JPH09201714A - スローアウェイ式ヘリカルエンドミル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】工具本体の先端に丸駒チップを装着したスロー
アウェイ式ヘリカルエンドミルにおいて、斜め沈み加工
ができるようにし、またビビリや振動を極力抑え、さら
に工具本体の強度を高め、これらにより加工態様の巾を
広げるとともに、工具本体及びチップの両方について工
具寿命を長期化する。 【解決手段】丸駒チップ６ａを工具本体Ｔの底面９より
チップ半径ｒ以上突出させて装着し、同一寸法のブロッ
ク３，２を軸方向に分割自在に積み重ねるように構成
し、さらに各チップ６，６ａを工具本体Ｔの周方向いお
いて、軸中心に対して等角度ごとに配置する。また、上
記丸駒チップ６ａ以外のチップ６を縦長の平行四辺形状
とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スローアウェイ式
エンドミルに関し、特にスローアウェイ式ヘリカルエン
ドミルに関するするものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のエンドミルとしては、図４に示す
ソリッドエンドミルタイプ１０１、図５に示すラフィン
グエンドミルタイプ２０１、図６に示すスローアウェイ
式エンドミル３０１の３種類が一般的に知られている。

【０００３】このうち、ラフィングエンドミルタイプ２
０１およびソリッドエンドミルタイプ１０１はそれぞ
れ、切り込み量が少ない時には切削動力も小さく、仕上
げ面も滑らかに仕上がる； 荒加工時の切屑の排出性が
良い；などの利点がある一方、一部でも欠損してしまう
と使用不能となるという問題点があった。

【０００４】これに対してスローアウェイ式エンドミル
301 の場合、エンドミル本体でなくスローアウェイチッ
プ302 のみが欠損した場合なら、スローアウェイチップ
３０２が交換可能であるので欠損したスローアウェイチ
ップ３０２ のみを取り換えれば良い。さらに、最近実
用化され始めたエンドミルで、各スローアウェイチップ
を最小ユニットとした同一寸法のブロックを軸線方向に
分割自在に積み重ねたスローアウェイ式エンドミルの場
合、工具本体が欠損しても、そのブロックを新しいブロ
ックに取り換えれば同一エンドミルを継続使用すること
ができる。

【０００５】ところで、スローアウェイ式エンドミルの
うち、金型の内彫り加工に使用可能なものとして底面側
部分を分割可能なブロックＢとし、図７に示すように分
割ブロックＢに丸駒状のスローアウェイチップ（以下、
丸駒チップと略称する）402を装着したヘリカルエンド
ミル401 や或いは図８に示すように丸駒チップ502 のみ
を使用したエンドミルで工具本体の底面から該丸駒チッ
プ502 が大きく突出するよう構成したラジアスエンドミ
ル501 のように工具本体の底面側に丸駒チップ502 を装
着したものがあった。

【０００６】これらのエンドミル401 、501 のように丸
駒チップ402,502 が用いられる理由として、サラエ刃と
して用いられるスローアウェイチップ（以下、チップと
略称する）は加工時に受ける切削加工抵抗が非常に大き
く、そのため三角形や菱形などの多角形状チップをサラ
エ刃として底面側に装着した場合、チップが欠損し易い
という問題がある。このため欠損し難い丸駒チップ402,
502 が用いられることがあった。

【０００７】さらに、上記ラジアスエンドミル501 の場
合には、図８に略図を示すように、金型の内彫り加工に
おいて斜め沈み加工ができるという利点があった。

【０００８】

【従来技術の課題】しかしながら、上記従来のスローア
ウェイ式エンドミルには以下のような問題点があった。
すなわち、前記ラジアスエンドミル501 の場合、工具本
体の底面側のみにチップ502 が装着されているので深い
溝や肩加工ができないという限界があった。

【０００９】次に、前記ヘリカルエンドミル401 では、
丸駒チップ402 が工具本体の底面から突出する量が少な
く、したがって斜め沈み加工ができないという問題点が
あった。さらに丸駒チップ402 は強度は大きいが切削抵
抗が極めて大きく、そのため切刃長の大きいヘリカルエ
ンドミル401 の場合、ビビリが発生し易く、従来のヘリ
カルエンドミル401 では切刃長の調整が出来ないために
切刃長が大きめの設定となり、これによりビビリが発生
し易かったという問題点があった。

【００１０】また図９の概略底面図に示すように、従来
のヘリカルエンドミル401 ではチップ402,403 の配置が
工具本体の周方向において、軸中心Ｃに対して等角度配
置ではなかった。すなわち、同一列のチップ402,403 は
等角度( α°) 配置であっても他の列のチップとは大き
な角度γ°と離れた配置であり、その結果、切削抵抗が
円周方向均一に作用せずビビリが発生し易かったという
問題点があった。

【００１１】さらに、従来の丸駒チップ402 を用いたヘ
リカルエンドミル401 では、その他のチップ403 として
正方形状のものが用いられてきたが、この場合、チップ
ポケット404 の幅が大きくなる。このため丸駒チップ40
2 を装着したブロックＢを取り付けるためのボルト405
の径を大きく取ることが出来ず、その結果、工具本体の
強度が小さいという問題点もあった。

【００１２】

【発明の目的】上記従来技術の課題に鑑み、本発明は工
具本体の底面側（先端側）に丸駒チップを装着したスロ
ーアウェイ式ヘリカルエンドミルにおいて、斜め沈み加
工ができるようにし、またビビリや振動を極力抑え、さ
らに工具本体の強度を高め、これらにより加工態様の巾
を広げるとともに、工具本体及びチップの両方について
工具寿命を長期化することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】前記従来技術の課題を解
決するため本発明は、底面側に丸駒チップを装着したス
ローアウェイ式ヘリカルエンドミル（以下、ヘリカルエ
ンドミルと略称する）において、 (1) 上記丸駒チップを工具本体の底面よりチップ半径以
上突出させて装着する： (2) 各チップを最小ユニットとした同一寸法のブロック
を軸方向に分割自在に積み重ねるように構成する： (3) 各チップを工具本体の周方向において、軸中心に対
して等角度ごとに配置する： (4) 上記丸駒チップ以外のチップを縦長の平行四辺形状
とする： 以上のことを特徴とする。

【００１４】

【作用】上記のような構成の本発明のヘリカルエンドミ
ルの作用は以下のとおりである。すなわち、本発明のヘ
リカルエンドミルは丸駒チップを工具本体の底面よりチ
ップ半径以上突出させて装着しているので、ヘリカルエ
ンドミルでありながら斜め沈み加工が可能である。

【００１５】また、各チップを最小ユニットとした同一
寸法のブロックを軸方向に分割自在に積み重ねる構成で
あり切刃長を必要に応じて短く設定するこすることによ
り切削抵抗を比較的小さくすることができる。また、各
チップが工具本体の周方向において、軸中心に対して等
角度ごとに配置されているので切削抵抗が円周方向にほ
ぼ均一に作用する。この結果、ビビリや振動を極力抑え
る。

【００１６】さらに、丸駒チップ以外のチップを縦長の
平行四辺形状としたので、チップポケットの巾を小さく
でき、他方固定ボルトの径を大きくできるので、工具本
体の強度を高めることができる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図に基
づいて説明する。図１乃至図３に本実施形態のヘリカル
エンドミルＥを示し、このヘリカルエンドミルＥは図１
の分解斜視図に示すように、エンドミルを軸方向に複数
分割したものであり軸方向の上から下に順に、柄付部１
と各チップ６，６ａを最小ユニットとした同一寸法のブ
ロックである中間刃部２、底刃部３に分割し、上記底刃
部３、中間刃部２、柄付部１を貫通するボルト４により
締結する。また、これら柄付部１、中間刃部２、底刃部
３にはそれぞれチップポケット５を設けて軸線方向螺旋
状に複数列のチップ６、６ａを配置する。

【００１８】チップ６、６ａのうち上記底刃部３の底面
側には図２にも示すように丸駒チップ６ａが配置され、
しかも、上記丸駒チップ６ａは、工具本体Ｔの底面９側
に該底面９よりチップ半径ｒ以上突出させて装着されて
おり、これによりヘリカルエンドミルＥであっても斜め
沈み加工が可能である。

【００１９】また、上記底刃部３、中間刃部２、柄付部
１を軸方向に分割自在に積み重ねたものであることによ
り、例えば、中間刃部２を図１および図２に示すように
１つのみで構成すれば切刃長が短いヘリカルエンドミル
Ｅとなり、中間刃部２を複数個重ねることこによって切
刃長の長いヘリカルエンドミルＥを構成することができ
る。

【００２０】次に、各ユニットとしての柄付部１、中間
刃部２、底刃部３の固定は次のように行う。すなわち、
図１に示すように柄付部１、中間刃部２、底刃部３の各
ユニットの下側にはスプライン状の凸部である定位８ａ
が円周沿いに設けられた固定穴８が形成され、他方、上
記中間刃部２、底刃部３の対応する位置には、上記定位
８ａに嵌合するべくスリット状の凹部７ａを周面に形成
したボス部７が形成されているので、上記定位８ａに合
わせて中間刃部２、底刃部３を嵌合し、ボルト４によっ
て固定する。なお、定位８ａおよびスリット状の凹部７
ａは等間隔ごとに形成されている。

【００２１】また、上記中間刃部２、底刃部３のように
構成されるブロックを用いることにより、中間刃部２を
任意の数に積み重ねることができるが、それぞれの積み
重ね数に対応するべくボルト４として異なる長さのもの
を予め幾つか用意しておく。

【００２２】このようにヘリカルエンドミルＥを分割型
とすることの利点としては、必要に応じて切刃長を短く
設定することにより切削抵抗を小さくすることができ、
サラエ刃として丸駒チップ６ａを使用したヘリカルエン
ドミルＥにおいてビビリ、振動を抑制することができる
ということが挙げられる。

【００２３】図３はチップ６、６ａの円周方向の配置を
示す概略底面図である。同図（ａ）に示すようにチップ
６、６ａは工具本体Ｔの周方向において、軸中心Ｃに対
して等角度β°ごとに配置されている。このような構成
の利点としては、切削抵抗が円周方向に沿ってほぼ均一
に作用するのでビビリや振動を極力抑えることができる
ことである。なお、丸駒チップ６ａとそれ以外のチップ
６の間隔は必ずしも上記等角度β°でなくてもよい。す
なわち、図３（ｂ）に示すように丸駒チップ６ａのチッ
プポケット５を大きくとるため丸駒チップ６ａの位置を
両隣のチップ６，６のうちどちらか一方により近づけて
もよい。ただし、この場合も上記丸駒チップ６ａを挟む
一対のチップ６、６の円周方向の間隔は、上記軸中心Ｃ
に対する角度で２β°であることが望ましい。

【００２４】また、本実施形態のヘリカルエンドミルＥ
では丸駒チップ６ａ以外のチップ６を縦長の平行四辺形
状とした。この構成による利点としては、チップポケッ
ト５の巾を小さくすることができ、これによりボルト４
の径を大きくできるので、工具本体Ｔの強度を高めるこ
とができる点が挙げられる。

【００２５】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものでなく、発明の目的を逸脱しない範囲において任意
の形態を採用することができる。

【００２６】

【発明の効果】叙上のように本発明によれば、ヘリカル
エンドミルにおいて丸駒チップを工具本体の底面よりチ
ップ半径以上突出させて装着したので、ヘリカルエンド
ミルでありながら斜め沈み加工が可能である。

【００２７】また、同一寸法のブロックを軸方向に分割
自在に積み重ねる構成とし切刃長を適宜調整することに
より切削抵抗が比較的小さくすることができる。さらに
各チップを工具本体の周方向において、軸中心に対して
等角度ごとに配置したので切削抵抗を円周方向にほぼ均
一に作用し、この結果ビビリや振動を極力抑えることが
できる。

【００２８】さらに、丸駒チップ以外のチップを縦長の
平行四辺形状としたので、チップポケットの巾を小さく
でき、したがってボルトの径を大きくできるので工具本
体の強度を高めることができるなど極めて優れたもの
で、その効果は絶大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のヘリカルエンドミルの分解斜視図であ
る。

【図２】図１のヘリカルエンドミルの正面図である。

【図３】（ａ）（ｂ）はともに図１のヘリカルエンドミ
ルのチップ装着状態を示すための概略底面図である。

【図４】従来のソリッドエンドミルの正面図である。

【図５】従来のラフィングエンドミルの正面図である。

【図６】従来のスローアウェイ式エンドミルの正面図で
ある。

【図７】従来の丸駒チップを使用するヘリカルエンドミ
ルの正面図である。

【図８】従来の丸駒チップを使用するラジアスエンドミ
ルの正面図である。

【図９】図７のヘリカルエンドミルのチップ配置を示す
概略底面図である。

【符号の説明】

１ 柄付部 ２ 中間刃部 ３ 底刃部 ４ ボルト ５ チップポケット ６ チップ ６ａ 丸駒チップ ７ ボス部 ７ａ 凹部 ８ 固定穴 ８ａ 定位 ９ 底面 Ｅ ヘリカルエンドミル β （間隔）角度 ｒ チップ半径

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軸線回りに回転する工具本体の周面に、軸
   線方向螺旋状にチップポケットを形成し、このチップポ
   ケットにスローアウェイチップを装着したヘリカルエン
   ドミルにおいて、丸駒状のスローアウェイチップを工具
   本体の底面よりチップ半径以上突出させて装着するとと
   もに、各スローアウェイチップを最小ユニットとした同
   一寸法のブロックを軸方向に分割自在に積み重ね、さら
   に縦長平行四辺形状のスローアウェイチップを工具本体
   の周方向に、軸中心に対して等角度ごとに配置したこと
   を特徴とするスローアウェイ式ヘリカルエンドミル。