JPH09196036A - ファスナー - Google Patents

ファスナー

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JPH09196036A
JPH09196036A JP725096A JP725096A JPH09196036A JP H09196036 A JPH09196036 A JP H09196036A JP 725096 A JP725096 A JP 725096A JP 725096 A JP725096 A JP 725096A JP H09196036 A JPH09196036 A JP H09196036A
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JP
Japan
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tubular member
hole
diameter
fastener
axial direction
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JP725096A
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English (en)
Inventor
Katsuo Ito
勝夫 伊藤
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Koyo Kizai Co Ltd
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Koyo Kizai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 締結作業が簡単で、締結強度を向上できるフ
ァスナーを提供する。 【解決手段】 ファスナーとしてのリベット1は、筒部
3と大径部4を有する。筒部3の外周面には周方向に所
定の間隔を隔てて複数の軸方向溝5が形成されている。
連通孔4Aと貫通孔3Bに軸部材2が挿通される。軸部
材2は末広がり大径部10を有する。工具18を用い
て、軸部材2が筒部3に対して軸方向に相対移動するよ
うに軸部材2を引っぱることによって、筒部3の溝5が
裂けて、厚肉部17が放射状湾曲形状になされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、2つの板部材を
締結するためや、コンクリートにボルトを固定するのに
用いられるファスナーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のファスナーとしては、図
10に示すリベット21がある。図10(C)に示すよう
に、このリベット201は、2つの板部材202と20
3を締結するものである。図10(B)に示すように、締
結前には、このリベット201は軸方向に真っすぐに延
びている筒部205と、この筒部205の軸方向の端に
一体になっている頭部206を備えている。そして、上
記筒部205には、図10(A)に示すような、切り開き
工具207が挿通される。この切り開き工具207は、
輪付き球形の先端部210と、軸方向に所定の寸法だけ
延びている切刃208が周方向の複数の箇所に形成され
ている軸部211とを有している。
【0003】そして、図10(B)に示した状態で、上記
リベット201の筒部205を、板部材202,203
の貫通孔202a,203aに挿通し、次に、上記切り
開き工具207をリベット201に対して軸方向に移動
させる。この移動によって、上記切刃208で上記筒部
205を軸方向に切り裂いて軸方向切れ目を形成すると
同時に、図10(C)に示すように、上記球形の先端部2
10で切り裂いた部分205a,205aを放射状に押
し広げる。そして、上記リベット201のフランジ部2
06と、上記放射状に押し広げられた部分205a,2
05aとによって、2つの板部材202と203を締結
することができる。
【0004】したがって、このリベット201は、作業
者が板部材202,203のフランジ部206側から工
具207を引っ張るだけで締結作業を完了することがで
きる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
リベットでは、切刃208で筒部205を切り裂くこと
ができるように、筒部205をアルミニウム合金製にし
なければならない。したがって、締結強度が不足すると
いう問題がある。また、切り開き工具207が切刃20
8を有する必要があるから、工具207が高価になると
いう問題もある。
【0006】そこで、この発明の目的は、作業者が被締
結部材の片側で作業するだけで締結作業を完了できる上
に、締結強度を向上できるファスナーを提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明のファスナーは、軸方向の一端から
他端に向かって軸方向に延在すると共に、周方向に所定
の間隔を隔てて複数形成された溝またはスリットを有す
る筒部材と、上記筒部材の貫通孔に連通する連通孔を有
して、上記筒部材の軸方向の他端に固定された頭部とを
備えていることを特徴としている。
【0008】請求項1の発明によれば、上記頭部の連通
孔,上記筒部材の貫通孔に軸部材が挿通される。この軸
部材の軸方向の一端には、末広がり大径部が固定されて
いる。この末広がり大径部は、上記軸部材の一端から軸
方向に向かって末広がり形状になっていて軸方向の端が
筒部材の貫通孔よりも大径になっている。
【0009】次に、この軸部材が挿通された状態の上記
ファスナーの筒部材は、被締結部材に穿孔された孔に挿
入される。この穿孔された孔は、上記筒部材と略同径で
ある。次に、上記軸部材の末広がり大径部が上記筒部材
の一端から他端に向かって進行するように、軸部材を筒
部材に対して軸方向に移動させる。すると、上記末広が
り大径部によって、筒部材の一端が径方向外方に押し広
げられて、筒部材の溝が裂け、またはスリットが拡げら
れ、上記溝またはスリットに挟まれていた複数の厚肉部
が径方向外方に向かって放射状に曲げられる。すると、
上記放射状に曲げられた複数の厚肉部と、筒部材に固
定,つまり一体に結合されている頭部とが被締結部材を
挟み付ける。
【0010】このように、この発明のファスナーは、筒
部材に予め軸方向に延びる溝またはスリットが形成され
たものであるから、筒部材を鉄製やステンレス製にして
も、筒部材を内側から押し広げるだけで、溝が裂け、ま
たはスリットが拡げられて厚肉部を放射状湾曲形状にす
ることができる。したがって、この発明によれば、従来
のような切刃を備えた切り開き工具が不要で、しかも鉄
製やステンレス製の筒部材を採用できるから、締結強度
を向上させることができる。
【0011】また、請求項2の発明のファスナーは、軸
方向の一端から他端に向かって軸方向に延在すると共
に、周方向に所定の間隔を隔てて複数形成された溝また
はスリットを有する筒部材と、上記筒部材の貫通孔に連
通する連通孔を有して、連通孔の内周面には雌ネジが形
成されている大径部材と、一端部に上記筒部材の貫通孔
よりも大径になっている末広がり大径部を有すると共
に、他端部に上記大径部材の雌ネジに螺合する雄ネジ部
を有する軸部材とを備えていることを特徴としている。
【0012】請求項2の発明によれば、上記筒部材の一
端から軸部材が挿入される。この軸部材の他端から一端
にかけて所定の寸法だけ雄ネジが形成されている。そし
て、この雄ネジは、上記大径部材に螺合される。一方、
軸部材の軸方向の一端には、末広がり大径部が固定され
ている。この末広がり大径部は、上記筒部材の貫通孔よ
りも大径になっている。したがって、筒部材は上記大径
部材と上記末広がり大径部とで軸方向の両側から挟まれ
ている。
【0013】次に、この軸部材が挿通された状態の上記
ファスナーの筒部材は、被締結部材に穿孔された孔に挿
入される。この穿孔された孔は、上記筒部材と略同径で
ある。次に、上記大径部材を上記軸部材にさらに螺合さ
せることによって、軸部材の末広がり大径部を筒部材に
向かって軸方向に進行させる。すると、上記末広がり大
径部によって、筒部材の一端が径方向外方に押し広げら
れて、筒部材の溝が裂け、またはスリットが拡げられ、
上記溝またはスリットに挟まれていた複数の厚肉部が径
方向外方に向かって放射状に曲げられる。すると、上記
放射状に曲げられた複数の厚肉部と、軸部材に螺合され
て筒部材に軸方向に結合されている大径部とが被締結部
材を挟み付ける。
【0014】このように、この発明のファスナーは、筒
部材に予め軸方向に延びる溝またはスリットが形成され
たものであるから、筒部材を鉄製やステンレス製にして
も、筒部材を内側から押し広げるだけで、溝またはスリ
ットが裂けて厚肉部を放射状湾曲形状にすることができ
る。したがって、この発明によれば、従来のような切刃
を備えた切り開き工具が不要で、しかも鉄製やステンレ
ス製の筒部材を採用できるから、締結強度を向上させる
ことができる。
【0015】また、請求項3の発明のファスナーは、請
求項2に記載のファスナーにおいて、上記大径部材は、
上記筒部材の軸方向の他端面に対向するような複数の対
向貫通孔を有していることを特徴としている。
【0016】請求項3の発明によれば、上記筒部材の一
端から軸部材が挿入される。この軸部材の他端から一端
にかけて所定の寸法だけ雄ネジが形成されている。そし
て、この雄ネジは、上記大径部材の雌ネジに螺合され
る。一方、軸部材の軸方向の一端には、末広がり大径部
が固定されている。この末広がり大径部は、上記筒部材
の貫通孔よりも大径になっている。したがって、上記筒
部材は上記大径部材と上記末広がり大径部とで軸方向の
両側から挟まれている。
【0017】次に、この軸部材が挿通された状態の筒部
材は、たとえばALC板(発泡コンクリート板)にドリル
などで穿孔された孔に挿入される。この穿孔された孔
は、上記筒部材と略同径である。次に、筒部材を軸方向
に打ち込むための打ち込み棒が上記大径部材に形成され
ている複数の対向貫通孔に挿入され、上記打ち込み棒が
軸方向に打ち込まれ、打ち込み棒は筒部材の軸方向の他
端面を叩く。すると、上記筒部材は、軸部材の末広がり
大径部に向かって軸方向に進行する。すると、上記末広
がり大径部によって、筒部材の一端が径方向外方に押し
広げられて、筒部材の溝が裂け、またはスリットが拡げ
られて、上記溝またはスリットに挟まれていた複数の厚
肉部が径方向外方に向かって放射状に曲げられて、被締
結部材の中に食い込んで行く。一方、上記軸部材は、大
径部材がALC板の表面に当接しているから、筒部材を
打ち込んでも、定位置に存するままである。上記軸部材
の雄ネジ部は、ALC板の表面から突出しており、か
つ、筒部材の厚肉部がALC板の中に食い込みこの筒部
材と末広がり大径部が係合しているから、上記軸部材は
ALC板から抜け出ることがない。したがって、このフ
ァスナーはアンカーボルトとしても使用できる。
【0018】なお、上記ファスナーをALC板に固定す
る前に下孔を明けたが、軸部材の先端を尖らせて、AL
C板に下孔を明けずに、軸部材を直接打ち込んでもよ
い。
【0019】また、請求項4の発明のファスナーは、請
求項1乃至3のいずれか1つに記載のファスナーにおい
て、上記筒部材の貫通孔は、軸方向の一端から他端に向
かって所定の寸法だけ延在している大径孔と、この大径
孔から軸方向の他端に貫通している小径孔とからなるこ
とを特徴としている。
【0020】この請求項4の発明によれば、筒部材は軸
方向の一端に大径孔を有しているから、上記末広がり大
径部の根元の部分を上記大径孔に嵌合させ易くなり、か
つ、筒部材の軸方向の一端の薄肉化を図ることができ
る。したがって、上記末広がり大径部で筒部材の溝また
はスリットを裂き、かつ、厚肉部を放射状に曲げる作業
がやり易くなる。
【0021】また、請求項5の発明のファスナーは、請
求項1乃至4のいずれか1つに記載のファスナーにおい
て、上記筒部材は、外周面から径方向外方に突き出して
いる回り止め突起を備えていることを特徴としている。
【0022】したがって、請求項5の発明によれば、大
径部材の雌ネジを軸部材の雄ネジに螺合させているとき
に、回り止め突起が被締結部材に食い込む。したがっ
て、大径部材と筒部材が共回りすることを防止できる。
したがって、末広がり大径部が筒部材の溝またはスリッ
トを裂いているときに、筒部材と末広がり大径部とが相
対回転することを防止できる。したがって、上記末広が
り大径部で筒部材の溝またはスリットをスムーズに裂く
ことができ、かつ、厚肉部をスムーズに放射状に曲げる
ことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。
【0024】〔第1の実施の形態〕図1(D)に、この発
明のファスナーとしての第1の実施の形態のリベット1
に、軸部材2が挿入されている状態を示す。このリベッ
ト1は、筒部材としての筒部3と頭部としての大径部4
とが一体に形成されている。図1(A)に示すように、筒
部3は外周面3Aが略12角柱の形状になっており、中
心を貫通孔3Bが貫通している。そして、この略12角
柱形状の外周面3Aには、周方向に所定の間隔を隔てて
V字形に窪んでいて軸方向に延在している6本の溝5が
形成されている。この軸方向溝5は、上記外周面3Aを
構成する12個の側面6に1つおきに形成されている。
この溝5は筒部3の軸方向の一端3Cから他端3Dまで
延びている。この溝5で挟まれている部分が厚肉部17
を構成している。
【0025】また、図1(E)に示すように、このリベッ
ト1の筒部3の貫通孔3Bは、軸方向の他端3Dから一
端3Cに向かって所定寸法(軸方向全長の約3分の2の
寸法)だけ延在している小径孔7と、この小径孔7から
軸方向の一端3Cまで貫通している大径孔8とで構成さ
れている。
【0026】一方、上記大径部4は、上記筒部3よりも
大径であり、筒部3の貫通孔3Bに連通している連通孔
4Aを有している。
【0027】また、上記リベット1に挿通されている軸
部材2は、軸方向の一端に一体に固定されている末広が
り大径部10を有している。この末広がり大径部10
は、軸部材2の一端から軸方向に向かって末広がり形状
になっていて軸方向の端10Aが筒部3の貫通孔3Bよ
りも大径になっている。また、上記末広がり大径部10
から軸方向に所定寸法だけ離れた位置に、略四角形状の
凹部15,15…が周方向に所定の間隔を隔てて複数個
形成されている。上記所定寸法とは、リベット1の軸方
向の全長から、締結工程での軸部材2の引っ張り寸法を
減算した寸法に略等しい寸法である。
【0028】上記構成のリベット1の締結工程を説明す
る。まず、図1(E)に示すように、軸部材2が挿通され
た状態のリベット1の筒部3は、図1(F)に示すよう
に、被締結部材12,13に穿孔された孔12A,13A
に挿入される。この穿孔された孔12A,13Aは、筒
部3と略同径である。次に、上記軸部材2を、図1(C)
に示すような工具18でもって挟み付けると同時に、リ
ベット1に対して軸方向に引っ張り、軸部材2の末広が
り大径部10を筒部3の一端3Cから他端3Dに向かっ
て進行させる。すると、図1(G)に示すように、末広が
り大径部10が、筒部3の一端3Cを径方向外方に押し
広げて筒部3の溝5を裂いて、溝5で挟まれていた複数
の厚肉部17,17…を径方向外方に向かって放射状に
曲げる。すると、この放射状に曲げられた複数の厚肉部
17,17…と、筒部3と一体の大径部4とが被締結部
材12,13を挟み付ける。そして、上記軸部材2は上
記凹部15が形成されている箇所で折られる。これによ
り、リベット1による被締結部材12と13の締結を完
了する。
【0029】このように、この第1の実施の形態のリベ
ット1は、筒部3に予め軸方向に延びる溝5が形成され
たものであるから、筒部3を鉄製やステンレス製にして
も、筒部3を内側から押し広げるだけで、溝5が裂けて
厚肉部17,17…を放射状湾曲形状にすることができ
る。したがって、この第1の実施の形態によれば、従来
のような切刃を備えた切り開き治具が不要で、しかも鉄
製やステンレス製の筒部3を採用できるから、締結強度
を向上させることができる。また、この第1の実施の形
態は、リベット1の大径部5が筒部3に一体に形成され
ているから、構造が簡単で締結作業が簡単,容易であ
る。
【0030】尚、上記第1の実施の形態では、図1(A)
に示すように、筒部3の外周面の形状を12角柱形状に
したが、図1(B)に示すように、筒部3の外周面の形状
を8角柱形状にしてもよい。この場合には、上記8角柱
形状の外周面を構成する8つの側面18の1つおきに溝
19を形成すればよい。また、図1(A)および(B)に示
した例では、溝5や19を筒部3の外周面に形成した
が、筒部3の内周面に溝を形成してもよい。さらには、
筒部3の外周面と内周面の両方に溝を形成してもよい。
さらには、溝に代えてスリットを形成してもよい。
【0031】〔第2の実施の形態〕次に、図2にこの発
明のファスナーの第2の実施の形態を示す。このファス
ナー21はアンカーを構成するものである。図2(B)
に、このファスナー21に、軸部材22が挿入されてい
る状態を示す。このファスナー21は、筒部材23と、
この筒部材23とは別体の大径部材としての座付ナット
24とを有している。図2(C)に示すように、筒部材2
3は、外周面23Aが略12角柱形状になっており、中
心を貫通孔23Bが貫通している。そして、この略12
角柱形状の外周面23Aには、周方向に所定の間隔を隔
てて6本の軸方向溝25が形成されている。この軸方向
溝25は、上記外周面23Aを構成する12個の側面2
6の1つおきに形成されている。この溝25は筒部材2
3の軸方向の一端23Cから他端23Dまで延在してい
る。この筒部材23の内の上記溝25で挟まれている部
分が厚肉部32を構成している。
【0032】また、図2(D)に示すように、このファス
ナー21の筒部材23の貫通孔23Bは、軸方向の他端
23Dから一端23Cに向かって所定寸法(軸方向全長
の約5分の4の寸法)だけ延在している小径孔27と、
この小径孔27から軸方向の一端23Cまで貫通してい
る大径孔28とで構成されている。
【0033】一方、上記大径部材としての座付ナット2
4は、上記筒部材23よりも大径の座部29とネジ部3
0とを有している。そして、この座付ナット24のネジ
孔24Aは、筒部材23の貫通孔23Bに連通させられ
るようになっている連通孔を構成している。また、図2
(A)に示すように、上記大径の座部29には、ネジ孔2
4Aを挟んで対向している2つの扇形状の貫通孔37と
38が形成されている。この貫通孔37と38とは、筒
部材23の軸方向の他端面23D‐1に対向するような
位置に形成されている。
【0034】また、ファスナー21に挿通されている軸
部材22は、軸方向の一端に一体に固定されている末広
がり大径部31を有している。この末広がり大径部31
は、軸部材22の一端22Aから軸方向に向かって末広
がり形状になっていて軸方向の端31Aが筒部材23の
貫通孔23Bよりも大径になっている。また、上記軸部
材22は、他端22Bから軸方向に向かって所定の寸法
だけ形成されている雄ネジ22Cを有している。そし
て、この雄ネジ22Cは、座付ナット24のネジ孔24
Aに螺合されている。
【0035】上記構成のファスナー21の締結工程を説
明する。まず、図3(A)に示すように、ドリル33でも
って、気泡コンクリート35に所定の深さの孔36を穿
孔する。この穿孔された孔36は、筒部材23と略同径
である。次に、図3(B)に示すように、上記孔36に、
上記筒部材23を挿入し、図3(C)に示すように、座付
ナット24の座部29を気泡コンクリート35の表面3
5Aに当接させる。次に、図3(C)に示すような打ち込
み棒40の2つの突き出し部分40Aと40Bを、大径
の座部29に形成されている2つの貫通孔37と38を
貫通させて、筒部材の軸方向の他端面23D‐1に当接
させ、打ち込み棒40を金づち48で打ち込む。このと
き、座付ナット24の座部29はコンクリート表面35
Aに当接しているから、軸部材22は打ち込みの方向に
は移動せずに、図3(D)に示すように、筒部材23だけ
が、軸部材22の末広がり大径部30に向かって軸方向
に進行する。すると、上記末広がり大径部30によっ
て、筒部材23の一端23Cが径方向外方に押し広げら
れて、筒部材23の溝25が裂け、溝25に挟まれてい
た複数の厚肉部32が径方向外方に向かって放射状に曲
げられる。すると、この放射状に曲げられた厚肉部32
は、軸部材22を打ち込み方向に引っ張った状態で気泡
コンクリート35に食い込んで、気泡コンクリート35
に固定される。これにより、上記放射状に曲げられた複
数の厚肉部32と、軸部材31に螺合されることで筒部
材23に軸方向に結合されている座付ナット24とが気
泡コンクリート35を挟み付ける状態になり、コンクリ
ート35の表面35Aに座付アンカーボルト41を固定
できたことになる。
【0036】このように、この第2の実施の形態のファ
スナー21は、筒部材23に予め軸方向に延びる溝25
が形成されたものであるから、筒部材23を鉄製やステ
ンレス製にしても、筒部材23を軸部材22で内側から
押し広げるだけで、溝25が裂けて厚肉部32を放射状
湾曲形状にすることができる。したがって、この第2の
実施の形態によれば、従来のような切刃を備えた切り開
き治具が不要で、しかも鉄製やステンレス製の筒部材2
3を採用できるから、締結強度を向上させることができ
る。
【0037】尚、この第2の実施の形態では、図2(C)
に示すように、筒部材23の外周面の形状を12角柱形
状にしたが、図2(E)に示すように、筒部材23の外周
面の形状を8角柱形状にしてもよい。この場合には、上
記8角柱形状の外周面を構成する8つの側面44の1つ
おきに溝45を形成すればよい。また、図2(C)および
(E)に示した例では、溝25や45を筒部23の外周面
に形成したが、筒部23の内周面に溝を形成してもよ
い。さらには、筒部23の外周面と内周面の両方に溝を
形成してもよい。さらには、溝に代えてスリットを形成
してもよい。
【0038】また、図2(F)に示すように、軸部材22
の一端の末広がり大径部30の軸方向の端30Aにドリ
ル部47を一体に形成すれば、このドリル部47でもっ
て図3(A)に示す穿孔工程を実行できる。したがって、
この場合、上記締結をより簡単かつ迅速に実行すること
ができる。
【0039】また、図9(A),図9(B),図9(C)に順に
示すように、この第2の実施の形態のファスナー21に
よれば、中空部121Aを含んでいるコンクリート12
1に座付ボルト41を固定することもできる。そして、
その工程は、図3に示したのと全く同様に、打ち込み棒
40を金づち48で打ち込むだけで済む。
【0040】〔第3の実施の形態〕次に、図4にこの発
明のファスナーの第3の実施の形態を示す。図4(A)
に、このファスナー51に、軸部材52が挿入されてい
る様子を示す。このファスナー51は、筒部材53と、
この筒部材53とは別体の大径部材としての座付ナット
54とを備えている。図4(B)に示すように、筒部材5
3は、略12角柱形状になっており、中心を貫通孔53
Bが貫通している。そして、この略12角柱形状の外周
面53Aには、周方向に所定の間隔を隔てて6本の軸方
向溝55が形成されている。この軸方向溝55は径方向
内方に向かってV字形状に窪んでいる。また、この軸方
向溝55は、外周面53Aを構成する12個の側面56
の1つおきに形成されている。この溝55は筒部材53
の軸方向の一端53Cから他端53Dまで延在してい
る。そして、この筒部材53の内の上記溝55で挟まれ
ている部分が厚肉部62を構成している。
【0041】また、図4(D)に示すように、このファス
ナー51の筒部材53の貫通孔53Bは、軸方向の他端
53Dから一端53Cに向かって所定寸法(筒部材53
の全長の約5分の4の寸法)だけ延在している小径孔5
7と、この小径孔57から軸方向の一端53Cまで貫通
している大径孔58とで構成されている。さらに、この
筒部材53は、軸方向の他端の外周面に周方向に180
°の位置ずれ状態で対向している2つの回り止め用突起
65と66を有している。この突起65と66は、後述
する締結工程において座付ナット54を軸部材52に螺
合させているときに、被締結部材に食い込んで、筒部材
53が被締結部材に対して回転することを防ぐ役目をす
る。したがって、この突起65と66は、筒部材53が
上記螺合方向に回転したときに被締結部材に食い込むよ
うなクサビ型の断面形状になっている。
【0042】一方、上記大径部材としての座付ナット5
4は、筒部材53よりも大径の座部59とナット60と
が一体に形成されているものである。そして、この座付
ナット54のネジ孔54Aは、筒部材53の貫通孔53
Bに連通させられるようになっている連通孔を構成して
いる。
【0043】また、図4(A)に示すように、ファスナー
51に挿通されている軸部材52は、軸方向の一端に一
体に固定されている末広がり大径部63を有している。
この末広がり大径部63は、軸部材52の一端52Aか
ら軸方向に向かって末広がり形状になっていて軸方向の
端63Aが筒部材53の貫通孔53Bよりも大径になっ
ている。また、この軸部材52は、他端52Bから軸方
向に向かって所定の寸法だけ形成されている雄ネジ64
を有している。そして、この雄ネジ64は、座付ナット
54のネジ孔54Aに螺合される。さらに、上記軸部材
52の末広がり大径部63は、図4(A)に示すように、
テーパー面63Bに放射状に形成されている複数本の回
り止め用のひだ67,67…を有している。このひだ6
7は、上記座付ナット54の螺合時に、筒部材53の一
端53Cに食い込んで座付ナット54と軸部材52とが
共回りすることを防ぐ役目を果たすものである。
【0044】上記構成のファスナー51の締結工程を説
明する。まず、図5(A)に示すように、ドリル70でも
って、被締結部材としての鋼板71と72に貫通孔71
Aと72Aを穿つ。この貫通孔71Aと72Aは上記筒
部材53と略同径である。次に、図5(B)に示すよう
に、筒部材53の一端53Cから軸部材52が挿入され
て軸部材52の雄ネジ64に上記座付ナット54が螺合
されている状態で、上記筒部材53を上記鋼板71,7
2の貫通孔71A,72Aに挿入する。このとき、筒部
材53の他端53Dに形成されている回り止め用の突起
65,66が鋼板71に当接して食い込む。
【0045】次に、上記座付ナット54を上記軸部材5
2にさらに螺合させることによって、軸部材52の末広
がり大径部63を筒部材53に向かって軸方向に進行さ
せる。すると、図5(C)に示すように、上記末広がり大
径部63によって、筒部材53の一端が径方向外方に押
し広げられて、筒部材53の溝55が裂け、溝55に挟
まれていた複数の厚肉部62が径方向外方に向かって放
射状に曲げら、かつ、U字形状に湾曲する。すると、上
記放射状に曲げられてU字形状に湾曲した複数の厚肉部
62と、軸部材52に螺合されている座付ナット54と
が鋼板71と72とを挟み付けて締結する。
【0046】このように、この第3の実施の形態のファ
スナー51は、筒部材53に予め軸方向に延びる溝55
が形成されたものであるから、筒部材53を鉄製やステ
ンレス製にしても、筒部材53を内側から押し広げるだ
けで、溝55が裂けて厚肉部62を放射状湾曲形状にす
ることができる。したがって、この第3の実施の形態に
よれば、従来のような切刃を備えた切り開き治具が不要
で、しかも鉄製やステンレス製の筒部材53を採用でき
るから、締結強度を向上させることができる。
【0047】尚、この第3の実施の形態では、図4(B)
に示したように、筒部材53の外周面の形状を12角柱
形状にしたが、筒部材53の外周面の形状は4角柱形状
や5角柱形状であってもよい。また、筒部材53に、溝
55に代えてスリットを形成してもよい。
【0048】〔第4の実施の形態〕次に、図6に、この
発明の第4の実施の形態を示す。この第4の実施の形態
のファスナー81は、上記第3の実施の形態の筒部材5
3と同じ筒部材53を備えている。したがって、このフ
ァスナー81については、上記第3の実施の形態とは異
なっている点を説明する。
【0049】このファスナー81は、筒部材53の軸方
向の他端53Dに配置された頭部としてのワッシャ82
を有している。そして、ボルト83とナット84が軸部
材を構成している。このナット84は、末広がり部84
Aと大径端部84Bを有している。この末広がり部84
Aの小径端84A‐1は、筒部材53の貫通孔53Bよ
りも小径である。また、上記大径端部84Bは上記貫通
孔53Bよりも大径である。そして、上記末広がり部8
4Aのテーパー面には、複数本の回り止め用のひだ8
8,88が放射状に形成されている。このひだ88は、
上記ナット84の螺合時に、筒部材53の一端53Cに
食い込んでナット84がボルト83と共回りすることを
防ぐ役目を果たすものである。
【0050】このファスナー81の締結工程を説明す
る。図6(B)に示すように、筒部材53の他端53Dに
ワッシャ82を対向させた状態で、ボルト83を筒部材
53の他端53Dから挿通し、上記筒部材53の一端5
3Cから突き出したボルト83の先端の雄ネジ83Aに
ナット84を螺合させて末広がり部84Aを筒部材53
の一端53Cの貫通孔53Bに部分的に嵌合させる。こ
の図6(B)に示した状態のファスナー81を、図5に示
した被締結部材としての鋼板71,72の貫通孔71A,
72Aに挿入して、図6(C)に示す工具85でボルト8
3の頭部83Bを回転させることによって、ボルト83
に螺合している上記ナット84を軸方向に移動させて、
末広がり部84Aを筒部材53に向かって軸方向に進行
させる。すると、上記末広がり部84Aによって、筒部
材53の一端53Cが径方向外方に押し広げられて、筒
部材53の溝55が裂け、溝55に挟まれていた複数の
厚肉部62が径方向外方に向かって放射状に曲げられ、
かつ、U字形状に湾曲する。すると、上記放射状に曲げ
られてU字形状に湾曲して厚肉部62と、ボルト83で
筒部材53に軸方向に結合されているワッシャ82とが
鋼板71と72を挟み付けて締結する。
【0051】このように、この第4の形態のファスナー
81は、筒部材53に予め軸方向に延びる溝55が形成
されたものであるから、筒部材53を鉄製やステンレス
製にしても、筒部材53を内側から押し広げるだけで、
溝55が裂けて厚肉部62を放射状湾曲形状にすること
ができる。したがって、この第4の形態によれば、従来
のような切刃を備えた切り開き治具が不要で、しかも鉄
製やステンレス製の筒部材53を採用できるから、締結
強度を向上させることができる。
【0052】なお、上記第4の実施の形態において、上
記ワッシャ82がボルト83の頭部に一体になっていて
もよい。また、ボルト83の頭部の径を、筒部材53よ
りも大径にすれば、ワッシャ82をなくしてもよい。
【0053】〔第5の実施の形態〕次に、この発明の第
5の実施の形態を図7に示す。この第5の実施の形態
は、図1に示した第1の実施の形態の頭部としての大径
部4とは異なる構造の大径部94を備えている点が、第
1の実施の形態と異なる。したがって、この第5の実施
の形態は、第1の実施の形態と異なっている点を重点的
に説明する。
【0054】この第5の形態のファスナー91は、筒部
材としての筒部93と頭部としての大径部94とが一体
に形成されている。この筒部93は、第1の形態の筒部
3と同じ構造である。つまり、外周面93Aが略12角
柱の形状になっており、中心を貫通孔93Bが貫通して
いる。そして、この略12角柱形状の外周面93Aに
は、周方向に所定の間隔を隔てて6本の軸方向溝95が
形成されている。この軸方向溝95は、外周面3Aを構
成する12個の側面96に1つおきに形成されている。
この溝95は筒部93の軸方向の一端93Cから他端9
3Dまで延びている。また、図7(C)に示すように、こ
のファスナー91の筒部93の貫通孔93Bは軸方向の
他端93Dから一端93Cに向かって所定寸法(筒部の
軸方向全長の約3分の2の寸法)だけ延在している小径
孔97と、この小径孔97から軸方向の一端93Cまで
貫通している大径孔98とで構成されている。
【0055】一方、上記大径部94は、図7(B),(C)
に示すように、末広がりテーパ面94Bを含んでおり、
上記筒部93よりも大径であり、筒部93の貫通孔93
Bに連通している連通孔94Aを有している。また、図
7(A)に示すように、大径部94は、外周に約120°
ずつ位相がずれていて、軸方向に貫通していて、径方向
内方に四角形状に窪んでいる3つの貫通窪み100,1
00,100を有している。また、図7(C)に示すよう
に、大径部94は中心部にすり鉢状の窪み94Cを有し
ている。この窪み94Cには、ボルト101の頭部10
1Aがはまり込んで、大径部94から頭部101Aがほ
とんど突き出さないようになっている。このボルト10
1の頭部101Aの中心には六角柱形状の窪み102が
形成されている。そして、このボルト101の雄ネジ部
101Bには、図7(C)に示すように、末広がり形状の
ナット103が螺合されるようになっている。この末広
がり形状のナット103は、テーパ面103Aを含んだ
傾斜部103Bが筒部93の貫通孔93Bに入り込むよ
うになっている。また、このナット103のテーパ面1
03Aは、放射状に形成されている複数のひだ104を
有している。このひだ104は、筒部93の一端93C
に食い込んで、ナット103とボルト101とが共回り
しないようにする役目を果たす。
【0056】上記構成のファスナーの締結工程を説明す
る。まず、図7(B)に示すようにボルト101とボルト
101に螺合されたナット103とが組つけられたファ
スナー91を、図5に示すような被締結部材としての鋼
板71および72の貫通孔71Aと72Aに挿入する。
次に、図7(D)に示すような工具105を使用して、ボ
ルト101の頭部101Aを大径部94に対して相対回
転させることによって、末広がり形状のナット103を
雄ネジ部101Bに螺合させる。すると、上記ナット1
03が筒部93に向かって進行し、ナット103の傾斜
部103Bが筒部93の一端93Cを径方向に押し広げ
る。すると、筒部93の溝95が裂けて、溝95で挟ま
れていた厚肉部106が放射状湾曲形状にすることがで
きる。したがって、この第5の実施の形態によれば、従
来のような切刃を備えた切り開き治具が不要で、しかも
鉄製やステンレス製の筒部93を採用できるから、締結
強度を向上させることができる。
【0057】〔第6の実施の形態〕次に、図8にこの発
明の第6の実施の形態を示す。この第6の実施の形態
は、第5の実施の形態と比較して、ボルト101の頭部
101Aの形状と大径部94の形状とだけが異なってい
る。すなわち、この第6の実施の形態のファスナー11
1は、大径部114の外周面が六角柱形状になってい
る。また、ボルト101の頭部101Kは、角が丸くな
っている円柱形状になっている。
【0058】このファスナー111の締結工程を説明す
る。まず、図8(E)に示すように、被締結部材としての
鋼板115と116に、ドリル70でもって貫通孔11
5Aと116Aを穿孔する。次に、図8(F)に示すよう
に、ボルト101が挿通されていて、このボルト101
に末広がり形状のナット103が螺合された状態のファ
スナー111を、貫通孔115Aと116Aに挿入し、
大径部114を鋼板115の表面115Bに当接させ
る。次に、図8(D)に示す工具118をボルト101の
頭部101Kに形成されている六角柱形状の孔120に
嵌合させて、頭部101Kを回転させる。すると、ナッ
ト103が筒部93に向かって進行し、ナット103に
よって筒部93の一端が径方向外方に押し広げられて、
図8(G)に示すように、筒部93の溝95が裂けて、溝
95で挟まれていた厚肉部106が放射状湾曲形状にな
る。これにより、上記大径部114と厚肉部106とで
鋼板115と116を挟み付けて締結することができ
る。
【0059】このように、この第6の実施の形態によれ
ば、従来のような切刃を備えた切り開き治具が不要で、
しかも鉄製やステンレス製の筒部93を採用できるか
ら、締結強度を向上させることができる。
【0060】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1の発
明のファスナーは、軸方向の一端から他端に向かって軸
方向に延在すると共に、周方向に所定の間隔を隔てて複
数形成された溝またはスリットを有する筒部材と、筒部
材の貫通孔に連通する連通孔を有して、上記筒部材の軸
方向の他端に固定された頭部とを備えている。
【0061】請求項1の発明によれば、上記頭部の連通
孔,上記筒部材の貫通孔に軸部材が挿通される。この軸
部材の軸方向の一端には、末広がり大径部が固定されて
いる。この末広がり大径部は、上記軸部材の一端から軸
方向に向かって末広がり形状になっていて軸方向の端が
筒部材の貫通孔よりも大径になっている。
【0062】次に、この軸部材が挿通された状態の上記
ファスナーの筒部材は、被締結部材に穿孔された孔に挿
入される。この穿孔された孔は、上記筒部材と略同径で
ある。次に、上記軸部材の末広がり大径部が上記筒部材
の一端から他端に向かって進行するように、軸部材を筒
部材に対して軸方向に移動させる。すると、上記末広が
り大径部によって、筒部材の一端が径方向外方に押し広
げられて、筒部材の溝が裂け、またはスリットが拡げら
れて上記溝またはスリットに挟まれていた複数の厚肉部
が径方向外方に向かって放射状に曲げられる。すると、
上記放射状に曲げられた複数の厚肉部と、筒部材に固定
つまり一体に結合されている頭部とが被締結部材を挟み
付ける。
【0063】このように、この発明のファスナーは、筒
部材に予め軸方向に延びる溝またはスリットが形成され
たものであるから、筒部材を鉄製やステンレス製にして
も、筒部材を内側から押し広げるだけで、溝が裂け、ま
たはスリットが拡げられて厚肉部を放射状湾曲形状にす
ることができる。したがって、この発明によれば、従来
のような切刃を備えた切り開き工具が不要で、しかも鉄
製やステンレス製の筒部材を採用できるから、締結強度
を向上させることができる。
【0064】また、請求項2の発明のファスナーは、軸
方向の一端から他端に向かって軸方向に延在すると共
に、周方向に所定の間隔を隔てて複数形成された溝また
はスリットを有する筒部材と、上記筒部材の貫通孔に連
通する連通孔を有して、連通孔の内周面には雌ネジが形
成されている大径部材と、一端部に軸方向他端に向かっ
て上記筒部材の貫通孔よりも大径になっている末広がり
大径部を有すると共に、他端部に上記大径部材の雌ネジ
に螺合する雄ネジ部を有する軸部材とを備えている。
【0065】請求項2の発明によれば、上記筒部材の一
端から軸部材が挿入される。この軸部材の他端から一端
にかけて所定の寸法だけ雄ネジが形成されている。そし
て、この雄ネジは、上記大径部材に螺合される。一方、
軸部材の軸方向の一端には、末広がり大径部が固定され
ている。この末広がり大径部は、上記筒部材の貫通孔よ
りも大径になっている。したがって、上記筒部材は上記
大径部材と上記末広がり大径部とで軸方向の両側から挟
まれている。
【0066】次に、この軸部材が挿通された状態の上記
ファスナーの筒部材は、被締結部材に穿孔された孔に挿
入される。この穿孔された孔は、上記筒部材と略同径で
ある。次に、上記大径部材を上記軸部材にさらに螺合さ
せることによって、軸部材の末広がり大径部を筒部材に
向かって軸方向に進行させる。すると、上記末広がり大
径部によって、筒部材の一端が径方向外方に押し広げら
れて、筒部材の溝が裂けまたはスリットが拡げられ、上
記溝またはスリットに挟まれていた複数の厚肉部が径方
向外方に向かって放射状に曲げられる。すると、上記放
射状に曲げられた複数の厚肉部と、軸部材に螺合されて
筒部材に軸方向に結合されている大径部とが被締結部材
を挟み付ける。
【0067】このように、この発明のファスナーは、筒
部材に予め軸方向に延びる溝またはスリットが形成され
たものであるから、筒部材を鉄製やステンレス製にして
も、筒部材を内側から押し広げるだけで、溝またはスリ
ットが裂けて厚肉部を放射状湾曲形状にすることができ
る。したがって、この発明によれば、従来のような切刃
を備えた切り開き工具が不要で、しかも鉄製やステンレ
ス製の筒部材を採用できるから、締結強度を向上させる
ことができる。
【0068】また、請求項3の発明のファスナーは、請
求項2に記載のファスナーにおいて、上記大径部材は、
上記筒部材の軸方向の他端面に対向するような複数の対
向貫通孔を有している。
【0069】請求項3の発明によれば、上記筒部材の一
端から軸部材が挿入される。この軸部材の他端から一端
にかけて所定の寸法だけ雄ネジが形成されている。そし
て、この雄ネジは、上記大径部材の雌ネジに螺合され
る。一方、軸部材の軸方向の一端には、末広がり大径部
が固定されている。この末広がり大径部は、上記筒部材
の貫通孔よりも大径になっている。したがって、上記筒
部材は上記大径部材と上記末広がり大径部とで軸方向の
両側から挟まれている。
【0070】次に、この軸部材が挿通された状態の筒部
材は、たとえばALC板(発泡コンクリート板)ドリルな
どで穿孔された孔に挿入される。この穿孔された孔は、
上記筒部材と略同径である。次に、筒部材を軸方向に打
ち込むための打ち込み棒が上記大径部材に形成されてい
る複数の対向貫通孔に挿入され、上記打ち込み棒が軸方
向に打ち込まれ、打ち込み棒は筒部材の軸方向の他端面
を叩く。すると、上記筒部材は、軸部材の末広がり大径
部に向かって軸方向に進行する。すると、上記末広がり
大径部によって、筒部材の一端が径方向外方に押し広げ
られて、筒部材の溝が裂け、またはスリットが拡げられ
て、上記溝またはスリットに挟まれていた複数の厚肉部
が径方向外方に向かって放射状に曲げられて、被締結部
材の中に食い込んで行く。一方、上記軸部材は大径部が
ALC板の表面に当接しているから、筒部材を打ち込ん
でも定位置に存するままである。上記軸部材の雄ネジ部
は、ALC板の表面から突出しており、かつ、上記軸部
材は、筒部材の厚肉部のALC板の中に食い込み、この
筒部材と末広がり大径部が係合しているから、上記軸部
材はALC板から抜け出ることがない。したがって、こ
のファスナーはアンカーボルトとしても使用できる。な
お、上記ファスナーをALC板に固定する前にドリルで
下孔を明けたが、軸部材の先端を尖らせて、ALC板に
下孔を明けずに、軸部材を直接打ち込んでもよい。
【0071】また、請求項4の発明のファスナーは、請
求項1乃至3のいずれか1つに記載のファスナーにおい
て、上記筒部材の貫通孔は、軸方向の一端から他端に向
かって所定の寸法だけ延在している大径孔と、この大径
孔から軸方向の他端に貫通している小径孔とからなる。
【0072】この請求項4の発明によれば、筒部材は軸
方向の一端に大径孔を有しているから、上記末広がり大
径部の根元の部分を上記大径孔に嵌合させ易くなり、か
つ、筒部材の軸方向の一端の薄肉化を図ることができ
る。したがって、上記末広がり大径部で筒部材の溝また
はスリットを裂き、かつ、厚肉部を放射状に曲げる作業
がやり易くなる。
【0073】また、請求項5の発明のファスナーは、請
求項1乃至4のいずれか1つに記載のファスナーにおい
て、上記筒部材は、外周面から径方向外方に突き出して
いる回り止め突起を備えている。
【0074】したがって、請求項5の発明によれば、大
径部材の雌ネジを軸部材の雄ネジに螺合させているとき
に、回り止め突起が被締結部材に食い込む。したがっ
て、大径部材と筒部材が共回りすることを防止できる。
したがって、末広がり大径部が筒部材の溝を裂き、また
はスリットを拡いているときに、筒部材と末広がり大径
部とが相対回転することを防止できる。したがって、上
記末広がり大径部で筒部材の溝またはスリットをスムー
ズに裂き、拡大することができ、かつ、厚肉部をスムー
ズに放射状に曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)はこの発明のファスナーの第1の実
施の形態の筒部の断面図(図1(D)のI‐I断面図)であ
り、図1(B)は上記筒部の変形例の断面図であり、図1
(C)は工具18による締結作業を説明する図であり、図
1(D)はリベット1に軸部材2を挿入した状態を示す図
であり、図1(E)はリベット1の断面図であり、図1
(F)は被締結部材にリベット1を挿入した状態を示す図
であり、図1(G)はリベット1が軸部材2によって裂き
曲げられて被締結部材を締結している様子を示す図であ
る。
【図2】 図2(A)はこの発明の第2の実施の形態の座
付ナット24の平面図であり、図2(B)はこの形態のフ
ァスナー21に軸部材22が挿入されている状態を示す
図であり、図2(C)は図2(B)のII‐II断面図であり、
図2(D)はファスナー21の断面図であり、図2(E)は
ファスナー21の変形例の断面図であり、図2(F)は軸
部材22の変形例である。
【図3】 図3(A)は気泡コンクリート35に孔36を
穿孔する工程を示す断面図であり、図3(B)は孔36に
ファスナー21を挿入する工程を示す図であり、図3
(C)はファスナー21の筒部材23を打ち込み棒40で
打ち込む様子を示す図であり、図3(D)は筒部材23が
打ち込み棒40で叩かれて溝25が裂けて放射状に湾曲
してコンクリート35に食い込んでいる様子を示す図で
あり、図3(E)は筒部材23の打ち込みが完了してファ
スナー21がコンクリートに締結された状態を示す図で
ある。
【図4】 図4(A)はこの発明のファスナーの第3の実
施の形態を示す図であり、図4(B)は図4(A)のIII‐I
II断面図であり、図4(C)は図4(A)のIV‐IV断面図で
あり、図4(D)はこの形態のファスナー51の断面図で
ある。
【図5】 図5(A)は穿孔工程を示す図であり、図5
(B)はファスナー51の挿入工程を示す図であり、図5
(C)はファスナー51の裂き曲げ工程を示す図である。
【図6】 図6(A)はこの発明の第4の実施の形態を示
す図であり、図6(B)はこの形態のファスナー81の断
面図であり、図6(C)は工具85を使用してファスナー
81による締結を行う様子を示す図である。
【図7】 図7(A)はこの発明の第5の実施の形態の大
径部94の平面図であり、図7(B)はこの形態のファス
ナー91にボルト101を挿入した状態を示す図であ
り、図7(C)はファスナー91の断面図であり、図7
(D)は工具105を使用してファスナー91による締結
を行う様子を示す図である。
【図8】 図8(A)はこの発明の第6の実施の形態の大
径部114の平面図であり、図8(B)はこの形態のファ
スナー111を示す図であり、図8(C)はこのファスナ
ー111の断面図であり、図8(D)は工具118を使用
してファスナー111による締結を行う様子を示す図で
あり、図8(E)は穿孔工程を示す図であり、図8(F)は
ファスナー111の挿入工程を示す図であり、図8(G)
はファスナー111による締結が完了した状態を示す図
である。
【図9】 上記第2の実施の形態を中空部を有するコン
クリートに締結させる工程を説明する図である。
【図10】 図10(A)は従来のファスナーとしてのリ
ベットで用いられる治具207を示す図であり、図10
(B)は従来のリベットを示す図であり、図10(C)は従
来のリベットによる締結状態を示す図である。
【符号の説明】
1…リベット、21,51,81,91,111…ファスナ
ー、2,22,52…軸部材、3,93…筒部、3B,93
B…貫通孔、4,94,114…大径部、4A,94A…
連通孔、5,25,45,55,95…溝、6,26,44,
56…側面、7,27,57…小径孔、8,28,58…大
径孔、10…末広がり大径部、12,13…被締結部
材、12A,13A…孔、15…凹部、17,32,62,
106…厚肉部、18…工具、19…溝、23,53…
筒部材、23A,53A…外周面、23B,53B…貫通
孔、23C,53C,93C…一端、23D,53D,93
D…他端、23D‐1…他端面、24,54…座付ナッ
ト、24A,54A…ネジ孔、29…座部、31,63…
末広がり大径部、33…ドリル、35…気泡コンクリー
ト、36…孔、37,38…貫通孔、47…ドリル部、
59…座部、60…ナット、64…雄ネジ、65,66
…突起、67…ひだ、70…ドリル、71,72…鋼
板、82…ワッシャ、83…ボルト、84…ナット、8
4A…末広がり部、84B…大径端部、84A‐1…小
径端、88…ひだ、100…貫通窪み、101…ボル
ト、101A,101K…頭部、101B…雄ネジ部、
102…窪み、103…ナット、103A…テーパ面、
104…ひだ。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向の一端から他端に向かって軸方向
    に延在すると共に、周方向に所定の間隔を隔てて複数形
    成された溝またはスリットを有する筒部材と、 上記筒部材の貫通孔に連通する連通孔を有して、上記筒
    部材の軸方向の他端に固定された頭部とを備えているこ
    とを特徴とするファスナー。
  2. 【請求項2】 軸方向の一端から他端に向かって軸方向
    に延在すると共に、周方向に所定の間隔を隔てて複数形
    成された溝またはスリットを有する筒部材と、 上記筒部材よりも大径であり、上記筒部材の貫通孔に連
    通する連通孔を有して、連通孔の内周面には雌ネジが形
    成されている大径部材と、 一端部に上記筒部材の貫通孔よりも大径になっている末
    広がり大径部を有すると共に、他端部に上記大径部材の
    雌ネジに螺合する雄ネジ部を有する軸部材とを備えてい
    ることを特徴とするファスナー。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のファスナーにおいて、 上記大径部材は、上記筒部材の軸方向の他端面に対向す
    るような複数の対向貫通孔を有していることを特徴とす
    るファスナー。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の
    ファスナーにおいて、上記筒部材の貫通孔は、上記軸方
    向の一端から他端に向かって所定の寸法だけ延在してい
    る大径孔と、この大径孔から軸方向の他端に貫通してい
    る小径孔とからなることを特徴とするファスナー。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の
    ファスナーにおいて、上記筒部材は、 外周面から径方向外方に突き出している回り止め突起を
    備えていることを特徴とするファスナー。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001054662A (ja) * 1999-08-19 2001-02-27 Osaka Seiki Kk 遊技機における装着部品座板等の固着構造
JP2006057671A (ja) * 2004-08-18 2006-03-02 Nippon Pop Rivets & Fasteners Ltd ブラインドリベット
KR100821175B1 (ko) * 2006-04-05 2008-04-11 홍성산업 주식회사 건축용 리벳을 이용한 심축머리가 노출되지 않게 브라켓과 패널을 고정하는 방법

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