率が低下する傾向がみられる。ニトロ
フェノール系重合防止剤の回収率及び設備費などの面か
ら、好ましい熱水温度は100〜150℃の範囲であ
り、特に120〜140℃の範囲が好適である。また、
処理圧力については、抽出処理に用いられる熱水が液相
を維持するのに充分な圧力であればよく、特に制限はな
い。さらに、この熱水は、スチレンタール1重量部に対
して、通常1〜200重量部の割合で使用される。この
使用量が1重量部未満ではニトロフェノール系重合防止
剤の回収率が不充分であり、また200重量部を超える
と装置が大きくなって設備費が高くつき、好ましくな
い。ニトロフェノール系重合防止剤の回収率及び設備費
などの面から、熱水の好ましい使用量は、スチレンター
ル1重量部に対して20〜150重量部の範囲であり、
特に30〜140重量部の範囲が好適である。また、処
理時間は、処理温度やその他の条件によって左右され、
一概に定めることができないが、通常は10秒〜1時間
程度で充分である。
【0008】このようにして、ニトロフェノール系重合
防止剤が熱水により抽出され、それを含む水相が得られ
る。この水相から、ニトロフェノール系重合防止剤を回
収する方法としては様々な方法を用いることができる
が、芳香族炭化水素系溶剤を用いて逆抽出する方法が有
利である。この芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば
エチルベンゼン,スチレン,ジビニルベンゼン,トルエ
ン,クメン,ベンゼン,キシレン,α−メチルスチレン
などの炭素数6〜10の芳香族炭化水素化合物を挙げる
ことができる。これらの芳香族炭化水素系溶剤は単独で
用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。これ
らの芳香族炭化水素系溶剤の中では、特にエチルベンゼ
ンとスチレンとの混合物が好適である。逆抽出処理によ
り得られたニトロフェノール系重合防止剤を含むエチル
ベンゼンとスチレンとの混合物は、そのままスチレン製
造プロセスにおける蒸留系に供給することができる。こ
の逆抽出処理においては、芳香族炭化水素系溶剤は、ニ
トロフェノール系重合防止剤を含む水相1重量部に対
し、通常0.1〜10重量部の割合で用いられる。この使
用量が0.1重量部未満ではニトロフェノール系重合防止
剤の抽出が不充分であり、また10重量部を超えるとそ
の量の割には抽出効果の向上はみられず、むしろ設備が
大きくなり、経済的に不利となる。抽出効果及び経済性
などの面から、芳香族炭化水素系溶剤の好ましい使用量
は、水相1重量部に対して、0.2〜1重量部の範囲であ
る。また、この逆抽出処理における温度は、抽出効果及
び操作性の面から、20〜140℃の範囲が好ましく、
特に40〜100℃の範囲が好適である。さらに、抽出
処理時間は、処理温度及びその他の条件によって左右さ
れ、一概に定めることはできないが、通常10秒〜1時
間程度で充分である。処理圧力については、抽出処理に
供されるニトロフェノール系重合防止剤を含む水相及び
芳香族炭化水素系溶剤が、共に液相を維持するのに充分
な圧力であればよく、特に制限はない。
防止剤が熱水により抽出され、それを含む水相が得られ
る。この水相から、ニトロフェノール系重合防止剤を回
収する方法としては様々な方法を用いることができる
が、芳香族炭化水素系溶剤を用いて逆抽出する方法が有
利である。この芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば
エチルベンゼン,スチレン,ジビニルベンゼン,トルエ
ン,クメン,ベンゼン,キシレン,α−メチルスチレン
などの炭素数6〜10の芳香族炭化水素化合物を挙げる
ことができる。これらの芳香族炭化水素系溶剤は単独で
用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。これ
らの芳香族炭化水素系溶剤の中では、特にエチルベンゼ
ンとスチレンとの混合物が好適である。逆抽出処理によ
り得られたニトロフェノール系重合防止剤を含むエチル
ベンゼンとスチレンとの混合物は、そのままスチレン製
造プロセスにおける蒸留系に供給することができる。こ
の逆抽出処理においては、芳香族炭化水素系溶剤は、ニ
トロフェノール系重合防止剤を含む水相1重量部に対
し、通常0.1〜10重量部の割合で用いられる。この使
用量が0.1重量部未満ではニトロフェノール系重合防止
剤の抽出が不充分であり、また10重量部を超えるとそ
の量の割には抽出効果の向上はみられず、むしろ設備が
大きくなり、経済的に不利となる。抽出効果及び経済性
などの面から、芳香族炭化水素系溶剤の好ましい使用量
は、水相1重量部に対して、0.2〜1重量部の範囲であ
る。また、この逆抽出処理における温度は、抽出効果及
び操作性の面から、20〜140℃の範囲が好ましく、
特に40〜100℃の範囲が好適である。さらに、抽出
処理時間は、処理温度及びその他の条件によって左右さ
れ、一概に定めることはできないが、通常10秒〜1時
間程度で充分である。処理圧力については、抽出処理に
供されるニトロフェノール系重合防止剤を含む水相及び
芳香族炭化水素系溶剤が、共に液相を維持するのに充分
な圧力であればよく、特に制限はない。
【0009】このようにして、スチレンタール中のニト
ロフェノール系重合防止剤を、回収率90%以上で効率
よく回収することができる。図1は、本発明の方法を適
用し、スチレン/エチルベンゼン混合物から蒸留により
エチルベンゼンとスチレンとをそれぞれ分離するための
一例の工程図である。 エチルベンゼン・スチレンスプ
リッター1に、スチレン/エチルベンゼン混合物(D
M)を、抽出槽(II) 4からの2,4−ジニトロフェノ
ール(DNP)を含むDMと共に供給し、同時に重合防
止剤としてDNPを供給する。スプリッター1の頂部か
らエチルベンゼンが留出し、底部からの液はスチレン精
留塔2に供給され、この精留塔2の頂部からスチレンが
留出する。精留塔2の底部から排出されるDNPを含む
スチレンタールは、水と共に抽出槽(I)3に供給され
処理される。抽出層(I)3の底部からタールが排出さ
れ、また3から出たDNPを含む水相は、DMと共に抽
出槽(II) 4に供給され、処理される。抽出槽(II)4の
底部から排出される水は、DNPを含むスチレンタール
の処理にリサイクルされる。一方、抽出槽(II) 4から
出たDNPを含むDMは、スプリッター1に新しいDM
と共に供給される。
ロフェノール系重合防止剤を、回収率90%以上で効率
よく回収することができる。図1は、本発明の方法を適
用し、スチレン/エチルベンゼン混合物から蒸留により
エチルベンゼンとスチレンとをそれぞれ分離するための
一例の工程図である。 エチルベンゼン・スチレンスプ
リッター1に、スチレン/エチルベンゼン混合物(D
M)を、抽出槽(II) 4からの2,4−ジニトロフェノ
ール(DNP)を含むDMと共に供給し、同時に重合防
止剤としてDNPを供給する。スプリッター1の頂部か
らエチルベンゼンが留出し、底部からの液はスチレン精
留塔2に供給され、この精留塔2の頂部からスチレンが
留出する。精留塔2の底部から排出されるDNPを含む
スチレンタールは、水と共に抽出槽(I)3に供給され
処理される。抽出層(I)3の底部からタールが排出さ
れ、また3から出たDNPを含む水相は、DMと共に抽
出槽(II) 4に供給され、処理される。抽出槽(II)4の
底部から排出される水は、DNPを含むスチレンタール
の処理にリサイクルされる。一方、抽出槽(II) 4から
出たDNPを含むDMは、スプリッター1に新しいDM
と共に供給される。
【0010】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 実施例1〜9 攪拌機付耐圧容器中において、2,4−ジニトロフェノ
ール2.0重量%を含むスチレンタールを、第1表に示す
量の熱水にて、第1表に示す温度で30分間抽出処理し
た。得られた回収水相中の2,4−ジニトロフェノール
を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて
分析を行い、2,4−ジニトロフェノールの回収率を求
めた。結果を第1表に示す。
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 実施例1〜9 攪拌機付耐圧容器中において、2,4−ジニトロフェノ
ール2.0重量%を含むスチレンタールを、第1表に示す
量の熱水にて、第1表に示す温度で30分間抽出処理し
た。得られた回収水相中の2,4−ジニトロフェノール
を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて
分析を行い、2,4−ジニトロフェノールの回収率を求
めた。結果を第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】第1表から分かるように、実施例8では、
スチレンタールに対し、35倍重量の熱水を用い、14
0℃で処理することにより、2,4−ジニトロフェノー
ルの回収率は99.9%であり、ほぼ定量的に回収でき
た。また実施例9では、抽出温度が160℃と高く、
2,4−ジニトロフェノールの変性が起こり、回収率は
実施例8に比べて低下した。
スチレンタールに対し、35倍重量の熱水を用い、14
0℃で処理することにより、2,4−ジニトロフェノー
ルの回収率は99.9%であり、ほぼ定量的に回収でき
た。また実施例9では、抽出温度が160℃と高く、
2,4−ジニトロフェノールの変性が起こり、回収率は
実施例8に比べて低下した。
【0013】比較例1 水酸化ナトリウム1重量%濃度の水溶液をスチレンター
ルの2倍重量用い、温度80℃にて実施例と同様にして
処理した。その結果、2,4−ジニトロフェノールの回
収率は97.9%であった。
ルの2倍重量用い、温度80℃にて実施例と同様にして
処理した。その結果、2,4−ジニトロフェノールの回
収率は97.9%であった。
【0014】比較例2 2,4−ジニトロフェノール2.0重量%を含むスチレン
タールを、その0.6倍重量のエタノールを用いて、15
℃で30分間抽出処理した。得られた回収エタノール相
中の2,4−ジニトロフェノールをHPLCを用いて分
析を行ったところ、2,4−ジニトロフェノールの回収
率は66.0%であった。
タールを、その0.6倍重量のエタノールを用いて、15
℃で30分間抽出処理した。得られた回収エタノール相
中の2,4−ジニトロフェノールをHPLCを用いて分
析を行ったところ、2,4−ジニトロフェノールの回収
率は66.0%であった。
【0015】実施例10 実施例8で得られた2,4−ジニトロフェノール0.05
7重量%を含む水相100重量部を、エチルベンゼンと
スチレンとの重量比1:1の混合物60重量部を用い、
80℃にて3分間抽出処理した。有機相を分離、回収
し、その中の2,4−ジニトロフェノールをHPLCを
用いて分析を行ったところ、2,4−ジニトロフェノー
ルの抽出率は97%であった。
7重量%を含む水相100重量部を、エチルベンゼンと
スチレンとの重量比1:1の混合物60重量部を用い、
80℃にて3分間抽出処理した。有機相を分離、回収
し、その中の2,4−ジニトロフェノールをHPLCを
用いて分析を行ったところ、2,4−ジニトロフェノー
ルの抽出率は97%であった。
【0016】
【発明の効果】本発明によると、スチレンタール中のニ
トロフェノール系重合防剤を、酸やアルカリを使用する
ことなく、簡単な操作で効率よく経済的有利に回収する
ことができる。本発明の重合防止剤の回収方法は、
(1)回収した重合防止剤はリサイクルすることによ
り、新たに投入する量が減少するため、経済的に有利で
あり、(2)酸やアルカリ排水が発生しないため、排水
処理設備を必要とせず、(3)特殊な材質を必要としな
いため、設備コストが低く、さらに(4)抽出工程のみ
であるので、設備費及用役費が安い、などの利点があ
る。
トロフェノール系重合防剤を、酸やアルカリを使用する
ことなく、簡単な操作で効率よく経済的有利に回収する
ことができる。本発明の重合防止剤の回収方法は、
(1)回収した重合防止剤はリサイクルすることによ
り、新たに投入する量が減少するため、経済的に有利で
あり、(2)酸やアルカリ排水が発生しないため、排水
処理設備を必要とせず、(3)特殊な材質を必要としな
いため、設備コストが低く、さらに(4)抽出工程のみ
であるので、設備費及用役費が安い、などの利点があ
る。
【図1】図1は、本発明の方法を適用し、スチレン/エ
チルベンゼン混合物から蒸留によりエチルベンゼンとス
チレンとをそれぞれ分離するための一例の工程図であ
る。
チルベンゼン混合物から蒸留によりエチルベンゼンとス
チレンとをそれぞれ分離するための一例の工程図であ
る。
1:エチルベンゼン・スチレンスプリッター 2:スチレン精留塔 3:抽出槽(I) 4:抽出槽(II)
Claims (7)
- 【請求項1】 ニトロフェノール系重合防止剤を含有す
るスチレンタールを温度80〜160℃の熱水で処理
し、ニトロフェノール系重合防止剤を抽出することを特
徴とする重合防止剤の回収方法。 - 【請求項2】 ニトロフェノール系重合防止剤を含有す
るスチレンタールを温度80〜160℃の熱水で処理
し、ニトロフェノール系重合防止剤を抽出したのち、水
相中のニトロフェノール系重合防止剤を芳香族炭化水素
系溶剤で逆抽出することを特徴とする重合防止剤の回収
方法。 - 【請求項3】 熱水の温度が100〜150℃である請
求項1又は2記載の方法。 - 【請求項4】 熱水の温度が120〜140℃である請
求項3記載の方法。 - 【請求項5】 スチレンタール1重量部に対し、熱水を
20〜150重量部の割合で使用する請求項1又は2記
載の方法。 - 【請求項6】 スチレンタール1重量部に対し、熱水を
30〜140重量部の割合で使用する請求項5記載の方
法。 - 【請求項7】 芳香族炭化水素系溶剤が、エチルベンゼ
ンとスチレンとの混合物である請求項2記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16757795A JP3763595B2 (ja) | 1995-07-03 | 1995-07-03 | 重合防止剤の回収方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16757795A JP3763595B2 (ja) | 1995-07-03 | 1995-07-03 | 重合防止剤の回収方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0920730A true JPH0920730A (ja) | 1997-01-21 |
JP3763595B2 JP3763595B2 (ja) | 2006-04-05 |
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ID=15852333
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16757795A Expired - Fee Related JP3763595B2 (ja) | 1995-07-03 | 1995-07-03 | 重合防止剤の回収方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3763595B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116042257A (zh) * | 2021-10-28 | 2023-05-02 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种高净热值低硫船燃及其制备方法 |
-
1995
- 1995-07-03 JP JP16757795A patent/JP3763595B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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