JPH09207273A - 伝動ベルト - Google Patents

伝動ベルト

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JPH09207273A
JPH09207273A JP2220896A JP2220896A JPH09207273A JP H09207273 A JPH09207273 A JP H09207273A JP 2220896 A JP2220896 A JP 2220896A JP 2220896 A JP2220896 A JP 2220896A JP H09207273 A JPH09207273 A JP H09207273A
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JP
Japan
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rubber
tan
chlorosulfonated polyethylene
alkylated chlorosulfonated
belt
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JP2220896A
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English (en)
Inventor
Katsuyoshi Fujiwara
勝良 藤原
Katsuya Yamaguchi
勝也 山口
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Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Vベルト1の圧縮ゴム5のへたりとクラック
発生とを防止する。 【構成】圧縮ゴム5をtan δの値が低いACSM組成物
によって形成し、下布コーティングゴムにtan δの値が
高いACSM組成物を適用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伝動ベルトに関
し、特に、VリブドベルトやVベルト等の摩擦伝動ベル
トの走行寿命の向上に有利な発明である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車のエンジンルーム内の雰囲
気温度は従来に比べて上昇してきており、そこに使用さ
れる伝動ベルトに対する耐熱性の要求が高くなってい
る。そこで、このような伝動ベルトでは、そのゴム材と
して耐熱性に優れたクロロスルホン化ポリエチレン系の
ものを使用することが検討されている。しかし、この種
のゴム材は、耐久性、低温特性(耐寒性)の面で問題が
あり、その改良が望まれている。
【0003】これに対して、特開平4−211748号
公報には、クロロスルホン化ポリエチレン分子の主鎖に
アルキル基を導入して結晶化度を低減させるようにした
アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン(以下、AC
SMという略号を用いることがある)を伝動ベルトの圧
縮ゴムとして用いることが記載されている。すなわち、
このものは、上記ACSMの塩素含有量を15〜35重
量%、硫黄含有量を0.5〜2.5重量%とすることに
より、伝動ベルトの低温特性の向上を図るものである。
【0004】また、特開昭63−57654号公報に
は、クロロスルホン化ポリエチレンにジマレイミド、ジ
チオカルバミン酸ニッケル及びチウラムポリスルフィド
を配合することにより、その耐圧縮永久歪を改善するこ
とが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記ACSM
を用いた伝動ベルトの場合、その走行(使用)時間が長
くなると、機械的刺激を繰り返し受けることから、次第
にベルトの変形が大きくなってプーリへの沈み込み、所
謂へたり(永久歪)を生ずるという問題があり、特に高
負荷ないしは高張力下での使用においてこの問題が顕著
になる。
【0006】上記へたりは基本的にはゴムの劣化によっ
て生じ、この劣化は熱が原因になるが、従来、伝動ベル
トの走行寿命を左右する熱に係る要因としては、該伝動
ベルトの雰囲気温度及びベルト走行時にプーリとの間で
の摩擦によって発生する摩擦熱というような外的な熱要
因を問題とし、これに対策するという考えがとられてい
る。
【0007】しかし、伝動ベルトの走行寿命に関して
は、上記外的な熱要因だけを問題にするのではなく、ベ
ルトを構成するゴム自身が該ベルトの運動に伴って発熱
し、内部に熱を蓄えることをも問題にする必要がある。
すなわち、この発熱・蓄熱という内的な熱要因によって
ゴムの軟化・劣化が進み、これが上記へたりの一因にな
っている。そして、この発熱・蓄熱は、ベルトの圧縮ゴ
ムにおいて顕著になり、ベルト寿命が短縮されてしまう
のである。換言すれば、ベルトの外的要因としての熱に
対する耐熱性を向上させたとしても、内的要因であるこ
の発熱・蓄熱量を小さくしない限り、ベルトの走行寿命
を大幅に延長することはできない。
【0008】一方、上記ACSMを用いた伝動ベルト
は、その走行(使用)時間が長くなると、機械的刺激を
繰り返し受ける結果、上記圧縮ゴムにクラック(亀裂)
を生ずる、という問題もある。このクラックは下布(あ
るいはすだれ)とゴム部との界面や、該圧縮ゴムに混入
されている短繊維とゴム部との界面から発生し易い。特
に当該伝動ベルトを巻き掛けたプーリー径が小さい場合
に、該プーリーを通過する際のベルトの屈曲変形が大き
くなることから、上記クラック発生の問題が顕著にな
る。
【0009】ここに、上記へたりの問題と上記クラック
の問題とを考察すると、前者はベルトの運動に伴って外
部から加わる機械的エネルギーが熱に変わって圧縮ゴム
が内部に熱を蓄えることが一因となるのに対し、後者は
上記機械的エネルギーが熱に変わらずに圧縮ゴムの短繊
維部分や下布部分に局部的な応力集中を招くことが一因
になる。従って、ベルトの耐発熱・蓄熱特性と耐クラッ
ク特性とは、一方が良くなれば他方が悪くなるというよ
うに、矛盾する方向で変化する関係にあり、両立させる
ことが難しいという問題がある。
【0010】先に従来技術を示すものとして掲げた特開
平4−211748号公報は、ACSMを伝動ベルトの
ゴム材として用いることによって−30℃以下の低温時
における塩素の凝集によるゴムの硬化を防止しようとす
るものであるが、上述のへたり及びクラックに対策する
ことについて示唆するものではない。
【0011】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であって、ACSMを伝動ベルトの圧縮ゴムに用いるに
あたり、上述の内的な熱要因及び応力集中の両者に対策
して、その走行寿命を延ばすことを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
ついて種々の検討を加え、試作・実験を繰り返した結
果、高分子の動的粘弾特性の指標であるtan δの値を種
々に変えて伝動ベルトを製作すれば、該tan δの値によ
ってベルトの走行寿命が大きく変化すること、しかし、
圧縮ゴムに特定のtan δのACSM組成物を適用しただ
けでは上述の矛盾する特性の両者を満足させることは難
しく、短繊維や下布の処理に使用するゴムについても上
記tan δの観点から見直す必要があることに想到し、本
発明を完成するに至ったものである。以下、特許請求の
範囲の各請求項に係る発明について具体的に説明する。
【0013】<請求項1乃至請求項4の各発明>請求項
1に係る発明は、ベルト長手方向に延びる心線を適正位
置に保持する接着ゴムと、圧縮ゴムと、該圧縮ゴムの底
面側に設けられ帆布又はすだれにゴムがコーティングさ
れてなる被覆層とを備えた伝動ベルトにおいて、上記圧
縮ゴムが、温度100℃、振動数10Hz でのtan δが
0.04〜0.09である低tan δのアルキル化クロロ
スルホン化ポリエチレン組成物によって形成され、上記
被覆層のコーティングゴムが、上記圧縮ゴムの上記tan
δよりも高い高tan δのアルキル化クロロスルホン化ポ
リエチレン組成物によって形成されていることを特徴と
する。
【0014】請求項2に係る発明は、ベルト長手方向に
延びる心線を適正位置に保持する接着ゴムと、圧縮ゴム
と、該圧縮ゴムの底面側に設けられ帆布又はすだれにゴ
ムがコーティングされてなる被覆層とを備えた伝動ベル
トにおいて、上記被覆層のコーティングゴムが、温度1
00℃、振動数10Hz でのtan δが0.08〜0.2
2である高tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリエ
チレン組成物によって形成され、上記圧縮ゴムが、上記
被覆層のコーティングゴムの上記tan δよりも低い低ta
n δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレン組成物
によって形成されていることを特徴とする。
【0015】請求項3に係る発明は、ベルト長手方向に
延びる心線を適正位置に保持する接着ゴムと、ゴムがコ
ーティングされてなる短繊維が混入された圧縮ゴムとを
備えた伝動ベルトにおいて、上記圧縮ゴムのゴム部が、
温度100℃、振動数10Hz でのtan δが0.04〜
0.09である低tan δのアルキル化クロロスルホン化
ポリエチレン組成物によって形成され、上記短繊維のコ
ーティングゴムが、上記圧縮ゴムの上記tan δよりも高
い高tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレン
組成物によって形成されていることを特徴とする。
【0016】請求項4に係る発明は、ベルト長手方向に
延びる心線を適正位置に保持する接着ゴムと、ゴムがコ
ーティングされてなる短繊維が混入された圧縮ゴムとを
備えた伝動ベルトにおいて、上記短繊維のコーティング
ゴムが、温度100℃、振動数10Hz でのtan δが
0.08〜0.22である高tan δのアルキル化クロロ
スルホン化ポリエチレン組成物によって形成され、上記
圧縮ゴムが、上記短繊維のコーティングゴムの上記tan
δよりも低い低tan δのアルキル化クロロスルホン化ポ
リエチレン組成物によって形成されていることを特徴と
する。
【0017】上記各発明において、アルキル化クロロス
ルホン化ポリエチレン組成物は、クロロスルホン化した
直鎖状分子構造の低密度ポリエチレン組成物のことであ
る。そうして、当該各発明においては、圧縮ゴムのゴム
部を低tan δのACSM組成物によって形成し、帆布や
すだれのコーティングゴムあるいは短繊維のコーティン
グゴムを高tan δのACSM組成物によって形成してい
るから、耐へたりの向上と耐クラック性の向上との両立
が図れるものである。以下、この点を具体的に説明す
る。
【0018】(tan δについて)まず、上記tan δにつ
いて説明すると、加硫ゴムの動的性質試験(JIS K
6394)において複素弾性率は以下の(1) 式によって
表される G* =G′+iG″ ……(1) G* :複素剪断弾性率 G′:貯蔵弾性率(複素剪断弾性率の実数部) G″:損失弾性率(複素剪断弾性率の虚数部)
【0019】また、加えられた応力と歪みとの時間的遅
れを表す角度δは、散逸率と呼ばれ次の(2) 式によって
定義される。 tan δ=G″/G′ ……(2)
【0020】このtan δは減衰項であって、振動の1サ
イクルの間に熱として散逸されるエネルギーと貯蔵され
る最大エネルギーとの比の尺度となっている。そして、
損失弾性率G″は次の(3) 式で示されるように1サイク
ル当りに散逸される熱に正比例する。 H=πG″γ2 ……(3) H:1サイクル当りに散逸される熱 γ:剪断歪みの最大値
【0021】このように、tan δは、ゴム組成物に加え
られる機械的エネルギーの熱としての散逸され易さを表
わすものであり、tan δの値が高ければ、外部から加え
られる機械的エネルギーが熱に変わって応力集中は少な
くなるから耐クラック性の向上に有利になり、tan δの
値が低ければ、上記機械的エネルギーが熱に変わる量が
少なくなるから耐へたり性の向上に有利になる。
【0022】そこで、当該発明では、上記tan δの性格
とクラックやへたりが発生するメカニズムとに鑑み、へ
たりを生じ易い圧縮ゴムにtan δの値が低いACSM組
成物を用い、圧縮ゴムのクラック開始点(発生源)とな
り易い帆布やすだれあるいは短繊維のコーティングゴム
にtan δの値が高いACSM組成物を用いているもので
ある。
【0023】すなわち、圧縮ゴムは、tan δの値が低い
ACSM組成物によって形成されているから、伝動ベル
トがプーリによって繰返し屈曲されても、その機械的エ
ネルギーが内部で熱エネルギーに変わる量が少なく、従
って、内部での発熱・蓄熱が少なくないため変形回復能
力が高く、上記へたりが防止される。
【0024】一方、帆布やすだれあるいは短繊維のコー
ティングゴムでは、tan δの値が高いACSM組成物が
使用されているから、伝動ベルトがプーリにおいて繰返
し屈曲されても、その機械的エネルギーが熱エネルギー
に変わり易い。従って、この帆布やすだれあるいは短繊
維とコーティングゴムとの界面における応力集中度が低
くなり、クラックの防止に有利になる。
【0025】ここに、上記帆布やすだれあるいは短繊維
のコーティングゴム自体は、圧縮ゴムに比べてボリュー
ムが小さいため、そこでの発熱は圧縮ゴムの温度上昇に
はほとんど影響せず、むしろ、応力集中の緩和によるク
ラックの発生・成長の防止に大きく貢献する。ゴムのコ
ーティング量は、帆布やすだれあるいは短繊維が100
重量部のときゴムが5〜300重量部程度である。
【0026】(tan δの上限・下限)圧縮ゴムを形成す
る低tan δのACSM組成物の場合、上記へたりを抑制
する観点から、温度100℃、振動数10Hz でtan δ
の上限を0.09とすること、さらには0.08とする
ことが好適である。該tan δの下限については、その値
が低過ぎると、クラック発生の問題が出てくるため、
0.04程度とすること、さらには0.05とすること
が好適である。
【0027】上記コーティングゴム用の高tan δのAC
SM組成物の場合、上記クラック発生を抑制する観点か
ら、温度100℃、振動数10Hz でtan δの下限を
0.08とすることが好適である。該tan δの上限につ
いては、その値が高過ぎると、上記へたりの問題が出て
くるため、0.22とすること、さらには0.15とす
ることが好適である。
【0028】ここに、上記tan δの値を温度100℃、
振動数10Hz で設定しているのは、一般的な伝動ベル
ト(例えば、自動車のタイミングベルト)の使用環境及
び条件を考慮したためであり、特に振動数については伝
動ベルトがプーリーを通過することによって曲げ伸ばし
されるサイクルを考慮したものである。
【0029】<請求項5または請求項6に係る発明>請
求項5に係る発明は、上記請求項1乃至請求項4のいず
れか一に記載されている伝動ベルトにおいて、上記低ta
n δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレン組成物
のアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンの硫黄含有
量が0.8〜2.0重量%であり、上記高tan δのアル
キル化クロロスルホン化ポリエチレン組成物のアルキル
化クロロスルホン化ポリエチレンの硫黄含有量が、上記
低tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレン組
成物の上記硫黄含有量よりも少ないことを特徴とする。
【0030】請求項6に係る発明は、上記請求項1乃至
請求項4のいずれか一に記載されている伝動ベルトにお
いて、上記高tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリ
エチレン組成物のアルキル化クロロスルホン化ポリエチ
レンの硫黄含有量が0.5〜0.8重量%であり、上記
低tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレン組
成物のアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンの硫黄
含有量が、上記高tan δのアルキル化クロロスルホン化
ポリエチレン組成物の上記硫黄含有量よりも多いことを
特徴としている。
【0031】(硫黄含有量及び塩素含有量について)硫
黄含有量は、分子中のクロロスルホン基の量、つまり架
橋点の数に密接に関係し、その量が多くなるほど架橋が
密になる。従って、硫黄含有量はACSM組成物のtan
δを変化させる大きな要因となる。
【0032】請求項6に係る発明において、圧縮ゴム用
のACSMの硫黄含有量の下限を0.8重量%としてい
るのは、硫黄含有量がこれよりも少なくなると上記tan
δの値が高くなって上記低い値に設定することが難しく
なるためである。一方、該硫黄含有量の上限を2.0重
量%にしているのは、硫黄含有量がこれよりも多くなる
と、tan δを低い値にする上では有利になるが、他の配
合剤の配合設計が難しくなるためである。当該上限のよ
り好ましい値は、1.0重量%である。
【0033】一方、コーティングゴム用のACSMの硫
黄含有量の上限を0.8重量%としているのは、硫黄含
有量がこれよりも多くなると上記tan δの値が低くなっ
て上記高い値に設定することが難しくなるためである。
一方、該硫黄含有量の下限を0.6重量%にしているの
は、硫黄含有量がこれよりも少なくなると、tan δを高
い値にする上では有利になるが、他の配合剤の配合設計
が難しくなるためである。
【0034】上述の如く、tan δの値は硫黄含有量によ
って変化するが、この硫黄含有量だけでなく塩素含有量
も変化の要因となる。しかし、この塩素含有量は、AC
SMの結晶化度とより密接な関係があり、塩素含有量が
高くなるほどそのゴム弾性的性質が強まる一方、低温特
性が悪化する。従って、この塩素含有量については、1
5〜35重量%、より望ましくは25〜32重量%に設
定することが好適となる。すなわち、塩素含有量の上限
を35重量%、より好ましくは32重量%に設定すれ
ば、塩素の凝集エネルギーを低く抑えることができるた
め、ゴムの硬化を防ぐうえで有利になり、ベルトの耐寒
性が向上する。また、塩素含有量の下限を15重量%、
より好ましくは25重量%に設定すれば、ゴムの耐油性
及び機械的な強度を確保するうえで有利になる。
【0035】但し、注意しなければならないのは、先に
従来技術として掲げた特開平4−211748号公報に
記載されている伝動ベルトでも、これに用いるACSM
の硫黄含有量及び塩素含有量が規定されているが、この
硫黄と塩素の含有量だけではtan δの値は特定されない
ということである。
【0036】すなわち、tan δの値は、上記硫黄含有量
及び塩素含有量だけで決まるものではなく、架橋剤その
他の配合剤の種類及びその量によっても変化するもので
ある。
【0037】例えば、架橋剤及び架橋促進剤の配合量を
少なくすることによってtan δを所定の高い値に設定す
ることができるが、カーボンブラック配合量やプロセス
オイル配合量を増すことによっても、tan δを高い値に
設定することができる。但し、これらの量を変化させる
とそれに応じてベルトの他のゴム物性が変化するため、
ベルトに必要される各種のゴム物性を考慮しながら各配
合剤の量を調整する必要がある。
【0038】(配合剤について)上記ACSM組成物
は、先のtan δの説明に関連して配合剤のことを述べた
ように、カーボンブラック等の補強剤、充填剤、受酸
剤、可塑剤、粘着付与剤、加工助剤、老化防止剤、活性
剤等の一般的なゴム配合物を任意に選択して配合したも
のとすることができる。カーボンブラックとしてはMA
F、FEF、GPF、SRF等を、受酸剤としては酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム−
酸化アルミニウム固溶体等を、軟化剤としてはプロセス
オイル、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチル
セパケート(DOS)、ポリエーテル系可塑剤等を、粘
着付与剤としてはクマロン樹脂、フェノール樹脂、アル
キルフェノール樹脂等を、老化防止剤としてはニッケル
ブチルジチオカボメート(NBC)、2,2,4−トリ
メチル−1,2−ジハイドロキノリンの縮合物(TMD
Q)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2
−ジハイドロキノリンの縮合物(ETMDQ)等を、そ
れぞれ用いることができる。
【0039】上記受酸剤として酸化マグネシウム−酸化
アルミニウム固溶体を用いる場合、その配合量はACS
M100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは4
〜20重量部である。この酸化マグネシウム−酸化アル
ミニウム固溶体の配合量は、1重量部未満では、架橋中
に発生する塩化水素を十分に除去することができないた
め、ACSMの架橋点が少なくなって所定の加硫物が得
られず、耐熱性に欠けて早期にクラックが発生し易いベ
ルトになってしまい、一方、50重量部を越えるとムー
ニー粘度が著しく高くなり加工仕上げに問題が生じる。
【0040】上記ACSMと上記配合剤とを混合する方
法としては、適宜の公知の手段、方法によって(例えば
バンバリーミキサー、ニーダー等を用いて)混練するこ
とができる。
【0041】(心線、接着ゴム、短繊維について)上記
心線については、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガ
ラス繊維等を素材とする高強度で低伸度のコードによっ
て形成することができる。
【0042】一方、接着ゴムには、耐熱性を有し、心線
であるポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等
と良好に接着するクロロプレンゴム組成物、水素添加率
80%以上の水素化ニトリルゴム組成物、ACSM組成
物、CSM組成物等を用いることができる。
【0043】心線には、接着ゴムとの接着性を改善する
目的で接着剤による処理を施すことができる。このよう
な接着剤処理としては繊維をレゾルシン−ホルマリン−
ラテックス(RFL液)に浸漬後、加熱乾燥して表面に
均一に接着層を形成するのが一般的である。
【0044】短繊維は、摩擦伝動ベルトにおいては一般
にプーリとの摩擦面に対して垂直な方向に配向され、当
該圧縮ゴムの耐側圧性を高め、へたり防止に寄与する。
この短繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊
維、アラミド繊維等の有機繊維あるいは無機繊維を用い
ることができ、特に次のような形状及び物性のものが好
適である。
【0045】 短繊維断面積 ;0.15×10-6cm2 〜100×10-6cm2 短繊維長さ ;0.10mm〜20mm 短繊維のアスペクト比;10〜2000 短繊維の引張弾性率 ;200kg/mm2 以上
【0046】また、短繊維のさらに好ましい形状及び物
性は次の通りである。
【0047】 短繊維断面積 ;0.50×10-6cm2 〜20×10-6cm2 短繊維長さ ;1.0mm〜5.0mm 短繊維のアスペクト比;50〜1000 短繊維の引張弾性率 ;1000kg/mm2 〜100000kg/mm2
【0048】短繊維にゴムをコーティングする場合に
は、未加硫ゴムを短繊維表面にコーティングしてから半
加硫状態とし、しかる後に、これを圧縮ゴム用ACSM
組成物と合わせて混練することが、混練中に当該コーテ
ィングゴムが短繊維から剥がれることを防止する上で好
適である。また、コーティング用の未加硫ゴムの粘度を
圧縮ゴム用ACSM組成物の粘度よりも高くすることに
よって、上記混練中の剥がれを防止することもできる。
【0049】また、本発明に係る伝動ベルトは、Vベル
トに限定されることはなく、平ベルトであっても、上記
圧縮ゴムに複数のリブを有するVリブドベルトであって
もよい。
【0050】<請求項7に係る発明>この発明は、上記
請求項5または請求項6に記載されている伝動ベルトに
おいて、上記低tan δのアルキル化クロロスルホン化ポ
リエチレン組成物が、アルキル化クロロスルホン化ポリ
エチレン100重量部に対し、N,N´−m−フェニレ
ンジマレイミドが1〜7重量部、ジペンタメチレンチウ
ラムテトラスルフィドが0.1〜4.0重量部配合され
ものであり、上記高tan δのアルキル化クロロスルホン
化ポリエチレン組成物が、アルキル化クロロスルホン化
ポリエチレン100重量部に対し、N,N´−m−フェ
ニレンジマレイミドが0.2〜5.0重量部、ジペンタ
メチレンチウラムテトラスルフィドが0.1〜4.0重
量部、並びにペンタエリトリット(ペンタエリスリトー
ル)が0.1〜5.0重量部配合されたものであること
を特徴とする。
【0051】上記低tan δのACSM組成物において、
N,N´−m−フェニレンジマレイミドは架橋剤として
働き、その配合量が1重量部未満の場合は加硫不足にな
る。一方、この量が7重量部を越えた場合はtan δの値
が低くなるが、クラック発生の問題を生ずる。このた
め、当該配合量を上記範囲に定めているものであり、適
切な加硫を行ないながらtan δを所定の低い値に設定す
るうえでは、当該配合量を2〜4重量部とすることがさ
らに好適である。
【0052】また、上記ジペンタメチレンチウラムテト
ラスルフィドは、上記N,N´−m−フェニレンジマレ
イミドとの併用により架橋を促進する促進剤であり、そ
の配合量が0.1重量部未満では期待する促進効果が得
られず、4重量部を越えるとtan δがかなり低いものに
なりクラック発生の問題が出てくる。このため、この促
進剤の配合量を上記範囲に設定しているものであり、よ
り好ましい範囲は1〜2重量部である。
【0053】一方、上記高tan δのACSM組成物にお
いて、上記N,N´−m−フェニレンジマレイミドの配
合量が0.2重量部未満の場合は加硫不足になる。一
方、この量が5重量部を越えた場合はtan δの値を上述
の高い値に設定することが難しくなり、クラック防止に
不利になる。このような観点から、当該配合量を上記範
囲に設定したものであり、そのより好ましい範囲は1〜
3重量部である。
【0054】また、上記ジペンタメチレンチウラムテト
ラスルフィドの配合量が0.1重量部未満では期待する
促進効果が得られず、4重量部を越えるとtan δがかな
り低いものになってしまう。このため、この促進剤の配
合量を上記範囲に設定しているものであり、より好まし
い範囲は1〜2重量部である。
【0055】上記ペンタエリトリットは、その詳細な機
能は不明であるが、ACSMの架橋を促進しながらその
架橋状態を好適なものとすることによって、その耐屈曲
疲労性を向上させるものと考えられる。
【0056】すなわち、ACSMは、種々の架橋構造を
とることができ、上記N,N´−m−フェニレンジマレ
イミドはマレイミド架橋、上記ジペンタメチレンチウラ
ムテトラスルフィドは硫黄架橋、後述する実施例のよう
に金属酸化物(酸化マグネシウム)を用いた場合には金
属酸化物架橋を生じ、これら複数の架橋剤ないしは促進
剤の併用により、複数種類の架橋構造が共存することに
なる。
【0057】これに対して、上記ペンタエリトリットを
配合するか否かは上記各架橋構造の存在割合に影響を与
えてゴム物性を全く異なるものにするようであり、特に
当該発明の如き配合によって、当該ゴムの耐屈曲疲労性
が著しく向上する。
【0058】ここに、上記ペンタエリトリットの配合量
が0.1重量部未満では期待する改良効果が得られず、
5重量部を越えると架橋が進み過ぎて耐屈曲疲労性が得
られなくなる。このため、当該配合量を上記範囲に設定
しているものであり、より好ましい範囲は1〜4重量部
である。
【0059】<請求項8に係る発明>請求項8に係る発
明は、上記請求項7に記載されている伝動ベルトがロー
エッジタイプのVベルトである。
【0060】当該各発明において、上記請求項7の伝動
ベルトをローエッジタイプのものに限定したのは、この
タイプにおいて圧縮ゴムの発熱・蓄熱にへたりの問題や
クラック発生の問題が顕著になるからである。
【0061】
【発明の実施の形態】
<ベルト構造についての好適な実施形態>図1には伝動
ベルトの一例としてVベルト1が示されている。このV
ベルト1は、上面のゴム引き上布2、上ゴム3、高強度
で低伸度の心線4が配設された接着ゴム5、弾性体層で
ある圧縮ゴム6及び下面のゴム引き下布7が上下に積層
されてなり、かつこれらの積層部材の側面が露出してい
るローエッジタイプのものである。上布2及び下布7に
はゴムがコーティングされた綿帆布が用いられている。
圧縮ゴム6には短繊維がベルト幅方向に配向して混入さ
れている。
【0062】<ACSM系加硫ゴムのtan δについて>
硫黄含有量が相異なる3種類のACSM(S=0.6
%,0.8%及び1.0%の3種類)を準備し、これら
のACSMを用いて表1に示すA〜Nの加硫系の配合が
互いに異なるACSM組成物を調製して、それらの加硫
後のtan δを調べた。これらACSM組成物の配合は次
の通りである。
【0063】 ACSM 100重量部 MgO 5重量部 加工助剤 2重量部 老化防止剤 2重量部 カーボンブラック 50重量部 可塑剤 10重量部 加硫系配合剤 変量
【0064】MgO以外の加硫系配合剤に関しては、架
橋剤として、大内新興化学工業社のバルノックPM
(N,N′−m−フェニレンジマレイミドの商品名)を
用い、促進剤として、同社のノクセラーTRA(ジペン
タメチレンチウラムテトラスルフィドの商品名)を用
い、さらにペンタエリトリットを採用した。加硫には加
硫缶を用い、加硫条件は160℃×40分とした。上記
tan δについてはJIS K6394により、試験片温
度100℃、振動数10Hzで求めた。
【0065】
【表1】
【0066】表1によれば、ACSMの硫黄含有量が多
くなるに従ってtan δが低くなること、また、加硫系配
合剤の量が増えるに従ってtan δが低くなることがわか
る。
【0067】<圧縮ゴム及び下布コーティングゴムの種
類とベルト寿命>上記表1のA〜MのACSM組成物か
ら表2に示すように2種のACSM組成物を適宜選択し
て圧縮ゴム及び下布のコーティングゴムとして用いた実
施例の供試Vベルト1〜12及び比較例の供試ベルト1
を作製し、これらの走行寿命を調べた。供試Vベルトは
図1に示すローエッジタイプとした。ベルト長は930
mmである。
【0068】また、上記供試ベルトに関し、圧縮ゴムに
は短繊維として繊維長3mmの6,6−ナイロンを混入
した。混入量はACSM100重量部に対して短繊維2
0重量部である。心線としてはポリエステル繊維からな
るものを用いた。この心線は、イソシアネート化合物を
溶剤に溶かした接着剤液を含浸させ加熱・乾燥した後、
RFL液をコーティングし加熱・乾燥させた。このRF
L液は、RF液(レゾルシン−ホルマリン液)430.
5重量部、2.3−ジクロロブタジエン787.4重量
部、水716.4重量部、及び湿潤剤(ソジウムジオク
チルスルホサクシネート2%)65.8重量部を混合し
たものである。接着ゴムのゴム材としては、ACSM1
00重量部、カーボンブラック40重量部、老化防止剤
2重量部、促進剤2重量部、MgO−Al2 3 固溶体
8重量部、及びN−N´−m−フェニレンジマレイミド
1重量部よりなるACSM組成物を用いた。
【0069】供試ベルトの作製にあたっては、ベルト成
形用の金型マントルに、ゴム引き上布、上ゴム用未加硫
ゴムシート、接着ゴム用未加硫ゴムシート、心線、接着
ゴム用未加硫ゴムシート、圧縮ゴム用未加硫ゴムシー
ト、及びゴム引き下布を順に巻き付け、加硫缶内で16
0℃×40分の加硫を行ない、脱型した成形品を輪切り
にし、さらにV形状に仕上げる、という方法をとった。
また、下布に関しては、ACSM組成物を溶剤に溶かし
てゴム糊とし、これを綿帆布に塗布することによって得
た。
【0070】なお、上記供試ベルトの構成は一例であ
り、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【0071】走行寿命試験は、図2に示すように、駆動
プーリ21と従動プーリ22とアイドルプーリ23とに
供試Vベルト20を巻き掛けて次の条件で該ベルト20
を走行させ、クラックが発生して又はへたりを生じて伝
動不良になるまでの時間(単位;hr)を測定するとい
うものである。
【0072】−ベルト走行試験条件− 駆動プーリ21の直径 ;125mm 従動プーリ22の直径 ;125mm アイドルプーリ23の直径 ; 65mm 供試ベルト20の巻掛角度θ;90度 荷重W ;80kgf 雰囲気温度 ;25℃ 駆動プーリ21の回転数 ;4800rpm 負荷 ;12PS
【0073】試験結果は各供試ベルトの圧縮ゴム及び下
布コーティングゴムの種類と共に表2に示されている。
【0074】
【表2】
【0075】同表によれば、圧縮ゴムに低tan δのAC
SM組成物を用い、下布コーティングゴムに高tan δの
ACSM組成物を用いた実施例の供試ベルト1〜12
は、これらとはtan δの高低が逆になっている比較例の
供試ベルトよりもベルト走行寿命が長くなっている。こ
れは、前者の場合は圧縮ゴムのtan δが低いことからそ
のへたりが防止され、しかも圧縮ゴムのクラック開始点
となり易い下布コーティングゴムのtan δが高いことか
ら当該クラックが防止されたためと認められる。比較例
の供試ベルトは、圧縮ゴムの加硫系配合剤の量が少ない
ために該圧縮ゴムのtan δが高くなりすぎて、ベルト走
行寿命が短くなっている。
【0076】上記実施例の供試ベルト1〜12のうちで
も、供試ベルト1〜3及び供試ベルト9が良い結果を示
している。また、供試ベルト5,6,7も概ね良好であ
る。これに対して、供試ベルト4は、圧縮ゴムのACS
Mの硫黄含有量が少ないために該圧縮ゴムのtan δが高
くなって、ベルト走行寿命が短くなっている。供試ベル
ト8は、下布用コーティングゴムの加硫系配合剤の量が
少ないために、ベルト走行寿命が短くなっている。供試
ベルト10は、下布用コーティングゴムの加硫系配合剤
の量がさらに少ないために該下布用コーティングゴムの
tan δが高くなり過ぎて、ベルト走行寿命が短くなって
いる。供試ベルト11は、下布用コーティングゴムの加
硫系配合剤の量が多いために該下布用コーティングゴム
のtan δが低くなり過ぎて、ベルト走行寿命が短くなっ
ている。供試ベルト12は、圧縮ゴムの硫黄含有量が多
いために、ベルト走行寿命が短くなっている。
【0077】<圧縮ゴム及び短繊維コーティングゴムの
種類とベルト寿命(1)>上記表1のA〜MのACSM
組成物から表3に示すように2種のACSM組成物を適
宜選択して圧縮ゴム及び短繊維コーティングゴムとして
用いた実施例の供試Vベルト13〜24及び比較例の供
試ベルト2を作製し、これらの走行寿命を調べた。
【0078】短繊維としては繊維長3mmの6,6−ナ
イロンを用い、これに未加硫のACSM組成物をコーテ
ィングした後、短時間の加熱によって該ACSM組成物
を半加硫状態とし、しかる後に圧縮ゴム用ACSM組成
物と当該ゴムコーティング短繊維とを合わせて混練し
た。
【0079】短繊維に対するゴムのコーティングは、基
本的には未加硫のACSM組成物に溶剤(トルエン等)
を加えて糊ゴムとし、これに短繊維を加えて混合し、乾
燥させることによって行なった。さらに、乾燥した状態
で塊になったものについてはその解砕を行なった。短繊
維に対するゴムの付着量は短繊維100重量部に対して
約150重量部とした。また、圧縮ゴムにおける短繊維
混入量は該圧縮ゴムのACSM100重量部に対して2
0重量部とした。
【0080】供試ベルトの他の構成及び製造方法は先の
供試Vベルト1〜12と同じであり、また、ベルト走行
試験も先の同じである。結果は表3に示されている。
【0081】
【表3】
【0082】同表によれば、圧縮ゴムに低tan δのAC
SM組成物を用い、短繊維コーティングゴムに高tan δ
のACSM組成物を用いた供試ベルト13〜24は、こ
れらとはtan δの高低が逆になっている比較例の供試ベ
ルト2よりもベルト走行寿命が長くなっている。前者の
場合は圧縮ゴムのtan δが低いことからそのへたりが防
止され、しかも圧縮ゴムのクラック開始点となり易い短
繊維コーティングゴムのtan δが高いことから当該クラ
ックが防止されたためと認められる。比較例の供試ベル
トは、圧縮ゴムの加硫系配合剤の量が少ないために該圧
縮ゴムのtan δが高くなりすぎて、ベルト走行寿命が短
くなっている。
【0083】上記実施例の供試ベルト13〜24のうち
でも、供試ベルト13〜15及び供試ベルト21が良い
結果を示している。また、供試ベルト17,18も概ね
良好である。これに対して、供試ベルト16は、圧縮ゴ
ムのACSMの硫黄含有量が少ないために該圧縮ゴムの
tan δが高くなって、ベルト走行寿命が短くなってい
る。供試ベルト19は、圧縮ゴムの架橋剤量が多いため
に、ベルト走行寿命が短くなっている。供試ベルト20
は、短繊維コーティングゴムの加硫系配合剤の量が少な
いために、ベルト走行寿命が短くなっている。供試ベル
ト22は、短繊維コーティングゴムの加硫系配合剤の量
がさらに少ないために該短繊維コーティングゴムのtan
δが高くなり過ぎて、ベルト走行寿命が短くなってい
る。供試ベルト23は、短繊維コーティングゴムの加硫
系配合剤の量が多いために該短繊維コーティングゴムの
tan δが低くなり過ぎて、ベルト走行寿命が短くなって
いる。供試ベルト24は、圧縮ゴムの硫黄含有量が多い
ために、ベルト走行寿命が短くなっている。
【0084】<圧縮ゴム及び短繊維コーティングゴムの
種類とベルト寿命(2)>先の供試ベルト13〜24と
は異なり、短繊維として繊維長3mmのm−アラミド繊
維を用い、他は同じ構成とした実施例の供試ベルト25
〜36及び比較例の供試ベルト3を作製し、同じ条件及
び方法によってこれらの走行寿命を調べた。結果は表4
に示されている。
【0085】
【表4】
【0086】同表の結果と表3とを比較すると、m−ア
ラミド短繊維を用いた場合も6,6−ナイロン短繊維を
用いた場合と同様の傾向にあることがわかる。但し、m
−アラミド短繊維を用いた方がベルト走行寿命は少し長
くなっている。
【0087】
【発明の効果】請求項1または請求項2に係る発明によ
れば、伝動ベルトの圧縮ゴムに低tanδのACSM組成
物を用い、帆布又はすだれのコーティングゴムに高tan
δのACSM組成物を用いたから、ベルトの耐へたり性
の向上と耐クラック性の向上とを両立させることができ
る。
【0088】請求項3または請求項4に係る発明によれ
ば、伝動ベルトの圧縮ゴムに低tanδのACSM組成物
を用い、短繊維コーティングゴムに高tan δのACSM
組成物を用いたから、該圧縮ゴムの耐へたり性の向上と
耐クラック性の向上とを両立させることができる。
【0089】請求項5に係る発明によれば、上記請求項
1乃至請求項4のいずれか一に記載されている伝動ベル
トにおいて、上記圧縮ゴム用のACSMの硫黄含有量を
0.8〜2.0重量%とし、上記コーティングゴム用の
ACSMの硫黄含有量を上記圧縮ゴム用の上記硫黄含有
量よりも少なくしたから、圧縮ゴムのtan δを所期の低
値に設定して、これと高tan δのコーティングゴムとを
組み合わせるうえで有利になる。
【0090】請求項6に係る発明によれば、上記請求項
1乃至請求項4のいずれか一に記載されている伝動ベル
トにおいて、上記コーティングゴム用のACSMの硫黄
含有量を0.5〜0.8重量%とし、上記圧縮ゴム用の
ACSMの硫黄含有量をコーティングゴム用の上記硫黄
含有量よりも多くしたから、コーティングゴム用のtan
δを所期の高値に設定して、これと低tan δの圧縮ゴム
とを組み合わせるうえで有利になる。
【0091】請求項7に係る発明によれば、上記請求項
5または請求項6に記載されている伝動ベルトにおい
て、上記圧縮ゴム(低tan δ)のACSM組成物が、A
CSM100重量部に対し、N,N´−m−フェニレン
ジマレイミドを1〜7重量部、ジペンタメチレンチウラ
ムテトラスルフィドを0.1〜4.0重量部配合したも
のであり、上記コーティングゴム(高tan δ)のACS
M組成物が、ACSM100重量部に対し、N,N´−
m−フェニレンジマレイミドを0.2〜5.0重量部、
ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドを0.1〜
4.0重量部、並びにペンタエリトリットを0.1〜
5.0重量部配合したものであるから、ゴムの加硫不足
を招くことなく、各々のtan δを所期の値にして耐へた
り性及び耐クラック性の向上を図るうえで有利になる。
【0092】請求項8に係る発明によれば、上記請求項
7に記載されている発明をローエッジタイプのVベルト
に適用したから、そのへたり及びクラック発生を防止
し、ベルトの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るVベルトの断面図
【図2】伝動ベルトの走行寿命試験の態様を示す正面図
【符号の説明】
1 Vベルト 2 ゴム引き上布 3 上ゴム 4 心線 5 接着ゴム 6 圧縮ゴム 7 ゴム引き下布

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト長手方向に延びる心線を適正位置
    に保持する接着ゴムと、圧縮ゴムと、該圧縮ゴムの底面
    側に設けられ帆布又はすだれにゴムがコーティングされ
    てなる被覆層とを備え、 上記圧縮ゴムが、温度100℃、振動数10Hz でのta
    n δが0.04〜0.09である低tan δのアルキル化
    クロロスルホン化ポリエチレン組成物によって形成さ
    れ、 上記被覆層のコーティングゴムが、上記圧縮ゴムの上記
    tan δよりも高い高tan δのアルキル化クロロスルホン
    化ポリエチレン組成物によって形成されていることを特
    徴とする伝動ベルト。
  2. 【請求項2】 ベルト長手方向に延びる心線を適正位置
    に保持する接着ゴムと、圧縮ゴムと、該圧縮ゴムの底面
    側に設けられ帆布又はすだれにゴムがコーティングされ
    てなる被覆層とを備え、 上記被覆層のコーティングゴムが、温度100℃、振動
    数10Hz でのtan δが0.08〜0.22である高ta
    n δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレン組成物
    によって形成され、 上記圧縮ゴムが、上記被覆層のコーティングゴムの上記
    tan δよりも低い低tan δのアルキル化クロロスルホン
    化ポリエチレン組成物によって形成されていることを特
    徴とする伝動ベルト。
  3. 【請求項3】 ベルト長手方向に延びる心線を適正位置
    に保持する接着ゴムと、ゴムがコーティングされてなる
    短繊維が混入された圧縮ゴムとを備え、 上記圧縮ゴムのゴム部が、温度100℃、振動数10H
    z でのtan δが0.04〜0.09である低tan δのア
    ルキル化クロロスルホン化ポリエチレン組成物によって
    形成され、 上記短繊維のコーティングゴムが、上記圧縮ゴムの上記
    tan δよりも高い高tan δのアルキル化クロロスルホン
    化ポリエチレン組成物によって形成されていることを特
    徴とする伝動ベルト。
  4. 【請求項4】 ベルト長手方向に延びる心線を適正位置
    に保持する接着ゴムと、ゴムがコーティングされてなる
    短繊維が混入された圧縮ゴムとを備え、 上記短繊維のコーティングゴムが、温度100℃、振動
    数10Hz でのtan δが0.08〜0.22である高ta
    n δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレン組成物
    によって形成され、 上記圧縮ゴムが、上記短繊維のコーティングゴムの上記
    tan δよりも低い低tan δのアルキル化クロロスルホン
    化ポリエチレン組成物によって形成されていることを特
    徴とする伝動ベルト。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記
    載されている伝動ベルトにおいて、 上記低tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレ
    ン組成物のアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンの
    硫黄含有量が0.8〜2.0重量%であり、 上記高tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレ
    ン組成物のアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンの
    硫黄含有量が、上記低tan δのアルキル化クロロスルホ
    ン化ポリエチレン組成物の上記硫黄含有量よりも少ない
    ことを特徴とする伝動ベルト。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記
    載されている伝動ベルトにおいて、 上記高tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレ
    ン組成物のアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンの
    硫黄含有量が0.5〜0.8重量%であり、 上記低tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレ
    ン組成物のアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンの
    硫黄含有量が、上記高tan δのアルキル化クロロスルホ
    ン化ポリエチレン組成物の上記硫黄含有量よりも多いこ
    とを特徴とする伝動ベルト。
  7. 【請求項7】 請求項5または請求項6に記載されてい
    る伝動ベルトにおいて、 上記低tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレ
    ン組成物が、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン
    100重量部に対し、N,N´−m−フェニレンジマレ
    イミドが1〜7重量部、ジペンタメチレンチウラムテト
    ラスルフィドが0.1〜4.0重量部配合されものであ
    り、 上記高tan δのアルキル化クロロスルホン化ポリエチレ
    ン組成物が、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン
    100重量部に対し、N,N´−m−フェニレンジマレ
    イミドが0.2〜5.0重量部、ジペンタメチレンチウ
    ラムテトラスルフィドが0.1〜4.0重量部、並びに
    ペンタエリトリットが0.1〜5.0重量部配合されも
    のであることを特徴とする伝動ベルト。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載されている伝動ベルトが
    ローエッジタイプのVベルトであるもの。
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