JPH09202698A - レーザ材料の製造方法 - Google Patents
レーザ材料の製造方法Info
- Publication number
- JPH09202698A JPH09202698A JP1137296A JP1137296A JPH09202698A JP H09202698 A JPH09202698 A JP H09202698A JP 1137296 A JP1137296 A JP 1137296A JP 1137296 A JP1137296 A JP 1137296A JP H09202698 A JPH09202698 A JP H09202698A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- single crystal
- garnet single
- laser material
- laser
- garnet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
- Lasers (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 本発明はPrフッ化物ファイバ励起用の1.03μ
m帯の固体レーザポンプ光源として有用とされるレーザ
材料の製造方法の提供を目的とするものである。 【解決手段】 本発明のレーザ材料の製造方法は、式(Y
1-a-b-cNdaYbbNc)3(Al1-dMd)5O12(ここにNはCa、Laま
たはLu、MはMgまたはZrの元素、a、b、c、dは0.02
≦a≦0.7 、0.02≦b≦0.7 、0≦c≦0.96、0.04≦a
+b+c<1、0≦d≦0.5 の数で示される)で示され
るNdYbコドープガーネット単結晶からなるレーザ材料
を、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶基板上
に液相エピタキシャル法で成長させる際のガーネット単
結晶の膜厚を 300μm以上とし、かつこのガーネット単
結晶の成長速度を0.15〜0.34μm/分の範囲とすること
を特徴とするものである。
m帯の固体レーザポンプ光源として有用とされるレーザ
材料の製造方法の提供を目的とするものである。 【解決手段】 本発明のレーザ材料の製造方法は、式(Y
1-a-b-cNdaYbbNc)3(Al1-dMd)5O12(ここにNはCa、Laま
たはLu、MはMgまたはZrの元素、a、b、c、dは0.02
≦a≦0.7 、0.02≦b≦0.7 、0≦c≦0.96、0.04≦a
+b+c<1、0≦d≦0.5 の数で示される)で示され
るNdYbコドープガーネット単結晶からなるレーザ材料
を、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット単結晶基板上
に液相エピタキシャル法で成長させる際のガーネット単
結晶の膜厚を 300μm以上とし、かつこのガーネット単
結晶の成長速度を0.15〜0.34μm/分の範囲とすること
を特徴とするものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザ材料の製造方
法、特には 1.3μm帯の光増幅器に用いられるPrフッ化
物ファイバ励起用の小型で安価な1.03μm帯の固体レー
ザポンプ光源に有用とされる、新規なレーザ材料の製造
方法に関するものである。
法、特には 1.3μm帯の光増幅器に用いられるPrフッ化
物ファイバ励起用の小型で安価な1.03μm帯の固体レー
ザポンプ光源に有用とされる、新規なレーザ材料の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1.3μm帯の光増幅器(PDFA)について
はPrフッ化物ファイバを用いたものが提案されており、
例えば、1994年の OPTICAL FIBER COMMUNICATION(OFC'
94),Technical Digest p.199のS.Sudo氏らの招待講演
で、PDFAの現状が紹介されており、また、OFC'94,Tech
nical Digest p.200、M.Fake氏らによるPDFAの報告で
は、ポンプ光にNd:YLF(YLiF4) を用い、+18dBm の飽和
出力、30dB以上のゲイン、6dB以下のノイズフィギャが
得られたことを報告している。同報告では、さらにPDFA
を小型化、PDFAの特性を向上するには、ポンプ光の波長
をPrの吸収波長(1.017μm) に近づけ、よりハイパワー
にすることが必要とされている。PDFA励起用のポンプ光
源としてNd:YLFは 800mWと高出力であるが、発光波長が
1.047μmとPrの吸収中心波長からずれているという問
題がある。
はPrフッ化物ファイバを用いたものが提案されており、
例えば、1994年の OPTICAL FIBER COMMUNICATION(OFC'
94),Technical Digest p.199のS.Sudo氏らの招待講演
で、PDFAの現状が紹介されており、また、OFC'94,Tech
nical Digest p.200、M.Fake氏らによるPDFAの報告で
は、ポンプ光にNd:YLF(YLiF4) を用い、+18dBm の飽和
出力、30dB以上のゲイン、6dB以下のノイズフィギャが
得られたことを報告している。同報告では、さらにPDFA
を小型化、PDFAの特性を向上するには、ポンプ光の波長
をPrの吸収波長(1.017μm) に近づけ、よりハイパワー
にすることが必要とされている。PDFA励起用のポンプ光
源としてNd:YLFは 800mWと高出力であるが、発光波長が
1.047μmとPrの吸収中心波長からずれているという問
題がある。
【0003】一方、PDFAのポンプ光源として発光波長が
1.02〜1.03μmであるYbの 2F5/2→2F7/2 遷移を用いた
発光を用いることが考えられ、近年、ホスト結晶にYAG
(Y3Al5O12) を用いたYb:YAGを用い、室温で動作するバ
ルク型や光導波路型のレーザが報告されている (D.C.Ha
nna et.al Optics Communications 99 (1993),211-215、
T.Y.FAN, Solid State Lasers; New Developments and
Applications,(1993),pp.189-203) 。
1.02〜1.03μmであるYbの 2F5/2→2F7/2 遷移を用いた
発光を用いることが考えられ、近年、ホスト結晶にYAG
(Y3Al5O12) を用いたYb:YAGを用い、室温で動作するバ
ルク型や光導波路型のレーザが報告されている (D.C.Ha
nna et.al Optics Communications 99 (1993),211-215、
T.Y.FAN, Solid State Lasers; New Developments and
Applications,(1993),pp.189-203) 。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、Yb:YAGでは、
Yb励起のための励起波長が 0.941μmまたは 0.968μm
と、発光波長の1.03μmに近いため、レーザを構成する
際の外部共振器が構成しにくい(発光波長で高反射率、
吸収波長で高透過率を実現するのが難しい)という問題
があり、また、Ybの励起にはTi:Al2O3を用いるが、この
ポンプ光源は高価でサイズが大きいという問題を有して
いる。また、InGaAs歪み超格子を用いた半導体レーザで
は 1.017μmの高出力化は難しいという問題を有してい
る。そのため、上記Nd、Yb系レーザ材料の欠点を補い、
安価で高出力な励起光源を用いて、より高出力なPrの発
光波長に近い小型で高効率、高出力なレーザが求められ
ている。
Yb励起のための励起波長が 0.941μmまたは 0.968μm
と、発光波長の1.03μmに近いため、レーザを構成する
際の外部共振器が構成しにくい(発光波長で高反射率、
吸収波長で高透過率を実現するのが難しい)という問題
があり、また、Ybの励起にはTi:Al2O3を用いるが、この
ポンプ光源は高価でサイズが大きいという問題を有して
いる。また、InGaAs歪み超格子を用いた半導体レーザで
は 1.017μmの高出力化は難しいという問題を有してい
る。そのため、上記Nd、Yb系レーザ材料の欠点を補い、
安価で高出力な励起光源を用いて、より高出力なPrの発
光波長に近い小型で高効率、高出力なレーザが求められ
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
を解決したレーザ材料の製造方法に関するもので、これ
は式(Y1-a-b-cNdaYbbNc)3(Al1-dMd)5O12(ただし、式中
のNはCa、LaまたはLuから選択される少なくとも1種類
の元素、MはMgまたはZrから選択される少なくとも1種
類の元素、0.02≦a≦0.7 、0.02≦b≦0.7 、0≦c≦
0.96、0.04≦a+b+c<1、0≦d≦0.5 )で示され
るガーネット単結晶からなるレーザ材料の製造方法にお
いて、単結晶基板上に液相エピタキシャル法によって成
長させる際の該ガーネット単結晶の膜厚を 300μm以上
とし、かつ、該ガーネット単結晶の成長速度を0.15μm
/分〜0.34μm/分の範囲とすることを特徴とするもの
である。
を解決したレーザ材料の製造方法に関するもので、これ
は式(Y1-a-b-cNdaYbbNc)3(Al1-dMd)5O12(ただし、式中
のNはCa、LaまたはLuから選択される少なくとも1種類
の元素、MはMgまたはZrから選択される少なくとも1種
類の元素、0.02≦a≦0.7 、0.02≦b≦0.7 、0≦c≦
0.96、0.04≦a+b+c<1、0≦d≦0.5 )で示され
るガーネット単結晶からなるレーザ材料の製造方法にお
いて、単結晶基板上に液相エピタキシャル法によって成
長させる際の該ガーネット単結晶の膜厚を 300μm以上
とし、かつ、該ガーネット単結晶の成長速度を0.15μm
/分〜0.34μm/分の範囲とすることを特徴とするもの
である。
【0006】すなわち、本発明者らは上記した式で示さ
れるガーネット単結晶からなるレーザ材料の製造方法に
おいて、単結晶基板上にこのガーネット単結晶を液相エ
ピタキシャル法で成長させるときに、このガーネット単
結晶の膜厚を 300μm以上とし、このガーネット単結晶
の成長速度を0.15μm〜0.34μm/分の範囲とすると、
得られるレーザ材料がNdYbコドープ特有の発光機構が室
温において効率よく実現できることを見出して、本発明
を完成させた。以下にこれをさらに詳述する。
れるガーネット単結晶からなるレーザ材料の製造方法に
おいて、単結晶基板上にこのガーネット単結晶を液相エ
ピタキシャル法で成長させるときに、このガーネット単
結晶の膜厚を 300μm以上とし、このガーネット単結晶
の成長速度を0.15μm〜0.34μm/分の範囲とすると、
得られるレーザ材料がNdYbコドープ特有の発光機構が室
温において効率よく実現できることを見出して、本発明
を完成させた。以下にこれをさらに詳述する。
【0007】本発明は単結晶基板にNdYbコドープY3Al5O
12ガーネットレーザ材料を液相エピタキシャル法で成長
させる製造方法に関するものである。従来、Y3Al5O12や
Gd3Ga5O12をホスト結晶としたNdYbコドープガーネット
レーザ材料については、A.A.Kaminiskii著のLaser Crys
tals(Springer-Verlag, Berlin Heidelberk New York 1
981,pp.45-49) にその発光機構が示されている。安価で
高出力な半導体レーザによる0.81μmの励起を用いる場
合、この励起光をNd3+が吸収して 4F5/2または 2H9/2に
遷移し、さらに非発光遷移により 4F3/2に移る。この場
合、Nd3+イオン、Yb3+イオンの双極子相互作用により、
Nd3+イオンからYb3+イオンへとエネルギーが伝達され、
Yb3+イオンは 2F5/2準位へと遷移する確率が高くなる。
そして、Yb3+イオンが基底準位に遷移する際に1.03μm
の光を誘導放出する。この発光機構の確認は77Kにおい
て実証されているが、NdYbコドープガーネット結晶を用
いた室温での発光は現在まで確認されていない。
12ガーネットレーザ材料を液相エピタキシャル法で成長
させる製造方法に関するものである。従来、Y3Al5O12や
Gd3Ga5O12をホスト結晶としたNdYbコドープガーネット
レーザ材料については、A.A.Kaminiskii著のLaser Crys
tals(Springer-Verlag, Berlin Heidelberk New York 1
981,pp.45-49) にその発光機構が示されている。安価で
高出力な半導体レーザによる0.81μmの励起を用いる場
合、この励起光をNd3+が吸収して 4F5/2または 2H9/2に
遷移し、さらに非発光遷移により 4F3/2に移る。この場
合、Nd3+イオン、Yb3+イオンの双極子相互作用により、
Nd3+イオンからYb3+イオンへとエネルギーが伝達され、
Yb3+イオンは 2F5/2準位へと遷移する確率が高くなる。
そして、Yb3+イオンが基底準位に遷移する際に1.03μm
の光を誘導放出する。この発光機構の確認は77Kにおい
て実証されているが、NdYbコドープガーネット結晶を用
いた室温での発光は現在まで確認されていない。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明によるレーザ材料の製造方
法は、前記したように上記した式で示されるNdYbコドー
プY3Al5O12ガーネット単結晶からなるレーザ材料の製造
方法において、単結晶基板上に液相エピタキシャル法で
成長させるガーネット単結晶の膜厚を300μm以上と
し、かつ、このガーネット単結晶の成長速度を0.15〜0.
34μm/分の範囲とするものである。すなわち、本発明
者らは液相エピタキシャル法によりNdYbコドープY3Al5O
12ガーネット結晶を作製すると、NdとYbのイオン半径
が、それぞれ 1.109Å、 0.985Åと大きく異なるため、
膜成長方向にNd、Ybイオンの配列に規則性が生じ、Nd、
Ybを高濃度にドープしても互いの元素が局在することな
く規則的に配列するためレーザ材料で最も問題となる濃
度消光が生じにくく、円滑にNd−Ybイオンのエネルギー
遷移がおこることを見出すと共に、試料をアニールして
結晶格子を振動させガーネット結晶の12面体位置に存在
するNd、Ybイオンの配列をランダムにすれば、Nd-Yb コ
ドープ発光の効率が著しく低下することを確認した。
法は、前記したように上記した式で示されるNdYbコドー
プY3Al5O12ガーネット単結晶からなるレーザ材料の製造
方法において、単結晶基板上に液相エピタキシャル法で
成長させるガーネット単結晶の膜厚を300μm以上と
し、かつ、このガーネット単結晶の成長速度を0.15〜0.
34μm/分の範囲とするものである。すなわち、本発明
者らは液相エピタキシャル法によりNdYbコドープY3Al5O
12ガーネット結晶を作製すると、NdとYbのイオン半径
が、それぞれ 1.109Å、 0.985Åと大きく異なるため、
膜成長方向にNd、Ybイオンの配列に規則性が生じ、Nd、
Ybを高濃度にドープしても互いの元素が局在することな
く規則的に配列するためレーザ材料で最も問題となる濃
度消光が生じにくく、円滑にNd−Ybイオンのエネルギー
遷移がおこることを見出すと共に、試料をアニールして
結晶格子を振動させガーネット結晶の12面体位置に存在
するNd、Ybイオンの配列をランダムにすれば、Nd-Yb コ
ドープ発光の効率が著しく低下することを確認した。
【0009】そこで、本発明者らは単結晶基板上に液相
エピタキシャル法で成長させるガーネット単結晶の膜厚
を 300μm以上としたところ、0.81μmの励起光線を用
いて1.03μm帯のレーザを構成すると室温で高出力なレ
ーザ発振が得られることを見出した。また、このガーネ
ット単結晶の成長速度については、成長速度が0.34μm
/分を越えると、ガーネット単結晶厚膜の表面にスワー
ルと呼ばれる成長模様が50μm以上の凹凸差で発生して
使用困難になるという問題の生じることが判った。この
スワールの発生を抑制するには、希土類鉄ガーネットや
ビスマス置換希土類鉄ガーネットの場合、成長温度を低
くするか、フラックス成分のうちのB2O3濃度を増加させ
ればよいとされているが、透明なレーザ材料用ガーネッ
ト単結晶の場合は、いずれの方法によっても成長温度が
低くなることより融液中にフラックス成分として含まれ
る PbOからPbイオンがガーネット単結晶膜中に混入しや
すくなり、Pbイオン自体もしくは酸素空隙による着色で
透明でなくなり、レーザ材料の効率が低下するので好ま
しくなく、したがって、成長速度は0.34μm/分以下と
する必要がある。
エピタキシャル法で成長させるガーネット単結晶の膜厚
を 300μm以上としたところ、0.81μmの励起光線を用
いて1.03μm帯のレーザを構成すると室温で高出力なレ
ーザ発振が得られることを見出した。また、このガーネ
ット単結晶の成長速度については、成長速度が0.34μm
/分を越えると、ガーネット単結晶厚膜の表面にスワー
ルと呼ばれる成長模様が50μm以上の凹凸差で発生して
使用困難になるという問題の生じることが判った。この
スワールの発生を抑制するには、希土類鉄ガーネットや
ビスマス置換希土類鉄ガーネットの場合、成長温度を低
くするか、フラックス成分のうちのB2O3濃度を増加させ
ればよいとされているが、透明なレーザ材料用ガーネッ
ト単結晶の場合は、いずれの方法によっても成長温度が
低くなることより融液中にフラックス成分として含まれ
る PbOからPbイオンがガーネット単結晶膜中に混入しや
すくなり、Pbイオン自体もしくは酸素空隙による着色で
透明でなくなり、レーザ材料の効率が低下するので好ま
しくなく、したがって、成長速度は0.34μm/分以下と
する必要がある。
【0010】さらに、成長速度を0.15μm/分未満とす
ると、厚膜成長に長時間必要になるという欠点があるだ
けでなく、成長速度の低下に伴なって成長温度が高くな
り、Nd−Ybの双極子の対が壊れ、Nd−Ybのイオンの分布
がランダムになる傾向が増し、この結果、Nd3+イオンと
Yb3+イオンの双極子相互作用が弱くなって発光効率が低
下するので、成長速度は0.15μm/分以上とする必要が
あり、したがって、成長速度は0.15〜0.34μm/分の範
囲とされる。
ると、厚膜成長に長時間必要になるという欠点があるだ
けでなく、成長速度の低下に伴なって成長温度が高くな
り、Nd−Ybの双極子の対が壊れ、Nd−Ybのイオンの分布
がランダムになる傾向が増し、この結果、Nd3+イオンと
Yb3+イオンの双極子相互作用が弱くなって発光効率が低
下するので、成長速度は0.15μm/分以上とする必要が
あり、したがって、成長速度は0.15〜0.34μm/分の範
囲とされる。
【0011】なお、本発明によるレーザ材料の製造方法
においては、成長開始時のガーネット単結晶の単結晶基
板に対する格子定数の差の絶対値を 0.004Å以下とし、
かつ、ガーネット単結晶の成長速度の初速度を 0.5μm
/分以上 1.5μm/分以下とすることが必要とされる。
なお、ここで、成長速度とは膜厚÷成長時間で計算され
る値であるが、成長速度の初速度とは厚膜の成長開始時
における成長速度のことであり、実際には膜厚2μm以
下の薄膜を成長させることによって調べている。これは
前記したガーネット単結晶厚膜の製造方法を実現させる
ためには成長開始時の特性値を制御する必要があること
による。例えば、希土類鉄ガーネットやビスマス置換希
土類鉄ガーネットの場合は、非磁性単結晶基板と熱膨張
係数が異なることから、成長開始時のガーネット単結晶
膜と単結晶基板の格子定数に差をつけてクラックを防止
するのであるが、本発明によるレーザ材料用ガーネット
単結晶の製造の場合には、このガーネット単結晶膜と単
結晶基板の組成が同種類のものであるので、この方法は
適用できず、したがって、成長開始時における格子定数
の差の絶対値 0.004Å以下としてクラックを防止する必
要がある。
においては、成長開始時のガーネット単結晶の単結晶基
板に対する格子定数の差の絶対値を 0.004Å以下とし、
かつ、ガーネット単結晶の成長速度の初速度を 0.5μm
/分以上 1.5μm/分以下とすることが必要とされる。
なお、ここで、成長速度とは膜厚÷成長時間で計算され
る値であるが、成長速度の初速度とは厚膜の成長開始時
における成長速度のことであり、実際には膜厚2μm以
下の薄膜を成長させることによって調べている。これは
前記したガーネット単結晶厚膜の製造方法を実現させる
ためには成長開始時の特性値を制御する必要があること
による。例えば、希土類鉄ガーネットやビスマス置換希
土類鉄ガーネットの場合は、非磁性単結晶基板と熱膨張
係数が異なることから、成長開始時のガーネット単結晶
膜と単結晶基板の格子定数に差をつけてクラックを防止
するのであるが、本発明によるレーザ材料用ガーネット
単結晶の製造の場合には、このガーネット単結晶膜と単
結晶基板の組成が同種類のものであるので、この方法は
適用できず、したがって、成長開始時における格子定数
の差の絶対値 0.004Å以下としてクラックを防止する必
要がある。
【0012】また、ガーネット単結晶の成長速度の初速
度については、ガーネット単結晶の単結晶基板に対する
格子定数の差の絶対値が 0.004Å以下となる成長温度
で、成長速度の初速度を 0.5μm/分以上 1.5μm/分
以下となるように融液組成を調整することにより、その
温度をガーネット単結晶厚膜の成長開始温度とすること
で、成長速度が0.15〜0.34μm/分の範囲で 300μm以
上の膜厚のものが製造でき、スワールの発生が抑制さ
れ、クラックやピット欠陥の発生を少ない、極めて良質
なガーネット単結晶膜を得ることができる。
度については、ガーネット単結晶の単結晶基板に対する
格子定数の差の絶対値が 0.004Å以下となる成長温度
で、成長速度の初速度を 0.5μm/分以上 1.5μm/分
以下となるように融液組成を調整することにより、その
温度をガーネット単結晶厚膜の成長開始温度とすること
で、成長速度が0.15〜0.34μm/分の範囲で 300μm以
上の膜厚のものが製造でき、スワールの発生が抑制さ
れ、クラックやピット欠陥の発生を少ない、極めて良質
なガーネット単結晶膜を得ることができる。
【0013】なお、このレーザ材料用ガーネット単結晶
は前記したように、 (Y1-a-b-cNdaYbbNc)3(Al1-dMd)5O12 で示されるものであり、式中のNはCa、LaまたはLuから
選択される少なくとも1種類の元素、MはMgまたはZrか
ら選択される少なくとも1種類の元素とされるものであ
るが、このa、bの範囲は効率よくNd−Ybコドープ発光
させるためにはいずれも0.02以上とする必要があり、Nd
とYbの濃度のバランスを適度にするためにはそれぞれを
0.7以下とする必要がある。また、ガーネット単結晶膜
の格子定数を単結晶基板の格子定数に一致させる役割を
もつLa、Luや、ガーネット単結晶膜の着色、光損傷抑制
のため、2価あるいは4価のイオンとなるCa、Mg、Zrの
係数としてのc、dは0≦c<0.96、0≦d≦0.5 の範
囲とすることが好ましい。
は前記したように、 (Y1-a-b-cNdaYbbNc)3(Al1-dMd)5O12 で示されるものであり、式中のNはCa、LaまたはLuから
選択される少なくとも1種類の元素、MはMgまたはZrか
ら選択される少なくとも1種類の元素とされるものであ
るが、このa、bの範囲は効率よくNd−Ybコドープ発光
させるためにはいずれも0.02以上とする必要があり、Nd
とYbの濃度のバランスを適度にするためにはそれぞれを
0.7以下とする必要がある。また、ガーネット単結晶膜
の格子定数を単結晶基板の格子定数に一致させる役割を
もつLa、Luや、ガーネット単結晶膜の着色、光損傷抑制
のため、2価あるいは4価のイオンとなるCa、Mg、Zrの
係数としてのc、dは0≦c<0.96、0≦d≦0.5 の範
囲とすることが好ましい。
【0014】したがって、このガーネット単結晶の元素
の組合せとしては、(YNdYb)3Al5O12、(YNdYbCa)3Al
5O12、(YNdYbLa)3Al5O12、(YNdYbLu)3Al5O12、(YNdYb)3
(AlMg)5O12、(YNdYb)3(AlZr)5O12などが例示される。な
お、このガーネット単結晶膜を単結晶基板上に液相エピ
タキシャル法で 300μm以上の厚さで成長させる際の成
長温度は好ましくは 0.001℃/分〜0.01℃/分の範囲の
勾配で降温することがよく、この条件で製造すると成長
にしたがって融液組成が変化しても、成長するガーネッ
ト単結晶膜の格子定数がほぼ一定に保たれるため、クラ
ックおよびピット欠陥の少ない極めて良質なガーネット
単結晶膜を得ることができる。
の組合せとしては、(YNdYb)3Al5O12、(YNdYbCa)3Al
5O12、(YNdYbLa)3Al5O12、(YNdYbLu)3Al5O12、(YNdYb)3
(AlMg)5O12、(YNdYb)3(AlZr)5O12などが例示される。な
お、このガーネット単結晶膜を単結晶基板上に液相エピ
タキシャル法で 300μm以上の厚さで成長させる際の成
長温度は好ましくは 0.001℃/分〜0.01℃/分の範囲の
勾配で降温することがよく、この条件で製造すると成長
にしたがって融液組成が変化しても、成長するガーネッ
ト単結晶膜の格子定数がほぼ一定に保たれるため、クラ
ックおよびピット欠陥の少ない極めて良質なガーネット
単結晶膜を得ることができる。
【0015】
実施例 1インチ径のY3Al5O12基板上に液相エピタキシャル法に
より、膜組成がY2.62Nd0.20Yb0.18Al5O12 の単結晶膜を
膜厚 610μmに成長させたが、このときの成長開始温度
は 1,002℃、成長開始時のガーネット単結晶膜の単結晶
基板に対する格子定数の差は−0.002 Å、成長速度の初
速度は 1.0μm/分、成長温度を降温する勾配は 0.001
℃/分、ガーネット単結晶厚膜の成長速度は0.32μm/
分としたところ、得られたガーネット単結晶厚膜はクラ
ックが無く、表面状態も極めて良質なものとなった。
より、膜組成がY2.62Nd0.20Yb0.18Al5O12 の単結晶膜を
膜厚 610μmに成長させたが、このときの成長開始温度
は 1,002℃、成長開始時のガーネット単結晶膜の単結晶
基板に対する格子定数の差は−0.002 Å、成長速度の初
速度は 1.0μm/分、成長温度を降温する勾配は 0.001
℃/分、ガーネット単結晶厚膜の成長速度は0.32μm/
分としたところ、得られたガーネット単結晶厚膜はクラ
ックが無く、表面状態も極めて良質なものとなった。
【0016】ついで、このガーネット単結晶厚膜表面を
光学研摩したのち、50mW出力の波長0.81μmのレーザ
を空間伝搬させ、コリメーターで集光して光ファイバと
結合させた光学系にこの結晶を挿入した場合[図1
(b)参照]と、挿入しない場合[図1(a)参照]の
光スペクトルを光スペクトラムアナライザーで観測した
ところ、図1(b)に示したように結晶を挿入するとYb
の発光である1.02〜1.03μmでの発光が室温で観測され
た。
光学研摩したのち、50mW出力の波長0.81μmのレーザ
を空間伝搬させ、コリメーターで集光して光ファイバと
結合させた光学系にこの結晶を挿入した場合[図1
(b)参照]と、挿入しない場合[図1(a)参照]の
光スペクトルを光スペクトラムアナライザーで観測した
ところ、図1(b)に示したように結晶を挿入するとYb
の発光である1.02〜1.03μmでの発光が室温で観測され
た。
【0017】つぎに、この単結晶膜の両面に0.81μm帯
で透過率が大きく、1.03μmで反射率が低い誘電体多層
膜を形成して固体レーザチップを製作し、図2に示すよ
うに0.81μm半導体レーザ5、固体レーザチップ1、波
長1.03μm帯の光アイソレータ6、コリメータ7、カプ
ラ9、信号光10、Prフッ化物ファイバ8を結合させて固
体レーザユニットよりなる増幅器を形成し、このレーザ
の光強度を測定したところ、中心波長1.03μmにおいて
1.1Wのレーザ出力が得られた。以上のように、この固
体レーザチップは 1.3μm帯の増幅器に用いられるPrフ
ッ化物ファイバ励起用の小型で安価な励起光源として有
用とされた。
で透過率が大きく、1.03μmで反射率が低い誘電体多層
膜を形成して固体レーザチップを製作し、図2に示すよ
うに0.81μm半導体レーザ5、固体レーザチップ1、波
長1.03μm帯の光アイソレータ6、コリメータ7、カプ
ラ9、信号光10、Prフッ化物ファイバ8を結合させて固
体レーザユニットよりなる増幅器を形成し、このレーザ
の光強度を測定したところ、中心波長1.03μmにおいて
1.1Wのレーザ出力が得られた。以上のように、この固
体レーザチップは 1.3μm帯の増幅器に用いられるPrフ
ッ化物ファイバ励起用の小型で安価な励起光源として有
用とされた。
【0018】比較例 1インチ径のY3Al5O12基板上に液相エピタキシャル法で
膜組成 Y2.62Nd0.20Yb0.18Al5O12の単結晶膜を膜厚 720
μmに成膜させたが、このときの成長開始温度は 980
℃、成長開始時のガーネット単結晶膜の単結晶基板に対
する格子定数の差は−0.002 Å、成長速度の初速度は
1.8μm/分、成長温度を降温する勾配は 0.001℃/
分、ガーネット単結晶厚膜の成長速度は0.43μm/分と
したところ、ガーネット単結晶厚膜の表面にスワールが
50μm以上の凹凸差で発生しているためレーザ材料に使
用することができなかった。
膜組成 Y2.62Nd0.20Yb0.18Al5O12の単結晶膜を膜厚 720
μmに成膜させたが、このときの成長開始温度は 980
℃、成長開始時のガーネット単結晶膜の単結晶基板に対
する格子定数の差は−0.002 Å、成長速度の初速度は
1.8μm/分、成長温度を降温する勾配は 0.001℃/
分、ガーネット単結晶厚膜の成長速度は0.43μm/分と
したところ、ガーネット単結晶厚膜の表面にスワールが
50μm以上の凹凸差で発生しているためレーザ材料に使
用することができなかった。
【0019】
【発明の効果】本発明はレーザ材料の製造方法に関する
もので、この方法で得られたレーザ材料は、従来のNdあ
るいはYb単体を含む固体レーザに比べて、小型で、高出
力の発光強度を有した、安価な、 1.3μmの増幅器に用
いられるPrドープフッ化物ファイバの励起用光源として
有用である有利性が与えられる。
もので、この方法で得られたレーザ材料は、従来のNdあ
るいはYb単体を含む固体レーザに比べて、小型で、高出
力の発光強度を有した、安価な、 1.3μmの増幅器に用
いられるPrドープフッ化物ファイバの励起用光源として
有用である有利性が与えられる。
【図1】(a)は本発明のレーザ材料の結晶を光路に挿
入しなかった時の透過光の光スペクトラムを示す図、
(b)は本発明のレーザ材料の結晶を光路に挿入した時
の透過光のスペクトラムを示す図である。
入しなかった時の透過光の光スペクトラムを示す図、
(b)は本発明のレーザ材料の結晶を光路に挿入した時
の透過光のスペクトラムを示す図である。
【図2】0.81μm半導体レーザ励起による1.03μm帯固
体レーザユニットよりなる増幅器の構成図を示したもの
である。
体レーザユニットよりなる増幅器の構成図を示したもの
である。
1…固体レーザチップ 2…GGG基板 3…単結晶膜 4…反射膜 5…0.81μm半導体レーザ 6…1.03帯光アイソレータ 7…コリメータ 8…Prフッ化物ファイバ 9…カプラ 10…信号光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 館 彰之 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 福田 悟 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 (72)発明者 丹野 雅行 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 (72)発明者 流王 俊彦 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 式(Y1-a-b-cNdaYbbNc)3(Al1-dMd)5O
12(ただし、式中のNはCa、LaまたはLuから選択される
少なくとも1種類の元素、MはMgまたはZrから選択され
る少なくとも1種類の元素、0.02≦a≦0.7 、0.02≦b
≦0.7 、0≦c≦0.96、0.04≦a+b+c<1、0≦d
≦0.5 )で示されるガーネット単結晶からなるレーザ材
料の製造方法において、単結晶基板上に液相エピタキシ
ャル法によって成長させる際の該ガーネット単結晶の膜
厚を 300μm以上とし、かつ該ガーネット単結晶の成長
速度を0.15μm/分〜0.34μm/分の範囲とすることを
特徴とするレーザ材料の製造方法。 - 【請求項2】 成長開始時の該ガーネット単結晶の該単
結晶基板に対する格子定数の差の絶対値を 0.004Å以下
とし、かつ該ガーネット単結晶の成長速度の初速度を
0.5μm/分以上 1.5μm/分以下とする請求項1に記
載のレーザ材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1137296A JPH09202698A (ja) | 1996-01-26 | 1996-01-26 | レーザ材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1137296A JPH09202698A (ja) | 1996-01-26 | 1996-01-26 | レーザ材料の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09202698A true JPH09202698A (ja) | 1997-08-05 |
Family
ID=11776195
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1137296A Pending JPH09202698A (ja) | 1996-01-26 | 1996-01-26 | レーザ材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09202698A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008074703A (ja) * | 1998-02-20 | 2008-04-03 | Seikoh Giken Co Ltd | ビスマス置換型ガーネット厚膜材料 |
-
1996
- 1996-01-26 JP JP1137296A patent/JPH09202698A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008074703A (ja) * | 1998-02-20 | 2008-04-03 | Seikoh Giken Co Ltd | ビスマス置換型ガーネット厚膜材料 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5495494A (en) | Self-aligned, monolithic, solid microlaser with passive switching by a saturable absorber and a production process therefor | |
US6023479A (en) | Solid microlaser passively switched by a saturable absorber and its production process | |
CA2127614A1 (en) | Absorption resonant rare earth-doped micro-cavities | |
JP2008177484A (ja) | 可視光発光材料および可視光発光装置 | |
WO2006129453A1 (ja) | 光ファイバー素子及びそれを用いた光の非相反性付与方法 | |
Ryba-Romanowski et al. | Anisotropy of optical properties of SrLaAlO4 and SrLaAlO4: Nd | |
US6973115B1 (en) | Passive Q-switched microlaser with controlled polarization | |
Tofield et al. | Optical properties of neodymium pentaphosphate—A high Nd-concentration laser material | |
McFarlane et al. | Rare earth doped fluoride waveguides fabricated using molecular beam epitaxy | |
Zhao et al. | Crystal growth, spectroscopic characterization, and continuous wave laser operation of Nd3+‐doped LiLuF4 crystal | |
US5388112A (en) | Diode-pumped, continuously tunable, 2.3 micron CW laser | |
JPH09202698A (ja) | レーザ材料の製造方法 | |
JP3436286B2 (ja) | 固体レーザ用置換型ガーネット結晶材料 | |
US5402434A (en) | Er:YVO4 laser oscillator, solid-state laser material and method for manufacturing the same | |
USRE38489E1 (en) | Solid microlaser passively switched by a saturable absorber and its production process | |
JPH08283093A (ja) | レーザ材料の製造方法 | |
JP3412712B2 (ja) | 固体レーザ用結晶材料 | |
Domenech et al. | Continuous-wave laser operation at 1.3 μm in Nd 3+-doped Zn: LiNbO 3 channel waveguides | |
JPH0967196A (ja) | レーザ材料の製造方法 | |
CN102856786B (zh) | 一种基于硼酸氧钙盐晶体的绿光激光器 | |
US5280534A (en) | Tunable solid state crystalline laser material | |
WO2019042191A1 (zh) | 一类铒离子掺杂的硅酸盐晶体及其1.5微米波段激光器件 | |
JPH07281039A (ja) | 増幅作用を有する光導波路 | |
JPH08283096A (ja) | レーザ材料 | |
JP2007507084A (ja) | 固体レーザー媒質 |