JPH09196788A - 差圧伝送器及び圧力伝送器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】差圧伝送器及び圧力伝送器受圧部の溶接接合部
の圧力に対する機械的強度の信頼性と耐食性の向上を図
る。 【解決手段】プロセス圧力導入口を備えた本体部１にセ
ンサを備えたセンサハウジング２を溶接接合し、その同
軸上部に圧力をセンサへ伝えるためのシールダイアフラ
ム７を設ける。その空間に、圧力伝達媒体６を封入す
る。さらに、シールダイアフラム７の同軸上部にシール
ダイアフラム７へプロセス圧力を伝えるためのプロセス
圧力室１０を栓８を本体部１に溶接接合して設ける。こ
こで、栓接合部９を本体部１の内側に設ける。また、セ
ンサハウジング上下端部接合部４，５の形状を、つば付
き形状とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、差圧伝送器及び圧
力伝送器に係り、特に、差圧伝送器・圧力伝送器圧力受
圧部の栓，固定金具の接合、及び圧力伝送器のセンサハ
ウジングの接合に関する。

【０００２】

【従来の技術】差圧・圧力伝送器は、圧力計測するもの
であるので、計測圧力により受圧部内部も計測圧力同等
の圧力が負荷される構造である。

【０００３】従来の差圧伝送器の受圧部構造は、特開平
6−194247 号公報の図１に記載されているように、セン
サハウジングを受ける座面を持つ本体部にセンサハウジ
ングが組み込まれ両端で溶接接合され、その同軸上に過
大圧保護機能を有すセンタダイアフラムが溶接接合され
第１の隔離室が形成され、さらに固定金具が組み込まれ
接合されて第２の隔離室が構成されている。

【０００４】また、センサ方向の垂直方向にはプロセス
圧力をセンサへ介すためのシールダイアフラムが両側に
接合されており、シールダイアフラムと隔離室，センサ
間はそれぞれ圧力通路にて結ばれており、内部には圧力
伝達媒体（シリコンオイル）が封入されている。さら
に、プロセス圧力をシールダイアフラムへ伝えるため
に、栓をメタルフロー接合により本体部に組み込みプロ
セス圧力室を構成しており、栓及び固定金具と本体部間
に圧力が浸入する構造となっている。

【０００５】また、圧力伝送器の受圧部構造は、差圧伝
送器の受圧部構造の両側のプロセス圧力室２箇所がなく
本体部材のままで、センタダイアフラムと固定金具とで
構成される第２の隔離室をプロセス圧力室と見なし、セ
ンサ軸方向垂直に二つの圧力導入口を設け、センタダイ
アフラムをシールダイアフラムに置き換えたものと同一
である。この構造は、固定金具の部分が本体部へねじ込
まれ大気側端部で溶接接合されているため固定金具と本
体部間に圧力が浸入し、そのうえプロセス圧力の影響が
シールダイアフラムを介してセンサハウジングに直接伝
わる構造となっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】差圧伝送器・圧力伝送
器の受圧部において、繰り返し負荷で疲労破損しやすい
接合部の強度信頼性の確保が最も重要である。伝送器に
おいて、直接プロセス圧力による影響を受ける接合部
は、差圧伝送器については、栓及び固定金具と本体部の
接合部分であり、圧力伝送器では、栓及びセンサハウジ
ングと本体部との接合部がそれぞれ挙げられる。

【０００７】問題の１点目である栓及び固定金具と本体
部の接合部分については、本体部大気側端部にて栓及び
固定金具を接合しているため、栓及び固定金具と本体部
との両者のすき間にプロセス圧力（最大４９ＭＰａ）が
浸入する。そのため、接合先端部を中心とし、両者を押
し広げる変形をするため接合部へ応力が集中し接合部を
破損させる問題がある。また、プロセス圧力の媒体は腐
食性の高いものもあるので、その媒体が栓と本体部との
両者のすき間に浸入し腐食する問題もある。

【０００８】問題の２点目であるセンサハウジングと本
体部との接合部分については、直接センサハウジングへ
シールダイアフラムを介してプロセス圧力が伝達される
構造であるので、本体部の座面で受け止められていても
高い圧力によりセンサハウジングは変形（変位）する。
この変形に追従できない接合部に応力が集中し破損する
問題がある。

【０００９】本発明は、このように高い圧力が接合部及
び接合部近くに印加されることによる接合部への影響
（応力集中）の低減改善と構造形状で耐腐食性の向上を
図るものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、スペース的に狭くても容易に接合できる溶接技術を
用いる。

【００１１】まず１点目である差圧伝送器・圧力伝送器
の栓及び固定金具と本体部の接合部については、接合位
置を栓及び固定金具の大気圧側からプロセス圧力室側端
部、あるいは隔離室端部へ変更し、栓及び固定金具と本
体部との両間にプロセス圧力室側、あるいは隔離室側か
らの圧力浸入するすき間がないようにし、かつ溶接部に
ついてもすき間のないような溶接を施す。この様に、栓
及び固定金具と本体部間のプロセス圧力室側、あるいは
隔離室側のすき間を完全になくする構造とすることで、
プロセス圧力による両者の接合部先端を支点とする両者
の変形がなくなり、接合部への応力集中を防止すること
ができる。また、栓の接合部ではすき間腐食に対する耐
腐食性の向上が図れる。圧力に対する強度は、栓形状と
溶接の溶け込み深さを考慮すれば問題はない。

【００１２】また、２点目の圧力伝送器におけるセンサ
ハウジングと本体部との接合部は、本体部の接合部をつ
ばを付けた形状とし、接合部の剛性を低くしセンサハウ
ジングの変形・変位に追従する構造とする。

【００１３】以上の手段で、大きな設計変更することな
く接合部に発生する応力の低減，接合部の強度信頼性向
上，製品耐腐食性の向上が得られ、かつ単純形状なので
部品加工形状が簡略化でき、コンパクト化や低価格化等
の市場ニーズへの対応に有効である。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下に一実施例を図面を参照して
説明する。

【００１５】図１は本発明の接合形状を用いた圧力伝送
器受圧部の断面図である。

【００１６】圧力センサ２を内蔵したセンサハウジング
３を受ける座面を持つ本体部１へセンサハウジング３を
組み込み、その座面で位置決めし、センサハウジング３
と本体部１をセンサハウジング上端部接合部４とセンサ
ハウジング下端部接合部５で溶接接合している。そのセ
ンサハウジング３の同軸上部にプロセス圧力をセンサへ
介すシールダイアフラム７が本体部１に溶接接合されて
おり、その空間に圧力伝達媒体（シリコンオイル）６が
封入されている。さらに、シールダイアフラム７の上部
にプロセス圧力導入口１１よりプロセス圧力をシールダ
イアフラム７へ伝えるためのプロセス圧力室１０をシー
ルダイアフラム７の上部で栓８を本体部１の栓接合部９
で溶接する。この圧力伝送器で、センサハウジング上端
部接合部４，センサハウジング下端部接合部５の２箇所
の接合部は、溶接部剛性を低減するため本体部１のセン
サハウジング上端部接合部４とセンサハウジング下端部
接合部５の部分に加工を加える。センサハウジング上端
部接合部４は、従来の本体部１のその上下に同一深さの
溝を全周に入れ、センサハウジング下端部接合部５は、
上部に溝を入れることでつばを付けた形状を構成してい
る。こうすることで、図３に示す様にセンサハウジング
３のプロセス圧力による変形（変位）全体を本体部１の
座面で受けとめ、溶接接合部はその変形に追従する構造
とする。このため、センサハウジング上端部接合部４と
センサハウジング下端部接合部５の溶接接合部は、変形
により応力集中することはなくなり、繰り返し圧力に対
する強度を確保できる。

【００１７】また、図１の栓接合部９では、従来は図５
に示すように本体部１の大気側の栓８端部で溶接接合さ
れており、プロセス圧力室１０側から栓８と本体部１の
両間にプロセス圧力が浸入し、栓接合部９の先端部では
開くような変形をするため栓接合部９に応力が集中する
構造であった。

【００１８】本発明では、図４に示すように、栓８と本
体部１との両間にプロセス圧力室１０側からプロセス圧
力が浸入しないよう栓８のプロセス圧力室１０側の栓８
端部の栓接合部９にて溶接している。この栓接合部９で
は、プロセス圧力室１０側から接合部先端にプロセス圧
力が浸入しないようプロセス圧力室１０側にすき間のな
い溶接を施している。こうすることで、栓接合部９では
開くような栓８と本体部１の変形が防止できるため繰り
返し圧力に対する強度を確保でき、かつプロセス圧力媒
体の浸入するすき間がプロセス圧力室１０内にないので
耐食性の向上が得られる。

【００１９】さらに、従来より栓接合部９の位置が本体
部１の内側（中心より）になるため、本体部１全体の剛
性向上と本体部１のプロセス圧力受圧面積の低減による
本体部１のプロセス圧力による変形の低減と、栓接合部
９のプロセス室１０側のみの適切な接合深さによる接合
時のひずみ防止により、センサ２における変形が加わる
ことがないため、センサ２による測定精度が向上され
る。

【００２０】また、栓８は、厚肉円筒形とし、栓接合部
９は、接合時に溶接部幅程度となるようなつばを付けた
形状の栓８と本体部１としている。つばの厚みは、溶接
溶け込み量と同等としている。これにより、栓８と本体
部１の加工性，栓８の接合時の生産性，栓８自体のプロ
セス圧力に対する剛性の向上が得られ、かつ栓接合部９
の過剰溶接防止，溶接残留応力の低減が得られる。さら
に、図１に示すセンサハウジング上端部接合部４及びセ
ンサハウジング下端部接合部５，栓接合部９は、有限要
素法による解析によればセンサハウジング上端部接合部
４，栓接合部９で、従来品に対し約４３％の応力を低減
できる形状である。これによって、繰り返し疲労強度が
向上しているので脈動しているプロセス圧力（最大４９
ＭＰａ）を常時計測可能としている。

【００２１】本発明を利用した別の実施例として、図２
に示す差圧伝送器の構造について説明する。

【００２２】差圧センサ２を内蔵したセンサハウジング
３を受ける座面を持つ本体部１へセンサハウジング３を
組み込み、その座面で位置決めし、センサハウジング３
と本体部１をセンサハウジング上端部接合部４とセンサ
ハウジング下端部接合部５で溶接接合している。そのセ
ンサハウジング３の上部に過大圧防止の機能と隔離室１
５を上下に分けるセンタダイアフラム１２が本体部１に
接合され、さらに上部には大気と隔離室１５を分けるた
め固定金具１３が固定金具接合部１４にて接合され二つ
の隔離室１５が構成されている。

【００２３】また、プロセス圧力を差圧センサ２へ介す
シールダイアフラム７が本体部１左右２箇所センサ軸方
向の垂直方向に溶接接合されており、本体部１にはシー
ルダイアフラム７の変形を受ける座面１６とで圧力室１
７が構成されて、隔離室１５，圧力室１７はそれぞれ圧
力通路１８で結ばれており内部には圧力伝達媒体６が封
入され、本体部１は二つの空間を構成する構造となって
いる。さらに、シールダイアフラム７の同軸上部にプロ
セス圧力導入口１１よりプロセス圧力をシールダイアフ
ラム７へ伝えるためのプロセス圧力室１０をシールダイ
アフラム７の上部で栓８を本体部１の栓接合部９で接合
され構成される。この差圧伝送器の栓８と固定金具１３
の接合部では、圧力伝送器の栓８と同様な接合を行って
いる。二つの栓８は、栓接合部９で本体部１と図４に示
す様に溶接されており、栓８と本体部１との間にプロセ
ス圧力室１０側からプロセス圧力が浸入しない構造と
し、かつプロセス圧力室１０側から栓接合部９先端部に
すき間のない溶接を施している。

【００２４】また、固定金具１３の固定金具接合部１４
でも、隔離室１５側から圧力伝達媒体６による圧力を固
定金具１３の固定金具接合部１４に浸入させない溶接を
し、かつ隔離室１５側の固定金具接合部１４の先端部に
すき間のない溶接を実施している。これにより、栓接合
部９及び固定金具接合部１４の先端部を支点とする栓８
及び固定金具１３と本体部１の変形が防止できるため、
接合部の繰り返し圧力に対する強度を確保でき、栓８で
はプロセス圧力室１０内にすき間がないため、すき間腐
食に対する耐食性が向上する。さらに、従来より栓接合
部９及び固定金具接合部１４の位置が本体部１の内側
（中心より）になるため、本体部１全体の剛性向上と本
体部１のプロセス圧力受圧面積及び本体部１内部圧力の
受圧面積の低減による本体部１のプロセス圧力影響，内
部圧力影響の低減と、栓接合部９，固定金具接合部１４
のプロセス室１０及び隔離室１５側のみの適切な接合深
さによる接合時のひずみ防止によりセンサ２による測定
精度が向上される。

【００２５】また、栓８及び固定金具１３は、厚肉円筒
形とし、栓接合部９と固定金具接合部１４は、それぞれ
の接合時に溶接部幅程度となるようなつばを付けた形状
の栓８，固定金具１３，本体部１としている。それぞれ
のつばの厚みは、溶接溶け込み量と同等としている。こ
れにより、栓８，固定金具１３と本体部１の加工性，栓
８，固定金具１３の接合時の生産性，栓８のプロセス圧
力に対する剛性，固定金具１３自体の内部圧力（プロセ
ス圧力以下）に対する剛性の向上が得られ、かつ栓接合
部９，固定金具接合部１４の過剰溶接防止，溶接残留応
力の低減が得られる。

【００２６】

【発明の効果】高い圧力を計測する差圧伝送器・圧力伝
送器は、常時高い圧力の負荷、あるいは繰り返し負荷を
受けた状態で稼働する場合がある。この負荷により、接
合部に発生する応力集中を、本発明を使用することで、
防止することができる。そのため、繰り返し疲労に対す
る強度，信頼性向上が図れ、繰り返し圧力が印加される
使用環境（プロセス）に安心して伝送器を使用すること
ができる。さらに、接合部にプロセス媒体の浸入するす
き間がなくなるため、すき間腐食に対する耐久性が向上
する。

【００２７】また、本体部あるいは栓，固定金具の加工
形状は単純形状であるので加工性が良い。栓及び固定金
具の組み込みは溶接作業だけであるので生産性の向上も
図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の接合形状を用いた圧力伝送器受圧部の
断面図。

【図２】本発明の接合形状を用いた差圧伝送器受圧部の
断面図。

【図３】本発明の接合形状を用いたセンサハウジング接
合部の断面図。

【図４】本発明の接合形状を用いた栓及び固定金具接合
部の断面図。

【図５】従来の栓及び固定金具接合部の断面図。

【符号の説明】

１…本体部、２…センサ、３…センサハウジング、４…
センサハウジング上端部接合部、５…センサハウジング
下端部接合部、６…圧力伝達媒体、７…シールダイアフ
ラム、８…栓、９…栓接合部、１０…プロセス圧力室、
１１…プロセス圧力導入口。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧力センサを内蔵したセンサハウジング
   と、前記センサハウジングを受ける座面を持ち、前記座
   面で位置決めされ上下両端で溶接接合された前記センサ
   ハウジングを内蔵する本体部と、前記本体部に接合され
   たプロセス圧力を介すシールダイアフラムと、前記シー
   ルダイアフラムの内側の空間に封入された圧力伝達媒体
   と、前記本体部に接合することによりプロセス圧力を前
   記シールダイアフラムへ伝えるためのプロセス圧力室を
   形成する栓を有する圧力伝送器において、前記栓と前記
   本体部との接合に溶接を用い、前記プロセス圧力室側か
   らのプロセス圧力が溶接接合部へ浸入しないように、前
   記プロセス圧力室側の溶接接合部にすき間のない溶接形
   状としたことを特徴とする圧力伝送器。
2. 【請求項２】請求項１において、前記栓の周囲を前記プ
   ロセス圧力室側の位置で接合した圧力伝送器。
3. 【請求項３】請求項１において、前記栓の形状を厚肉円
   筒形にした圧力伝送器。
4. 【請求項４】請求項１において、前記栓が前記本体部の
   栓接合部の位置で位置決めされ、前記本体部，前記栓と
   も溶接突き合わせ部を、つばを付けた形状とした圧力伝
   送器。
5. 【請求項５】請求項１において、前記本体部と前記セン
   サハウジングの溶接接合部に変形吸収部を有する圧力伝
   送器。
6. 【請求項６】請求項１において、前記本体部と前記セン
   サハウジングの溶接接合部の前記本体部側の接合部形状
   につばを付けた形状とした圧力伝送器。
7. 【請求項７】差圧センサを内蔵し、前記差圧センサへ圧
   力を伝達する媒体を封入した隔離室を有する本体部と、
   前記本体部と接合することにより前記隔離室を二分する
   センタダイアフラムと、前記本体部と接合することによ
   り前記隔離室について外気と気密をとる固定金具と、前
   記本体部と接合することにより前記媒体とプロセス流体
   を隔てるシールダイアフラムと、プロセス圧力導入口よ
   りプロセス圧力をシールダイアフラムへ伝えるためのプ
   ロセス圧力室を形成する栓とを有する差圧伝送器におい
   て、前記本体部と前記栓の接合に溶接を用い、前記プロ
   セス圧力室側からの圧力が溶接接合部へ浸入しないよう
   に、前記プロセス圧力室側の溶接接合部にすき間のない
   溶接形状とし、また固定金具と前記本体部の接合に溶接
   を用い、前記隔離室側からの圧力伝達媒体の圧力が溶接
   接合部へ浸入しないように、前記隔離室側の溶接接合部
   にすき間のない溶接形状としたことを特徴とする差圧伝
   送器。
8. 【請求項８】請求項７において、前記栓の周囲を前記プ
   ロセス圧力室側の位置で接合し、また固定金具周囲を隔
   離室側の位置で接合した差圧伝送器。