JPH09194240A - 焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理法 - Google Patents

焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理法

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JPH09194240A
JPH09194240A JP8026155A JP2615596A JPH09194240A JP H09194240 A JPH09194240 A JP H09194240A JP 8026155 A JP8026155 A JP 8026155A JP 2615596 A JP2615596 A JP 2615596A JP H09194240 A JPH09194240 A JP H09194240A
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molten
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    • C04B2111/542Artificial natural stone

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ごみ焼却灰の溶融スラグから、無害化されか
つ緻密に再結晶したコンクリート用人工骨材としての人
工岩石を合成すること。 【解決手段】 ごみを焼却する際に、焼却灰を溶融させ
る後の工程で溶融スラグ4のMgO含有量が5%〜20
%となるようにMg化合物を焼却炉に供給し、発生する
焼却灰の成分を調整しておく。焼却灰を還元溶融するこ
とにより焼却灰中のFe系酸化物を還元して溶融銑鉄2
を滞留させると同時に、重金属類等を可及的に含まない
溶融スラグ4を生成して溶融銑鉄2の上部に滞留させ
る。溶融スラグ4を溶融銑鉄2とは独立して出滓した後
に徐冷した状態で共晶凝固現象に基づいて一次再結晶さ
せる。一次再結晶した鋳造スラグ4Aを約1,000℃
の温度雰囲気に保持して、鋳造スラグ4A中に残留する
非晶質部分を二次再結晶させることにより、緻密な再結
晶した人工岩石24が生成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却灰溶融スラグ
からの人工岩石合成処理法に係り、詳しくは、生活ごみ
や下水汚泥または産業廃棄物等の焼却灰を溶融し、焼却
灰に含まれる重金属類や還元可能な酸化物を溶融還元し
て除去すると共にSiO2 等の鉱物質を主成分とする溶
融スラグを生成する技術であって、特に溶融スラグから
有害金属を可及的に含まない天然岩石に極めて近い組成
のコンクリート用人工骨材として供することができる人
工岩石を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家庭から出るごみや産業廃棄物は焼却さ
れ下水汚泥等は乾燥粉とされることによって減容化さ
れ、埋立地等に廃棄される。しかし、投棄地の容量にも
限界があり、より一層の減容化や再資源化の努力が払わ
れるようになってきている。最近では、資源のリサイク
ル化の観点に立った研究が進み、堆肥化や有価物の回収
といったことも行われる。このような再資源化には無害
化処理が重要であるが、特に注目を浴びるようになって
きている生活ごみや下水汚泥または産業廃棄物等の焼却
灰の溶融スラグから建築資材等を再生する場合も同様で
ある。
【0003】焼却灰を1,500℃以上の温度で溶融す
ると、焼却灰中の可燃物が燃焼しダイオキシンは完全に
分解されること、重金属類はガラス質のスラグ中に閉じ
込められること、焼却灰を1/3以下に減容できること
などの利点が挙げられる。これは、焼却灰中の無機分も
溶けて融液となり、それを冷却すると固化したスラグと
することができるからである。
【0004】ところで、そのスラグは、路盤材や建築土
木用骨材として使用されたり、成形することによってタ
イルや装飾品に加工することができる。いずれにおいて
も、無害化や化学的安定性が要求されることは言うまで
もないが、そのような溶融スラグを生成させて人工骨材
を製造する方法や装置が種々提案されている。溶融スラ
グを生成する代表的なものとして、旋回溶融法,電気溶
融法,コークス燃焼還元溶融法,表面溶融法といったも
のが採用されている。
【0005】旋回溶融法は、焼却灰をアノルサイトCa
O・2SiO2 ・Al2 3 の結晶が析出しやすい組成
に成分調整し、旋回炉を用いて焼却灰を1,400℃な
いし1,450℃の雰囲気で溶融させ、それを急冷して
ガラスとし、その非晶質なスラグを再加熱してアノルサ
イトを均一に析出させ、石材化する方法である。これ
は、焼却灰に含まれている鉄分と硫黄分から硫化鉄を生
成させ、それを結晶核形成物質として利用している。
【0006】ところで、焼却灰を溶融したときのスラグ
の主成分はCaO,SiO2 ,Al2 3 ,FeO,M
gOである。FeOおよびMgOは比較的少ないのでス
ラグをCaO−SiO2 −Al2 3 の三元系とみなす
と、Al2 3 の多い焼却灰ではスラグ融点が非常に高
くなりまた粘性も増大する。したがって、流動性の良い
スラグの生成は妨げられ、炉からの出滓が困難となりま
た組成分の結晶化も得られにくい。
【0007】上記した電気溶融炉においてスラグ融点を
低下させかつ流動性を改善するようにしたものが、特開
平4−354575号公報や特開平4−358584号
公報に記載されている。これは、金属溶湯上に焼却灰を
投入してアーク加熱により溶融するが、溶融スラグの粘
度が高くなるから、前者では溶融スラグにFeOを添加
している。また、後者では金属溶湯の表面および溶融ス
ラグの表面を酸化性雰囲気にすることによって、溶融ス
ラグ中にFeOが生成されるようにしている。このよう
な操作によれば、スラグに残存する5%ないし20%の
FeOによってCaO−SiO2 −Al2 3 −FeO
系を形成させることができ、スラグ融点は低下し、スラ
グの流動性も改善される。
【0008】コークス燃焼還元溶融法の例としては、特
開平4−132642号公報に記載された結晶化スラグ
の製造法がある。溶融炉で溶融させたスラグに石灰また
は珪酸分の多い砕石を添加し、ガラス化を経ることな
く、Al2 3 が10%ないし22%、CaOが24%
ないし44%、Fe2 3 が2%ないし20%、SiO
2 が28%ないし45%の組成をなすようにした結晶化
スラグを直接生成させることができるようにしている。
【0009】ところで、塩基度(CaO/SiO2 の重
量比)が低くすぎると溶融スラグの粘性は高くなって結
晶化が進みにくくなり、高すぎるとスラグ融点が高くな
って溶融処理のためのエネルギ消費は増大する。したが
って、上記の溶融炉中のスラグの塩基度が低いときには
CaOを添加し、高いときにはSiO2 を添加して塩基
度が0.6ないし1.5となるように調整される。
【0010】上記した表面溶融法では、焼却灰を高温で
処理する際に有機物が熱分解して燃焼するときのエネル
ギを使用することにより無機物を溶融させている。炉頂
に燃焼装置を備えた垂直軸回りに回転する炉体と、焼却
灰が装入された炉体の上方を覆うアーチ形反射天蓋とを
備える竪型回転炉が使用され、その天蓋を上下させて炉
負荷が調整されるようになっている。炉体の下方には二
次燃焼炉があり、排出された溶融スラグはさらに加熱さ
れる。このような表面溶融炉においては、可燃物の燃焼
によって発生する熱を利用するので、低燃費の操業が実
現される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記した旋回溶融法で
は焼却灰に予熱空気を吹き込んで旋回させ、ガスやオイ
ルの燃焼によって加熱するようにしている。酸化性雰囲
気で焼却灰を溶融するのでスラグにはFeOが混入し、
それを急冷させるとガラス状になる。また、生成された
スラグには気泡が混じり、そのまま固化させると多孔質
なスラグとなりやすい。そのため、溶融スラグを脱泡処
理した後に熱処理しなければならず、スラグ生成設備は
複雑化する。しかも、ガラス状スラグを再結晶させるた
めには1,200℃以上の雰囲気に保持する必要があ
り、結晶化炉において多大のエネルギ消費を伴う。な
お、ガラス化したスラグは熱伝導性が極めて低く、それ
ゆえ結晶化のエネルギ節減を図るため固化スラグを小粒
化しておく必要があり、コンクリート用骨材として要求
される粒の大きい石材を得ることができない。
【0012】電気溶融法では、酸化性雰囲気で生成され
る溶融スラグ中のFeOが6%ないし15%と高いので
炉床部や出滓部近傍の耐火物は侵蝕されやすく、炉の寿
命が短くなる。また、FeOを添加してCaO−SiO
2 −Al2 3 の三元系のスラグを四元系に改質しスラ
グ融点を低下させているが、溶融スラグを水砕した場合
には粒状水砕スラグとなって非常に脆弱な非晶質となる
一方、徐冷した場合はスラグ中のFeOが再結晶化を阻
み、天然岩石からかけ離れたスラグ塊となる。それのみ
ならず、スラグにFe等の重金属が残留することにな
り、それらをスラグに固定させることができるといえど
も、いずれは溶出する不安定さが残る。
【0013】コークス燃焼還元溶融法は竪型シャフト炉
に投入したコークスによって形成されるコークスベッド
中で焼却灰を溶融還元するので、溶融スラグ中のFeO
は減少する。しかし、コークス灰中のAl2 3 が溶融
スラグに溶解し、Al2 3の含有率は高くなってCa
O−SiO2 −Al2 3 系のスラグ融点が高くなりま
たスラグの流動性も悪化し、炉体からのスラグ排出は円
滑とならず操業が阻害される。そこで、この還元溶融法
においては、スラグ融点が高くならない範囲で石灰石を
添加し、流動性を改善している。しかし、この成分調整
によって生成されたスラグはCaOの含有量が多くなる
ことから消化しやすくなり、長期にわたる性状の安定や
機械的強度の維持が要求されるコンクリート用人工骨材
として使用するためには不適当である。
【0014】表面溶融法では、無機物を溶融させるため
電気溶融法と同様にFeOを焼却灰に添加して、溶融ス
ラグの流動性の向上が促されるが、溶融スラグ中に金属
酸化物を残留させることになる。その結果、溶融スラグ
を徐冷しても組成分の結晶化が十分に進まず、重金属類
の溶出は不可避であって、コンクリート用人工骨材にふ
さわしい天然岩石とはかけ離れた石材となる。
【0015】以上の説明から把握されるように、焼却灰
の各種溶融法は、焼却灰の組成を是認して溶融処理し石
材としての利用を実現するものである。すなわち、スラ
グ中に有害物質や金属成分の封じ込めを図って安全性を
確保しようとしている。しかし、固化スラグ中に重金属
類が含有されるのでそれらがいずれは溶出する可能性が
あって、スラグの無害化は十分でない。それのみなら
ず、焼却灰中の金属資源の回収がなされず、焼却灰の完
全な再資源化が阻まれる。
【0016】また、溶融スラグを固化させる際にスラグ
組成分を可及的完全に再結晶させる処理が施されておら
ず、天然岩石からはほど遠い非晶質な部分を残した石材
となる。これは、溶融スラグの流動性を向上させるため
にFeOやCaOを添加したり、スラグ融点の低下を促
進するためにSiO2 を配合する結果、多元系相平衡状
態における共晶凝固現象を考慮した熱処理をすることが
できなくなることに基因している。したがって、このよ
うな固化スラグは建築資材としての良質なコンクリート
用人工骨材とはなり難く、非晶質(ガラス質)のままで
使用することが可能な路盤材や緑農地化の資材として利
用できるにすぎない。
【0017】ちなみに、特開平4−139040号公報
には、連続した金型に溶融スラグを鋳込み、移送しなが
ら外気温により徐冷してスラグブロックを成形させるよ
うにした装置が記載されている。しかし、コンベアによ
る搬送中には溶融スラグがメタル面に接触するときの初
期冷却速度を制御することが困難であり、結局は急激に
冷却されるために非晶質化し、方向性のある脆い組織と
なることは避けられない。
【0018】本発明は上記した背景に鑑みなされたもの
で、その目的は、焼却灰の溶融に投入したエネルギの放
散を少なくして溶融スラグの結晶化に要するエネルギの
節減を図ることができること、溶融スラグ中の還元容易
な金属分を分離してその再利用を可能にすると共に、有
害物質の含有を可及的に少なくして安全性が高く、天然
岩石に極めて近い硬質な塊状の建設資材を製造できるこ
と、を実現した焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処
理法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、生活ごみ,下
水汚泥,産業廃棄物等のごみを焼却して生じた焼却灰の
溶融スラグから人工岩石を合成する処理法に適用され
る。その特徴とするところは、図1および図9を参照し
て、まず、溶融スラグ4を生成させる次工程で可及的に
低融点でありかつ共晶凝固する組成を有した溶融スラグ
4を生成させるべく、その溶融スラグ4のMgO含有量
が5%ないし20%までの範囲における目標%もしくは
それに極めて近似した含有%となるように、ごみ92を
焼却して発生した排ガス中の硫黄酸化物や塩素系物質等
を除去するために添加されるMg化合物90の粉末また
はスラリーを、焼却炉80内の排ガス中に吹き込みなが
らごみ92を焼却する。次に、焼却炉80で発生した焼
却炉灰93を還元剤を用いて還元溶融することにより焼
却炉灰93中のFe系酸化物を還元して生成された溶融
銑鉄2を滞留させ、他の重金属類および還元可能な酸化
物類を還元して生じた元素を溶融銑鉄2中に溶解させる
と共に、ガス含有率が極めて低く重金属類等を可及的に
含まない溶融スラグ4を生成して溶融銑鉄2の上部に滞
留させる。その溶融スラグ4を溶融銑鉄2とは独立して
出滓した後に、溶融スラグ4を徐冷した状態で共晶凝固
現象に基づいて一次再結晶させる。そして、一次再結晶
した鋳造スラグ4Aを900℃ないし1,200℃の温
度雰囲気に保持することにより、鋳造スラグ4A中に残
留する非晶質部分を二次再結晶させると共に残留内部歪
を除去し、溶融スラグ4からガス含有率の極めて低い、
組織の緻密な再結晶した人工岩石24を生成させること
である。
【0020】請求項2においては、まず、溶融スラグ4
を生成させる次工程で可及的に低融点でありかつ共晶凝
固する組成を有した溶融スラグ4を生成させるべく、溶
融スラグ4のMgO含有量が5%ないし20%までの範
囲における目標%もしくはそれに極めて近似した含有%
となるように、ごみ92を焼却して発生した排ガス中の
硫黄酸化物や塩素系物質等を除去するために添加される
Mg化合物90の粉末またはスラリーを、焼却炉80内
の排ガス中に吹き込みながらごみ92を焼却する。次
に、還元剤を用いることにより焼却炉80で発生した焼
却炉灰93を還元溶融して溶融スラグ4を生成する際も
しくはそれに先だち、溶融スラグ4のMgO含有量が目
標%もしくはそれに極めて近似した含有%となるように
MgOを含有する冶金滓または天然鉱物類を焼却炉灰9
3に添加し、可及的に低融点となりかつ共晶凝固する組
成を有した溶融スラグ4が得られるように成分調整す
る。成分調整された焼却炉灰93を還元溶融することに
より焼却炉灰93中のFe系酸化物を還元して生成され
た溶融銑鉄2を滞留させ、他の重金属類および還元可能
な酸化物類を還元して生じた元素を溶融銑鉄2中に溶解
させると共に、ガス含有率が極めて低く重金属類等を可
及的に含まない溶融スラグ4を生成して溶融銑鉄2の上
部に滞留させる。その溶融スラグ4を溶融銑鉄2とは独
立して出滓した後に、溶融スラグ4を徐冷した状態で共
晶凝固現象に基づいて一次再結晶させる。そして、一次
再結晶した鋳造スラグ4Aを900℃ないし1,200
℃の温度雰囲気に保持することによって、鋳造スラグ4
A中に残留する非晶質部分を二次再結晶させると共に残
留内部歪を除去し、溶融スラグ4からガス含有率の極め
て低い、組織の緻密な再結晶した人工岩石24を生成さ
せる。
【0021】請求項3においては、焼却炉灰93を還元
剤を用いて還元溶融する際に、焼却炉80の排ガス処理
設備81で捕捉された捕集灰94を焼却炉灰93に添加
することである。
【0022】請求項4においては、まず、溶融スラグ4
を生成させる次工程で可及的に低融点でありかつ共晶凝
固する組成を有した溶融スラグ4を生成させるべく、溶
融スラグ4のMgO含有量が5%ないし20%までの範
囲における目標%もしくはそれに極めて近似した含有%
となるように、ごみ92を焼却して発生した排ガス中の
硫黄酸化物や塩素系物質等を除去するために添加される
Mg化合物90の粉末またはスラリーを焼却炉80内の
排ガス中に吹き込み、かつ、Mg化合物91の粉末を焼
却炉80の排ガス処理設備81へ導入された排ガス中に
吹き込みながらごみ92を焼却する。次に、焼却炉80
で発生した焼却炉灰93と排ガス処理設備81で捕捉さ
れた捕集灰94とを合わせた焼却灰95を還元剤を用い
て還元溶融することにより焼却灰95中のFe系酸化物
を還元して生成された溶融銑鉄2を滞留させ、他の重金
属類および還元可能な酸化物類を還元して生じた元素を
溶融銑鉄2中に溶解させると共に、ガス含有率が極めて
低く重金属類等を可及的に含まない溶融スラグ4を生成
して溶融銑鉄2の上部に滞留させる。その溶融スラグ4
を溶融銑鉄2とは独立して出滓した後に、溶融スラグ4
を徐冷した状態で共晶凝固現象に基づいて一次再結晶さ
せる。そして、一次再結晶した鋳造スラグ4Aを900
℃ないし1,200℃の温度雰囲気に保持することによ
り、鋳造スラグ4A中に残留する非晶質部分を二次再結
晶させると共に残留内部歪を除去し、溶融スラグ4から
ガス含有率の極めて低い、組織の緻密な再結晶した人工
岩石24を生成させることである。
【0023】請求項5においては、まず、溶融スラグ4
を生成させる後工程で可及的に低融点でありかつ共晶凝
固する組成を有した溶融スラグ4を生成させるべく、溶
融スラグ4のMgO含有量が5%ないし20%までの範
囲における目標%に近づくように、ごみ92を焼却して
発生した排ガス中の硫黄酸化物や塩素系物質等を除去す
るために添加されるMg化合物90の粉末またはスラリ
ーを焼却炉80内の排ガス中に吹き込み、かつ、Mg化
合物91の粉末を焼却炉80の排ガス処理設備81へ導
入された排ガス中に吹き込みながらごみ92を焼却す
る。次に、還元剤を用いることにより焼却炉80で発生
した焼却炉灰93と排ガス処理設備81で捕捉された捕
集灰94とを合わせた焼却灰95を還元溶融して溶融ス
ラグ4を生成する際もしくはそれに先だち、溶融スラグ
4のMgO含有量が目標%もしくはそれに極めて近似し
た含有%となるようにMgOを含有する冶金滓または天
然鉱物類を焼却灰95に添加し、可及的に低融点となり
かつ共晶凝固する組成を有した溶融スラグ4が得られる
ように成分調整する。成分調整された焼却灰95を還元
溶融することにより焼却灰95中のFe系酸化物を還元
して生成された溶融銑鉄2を滞留させ、他の重金属類お
よび還元可能な酸化物類を還元して生じた元素を溶融銑
鉄2中に溶解させると共に、ガス含有率が極めて低く重
金属類等を可及的に含まない溶融スラグ4を生成して溶
融銑鉄2の上部に滞留させる。その溶融スラグ4を溶融
銑鉄2とは独立して出滓した後に、溶融スラグ4を徐冷
した状態で共晶凝固現象に基づいて一次再結晶させる。
そして、一次再結晶した鋳造スラグ4Aを900℃ない
し1,200℃の温度雰囲気に保持することにより、鋳
造スラグ4A中に残留する非晶質部分を二次再結晶させ
ると共に残留内部歪を除去し、溶融スラグ4からガス含
有率の極めて低い、組織の緻密な再結晶した人工岩石2
4を生成させるようにしたことである。
【0024】図10を参照して、上記の一次再結晶させ
る鋳造の工程と二次再結晶させる熱処理の工程とに代え
て、溶融スラグ4を溶融銑鉄2とは独立して出滓した後
に900℃ないし1,200℃の温度雰囲気に保持し、
共晶凝固現象に基づいて溶融スラグ4を一次再結晶さ
せ、かつ、残留する非晶質部分を二次再結晶させると共
に残留内部歪を除去する鋳造熱処理工程としてもよい。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、焼却灰の還元溶融によ
りFe系酸化物ならびにその他の重金属類や還元可能な
酸化物類を含まず、また、CaO−SiO2 −Al2
3 の三元系の限られた共晶点の範囲をMgOを添加した
四元系に改質することにより拡大し、四元系相平衡状態
で共晶凝固可能な溶融スラグを生成しやすくすることが
できる。共晶凝固した一次再結晶スラグを熱処理によっ
て僅かな残余非晶質部分をさらに二次再結晶させるか
ら、天然岩石に極めて近似した人造石材を得ることがで
きる。その際、一次再結晶に消費したエネルギの大部分
は二次再結晶に利用され、固化スラグを小粒化しておか
なくても、エネルギ消費を可及的に低減することができ
る。
【0026】焼却炉において生活ごみ,下水汚泥,産業
廃棄物等のごみを焼却する際に、ごみ焼却排ガス中の硫
黄酸化物や塩素系物質等を除去するために吹き込まれる
Mg化合物の粉末またはスラリーによって、焼却灰を溶
融させたときに生じる溶融スラグのMgO含有量が5%
ないし20%までの範囲における目標%となるようにし
ておけば、焼却灰を還元溶融して溶融スラグを生成する
とき可及的に低融点となりかつ共晶凝固する組成を有し
た溶融スラグが得られるようになる。また、焼却灰を溶
融させたときに生じる溶融スラグのMgO含有量が目標
%に近づけられていれば、可及的に低融点となりかつ共
晶凝固する組成を有した溶融スラグが得られるように成
分調整するとき、MgOを含有する冶金滓または天然鉱
物類の焼却灰への添加量を少なくすることができる。
【0027】焼却灰は還元性雰囲気で溶融されるので、
溶融スラグが炉床部や出滓部近傍の耐火物を侵蝕させる
こともなく、炉寿命は長く保たれる。そして、焼却灰中
のFe系酸化物を還元し、他の重金属類および還元可能
な酸化物類も除去され、ガス含有率の極めて低い溶融ス
ラグが得られる。還元によって生成された溶融銑鉄は回
収して再資源化も可能である一方、重金属類の溶出しな
いまでに無害化されたコンクリート用人工骨材を得るこ
とができる。焼却灰にMgOを添加することによって溶
融スラグの流動性も改善され、CaOを過剰に添加する
必要もなくスラグ融点の低下にも寄与する。したがっ
て、溶融スラグから人工岩石を合成するための工程にお
ける取り扱いが容易となる。生成された合成岩石は消化
性を伴うことなく長期間の性状安定や機械的強度が確保
される。鋳造工程と該鋳造工程に続く熱処理工程とに代
えて鋳造熱処理工程とすれば、岩石合成処理工程が少な
くなり、そのための装置も簡素化することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る焼却灰溶融
スラグからの人工岩石合成処理法および装置を、その実
施の形態を表した図面をもとに詳細に説明する。図1
は、生活ごみ,下水汚泥,産業廃棄物等を焼却して生じ
た焼却灰の溶融スラグをコンクリート用人工骨材とする
ための人工岩石合成処理装置の例であり、その主たる構
成は還元溶融炉1,スラグブロック成形鋳型10,熱処
理炉14とからなる。
【0029】還元溶融炉1は少なくとも溶湯を貯溜する
部分および溶融スラグを滞留させる部分を確保した炉体
を備えるもので、図の例では、比重の大きい溶融銑鉄2
を貯溜する溶湯溜め部3、生成された溶融スラグ4を溶
融銑鉄2上に滞留させる溶融スラグ溜め部5、溶融スラ
グ4の上方空間であって焼却灰が堆積する原料収容部6
を備えた電気溶融炉1Aが採用されている。
【0030】電気溶融炉1Aは、三相,単相の交流電気
炉もしくは直流の電気炉のいずれのタイプでもよいが、
図では簡略化して描かれたサブマージドアーク直流抵抗
炉の例となっている。その原料収容部6には、焼却灰に
予めコークスブリーズや造滓材としての副資材を配合し
た粉粒状の原料7が投入され、後述するサブマージドア
ーク電気溶融法により時間をかけて還元溶融されるよう
になっている。
【0031】炉蓋1aにはその中央で昇降する可動電極
8が配置され、可動電極8の下部周囲へ原料7を装入す
る図示しないスクリューフィーダやシュートが炉蓋1a
に取り付けられる。炉体1bには溶湯溜め部3の溶融銑
鉄2を意図的に少し残して排出する出銑口3aが設けら
れる一方、溶融銑鉄2の上部に滞留した溶融スラグ4を
排出する出滓口5aも設けられ、出滓栓5bを抜いて後
述する工程で必要な量を短時間のうちに流出させること
ができる。なお、出滓栓5bにガス供給孔5cを設け
て、溶融処理中に出滓口5aの近傍の溶融スラグ4を攪
拌するためのガスを送り、出滓時のスラグ閉塞を防止す
るようにしておくこともできる。
【0032】このような電気溶融炉1Aでは、焼却灰中
のFe系酸化物が還元され溶融銑鉄2を生成して溶湯溜
め部3に貯溜すると共に、他の重金属類Cr,Ni,C
o,Cu,Mn,Mo等および還元可能なP2 5 やA
s酸化物等を還元して生じた元素P,As等を溶融銑鉄
2に溶解させることができるようになっている。同時
に、上記の重金属類等を可及的に含まない溶融スラグ4
を生成して溶融銑鉄2の上部に滞留させ、その滞留時間
を十分に確保して脱泡し、ガス含有率が極めて低い溶融
スラグ4とする。
【0033】ところで、電気溶融炉1Aに装入される原
料7が生活ごみ,下水汚泥,産業廃棄物等をごみ焼却炉
によって焼却した焼却炉灰である場合、その焼却炉灰を
還元溶融して溶融スラグを生成させる工程で可及的に低
融点でありかつ共晶凝固する組成を有した溶融スラグを
生成させるべく、後で詳しく述べるように、溶融スラグ
のMgO含有量が5重量%ないし20重量%(以下%と
表示する)までの範囲における目標%に近づくように、
Mg化合物の粉末またはスラリーを焼却炉内の排ガス中
に予め吹き込んでおく。
【0034】上記の還元溶融精錬においては一般的にS
iO2 ,CaO,Al2 3 を主成分とする溶融スラグ
が生成されるが、その溶融スラグ4のMgO含有量が5
%ないし20%までの範囲における目標%もしくはそれ
に極めて近似した含有%となるように、MgOを含有す
る冶金滓や天然鉱物類が焼却灰に副資材として添加さ
れる。これによって、CaO−SiO2 −Al2 3
MgOの四元系とみなすことができるスラグが得られ
る。そして、四元系相平衡状態における共晶点に可及的
に近似した成分組成に調整すれば、溶融スラグ4の融点
は最も低下しかつ共晶凝固現象を呈しやすくなる。すな
わち、CaO−SiO2 −Al2 3 の三元系にMgO
を添加すると、該三元系の限られた共晶点の発生領域を
拡大することが可能となる。
【0035】上記したMgOを含有する冶金滓として
は、高炉滓,製鋼滓,フェロニッケル製錬滓やCu製錬
滓等の非鉄冶金滓などであり、天然鉱物類としてはMg
Oの含有率が34%と高い橄欖石(Mg・Fe)2 Si
4 ,蛇紋岩およびこれらの焼成が使用される。な
お、MgOを添加するという意味からは、54%前後の
SiO2 を含有するが36%前後のMgOを含有しそれ
らが一旦溶融したフェロニッケル製錬滓が最も好まし
く、その製錬滓の再利用の途も図られて都合がよい。ち
なみに、必要に応じて石灰石CaCO3 やドロマイトC
aCO3 ・MgCO3またはそれらの焼成物などが添加
される。
【0036】電気溶融炉1Aの近くには、出滓口5aか
ら2時間ないし3時間ごとに間歇的に排出された溶融ス
ラグ4を受けるスラグ受け樋9が配置され、それを介し
て熱放散を抑制すべく短時間のうちに溶融スラグ4が鋳
込まれるスラグブロック成形鋳型10が多数配列され
る。この鋳型10はスラグ内に共晶凝固現象に基づいた
一次再結晶を図るためのものであり、断熱性耐火物によ
り形成され、溶融スラグ4が内部まで急速に凝固しない
ように保温してブロック状の鋳造スラグ4Aを成形させ
るような大きさとなっている。すなわち、急冷による非
晶質の発生を抑制したりスラグの内部保有熱の消散を可
及的に少なくすることができればよいので鋳型は金属製
でもよいが、鋳込み面は断熱材耐火物などで覆われ、徐
冷作用の有するものが採用される。
【0037】スラグブロック成形鋳型10は溶融スラグ
4の排出量に見あった数が必要であり、しかも、スラグ
受け樋9から流下する溶融スラグ4を連続して鋳込まな
ければならない。そのため、各鋳型10はコンベア11
に一列に配置して固定されている。コンベア11は成形
鋳型10を搬送する間に所定量の溶融スラグ4を鋳込む
ことができると共に、共晶凝固させかつその一次再結晶
が完了した直後の鋳造スラグ4Aを脱型させることがで
きる長さに選定される。
【0038】上記の成形鋳型10は、例えば図2(a)
に示すように、所望するサイズの鋳造スラグを成形する
に必要な大きさの器であり、(b)示すように、隣りあ
う鋳型10の端部とは重なりあって連続している。各鋳
型10は、その底面に固定されるブラケット10aに取
り付けた無端状チェーン12によって移動される。コン
ベア11の一端まで搬送された鋳型10はチェーン12
が反転する際に図1のごとく転倒姿勢となり、鋳造スラ
グ4Aは成形鋳型10からシュート13上に落とされる
ようになっている。
【0039】シュート13の出口側には、熱処理炉14
が設置されている。これは、成形鋳型10から脱型され
た鋳造スラグ4Aが投入される炉体15とその炉体15
内の保温を図る加熱手段16とを有している。そして、
加熱手段16による保温作用と鋳造スラグ4Aの内部か
らの復熱作用とによって残留非晶質部分を二次再結晶さ
せると共に、鋳造による残留内部歪を除去して固化した
スラグの脆弱性を回避し、ガス含有率が極めて低く組織
の緻密な再結晶した人工岩石を生成させるようになって
いる。
【0040】図1の例では熱処理炉14は回転炉14A
であり、成形鋳型10から脱型された800℃ないし
1,200℃の鋳造スラグ4Aを収容する回転炉体15
Aと、鋳造スラグ4Aを保温するための加熱バーナ16
Aとを有している。そして、一次再結晶している鋳造ス
ラグ4Aは、二次再結晶のために900℃ないし1,2
00℃の温度雰囲気に1時間ないし2時間保持される。
【0041】もう少し詳しく述べると、回転炉体15A
は外周を前後のタイヤ15tによって支持され、ギヤー
15m,リングギヤー15nを介して炉体の軸線回りに
矢印17のように例えば1rpm程度で回転される。加
熱バーナ16Aは大きい火炎16aを発生させ、炉体の
裏張り耐火壁15aおよび鋳造スラグ4Aの堆積する表
層を加温するものであり、空気供給管を伴って炉体15
Aの軸線上の炉底部に設置される。炉体は通常水平な姿
勢であるが、鋳造スラグ4Aの装入や二次再結晶の完了
した固化スラグを排出するために、仮想線で示したトラ
ニオン軸15bを中心に破線のごとく傾動できるように
なっている。
【0042】このような装置によれば、以下のようにし
て、焼却炉灰を還元溶融しまた共晶凝固による一次再結
晶ならびに非晶質部分の熱処理による二次再結晶によ
り、ガス含有率の極めて低い組織の緻密な良質のコンク
リート用人工骨材としての人工岩石を合成することがで
きる。
【0043】まず、焼却炉灰に予めコークスブリーズを
配合した粉粒状の原料7を図3に示したスクリューフィ
ーダ21,21などを用いて電気溶融炉1Aの炉蓋1a
の装入孔22から、炉体1bに降ろされた可動電極8を
覆うように供給する。焼却炉灰を還元溶融精錬すればS
iO2 ,CaO,Al2 3 を主成分とする溶融スラグ
が生成されるが、MgOが5%ないし20%までの範囲
における目標%もしくはそれに極めて近似した含有%の
溶融スラグ4となるようにして共晶凝固現象を発現させ
やすくすべく、フェロニッケル製錬滓もしくは橄欖石等
が、その他の造滓材と共に焼却炉灰7に添加される。
【0044】ちなみに、MgOの目標%が5%ないし2
0%の範囲内としているのは、5%以下であるとMgO
を添加する余地が少なく成分調整の範囲に限りが生じる
からであり、20%を越えるとスラグの溶融温度が高く
なり、溶解エネルギが増大するからである。また、必要
に応じて若干量の石灰石等も加えられ、CaO−SiO
2 −Al2 3 −MgOの四元系相平衡状態における共
晶点もしくはそれに可及的に近似した状態で共晶凝固さ
せることができる組成を有した溶融スラグが得られよう
に成分調整する。
【0045】可動電極8に通電し、原料7を後述するサ
ブマージドアーク電気溶融により2時間ないし3時間を
かけて溶融還元する。このときの約1,500℃の熱に
より可燃物が燃焼しダイオキシンは分解されまた有害な
Zn等の低沸点物質はガス化して排出される。焼却炉灰
7の粉粒体は比重が小さくかつ電気伝導度も低いが、原
料中にコークスブリーズが配合されているので、そのカ
ーボンが原料7の導電性を向上させて焼却炉灰が溶融さ
れる。
【0046】その際に、焼却炉灰7中のFe系酸化物を
還元して溶融銑鉄2が生成され、溶湯溜め部3に滞留す
る。他の重金属類および還元可能な酸化物類を還元して
生じた元素は溶融銑鉄2中に溶解すると共に、溶融スラ
グ4が溶融銑鉄2上に生成される。還元反応により発生
するCOガスは、スラグのフォーミングを促進する。溶
融スラグ4上にフォーミングスラグ18が形成され、そ
れと原料層との境界にカーボン浮遊層19が発生する。
【0047】炉体1bに降ろされた可動電極8の下部位
はカーボン浮遊層19で覆われたフォーミングスラグ1
8に臨むように制御され、かつ、アークは常時原料7や
フォーミングスラグ18に覆われたサブマージドの状態
となる。カーボン浮遊層19で発生するアークにより原
料7の加熱のみならず、フォーミングスラグ18から溶
融銑鉄2に至る間での電気抵抗ジュール熱による効率よ
い溶融も実現される。このフォーミングスラグ18の生
成によりアークの発生は極めて少なく、電気抵抗ジュー
ル熱による電力伝達効率の飛躍的に高い値を示す溶融製
錬が可能となるので、電力原単位の低減も図られる。
【0048】焼却炉灰が還元溶融されると、サブマージ
ドアーク状態を維持させるべく、原料7がスクリューフ
ィーダ21から炉蓋1aを経て可動電極8の周囲に分布
するよう逐次追加供給される。図1に示すように炉床に
溜まった溶融銑鉄2は意図的に少量を残し、出銑口3a
から1日ないし2日ごとに溶湯受鍋23に出湯され、鉄
源材として別途利用される。
【0049】一方、溶融スラグ4は溶融銑鉄化した金属
成分等を含まず、その主成分がSiO2 ,Al2 3
CaO,MgOとなり、サブマージドアーク溶融法の採
用により溶融銑鉄2上に時間を掛けて滞留させることに
よって、ガスをほとんど含まない状態となる。したがっ
て、爾後的に脱泡処理を施す必要もなくなる。溶融スラ
グ4は出滓口5aから排出されるが、出滓栓5bを抜い
て例えば2時間ごとに20分という短時間のうちに排出
される。それゆえ、生成された溶融スラグを少しずつ連
続的に排出する場合に比較して、出滓時の溶融スラグ4
からの熱エネルギの放散量も可及的に抑制される。
【0050】コンベア11により矢印20方向へ移動す
るスラグブロック成形鋳型10に、高い熱エネルギを保
有した溶融スラグ4がスラグ受け樋9から熱放散を抑制
すべく短時間のうちに注入される。成形鋳型10は断熱
性耐火物で構成されており、移動している間の溶融スラ
グの急激な冷却は防止され、CaO−SiO2 −Al2
3 −MgOの四元系相平衡状態における共晶点もしく
はそれに可及的に近似した状態で共晶凝固した鋳造スラ
グ4Aが鋳造される。
【0051】例えば、CaOが5%ないし36%、Si
2 が38%ないし55%、Al23 が10%ないし
25%、MgOが5%ないし20%であれば、その共晶
点は1,300℃以下である。1,500℃以上の溶融
スラグはスラグブロック成形鋳型10内において1,3
00℃以下まで液状で降温するが、共晶点の温度になる
と一斉に析出を開始し、「相律」に基づいて全組成が再
結晶するまで温度がおのずと保持される。スラグの温度
が低下することのない再結晶中は鋳型10が移動してい
るコンベア11上にある。再結晶が完了して降温しはじ
めた時点で鋳型10が反転部位に到達するようにコンベ
ア11の移動速度および搬送距離が定められているの
で、一次再結晶した鋳造スラグ4Aは脱型された時点で
も高温を保っている。
【0052】上記のようにして鋳造スラグ4Aは共晶凝
固しているとはいえ、現実には95%ないし97%の再
結晶となっている。残余は非晶質であって細かいガラス
が点在するので、比較的小さな力を掛けるだけで砕け、
その破片は尖ったものとなりやすい。そこで、成形鋳型
10から脱型された鋳造スラグ4Aはシュート13を経
て直ちに二点鎖線のように持ち上げられた炉体15Aに
装入される。
【0053】回転炉体15Aは加熱バーナ16Aによっ
て予め加熱された状態にあり、鋳造スラグ4Aが所定量
投入されるとシュート13が退避し、回転炉体15Aが
実線の位置に降ろされて1rpm程度の速度でゆっくり
と回転する。加熱バーナ16Aから火炎16aを発生さ
せ、耐火壁15aおよび鋳造スラグ4Aの堆積表層が加
温される。炉体15Aの回転により堆積した鋳造スラグ
4Aの下方へ回り込んだ加熱されている耐火壁15aに
触れたり火炎に直接触れた鋳造スラグ4Aは、例えば9
00℃の均一な温度雰囲気に2時間または1,200℃
の温度雰囲気に1時間保持される。
【0054】鋳造スラグ4Aが回転炉14Aに装入され
るとき、その表層が800℃ないし900℃程度まで降
温していても内部は1,100℃ないし1,200℃の
高温であり、加熱バーナ16Aによる1,000℃の保
温中に内部熱が外表に向けて復熱し、表層部に至るまで
残余の非晶質部分の再結晶が図られる。このようにして
二次再結晶の際に鋳造時に生じた内部歪も除去され、ガ
ス含有率の極めて低い組織の緻密な再結晶した人工岩石
が生成される。
【0055】所定の時間が経過すると加熱バーナ16A
を止めて、回転炉体15Aを破線のように持ち上げてト
ラニオン軸15bを中心に傾動し、装入口15cを下方
に向ければ、天然岩石に極めて近い固化スラグ24が排
出される。非晶質を含まない固化スラグは極めて硬く、
破砕しても角が余り立たず表面に凹凸を呈する均質なも
のとなる。なお、コンクリート用人工骨材として使用す
る場合には、適当なサイズに破砕される。
【0056】このようにして得られた人工岩石24は、
電気溶融炉1Aにおいて還元容易な金属分が除去されて
おり、しかも、ガス含有量が極めて少なくなっている。
電気溶融炉で溶融スラグに付与された熱エネルギは、
「相律」による温度保持作用もあいまって途中での消失
が少ない状態で熱処理工程まで迅速に持ち込まれ、再結
晶のための熱エネルギ消費量も大幅に低減される。
【0057】以上の説明から分かるように、焼却炉灰を
還元溶融することによって溶融銑鉄と溶融スラグを生成
し、その溶融スラグにはFe系酸化物ならびにその他の
重金属類や還元可能な酸化物類が可及的に少なくなり、
重金属類の溶出しないまでに無害化された良質のコンク
リート用人工骨材を製造することができる。その際に生
成した溶融銑鉄は別途利用できるので、金属資源の回収
が図られる。
【0058】また、CaO−SiO2 −Al2 3 の三
元系の限られた共晶点の範囲がMgOを添加した四元系
に改質することにより拡大され、四元系相平衡状態で共
晶凝固可能な溶融スラグを生成することができる。Mg
Oを添加することによって溶融スラグの流動性も改善さ
れ、CaOを過剰に添加する必要もなくスラグ融点の低
下にも寄与させることができる。したがって、溶融スラ
グから人工岩石を合成する工程における取り扱いが容易
となり、生成された合成岩石は消化性を伴うことなく長
期間の性状安定や機械的強度が確保される。共晶凝固し
た一次再結晶スラグを熱処理によって僅かな残余非晶質
部分をさらに二次再結晶させるので、天然岩石に極めて
近似した人工岩石を合成することができる。
【0059】焼却炉灰にはコークスブリーズが配合さ
れ、原料の導電性が高くなって溶融化が促進され、ま
た、カーボンによる還元が実現される。焼却炉灰は還元
性雰囲気で溶融されるので、溶融スラグが炉床部や出滓
部近傍の耐火物を侵蝕させることもなく、炉寿命は長く
保たれる。それのみならず、フォーミングスラグの発生
を促して電力伝達効率の向上による電力原単位の低減に
大きく寄与する。溶融スラグは溶融銑鉄上に時間を掛け
て滞留されるので、その間の脱泡作用によりガス含有率
が極めて低くなり、溶融スラグの爾後的な脱泡操作も不
要となる。
【0060】さらに、溶融スラグは所定時間ごとの短時
間出滓と迅速な移行形態により、その間での保有熱エネ
ルギの消散が可及的に抑制される。一次再結晶に消費し
たエネルギの大部分は二次再結晶に利用される。それゆ
え、固化スラグを小粒化しておかなくても、エネルギ消
費を可及的に低減することができ、再結晶のための加熱
エネルギの低減も図られる。
【0061】ちなみに、上記の説明においては、焼却炉
灰に予めコークスブリーズを配合した粉粒状の原料を電
気溶融炉に装入しているが、焼却炉灰は極めて細かい粉
体であることが多い。そこで、MgOが5%ないし20
%までの範囲における目標%もしくはそれに極めて近似
した含有%の溶融スラグとなるように粉状のフェロニッ
ケル製錬滓もしくは橄欖石等や他の副原料を混入させた
後にペレタイザーを用いてペレット状原料としておけ
ば、装入時の取扱が容易となり都合がよい。このよう
に、その造粒操作の段階でCaO−SiO2 −Al2
3 −MgOの四元系相平衡状態における共晶点もしくは
それに可及的に近似した状態で共晶凝固させることがで
きる組成を有した溶融スラグが得られように成分調整し
ておいてもよいことは述べるまでもない。
【0062】さらに、電気溶融炉に装入する原料が焼却
炉灰をすでに溶融してスラグ化したものであれば、それ
を電気溶融炉で還元溶融するに先だち、焼却炉灰の固化
スラグと共にコークスブリーズやMgO増補材ならびに
副原料を電気溶融炉に装入したり、予め焼却炉灰の固化
スラグにコークスブリーズ,MgO増補材,副原料を配
合しておいたうえで装入するか、それらをペレット化し
た後に装入するというような装入形態を採ることもでき
る。
【0063】ところで、電気溶融炉1Aはサブマージド
アーク抵抗炉であれば三相または単相交流形や直流形の
いずれの形式を採用してもよい。しかし、三相交流形は
電極間でアークの発生する方向に偏りが生じたり、原料
の堆積表層のみを加熱する傾向がある。すなわち、各電
極下で形成される溶融ゾーンのバランスが悪くなり、と
りわけ比重の小さい電気伝導度の低い粉粒状原料の場合
に要求される穏やかな還元溶融は実現されがたく、その
結果、均一な加熱状態を得ることができなくなる。ま
た、単相交流形では常に交流電力が往復するので、原料
の加熱が局部的となる。そこで、炉の構造が簡単で制御
しやすく、また、後述する理由によって電気エネルギの
供給が最も安定する直流電気炉を採用するのが最適であ
る。
【0064】図3は焼却炉灰の還元溶融に適したサブマ
ージドアーク直流抵抗炉であり、炉体1bには可動電極
8が挿入されるが、装入される焼却炉灰7にはFe系酸
化物等の還元すべき酸化物の含有量が少ないのが一般的
であり、電極の消耗量は少ない。そこで、人造黒鉛電極
よりも操作が容易で安価な自焼成のあるゼーダベルグ電
極が採用される。これによって、電極消費に伴うコスト
を著しく低下させることができる。
【0065】炉体1bに設けられる電極として、0.0
2%Cの純鉄鍛造バーであって炉側方から見るとL字状
をなすL形電極25が例えば図4の(b)に示すように
4本使用される。この電極25は図3に示すごとく、鉄
皮内面に耐火物1mを積層して形成した炉壁に埋設され
る垂直部分25aと炉底に配置される水平部分25bか
らなる。垂直部分25aは図4の(a)に仮想線で示す
ように断面が略正方形であり、その中に冷却水を流通さ
せる往路26aとその内方に設けられた復路26bとが
形成される。
【0066】L形電極25の水平部分25bは仮想線で
示すように断面の幅が狭い長方形であり、図4の(b)
に示すように、炉底に沿い炉体中心に向かって真直状に
延びて配置される。この水平部分25bは、図3にある
ようにカーボン粉27で覆われ、炉床を形成するブロッ
クを配置するための平坦面を出しやすくと共に導電性を
高めるためにスタンピングされる。そして、垂直部分2
5aを覆う絶縁耐火物1nの表面やカーボンスタンプ2
8の上に多数の黒鉛ブロック29が炉壁や炉床を形成す
るように配置される。
【0067】ちなみに、垂直部分25aの下端に一体化
された水平部分25bは直流電力を供給するためのもの
であるが、図5に示すように、水平部分25bが、炉体
の鉄皮に沿うように延びる円弧形部25mと、その円弧
形部25mの主として内方に広がる鉄板で形成されたウ
エブ25nとを備えたものとしておいてもよい。そし
て、ウエブ25nの上面には断面が丸または角状の短い
鉄棒25pが多数立設され、そのウエブ25nの炉体中
心部位は可動電極の直径と略同等もしくはそれより大き
い円弧状切欠き25rが形成されている。この例ではウ
エブ25nの平面矢視が半円形となっているので二本の
L形電極25が炉体に装着され、二つのウエブ25n,
25nによって一つの円をなして炉底に配置されること
になる。なお、溶接等によってウエブ25nに取り付け
られた鉄棒25pはカーボンスタンプ28(図3を参
照)との通電性を高め、円弧状切欠き25rはL形電極
25の水平部分25bから可動電極8への電流のショー
トパスを抑制する。
【0068】このようにしておくと、炉床に滞留する溶
融銑鉄2と黒鉛ブロック29とカーボンスタンプ28に
よって、炉床に広く導電性のある部分が形成される。複
数本のL形電極25から給電されて可動電極8との間に
印加される電圧が炉床部全体で均一にかかりやすくな
る。このようにして炉床面に略同一の電位レベルが形成
されると、焼却炉灰7に配合されたコークスブリーズに
よる導電効果と、比重が小さい電気伝導度の低い粉粒状
焼却炉灰の還元溶融に必要な静かな加熱溶融作用とによ
り、原料の迅速で一様な溶融が実現される。もちろん、
前述したフォーミングスラグの形成による電力伝達効率
の向上に基因して電力消費も著しく低減される。
【0069】なお、本電気溶融炉においては、炉床近く
にカーボン物質が存在するので還元性雰囲気が保たれ、
L形電極25の水平部分25bが高温状態におかれても
酸化するおそれはない。一方、垂直部分25aでは炉内
温度が高くなると空気と接触して酸化するおそれがある
ので、上記のごとく水冷されている。ちなみに、L形電
極25はフレキシブル導線30を介して炉周に配置した
コーベル銅板31と接続され、炉体が熱膨張しても影響
を受けることなく電気回路を形成しておくことができ
る。
【0070】図6のように炉蓋1aには装入用の長孔2
2が形成され、貯蔵ビン32の下方のホッパ33に連な
るスクリューフィーダ21の先端で揺動できるようにな
っているシュート21aが臨まされる。そのシュート2
1aおよび長孔22の近傍を覆う仮想線で示したフード
21bによって、コークスブリーズを配合した粉粒体の
原料が外部へ飛散しないように装入される。各装入孔2
2を可動電極8から異なった半径方向距離にしておけば
シュート21aの首振り動作とあいまって原料を炉体内
で分散させることができ、可動電極8の周囲が原料によ
って覆われやすくなる。なお、図に仮想線で表した二つ
のスクリューフィーダ21A,21Aを含めて、120
度間隔の三つのスクリューフィーダを配置する場合、前
記した半径方向距離をそれぞれ違えておけば、原料を一
層広くかつ均一に投入することができる。
【0071】ちなみに、スクリューフィーダに限らず図
示しない密閉型シュートを貯蔵ビン32に接続しておい
てもよい。この場合には、焼却炉灰を赤熱した状態でホ
ットチャージすることもでき、電気溶融炉での電力消費
の飛躍的な節減を図ることができる。このホットチャー
ジによれば原料の流動性は極めて高くなるので、炉内装
入時の分散性がよく、シュート21aの首振り量を小さ
くしたり、装入孔22を短くしておくことができる。
【0072】通常の直流電気炉では運転制御が交流のそ
れよりもシンプルであるが、単相交流電気炉の場合と同
じくアークの及ぶ範囲が局部的となる。L形電極を採用
した本電気炉においては、通常の直流電気炉における運
転の制御性の良さと、L形電極の採用による炉床からの
広範囲な領域をカバーする給電性の向上とにより、炉内
での均一な溶融処理が実現されるという機能面において
も極めて優れた点を備える。
【0073】ちなみに、原料が下水汚泥乾燥粉を含むよ
うな場合には、その乾燥粉中の蛋白質系物質の存在によ
り炉内で加熱される際に悪臭の発生することがある。ま
た、焼却炉灰の場合であっても、堆積する原料の上方空
間には、原料の溶融過程で発生したCOガスが存在す
る。その悪臭物質や未燃ガスを燃焼させるため、図3に
示した炉体上部には空気導入管35が適数本放射状に設
置される。炉内の温度上昇に伴う圧力ドラフトが生じる
と外気が吸入され、自然発火による臭気除去やCOの燃
焼が可能となる。もちろん仮想線で示した補助バーナ3
6を配置しておけば、その燃焼はより一層促進される。
【0074】その補助バーナ36は、火炎が空気導入管
35の導出口に臨み、かつ、円形の炉体に対して接線方
向となるようにしておけば、旋回流の発生を促して燃焼
効率が上がると共に装入されている原料の予熱にも寄与
させることができる。補助バーナによりエネルギの供給
量は増加するが、未燃ガスを燃焼させる程度であるので
全体的には無視できる量である。かえって、上記のごと
く、原料を予熱できることにより電力消費を節減し、電
力原単位の低減も図られる。なお、排ガスは可動電極8
の周囲から排煙フード37を経て集塵機などに送られ
る。
【0075】還元溶融炉としては電気溶融炉に限らず、
図7に示す竪型シャフト炉1Bを採用してもよい。本発
明は、コークス燃焼還元溶融法と同様に、還元剤を用い
て焼却炉灰を還元溶融して溶融スラグを生成することが
できればよいからであり、電気溶融炉に比べれば大型化
させることが容易であり、溶融スラグ4を連続出滓する
こともできるようになる。しかし、従来技術のところで
述べたコークス燃焼還元法において使用される竪型シャ
フト炉の場合とは異なり、少なくとも、溶湯を貯溜する
溶湯溜め部3と、生成した溶融スラグ4を溶湯上部に滞
留させる溶融スラグ溜め部5とを備えた構造にしておく
必要がある。
【0076】この竪型シャフト炉1Bにおいても溶融ス
ラグ4を溶融銑鉄2とは独立して排出しなければなら
ず、出銑口3aの上方となるように出滓口5aが設けら
れている。副資材を添加したペレット状の原料7やコー
クス塊40はベル41が仮想線のように下げられた状態
で炉体上方から投入され、コークス塊と原料が堆積する
コークスベッド42が形成される。上方部は乾燥・予熱
ゾーン43であり、耐火壁44に開口する空気供給口4
5の近傍は原料の分解・燃焼ゾーン46および溶融ゾー
ン47が上下に形成される。なお、運転中はベル41に
よって炉上部が閉止され、排ガスはダクト48を経て排
出されるようになっている。
【0077】焼却炉灰はコークスによって還元されるの
で溶融スラグ中のFe系酸化物は減少し、溶融銑鉄2は
溶湯溜め部3に溜まる。一方、溶融スラグ4は溶融銑鉄
2上で脱泡されるに十分な時間滞留する。電気溶融炉の
場合と同様に副原料としてフェロニッケル製錬滓等が原
料7に混入されるので溶融スラグ4中のMgOが増加
し、たとえコークス中のAl2 3 が溶融スラグ4に溶
解しても、スラグの流動性の低下は抑制される。すなわ
ち、石灰石を過剰に添加する必要がなく、それゆえ、出
滓した溶融スラグを上記したように鋳造し熱処理して人
工岩石としても、消化性のない長期にわたって性状の安
定した機械的強度の高い石材とすることができる。
【0078】ところで、図1においては熱処理炉として
回転炉14Aを採用しているが、それに代えて図8に示
す公知の竪型シャフト炉51を採用することもできる。
スラグブロック成形鋳型から脱型された鋳造スラグ4A
は、内面の全てが裏張り耐火壁で覆われた炉体51Aに
装入シュート52を用いて天井から装入され、熱処理後
の固化スラグ24は炉底部の排出口に設けたクラムシェ
ル式の開閉蓋53を仮想線のように開いて適宜の量が取
り出される。鋳造スラグ4Aの収容量は回転炉の場合よ
りも多くすることが容易であり、それに伴って炉内へ持
ち込まれる熱エネルギも多くなるので、加熱量を節減す
ることができる。
【0079】このような炉によっても、前述した場合と
同様に、鋳造スラグ4A内部からの復熱作用によって非
晶質部分の二次再結晶が可能となる。竪型シャフト炉5
1は可動部材がないので大型化が容易であり、処理量を
多くしたり処理時間を長くとることができる。炉内を火
炎で加熱してもよいが鋳造スラグ4Aは堆積状態にある
ので、炉体51Aを取り巻く下部環状通路54から熱ガ
ス発生装置55で発生させた高温ガス56を供給するよ
うにしてもよい。排ガスは上部環状通路57を経て熱ガ
ス発生装置55等へ戻される。
【0080】ところで、焼却炉灰を電気溶融炉に投入す
るに先だちMg化合物を焼却炉の排ガス中に吹き込んで
いるのは、焼却排ガス中の硫黄酸化物SO2 ,SOx
塩素系物質としてのHClガス等を除去するためであ
る。従来はMg化合物を主体にして焼却炉に投入するこ
とはなく、消石灰の粉末や石灰石の粉末さらには石灰乳
を焼却炉に投入している。本発明においては焼却排ガス
の清浄化処理のためのアルカリ剤を供給するためのみな
らず、焼却炉灰を還元溶融する際に可及的に低融点であ
りかつ共晶凝固する組成を有した溶融スラグを生成させ
るべく、焼却炉灰を溶融させたときに生じる溶融スラグ
のMgO含有量が5%ないし20%までの範囲における
目標%に近づくようにしておくためにMg化合物が使用
される。ちなみに、Mg化合物としては、ドロマイトC
aCO3 ・MgCO3 やマグネサイトMgCO3 の粉末
又はそのスラリーもしくはドロマイトやマグネサイトを
焼成したCaO,MgOが用いられる。なお、MgOを
含有する冶金滓(例えば高炉滓,製鋼滓,フェロニッケ
ル製錬滓やCu製錬滓等の非鉄冶金滓等)さらには天然
鉱物類(例えば橄欖石や蛇紋岩)もしくはその焼成物を
使用しても差し支えのないこともある。
【0081】ここで、還元溶融炉に投入される原料とし
ての焼却炉灰の生成について、以下に述べる。図9を参
照して、一般に焼却炉設備は何段かのストーカを備えた
焼却炉80と排ガス処理設備81とを有し、煙道の適宜
の箇所に排熱ボイラ82や図示しない空気予熱器が設け
られる。そして、排ガス中の硫黄酸化物や塩素系物質を
除去するためのアルカリ剤吹込装置83や排ガスを冷却
するための冷却水噴射ノズル84等が適宜付帯される。
なお、排ガス処理設備81は乾式の場合にはバグフィル
タ85または電気集塵機を備え、湿式の場合には苛性ソ
ーダ等が投入される二点鎖線で示す吸収塔86も配置さ
れる。ちなみに、符号の87は誘引送風機、88は煙突
であり、アルカリ剤吹込装置83中の89は押し込み送
風機である。
【0082】上記したMg化合物のうちドロマイトやマ
グネサイトは熱分解させてCaOやMgOとする必要が
あるために、これらのMg化合物90は焼却炉80の炉
頂もしくはその近くに設けた吹込口83aから高温排ガ
ス中に吹き込まれる。すなわち、熱分解は次式のごとく
になる。ちなみに、冷却水噴射ノズル84が設けられて
いる場合には、それよりも下方の位置でMg化合物が吹
き込まれ、それらの熱分解が阻害されないように配慮さ
れる。
【化1】 そして、硫黄酸化物はCaOに吸着させて硫酸カルシウ
ムとされ、また、塩化水素は次式の反応過程によって除
去される。
【化2】 なお、ドロマイトやマグネサイトの焼成物はかなりの量
のMgOを含んでいる。したがって、これらのMg化合
物91は炉内の適宜の箇所の排ガス中へ吹き込めばよ
い。反応生成物であるCaCl2 やMgCl2 は、所望
量のMgOと共にごみ92を焼却した焼却炉灰93に含
まれ、還元溶融炉に搬出される。
【0083】このように、焼却炉灰93の溶融スラグの
MgO含有量が目標%に近づけられているといえども、
その含有量は目標%から掛け離れていることが多い。そ
れゆえに、CaO−SiO2 −Al2 3 −MgOの四
元系相平衡状態における共晶点もしくはそれに極めて近
似した点となって、低融点でありかつ共晶凝固する組成
を有した溶融スラグを生成させることができるように、
焼却炉灰を還元溶融する際もしくはそれに先だちMgO
を含有する冶金滓または天然鉱物類を添加して焼却炉灰
が成分調整される。
【0084】ちなみに、Mg化合物を焼却炉に吹き込む
ときに、焼却炉灰を溶融させたときに生じる溶融スラグ
のMgO含有量が目標%もしくはそれに極めて近似した
含有%となるように焼却炉灰にMg化合物を添加するこ
とができるならば、還元溶融の前に焼却炉灰93にMg
Oを含まない造滓材を添加することがあっても、MgO
の成分を調整する工程の必要のないことは言うまでもな
い。
【0085】なお、焼却炉80の排ガスを処理した後に
バグフィルタ85から取り出された捕集灰94を、焼却
炉灰93に添加してもよい。この捕集灰94は焼却炉灰
93に比べれば少ないが、人工岩石化すればその処分も
併せてできるからである。
【0086】上記したドロマイトやマグネサイトの焼成
物の粉末を、焼却炉80から導出された排ガス中に煙道
吹込口83bから吹き込むこともできる。すなわち、焼
却炉80から排出された焼却炉灰93と排ガス処理設備
81で捕捉された捕集灰94とを合わせた焼却灰95を
溶融させたときに生じる溶融スラグのMgO含有量が目
標%に近づくようにMg化合物を吹き込みながらごみを
焼却する。この場合、焼却炉灰93の溶融スラグのMg
O含有量と捕集灰94の溶融スラグのMgO含有量とが
同じ目標%に近づくようにMg化合物を吹き込んでもよ
いし、焼却炉灰93と捕集灰94とを合わせた焼却灰9
5の溶融スラグのMgO含有量が目標%となるように成
分調整してもよいことは言うまでもない。
【0087】このように、焼却灰95の溶融スラグのM
gO含有量が所望する目標%に近づけられているといえ
ども、その含有量は目標%から掛け離れていることが多
い。したがって、溶融スラグを生成させる工程で可及的
に低融点でありかつ共晶凝固する組成を有した溶融スラ
グを生成させるべく目標%もしくはそれに極めて近似し
た含有%となるように、焼却灰を還元溶融する際もしく
はそれに先だちMgOを含有する冶金滓または天然鉱物
類を添加して焼却灰が成分調整される。
【0088】ちなみに、Mg化合物を焼却炉と煙道に吹
き込むときに、焼却灰95の溶融スラグのMgO含有量
が目標%もしくはそれに極めて近似した含有%とするこ
とができるならば、還元溶融の前に焼却灰95にMgO
を含まない造滓材を添加することがあっても、MgOの
成分を調整する工程の必要のないことは述べるでもな
い。
【0089】ところで、上記した焼却炉灰は焼却炉から
排出された焼却主灰を意味しているが、それには焼却炉
の燃焼火格子より排出される火格子灰や燃焼火格子から
落下した落じんを含んでいるのが一般的である。一方、
捕集灰は排ガス処理設備で捕捉された焼却飛灰を意味し
ているが、通常は、熱回収系で捕集された熱回収灰と排
ガス浄化系で捕捉されたフライアッシュとを含むもので
あってよい。
【0090】上記したいずれの例においても、熱処理炉
14,51はスラグブロック成形鋳型から脱型した鋳造
スラグが投入されるが、図10に示すような鋳造熱処理
炉61を採用し、鋳造工程と熱処理工程とを一つの保温
炉において行わせることもできる。これは、溶融スラグ
が鋳込まれたスラグブロック成形鋳型10をコンベア6
2によって通過させるトンネル状の炉体61Aと、炉体
内の保温を図る多数の加熱バーナ63とを有する。そし
て、加熱バーナ63によって生じた900℃ないし1,
200℃の雰囲気での保温作用とスラグブロック成形鋳
型10に鋳込まれて一次再結晶した鋳造スラグ4Aの内
部からの復熱作用とによって残留非晶質部分を二次再結
晶させると共に残留内部歪を除去し、組織の緻密な再結
晶した人工岩石24を生成させることができる。もちろ
ん、炉体61Aやコンベア62の長さやコンベア62の
矢印64方向への移動速度は、溶融スラグ4を一次再結
晶させて鋳造スラグ4Aとし、鋳型10に入れたまま二
次再結晶を完了させることができるように決定される。
【0091】
【実施例】本発明は、SiO2 ,CaO,Al2 3
主成分とする溶融スラグを生成するに際し、溶融スラグ
のMgO含有量が5%ないし20%までの範囲における
目標%もしくはそれに極めて近似した含有%となるよう
に、MgOを含有する冶金滓等を添加してCaO−Si
2 −Al2 3 −MgOの四元系相平衡状態における
共晶点もしくはそれに可及的に近似した状態で共晶凝固
する組成を有した溶融スラグが得られるようにしてい
る。そこで、以下に幾つかの例を挙げる。
【0092】図11は、CaO−SiO2 −Al2 3
−MgO系の15%Al2 3 面の液相温度における相
関係である。辺71の数字はCaOの含有%、辺72の
数字はSiO2 の含有%、辺73はMgOの含有%を示
し、実線や破線は岩石質の境界を表している。数字を含
んだ細い破線上の数字は凝固温度である。そして、点A
は共晶点であり、点Aから点a1 ,a2 ,a3 (図11
の要部を拡大した図12を参照)までの部分は凝固時に
再結晶を誘発させやすい領域にある共晶線である。な
お、図11をはじめとして後述する図13,図15,図
17,図18は、E. F. Osborn, R. C. DeVries, K. H.
Gee, and H. M. Kraner. ■ Optimum Composition of
Blast Furnace Slag as Deduced from Liquidus Data
for the Quaternary System CaO-MgO-Al2O3-SiO2 ' Tra
ns. AIME, 1954, v. 200, pp. 33-45. (E.F.オズ
ボーン・R.C.デブリーズ・K.H.ギー・H.M.
クラナー共著「CaO−MgO−Al2 3 −SiO2
四元系液相データから推論した高炉スラグの最適組成」
AIME紀要第200巻33頁ないし45頁)に記載さ
れた四元系相平衡状態図である。
【0093】前記した断熱性のある鋳型内で容易に再結
晶させるためには、その共晶凝固温度が1,300℃以
下であることや、溶融スラグの高い流動性に基づいた結
晶分子の移動が容易であることが不可欠となる。そのよ
うな観点からはSiO2 が約55%以下であることや、
人工骨材として使用した場合にアルカリ骨材反応が出や
すくなるフォルステライト結晶が出ないようにすること
が重要である。したがって、アノルサイト・パイロキシ
ン・メリライト三元共晶点の近傍である図中に表示の線
Aa1 ,Aa2 ,Aa3 上の組成となるように造滓材を
調節配合することが必要となることが分かる。
【0094】上記した点A,a1 ,a2 ,a3 を含む幾
つかの黒い点および他の点B等は凝固温度が最低の1,
300℃以下を示した共晶点もしくはそれに極めて近似
した点の選択例であり、それぞれは表1のような組成と
なっている。なお、表中の選択点A,BにおけるMgO
含有%は前述した目標%であり、選択点a1 ,a2 ,a
3 ,b1 ,b2 は目標%に極めて近似した含有%に相当
する。
【表1】 図13は、10%Al2 3 の場合であり、同様にして
纏めると、表2のようになる。いずれの点も四元系相平
衡状態における共晶点もしくはそれに極めて近似した点
であり、凝固温度すなわち融点の最低温度は1,300
℃以下である。なお、図14は図13中の選択点の近傍
を拡大したものである。
【表2】 同様に、20%Al2 3 の場合が図15および図16
に表されている。これを纏めると、表3のようになる。
いずれの点も四元系相平衡状態における共晶点もしくは
それに極めて近似した点であり、凝固温度は1,300
℃以下である。なお、点g2 も四元系相平衡状態におけ
る共晶点に極めて近似した点であるが、この場合の凝固
温度は1,330℃ないし1,350℃となっている。
【表3】 同様に、25%Al2 3 の場合が図17に表されてい
る。これを纏めると、表4のようになる。いずれの点も
四元系相平衡状態における共晶点もしくはそれに極めて
近似した点であり、凝固温度は1,400℃以下であ
る。
【表4】
【0095】以上をまとめると、CaOが16%ないし
35%、SiO2 が36%ないし54%、Al2 3
10%ないし25%、MgOが5%ないし19%である
と、四元系相平衡状態における共晶点に可及的に近似し
た状態で共晶凝固する組成を有した溶融スラグの得られ
ることが分かる。なお、Al2 3 の含有率は少なすぎ
ても多すぎても溶融スラグの融点が上がることはよく知
られており、5%以下であったり30%を越えると凝固
点の最低温度は約1,400℃以上となる。そのような
場合には焼却灰の溶解温度を上げる必要があり、熱エネ
ルギの消費が増大することになるので避けるべきであ
る。
【0096】ところで、上記した図11ないし図17に
おいて、他にも四元系相平衡状態における共晶点もしく
はそれに極めて近似した点が存在する。図11および図
12の15%Al2 3 の場合、共晶点Cならびに選択
点c1 ,c11を表5のように拾い挙げることができ、そ
の凝固温度は1,300℃以下である。
【表5】 同様に、図15および図16の20%Al2 3 の場
合、共晶点Hを表6のように拾い挙げることができ、そ
の凝固温度も1,300℃以下である。
【表6】 同様に、図17の25%Al2 3 の場合、共晶点Kを
表7のように拾い挙げることができ、その凝固温度は
1,400℃より低い。
【表7】 しかし、いずれもSiO2 の含有率の高いことに基因し
て、溶融スラグの粘性も高くなり、次工程である鋳造の
ための溶融スラグの還元溶融炉からの流出操作が不便な
ものとなる。したがって、四元系相平衡状態における共
晶点もしくはそれに極めて近似した点といえども、好ま
しくない共晶点の存在することにも注意しておくべきで
ある。
【0097】ちなみに、焼却灰の組成は一定しないが、
例えば表8のような組成である。例1および例2は、従
来技術の項で述べた電気溶融法等によって得られたスラ
グの組成として公表されているデータである。そして、
例3は本発明者らのテストに供された焼却灰の組成であ
る。
【表8】 上記した焼却灰を溶融してスラグ化すると、表9のよう
な組成になる。なお、例1および例2は若干成分調整さ
れているようであり、公表値をそのまま掲げている。
【表9】 これらのスラグを再度溶融すると共に還元したスラグの
主たる組成がCaO,SiO2 ,Al2 3 ,MgOと
なると、そのスラグの組成は表10のように書き換えら
れる。
【表10】 例1のAl2 3 を20%とみなすと図15の点Sとな
り、例2のAl2 3 を25%とみなせば図17の点T
となる。点Sは共晶点Fから大きく外れ、点Tは共晶点
Jとはかけ離れている。いずれも凝固するとアノルサイ
トとなり、凝固温度は高い。例3はAl2 3 が高く好
ましいスラグとは言えない。Al2 3 を30%とみな
すと図18の点Uとなる。
【0098】上記の例1においてMgOの含有量が状態
図中の共晶点となるようにフェロニッケル製錬滓や適量
の造滓材を添加して調整すると、表11の例1Aのよう
になる。例2においても同様に調整すると、例2Aを得
ることができる。また、例3においても同様に調整する
と、例3Aを得ることができる。
【表11】 例1Aは図13の点sとなり、例2Aは図11の点tと
なる。例3Aは図15中の点uとなり、いずれも共晶点
D,A,Fに一致している。
【0099】上記の表11の例1A,例2Aおよび例3
Aは、それらを成分調整する前の表10の例1,例2お
よび例3のスラグに比べてMgOの多いことが分かる。
逆に言うと、例1,例2および例3は、多元系相平衡状
態における共晶点に可及的に近似した状態で共晶凝固さ
せることができる組成を有していない。それゆえ、それ
らのスラグは凝固温度が高くて加熱エネルギを大量に要
求し、また、出滓後の空冷で急速に冷却が進み、非晶質
を多く残した再結晶の不十分な石材となる。
【0100】ちなみに、図11においてはMgOが約6
%ないし約14%であり、図13では約7%ないし約1
9%である。図15においては約6%ないし約17%で
あって、さらには、図17において約3%ないし約8%
であることが分かる。したがって、Al2 3 を約10
%ないし約25%の範囲に止めておくならば、その条件
を満たして溶融スラグを共晶凝固させることができるM
gOは3%ないし19%となる。しかし、上掲した図1
1ないし図17は例示であって、詳細な研究データと、
前述したようにMgOが5%以下であればMgOを添加
する余地が少なく成分調整の範囲に限りが生じることを
考慮すると、溶融スラグのMgOの含有目標%を5%な
いし20%までの範囲における値としておけばよいこと
を確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る焼却灰溶融スラグからの人工岩
石合成処理装置の全体概略構成図。
【図2】 (a)は連続して配置されたスラグブロック
成形鋳型の部分平面図、(b)はコンベアのチェーンに
取り付けられた成形鋳型の断面図。
【図3】 サブマージドアーク直流抵抗炉の概略構成
図。
【図4】 (a)はL形電極の拡大断面図、(b)は図
3中のIV−IV線矢視図。
【図5】 L形電極の他例の斜視図。
【図6】 電気溶融炉の炉蓋の平面矢視図。
【図7】 還元溶融炉の他例としての竪型シャフト炉の
断面図。
【図8】 熱処理炉の他例としての竪型シャフト炉の断
面図。
【図9】 ごみ焼却設備の概略全体構成図。
【図10】 鋳造熱処理炉の概略構成図。
【図11】 CaO−SiO2 −Al2 3 −MgO系
の15%Al2 3面の液相温度における相関係図。
【図12】 図11の要部拡大図。
【図13】 CaO−SiO2 −Al2 3 −MgO系
の10%Al2 3面の液相温度における相関係図。
【図14】 図13の要部拡大図。
【図15】 CaO−SiO2 −Al2 3 −MgO系
の20%Al2 3面の液相温度における相関係図。
【図16】 図15の要部拡大図。
【図17】 CaO−SiO2 −Al2 3 −MgO系
の25%Al2 3面の液相温度における相関係図。
【図18】 CaO−SiO2 −Al2 3 −MgO系
の30%Al2 3面の液相温度における相関係図。
【符号の説明】
1…還元溶融炉、1A…電気溶融炉、2…溶融銑鉄、4
…溶融スラグ、4A…鋳造スラグ、7…原料(焼却炉
灰,焼却灰)、10…スラグブロック成形鋳型、14…
熱処理炉、16…加熱手段、24…人工岩石、61…鋳
造熱処理炉、80…焼却炉、81…排ガス処理設備、8
3a…吹込口、83b…煙道吹込口、90,91…Mg
化合物、92…ごみ、93…焼却炉灰、94…捕集灰、
95…焼却灰。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生活ごみ,下水汚泥,産業廃棄物等のご
    みを焼却して生じた焼却灰の溶融スラグから人工岩石を
    合成する処理法において、 溶融スラグを生成させる次工程で可及的に低融点であり
    かつ共晶凝固する組成を有した溶融スラグを生成させる
    べく、該溶融スラグのMgO含有量が5%ないし20%
    までの範囲における目標%もしくはそれに極めて近似し
    た含有%となるように、ごみを焼却して発生した排ガス
    中の硫黄酸化物や塩素系物質等を除去するために添加さ
    れるMg化合物の粉末またはスラリーを、焼却炉内の排
    ガス中に吹き込みながらごみを焼却する工程と、 上記焼却炉で発生した焼却炉灰を還元剤を用いて還元溶
    融することにより該焼却炉灰中のFe系酸化物を還元し
    て生成された溶融銑鉄を滞留させ、他の重金属類および
    還元可能な酸化物類を還元して生じた元素を前記溶融銑
    鉄中に溶解させると共に、ガス含有率が極めて低く上記
    重金属類等を可及的に含まない溶融スラグを生成して前
    記溶融銑鉄の上部に滞留させる還元溶融工程と、 上記溶融スラグを前記溶融銑鉄とは独立して出滓した後
    に、溶融スラグを徐冷した状態で共晶凝固現象に基づい
    て一次再結晶させる鋳造工程と、 一次再結晶した鋳造スラグを900℃ないし1,200
    ℃の温度雰囲気に保持することにより、該鋳造スラグ中
    に残留する非晶質部分を二次再結晶させると共に残留内
    部歪を除去する熱処理工程と、 を有し、前記溶融スラグからガス含有率の極めて低い、
    組織の緻密な再結晶した人工岩石を生成させることを特
    徴とする焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理方
    法。
  2. 【請求項2】 生活ごみ,下水汚泥,産業廃棄物等のご
    みを焼却して生じた焼却灰の溶融スラグから人工岩石を
    合成する処理法において、 溶融スラグを生成させる後工程で可及的に低融点であり
    かつ共晶凝固する組成を有した溶融スラグを生成させる
    べく、該溶融スラグのMgO含有量が5%ないし20%
    までの範囲における目標%に近づくように、ごみを焼却
    して発生した排ガス中の硫黄酸化物や塩素系物質等を除
    去するために添加されるMg化合物の粉末またはスラリ
    ーを、焼却炉内の排ガス中に吹き込みながらごみを焼却
    する工程と、 還元剤を用いることにより前記焼却炉で発生した焼却炉
    灰を還元溶融して溶融スラグを生成する際もしくはそれ
    に先だち、該溶融スラグのMgO含有量が前記目標%も
    しくはそれに極めて近似した含有%となるようにMgO
    を含有する冶金滓または天然鉱物類を前記焼却炉灰に添
    加し、可及的に低融点となりかつ共晶凝固する組成を有
    した溶融スラグが得られるように成分調整する工程と、 成分調整された焼却炉灰を還元溶融することにより該焼
    却炉灰中のFe系酸化物を還元して生成された溶融銑鉄
    を滞留させ、他の重金属類および還元可能な酸化物類を
    還元して生じた元素を前記溶融銑鉄中に溶解させると共
    に、ガス含有率が極めて低く上記重金属類等を可及的に
    含まない溶融スラグを生成して前記溶融銑鉄の上部に滞
    留させる還元溶融工程と、 上記溶融スラグを前記溶融銑鉄とは独立して出滓した後
    に、溶融スラグを徐冷した状態で共晶凝固現象に基づい
    て一次再結晶させる鋳造工程と、 一次再結晶した鋳造スラグを900℃ないし1,200
    ℃の温度雰囲気に保持することにより、該鋳造スラグ中
    に残留する非晶質部分を二次再結晶させると共に残留内
    部歪を除去する熱処理工程と、 を有し、前記溶融スラグからガス含有率の極めて低い、
    組織の緻密な再結晶した人工岩石を生成させることを特
    徴とする焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記焼却炉灰を還元剤を用いて還元溶融
    する際に、前記焼却炉の排ガス処理設備で捕捉された捕
    集灰を前記焼却炉灰に添加することを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載された焼却灰溶融スラグからの
    人工岩石合成処理法。
  4. 【請求項4】 生活ごみ,下水汚泥,産業廃棄物等のご
    みを焼却して生じた焼却灰の溶融スラグから人工岩石を
    合成する処理法において、 溶融スラグを生成させる次工程で可及的に低融点であり
    かつ共晶凝固する組成を有した溶融スラグを生成させる
    べく、該溶融スラグのMgO含有量が5%ないし20%
    までの範囲における目標%もしくはそれに極めて近似し
    た含有%となるように、ごみを焼却して発生した排ガス
    中の硫黄酸化物や塩素系物質等を除去するために添加さ
    れるMg化合物の粉末またはスラリーを焼却炉内の排ガ
    ス中に吹き込み、かつ、Mg化合物の粉末を前記焼却炉
    の排ガス処理設備へ導入された排ガス中に吹き込みなが
    らごみを焼却する工程と、 上記焼却炉で発生した焼却炉灰と排ガス処理設備で捕捉
    された捕集灰とを合わせた焼却灰を還元剤を用いて還元
    溶融することにより該焼却灰中のFe系酸化物を還元し
    て生成された溶融銑鉄を滞留させ、他の重金属類および
    還元可能な酸化物類を還元して生じた元素を前記溶融銑
    鉄中に溶解させると共に、ガス含有率が極めて低く上記
    重金属類等を可及的に含まない溶融スラグを生成して前
    記溶融銑鉄の上部に滞留させる還元溶融工程と、 上記溶融スラグを前記溶融銑鉄とは独立して出滓した後
    に、溶融スラグを徐冷した状態で共晶凝固現象に基づい
    て一次再結晶させる鋳造工程と、 一次再結晶した鋳造スラグを900℃ないし1,200
    ℃の温度雰囲気に保持することにより、該鋳造スラグ中
    に残留する非晶質部分を二次再結晶させると共に残留内
    部歪を除去する熱処理工程と、 を有し、前記溶融スラグからガス含有率の極めて低い、
    組織の緻密な再結晶した人工岩石を生成させることを特
    徴とする焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理方
    法。
  5. 【請求項5】 生活ごみ,下水汚泥,産業廃棄物等のご
    みを焼却して生じた焼却灰の溶融スラグから人工岩石を
    合成する処理法において、 溶融スラグを生成させる後工程で可及的に低融点であり
    かつ共晶凝固する組成を有した溶融スラグを生成させる
    べく、該溶融スラグのMgO含有量が5%ないし20%
    までの範囲における目標%に近づくように、ごみを焼却
    して発生した排ガス中の硫黄酸化物や塩素系物質等を除
    去するために添加されるMg化合物の粉末またはスラリ
    ーを焼却炉内の排ガス中に吹き込み、かつ、Mg化合物
    の粉末を前記焼却炉の排ガス処理設備へ導入された排ガ
    ス中に吹き込みながらごみを焼却する工程と、 還元剤を用いることにより前記焼却炉で発生した焼却炉
    灰と排ガス処理設備で捕捉された捕集灰とを合わせた焼
    却灰を還元溶融して溶融スラグを生成する際もしくはそ
    れに先だって、該溶融スラグのMgO含有量が前記目標
    %もしくはそれに極めて近似した含有%となるようにM
    gOを含有する冶金滓または天然鉱物類を前記焼却灰に
    添加し、可及的に低融点となりかつ共晶凝固する組成を
    有した溶融スラグが得られるように成分調整する工程
    と、 成分調整された焼却灰を還元溶融することにより該焼却
    灰中のFe系酸化物を還元して生成された溶融銑鉄を滞
    留させ、他の重金属類および還元可能な酸化物類を還元
    して生じた元素を前記溶融銑鉄中に溶解させると共に、
    ガス含有率が極めて低く上記重金属類等を可及的に含ま
    ない溶融スラグを生成して前記溶融銑鉄の上部に滞留さ
    せる還元溶融工程と、 上記溶融スラグを前記溶融銑鉄とは独立して出滓した後
    に、溶融スラグを徐冷した状態で共晶凝固現象に基づい
    て一次再結晶させる鋳造工程と、 一次再結晶した鋳造スラグを900℃ないし1,200
    ℃の温度雰囲気に保持することにより、該鋳造スラグ中
    に残留する非晶質部分を二次再結晶させると共に残留内
    部歪を除去する熱処理工程と、 を有し、前記溶融スラグからガス含有率の極めて低い、
    組織の緻密な再結晶した人工岩石を生成させることを特
    徴とする焼却灰溶融スラグからの人工岩石合成処理方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の鋳造工程と該鋳造工程に続く熱処理工程とに代え
    て、前記溶融スラグを前記溶融銑鉄とは独立して出滓し
    た後に900℃ないし1,200℃の温度雰囲気に保持
    し、共晶凝固現象に基づいて溶融スラグを一次再結晶さ
    せ、かつ、残留する非晶質部分を二次再結晶させると共
    に残留内部歪を除去する鋳造熱処理工程としたことを特
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    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003292365A (ja) * 2002-03-29 2003-10-15 A & A Material Corp セメント系無機硬化体及びその製造法
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