JPH09197726A - 電子写真式水無し平版印刷版の作成方法 - Google Patents

電子写真式水無し平版印刷版の作成方法

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JPH09197726A
JPH09197726A JP30516596A JP30516596A JPH09197726A JP H09197726 A JPH09197726 A JP H09197726A JP 30516596 A JP30516596 A JP 30516596A JP 30516596 A JP30516596 A JP 30516596A JP H09197726 A JPH09197726 A JP H09197726A
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JP
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resin
layer
adhesive
transfer layer
toner image
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JP30516596A
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English (en)
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Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真式水無し平版印刷版の作成方法にお
いて、低出力のレーザー光のスキャニング露光方式に適
用可能で、液体現像剤を用いることで製版画質及び印刷
画質が優れ、耐刷性が良好で、更に簡易化、迅速化、省
力化を実現でき、また乾式手段でトナー画像部分を除去
でき、且つ除去工程での条件変動に対しても安定して高
精細な画像を忠実に再現できる。 【解決手段】 電子写真感光体表面に、電子写真プロセ
スにより液体現像剤を用いて非定着トナー画像を形成
し、トナー画像を担持する感光体上に剥離可能な転写層
(T)を設け、転写層及びトナー画像を平版印刷版用支
持体上に接触転写し、トナー画像を有する転写層上に、
該転写層(T)表面に対する接着力が、該トナー画像に
対する接着力よりもJIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘
着シート試験方法」に基づいて測定した粘着力で180
gram・force以上大きい非粘着性樹脂層を設けた後、ト
ナー画像上の非粘着性樹脂層を選択的に除去する電子写
真式水無し平版印刷版の作成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真式水無し平
版印刷版の作成方法に関し、更に詳細には、低出力のレ
ーザー光スキャニング露光方式に適用可能で、製版画質
及び印刷画質が優れ、且つ高耐刷性を有する電子写真式
水無し平版印刷版の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の平版印刷は親水性支持体上に親イ
ンキ性の画像パターンを設け、水とインキを交互に供給
し、親水性の非画像部に水を付着させてインキの付着を
防止し、親インキ性の画像部のみにインキを付着させる
ことにより印刷することが一般的である。しかし、この
印刷方法は水・インキのバランスを保つことが難しく、
熟練を要する。このような欠点を解消するものとして、
湿し水不要な平版印刷版(以下「水無し平版印刷版」と
いう)が使用されている。
【0003】水無し平版印刷版は撥油性部と親油性部を
有し、インキを供給することにより親油性部のみにイン
キを付着させて印刷する。従来、シリコンゴム層と感光
性樹脂から成る感光層とを順次積層して成る感光材料を
用いて、光照射によりシリコンゴム層と感光層との密着
を制御し、湿式現像処理で画像部を除去して印刷版の作
成を行なう方法が実用化されている。しかしながら、感
光材料の感度が低いため、短波長で高出力の光源での密
着露光及び湿式処理が必要なシステムであることから、
簡易性、迅速性、省力化の点で問題があり、更には近年
のデジタル信号による画像形成システムに適応した印刷
版の作成(即ち、デジタル・ダイレクト刷版)への適用
は極めて困難となっている。
【0004】一方、光熱変換材料を含む感熱層上に全面
密着したシリコン層を有する版材を、デジタル信号出力
に対応したレーザー光でスキャニング露光することによ
り、その熱量を利用してシリコン層を感熱層とともに破
壊して乾式処理することで画像を形成して水無し印刷版
とするシステムが新たにハイデルベルグ(Heiderberg)社
より上市された。このシステムはヒートモードである
が、レーザー光による書き込み及び乾式処理が実現され
た。しかしながら、感度が低いため高出力のレーザー書
き込み装置が必要であり、装置の大型化、製版時間の長
さ、システムのコスト高等が障害となっている。
【0005】他方、画像形成が小型の装置で簡便に行な
え、且つ低出力の半導体レーザー光のスキャニング露光
に適応できる電子写真感光体を利用して、感光体上にシ
リコン層を設け、その上に電子写真プロセスによりトナ
ー画像(親油性)を形成して水無し印刷版とする方法
が、例えば、特開昭47−19305号、同49−19
904号、同59−125752号、同62−1604
66号等に提案されている。しかしながら、実際に印刷
すると、画像部とシリコン層との密着性が不充分である
ため、画像部がインキの強い粘着力により刷り出し直後
から画像欠落が生じ、少部数の印刷も不可能であった。
【0006】そこで、耐刷性向上のために未硬化シリコ
ンゴム層を用いてトナー画像形成後にシリコンゴムを硬
化する方法(例えば、特開昭50−53110号、同5
2−105003号等)あるいは反応性基含有シリコン
ゴム層を用いる方法(例えば、特開昭52−29305
号、同56−83750号、同57−178893号
等)により、トナー画像部とシリコンゴム層との密着性
を向上する方法が提案されているが、いずれにおいても
実用に供せられる程度には致っておらず、いまだ密着性
が不充分であった。
【0007】他方、平版印刷支持体上に低出力半導体レ
ーザー光を用いたレーザープリンター等のPPC複写機
あるいは感熱転写プリンター等で乾式トナーによる画像
を形成し、この上に全面にシリコン層を設け硬化した
後、画像部及びその上のシリコン層を溶剤を用いた湿式
処理方式で除去して印刷版とする方法(特開昭49−1
21602号)あるいは光吸収剤含有の画像又は非接着
性の画像を形成し、この上に全面にシリコン層を設け硬
化した後、画像部を熱又は機械的力など乾式で除去する
方法(特開平3−118154号)が提案されている。
これらの方法は、シリコン層上にトナー画像を設けて製
造する従前の印刷版におけるトナー画像のシリコン層に
対する密着不良の問題を解決するものと考えられ、更に
特開平3−118154号記載の方法はインキ受容性の
画像形成に乾式処理を可能としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法においては、非画像部のシリコン層と支持体との
密着性が不充分であること、あるいはシリコン層の剥離
が画像部の材料として使用する染料・顔料の光熱変換効
率に依存すること等から、支持体と非画像部のシリコン
層との密着性と画像部とシリコン層の密着性とのディス
クリミネーションが小さく、特に乾式での画像部の除去
において、微少な画像部まで選択的に剥離除去するのが
難しく、常に安定して印刷版を提供することが困難であ
った。
【0009】また、画像形成手段として記載される乾式
トナーによるPPC複写機からの転写あるいは感熱転写
プリンターによる画像描画の方法では、高精細な画像を
作成するには限界があることは公知のことであり、より
製版画質の良好な印刷版を作成することは困難であっ
た。特に、近年、ワークステーション等で編集した高精
細なフルカラー画像を、デジタル信号処理で簡易・迅速
・省力でフルカラー印刷するシステムが強く望まれてい
るが、従来の技術では、これらの要望に到底答えられる
ものではなかった。
【0010】従って、本発明の目的は、低出力のレーザ
ー光のスキャニング露光方式に適用可能で、製版画質及
び印刷画質が優れ、耐刷性が良好で、更に簡易化、迅速
化、省力化を実現できる電子写真式水無し平版印刷版の
作成方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
高精細な画像を忠実に再現できる電子写真式水無し平版
印刷版の作成方法を提供することにある。本発明の更な
る目的は、乾式手段で画像部分を除去でき、且つ除去工
程での条件変動に対しても安定して高精細な画像を忠実
に再現できる電子写真式水無し平版印刷版の作成方法を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、電
子写真感光体表面に、電子写真プロセスにより液体現像
剤を用いて非定着トナー画像を形成し、トナー画像を担
持した感光体上の全面に熱可塑性樹脂(A)を主として
含有する剥離可能な転写層(T)を設け、転写層及びト
ナー画像を平版印刷版用支持体上に接触転写し、更に転
写層(T)の全面に、該転写層(T)表面に対する接着
力が、該トナー画像に対する接着力よりもJIS Z0237-19
80の「粘着テープ・粘着シート試験法」に基づいて測定
した粘着力で180gram・force 以上大きい非粘着性樹
脂層を設けた後、トナー画像上の非粘着性樹脂層を選択
的に除去することを特徴とする電子写真式水無し平版印
刷版の作成方法によって達成されることが見出された。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における水無し平版印刷版
の作成は、図1に示す様なプロセスを経て行なわれる。
まず、電子写真感光体11上に電子写真プロセスにより
非定着トナー画像5を形成し、トナー画像を含めた電子
写真感光体全面に剥離可能な転写層(T)12を設け、
平版印刷版用支持体16上に接触転写により転写層
(T)12とトナー画像5を転写する。
【0013】次に平版印刷版用支持体16上の転写層
(T)12及びトナー画像5の全面に、トナー画像との
接着力よりも転写層表面との接着力が強力である非粘着
性樹脂層6を設け、かかる接着力の差を利用してトナー
画像上の非粘着性樹脂層を選択的に除去することで水無
し平版印刷版を作成する。
【0014】本発明では、トナー画像と非粘着性樹脂層
の接着力より非画像部における非粘着性樹脂層と転写層
(T)との接着力の方が大きいので、微小な画像部まで
選択的に且つ容易に除去でき、しかも転写層と共にトナ
ー画像を平版印刷版用支持体に転写するので、トナー画
像を完全に転写でき、製版画質及び印刷画質が優れ、特
に高精細な画像を忠実に再現することができる。
【0015】本発明では、非定着トナー画像を平版印刷
版用支持体の転写層(T)の樹脂層上に形成し、更に非
粘着性樹脂層と平版印刷版用支持体上の転写層との接着
力がトナー画像と非粘着性樹脂層との接着力よりも大き
くなるように非粘着性樹脂層を調節して設けるものであ
る。具体的には、非画像部における非粘着性樹脂層と平
版印刷版用支持体上の転写層(T)の界面を剥離するの
に要する力(非粘着性樹脂層と転写層との接着力)が、
JIS Z0237-1980「粘着テープ・粘着シート試験方法」に
基づいて測定した粘着力で200gram・force(g・f)
以上であり、画像部における非粘着性樹脂層を転写層
(T)から剥離するのに要する力(トナー画像と非粘着
性樹脂層との接着力)が上記粘着力で20g・f以下と
なるように調節することが好ましい。より好ましくは非
画像部における粘着力が300g・f以上であり、画像
部における粘着力が10g・f以下である。
【0016】これにより、非画像部と画像部における非
粘着性樹脂層の接着力の差を顕著にすることができ、非
画像部の非粘着性樹脂層表面にダメージを与えることな
くトナー画像部上の非粘着性樹脂層を選択的に除去する
ことができる。
【0017】上記非粘着性樹脂層に関する接着力は、JI
S Z0237-1980「粘着テープ・粘着シート試験方法」8.3.
1 の180度引きはがし法に従い、以下の修正を加えて
測定する。 非画像部の「試験板」として非粘着性樹脂層が転写層
(T)上に塗設された平版印刷版用支持体を用いる。画
像部の「試験板」として一面にトナー現像された上に非
粘着性樹脂層が塗設された平版印刷版用支持体を用い
る。 「試験片」として25mm幅の3Mシリコン粘着テープ
(#851A)を用いる。 定速緊張型引張試験機を用い、25mm/分の速さで引
き剥がす。
【0018】即ち、上記試験板に上記試験片の粘着面を
下側にして、試験片の上からローラを約300mm/分の
速さで一往復させて圧着する。圧着後20〜40分の間
に、定速緊張型引張試験機を用い、非粘着性樹脂層を約
25mm剥がした後、25mm/分の速さで引き剥がす。5
mm剥がれるごとに力を読みとり、計4回読み取る。試験
は3枚の試験片について行い、3枚の試験片から測定し
た12個の平均値を求め、これを10mm巾当たりに比例
換算する。
【0019】また、本発明では、平版印刷版用支持体と
転写層との接着性は上記粘着力で500g・f以上、特
に800g・f以上が好ましい。そして転写層と非粘着
性樹脂層との粘着力が保持され接着性が充分であること
から、印刷時のインキのタック力及び印刷圧力に対して
非画像部の膜強度が保持され、耐刷性も著しく向上す
る。また、トナー画像と非粘着性樹脂層との接着力が小
さいので、画像部を容易に除去でき、余分な工程や装置
が不要となり、画像形成の迅速化、省力化、装置の小型
化を実現できる。本発明では、非粘着性樹脂層を設置し
た印刷用原版のトナー画像部分を乾式手段で除去するこ
とが好ましい。これにより、画像部上の非粘着性樹脂層
はトナー画像の凝集破壊によって一層選択的且つ簡便に
除去できる。例えば、ピールアパート、ブラッシング等
により外力を加えることにより、非粘着性樹脂層パター
ンを容易に形成することができる。
【0020】更に本発明では、平版印刷版用支持体上の
転写層(T)の表面が非粘着性樹脂層との界面で化学結
合し得る反応性基を含有することが好ましい。これによ
り平版印刷版用支持体上の転写層(T)と非画像部の非
粘着性樹脂層とが少なくとも界面で化学反応して架橋構
造を形成し、更に良好な接着性が保持され、画像部分と
非画像部分とで非粘着性樹脂層の接着力に更に大きな差
を持たせることが可能となる。
【0021】以下、本発明を更に詳述する。本発明に供
せらる電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)の
構成及び材料は、従来公知のいずれでもよく、限定され
るものではない。感光体としては例えば電子写真学会編
「電子写真技術の基礎と応用」(コロナ社刊(1988年
刊))、小門宏編「最近の光導電材料と感光体の開発・実
用化」(日本科学情報(株)刊、1985年刊)、柴田隆治
・石渡次郎、高分子、第17巻、第278 頁(1968年)、宮
本晴視、武井秀彦、イメージング、1973(No.8) 、電子
写真学会編「電子写真用有機感光体の現状シンポジウ
ム」予稿集(1985年)、R. M.Schaffert, "Electrophot
ography" Focal Press London (1980) 、S. W. Ing, M.
D. Tabak, W.E. Hass, "Electrophotography Fourth I
nternational Conference" SPSE (1983) 、篠原功、土
田英俊、草川英昭編「記録材料と感光性樹脂」(株)学
会出版センター刊(1979年)、小門宏、化学と工業、39
(3), 161 (1986年)等に記載の各種感光体が挙げられ
る。
【0022】即ち、光導電性化合物自身から成る単独層
又は光導電性化合物を結着樹脂中に分散した光導電層が
挙げられ、分散された光導電層は、単一層型及び積層型
のいずれでもよい。また、本発明において用いられる光
導電性化合物は無機化合物及び有機化合物のいずれでも
よい。
【0023】本発明において、光導電性化合物として用
いられる無機化合物としては、例えば酸化亜鉛、酸化チ
タン、硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン、セレン−テ
ルル、アモルファスシリコン、硫化鉛等の従来公知の無
機光導電性化合物が挙げられる。これらは、結着樹脂と
ともに光導電層を形成してもよいし、蒸着又はスパッタ
リング等により単独で光導電層を形成してもよい。
【0024】酸化亜鉛、酸化チタン等の無機光導電性化
合物を用いる場合は、無機光導電性化合物100重量部
に対して結着樹脂を10〜100重量部、好ましくは1
5〜40重量部使用する。
【0025】一方、有機化合物としては、従来公知の化
合物のいずれでもよく、具体的には有機光導電性化合
物、増感染料、結合樹脂を主体とする光導電層を有する
ものであり、第二は、電荷発生剤、電荷輸送剤、結合樹
脂を主体とする光導電層を有するもの及び電荷発生剤と
電荷輸送剤とをそれぞれ別の層に含有した二層構成の光
導電層が挙げられる。
【0026】本発明の電子写真感光体は上記の光導電層
のいずれの形態をとっていてもよい。
【0027】第二の例の場合には、有機光導電性化合物
が電荷輸送剤としての機能をはたす。有機光導電性化合
物としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾ
ール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカ
ン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、アリ
ールアミン誘導体、アズレニウム塩誘導体、アミノ置換
カルコン誘導体、N,N−ビカルバジル誘導体、オキサ
ゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレ
ノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ベンジジン誘導体、ス
チルベン誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導
体、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリ
−2−ビニル−4−(4′−ジメチルアミノフェニル)
−5−フェニル−オキサゾール、ポリ−3−ビニル−N
−エチルカルバゾール等のビニル重合体、ポリアセナフ
チレン、ポリインデン、アセナフチレンとスチレンの共
重合体等の重合体、トリフェニルメタンポリマー、ピレ
ン−ホルムアルデヒド樹脂、ブロムピレン−ホルムアル
デヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹
脂等の縮合樹脂等が挙げられる。
【0028】なお本発明において、有機光導電性化合物
はこれらの化合物に限定されず、これまで公知の全ての
有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有
機光導電性化合物は場合により2種類以上併用すること
が可能である。
【0029】光導電層に含有される電荷発生剤として
は、電子写真感光体において従来公知の有機及び無機の
各種の電荷発生剤が使用できる。例えば、セレン、セレ
ン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛及び以下に例示
する有機顔料を使用することができ、これらを用いる光
源の波長域に合った分光感度を有する電荷発生剤として
任意に選択する。
【0030】有機顔料として、例えばモノアゾ、ビスア
ゾ、トリスアゾ、テトラアゾ顔料などのアゾ顔料、無金
属あるいは金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔
料、ペリレン系顔料、インジゴ、チオインジゴ誘導体、
キナクリドン系顔料、多環キノン系顔料、ビスベンズイ
ミダゾール系顔料、スクアリウム塩系顔料、アズレニウ
ム塩系顔料等が挙げられる。これらは単独もしくは2種
以上を併用して用いることもできる。
【0031】電荷輸送剤を更に併用する場合には、組合
わせて用いる電荷発生剤の種類との適合性の良好なもの
が選ばれるが、具体的には、前記した有機光導電性化合
物として知られている化合物群が挙げられる。有機光導
電性化合物と結合樹脂の混合比は、有機光導電性化合物
と結合樹脂との相溶性によって有機光導電性化合物の含
有率の上限が決まり、これを上回る量を添加すると有機
光導電性化合物の結晶化が起こり好ましくない。有機光
導電性化合物の含有量が少ないほど電子写真感度は低下
するので、有機光導電性化合物の結晶化が起こらない範
囲で、できるだけ多くの有機光導電性化合物を含有させ
るのが好ましい。有機光導電性化合物の含有量は、結合
樹脂100重量部に対して5〜120重量部、好ましく
は10〜100重量部である。
【0032】感光体に用いることのできる結着樹脂は、
従来公知の電子写真感光体に用いられる樹脂のいずれで
もよく、重量平均分子量は好ましくは5×103 〜1×
10 6 、より好ましくは2×104 〜5×105 のもの
である。また、結着樹脂のガラス転移点は好ましくは−
40℃〜+200℃、より好ましくは−10℃〜+14
0℃である。
【0033】結着樹脂として、例えば、前記感光体で引
用した総説類、中村孝一編「記録材料用バインダーの実
際技術」第10章、C.M.C.出版(1985年刊)、遠藤剛「熱
硬化性高分子の精密化」(C.M.C.(株)、1986年刊)、
原崎勇次「最新バインダー技術便覧」第II−1章(総合
技術センター、1985年刊)、大津隆行「アクリル樹脂の
合成・設計と新用途開発」(中部経営開発センター出版
部、1985年刊)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」
(テクノシステム、1985年刊)、D. Tatt, S. C.Heidec
ker, Tappi,49, (No.10), 439(1966)、E. S. Baltazzi,
R. G. Blanclotte et al., Phot. Sci. Eng. 16 (No.
5), 354 (1972)、グエン・チャン・ケー、清水勇、井上
英一、電子写真学会誌18(No.2), 22 (1980)等の成書・
総説に記載の化合物等が挙げられる。
【0034】具体的には、オレフィン重合体及び共重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体の重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0035】特に、光導電体の結着樹脂として、カルボ
キシル基、スルホ基、ホスホノ基等の酸性基を含有する
比較的低分子量(103 〜104 程度)の樹脂を併用す
ることで、静電特性を良化することができる。例えば、
特開昭64−70761号、特開平2−67563号、
特開平3−181948号、特開平3−249659号
等が挙げられる。
【0036】また、特定の中〜高分子量の樹脂を用いる
ことで、環境が著しく変動した場合でも安定した性能を
維持することができる。例えば、特開平3−29954
号、同3−77954号、同3−92861号及び同3
−53257号に記載の酸性基をグラフト型共重合体の
グラフト部の末端に結合する樹脂又は酸性基をグラフト
型共重合体のグラフト部に含有する樹脂、特開平3−2
06464号及び同3−223762号記載の酸性基含
有のAブロックと酸性基非含有のBブロックとからなる
ABブロック型共重合体をグラフト部に含有するグラフ
ト型共重合体を挙げることができる。これらの樹脂を用
いることで、光導電体を均一に分散させ、平滑性良好な
光導電層を形成することができ、また環境の変化や半導
体レーザー光を用いたスキャニング露光方式を用いた場
合においても、優れた静電特性を維持することができ
る。
【0037】本発明では、可視光の露光又は半導体レー
ザー光の露光等の光源の種類によって必要に応じて各種
の色素を分光増感剤として併用することができる。例え
ば、前記した電子写真感光体に関する総説・文献、「電
子写真」12、9 (1973)、「有機合成化学」24(11)、1010
(1966)、宮本晴視、武井秀彦;イメージング1973(N
o.8)第12頁、C. J. Young 等: RCA Review 15, 469
頁 (1954年)、清田航平等: 電気通信学会論文誌、J63-
C(No.2) 、97頁 (1980年)、原崎勇次等、工業化学雑
誌、66、78及び188 頁 (1963年)、谷忠昭、日本写真学
会誌35, 208 頁 (1972年)、「Research Disclosure 」
1982年、216 第117 〜118 頁、F. M. Hamer「The Cyani
ne Dyes and Related Compounds」 等の総説引例のカー
ボニウム系色素、ジフェニルメタン色素、トリフェニル
メタン色素、キサンテン系色素、フタレイン系色素、ポ
リメチン色素(例えば、オキソノール色素、メロシアニ
ン色素、シアニン色素、ロダシアニン色素、スチリル色
素等)、フタロシアニン色素(金属を含有してもよい)
等が挙げられる。
【0038】更には、必要に応じて、従来知られている
種々の電子写真感光体添加剤を用いることができる。こ
れらの添加剤としては、電子写真感度を改良するための
化学増感剤、皮膜性を改良するための各種の可塑剤、界
面活性剤などが含まれる。
【0039】化学増感剤としては、例えばハロゲン、ベ
ンゾキノン、クロラニル、フルオラニル、ブロマニル、
ジニトロベンゼン、アントラキノン、2,5−ジクロロ
ベンゾキノン、ニトロフェノール、無水テトラクロロフ
タル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、N−ヒドロキ
シマレインイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、2,
3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、ジニト
ロフルオレノン、トリニトロフルオレノン、テトラシア
ノエチレン、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸等の電
子吸引性化合物、小門宏等「最近の光導電材料と感光体
の開発・実用化」第4章〜第6章:日本科学情報(株)
出版部(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化
合物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジ
アミン化合物等が挙げられる。また、特開昭58−65
439号、同58一102239号、同58−1294
39号、同62一71965号等に記載の化合物等も挙
げることができる。
【0040】可塑剤としては、例えばジメチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフ
ェニルフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイ
ソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセ
バケート、ラウリン酸ブチル、メチルフタリールグリコ
レート、ジメチルグリコールフタレートなどを光導電層
の可撓性を向上するために添加できる。これらの可塑剤
は光導電層の静電特性を劣化させない範囲で含有させる
ことが好ましい。
【0041】これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
01〜2.0重量部である。
【0042】光導電層の厚さは1〜100μ、特に10
〜50μが好適である。また、電荷発生層と電荷輸送層
の積層型感光体の電荷発生層として光導電層を使用する
場合は電荷発生層の厚さは0.01〜5μ、特に0.0
5〜2μが好適である。
【0043】電子写真感光層は従来公知の支持体上に設
けることができる。一般的に電子写真感光層の支持体
は、導電性であることが好ましく、導電性支持体として
は、従来と全く同様、例えば金属、紙、プラスチックシ
ート等の基体に低抵抗性物質を含浸させるなどして導電
処理したもの、基体の裏面(感光層を設ける面と反対
面)に導電性を付与し、更にはカール防止を図る等の目
的で少なくとも1層以上をコートしたもの、前記支持体
の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支持体の表面
層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレコート層を
設けたもの、アルミニウム等を蒸着した基体導電化プラ
スチックを紙にラミネートしたもの等が使用できる。
【0044】具体的には、導電性基体あるいは導電化材
料の例として、坂本幸男、電子写真、14(No.1), 2〜11
頁(1975年刊)、森賀弘之「入門特殊紙の化学」高分子
刊行会(1975年刊)、M. F. Hoover, J. Macromol. Sc
i. Chem. A-4(6)、1327〜1417頁(1970年刊)等に記載
されているものが用いられる。
【0045】更に、本発明に供される電子写真感光体の
表面は、JIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘着シート試
験方法」に基づいて測定した表面粘着力が20gram・fo
rce(g ・f)以下、更に10g ・f 以下であることが好ま
しい。このように粘着力を調整することにより、感光体
上に形成されたトナー画像及び転写層は平版印刷版用支
持体上に一括して容易に剥離転写することができる。
【0046】上記の表面粘着力はJIS Z0237-1980の「粘
着テープ・粘着シート試験方法」8.3.1 の180度引き
はがし法に従い、以下の修正を加えて測定する。 「試験板」としてトナー画像が形成されるべき電子写
真感光体を用いる。 「試験片」として6mm巾のJIS C 2338-1984 に従って
製造された粘着テープを用いる。 定速緊張形引張試験機を用い、120mm/分の速さで
引きはがす。
【0047】即ち、上記試験板に、上記試験片の粘着面
を下側にして、試験片の上からローラを約300mm/分
の速さで一往復させて圧着する。圧着後20〜40分の
間に、定速緊張形引張試験機を用い、約25mmはがした
後、120mm/分の速さで引きはがす。20mmはがれる
ごとに力を読みとり、計4回読み取る。試験は3枚の試
験片について行い、3枚の試験片から測定した12個の
平均値を求め、これを10mm巾当たりに比例換算する。
平版印刷版用支持体の表面粘着力も同様に測定できる。
【0048】また、感光体はその表面平滑性が良好な程
トナー画像が転写され易くなることから、JIS B0601 で
定義される「算術平均粗さ(Ra)」を、JIS B0651 に
記載される触針式表面粗さ測定器により測定して得られ
る値が2.0μm以下{但しカットオフ値(λc )0.
16mm、評価長さ(ln)2.5mm}、特に1.5μm以
下であることが好ましい。このように良好な表面平滑性
を有する感光体は、特に高精細な画像を得るのに有利で
ある。
【0049】本発明では、電子写真感光体として予め表
面剥離性を有するものを用いてもよいが、トナー画像を
形成する前に、感光体の表面にフッ素原子及び/又はケ
イ素原子を少なくとも含有する化合物(S)を適用する
ことにより感光体表面に所望の剥離性を付与してもよ
い。これにより電子写真感光体表面の剥離性を勘案する
ことなく、通常の電子写真感光体を用いることができ
る。
【0050】また、予め剥離性を有する電子写真感光体
を本発明において繰り返し使用する場合に、感光体表面
の剥離性が低下した時に化合物(S)を適用してもよ
い。これにより、感光体表面の剥離性を簡便に保持する
ことができる。電子写真感光体への剥離性付与は、トナ
ー画像の形成装置内で行うことが好ましく、電子写真感
光体の表面に化合物(S)を適用する手段を電子写真プ
ロセスを行う装置に適宜設定することができる。
【0051】剥離性表面を有する感光体を得るには、具
体的には、予め剥離性表面を有する感光体を用いる方
法、及び通常汎用される電子写真感光体の表面に上記化
合物(S)を適用することで感光体表面に剥離性を付与
する方法が挙げられる。
【0052】前者の方法に用いることのできる、予め剥
離性表面を有する感光体の例としては、アモルファスシ
リコンの表面を剥離性に改質した光導電体を用いたもの
が挙げられる。アモルファスシリコンを主として含有す
る電子写真感光体の表面を剥離性に改質する方法として
は、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有するカップ
リング剤(シランカップリング剤、チタンカップリング
剤等)等でアモルファスシリコン層表面を処理する方法
があり、特開昭55−89844号、特開平4−231
318号、特開昭60−170860号、同59−10
2244号、同60−17750号等に記載されてい
る。また、他の方法としては、後述する化合物(S)、
特にフッ素原子及び/又はケイ素原子を置換基として含
有する成分をブロックで含有する化合物(例えばポリエ
ーテル、カルボン酸、アミノ基、カルビノール等変性の
ポリジアルキルシリコン類等)を吸着固定する方法が挙
げられる。
【0053】また、剥離性表面を有する感光体の他の例
としては、電子写真感光体がその表面近傍にケイ素原子
及びフッ素原子の少なくとも一方を含有する(ケイ素原
子及び/又はフッ素原子含有)重合体成分を含有する重
合体を含むものが挙げられる。ここで、電子写真感光体
の表面近傍とは、感光体の最上層を意味し、光導電層の
上に設けられるオーバーコート層、及び最上の光導電層
を包含する。即ち、光導電層を有する感光体の最上層と
してオーバーコート層を設け、このオーバーコート層に
上記重合体を含有させ剥離性を付与したもの、又は光導
電層(単一光導電層及び積層光導電層のいずれでもよ
い)の最上層に上記重合体を含有させ、その表面を剥離
性が発現する状態に改質させたもの等が挙げられる。
【0054】オーバーコート層又は最上の光導電層に剥
離性を付与するには、その層の結着樹脂として、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体を用いれば
よい。あるいは、以下に詳細に述べる如きケイ素原子及
び/又はフッ素原子含有の重合体成分から成る重合体セ
グメントを含むブロック共重合体(表面偏在型共重合
体)を他の結着樹脂とともに用いることも好ましい。ま
た、かかるケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の樹脂
は粒子の形で用いることもできる。
【0055】なかでも、オーバーコート層を設ける場合
には、組み合わせる光導電層とオーバーコート層の密着
性を充分に保持させるために、表面偏在型共重合体を他
の結着樹脂と併用する方法も用いられる。上記表面偏在
型共重合体は、通常オーバーコート層全組成物100重
量部中0.1〜95重量部の割合で使用することができ
る。
【0056】かかるオーバーコート層としては、具体的
には、乾式トナーを用いたPPC感光体において、感光
体の繰り返し使用に対する感光体表面の耐久性を保持す
る1つの手段として公知となっている、感光体上に表面
層を設けて保護するために用いられる保護層が挙げられ
る。例えばシリコーン系ブロック共重合体を利用した保
護層に関する技術として、特開昭61−95358号、
同55−83049号、同62−87971号、同61
−189559号、同62−75461号、同61−1
39556号、同62−139557号、同62−20
8055号等に記載のものが挙げられる。また、フッ素
系ブロック共重合体を利用した保護層として、特開昭6
1−116362号、同61−117563号、同61
−270768号、同62−14657号等に記載のも
のが挙げられる。更には、フッ素原子含有重合体成分を
含有する樹脂を粒子の形で併用する保護層として、特開
昭63−249152号及び同63−221355号に
記載のものが挙げられる。また後述する本発明の非粘着
性樹脂層と同様の内容の樹脂層を剥離性オーバーコート
層として用いることもできる。
【0057】また、最上の光導電層の表面を剥離性が発
現した状態に改質する方法は、光導電体と結着樹脂とを
少なくとも用いた、いわゆる分散型の感光体を用いる場
合に有効に適用される。即ち、光導電層の最上層を構成
する層に、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の重合
体成分を含有する重合体セグメントをブロックで含有す
るブロック共重合体の樹脂、及びケイ素原子及び/又は
フッ素原子含有の重合体成分を含有する樹脂粒子の少な
くともいずれか一方を共存させることにより、これらの
材料が表面に濃縮・移行して偏在するため、剥離性表面
に改質することができる。この共重合体及び樹脂粒子に
ついては特開平5−197169号に記載されているも
のを挙げることができる。
【0058】更に表面偏在化をより強固にするために、
オーバーコート層や最上の光導電層の結着樹脂として、
ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の重合体セグメン
トと、熱及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合
体セグメントとを少なくとも1種ずつブロックで結合し
て成るブロック共重合体を用いることができる。かかる
熱及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグ
メントについては、特開平5−197169号に記載さ
れているものを挙げることができる。あるいは、光及び
/又は熱硬化性樹脂を、フッ素原子及び/又はケイ素原
子含有樹脂とともに併用してもよい。
【0059】かかる方法により感光体表面を改質するの
に有効な本発明のケイ素原子及び/又はフッ素原子を含
有する重合体成分を含有する重合体は、樹脂(以下樹脂
(P)と称する)又は樹脂粒子(以下樹脂粒子(PL)
と称する)の形で用いられる。
【0060】重合体がランダム共重合体である場合に
は、ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体
成分は、全重合体成分中好ましくは60重量%以上、よ
り好ましくは80重量%以上含有する。好ましくは、ケ
イ素原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体成分を
50重量%以上含有する重合体セグメント(α)とケイ
素及び/又はフッ素原子含有重合体成分を0〜20重量
%含有する重合体セグメント(β)がブロックで結合し
て成るブロック共重合体である。更に好ましくは、ブロ
ック共重合体中の上記セグメント(β)中に光及び/又
は熱硬化性官能基を含有する重合体成分を少なくとも1
種含有するブロック共重合体である。これらのブロック
共重合体において、セグメント(β)中には、フッ素原
子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分を全く含有し
ないものが好ましい。
【0061】重合体セグメント(α)及び(β)を含有
するブロック共重合体(表面偏在型共重合体)を用いる
と、ランダム共重合体に比べ、表面の剥離性自身が向上
し、更には剥離性が保持される。即ち、フッ素原子及び
/又はケイ素原子含有のブロック共重合体を少量共存さ
せて塗膜を形成すると、塗布後の乾燥工程終了までの間
に、これらは容易に膜の表面部に移行・濃縮され、膜表
面が剥離性を発現できる状態に改質される。更に、かか
る共重合体は、膜の表面部分で架橋され充分に固定され
る。
【0062】前述の様に、樹脂(P)において、フッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体セグメント
(α)がブロック化されている場合には、他方のフッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分を含んでい
ても少ない重合体セグメント(β)が膜形成の結着樹脂
との相溶性が良好なことから、これと充分な相互作用を
行ない、転写層が形成される場合においても、これらの
樹脂は転写層への移行が抑制もしくは解消されて、転写
層と電子写真感光体との界面を明確に形成維持すること
ができる(即ち、アンカー効果)。ブロック共重合体の
セグメント(β)中に硬化性基を含有する重合体を用い
て成膜時に重合体間を架橋することで、更に感光体との
界面を明確に維持する効果が発揮される。
【0063】前記の如く、重合体は樹脂粒子(PL)と
して用いられてもよい。樹脂粒子(PL)の場合には、
不溶化している重合体セグメント(α)の作用により表
面への移行・濃縮が行われ、更に粒子に結合した非水溶
媒に可溶性の重合体セグメント(β)が、前記樹脂の場
合と同様に、結着樹脂と相互作用してアンカー効果の作
用を行なう。更には硬化性基を重合体中又は結着樹脂中
に含有することで、転写層への移行が解消される。
【0064】上記フッ素原子及び/又はケイ素原子を含
有する置換基を含む重合体成分は、その置換基が重合体
の高分子主鎖に組み込まれていても高分子の側鎖の置換
基として含有されていてもよい。以上の様な化合物の具
体的な態様は、例えば特開平5−197169号に記載
されている。
【0065】次に、剥離性表面を有する感光体を得る後
者の方法である、転写層形成の前に、通常の電子写真感
光体の表面上に剥離性化合物(S)を適用して感光体表
面を剥離性にする方法について述べる。
【0066】化合物(S)としては、フッ素原子及び/
又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物が挙げら
れ、電子写真感光体表面の剥離性を改善するものであれ
ば、その構造は特に限定されるものではなく、低分子化
合物、オリゴマー、ポリマーのいずれでもよい。オリゴ
マー又はポリマーの場合、フッ素原子及び/又はケイ素
原子を含有する置換基は、重合体の主鎖に組み込まれて
いてもよく、あるいは重合体の側鎖の置換基として存在
していてもよい。好ましくは、オリゴマー又はポリマー
において、かかる置換基を含有する繰り返し単位をブロ
ックで含有したものが挙げられ、これらは電子写真感光
体表面への吸着性に優れ、また剥離性を特に有効に発現
する。
【0067】ブロック共重合体である場合には、フッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分がブロック
で構成されていればよい。ここでブロックで構成すると
は、フッ素原子及び/又はケイ素原子を有する成分を7
0重量%以上含有する重合体セグメントを重合体中に有
していることをいい、例えばA−B型ブロック、A−B
−A型ブロック、B−A−B型ブロック、グラフト型ブ
ロックあるいはスター型ブロック等が挙げられる。
【0068】本発明で用いられるフッ素原子及び/又は
ケイ素原子含有の化合物(S)としては、具体的には、
吉田時行等編「新版・界面活性剤ハンドブック」工学図
書(株)刊(1987年)、刈米孝夫監修「最新・界面活性
剤応用技術」(株)シーエムシー(1990年)、伊藤邦雄
編「シリコーン・ハンドブック」日刊工業新聞社刊(19
90年)、刈米孝夫監修「特殊機能界面活性剤」(株)C.
M.C.(1986年)、A. M. Schwartz et al.,「Surface Ac
tive Agents and Detergents vol.II 」等に記載のフッ
素系及び/又はケイ素系有機化合物が挙げられる。
【0069】更に、石川延男「フッ素化合物の合成と機
能」(株)C.M.C.(1987年)、平野二郎等編「含フッ素
有機化合物−その合成と応用−」(株)技術情報協会
(1991年)、石川満夫監修「有機ケイ素戦略資料」第3
章(株)サイエンスフォーラム(1991年)等の文献に記
載の合成方法を利用して、前記物性を満たす本発明の化
合物(S)を合成することができる。
【0070】電子写真感光体の表面に化合物(S)を適
用することにより、その表面は所望の剥離性を有するよ
うに改質される。電子写真感光体の表面に化合物(S)
を適用するとは、化合物(S)を電子写真感光体表面に
供給して、感光体表面に化合物(S)が吸着又は付着し
た状態を形成することをいう。
【0071】化合物(S)を電子写真感光体表面に適用
するには従来公知のいずれの方法を適用してよい。例え
ば、原崎勇次「コーティング工学」(株)朝倉書店(19
71年刊)、原崎勇次「コーティング方式」槙書店(1979
年刊)、深田寛「ホットメルト接着の実際」(株)高分
子刊行会(1979年刊)等に記載のエアドクターコータ
ー、ブレードコーター、ナイフコーター、スクイズコー
ター、含浸コーター、リバースロールコーター、トラン
ファーロールコーター、グラビアコーター、キスロール
コーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレ
ンダーコーター等の各方式が挙げられる。
【0072】また、化合物(S)を含浸させた布、紙、
フェルト等を感光体に密接させる方法、化合物(S)を
含浸させた硬化性樹脂を感光体に圧接させる方法、化合
物(S)を溶解した非水溶媒で感光体を濡らした後溶媒
を乾燥させる方法、化合物(S)を分散させた非水溶媒
を電気泳動させて感光体に付着させる方法等が挙げられ
る。
【0073】更には、インキジェット方式により化合物
(S)の非水溶液を感光体表面に一様に濡らした後、乾
燥させることにより吸着又は付着させることができる。
インキジェット方式による方法は、例えば大野信編集
「ノンインパクトプリンティング」(株)C.M.C.(1986
年刊)記載の原理及び手段によって達成される。例えば
連続噴射型のSweet 方式、Hertz 方式、間欠噴射型のWi
nston 方式、インクオンデマンド型のパルスジェット方
式、バブルジェット方式、インキミスト型のミスト方式
などが挙げられる。
【0074】化合物(S)としてシリコーンゴムを用い
ることもできる。好ましくは金属芯ローラーに巻いてシ
リコーンゴムローラーとし、これを直接感光体表面に押
し当てても良い。ニップ圧は0.5〜10kgf/cm2 、接
触時間は1秒〜30分間で良い。この時感光体及び/又
はシリコーンゴムローラーは150℃以下に加熱されて
いても良い。押圧によりシリコーンゴム内の低分子量成
分の一部が、ローラー表面から感光体表面へ転移するも
のと思われる。シリコーンゴムはシリコーンオイルで膨
潤されたものでも良い。シリコーンゴムは更にスポンジ
状であっても、そのスポンジローラーに更にシリコーン
オイル、シリコーン界面活性剤溶液等を含浸させてあっ
ても良い。
【0075】本発明では、これらの方法は特に限定され
るものでなく、用いる化合物(S)の状態(液体、ワッ
クス状体、固体)によって各種方式が選択され、必要な
らば加熱媒体を併用して、用いる化合物(S)の流動性
を調整することもできる。化合物(S)の感光体表面へ
の適用量は特に規定されるものではなく、感光体の電子
写真特性への悪影響が実用上問題とならなければよい。
通常塗膜膜厚で1μm以下で充分であり、本発明の剥離
性の発現は「Weakboundary Layer」 (Bikerman "The Sci
ence of Adhesive Joints" Academic Press (1961 年
刊)により定義)の状態で充分である。本発明において
は、化合物(S)が電子写真感光体上に適用して表面に
剥離性を付与し、好ましくは感光体の表面粘着力が20
g・f以下となればよい。
【0076】本発明の印刷版作成工程において、常にこ
の工程を繰り返す必要はなく、用いる感光体及び化合物
(S)の適用による剥離性を保持できる能力及びその手
段の組合せに従って、適宜行えばよい。この様な化合物
(S)の具体例及びその適用の具体的態様については、
特開平7−5727号等に記載されている。以上のよう
な剥離性表面を有する電子写真感光体上に、通常の電子
写真プロセスにより液体現像剤を用いて非定着トナー画
像を形成する。
【0077】本発明において、非定着トナー画像とは、
非粘着性樹脂層に対する接着力が、非粘着性樹脂層の転
写層に対する接着力より小さく設定されるトナー画像を
いう。好ましくは、トナー画像は非粘着性樹脂層との接
着力が前記粘着力で20g・f以下、特に10g・f以
下となるものである。
【0078】非定着トナー画像を形成する方法として
は、従来公知の現像剤を用いて熱による定着のプロセス
を省略することで容易に達成される。また、トナー像構
成材料を改良することで、上記物性を満足することが可
能となる。特に電子写真プロセス又はそれに続く非粘着
性樹脂層の形成プロセスの面から、ある程度の熱量が伝
導する場合に有利である。具体的には、下記の〜の
方法が挙げられる。
【0079】トナー粒子を構成する樹脂のガラス転移
点を少なくとも40℃以上、好ましくは80℃以上とな
るよう選択する。 トナー粒子として内部架橋構造を有する硬化樹脂粒子
を用いる(例えば特開平5−34998号、同5−15
0562号等に記載のもの)。 顔料と結着樹脂とから成る着色トナー粒子における顔
料の存在割合を50重量%以上、好ましくは80重量%
以上とする(顔料のみの粒子でもよい)。 上記の条件を満たせば、電子写真プロセスによるトナー
画像形成は従来公知のいずれの方法でもよく、限定され
るものではない。
【0080】本発明に供される現像剤は、従来公知の静
電写真用液体現像剤を使用することができる。例えば、
前述の「電子写真技術の基礎と応用」497〜505
頁、中村孝一監修「トナー材料の開発・実用化」第3章
及び第4章(日本科学情報社刊、1985年)、町田元「記
録用材料と感光性樹脂」107〜127頁(1983年
刊)、(株)学会出版センター、電子写真学会「イメー
ジングNo.2〜5、電子写真の現像・定着・帯電・転
写」、電子写真学会編「イメージングNo.1、電子写真
の現像」34〜42頁、電子写真学会(1977年刊)、ソ
フト技研出版部編「電子写真プロセス技術」397〜4
08頁、経営開発センター(1989年刊)、原崎勇次「電
子写真」16(No.2)44頁(1977年)等に具体的な
態様が示されている。
【0081】具体的な液体現像剤の基本構成は、電気絶
縁性有機溶媒(例えばイソパラフィン系脂肪族炭化水
素:アイソパーH、アイソパーG(エッソ社製)、シェ
ルゾール70、シェルゾール71(シェル社製)、lP
−ソルベント1620(出光石油化学製)等}を分散媒
として、これに着色剤である無機又は有機の顔料あるい
は染料と分散安定性、荷電性を付与するための樹脂類を
必要に応じて組み合わせ用いることで分散し、且つ、荷
電特性の強化あるいは画像特性の改良等のために所望に
より種々の添加剤を加えてなる。
【0082】上記着色剤としては、公知の染料・顔料が
任意に選択されるが、例えばベンジジン系、アゾ系(含
金属を含む)、アゾメチン系、キサンテン系、アントラ
キノン系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系
(含金属を合む)、チタンホワイト、亜鉛華、ニグロシ
ン、アニリンブラック、カ一ボンプラック等が挙げられ
る。
【0083】樹脂としては、上記溶媒に不溶性の樹脂、
上記染料・顔料又は不溶性樹脂等を分散安定化する上記
溶媒に可溶性の樹脂が挙げられるが、不溶性樹脂成分と
可溶性樹脂成分が同一高分子鎖中で結合した重合体類も
用いられる。これらの樹脂は、特に限定されるものでは
なく、従来公知の樹脂の中から任意に選択される。例え
ば、前記感光体の結着樹脂で記載した各種樹脂類等が挙
げられる。
【0084】これら分散媒中に分散される着色粒子ある
いは分散樹脂粒子の大きさは、その平均粒径で好ましく
は0.05〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmで
ある。
【0085】また、分散媒中の上記分散粒子を電気泳動
させるために粒子は正荷電又は負荷電の検電性粒子であ
るが、この検電性の付与あるいは調整のために更に他の
添加剤を加えることも行なわれる。例えば、アルキルス
ルホコハク酸金属塩、ナフテン酸金属塩、高級脂肪酸金
属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルリ
ン酸金属塩、レシチン、ポリ(ビニルピロリドン)、半
マレイン酸アミド成分を含む共重合体、クマロンインデ
ン樹脂、ペトロネート金属塩、アビエチン酸変性マレイ
ン酸樹脂等が挙げられる。
【0086】更に、例えば、英国特許893,429
号、同934,038号、米国特許1,122,397
号、同3,900,412号、同4,606,989
号、特開昭60−179751号、同60−18596
3号、特開平2−13965号、特開昭60−6176
5号等に記載されているものを用いてもよい。また、ト
ナー画像形成粒子の感光体からの転写性を向上させるた
めに平均粒径5〜20μmのスペーサ粒子を併用するこ
ともできる。具体的には特開昭49−34328号、同
59−100458号、同60−95550号、同60
−239759号、同61−39057号等に記載され
ている。
【0087】更に、粒子の分散安定性、荷電安定性の保
持、転写性向上等のために他の添加剤を添加してもよ
く、例えば、ロジン、石油樹脂、高級アルコール類、ポ
リエーテル類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピ
レングリコール類、シリコーンオイル類、パラフィンワ
ックス類、トリアジン誘導体、フッ素系樹脂類、特開昭
59−95543号、同59−160152号等に記載
の有機塩基含有のアクリレート樹脂類等が挙げられる。
【0088】これらの添加剤の総量は、液体現像剤の電
気抵抗によってその上限が規制される。即ち、電気抵抗
が108 Ω・cmより低くなるとトナー粒子の付着量が充
分得られ難くなるので、各添加剤の添加量はこの限度内
でコンロールされる。
【0089】液体現像剤の主要な各組成分の量について
は通常下記の通りである。樹脂(及び所望により用いら
れる着色剤)を主成分として成るトナー粒子は、担体液
体1000重量部に対して0.5重量部〜50重量部が
好ましい。0.5重量部未満であると画像濃度が不足
し、50重量部を超えると非画像部へのカブリを生じ易
い。前記の分散安定用の担体液体可溶性樹脂も必要に応
じて使用され、担体液体1000重量部に対して0.5
重量部〜100重量部程度加えることができる。荷電調
節剤は担体液体1000重量部に対して0.001重量
部〜1.0重量部が好ましい。更に所望により各種添加
剤を加えても良く、それら添加剤の総量は、液体剤の電
気抵抗によってその上限が規制される。即ち、トナー粒
子を除去した状態の液体現像剤の電気抵抗が109 Ωcm
より低くなると良質の連続階調像が得られ難くなるの
で、各添加物の各添加量は、この限度内でコントロール
される。
【0090】液体現像剤の製造方法の具体例としては、
着色剤及び樹脂をサンドミル、ボールミル、ジェットミ
ル、アトライター等の分散機を用いて機械的に分散して
着色粒子を製造する方法が、例えば、特公昭35−55
11号、同35−13424号、同50−40017
号、同49−98634号、同58−129438号、
特開昭61−180248号等に記載されている。
【0091】また、分散樹脂粒子を従来公知の非水系分
散重合方法を用いて製造し、別途に顔料を分散剤ととも
に湿式分散した着色粒子と混合併用する方法がある。こ
の非水系分散重合法による分散樹脂粒子を用いた具体例
としては、例えば米国特許3,990,980号、特公
平4−31109号、同6−40229号等に記載され
ている。他の着色粒子の製造方法としては、分散樹脂粒
子を更に着色する方法が挙げられる。
【0092】着色の方法の1つとして、特開昭57−4
8738号などに記載されている如く、分散樹脂を好ま
しい染料で染色する方法がある。また、特開昭53−5
4029号に開示されている如く、分散樹脂と染料を化
学的に結合させる方法、特公昭44−22955号等に
記載されている如く、重合造粒法で製造する際に予め色
素を含有した単量体を用い、色素含有の共重合体とする
方法等がある。
【0093】非定着トナー像の厚みは少なくとも0.5
μmあればよく、好ましくは2〜3μm程度である。こ
の範囲であれば、トナー画像部の非粘着性樹脂層の除去
が容易に行われ、また必要以上のトナー量を消費するこ
ともなく有利である。
【0094】次に、本発明では、非定着トナー画像の形
成された電子写真感光体上に、転写層(T)の形成が行
われる。好ましくは電子写真プロセスや転写プロセスの
工程と同一の装置内で行う。本発明の転写層は、熱可塑
性樹脂(A)から主として構成され、着色されていても
よい。平版印刷版用支持体上に転写後の画像を検版する
ことを必要とする場合には、着色トナー画像のカラーと
は異なっていればよい。
【0095】また、本発明の転写層は、180℃以下の
温度及び/又は20kgf/cm2 以下の圧力、より好ましく
は160℃以下の温度及び/又は10kgf/cm2 以下の圧
力という転写条件で剥離可能となることが好ましい。上
記値以下であれば、転写層を感光体表面から剥離・転写
するために転写装置の熱容量及び圧力を維持するために
装置を大型化する必要も殆どなく、適度な転写スピード
で充分に転写を行うことができ、実用上問題がない。下
限値は特に限定されないが、通常室温以上の温度又は1
00gf/cm2以上の圧力の転写条件で剥離可能となる転写
層が好ましい。従って、本発明に供される転写層を構成
する主成分の樹脂(A)は、好ましくはガラス転移点9
0℃以下又は軟化点100℃以下、より好ましくはガラ
ス転移点80℃以下又は軟化点90℃以下の熱可塑性樹
脂である。
【0096】樹脂(A)は、更に、ガラス転移点又は軟
化点の異なる少なくとも2種の樹脂を併用することが好
ましい。特に、ガラス転移点25℃〜90℃又は軟化点
35℃〜100℃の樹脂(AH)及びガラス転移点30
℃以下又は軟化点45℃以下の樹脂(AL)から主とし
てなり、且つ樹脂(AH)と樹脂(AL)とのガラス転
移点又は軟化点の差が2℃以上であることが好ましい。
【0097】更に、樹脂(AH)は、好ましくはガラス
転移点28℃〜60℃又は軟化点38℃〜80℃であ
り、より好ましくはガラス転移点30℃〜50℃又は軟
化点40℃〜70℃であり、樹脂(AL)は、好ましく
はガラス転移点−50℃〜+28℃又は軟化点−30℃
〜+40℃であり、より好ましくはガラス転移点−20
℃〜+23℃又は軟化点0℃〜35℃である。
【0098】更に好ましくは、樹脂(AL)のガラス転
移点又は軟化点は、樹脂(AH)より5℃以上低いもの
である。ここで、樹脂(AH)又は樹脂(AL)が2種
以上含有される場合におけるガラス転移点又は軟化点の
差は、樹脂(AH)中の最もガラス転移点又は軟化点の
低いものと、樹脂(AL)中の最もガラス転移点又は軟
化点の高いものとの差をいうものである。
【0099】転写層における樹脂(AH)と樹脂(A
L)との存在割合は、5〜90/95〜10(重量
比)、特に、10〜70/90〜30(重量比)で構成
されることが好ましい。樹脂(AH)/(AL)の存在
比が上記範囲をはずれると、併用による効果が低下す
る。
【0100】更に、本発明の転写層は、感光体上に高ガ
ラス転移点の樹脂(AH)から成る第1の層(第1転写
層T1 )と、その上に低ガラス転移点の樹脂(AL)か
ら成る第2の層(第2転写層T2 )との重層で形成され
てもよい。このことにより、転写性が一層向上し、転写
時の条件(加熱温度、圧力、搬送スピード等)のラチチ
ュードがより拡大するとともに、印刷版用支持体の種類
に関係なく容易に転写を行うことができる。
【0101】本発明において、転写層(T)は好ましい
態様としてこの転写層の表面が、平版印刷版用支持体上
に転写された後にこの上に設けられる非粘着性樹脂層と
界面で化学結合した状態を形成することが好ましい。即
ち、転写層の表面部分に、非粘着性樹脂層を構成する樹
脂中の化学反応性基と化学結合し得る反応性基を含有す
る成分が存在し、非粘着性樹脂層と光、熱あるいは湿気
により化学反応を生じ、橋架けを形成するものである。
【0102】これら化学反応性基としては、後述の非粘
着性樹脂層における硬化性反応性基と同様のものが挙げ
られ、転写層を構成する層にその反応性基含有樹脂を含
有させる。これらの反応性基としては、当然のことなが
ら、非粘着性樹脂層中の反応性基と化学反応し得る官能
基を任意に組合せて、単独もしくは2種以上のものを併
用して用いることができる。
【0103】これら反応性基を含有する重合体成分の存
在割合は、その共重合体全成分の総量中に少なくとも1
重量%以上であり、好ましくは5重量%以上である。
【0104】更には、転写層にこれら反応性基含有樹脂
を用いる際に、かかる樹脂中に、フッ素原子及び/又は
ケイ素原子を含有する重合体成分を含有することが好ま
しい。フッ素原子及び/又はケイ素原子は、反応性基含
有の重合体成分中に含有されてもよいし、他の重合体成
分中に含有されてもよい。これにより、これらの反応性
基含有樹脂は、表面自由エネルギーの差により転写層成
膜あるいは非粘着性樹脂層設置プロセスにおいて転写層
の表面に濃縮され、結果としてより効果的に、転写層と
非粘着性樹脂層間の界面架橋を進行させることが可能と
なる。
【0105】このフッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分はランダム形態でもブロック形態でも存在
し得る。より好ましくは、フッ素原子及び/又はケイ素
原子含有の重合体セグメントがブロックで含有されるブ
ロック共重合体である。
【0106】これらフッ素原子及び/又はケイ素原子含
有の重合体成分を構成する置換基成分及びブロック共重
合体等については、例えば特開平5−197169号に
記載されているものと同様のものが挙げられる。重合体
がランダム共重合体である場合には、フッ素原子及び/
又はケイ素原子を含有する重合体成分の含有量は全重合
体成分中少なくとも40重量%以上であることが好まし
く、より好ましくは60重量%以上である。
【0107】本発明においては、上記重合体は、フッ素
原子及び/又はケイ素原子を含有する重合体成分を50
重量%以上含有する重合体セグメント(α)と、フッ素
及び/又はケイ素原子含有重合体成分を0〜20重量%
含有する重合体セグメント(β)がブロックで結合して
成るブロック共重合体であることが好ましい。かかるブ
ロック共重合体において、上記反応性基は重合体セグメ
ント(α)又はセグメント(β)のいずれか一方または
両方に存在し得る。
【0108】上記反応性基含有の重合体は、転写層最上
層を構成する層において全構成成分に対して、反応性基
含有重合体成分が1〜30重量%存在する様に調整して
用いることが好ましい。又、この様な反応性基を含有す
る樹脂(A)において、前記の如く熱物性の異なる樹脂
(AH)及び樹脂(AL)を組み合せて用いる場合に
は、これらの樹脂のいずれかもしくは両方に含有されて
よい。
【0109】更に、樹脂(AH)の上に樹脂(AL)を
各々主として設ける積層構成の転写層においては、前述
の様に樹脂(AL)を主として含有する上層に用いる。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは1×103
〜5×105 、より好ましくは3×103 〜8×104
である。ここで、重量平均分子量はGPC法により測定
し、ポリスチレン換算したものである。
【0110】転写層に用いることができる樹脂(A)と
しては、具体的には、熱可塑性樹脂、接着剤又は粘着剤
として知られる樹脂が挙げられ、例えばオレフィン重合
体及び共重合体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン
共重合体、アルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アル
カン酸アリル重合体及び共重合体、スチレン及びその誘
導体の重合体及び共重合体、オレフィン−スチレン共重
合体、オレフィン−不飽和カルボン酸エステル共重合
体、アクリロニトリル共重合体、メタクリロニトリル共
重合体、アルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸
エステル重合体及び共重合体、メタクリル酸エステル重
合体及び共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重
合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、イタ
コン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水マレィン酸
共重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド
共重合体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、
アミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性ポリエステ
ル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、
環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−
アクリル酸エステル共重合体、複素環を含有する共重合
体(複素環として例えば、フラン環、テトラヒドロフラ
ン環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン
環、ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン
環、1,3−ジオキセタン環等)、セルローズ系樹脂、
脂肪酸変性セルローズ系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げら
れる。
【0111】例えば、日刊工業新聞社刊「プラスチック
材料講座シリーズ」第1巻〜18巻(1981年)、近畿化
学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社
刊(1988年)、大森英三「機能性アクリル樹脂」(株)
テクノシステム刊(1985年)、滝山栄一郎「ポリエステ
ル樹脂ハンドブック」日刊工業社刊(1988年)、湯木和
男編「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新
聞社刊(1989年)、高分子学会編「高分子データハンド
ブック〈応用編〉」第1章培風館(1986年)、原崎勇次
編「最新・バインダー技術便覧」第2章(株)総合技術
センター(1985年)、奥田平編「高分子加工、別冊8第
20巻増刊号‘粘着”」高分子刊行会(1976年刊)、福
沢敬司「粘着技術」高分子刊行会(1987年刊)、西口守
「接着便覧第14版」高分子刊行会(1985年)、日本接
着協会編「接着ハンドブック第2版」日刊工業新聞社
(1980年)等に記載の各種樹脂類が挙げられる。
【0112】本発明の転写層に供せられる樹指(A)
は、更に樹脂(A)自体の剥離性を向上する効果を有す
るフッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基を
含む重合体成分(F)を、前記した樹脂中の重合体成分
として更に含有してもよい。この事により、剥離性表面
の電子写真感光体との剥離性が更に向上し、結果として
転写性がより良好になる。重合体成分(F)は、具体的
には、前述の剥離性を有する感光層に用いられる樹脂
(P)に含有され得るフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する重合体成分と同様の内容のものが挙げられ
る。その含有量は、樹脂(A)の全重合体成分100重
量部中、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5
〜25重量%である。置換基は、重合体の高分子主鎖に
組み込まれていてもよくあるいは高分子の側鎖の置換基
として存在していてもよい。好ましくは、重合体成分
(F)は、樹脂(A)においてブロックとして含有され
る。
【0113】また、前述の如く、転写層を構成する樹脂
(A)が、ガラス転移点又は軟化点が異なる2種以上の
樹脂からなる場合、これらフッ素原子及び/又はケイ素
原子含有重合体成分(F)は、高いガラス転移点の樹脂
(AH)及び低いガラス転移点の樹脂(AL)のいずれ
に含有されてもよい。更に、フッ素原子及び/又はケイ
素原子含有のブロック共重合体からなる樹脂を転写層が
積層構造で用いるときの感光体側と接する第1転写層
(T1 )の樹脂として用いることが好ましい。これによ
り、感光体表面と転写層との接着力がより低減して転写
性向上が図られる。
【0114】転写層に用いられる樹脂(A)における、
いわゆるブロック共重合体として好ましい態様として
は、該ブロック共重合体において、フッ素原子及び/又
はケイ素原子含有の重合体成分(F)がブロックで構成
されていればいずれでもよい。ここでブロックで構成す
るとは、フッ素原子及び/又はケイ素原子を70重量%
以上含有する重合体セグメントを重合体中に有している
ことをいい、例えば前記樹脂(P)で記載したと同様
に、A−B型ブロック、A−B−A型ブロック、B−A
−B型ブロック、グラフト型ブロックあるいはスター型
ブロック等が挙げられる。
【0115】これらの各種ブロック共重合体(A)は、
従来公知の重合方法に従って合成することができ、具体
的には、前記の電子写真感光体表面に離型性を付与する
フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する重合体成分
をブロックで含有する樹脂(P)で引用したと同様の方
法が挙げられる。しかしながら、これらの方法に限定さ
れるものではない。樹脂(A)は、転写層中の化合物の
総量に対して、好ましくは70重量%以上、より好まし
くは90重量%以上用いられる。
【0116】また、転写層には、接着性、成膜性、膜強
度等種々の物理的特性を向上させるために、必要により
他の添加剤を併用してもよい。例えば、接着性調整のた
めにロジン、石油樹脂、シリコーンオイル等、感光体へ
のぬれ性の改良や溶融粘度を低下させる可塑剤及び軟化
剤としてポリブテン、DOP、DBP、低分子スチレン
樹脂、低分子ポリエチレンワックス、マイクロクリスタ
リンワックス、パラフィンワックス等、酸化防止剤とし
て高分子ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体
等を加えることができる。詳しくは「ホットメルト接着
の実際」(深田著、高分子刊行会、1983年発行)2
9〜107頁に記載がある。
【0117】転写層の膜厚は全体として0.1〜10μ
mが適当であり、好ましくは0.5〜8μm、より好ま
しくは1〜5μmの範囲である。また、転写層を積層構
成とする場合には、第1転写層(T1 )と第2転写層
(T2 )の膜厚比は、好ましくは99〜5/1〜95、
より好ましくは95〜30/5〜70である。膜厚が薄
すぎると転写不良が起きやすくなり、また厚すぎると転
写層の樹脂の伸縮の影響により転写後のトナー画像に歪
みを生じさせる場合があり好ましくない。
【0118】本発明において、剥離可能な転写層は、電
子写真装置内でその都度感光体上に形成されることが好
ましい。このように、転写層形成装置を電子写真プロセ
スを行う装置内に組み込むことにより、感光体を同一装
置内で繰り返し使用して、製版工程を連続して行うこと
ができ、印刷版のコストを著しく低減できるというメリ
ットを生じる。
【0119】転写層の形成法は特に限られるものではな
いが、熱溶融塗布法、電着塗布法、転写法およびインク
ジェット法のうちの少なくとも1つの方法により、上記
装置内で感光体上に転写層を形成させることが好まし
い。これらの方法は、転写装置内で感光体表面に転写層
を容易に形成できる点で好ましい。
【0120】以下各々の転写層形成方法について説明す
る。熱溶融塗布(ホットメルト)法とは、転写層組成物
を公知の方法で熱溶融塗布するものであり、無溶剤型塗
布機、例えば前記資料「ホットメルト接着の実際」の1
97〜215頁に記載のホットメルト接着剤用加熱溶融
塗布装置(ホットメルトコーター)の機構を、感光体の
ドラム塗布仕様にして転用できる。例としては、ダイレ
クトロールコーター、オフセットグラビアロールコータ
ー、ロットコーター、エクストルージョンコーター、ス
ロットオリフィスコーター、カーテンコーター等が挙げ
られる。
【0121】塗布時の熱可塑性樹脂の溶融温度は、用い
る熱可塑性樹脂の成分組成により最適化するが、通常は
50〜160℃の範囲である。密閉された自動温度制御
手段を有する予備加熱装置を用いて予め溶融した後、感
光体に塗布する位置で短時問に適温に上昇させることが
望ましい。このようにすることで、熱可塑性樹脂の熱酸
化による変質や塗布ムラを防止することができる。
【0122】塗布スピードは、熱可塑性樹脂の熱溶融時
の流動性、コーター方式、塗布量等によるが、1〜20
0mm/秒が適当であり、より好ましくは10〜100mm
/秒の範囲である。
【0123】転写層形成法として、電着塗布法を用いる
場合には、前述の熱可塑性樹脂(A)を、樹脂粒子の状
態で感光体の表面上に電着あるいは付着(以下単に電着
ということもある)させ、例えば加熱等により均一な薄
膜を形成して、転写層とする。従って、熱可塑性樹脂粒
子〔以下樹脂粒子(AR)と称することもある〕は、正
電荷あるいは負電荷のいずれかの荷電を有していること
が必要であり、その検電性は組み合せる感光体の帯電性
によって任意に決定される。
【0124】特にガラス転移点の異なる少なくとも二種
の樹脂(好ましくは前記のガラス転移点の高い樹脂(A
H)と前記のガラス転移点の低い樹脂(AL)の少なく
とも二種)を、同一粒子内に含有する樹脂粒子〔以下特
に樹脂粒子(ARW)と称することもある〕を用いるこ
とにより、転写性が良化し、転写層の耐久性が向上し、
水無し印刷版としての耐刷性向上が可能となる。
【0125】樹脂(ARW)では、樹脂(AH)/樹脂
(AL)が10〜95/90〜5(重量比)、特に30
〜90/70〜10(重量比)、の存在割合で含有され
ることが好ましい。樹脂(AH)の存在割合が10重量
%以上の場合に、水無し印刷版としてオフセット印刷す
る際に、インキのタッキネス・圧胴の機械的力等に対し
て充分な強度を保持し、多数枚の非画像部の汚れや画像
の欠落を生じない印刷物を得ることが可能となる。樹指
(AL)の存在割合が5重量%以上の場合に転写層の転
写性がより良好に発揮される。
【0126】また、樹脂粒子(ARW)中に含有される
少なくとも二種の樹指(AH)及び樹脂(AL)は、粒
子内で任意に混在する状態又は樹指(AH)が主たる部
分と樹脂(AL)が主たる部分とに分離した層構造を形
成する状態(即ち、コア−シェル構造の粒子)のいずれ
でもよく、また、コア−シェル構造の場合には、コアと
なる部分が樹脂(AH)であっても樹脂(AL)であっ
ても、特に限定されるものではない。
【0127】樹脂粒子(AR)は、前記した物性を満た
す範囲のものであって、通常その平均粒径は、0.01
μm〜10μmの範囲であり、好ましくは0.05μm
〜5μm、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲で
ある。該粒子は、非水系に分散された樹脂粒子(湿
式)、あるいは常温で固体であり加熱により液体となる
電気絶縁性有機物中に分散された樹脂粒子(疑似湿式)
のいずれの状態でもよい。好ましくは、該剥離用転写層
の膜厚を均一厚みで薄膜まで調整することが容易な、非
水系分散樹脂粒子が挙げられる。
【0128】微小径樹脂粒子は、従来公知の機械的粉砕
方法又は重合造粒方法によって製造することができる。
例えば、分散ポリマーを併用して、更に湿式分散機(例
えば、ボールミル・ぺイントシェーカー、ケディミル、
ダイノミル等)で分散する方法、樹脂粒子成分となる材
料と、分散補助ポリマー(又は被覆ポリマー)を予め混
練して混練物とした後粉砕し、次に分散ポリマーを共存
させて分散する方法等が挙げられる。具体的には、塗料
又は静電写真用現像剤の製造方法を利用することがで
き、例えば植木憲二監訳「塗料の流動と顔料分散」共立
出版(1971年)、「ソロモン、塗料の科学」、「Paint
and Surface Coating Theory and Practice 」、原崎勇
次「コーティング工学」朝倉書店(1971年)、原崎勇次
「コーティングの基礎科学」(1977年)等の成書に記載
されている。
【0129】また、重合造粒法としては、分散重合法を
用いて容易に製造することができる。具体的には、前記
した「超微粒子ポリマーの最新技術」第2章、「最近の
電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」第
3章、K. E. J. Barvett「Dispersion Polymerization
in Organic Media」John Wiley(1975年)等の成書に記
載されている。
【0130】また、前述のように、ガラス転移点の異な
る少なくとも二種の樹脂を同一粒子内に含有する、コア
−シェル構造の樹脂粒子(ARW)を得る場合には、シ
ード重合法を用いて容易に製造することができる。具体
的には上記した非水系分散重合法に関する成書等に記載
される従来公知の非水系分散重合方法でまず微粒子を合
成し、次にこの微粒子をシードとして更に上記と同様に
してシード粒子とガラス転移点の異なる樹脂(A)に相
当する単量体類をフィードして重合させることにより製
造する方法により製造することができる。
【0131】上記重合造粒法において、樹脂(A)に剥
離性向上のための重合体成分(F)を導入するには、熱
可塑性樹脂となる有機溶媒には可溶で、重合することで
不溶化する単量体とともに、重合体成分(F)に相当す
る単量体を共存させて重合反応を行うことで樹脂(A)
中に共重合され、ランダム共重合体の樹脂粒子(AR)
が容易に得られる。また、非粘着性樹脂層との界面で化
学結合し得る反応性基を導入する場合も、上記と同様該
反応性基含有単量体を共存させて重合反応し、樹脂
(A)中に共重合させれば良い。
【0132】更に、重合体成分(F)を重合体のブロッ
クで導入するには、用いる分散安定用樹脂に、重合体成
分(F)をブロックで含有するブロック共重合体を少な
くとも用いる方法、又は重合体成分(F)を主たる繰り
返し単位として含有する重量平均分子量1×103 〜2
×104 (好ましくは3×103 〜1.5×104 )の
一官能性マクロモノマーを共存させて単量体類と共重合
させることで容易にブロック共重合体とすることができ
る。また、他の方法としては、重合体成分(F)を主た
る繰り返し単位として含有する高分子開始剤(アゾビス
高分子開始剤又は過酸化物高分子開始剤)を用いること
でも、同様にブロック共重合体の樹脂粒子を得ることが
できる。
【0133】上記非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用い
られる非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒
であればいずれでもよく、単独であるいは2種以上を混
合して用いることができる。かかる有機溶媒の具体例
は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、フッ化アルコール、ベンジルアルコール等のアルコ
ール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサ
ノン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メ
チル等のカルボン酸エステル類、へキサン、オクタン、
デカン、ドデカン、トリデカン、シクロヘキサン、シク
ロオクタン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香
族炭化水素類、メチレンクロリド、ジクロロエタン、テ
トラクロロエタン、クロロホルム、メチルクロロホル
ム、ジクロロプロパン、トリクロロエタン等のハロゲン
化炭化水素類等が挙げられる。ただし、以上述べた化合
物例に限定されるものではない。
【0134】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
挟く且つ単分散の粒子とすることができる。
【0135】これらの非水系分散樹脂粒子は、湿式静電
写真現像方法又は電界の印圧場で電気泳動させて電着さ
れる方法を行なうことから、電着時に用いられる分散媒
としては、電気抵抗108 Ω・cm以上、且つ比誘電率
3.5以下の非水溶媒系に調節されることが好ましい。
熱可塑性樹脂を主として含有する粒子を電気抵抗108
Ω・cm以上、且つ比誘電率3.5以下の電気絶縁性溶媒
中に分散させて供給する方法は、転写層の膜厚を均一且
つ薄く容易に調整できる点で好ましい。
【0136】絶縁性溶媒としては、具体的には、直鎖状
もしくは分枝状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素又は
芳香族炭化水素、及びこれらのハロゲン置換体を用いる
ことができる。例えばオクタン、イソオククン、デカ
ン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソド
デカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカ
ン、べンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイ
ソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL
(アイソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール7
0、シェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社
の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(ア
ムスコ;アメリカン・ミネラル・スピリッツ社の商品
名)等を単独あるいは混合して用いることができる。
【0137】ここで、非水系分散樹脂粒子の重合造粒時
に用いる非水溶媒として、初めから上記絶縁性有機溶媒
を用いることが好ましいが、これら溶媒以外の溶媒で造
粒した後、分散媒の置換をして調製することもできる。
【0138】また、非水系ラテックスの他の合成方法と
しては、上記した電気抵抗108 Ωcm以上且つ誘電率
3.5以下の非水溶媒に可溶性となる重合体成分と、該
溶媒に不溶性となる重合体成分とで構成されるブロック
共重合体を、該溶媒に湿式分散することで微小樹脂粒子
として供することもできる。即ち、可溶性の重合体成分
と不溶性の重合体成分とからなるブロック共重合体を、
予め該ブロック共重合体を溶解する有機溶媒中で、前記
したブロックポリマーの合成法を用いて重合体とした
後、電着用非水溶媒に分散させる方法である。
【0139】以上の如く、分散媒中の分散粒子を電気泳
動で電着させるためには、樹脂粒子(AR)は正荷電又
は負荷電の検電性粒子であり、樹脂粒子(AR)に検電
性を付与する技術は、湿式静電写真用現像剤の技術を適
宜利用することで達成できる。具体的には、前記の「最
近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用
化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術
の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年
刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁
(1977年)等に記載の検電材料及び他の添加剤を用いる
ことで行なわれる。例えば、英国特許第893,429
号、同934,038号、米国特許第1,122,39
7号、同3,900,412号、同4,606,989
号、特開昭60−179751号、同60−18596
3号、特開平2−13965号等に記載されている。
【0140】電着に供せられる非水系樹指粒子分散物
(ラテックス)の構成としては、通常少なくとも電気絶
縁性分散媒1リットル中に、熱可塑性樹脂を主として含
有する粒子が0.1〜30g、分散安定用樹脂は0.0
1〜100g、必要に応じて加える荷電制御剤は、0.
0001〜10gの範囲である。
【0141】更に、粒子の分散安定性、荷電安定性の保
持等のために、他の添加剤を添加してもよく、例えば、
ロジン、石油樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル
類、シリコーンオイル類、パラフィンワックス類、トリ
アジン誘導体等が挙げられる。しかし、これらに限定さ
れるものではない。これらの添加剤の総量は、電着用ラ
テックスの電気抵抗によってその上限が規制される。即
ち、電気抵抗が108 Ωcmより低くなると熱可塑性樹脂
粒子の付着量が充分な量得られ難くなるので、各添加剤
の各添加量はこの限度内でコントロールされる。
【0142】このようにして微粒子化し荷電を付与して
電気絶縁性液体中に分散した熱可塑性樹脂粒子は電子写
真湿式現像剤と同様の挙動を示す。よって例えば前掲の
「電子写真技術の基礎と応用」275〜285頁に示さ
れる現像デバイス、例えばスリット現像電極装置を用い
て感光体表面に電気泳動させることができる。即ち、熱
可塑性樹脂(A)を主として含有する粒子が、感光体と
対向して設置された対向電極の間に供給され、外部電源
より印加された電位勾配に従って電気泳動して感光体に
付着又は電着されて成膜される。
【0143】一般的には粒子の荷電が正極性の場合には
感光体の導電性支持体と現像デバイスの現像電極との間
に、感光体側が負電位になるように外部電源から電圧を
印加し、粒子を静電気的に感光体表面へ電着させる。ま
た通常の電子写真プロセスにより湿式トナー現像によっ
て電着させることもできる。即ち前提の「電子写真技術
の基礎と応用」46〜79頁に示されるように、感光体
を均一帯電させた後通常の湿式トナー現像をする。
【0144】他方、加熱により液化する媒体中に分散し
た樹脂粒子を用いる場合に供される好ましい媒体は、常
温で固体であり、加熱温度30〜80℃、好ましくは4
0〜70℃で液体となる電気絶縁性の有機化合物であ
り、これに好適な化合物としては、凝固点30〜80℃
のパラフィン類、ロウ類、凝固点20〜80℃の低分子
量のポリプロピレン、凝固点20〜50℃の牛脂、凝固
点30〜80℃の硬化油等が挙げられ、これらを単独又
は組み合わせて用いることができる。
【0145】その他必要な特性は、上記湿式現像法に供
される電着樹脂粒子分散物の場合と同様である。
【0146】更に、この疑似湿式法に供される樹脂粒子
は、供される媒体の液化する温度では軟化しない高ガラ
ス転移点又は高軟化点の樹脂成分が粒子の外殻を構成す
る、いわゆるコア−シェル型粒子(コア部が低Tgの樹
脂、シェル部が高Tgの樹脂)とすることで、分散され
た樹脂粒子が加熱で融着することなく、安定に分散され
た状態を維持することが可能となる。
【0147】感光体上の熱可塑性樹脂粒子の付着量は外
部バイアスの印加電圧、感光体の帯電電位及び電着時間
などにより任意に調節できる。電着後公知のゴムローラ
ー、ギャップローラ、リバースローラなどによるスクイ
ズで現像液を拭い去る。またコロナクイズやエアースク
イズなどの方法も公知である。更に冷風もしくは温風、
あるいは赤外線ランプなどにより乾燥し、熱可塑性樹脂
粒子を皮膜化させて転写層とする。
【0148】転写装置を簡便にできること、均一な薄膜
を安定且つ容易に形成できること等から電着塗布法は特
に好ましい。
【0149】次に、転写法による転写層の形成について
説明する。転写法とは、離型紙で代表される剥離性支持
体上に形成された転写層を感光体表面に転写するもので
ある。
【0150】転写層が形成される離型紙は、通常ロール
状又はシート状で、電子写真製版装置に簡便に供給でき
る。離型紙は、従来公知のいずれのものも使用でき、例
えば、粘着(粘接着)の新技術とその用途・各種応用製
品の開発資料(発行;経営開発センター出版部、昭和5
3年5月20日)、オールペーパーガイド紙の商品事
典、上巻・文化産業編(発行;(株)紙業タイムス社、
昭和58年12月1日)等の成書に記載のものが挙げら
れる。具体的には、離型紙は、シリコーンを主とする離
型剤を、ポリエチレン樹脂をラミネートした未晒クルパ
ック紙、耐溶剤性の樹脂をプリコートした上級紙やクラ
フト紙、アンダーコートを施したPETフイルム、又は
グラシン紙に塗布したもの等である。シリコーンは一般
に溶剤タイプのものが用いられ、基体上に3〜7%の濃
度でグラビアロール、リバースロール、ワイヤーバー等
で塗布・乾燥後、150℃以上で熱処理され、硬化され
る。塗布量は1g/m2程度である。
【0151】離型紙としては、製紙メーカーから一般に
市販されている、テープ用、ラベル用、形成工業用及び
キャストコート工業用のものが使用できる。例えば、セ
パレー卜紙(王子製紙(株)製)、キングリーズ(四国
製紙(株)製)、サンリリース(山陽国策パルプ(株)
製)、NKハイレリーズ(日本加工製紙(株)製)など
が挙げられる。
【0152】離型紙上に転写層を形成するには、熱可塑
性樹脂(A)を主成分とする転写層組成物を、常法に従
って、バー塗布、スピン塗布、スプレー塗布等により塗
布成膜することにより容易に行われる。また、前記熱溶
融塗布法又は電着塗布法を用いてもよい。
【0153】離型紙上の転写層を感光体上に熱転写する
には、通常の熱転写方法が利用できる。即ち、転写層を
保持した離型紙をトナー画像を形成した感光体に圧着
し、転写層を熱転写すればよい。離型紙から転写層をト
ナー画像を形成した感光体表面へ転写する場合の条件は
以下の通りが好ましい。ローラーのニップ圧力は好まし
くは0.1〜10kgf/cm 2 、より好ましくは0.2〜8
kgf/cm2 であり、転写時の温度は好ましくは25℃〜1
00℃、より好ましくは40℃〜80℃である。搬送ス
ピードは好ましくは0.5〜200mm/秒、より好まし
くは10〜150mm/秒である。
【0154】次にインクジェット法による転写層の形成
について説明する。インクジェット法は熱可塑性樹脂
(A)の非水溶液あるいは熱可塑性樹脂(A)の分散樹
脂粒子の非水系分散物をインクジェット方式により感光
体表面に一様に適用した後、乾燥させることにより吸着
又は付着させることで行われる。インクジェット方式
は、例えば大野信編集「ノンインパクトプリンティン
グ」(株)C.M.C.(1986年刊)記載の原理及び手段によ
って達成される。例えば連続噴射型のSweet 方式、Hert
z 方式、間欠噴射型のWinston 方式、インクオンデマン
ド型のパルスジェット方式、バブルジェット方式、イン
キミスト型のミスト方式などが挙げられる。
【0155】いずれもインキの代わりに樹脂(A)を含
有する溶液あるいは分散物をインキタンク及び/又はイ
ンキヘッドカートリッジ部に充填して用いる。通常イン
キの粘度は1〜10cP、表面張力は30〜60dyne/
cmで、必要により界面活性剤等を加えても良く、又イン
キを加熱しても良い。従来のインキジェットプリンター
は、文字描画精細化のためにヘッドのオリフィス系を3
0〜100μm程度としており、飛翔インキの粒径も同
程度となっているが、本発明においてはこれよりも大き
くても良い。この場合にはインキの吐出量が多くなるの
で、塗布にかかる時間を短縮できる。更にマルチノズル
化することも塗布時間短縮のために極めて有効である。
本発明においては、上記のようにして、トナー画像を形
成した感光体上に転写層を形成した後、トナー画像を転
写層ごと加熱及び/又は加圧条件下での接触転写により
平版印刷版用支持体へと剥離転写する。この熱転写には
公知の方法及び装置を用いることができる。
【0156】例えば、熱転写は平版印刷版用支持体を感
光体と転写用バックアップローラー及び剥離用バックア
ップローラーの間を通すことにより行われる。感光体と
転写用バックアップローラーとの間のニップ圧力は0.
1〜10kgf/cm2 、より好ましくは0.2〜5kgf/cm2
であり、ローラー加圧手段としてはローラー軸の両端に
スプリングもしくは圧縮空気を用いるエアーシリンダー
を使うことができる。搬送スピードは10〜300mm/
秒、より好ましくは50〜200mm/秒の範囲であり、
転写時の加熱温度としては、感光体表面上の温度は30
℃〜80℃、より好ましくは35℃〜60℃であり、転
写用バックアップローラーの表面温度は40℃〜140
℃、より好ましくは45℃〜120℃である。
【0157】剥離用バックアップローラーは感光体から
印刷版用支持体への転写をより容易とするために冷却
(好ましくは温度10℃〜30℃)されてもよい。本発
明では、トナー画像上に形成された転写層を特に冷却さ
せることなく、直ちに次の工程で印刷版用支持体へ転写
することができる。このことは、処理工程の簡易・短縮
化、及び感光材料の耐久性の向上にとって有利である。
【0158】本発明に用いる平版印刷版用支持体は、従
来オフセット印刷版に供される支持体をそのまま用いる
ことができる。具体的には、プラスチックシート、耐刷
性を施した紙、アルミニウム板、亜鉛板、銅−アルミニ
ウム板、銅−ステンレス板、クロム−銅板等のバイメタ
ル板、クロム−銅−アルミニウム板、クロム−鉛−鉄
板、クロム−銅−ステンレス板等のトライメタル板等の
基板が用いられ、その厚さは0.1〜3mm、特に0.1
〜1mm、が好ましい。
【0159】又、平版印刷版用支持体の表面に、本発明
の転写層(T)に供せられると同様の熱可塑性樹脂、接
着剤、粘着剤等の樹脂からなる密着層を設けることがで
きる。これにより、転写層(T)と接するのが密着層と
なることから、両層間の密着性が向上し支持体の種類に
よらず、感光体からのトナー画像及び転写層(T)の転
写性が向上し、転写温度の低温化・転写スピードの向上
等が一層図られる。
【0160】平版印刷版用支持体上に設けられる密着層
を構成する樹脂は、ガラス転移点が80℃以下もしくは
軟化点90℃以下のものが好ましい。具体的には、これ
ら熱物性を満足する前記転写層(T)で記載した樹脂が
挙げられる。密着層の膜厚は好ましくは0.1〜10μ
m、より好ましくは0.2〜2μmの範囲である。密着
層は、予め塗設されたものでもよいし、本発明の方法を
行なう装置内で前記した転写層の形成と同様の方法を用
いて設けることもできる。
【0161】以上の様にして平版印刷版用支持体上に転
写層及びトナー画像を転写した後、その全面に非粘着性
樹脂層が設けられる。本発明で用いられる非粘着性樹脂
層とは、転写層(T)表面に対する接着力がトナー画像
に対する接着力よりも大きいもの(好ましくは転写層
(T)に対する接着力が200g・f以上)であって、
水無し印刷版として印刷される時にインキ付着による地
汚れを生じないインキ反発性表面を形成し且つ耐摩擦性
強度が良好な樹脂層である。
【0162】上記画像部と非画像部において接着力の差
を設ける具体的手段としては、例えば下記のものを挙げ
ることができる。 I.非粘着性樹脂層を特定の構成にする。 i)非粘着性樹脂層に特定の成分を含有させる。 ii)非粘着性樹脂層に非粘着性樹脂以外の密着用樹脂を
含有させる。
【0163】iii)非粘着性樹脂層を密着性層とインキ
反発性層に機能分離した積層構成とする。 II.非粘着性樹脂層と親和性良好な転写層(T)を用い
る。 III.非粘着性樹脂層と支持体上の転写層とを界面で化学
結合させる。
【0164】上記手段は、単独で用いてもよいし、2種
以上を組み合わせて用いてもよい。これらの具体的手段
については後述する。
【0165】また、非粘着性樹脂層のインキ反発性表面
は塗膜表面エネルギーが30erg ・cm-1以下の表面状態
を形成するものであればいずれでもよい。この範囲に調
整されることで、インキの付着を生じず、非画像部にカ
ブリのない鮮明な印刷物を得ることができる。塗膜表面
エネルギーは、好ましくは28erg ・cm- 1 以下、より
好ましくは25erg ・cm-1以下、更に好ましくは15〜
25erg ・cm- 1 である。
【0166】非粘着性樹脂層のインキ反発性表面の塗膜
表面エネルギーを上記範囲に調整する1つの方法として
は、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の非粘着
性樹脂を層中に含有させることが挙げられる。本発明で
は、非粘着性樹脂として、フッ素原子及びケイ素原子を
両方含む樹脂も用いることができる。本発明の非粘着性
樹脂としては、シリコン系樹脂が好ましい。
【0167】フッ素系樹脂は、フッ素原子を含有する置
換基を含む重合体成分を主として含有する樹脂である。
この置換基は重合体の高分子主鎖に組み込まれてもよい
し、高分子の側鎖の置換基として含有されていてもよ
い。
【0168】フッ素原子を含有する置換基としては、例
えば下記の1価又は2価の有機残基等が挙げられる。−
n ( F)2n+1 (nは1〜22の整数)、−CFH2
−(CF2)m CF2 H(mは1〜17の整数)、−CF
2 −、−CFH−
【0169】これらのフッ素原子含有の有機残基は組み
合わせれて構成されていてもよく、その場合には、直接
結合してもよいし、他の連結基を介して組み合わされて
もよい。連結する基としては、具体的には2価の有機残
基が挙げられ、−O−、−S−、−N(d1)−、−CO
−、−SO−、−SO2 −、−COO−、−OCO−、
−CONHCO−、−NHCONH−、−CON(d1)
−、−SO2 N(d1)−等から選ばれた結合基を介在さ
せてもよい、2価の脂肪族基もしくは2価の芳香族基、
又はこれらの2価の残基の組み合わせにより構成された
有機残基が挙げられる。ここで、d1 は炭素数1〜3の
アルキル基を表す。
【0170】上記フッ素原子含有の重合体成分は、樹脂
の全重合体成分中80〜100重量部含有されることが
好ましい。
【0171】更にフッ素系樹脂は硬化性官能基を含有し
てもよく、その存在割合は1〜20重量%である。含有
される硬化性官能基としては、後述のシリコン系樹脂に
て記載されるものが挙げられる。フッ素系樹脂の重量平
均分子量は、好ましくは5×103 〜1×106 、より
好ましくは2×104 〜5×105 である。
【0172】シリコーン系樹脂は、ケイ素原子を含有す
る重合体成分を主として含有する樹脂である。本発明に
おいては、下記一般式(I)で示されるオルガノシロキ
サン構造を繰り返し単位とする成分から主として成るポ
リマーを具体例として挙げることができる。
【0173】
【化1】
【0174】式(I)において、R1 及びR2 は、互い
に同じでも異なってもよく、各々脂肪族基、芳香族基又
は複素環基を表わす。
【0175】R1 及びR2 は、互いに同じでも異なって
もよく、好ましくは置換されてもよい炭素数1〜18の
直鎖状又は分枝状アルキル基{例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデ
シル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシ
ル基、2−フロロエチル基、トリフロロメチル基、2−
クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチ
ル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシ
エチル基、3−ブロモプロピル基、2−メチルカルボニ
ルエチル基、2,3−ジメトキシプロピル基、−(CH
2)p r 2r+1基(但しpは1又は2の整数、rは1〜
12の整数を表わす)基、−(CH2)p −(CF2)s
R′基(但しs、炭素数4〜18の置換されてもよいア
ルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、
2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−
ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、
2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デ
セニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセ
ニル基、オクタデセニル基、リノレル基等)、炭素数7
〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベン
ジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフ
チルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル
基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベン
ジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジ
メトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されても
よい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキ
シル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペン
チルエチル基、ポリフロロヘキシル基、メチルシクロヘ
キシル基、メトキシシクロヘキシル基、炭素数6〜12
の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナ
フチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル
基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシル
フェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル
基、ブトキシフェニル基、フロロフェニル基、クロロフ
ェニル基、ジフロロフェニル基、ブロモフェニル基、シ
アノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボ
ニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブト
キシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、
プロピオアミドフェニル基、トリフロロメチルフェニル
基等)、又は窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選ば
れる少なくとも1種の原子を含有する縮環してもよいヘ
テロ環基(例えばヘテロ環としては、ピラン環、フラン
環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール環、チアゾ
ール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペリジン環、
ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンツオキサゾー
ル環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等)等が挙げ
られる。
【0176】特に好ましくは、R1 及びR2 がメチル基
である。シリコン系樹脂の全オルガノシロキサン単位総
量中、R1 とR2 がメチル基であるジメチルシロキサン
単位が好ましくは60重量%以上であり、更に好ましく
は75重量%以上である。このことにより、印刷インキ
反発性が充分に保持され、地汚れの発生が押えられる。
【0177】また、非画像部分の非粘着性樹脂層と平版
印刷版用支持体上の転写層との接着性向上のための特定
の成分を含有することが好ましい。かかる特定成分とし
て、上記シリコン系樹脂において前記した置換アルキル
基(例えばハロゲン、シアノ置換体)、置換されていて
もよいアラルキル基、芳香族基、複素環基から選ばれる
置換基をR1 又はR2 として有するものが挙げられる。
更には、R1 及び/又はR2 の置換基中にカルボキシル
基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ホスホノ基、アミ
ド基等の極性基を含有したもの、あるいはウレイド基
(−NHCONH−)、チオエーテル基(−S−)、ウ
レタン基(−NHCOO−)等の二価の連結基を含有し
たものが挙げられる。
【0178】このような置換基を含有するオルガノシロ
キサン単位は、全オルガノシロキサン単位総量中好まし
くは40重量%未満であり、更に好ましくは25重量%
未満である。印刷インキ反発性の成分として良好なジメ
チルシロキサン単位と上記した接着性向上のための他の
オルガノシロキサン単位とは、上記の割合で存在してい
ればよく、印刷インキ反発性を維持しつつ、接着性を向
上することが可能となる。各重合単位はランダム共重合
体、ブロック共重合体、スター型共重合体のいずれでも
よく、限定されることはない。
【0179】シリコン系樹脂の重量平均分子量は、好ま
しくは5×103 〜1×106 、より好ましくは2×1
4 〜5×105 である。
【0180】本発明の非粘着性樹脂層は、トナー画像部
の非粘着性樹脂層を選択的に除去する工程の前までに、
樹脂層が架橋構造を形成し、硬化性樹脂層となっている
ことが好ましい。このことにより、樹脂層の膜の機械的
強度が向上しトナー画像部の除去工程での非画像部の欠
損を生じることがなくなり、印刷時の機械的外力に対す
る耐久性が維持され、耐刷性が向上する。
【0181】本発明において、硬化した非粘着性樹脂層
を得るには、トナー画像を形成した後、予め硬化した
非粘着性樹脂を含有する樹脂層を設ける方法と、非粘
着性樹脂層を形成後に硬化する方法がある。上記硬化方
法、において、非粘着性樹脂層を硬化し層内部に架
橋構造を形成させるには従来公知の方法のいずれをも用
いることができる。以下、シリコン系樹脂を例にして説
明する。
【0182】例えば、シリコン系樹脂自身が自己架橋す
る方法、シリコン系樹脂を種々の架橋剤又は硬化剤によ
って架橋する方法等が挙げられ、更にこれらの方法のい
くつかの組合せであってもよい。また、樹脂類の高分子
間の橋架反応の反応様式は従来公知のいずれの化学結合
反応でもよく、いくつかの反応様式の組み合せであって
もよい。
【0183】これらの反応様式として具体的には下記の
i)〜iv)の反応が挙げられる。
【0184】i)樹脂中に含有される酸性基(カルボキ
シル基、スルホ基、ホスホノ基等)と共存させる多価金
属イオン(例えばCa、Mg、Ba、Al、Zn、F
e、Sn、Zr、Ti等の多価金属のカチオン)とのキ
レート反応によるイオン結合による架橋。
【0185】ii)有機反応性基〔具体的には、ヒドロキ
シル基、チオール基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、
臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基、酸無水物
基、アミノ基、イソシアナート基、保護されたイソシナ
ナート基(ブロック化イソシアナート基)、酸ハライド
基、エポキシ基、イミノ基、ホルミル基、ジアゾ基、ア
ジド基等から選ばれる反応性基の組合せ〕間の付加反
応、置換反応あるいは脱離反応による化学結合による架
橋。
【0186】iii)自己カップリン基〔例えば−CON
HCH2 OR′基(R1 ′は水素原子又はアルキル基を
表わす)、下記で表わされる基(R2 ′、R3 ′は各々
同じでも異なってもよく、水素原子又はアルキル基を表
わし、又はR2 ′とR3 ′が結合して5〜6の脂環式環
を形成してもよい)、シンナモイル基、−Si
(R4 ′) s (OR5 ′)t {R4 ′はアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基を、R5′はアルキル基を表わ
す。sは0又は1〜2の整数、tは1〜3の整数を表わ
す。但しs+t=3}等〕による自己架橋。
【0187】
【化2】
【0188】iv)重合性二重結合基あるいは三重結合基
による付加重合反応による架橋。重合性二重結合基とし
ては、例えば、CH2 =C(p)COO−、C(C
3 )H=CHCOO−、CH2 =C(CH2 COO
H)COO−、CH2 =C(p)CONH−、CH2
C(p)CONHCOO−、CH2 =C(p)CONH
CONH−、C(CH3 )H=CHCONH−、CH2
=CHCO−、CH2 =CH(CH2 n OCO−(n
は0又は1〜3の整数)、CH2 =CHO−、CH 2
CHC6 4 −、CH2 =CH−S−等が挙げられる
(pは、−H又は−CH3 を表わす)。また重合性三重
結合基としては上記と同様の連結基を有するものが挙げ
られる。
【0189】これらの任意に選ばれた反応性基は、シリ
コン系樹脂中に含有させることができる。その含有形態
としては、具体的には、(a) 前記一般式(I)で記した
繰り返し単位で示されるシロキサン単位の置換基R1
はR2 のいずれか又は両方に直接反応性基が置換する、
あるいは置換基のR1 又はR2 のいずれか又は両方に含
有される、(b) シロキサン単位の高分子鎖とブロックで
結合した他の高分子鎖の共重合成分中に含有する、(c)
シリコン系樹脂の高分子鎖の末端に結合する(他の連結
基を介して結合してもよい)等のいずれでもよい。
【0190】更にオルガノシロキサンポリマー固有の従
来公知の橋架け反応も有効な反応であり、例えば伊藤邦
雄編「シリコーンハンドブック」日刊工業新聞社(1990
年刊)、熊田誠・和田正監修、「最新シリコーン技術−
開発と応用−」(株)シーエムシー、1986年刊)等に詳
細に記載されたものが挙げられる。その一例としては例
えば下記の基等が挙げられる(ここで、R1 ″〜R5
はアルキル基を表す)。
【0191】
【化3】
【0192】以上の如き硬化性反応性基は、前記の如
く、インキ反発性を示す一般式(I)で示されるシロキ
サン単位とともに、高分子鎖にランダム共重合体として
含有されてもよいし、インキ反発性のブロックと硬化性
のブロックが組合されて重合体を構成するブロック共重
合体であってもよい。ブロック共重合体としてはグラフ
ト型、AB型ブロック(ABA型等を含めて)、スター
型等が挙げられる。
【0193】これらブロック共重合体の場合は、インキ
反発性のブロック成分は、全重合体成分中30重量%以
上含まれることが好ましく、より好ましくは50重量%
以上である。
【0194】シリコン系樹脂と架橋構造を形成し得る架
橋剤又は硬化剤としては、従来公知の熱・光あるいは湿
気硬化性化合物として知られる低分子化合物、オリゴマ
ー及びポリマーのいずれの化合物をも用いることがで
き、単独であるいは2種以上を併用してもよい。
【0195】これら架橋剤もしくは硬化剤として用いる
化合物の具体例としては、山下晋三、金子東助編「架橋
剤ハンドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編
「高分子データハンドブック、基礎編」培風館(1986
年)、遠藤剛「熱硬化性高分子の精密化」(C.M.C.
(株)、1986年刊)、原崎勇次「最新バインダー技術便
覧」第II−1章(総合技術センター、1985年刊)、大津
隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開発」(中部
経営開発センター出版部、1985年刊)、前記した「シリ
コーンハンドブック」等の総説に引例された化合物を用
いることができる。
【0196】例えば、有機シラン系化合物(例えば、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビ
ニルトリス(t−ブチルパーオキサイド)シラン、γ−
(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、シランカップ
リング剤等)、ポリイソシアナート系化合物(例えば、
トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソ
シアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、
ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキサメチ
レンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、
高分子ポリイソシアナート等)、上記ポリイソシアナー
ト系化合物のイソシアナートを保護したポリブロック化
イソシアナート系化合物(イソシアナート基の保護に用
いる化合物例としては、アルコール類、β−ジケトン
類、β−ケトエステル類、アミン類等)、ポリオール系
化合物(例えば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシ
プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコー
ル、1,1,1−トリメチロールプロパン等)、ポリア
ミン系化合物(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロ
キシプロピル化エチレンジアミン、フェニレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラ
ジン、変性脂肪族ポリアミン類等)、チタネートカップ
リング系化合物(例えばテトラブトキシチタネート、テ
トラプロポキシチタネート、イソプロピルトリステアロ
イルチタネート等)、アルミニウムカップリング系化合
物(例えばアルミニウムブチレート、アルミニウムアセ
チルアセテート、アルミニウムオキシドオクテート、ア
ルミニウムトリス(アセチルアセテート)等)、ポリエ
ポキシ基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば、垣内弘
編著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之
編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に
記載された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一
郎、松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新
聞社(1969年刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メ
タ)クリレート系化合物(例えば、大河原信、三枝武
夫、東村敏延編「オリゴマー」講談社(1976年刊)、大
森英三「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985
年刊)等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0197】また、共存させる重合性官能基を2個以上
含有する多官能性単量体〔多官能性単量体(d)とも称
する〕あるいは多官能性オリゴマーの重合性官能基とし
ては、具体的には、CH2 =CHCH2 −、CH2 =C
HCOO−、CH2 =CH−、CH2 =C(CH3)−C
OO−、CH(CH3)=CHCOO−、CH2 =CHC
ONH−、CH2 =C(CH3)−CONH−、CH(C
3)=CHCONH−、CH2 =CHOCO−、CH2
=C(CH3)−OCO−、CH2 =CHCH2OCO
−、CH2 =CHNHCO−、CH2 =CHCH2 NH
CO−、CH2 =CHSO2 −、CH2 =CHCO−、
CH2 =CHO−、CH2 =CHS−等を挙げることが
できる。これらの重合性官能基の同一のものあるいは異
なったものを2個以上有する単量体あるいはオリゴマー
であればよい。
【0198】重合性官能基を2個以上有する単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体ある
いはオリゴマーとして、ジビニルベンゼン、トリビニル
ベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール#20
0、#400、#600、1,3−ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)、又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)
のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブ
チレンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸
(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ア
リル酢酸等)との縮合体などが挙げられる。
【0199】また、異なる重合性官能基を有する単量体
あるいはオリゴマーとしては、例えば、ビニル基を含有
するカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メ
タクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイル
プロピオン酸、アルリロイルプロピオン酸、イタコニロ
イル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無
水物等)とアルコール又はアミンの反応体等のビニル基
を含有したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えばメ
タクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニ
ル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン
酸アリル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイル
プロピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリ
ル、メタクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステ
ル、アクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカ
ルボニルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミ
ド、N−アリルメチクリルアミド、N−アリルイタコン
酸アミド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド
等)又はアミノアルコール類(例えばアミノエタノー
ル、1−アミノプロパノール、1−アミノブタノール、
1−アミノヘキサノール、2−アミノブタノール等)と
ビニル基を含有するカルボン酸との縮合体などが挙げら
れる。
【0200】本発明では、非粘着性樹脂層の架橋反応を
促進させるために、必要に応じて反応促進剤を添加して
もよい。架橋反応が官能基間の化学結合を形成する反応
様式の場合には、例えば有機酸類(酢酸、プロピオン
酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン
酸等)、フェノール類(フェノール、クロロフェノー
ル、ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロモフェ
ノール、ナフトール、ジクロロフェノール等)、有機金
属化合物(アセチルアセトナートジルコニウム塩、アセ
チルアセトンジルコニウム塩、アセチルアセトコバルト
塩、ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチオカルバミ
ン酸化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩等)、チウ
ラムジスルフィド化合物(テトラメチルチウラムジスル
フィド等)、カルボン酸無水物(無水フタル酸、無水マ
レイン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無水物、3,
3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾフェノンジ無
水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げられる。架橋
反応が重合性反応様式の場合には、熱重合開始剤(過酸
化物、アゾビス系化合物、光重合反応開始剤及び増感剤
(例えば P. Walker, N. J. Webers et al., J. Phot.
Sci. 18, 150(1970)、徳丸克己、大河原信編「増感剤」
(株)講談社(1987年刊)等の総説・成書に記載されて
おり、具体的にはカルボニル化合物、有機イオウ化合
物、アジン系化合物、アゾ化合物等が挙げられる。
【0201】また、シリコン樹脂の硬化促進剤あるいは
反応制御剤として、白金触媒、メチルビニルテトラシロ
キサン、アセチレンアルコール類等が挙げられる。
【0202】これらの膜硬化における硬化条件は、当然
のことながら、組合せた各材料の特性によって適宜行な
われる。熱硬化を行なうためには、例えば60°〜15
0℃で5〜120分間処理する。上述の反応促進剤を併
用すると、より穏やかな条件で処理することができる。
【0203】樹脂中の特定の官能基を光照射で硬化する
には、化学的活性光線で光照射する工程を入れる様にす
ればよい。化学的活性光線としては、可視光線、紫外
線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線などいずれで
もよいが、好ましくは紫外線、より好ましくは波長31
0nmから波長500nmの範囲の光線である。一般には低
圧、高圧あるいは超高圧の水銀ランプ、ハロゲンランプ
等が用いられる。光照射の処理は通常5cm〜50cmの距
離から10秒〜10分間の照射で充分に行うことができ
る。
【0204】本発明に用いる非粘着性樹脂層は、前記の
非粘着性樹脂とともに、インキ反発性を損なわない範囲
で他の樹脂を含有し、印刷版用支持体上の転写層表面と
非粘着性樹脂層との密着性を向上させることもできる。
併用し得る他の樹脂は、軟化点30℃以上の樹脂であれ
ば、従来公知の各種の樹脂を用いることができる。
【0205】具体的には、オレフィン重合体及び共重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体、重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、ポリカーボネート樹
脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、アミド樹脂、アル
キル変性ナイロン樹脂水酸基及びカルボキシル基変性ポ
リエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセター
ル樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、酢
酸セルローズ樹脂、ウレタン樹脂、環化ゴム−アクリル
酸エステル共重合体、窒素原子を含有しない複素環を含
有する共重合体(複素環として例えば、フラン環、テト
ラヒドロフラン環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオ
キソフラン環、ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンゾチ
オフェン環、1,3−ジオキセタン環等)、エポキシ樹
脂等が挙げられる。これらの樹脂の中で特に好ましい例
として、アルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アクリ
ル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸セルロ
ーズ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ
る。
【0206】これらの他の樹脂の非粘着性樹脂層中にお
ける好ましい使用割合は、全樹脂中40重量%未満、よ
り好ましくは20重量%未満である。また、これらの他
の樹脂中に、前記した熱、光又は湿気により硬化する反
応性基を含有してもよい。
【0207】これらの他の樹脂を非粘着性樹脂と相溶さ
せて、インキ反発性と密着性を両立させる方法として
は、例えば技術情報協会編「高分子の相溶化と評価技
術」(1992年刊)中浜精一等「高機能ポリマーアロイ」
高分子学会編、丸善(1991年刊)等の成書に記載された
ものを適用することができる。
【0208】また、非粘着性樹脂と他の樹脂とを混合し
た膜において、非粘着性樹脂が膜の表面側に濃縮して存
在する特性を利用する方法を用いてもよい。更に両者の
樹脂同志の相互作用を高め膜の凝集力を向上させるため
に、樹脂の一つとして、非粘着性樹脂と同様のケイ素及
び/又はフッ素原子含有の重合体成分をブロック結合し
た共重合体を少量用いることができる。
【0209】本発明に用いる非粘着性樹脂層は多層構成
であってもよく、例えば、平版印刷用支持体上の転写層
と接する側に密着性良好な樹脂層(密着機能層)を設
け、その上にインキ反発性良好な非粘着性樹脂層の積層
構成が挙げられる。密着機能層とインキ反発性良好な非
粘着性樹脂層との密着力の維持は、上記の様な密着用樹
脂と相溶性良好な重合体成分と非粘着性樹脂と相溶性良
好な重合体成分とをブロックで結合した共重合体を、好
ましくは密着機能層に共存させることで可能となる。
【0210】更に、前述した様に、支持体上の転写層
(T)は、非粘着性樹脂層と接する非画像部分におい
て、転写層と非粘着性樹脂層の下側の界面において、少
なくとも化学反応により硬化させることにより密着性が
更に向上する。
【0211】非粘着性樹脂層を支持体上の転写層表面に
設ける方法は従来公知のいずれの方法でもよく限定され
るものではない。具体的には、非粘着性層用樹脂が液状
又は溶剤可溶なものであれば、従来公知の手段により塗
布することができる。例えば、原崎勇次「コーティング
工学」(株)朝倉書店(1971年刊)、原崎勇次「コーテ
ィング方式」槙書店(1979年刊)、深田寛「ホットメル
ト接着の実際」(株)高分子刊行会(1979年刊)等に記
載のエアドクターコーター、ブレードコーター、ナイフ
コーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバース
ロールコーター、トランファーロールコーター、グラビ
アコーター、キスロールコーター、スプレイコーター、
カーテンコーター、カレンダーコーター等の各方式、例
えば大野信編集「ノンインパクトプリンティング」
(株)C.M.C.(1986年刊)記載の原理及び手段によるイ
ンキジェット方式、連続噴射型のSweet 方式、Hertz 方
式、間欠噴射型のWinston 方式、インクオンデマンド型
のパルスジェット方式、バブルジェット方式、インキミ
スト型のミスト方式などが挙げられる。
【0212】また、離型紙で代表される離型性支持体
(以下離型紙という)上に保持された非粘着性樹脂層を
トナー画像を担持した印刷用支持体上の転写層表面上に
転写し貼り付ける方法により設けることもできる。この
方法において、非粘着性層が形成された離型紙はロール
状あるいはシート状で転写する装置中に簡便に供給でき
る。
【0213】離型紙としては、従来公知のものがいずれ
でも使用でき、例えば、「粘着(粘接着)の新技術とそ
の用途・各種応用製品の開発資料」(発行;経営開発セ
ンター出版部、昭和53年5月20日)、「オールペーパー
ガイド紙の商品事典、上巻・文化産業編」(発行(株)
紙業タイムス社、昭和58年12月1日)等の成書に記載の
ものが挙げられる。
【0214】具体的には、離型紙は、シリコーンを主と
する離型剤を、ポリエチレン樹脂をラミネートした末晒
クルパック紙や耐溶剤性の樹脂をプリコートした上級紙
やクラフト紙、アンダーコートを施したPETフイル
ム、またはグラシン紙に塗布したもの等である。シリコ
ーンは一般に溶剤タイプのものが用いられ、基体上に3
〜7%の濃度でグラビアロール、リバースロール、ワイ
ヤーバー等で塗布・乾燥後、150℃以上で熱処理され
硬化される。塗布量は1g/m2程度である。
【0215】離型紙としては、製紙メーカーから一般に
市販されている、テープ用、ラベル用、形成工業用及び
キャストコート工業用のものが使用できる。例えば、セ
パレート紙(王子製紙(株)製)、キングリーズ(四国
製紙(株)製)、サンリリース(山陽国策パルプ(株)
製)、NKハイレリーズ(日本加工製紙(株)製)など
が挙げられる。
【0216】離型紙上に非粘着性樹脂層を形成するに
は、常法に従って、バー塗布、スピン塗布、スプレー塗
布等により塗布成膜することにより容易に行われる。離
型紙上の非粘着性樹脂層を平版印刷用支持体上の転写層
上に熱転写するには、通常の熱転写方法が利用できる。
即ち、非粘着性樹脂層を保持した離型紙を平版印刷用支
持体に圧着し、非粘着性樹脂層を支持体上の転写層上に
熱転写すればよい。
【0217】離型紙から非粘着性樹脂層を支持体上の転
写層上へ転写する場合の条件は、以下の通りが好まし
い。ローラーのニップ圧力は0.1〜20kgf/cm2 、よ
り好ましくは0.2〜10kgf/cm2 であり、転写時の温
度は25℃〜200℃、より好ましくは40℃〜150
℃である。
【0218】非粘着性樹脂層は、前記した様に、印刷時
の印圧に耐え得るように硬化されていることが好まし
く、更には、支持体上の転写層と化学結合して充分密着
することが好ましい。こうした膜状態は、塗膜法又は転
写法のいずれにおいても、それぞれの操作時に、加熱及
び/又は光照射を適宜行なうことで達成される。また、
支持体上に膜を設置後改めて加熱及び/又は光照射の操
作を行なってもよい。これらの条件は、前記した条件で
行なうことが好ましい。
【0219】トナー画像を担持した支持体の転写層上に
非粘着性樹脂層を設置した後、トナー画像部の非粘着性
樹脂層を選択的に除去する操作を行なう。選択的に除去
するには、湿式系及び乾式系のいずれでもよいが、操作
の簡便性から乾式処理が好ましい。湿式処理で除去する
には、溶剤によって非粘着性樹脂層を膨潤させながら、
画像部の非粘着性樹脂層を、場合によって擦り等の機械
的力を加えながら除去する方法が挙げられる(例えば特
開昭49−121602号)。
【0220】本発明の方法では非粘着性樹脂層は機械的
な外力を加えることで容易に選択的に除去されることか
ら、乾式処理法のやり方は限定されるものではない。具
体的には、粘着シート等によるピールアパート法、ブラ
シなどによるブラッシング法、消しゴムなどによる摩擦
法等があげられる。更には、離型紙上に設けた非粘着性
樹脂層を転写法で設ける場合、離型紙と非粘着性樹脂層
との剥離性を調節しておくことで、トナー画像部分の非
粘着性樹脂層を選択的に除去できる。即ち、非粘着性樹
脂層を支持体上の転写層に圧着後、離型紙を引き剥がす
際に、非画像部の非粘着性樹脂層は支持体の転写層表面
に転写され、他方トナー画像部の非粘着性樹脂層は、離
型紙に接着したまま剥離することによりトナー画像部の
除去を同時に行うことができる(いわゆるピールアパー
ト現像)。
【0221】画像部における転写層と非粘着性樹脂層の
分離は、転写層表面トナー画像の界面、トナー画像内部
(いわゆる凝集破壊による)あるいはトナー画像と非粘
着性樹脂層との界面のいずれで生じてもよい。画像部の
非粘着性樹脂層の除去の結果、トナー画像は樹脂層と一
緒に除去されてもよいし、転写層上に残存していてもよ
い。
【0222】以上のようにして得られた本発明の印刷版
は、従来公知の水無し印刷版と同様に、浸し水を用いる
ことなく各種オフセット印刷機により印刷することがで
きる。
【0223】以下に本発明の電子写真式水無し平版印刷
版の作成方法を添付図面をもって詳細に説明する。図2
は、本発明の方法を実施するのに適した電子写真式製版
装置の概略図である。
【0224】前述のように、表面が剥離性に改質された
電子写真感光体を用いる場合には、通常の電子写真プロ
セスにより感光体上にトナー画像を形成する。また、感
光体表面の剥離性が不十分な場合には、電子写真プロセ
スに入る前に化合物(S)を適用する装置を設けること
により、感光体表面に剥離性を付与することができる。
即ち、前記した具体的態様のいずれかを用いた化合物
(S)適用装置10により、感光体表面に化合物(S)
を供給する。化合物(S)適用装置10は、固定及び可
動式のいずれでもよい。まず、感光体11をコロナ帯電
装置18で、例えばプラスに一様帯電した後、露光装置
(例えば半導体レーザー)19で画像情報に基づき画像
露光すると、露光部の電位が低減し、未露光部との間に
電位コントラストが得られる。プラスの静電荷を有する
樹脂粒子が電気絶縁性分散媒中に分散している液体現像
剤を含む液体現像用ユニット14Tを液体現像ユニット
セット14から感光体表面に接近させギャップを1mmに
して固定する。
【0225】また感光体11は現像ユニットに具備され
たプレバス手段によりプレバスされ、次いで図には示さ
れていないバイアス電源及び電気結線により感光体11
と現像電極の間に現像バイアス電圧を印加しながら液体
現像剤を感光体表面に供給する。この時のバイアス電圧
は現像電極側を正に、感光体側を負になるように接続
し、印加電圧は未露光部の表面電位よりもやや低くす
る。印加電圧が低すぎると充分なトナー画像濃度が得ら
れない。
【0226】その後液体現像ユニットセット14に内蔵
してあるリンス用ユニット14Rにより感光体表面に付
着した現像液を洗い落とし、続いてスクイズ手段により
感光体表面に付着したリンス液を除いてから、吸排気ユ
ニット15下を通過させることにより乾燥させる。次に
トナー画像を形成した感光体11上に、転写層を設け
る。ここでは、電着塗布法の場合を例にして、転写層の
形成を説明する。
【0227】樹脂粒子の分散液を入れた電着ユニット1
3aを感光体に接近させ、電着ユニットの現像電極との
距離が1mmとなるように固定する。このギャップ間に樹
脂粒子分散液を供給し、外部から電圧を印加しながら回
転させ、トナー画像を形成した感光体の全面に樹脂粒子
が吸着するようにする。電着ユニットに内蔵してあるス
クイズ装置で感光体表面に付着している分散媒体を除
き、次いで加熱手段により樹脂粒子を熱溶融させて皮膜
化した樹脂転写層を得る。
【0228】この際、分散液の分散溶媒の排気は、電子
写真感光体の電子写真プロセス用に設けた吸排気ユニッ
ト15を利用することができる。電着ユニット13a
は、転写層形成装置として別に設置してもよいが、図2
に示すように液体現像ユニットセット14内に併設して
もよい。
【0229】次にトナー画像を転写層と共に平版印刷版
用支持体へ接触転写する。平版印刷版用支持体16を転
写用バックアップローラー17bにより所定の予熱を
し、転写層を平版印刷版用支持体16に圧接した後、剥
離用バックアップローラー17cで冷却して平版印刷版
用支持体16上に転写層ごとトナー画像を転写し、一連
の工程を終了する。転写層形成から平版印刷版用支持体
への転写までの一連の工程を、感光体表面温度を予め加
熱して行なうこともできる。この様な場合の感光体表面
の加熱温度は70℃以下、好ましくは60℃以下であ
る。この程度の温度であれば、感光体へのダメージを生
じることなく感光体を繰り返し使用することができる。
これにより、各プロセスでの温度調節の負担軽減及び時
間短縮を図ることができる。
【0230】図3は、電着ユニット13aの代わりに転
写層形成装置としてホットメルトコーター13bを用い
た装置の概略図である。熱溶融塗布法では、例えば、熱
可塑性樹脂(A)をホットメルトコーターにより例えば
ドラム周面の感光体表面に塗布し、吸排気ユニット下を
通過させることにより所定の温度まで冷却して転写層を
形成することができる。その後、ホットメルトコーター
は待機位置13cまで移動することが好ましい。
【0231】又図4は、図2の電着ユニット13aの代
わりに転写法における離型紙を利用した転写層形成装置
である感光体上への転写ユニット117を用いた装置の
概略図である。転写層12Tを設けた離型紙20を、加
熱ローラー117bで加熱圧着させて、転写層12Tを
感光体11の表面へ転写させる。離型紙20は冷却ロー
ラー117cで冷却されて回収される。必要に応じて、
感光体自身を加熱手段17aで加熱して、転写層の加熱
圧着による転写性を向上させてもよい。
【0232】転写層を形成した後、感光体上への転写ユ
ニット117を平版印刷版用支持体への転写ユニット1
7に入れ換えてトナー画像と転写層を平版印刷版用支持
体へ転写する。即ち、感光体ドラムを熱転写のための加
熱手段17aにより所定の予熱をし、感光体表面上のト
ナー画像を転写層ごと平版印刷版用支持体16に圧接し
て熱転写する。
【0233】また、非粘着性樹脂層の設置及びその後の
トナー画像上の非粘着性樹脂層の除去は上記の図2−4
に示すような装置と内で行うこともできる。
【0234】
【実施例】以下、本発明を実施例により例証する。 樹脂粒子(AR)の合成例1:(AR−1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−1)16g及びアイソ
パーH 550gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら
温度50℃に加温した。これに、メチルメタクリレート
30g、メチルアクリレート60g、下記構造の単量体
(a−1)10g、3−メルカプトプロピオン酸メチル
1.3g及び2,2′−アゾビス(2−シクロプロピル
プロピオニトリル)(略称A.C.P.P.)1.2gの混合溶
液を1時間で滴下した。そのまま1時間攪拌後、A.C.P.
P. 0.8gを加え2時間反応した。更に、2,2′−
アゾビス(イソブチロニトリル)(略称A.I.B.N.)0.
5gを加え、温度を80℃に設定し、3時間反応した。
冷却後、200メッシュのナイロン布を通し得られた白
色分散物は重合率97%で平均粒径0.19μmの単分
散性のラテックスであった。粒径はCAPA−500
{堀場製作所(株)製}で測定した。(以下同様)。
【0235】上記白色分散物の一部を遠心分離機(回転
数1×104r.p.m. 、回転時間1時間)にかけ、沈降し
た樹脂粒子分を捕集、乾燥し、樹脂粒子分の重量平均分
子量(Mw)(G.P.C.によるポリスチレン換算値。以下
同様)とガラス転移点(Tg)を測定したところ、Mw
は1.5×104 、Tgは28℃であった。
【0236】
【化4】
【0237】 樹脂粒子(AR)の合成例2:(AR−2) ジメチルシロキサンを繰り返し単位とするマクロモノマ
ー(サイラプレーンFM−725,Mw1.0×1
4 、チッソ(株)製)18g、酢酸ビニル100g及
びアイソパーG 382gの混合溶液を窒素気流下攪拌
しながら温度75℃に加温した。これに、A.I.B.N.
1.5gを加え、3時間反応した。次にA.I.B.N. 0.
8gを加えた後、直ちに温度80℃として2時間、更に
A.I.B.N. 0.5gを加えて2時間反応した。温度10
0℃として、未反応の単量体を留去した後、冷却後、2
00メッシュのナイロン布を通して得られた白色分散物
は重合率98%で平均粒径0.22μmの単分散性のラ
テックスであった。樹脂粒子分のMwは9×104 で、
Tgは38℃であった。 樹脂粒子(AR)の合成例3:(AR−3) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−2)12g、酢酸ビニ
ル65g、吉草酸ビニル30g、クロトン酸5g及びア
イソパーH 275gの混合溶液を、窒素気流下攪拌し
ながら温度80℃に加温した。2,2′−アゾビス(イ
ソバレロニトリル)(略称A.I.V.N.)1.6gを加え
1.5時間反応し、A.I.V.N. 0.8gを加え2時間、
更にA.I.B.N. 0.5gを加え4時間反応した。次い
で、温度を100℃に上げて2時間攪拌し、未反応の単
量体を留去した後、冷却して200メッシュのナイロン
布を通し、白色分散物を重合率93%で得た。平均粒径
0.25μmの単分散性のラテックスであった。樹脂粒
子分のMwは8×104 、Tgは24℃であった。
【0238】
【化5】
【0239】樹脂粒子(AR)の合成例4〜9:(AR
−4)〜(AR−9) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−3)20g及びアイソ
パーG 480gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら
温度50℃に加温した。これに、下記表−Aに記載の各
単量体の所定量、3−メルカプトプロピオン酸メチル
2.6g、A.I.V.N. 1.5gの混合溶液を滴下時間1
時間で滴下し、そのまま更に1時間反応した。次いで、
A.I.V.N .1.0gを加え、温度設定を70℃としてそ
のまま2時間反応後、更にA.I.B.N.0.8gを加えて直
ちに温度80℃に設定して3時間反応した。
【0240】上記反応物にアイソパーH60gを加え、
温度50℃で水流ポンプの減圧下にて残存単量体を留去
した後、冷却し、200メッシュのナイロン布を通して
白色分散物を得た。得られた各ラテックスは、平均粒径
0.18〜0.25μmの範囲で各々単分散性は良好で
あった。また、各ラテックスの樹脂粒子分のMwは9×
103 〜1.5×104 の範囲であった。Tgは表−A
に示す通りであった。
【0241】
【化6】
【0242】
【表1】
【0243】樹脂粒子(AR)の合成例10〜14:
(AR−10〜14) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−4)8g、下記表−B
に記載の各マクロモノマー12g及びアイソパーH 5
42gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度50℃
に加温した。これに、メチルメタクリレート36g、メ
チルアクリレート40g、単量体(a−1)12g及び
開始剤A.C.P.P.3gの混合溶液を滴下時間1時間で滴下
し、そのまま1時間反応し、更にA.C.P.P. 1.0gを
加え2時間反応した。次いで、A.I.V.N .1.0gを加
えた後直ちに温度設定を75℃とし2時間反応し、更
に、A.I.V.N .0.8gを加えて2時間反応した。冷却
後、200メッシュのナイロン布を通して、白色分散物
は得た。各樹脂粒子の重合率は93〜99%で、その平
均粒径は0.15〜0.25μmの範囲の粒度分布の狭
いラテックスであった。各粒子の樹脂分のMwは約1.
5×104 、Tgは30〜35℃の範囲であった。
【0244】
【化7】
【0245】
【表2】
【0246】 樹脂粒子(AR)の合成例15:(AR−15) 樹脂(A)として、Tg−25℃の酢酸ビニル/エチレ
ン〔46/54重量比〕共重合体(エバフレックス45
X,三井・デュポンケミカル(株)製)と、Tg38℃
のポリ酢酸ビニルとを1/1重量比の割合で用いて温度
120℃で3本ロールミルで溶融混練した。この混練物
を粉砕機トリオブレンダーで粗粉砕し、この粉砕物5
g、分散安定用樹脂(ソルプレン1205,旭化成
(株)製)4g及びアイソパーH 51gを直径約4mm
のガラスビーズをメジアとするペイントシェーカー{東
洋精機(株)製}に仕込み、20分間予備分散した。こ
の予備分散物を、直径0.75〜1mmのガラスビーズを
メジアとするダイノミルKDL型{シンマルエンタープ
ライゼス(株)製}を用い、4500r.p.m.で6時間湿
式分散した。これらを200メッシュナイロン布を通し
て得られた白色分散物の平均粒径は0.4μmのラテッ
クスであった。
【0247】 樹脂粒子(ARW)の合成例1:(ARW−1) 分散安定用樹脂(Q−1)8g、酢酸ビニル70g、プ
ロピオン酸ビニル30g及びアイソパーH 388gの
混合物を窒素気流下に攪拌しながら温度80℃に加温し
た。これに、開始剤としてA.I.B.N. 1.5gを加え2
時間反応し、更にA.I.B.N.0.8gを2時間ごとに2回
加え反応を行った。冷却後、200メッシュのナイロン
布を通し得られた白色分散物は重合率93%で、平均粒
径0.14μmの単分散性良好なラテックスであった。
樹脂粒子分のMwは8×104 、Tgは17℃であっ
た。ここで得られた樹脂粒子を(AR−16)とする。
【0248】この樹脂粒子分散物の全量(即ち、シード
粒子)及び分散安定用樹脂(Q−1)10gの混合溶液
を窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。これ
に、メチルメタクリレート30g、メチルアクリレート
60g、単量体(a−1)10g、3−メルカプトプロ
ピオン酸メチル1.3g、A.I.V.N .1.0g及びアイ
ソパーG400gの混合物を、2時間で滴下し、そのま
ま更に2時間反応した。次に開始剤を0.8g加え温度
70℃にして2時間反応し、更に開始剤を0.6g加え
3時間反応した。冷却後、200メッシュナイロン布を
通し、得られた白色分散物は重合率98%で平均粒径
0.25μmの単分散性良好なラテックスであった。こ
こで樹脂粒子の積層用に反応させた成分は、前記樹脂粒
子(AR−1)と同一である。
【0249】次に、得られた樹脂粒子が、単独の粒子と
して形成されたか否かを走査型電子顕微鏡(SEM)を
用いて、粒子の状態を観察することで調べた。PETフ
ィルム上に、樹脂粒子が分散した状態になる様にして作
成したフィルムを、加熱しないサンプル及び60℃で5
分間加熱処理したサンプルについてJEOL社のJSL
−T330型 Scanning Microscopeを用いて、2万倍で
観察した。加熱しないサンプルで粒子が観察されたが、
60℃のサンプルでは粒子が観察されなかった。即ち、
粒子が加熱により融解していた。
【0250】同様にして、上記樹脂粒子を構成する2種
の樹脂(共重合体)の各々から成る樹脂粒子(AR−1
6)、樹脂粒子(AR−1)及びこの2種の粒子を1/
1重量比で混合した樹脂粒子について調べた。樹脂粒子
(AR−16)の場合は、加熱しないサンプルで粒子が
すでに観察されず、他方樹脂粒子(AR−1)の場合加
熱しないサンプルでは粒子が観察されたが、60℃のサ
ンプルでは粒子が見えなくなった。更に、混合粒子の場
合、加熱しないサンプルでは粒子が観察されたが温度6
0℃のサンプルでは粒子が見えなくなった。
【0251】以上の様に粒子の熱挙動を目視観察した結
果、樹脂粒子(ARW−1)は2種類の樹脂粒子が混合
されたものではなく、1つの粒子中に2種の樹脂が含有
されており、この場合には、高Tgの樹脂が外層に低T
gの樹脂が内層に各々分配したコア/シェル粒子である
ことが確認された。
【0252】樹脂粒子(ARW)の合成例2〜7:(A
RW−2)〜(ARW−7) 上記樹脂粒子(ARW)の合成例1において、下記表−
Cに記載の各単量体を用いた他は同様に操作して樹脂粒
子(ARW−2)〜(ARW−7)を製造した。得られ
た各ラテックス粒子の重合率は95〜99%で、平均粒
径は0.20〜0.30μmの範囲内で且つ単分散性が
良好であった。
【0253】
【表3】
【0254】実施例1 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)2
g、下記結着樹脂(B−1)14.4g、下記結着樹脂
(B−2)3.6g、下記化合物(A)0.15g及び
シクロヘキサノン80gの混合物を、500mlのガラス
容器にガラスビーズと共に入れ、ペイントシェーカー
(東洋精機製作所製)で60分間分散した後ガラスビー
ズを濾別して感光層分散液とした。
【0255】
【化8】
【0256】次いでこの分散液を脱脂処理を施した0.
2mm厚のアルミニウム版の上にワイヤーバーで塗布し、
指触乾燥した後110℃循環式オーブンで20秒間加熱
した。得られた感光層の膜厚は8μmであった。 ・剥離性表面層の形成 下記シリコン樹脂10g、下記架橋剤1g及び架橋用触
媒白金0.1gをn−ヘキサン100g中に含有した塗
布物をワイヤーラウンドロッドを用いて塗布し、指触乾
燥後、更に120℃で10分間加熱した。表面層の膜厚
は1.5μmであった。得られた感光体の表面粘着力は
1g・f以下であった。
【0257】
【化9】
【0258】この様にして得られた表面剥離性を有する
感光体を、図2に示す様な装置に電子写真感光体として
装着した。次いで、電子写真プロセスにより感光体上に
トナー画像の形成を行なった。感光体を暗所にて+48
0Vにコロナ帯電をした後、あらかじめ原稿からカラー
スキャナーにより読み取り、色分解し、システム特有の
幾つかの色再現に関わる補正を加えた後、デジタル画像
データーとしてシステム内のハードディスクに記憶させ
てあった情報をもとに、半導体レーザー描画装置を用い
て788nmの光で感光体上露光量が30erg/cm2 になる
ように露光した。
【0259】他方、下記の方法で正荷電性液体現像剤
(LD−1)を調製した。 ・分散樹脂粒子の合成 メチルメタクリレート100g、下記分散ポリマー20
g及びアイソパーH680gの混合溶液を窒素気流下に
攪拌しながら65℃に加温した。
【0260】
【化10】
【0261】これに2,2′−アゾビスイソバレロニト
リル(A.I.V.N.)1.0gを加え4時間反応し、更にA.
I.V.N.0.5gを加えて2時間反応し、更にA.I.V.N.
0.5gを加えて2時間反応した。次に、反応温度を9
0℃に上げて30mmHgの減圧下で1時間攪拌し、未反応
の単量体を除去した。室温に冷却後200メッシュのナ
イロン布を通して白色分散物を得た。分散物における単
量体の反応率は98重量%で、CAPA−500(堀場
製作所製)で測定した樹脂粒子の平均粒径は0.25μ
mであり、分散性も良好であった。樹脂のTgは115
℃であった。
【0262】・着色粒子の合成 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸(95/5
重量比)共重合体10g、ニグロシン10g及びアイソ
パーG30gをガラスビーズと共にペイントシェイカー
(東京精機(株)製)に入れ、4時間分散してニグロシ
ンの微少な分散物を得た。
【0263】・液体現像剤の製造 上記トナー樹脂粒子の分散物45g、上記ニグロシン分
散物25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシル
アミド(1/1モル比)共重合体0.6g及び分岐オク
タデシルアルコール(FOC−1800,日産化学
(株)製)10gをアイソパーG1リットルに希釈する
ことにより静電写真用液体現像剤(LD−1)を得た。
【0264】液体現像剤(LD−1)を用い、現像電極
を有する現像装置で電極に+400Vのバイアス電圧を
印加し、露光部にトナーが電着するようにした反転現像
を行ない、次いでアイソパーH単独浴中でリンスをして
非画像部の汚れを除いた。次に、トナー画像を担持した
感光体上に転写層(T)の形成を行なった。
【0265】感光体ドラムの周速度を100mm/秒で回
転させ、感光体表面にスリット電着装置を用いて、下記
の電着用の樹脂(A)の分散液(L−1)を供給しなが
ら、感光体側を接地し、スリット電着装置の電極側に+
130Vの電圧を印加して樹脂粒子を電着した。次いで
エアースクイズで分散液を除き、赤外線ラインヒーター
にて皮膜化して転写層を形成した。膜厚は1.5μmで
あった。 樹脂(A)の分散液(L−1) 樹脂粒子(AR−3) 20g(固形分量として) 正荷電調節剤(CD−1) オクタデシルビニルエーテル/半マレイン酸 0.08g ドデシルアミド(1/1 モル比)共重合体 をアイソパーG(エッソ(株)製)1リットル中に加えて調製した。
【0266】つぎに平版印刷版用支持体30として電子
写真印刷原版(ELP−1X,富士写真フイルム(株)
製)用支持体を、表面温度を60℃に調節した感光体1
1のドラムと表面温度を100℃に調節した転写用バッ
クアップローラー及び25℃に設定された剥離用バック
アップローラーの間に導きニップ圧を5kgf/cm2 、ドラ
ム周速を50mm/秒として加熱と加圧を行ったところ、
トナー画像は転写層と共に支持体上にすべて転写した。
転写層と支持体表面との粘着力は1kg・f 以上であり、
定着性は充分であった。
【0267】得られた支持体上の転写画像を200倍の
光学顕微鏡で観察した所、細線・細文字の乱れ・ニジミ
がなく150線/インチの網点の再現性も良好でベタ部
の均一性も充分な優れた画像であった。トナー画像部の
転写層との粘着力は10g・fであった。
【0268】次に、トナー画像を有する転写層上に、縮
合型シリコンゴム(KS705F,信越シリコン(株)
製)6g、CAT- PS-1(信越シリコン(株)製)2
40mg、CAT- PD(信越シリコン(株)製)120
mg、酢酸ビニル/クロトン酸(99/1モル比)共重合
体2g及びヘプタン/テトラヒドロフラン(3/1重量
比)混合溶媒34gの溶液を一様にワイヤーバーで塗布
し、80℃で2分間加熱乾燥及び架橋を行い、シリコン
ゴムからなる非粘着性樹脂層(以下シリコンゴム層と称
することもある)を形成した。このときのシリコンゴム
層の厚みは2.12μmであった。非画像部の転写層と
シリコンゴム層との粘着力は500g・fであった。
【0269】次に、PSスポンジ(富士写真フイルム
(株)製)を用い、シリコンゴム層の上から全面に一様
に擦ることで、トナー画像部上のシリコンゴム層を選択
的に除去することができ、非画像部のパターン状にシリ
コンゴム層を残し、平版印刷版を作成した。
【0270】この印刷版を用い、印刷機(TOKO OFFSET
810L,東京航空計器(株)製)で、墨インキ(DRI-O-CO
LOR ,大日本インキ化学工業(株)製)にて、湿し水を
供給せずに印刷したところ、細線・細文字部に欠落のな
い鮮明な画像で、非画像部に地汚れの全くない良好な印
刷物を、3000枚以上得ることができた。また、実施
例1において、転写層(T)用の電着分散液中の樹脂粒
子(AR−3)20gに代えて、樹脂粒子(ARW−
7)20gを用いた他は実施例1と同様にして印刷版を
作成し、印刷した所、実施例1と同等の結果を得た。
【0271】次に、転写速度を50mm/秒から80m
m/秒と高速化した所、実施例1の転写層では、転写が
幾分不充分となった。他方、コア/シェル型粒子の(A
RW−7)を用いた転写層では100%転写が行われ、
支持体上の画像も歪み等の変形のない良好なものであっ
た。本発明では転写層の樹脂と非粘着性樹脂層に存在す
る樹脂とが両層の界面で充分に相互作用し、密着が充分
に保持されることが分かる。
【0272】比較例1 実施例1において、トナー画像を転写した支持体を温度
140℃で5分間加熱してトナー層を定着した。この時
のトナー画像部と転写層との粘着力は、250g・fで
あった。続いて、実施例1と同様の方法でシリコンゴム
層を形成した。シリコンゴム層の厚みは2.15μmで
あった。
【0273】実施例1と同様の条件で画像部のシリコン
ゴム層を除去し、印刷を行ったところ、画像部の着肉が
十分で無く、画像の再現性に乏しい印刷物しか得られな
かった。印刷版を走査型電子顕微鏡(JSM−T33
0,日本電子(株)製)で詳細に観察したところ、画像
部上のシリコンゴム層が充分に除去しきれていないこと
が判明した。スポンジによる擦り条件をより過酷なもの
にすることで画像部上のシリコンゴム層を充分に除去で
きたが、かかる条件では非画像部のシリコンゴム層に微
細なキズが多数生じ、印刷汚れが生じた。
【0274】比較例1において画像部のシリコンゴム層
の除去性が良好でなかったのは、非画像部の転写層表面
と定着したトナー画像部表面とのシリコンブム層に対す
る密着性の差が充分でなかったためと思われる。従っ
て、シリコンゴム層へのダメージを残さず、充分に画像
部のシリコンゴム層を除去するのは困難であり、たとえ
できたとしても非常に自由度の狭い条件となる。
【0275】これに対し実施例1では、画像部のトナー
は全くと言って良い程定着されておらず、シリコンゴム
層との見かけ上の密着性は皆無に等しい。従って、非画
像部のシリコンゴム層に全くダメージを与えることな
く、画像部のシリコンゴム層を容易に除去できる。 比較例2 実施例1において、転写層(T)をトナー画像形成後の
感光体表面上に設けない他は全く同様にしてトナー画像
を形成し、平版印刷版用支持体への接触転写を行なっ
た。得られた支持体上のトナー画像は欠落が著しく、複
写画像として実用に供し得るものではなかった。又感光
体上にはトナー残りが認められた。即ち、転写層を用い
ないで、非定着性のトナー画像を感光体上から完全に転
写することは不可能であった。 比較例3 実施例1の非粘着性樹脂層において、酢酸ビニル/クロ
トン酸共重合体を用いない他は同様にして印刷版を作成
した。実施例1と同様に画像部のシリコンゴム層の除去
を試みた所、非画像部のシリコンゴム層も部分的に剥れ
てしまい、画像部のみを選択的に除去することは不可能
であった。この様に、比較例3では、支持体上の転写層
とシリコンポリマーのみから成る非粘着性樹脂層との界
面での密着が不充分となり、非粘着性樹脂層に対する転
写層の粘着力と該非粘着性樹脂層に対するトナー画像部
の粘着力の差が不充分であったためと考えられる。
【0276】実施例2 有機光導電性物質として、4,4′−ビス(ジエチルア
ミノ)−2,2′−ジメチルトリフェニルメタン5g、
下記結着樹脂(B−3)6g、下記メチン色素(D−
1)40mg、化学増感剤として前記化合物(A)0.2
gを、メチレンクロライド30mlとエチレンクロライド
30mlとの混合物に溶解して感光層分散液とした。
【0277】
【化11】
【0278】この感光層分散液を、ワイヤーラウンドロ
ッドを用いて導電性透明支持体(厚さ100μmのポリ
エチレンテレフタレート支持体上に、酸化インジウムの
蒸着膜を有する。表面抵抗103 Ω)上に塗布した後、
温度70℃で2時間加熱して膜架橋を行ない約5μmの
感光層を形成した。この感光層の表面に紫外線硬化型シ
リコンゴム(TFC7700,東芝シリコン(株)製)
をワイヤーバーで塗布し、そこに高圧水銀灯(UM10
2,ウシオ電機(株)製)を5cmの距離から30秒間照
射した。表面層の厚みは0.6μmであった。得られた
感光体の表面粘着力は1g・fであった。
【0279】この様にして作成した感光体を図2に示す
様な装置に装着した。感光体の表面温度を50℃とし、
実施例1と同様にして感光体上にトナー画像を形成し、
リンス処理をした後、表面温度50℃のままの感光体表
面上に、下記樹脂(A)の分散液(L−2)を用いて実
施例1と同様に湿式電着塗布法で転写層を形成した。但
し、現像電極に150Vの電圧を印加した膜厚は2.0
μmであった。 ・樹脂(A)の分散液(L−2) 樹脂粒子(AR−1) 20g(固形分量として) 正荷電調節剤(D−1) 0.08g を全量で1リットルになる様にアイソパーGで調製した。
【0280】平版印刷版用支持体としてのOKマスター
(日本製箔(株)製)を感光体と120℃に調節した転
写用バックアップローラー及び25℃に調節した剥離用
バックアップローラーとの間にニップ圧8kgf/cm2 、転
写速度50mm/秒で通してOKマスター上に転写層及び
トナー画像を1括転写した。この様にしてOKマスター
上に形成された複写画像を200倍の光学顕微鏡を用い
て目視観察した。非画像部にはトナーによる地汚れは認
められなかった。またトナー画像及び転写層は感光体上
に転写残りすることなくすべて転写しており、10μm
の細線、150線/インチの網点の3%〜95%という
高精細な画像域も、太り・欠落あるいは曲がりを発生す
ることなく忠実に再現され、優れたものであった。
【0281】次に紫外線硬化型シリコンゴム(TFC7
70,東芝シリコン(株)製)をワイヤーバーで一様に
塗布し、高圧水銀灯(UM102,ウシオ電機(株)
製)を5cmの距離から30秒間照射した。シリコンゴム
層の厚みは2.2μmであった。非画像部分の樹脂(A
R−1)から成る転写層(T)と非粘着性樹脂層との粘
着力は400g・f以上で、充分に密着していた。トナ
ー画像部の非粘着性樹脂層との粘着力は8g・fであっ
た。
【0282】次に、シリコンゴム層の上から全面に一様
にブラッシングすることにより、画像部のシリコンゴム
層を選択的に除去し、非画像部のパターン状にシリコン
ゴム層を残し、平版印刷版を作成した。
【0283】この様にして得られた印刷版を用いて、実
施例1と同様の方法で印刷を行ったところ、画像部の着
肉・非画像部の汚れ性共に良好で高精細な印刷物を1万
枚以上得ることができた。他方、比較例として、転写層
を形成する樹脂粒子(AR−1)の代わりに、上記非粘
着性樹脂層のシリコンゴム(TFC770)と化学結合
する官能基を含有しない樹脂粒子(AR−2)を用いて
膜厚2μmの転写層を形成した他は実施例2と同様に操
作して印刷版を作成した。非画像部の樹脂粒子(AR−
2)から成る転写層(T)と非粘着性樹脂層との粘着力
は120g・fと小さく、密着性が不充分であった。こ
の印刷版を用いて印刷した所、刷り出しから非画像部に
汚れが生じてしまった。以上のことより、本発明の如
く、転写層と非粘着性樹脂層との密着性を充分に保持さ
せる手段を用いることによってのみ、汚れのない鮮明な
画像の印刷物が得られる。 実施例3 下記ビスアゾ顔料5g、テトラヒドロフラン95g及び
ポリエステル樹脂(バイロン200,東洋紡績(株)
製)5gの混合物をボールミル中で充分に粉砕した。こ
の混合物を取り出し、攪拌下にテトラヒドロフラン52
0gを加えた。この分散物をワイヤーラウンドロッドを
用いて実施例2で用いた導電性透明支持体上に塗布して
約0.7μmの電荷発生層を形成した。
【0284】
【化12】
【0285】下記ヒドラゾン化合物20g、ポリカーボ
ネート樹脂(レキサン121,GE社製)30g及びテ
トラヒドロフラン160gの混合溶液をワイヤラウンド
ロッドを用いて上記電荷発生層の上に塗布し、60℃で
30秒間乾燥し、更に温度100℃で20秒間加熱して
約18μmの電荷輸送層を形成し、2層から成る感光層
を有する電子写真感光体を得た。
【0286】
【化13】
【0287】この感光体上に、常温タックフリー型シリ
コン系粘着剤(TSR1520〔A〕,東芝シリコン
(株)製)30g、架橋剤(TSR1520〔B〕,東
芝シリコン(株)製)300mg及びヘプタン90gの混
合溶液をワイヤーバーで塗布した後、オーブンで125
℃で2分間加熱して膜厚5μmの表面層を形成した。感
光体の表面粘着力は2g・fであった。
【0288】以上の様にして得られた感光体を図3に示
す様な装置に装着した。−550Vに帯電し、予め原稿
からカラースキャナーにより読み取り、デジタル画像デ
ータとしてシステム内のハードディスクに記憶させてあ
った情報をもとに5mW出力のHe−Neレーザー(発
振波長633nm)を用いて、感光体表面上で25er
g/cm2 の照射量で露光した。下記の正荷電性液体現像
剤(LD−2)を用いて、バイアス電圧50Vを印加し
正現像を行い、アイソパーGでリンスを行った。 液体現像剤(LD−2)の調整 ニーダーに下記組成の混合物を100℃で2時間混練
し、混和物を得た。この混和物をニーダー内で冷却した
後、同じニーダー内で粉砕した。この粉砕物10gとア
イソパーH40gをペイントシェーカーで6時間分散し
分散物を得た。この分散物をトナー固形分が1リットル
当たり6gとなるようにアイソパーGで希釈し、同時に
正荷電調節剤としてナフテン酸ジルコニウム塩(CD−
2)を1リットル当たり0.1g含む様にして液体現像
剤(LD−2)を作成した。 混練用組成 エチレン/メタクリル酸共重合体 2g (ニュクレルN−699、三井デュポン社製) ポリ酢酸ビニル(ガラス転移点38℃) 0.8g アルカリブルー顔料 6g アイソパーL(エクソン社製) 30g トナー画像を担持した感光体表面上に、下記樹脂(A−
1)及び樹脂(A−2)の1/1重量比から成る混合物
を80℃に設定したホットメルトコーターにより20mm
/秒の速度で塗設し、冷却空気を吸排気ユニットから吹
きつけて冷却した後、感光体表面温度を60℃に保っ
た。転写層の厚みは2.0μmであった。
【0289】
【化14】
【0290】続けて、膜厚150μmのPETフィルム
を平版印刷版用支持体として感光体と表面温度が90℃
となる様に調節した転写用バックアップローラー及び温
度25℃に調節した剥離用バックアップローラーとの間
に、ニップ圧5kgf/cm2 、転写スピード50mm/秒で通
し、このPETフィルム上に転写層及びトナー画像を1
括転写した。
【0291】この様にしてPETフィルム上に形成され
た複写画像を200倍の光学顕微鏡を用いて目視観察し
た。非画像部にはトナーによる地汚れは認められなかっ
た。またトナー画像及び転写層は感光体上に転写残りす
ることなくすべて転写しており、20μmの細線、15
0線/インチの網点の3%〜95%という高精細な画像
域も、太り・欠落あるいは曲がりを発生することなく忠
実に再現し、優れたものであった。
【0292】次に、付加型シリコンゴム(KS774,
信越シリコン(株)製)6g、CAT−PL−4(信越
シリコン(株)製)180mg及びヘプタン34gの混合
溶液を、トナー画像を有するPETフィルムに一様にワ
イヤーバーで塗布し、90℃で2分間加熱乾燥及び架橋
を行い、シリコンゴム層を形成した。シリコンゴム層の
厚みは2.1μmであった。
【0293】非画像部の転写層とこの上に形成されたシ
リコンゴム層との密着性は充分で、粘着力は400g・
f以上であった。トナー画像部のシリコンゴム層との粘
着力は12g・fであった。
【0294】次に、ブラッシングで画像部分のシリコン
ゴム層の除去を行ない印刷版を作成した。印刷版のトナ
ー画像部を200倍の光学顕微鏡を用いて目視で観察し
た所、20μmの細線あるいは150線網点の3〜95
%が欠落もなく鮮明に形成されており、極めて高精細な
画像であった。
【0295】この印刷版を用いて印刷した所、印刷版上
の画像とほぼ同等の高精細な画像で、非画像部に地汚れ
の全くない優れた印刷物を5万枚以上得ることができ
た。このことは、非画像部で、転写層(T)の樹脂(A
−1)とシリコンゴム層との間で化学反応して化学結合
することにより両層間の密着が著しく向上し、その結
果、画像部との密着性と著しく異なることから、微細な
画像部分の除去が容易に行われ、実際に印刷しても高精
細な画像が得られ且つ耐刷性も向上したと考えられる。 実施例4 実施例3において、トナー画像が形成された感光体上へ
の転写層の形成に用いた熱溶融塗布法の代わりに、図4
に示すような装置を用いて離型紙からの転写法を行ない
転写層を形成した。
【0296】即ち、離型紙20として、セパレート紙
(王子製紙(株)製)を用い、この上に、下記樹脂(A
−3)及び樹脂(A−4)の1/2重量比から成る2.
5μmの膜厚で塗膜形成した紙を、感光体に圧接し、ロ
ーラー間圧力3kgf/cm2 、表面温度60℃及び通過スピ
ード50mm/秒の条件下で感光体表面上に膜厚2.5μ
mの転写層12Tを形成した。以降実施例3と同様に操
作して印刷版を作成し、印刷を行った。印刷物の画像及
び耐刷枚数は実施例3と同様の性能を示した。
【0297】
【化15】
【0298】実施例5 電子写真感光体として、アモルファスシリコン感光体
(京セラ(株)製)を用い、以下の様にして、この感光
体への剥離性付与を行なった。即ち、下記化合物(S−
1)1.0gをアイソパーG(エッソ(株)製)1リッ
トル中に溶解した溶液を入れた浴に上記感光体を浸漬し
た後、取り出し乾燥した。この様にして得られた感光体
の表面粘着力は、処理前は250g・fであったもの
が、3g・fに低下し良好な剥離性を示した。
【0299】
【化16】
【0300】この感光体を、図2に示す様な装置に装着
した。感光体を+700Vにコロナ帯電した後、あらか
じめ原稿からカラースキャナーにより読み取り、色分解
しシステム特有の幾つかの色再現に関わる補正を加えた
後、デジタル画像データとしてシステム内のハードディ
スクに記憶させてあった情報をもとに半導体レーザーを
用いて780nmの光で露光した。露光部の電位は+22
0Vで未露光部は+600Vであった。
【0301】続いて現像ユニットに組み込まれているプ
レバス装置によりアイソパーG(エッソスタンダード石
油製)にてプレバスをしたのち、下記の液体現像剤(L
D−3)を現像ユニットから感光体表面へ供給した。こ
の時現像ユニット側へ+500Vの現像バイアス電圧を
印加し、反転現像を行なって露光部にトナーが電着する
ようにした。次いでアイソバーG単独浴中でリンスをし
て非画像部の汚れを除き、吸排気ユニットにて乾燥し
た。
【0302】液体現像剤(LD−3)の調製 被覆用樹脂としてメチルメタクリレート/オクタデシル
メタクリレート(95/5重量比)共重合体(ガラス転
移点100℃)及び着色顔料としてカーボンブラック
(#40,三菱化学(株)製)を重量比1:1にて充分
に混合した後、150℃に加熱した三本ロールミルにて
溶融混練した。この混練物12g、スチレン/ブタジエ
ン共重合体(ソルプレン1205、旭化成(株)製)4
g及びアイソパーG76gよりなる混合物をダイノミル
に分散した。これによって得たトナー濃厚液を固形分濃
度が6g/リットルとなるようにアイソパーGにて希釈
し、更にジオクチルスルホコハク酸ソーダを1×10-4
モル/リットルとなるように添加して現像剤とした。
【0303】次に、感光体の表面温度を60℃とし、且
つ感光体ドラムの周速度を100mm/秒で回転させ、感
光体表面にスリット電着装置を用いて下記の樹脂(A)
の分散液(L−3)を供給しながら、感光体側を接地
し、スリット電着装置の電極側に+180Vの電圧を印
加して樹脂粒子を電着・定着した。転写層の膜厚は2μ
mであった。
【0304】 樹脂(A)分散液(L−3) 樹脂粒子(ARW−3) 20g (固形分量として) 正荷電調節剤(CD−2) 0.16g シリコーンオイル(KF−96,信越シリコーン(株)製) 5g をアイソパーG 1リットル中に加えて調製した。
【0305】続けて、感光体の表面温度を60℃とした
まま、感光体と温度90℃とした転写用バックアップロ
ーラー及び温度20℃とした剥離用バックアップローラ
ーとの間に、平版印刷版用支持体として、膜厚1μmの
イソプレンゴム層を塗設して成る膜厚100μmのSU
S−430板(川崎製鉄(株)製)をニップ圧4kgf/cm
2 、転写スピード50mm/秒で通して、支持体上に転写
層及びトナー画像を1括転写した。
【0306】トナー画像部と支持体上の転写層との粘着
力は10g・fと小さく非定着性の状態であり、支持体
と転写層との粘着力は800g・f以上であった。次
に、EPSON製小型インキジェットプリンターのヘッ
ド部と制御部に適当な搬送系、送液系を組み込んだ塗布
機を用い、紫外線硬化型シリコンゴム(UV9300,
東芝シリコン(株)製)6g、UV9310C(東芝シ
リコン(株)製)60mg及びヘプタン34gの混合溶液
を全面に塗布し、オンラインで高圧水銀灯(UM10
2,ウシオ電機(株)製)を3cmの距離から7秒間照射
し、膜厚2.5μmのシリコンゴム層を形成した。
【0307】実施例1と同様の方法で、画像部のシリコ
ンゴム層の除去、印刷を行ったところ、画像部の着肉・
非画像部の汚れ性とも実施例1と同等レベルの良好な印
刷物を5万枚以上得ることができた。 実施例6 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)1
g、下記結着樹脂(B−4)7.5g、下記化合物
(B)0.15g及びシクロヘキサノン80gの混合物
を、500mlのガラス容器にガラスビーズと共に入れ、
ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で60分間分
散し、更にこれに下記結着樹脂(B−5)1.5g、無
水フタル酸0.03g及びo−クロロフェノール0.0
02gを加えて2分間分散した後、ガラスビーズを濾別
して感光層分散液とした。
【0308】
【化17】
【0309】次いでこの分散液を脱脂処理を施した0.
2mm厚のアルミニウム板の上にワイヤーバーで塗布し、
指触乾燥した後、120℃循環式オーブンで30分間加
熱した。得られた感光層の膜厚は8μmであった。感光
体表面の粘着力は8g・fであった。上記感光層組成物
において、樹脂(B−7)を用いない他は同様にして作
成した感光体の表面粘着力は400g・f以上で全く剥
離性を示さなかった。
【0310】次に、実施例1と同様にして感光体上にト
ナー画像の形成を行なった。但し、液体現像剤(LD−
1)の代わりに、下記の正荷電性液体現像剤(LD−
4)を用いた。 液体現像剤(LD−4)の調整 ・着色分散樹脂粒子の合成 メチルメタクリレート45g、メチルアクリレート40
g、アクリル酸15g、下記の分散ポリマー18g及び
アイソパーH549gの混合溶液を窒素気流下に攪拌し
ながら温度60℃に加温した。
【0311】
【化18】
【0312】これに2,2′−アゾビスイソバレロニト
リル(A.I.V.N.)1.0gを加え4時間反応し、更にA.
I.V.N. 0.5gを加えて2時間反応し、更にA.I.V.N.
0.5gを加えて2時間反応した。次に、反応温度を
90℃に上げて30mmHgの減圧下で1時間攪拌し、未
反応の単量体を除去した。室温に冷却後、200メッシ
ュのナイロン布を通して濾過して白色分散物を得た。分
散物における単量体の反応率は98重量%で、CAPA
−500(堀場製作所製)で測定した樹脂粒子の平均粒
径は0.25μmであり、分散性も良好であった。樹脂
のTgは95℃であった。
【0313】次に上記分散物に塩基性染料としてビクト
リアブルーB 20gを加えて攪拌下温度100℃で4
時間加熱した後、冷却し、1日静置した。200メッシ
ュのナイロン布を通して青色分散物を得た。得られた着
色粒子の平均粒径は0.25μmで変化はなかった。 ・液体現像剤の調整 上記青色分散物6g(固形分量として)、正荷電調節剤
(CD−1)0.07gをアイソパーGに加えて全量を
1リットルに調整した。
【0314】感光体の表面温度を55℃とした後、実施
例1と同様にして下記の樹脂(A)の分散液(L−4)
を用いて膜厚2.5μmの転写層を形成した。 樹脂(A)の分散液(L−4) 樹脂粒子(ARW−1) 20g (固形分量として) 正荷電調節剤(CD−1) 0.09g 荷電付与補助剤 1g
【0315】
【化19】
【0316】をアイソパーG 1リットル中に加えて調
製した。続けて、表面温度55℃としたままの感光体と
温度120℃とした転写用バックアップローラー及び温
度調節をしないままの剥離用バックアップローラーとの
間に、平版印刷用支持体として膜厚150μmのアルミ
ニウム板をニップ圧5kgf/cm2 、転写スピード50mm/
秒の条件で通過させ剥離用バックアップローラーで剥離
し、転写層とトナー画像を支持体上に一括転写した。感
光体上に転写残りは認められなかった。トナー画像部と
支持体上の転写層との粘着力は10g・fであり、支持
体と転写層との粘着力は800g・fであった。
【0317】支持体上に形成された複写画像は、12μ
mの細線、明朝文字の5級以上、150線/インチの網
点部の4〜95%域等の高解像域及び高精細域において
も欠落・歪み等は認められず極めて良好なものであっ
た。
【0318】このようにして得られたトナー画像を有す
る転写層上に下記のプロセスでシリコンゴム層を全面一
様に形成した。表面をポリ酢酸ビニルで処理した100
μm厚のPETフィルム(富士写真フイルム(株)製)
に、剥離紙用付加型シリコンゴム(X56−A573
0,東芝シリコン(株)製)6g及びヘプタン36gの
混合溶液をワイヤーバーで塗布し、90℃で2分間乾燥
して、ドナーシート(DS−1)を作成した。シリコン
ゴム層の膜厚は2.2μmであった。
【0319】一方、トナー画像を有する転写層上に、架
橋剤(CM620,東芝シリコン(株)製)をワイヤー
バーで30μg/cm2 となるように塗布した。次いで、
これに上記ドナーシート(DS−1)を塗布面が重なり
合うように貼り付けてローラー間を通して、印刷版用支
持体上へシリコンゴム層を転写した。このとき、ローラ
ー圧を5kgf/cm2 、ローラー温度を上下共に90℃、搬
送速度を40cm/分に設定した。続いて、ドナーシート
のPETフィルムのみを剥がすとシリコンゴム層が支持
体上に形成されていた。実施例1と同様にして画像部の
シリコンゴム層の除去及び印刷を行ったところ、高精細
な画像で非画像部に汚れのない良好な印刷物を3万枚以
上得ることができた。 実施例7 実施例6と同様にして、アルミニウム板上に転写層及び
トナー画像を転写した。このトナー画像を有する転写層
上に、下記ドナーシート(DS−2)のシリコンゴム面
が重なるようにしてローラーで貼り付けた。このとき、
ローラー圧を5kg/cm2、ローラー温度を上下共に110
℃、搬送速度を20cm/分に設定した。
【0320】ドナーシート(DS−2)の作成 表面をポリ酢酸ビニルで処理した100μm厚のPET
フィルム(富士写真フイルム(株)製)に、付加型シリ
コンゴム(KS774,信越シリコン(株)製)6g、
CAT- PL-4(信越シリコン(株)製)180mg及び
ヘプタン34gの混合溶液をワイヤーバーで塗布し、9
0℃で2分間加熱乾燥及び架橋を行いシリコンゴム層を
形成した。このときのシリコンゴム層の厚みは2.0μ
mであった。
【0321】次にドナーシートの支持体(PETフィル
ム)を、150度の方向に10cm/分の速さで引き剥が
したところ、非画像部のシリコンゴム層は印刷版用支持
体上に転写形成され、他方画像部のシリコンゴム層はド
ナーシート支持体上にそのまま残存した。
【0322】即ち、ドナーシートのPETフィルムを剥
がすと、非画像部ではシリコンゴム層が転写層と接着し
て印刷版用支持体上に形成され、他方トナー画像部はト
ナーによりマスクされた形になっているので、実質上シ
リコンゴム層は密着しておらず、容易にドナーシート剥
離時にPETフイルムの表面に密着したまま剥離され
る。
【0323】この印刷版を用いて実施例1と同様の方法
で印刷したところ、鮮明な画像で非画像部に汚れのない
良好な印刷物を5万枚以上得ることができた。また、印
刷物の細線や文字などの輪郭は、実施例6の印刷物に比
較してよりシャープであった。これはシリコンゴム層を
擦ることで画像部エッジのシリコンゴム層が斜めに削ら
れる現象が、本実施例のピールアパート法では起こらな
いためであることが電子顕微鏡による観察等によって明
らかとなった。
【0324】実施例8〜17 実施例2において、転写層(T)形成用の樹脂粒子(A
R−1)の代わりに、表−Dに示す各樹脂粒子を用いた
他は同様にして印刷版を作成し、印刷を行なった。
【0325】
【表4】
【0326】各実施例において、実施例2と同等の細線
・細文字等の高解像度域の欠落・乱れ及び網点中間調部
の高精細画像域の網点の欠落・乱れのない極めて良好な
印刷画像を有する印刷物が1万枚以上得られた。 実施例18 実施例5において、電着塗布法の代わりに下記のインク
ジェット法により転写層を形成した。
【0327】樹脂粒子(ARW−6)の20重量%アイ
ソパーL分散液をインクカートリッジに充填し、オリフ
ィス径30μmのヘッドの128個ノズルから成るバブ
ルジェット装置を用いて膜厚2μmの転写層を形成し
た。実施例5と同様の方法で平版印刷版用支持体上に転
写した後、以下の様にしてシリコンゴム層を設けた。
【0328】下記シリコンゴムベースポリマー(SB−
1)9g、下記架橋剤(SV−1)400mg、触媒X9
2−1114(信越シリコン(株)製)40mg及びヘプ
タン60gの混合液を一様にワイヤーバーで塗布し、9
0℃で2分間加熱乾燥及び架橋を行い、シリコンゴム層
を形成した。このときのシリコンゴム層の厚みは2.2
1μmであった。
【0329】
【化20】
【0330】実施例5と同様の方法で画像部のシリコン
ゴム層の除去、印刷を行ったところ、鮮明な画像で非画
像部に地汚れのない良好な印刷物が5万枚以上得られ
た。 実施例19 実施例2において、非粘着性樹脂層として下記のシリコ
ン樹脂層を設けた他は同様に実施した所、実施例2と同
等の良好な印刷物を1万枚以上得ることができた。
【0331】下記シリコンゴムベースポリマー(SB−
2)5g及び下記シリコンポリマー5g、前記架橋剤
(SV−1)400mg、触媒X92−1114(信越シ
リコン(株)製)40mg及びヘプタン60gの混合液を
一様にワイヤーバーで塗布し、90℃で2分間加熱乾燥
及び架橋を行い、シリコンゴム層を形成した。このとき
のシリコンゴム層の厚みは2.21μmであった。
【0332】
【化21】
【0333】また、転写層として樹脂粒子(AR−1)
の代わりに樹脂粒子(ARW−2)を用いても同等の結
果が得られた。 実施例20 実施例1において、転写層及び非粘着性樹脂層を下記の
通り代えた他は同様にして印刷版を作成した。 転写層の構成 樹脂(A)分散液(L−1)において、樹脂粒子(AR
−3)20g(固形分量として)の代わりに、樹脂粒子
(AR−8)20g(固形分量として)を用いた他は実
施例1と同様に行なった。転写後の膜厚は2.0μmで
あった。 非粘着性樹脂層の形成 下記シリコンゴムベースポリマー(SB−3)5g及び
下記シリコンポリマー5g、前記架橋剤(SV−1)4
00mg、触媒X92−1114(信越シリコン(株)
製)40mg及びヘプタン60gの混合液を一様にワイヤ
ーバーで塗布し、90℃で2分間加熱乾燥及び架橋を行
い、シリコンゴム層を形成した。このときのシリコンゴ
ム層の厚みは2.50μmであった。
【0334】
【化22】
【0335】実施例1と同様の方法で印刷を行ったとこ
ろ、鮮明な画像で非画像部に地汚れのない良好な印刷物
が3千枚以上得られた。
【0336】
【発明の効果】本発明によれば、低出力のレーザー光ス
キャニング露光方式に適用可能で、製版画質及び印刷画
質が優れ、更に高耐刷性を有する電子写真式水無し平版
印刷版を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための概略図である。
【図2】転写層形成に電着塗布法を採用した、本発明の
方法を実施するための装置の一例を示す図である。
【図3】転写層形成に熱溶融塗布法を採用した、本発明
の方法を実施するための装置の一例を示す図である。
【図4】転写層形成に離型紙からの転写法を採用した、
本発明の方法を実施するための装置の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 感光体支持体 2 感光層 5 トナー画像 6 非粘着性樹脂層 10 化合物(S)適用装置 11 感光体 12T 転写層 13a 電着ユニット 13b ホットメルトコーター 13c ホットメルトコーター待機位置 14 液体現像ユニットセット 14T 液体現像用ユニット 14R リンス用ユニット 15 吸排気ユニット 15a 吸気部 15b 排気部 16 平版印刷版用支持体 17 平版印刷版用支持体への転写ユニット 17a 加熱手段 17b 転写用バックアップローラー 17c 剥離用バックアップローラー 18 コロナ帯電装置 19 露光装置 20 離型紙 117 感光体上への転写ユニット 117b加熱ローラー 117c冷却ローラー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真感光体表面に、電子写真プロセ
    スにより液体現像剤を用いて非定着トナー画像を形成
    し、トナー画像を担持した感光体の全面に熱可塑性樹脂
    (A)を主として含有する剥離可能な転写層(T)を設
    け、転写層及びトナー画像を平版印刷版用支持体上に接
    触転写し、更に転写層(T)の全面に、該転写層(T)
    表面に対する接着力が、該トナー画像に対する接着力よ
    りもJISZ0237-1980の「粘着テープ・粘着シート試験方
    法」に基づいて測定した粘着力で180gram・force 以
    上大きい非粘着性樹脂層を設けた後、トナー画像上の非
    粘着性樹脂層を選択的に除去することを特徴とする電子
    写真式水無し平版印刷版の作成方法。
  2. 【請求項2】 トナー画像と非粘着性樹脂層との接着力
    がJIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘着シート試験方
    法」に基づいて測定した粘着力で20gram・force 以下
    であり、非粘着性樹脂層と転写層(T)の表面との接着
    力が同粘着力で200gram・force 以上であることを特
    徴とする請求項1記載の電子写真式水無し平版印刷版の
    作成方法。
  3. 【請求項3】 トナー画像上の非粘着性樹脂層を乾式手
    段で除去することを特徴とする請求項1又は2記載の電
    子写真式水無し平版印刷版の作成方法。
  4. 【請求項4】 転写層(T)が、転写層(T)と非粘着
    性樹脂層との界面で化学結合し得る反応性基を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子
    写真式水無し平版印刷版の作成方法。
  5. 【請求項5】 電子写真感光体の表面の剥離性が、JIS
    Z0237-1980の「粘着テープ・粘着シート試験方法」に基
    づいて測定した表面粘着力で20gram・force 以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電
    子写真式水無し平版印刷版の作成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006222157A (ja) * 2005-02-08 2006-08-24 Sumitomo Rubber Ind Ltd 電極印刷法および該電極を備えた電極板

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006222157A (ja) * 2005-02-08 2006-08-24 Sumitomo Rubber Ind Ltd 電極印刷法および該電極を備えた電極板
JP4630683B2 (ja) * 2005-02-08 2011-02-09 住友ゴム工業株式会社 電極印刷法および該電極を備えた電極板

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