JPH09206069A - 半透膜の袋を用いた細胞培養方法 - Google Patents

半透膜の袋を用いた細胞培養方法

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JPH09206069A
JPH09206069A JP8017241A JP1724196A JPH09206069A JP H09206069 A JPH09206069 A JP H09206069A JP 8017241 A JP8017241 A JP 8017241A JP 1724196 A JP1724196 A JP 1724196A JP H09206069 A JPH09206069 A JP H09206069A
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Japan
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nurse
culture
cells
callus
bag
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JP8017241A
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Chikako Sumi
智佳子 墨
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Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 操作手順が短く、必要に応じて大量培養が可
能であり、どのような大きさ及び形状の培養容器を用い
ることもでき、ナース細胞及びナースカルスの植え継ぎ
も行うことができるナースカルチャー法を用いた植物培
養方法を提供する。 【解決手段】 ナース細胞又はナースカルスを入れたセ
ルロース製の膜の袋1などの半透膜の袋を、目的とする
培養物である細胞又は小細胞塊を含む細胞懸濁液5に入
れて培養する。または、目的とする培養物である細胞又
は小細胞塊を入れた半透膜の袋を、ナース細胞又はナー
スカルスを含む細胞懸濁液に入れて、同じ培養容器内で
培養する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組織培養技術の分
野において、遊離した単細胞あるいは小細胞塊を培養す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】「ナースカルチャー」(保護培養)と
は、プロトプラストなど遊離した単細胞又は小細胞塊な
どの目的培養物を、カルスなどと共に同じ培養容器内で
培養することによって、カルスなどの分泌物又は放出物
を養分として、分裂及び増殖させる技術である。ナース
カルチャーは、主に、単離した細胞の初期培養技術とし
て、広く行われている。このナースカルチャーに用いる
養分を供給する細胞及びカルスを、それぞれナース細胞
及びナースカルスと呼ぶ。上記細胞を単一で培養すると
きと比べて、ナース細胞やナースカルスによるアミノ酸
などの培地成分の代謝による調節、培地中の細胞障害因
子の代謝的除去、及び細胞の生育を促進する増殖因子の
分泌によって、細胞の分裂及び増殖が促進される。ナー
スカルチャーの方法としては、次の4種類の方法が一般
的に用いられている。
【0003】1)濾紙を利用したナースカルチャー 図9のAに示すように、固形培地13上のナースカルス
14に滅菌濾紙ディスク15を重ね、その濾紙ディスク
15の上に目的とする培養物16をのせて培養する。 2)ナースカルスを単細胞の周りに共存させて培養する
方法 図9のBに示すように、固形培地13上の目的とする培
養物16とナースカルス14とをしきり17をおいて配
置し、培養する。 3)フィーダーレイヤー法 図9のCに示すように、X線等の照射によって増殖能力
をなくしたナースカルス14を固形培地13にプレーテ
ィングし、その上に目的とする培養物の懸濁液5を重ね
てシャーレ4内で培養する。 4)アガロースビーズ法 図9のDに示すように、目的培養物である細胞をアガロ
ース培地18に包埋し、それをナース細胞又はナースカ
ルス14が懸濁した液体培地19に浸してシャーレ4内
で培養する。また、図10のような、ナースカルチャー
用の40μm径の穴が底にあいた培養容器20(ミリセ
ル、Millipore社製)が市販されている。
【0004】特開平5−268845号公報は、パチョ
リのプロトプラストをナース細胞の存在下で培養し、そ
れによって得られたカルスを幼条分化させた後、完全個
体を復元させる方法を開示している。この方法のナース
カルチャーでは、プロトプラストとともにナース細胞を
液体培地に懸濁して共存培養するか、プロトプラストを
ゲル化剤に包埋したビーズを作成し、このビーズをナー
ス細胞と共に液体培地に入れ、共存培養する。後者のナ
ースカルチャー法は、アガロースビーズ法の一種とみる
ことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来行われて
いるナースカルチャーの方法では、手間がかかるうえ、
操作手順が複雑なため、コンタミネーションが生じる確
率が大きい。しかも、従来の方法では、少数の細胞を対
象にしているため、大量の細胞の培養には適さない。例
えば、アガロースビーズ法では、103〜105個/ml
の濃度でプロトプラストを蒔くとき、直径6cmのシャ
ーレに2〜4mlの懸濁液しか培養できない。そのう
え、図10に示すような市販の培養容器20は価格が高
く、大きさも2種しかないので培養量を調節できない。
【0006】最もよく行われているアガロースビーズ法
でも、目的培養物である細胞をアガロース中に包埋する
ときに、温度が高すぎる場合は包埋する細胞が死んでし
まい、温度が低すぎてもアガロースが固まってしまう。
そのため、細胞が熱によって弱ることもなく、かつ、ア
ガロースが液体状である約45度に保つ必要がある。し
かし、アガロースに包埋する作業を通じて、この適温に
保つのは困難である。アガロースビーズ法は、この様に
操作が複雑で時間がかかるため、コンタミネーションを
起こしやすい。また、アガロースビーズ法は、包埋する
ときに細胞が偏りがちで、均一にするのは困難である
が、均一でないとコロニーの抽出が難しく、調節したイ
ノキュラムサイズがくるってしまい不都合である。さら
に、包埋された細胞は、アガロースの固形培地中に固め
られるため、生育が遅いという難点がある。また、コス
トの面でも、アガロースが高価であるため、経済的でな
い。
【0007】なお、従来のナースカルチャーの技術で
は、固形培地を用いた場合は、特に、培地の交換が困難
であり、液体培地を用いた場合は、コンタミネーション
を起こしやすいという欠点がある。また、シャーレ内の
みで培養する技術しか開発されておらず、振とう培養す
ると、ふたの隙間に培地が入ってしまい、コンタミネー
ションの原因となるため、振とうすることが困難であ
る。振とうによる培養容器内への空気の供給が充分に行
われないため、ナース細胞又はナースカルス、及び目的
とする培養物の成長が低下する場合が多い。
【0008】したがって、本発明は、従来のナースカル
チャーに比べて操作手順が短く、必要に応じて大量培養
が可能であり、どのような大きさ及び形状の培養容器を
用いることもでき、ナース細胞及びナースカルスの植え
継ぎも行うことができるナースカルチャー法を用いた培
養方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ナース細胞又
はナースカルスを入れた半透膜の袋を、目的とする培養
物である細胞又は小細胞塊を含む液体培地に入れて培養
する細胞培養方法を提供する。また、目的とする培養物
である細胞又は小細胞塊を入れた半透膜の袋を、ナース
細胞又はナースカルスを含む液体培地に入れて培養する
細胞培養方法を提供する。なお、上記の半透膜の袋は、
細胞毒性等がないことからセルロースを主成分とする膜
であることが望ましいが、セルロースキサントゲン酸ナ
トリウムを主成分とするセロハン、セルロースの硝酸エ
ステルを主成分とするコロジオン膜、及びぼうこう膜な
ども使用できる。これらの半透膜は、細胞は通さない
が、細胞増殖因子や抗生物質などは透過する状態を有す
るものとする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のナースカルチャーは、細
胞増殖因子等を放出していると考えられるナース細胞又
はナースカルスを、図1のように半透性の膜、例えば、
セルロース製の袋1などに入れて、目的とする培養物で
ある細胞又は小細胞塊と一緒に液体培地内で振とう培養
するものである。また、逆に、セルロース製の袋1など
に目的とする培養物を入れて、ナース細胞又はナースカ
ルスを培養している液体培地中で培養しても良い。以
下、主にナース細胞又はナースカルスをセルロース製の
袋などに入れてナースカルチャーする方法を中心に説明
するが、これに限定するものではない。
【0011】ナース細胞又はナースカルスに使用するも
のは、目的とする培養物と同じ種類に限ることなく、例
えば、増殖能力の高い野生種又は変異を起こしていない
カルスなどをナース細胞として用いて、変異株や改良等
を加えたカルスなどと培養することも可能である。
【0012】本発明のナースカルチャーでは、用いる半
透膜の袋の主成分は、目的とする培養物である細胞など
に悪影響を与えない限り特に限定しない。この様な半透
膜として、セルロース製透析膜、セロハン、コロジオン
膜、及びぼうこう膜などがあり、特に、毒性等がなく、
手に入れやすいセルロース製透析膜が望ましい。セルロ
ース製の袋は、市販されているセルロース透析チューブ
を使用することができる。例えば、市販のセルロースチ
ューブとしては、メンブレンフィルター、孔径0. 02
5〜0. 5μmなどが挙げられる。セルロースチューブ
にある多数の穴の孔径は、0. 25〜0. 5μmで、特
に、0. 3μmが好ましい。セルロース製の袋の体積
は、使用するセルロース製チューブの径及び長さに比例
して大きくなる。セルロース製チューブの径及び長さ
は、目的とする培養物の量、ナース細胞又はナースカル
スの量、及び培養容器の大きさなどによって適宜変更可
能であり、限定されない。
【0013】本発明の方法では、ナース細胞又はナース
カルスと、目的とする培養物である細胞とを半透膜によ
って隔てることができる。したがって、ナース細胞又は
ナースカルスが目的とする培養物に混入する危険もな
く、ナース細胞又はナースカルスから放出された増殖因
子等が目的とする培養物に充分供給される状態で、同一
の液体培地内に両者を入れて振とう培養を行うことがで
きる。
【0014】セルロース透析チューブは、使用前に十分
に洗浄し、のりなどの汚れを十分落とすことが必要であ
る。洗浄後に図1のAに示すように糸2、又は図1のB
に示すようにクリップ3等でチューブの両側をとめて袋
状にして、培養用とは別に用意した培地に浸してオート
クレーブ滅菌することが好ましい。滅菌後、ピペットや
シリンジを用いて、ナースカルスの場合は、さらにピン
セット等を用いて、セルロース製の袋1内にナース細胞
の懸濁液又はナースカルスを入れ、口をとめて使用す
る。
【0015】用いるナース細胞又はナースカルスとして
は、例えば組織片から誘導したものから懸濁培養中のも
のまで使用可能であり、由来は特に限定されない。増殖
因子などの放出が盛んであるものが望ましい点から、誘
導期から対数増殖期の細胞が好ましく、増殖が停止した
定常期のものは好ましくない。好ましくは、懸濁培養で
継代を2回以上行い、増殖曲線が安定したものである。
ナースカルスを用いる場合、カルスの量は、袋内の培地
10mlあたり50〜1000mgが好ましい。
【0016】ナース細胞又はナースカルスの入った袋と
共に、目的の培養物の懸濁した液体培地を振とう培養す
る。振とう速度は、目的の培養物である細胞の状態及び
培養容器によって適宜変更可能である。振とう容器は、
目的の培養物の量が少なくて、全体の容量が少ない場合
には、図2のようにシャーレ4にナース細胞又はナース
カルスの入ったセルロース製の袋1などを目的とする培
養物の細胞懸濁液5に入れても良いし、図3のように培
養試験管6を使用してもよい。容量の大きいときには、
図4のようなフラスコ7に栓8をして使用しても良い
し、図5のようなボトル状培養容器9を使用するなど、
特に限定されない。
【0017】本発明のナースカルチャーの方法では、全
体の容量に応じた大きさのフラスコ、棒びんを利用する
ことが可能である。例えば、全体の容量が50ml以下
であれば、100mlフラスコなどを使用し、20m以
下であれば、50mlフラスコや、棒びんなどを使用す
ればよい。振とう方法も容器にあわせて、図6のような
水平に揺れる振とう器10に三角フラスコ7を用いた培
養容器をのせて振とうしたり、図7のようなシーソー状
の振とう器11にボトル状培養容器9をのせて振とうし
たり、図8のような回転式振とう器12を用いて培養試
験管6を振とうしたりなど適宜変更可能である。
【0018】本発明のナースカルチャーでは、従来のナ
ースカルチャーと異なり、十分な振とうを行うことがで
きるので、通気の条件が従来の方法に比べて極めて良
く、容器内に十分な空気が供給されるために、ナース細
胞又はナースカルスの死滅を防ぐことができ、目的の培
養物である細胞に均一に培地成分が行き渡るため、生育
も良く、また、生育の偏りもみられない。
【0019】培地交換及び継代培養は、一般的に行われ
ている懸濁培養の方法と同様に、1〜3週間ごとに目的
の培養物の懸濁液全量の1/40〜1/5を新鮮な培地
に植え継ぐことが望ましい。植え継ぎのとき、同時にナ
ース細胞又はナースカルスを植え継ぐのが好ましい。ナ
ース細胞又はナースカルスを同時に植え継ぐことによっ
て、それらの増殖能力が低下するのを防ぐことができ
る。特に、ナースカルスを用いる場合には、植え継ぎの
ときに、大きいカルス塊を砕くのが好ましい。
【0020】本発明によるナースカルチャー方法で用い
られる培地は、液体培地であれば特に限定されない。植
物細胞培養の場合、例えば、Murashige−Sk
oog培地、GamborgB5培地、White培
地、Nitch&Nitch培地などや、これらを改変
した培地などが植物培養用の基本培地として用いること
ができ、さらに必要に応じて、糖、植物成長物質等を添
加する。
【0021】本発明によるナースカルチャーの方法で
は、ナース細胞又はナースカルスから放出される増殖因
子等を目的の培養物に充分供給でき、かつ、半透膜でナ
ース細胞又はナースカルスと目的の培養物を隔てること
ができる。したがって、従来のナースカルチャーでは振
とう培養が行えなかったが、本発明のナースカルチャー
では、液体培地中で振とう培養を行うことができる。そ
のため、従来のナースカルチャーでは、単細胞のプロト
プラスト等を効率よく増殖させるために用いることが主
であったが、本発明では、例えば、突然変異誘導処理な
どによって、増殖能力が低下したカルスの培養のため
に、同種の植物の同組織の未処理のカルスをナースカル
スとして用いることも可能である。
【0022】本発明の半透性の膜の袋を用いたナースカ
ルチャーの方法を応用して、植物以外の培養、例えば、
動物細胞の培養、及び、真菌類や細菌類の液体培養を行
うことも可能である。その際、培養物を半透膜の袋内に
入れて培養し、細胞から分泌される抗生物質などの有用
物質のみを液体培地から抽出することも可能である。
【0023】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細
に説明するが、これらにより本発明を制限するものでは
ない。
【0024】(プロトプラストの単離)アブラナ科の植
物であるカリフラワーの種子を、3%スクロース、0.
8%寒天を添加したMurashige−Skoog培
地(以下、MS培地と略す)に播種した。グロースチャ
ンバー内で25℃、16時間明期、8時間暗期の24時
間サイクルで、照度3000luxの条件で培養した。
MS培地の組成は、現在一般的な文献等(例えば、「生
物工学実験書」、日本生物工学会編、p281、199
2年、培風館)に記載されているものと同様である。発
芽後、2〜3週間無菌的に生育した緑葉の裏面の表皮を
ピンセットで剥ぎ、以下に述べる酵素液の入ったシャー
レに入れ、25℃、約50rpmで2時間振とうして、
細胞壁を溶解した。酵素液は、マセロチームR10を
0. 2%、セルラーゼオノズカR10を2%、マンニト
ールを0. 4M、塩化カルシウム0. 1%の濃度で含む
ものを用いた。
【0025】酵素処理後、未溶解の組織塊等を除くため
に、55μmのナイロンメッシュでろ過して、濾液を1
00gで3分間遠心し、沈殿を得た。その沈殿に、マン
ニトール0. 4M、塩化カルシウム0. 1%を含む洗液
を加え、最大加速度100gで3分間遠心し、沈殿を得
ることによって、酵素液を洗った。洗液を加えて遠心す
る操作を2〜3回繰り返して、酵素液を細胞から除去
し、プロトプラストを得た。このプロトプラストを以下
に述べるプロトプラスト用培地に、約105個/mlの
細胞密度で懸濁した。プロトプラスト用培地は、スクロ
ースを3%、マンニトールを0. 4%、1−ナフタレン
酢酸を1mg/リットル、カイネチンを1mg/リット
ルの濃度で含むMS培地であった。
【0026】(ナースカルスの準備)カリフラワーの種
子を、3%スクロース、0. 8%寒天を添加したMS培
地上に播種した。グロースチャンバー内で25℃、16
時間明期、8時間暗期の24時間サイクルで、照度30
00luxの条件で培養した。発芽後、10日間無菌的
に生育した緑葉を約5〜10mm角に切り出し、スクロ
ースを3%、1−ナフタレン酢酸を0. 2mg/リット
ル、カイネチンを2mg/リットル、寒天を1%の濃度
で含むMS培地上で培養した。培養は、グロースチャン
バー内で25℃、16時間明期、8時間暗期の24時間
サイクルで、照度3000luxの条件であった。
【0027】約30日間培養した後、生じたカルスを切
り出した。以下に述べる組成の液体培地を300mlの
三角フラスコに50ml分注し、その中に、カルスを約
3gづつ入れ、100〜130rpmで振とうし、2週
間おきに継代した。培養は、グロースチャンバー内で2
5℃、16時間明期、8時間暗期の24時間サイクル
で、照度3000luxの条件であった。液体培地の組
成は、スクロースを3%、1−ナフタレン酢酸を1mg
/リットル、カイネチンを1mg/リットル含むMS培
地であった。
【0028】継代を2回以上行って、懸濁培養における
増殖サイクルが安定したカルスを得た。最後の継代は、
定常期に入る前の増殖が盛んなカルス懸濁液を、新鮮な
プロトプラスト培地に植え継いだ。カルス懸濁液の全量
の1/4〜1/8をセルロースチューブの袋の中に植え
継ぎ、口を閉じた。
【0029】(ナースカルチャー)三角フラスコに、細
胞密度を調製したプロトプラストとナースカルスを入れ
たセルロースチューブの袋を入れ、30〜50rpmで
ゆっくりと振とう培養した。プロトプラストの植え継ぎ
のときには、同時にナースカルスの植え継ぎも行った。
細胞増殖は、従来の方法と比べて生育がよく、かつ生育
の偏りもなかった。ナースカルスの死滅もみられなかっ
た。
【0030】
【発明の効果】上記したところから明らかなように、本
発明によれば、従来のナースカルチャーに比べて操作手
順が短く、操作工程が大幅に簡略化でき、また、新しい
培地の添加及び継代等も簡単にできるため、コンタミネ
ーションを起こすことが少ない。従来のナースカルチャ
ーの方法では、培養容器としてシャーレしか用いること
ができなかったが、本発明の方法では、どのような大き
さ及び形状の培養容器を用いることもできる。それによ
って、振とうも容易となるので、通気及び目的とする培
養物である細胞への培地の栄養分の供給がよく、生育の
偏りもない。また、シャーレに比べて口の狭いフラスコ
等を使用できるので、容器の口からのコンタミネーショ
ンを起こしにくい。本発明の方法では、ナース細胞又は
ナースカルスの継代が可能なので、それらの死滅も起こ
らない。
【0031】従来のナースカルチャーの方法では、プロ
トプラストの培養しか応用できなかったが、ナース細胞
又はナースカルスと目的とする培養物を半透膜で隔てて
培養するので、従来法では、ナース細胞又はナースカル
スが目的とする培養細胞に混入する可能性があるために
ナースカルチャーを行うことができなかった場合にも応
用できる。例えば、突然変異誘導処理等したカルスの培
養に、同種の植物の同組織を未処理のカルスをナースカ
ルスとして用いることが可能である。この半透膜の袋内
に培養物を入れて培養する本発明の方法は、植物細胞培
養のみならず、動物細胞の培養や、真菌及び細菌などを
袋内に入れて培養して、抗生物質などの有用物質を袋外
の培地から抽出する目的にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するセルロースチューブを袋状に
した様子を示す。
【図2】シャーレを培養容器に用いて、本発明のナース
カルチャーを行った様子を示す。
【図3】試験管を培養容器に用いて、本発明のナースカ
ルチャーを行った様子を示す。
【図4】フラスコを培養容器に用いて、本発明のナース
カルチャーを行った様子を示す。
【図5】ボトル状培養容器を用いて、本発明のナースカ
ルチャーを行った様子を示す。
【図6】図4のフラスコを水平に振とうするタイプの振
とう器を用いて振とう培養を行っている様子を示す。
【図7】図5のボトル状培養容器をシーソー型の振とう
器を用いて振とう培養を行っている様子を示す。
【図8】図3の試験管を回転式振とう器を用いて振とう
培養を行っている様子を示す。
【図9】従来のナースカルチャーの様子を示す。
【図10】市販のナースカルチャー用容器を示す。
【符号の説明】
1 セルロース製の袋 2 糸 3 クリップ 4 シャーレ 5 細胞懸濁液 6 試験管 7 フラスコ 8 栓 9 ボトル状培養容器 10 水平に振とうするタイプの振とう器 11 シーソー状の振とう器 12 回転式振とう器(ロータリーシェカー) 13 固形培地 14 ナースカルス 15 滅菌濾紙ディスク 16 目的とする培養物 17 しきり 18 アガロース培地 19 液体培地 20 市販の培養容器(Millipore社製)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナース細胞又はナースカルスを入れた半
    透膜の袋を、目的とする培養物である細胞又は小細胞塊
    を含む液体培地に入れて培養する細胞培養方法。
  2. 【請求項2】 目的とする培養物である細胞又は小細胞
    塊を入れた半透膜の袋を、ナース細胞又はナースカルス
    を含む液体培地に入れて培養する細胞培養方法。
  3. 【請求項3】 上記の半透膜の袋がセルロースを主成分
    とする膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2
    に記載の細胞培養方法。
JP8017241A 1996-02-02 1996-02-02 半透膜の袋を用いた細胞培養方法 Pending JPH09206069A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7541178B2 (en) * 2001-12-05 2009-06-02 Takagi Industrial Co., Ltd. Cell/tissue culture apparatus
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