JPH09193812A - 衝撃吸収式ステアリングコラム装置 - Google Patents

衝撃吸収式ステアリングコラム装置

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JPH09193812A
JPH09193812A JP685296A JP685296A JPH09193812A JP H09193812 A JPH09193812 A JP H09193812A JP 685296 A JP685296 A JP 685296A JP 685296 A JP685296 A JP 685296A JP H09193812 A JPH09193812 A JP H09193812A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価に造れてしかも溶接作業を要する事なく
装着可能なエネルギ吸収部材16を使用して、コスト低
減を図る。 【構成】 エネルギ吸収部材16は金属の線材を折り曲
げて造る。二次衝突時にこのエネルギ吸収部材16の基
部17は、昇降ブラケット5に形成した係止板部20に
引っ張られて前方に変位する。この結果、変形部18の
折り返し部19がチルトボルト8により扱かれて、衝撃
エネルギを吸収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係る衝撃吸収式ステア
リングコラム装置は、二次衝突時にステアリングホイー
ルを前方に変位させて、運転者の身体に大きな衝撃が加
わらない様にするものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の衝突時には、自動車が他の自動
車等と衝突する、所謂一次衝突に続いて、運転者がステ
アリングホイールに衝突する、所謂二次衝突が発生す
る。この二次衝突の際に運転者が受ける衝撃を少なく抑
え、運転者の生命保護を図る事を目的として、一端にス
テアリングホイールを固定するステアリングシャフト
を、強い衝撃が加わった場合に全長が縮まる、所謂コラ
プシブルステアリングシャフトとすると共に、このステ
アリングシャフトを挿通したステアリングコラムを衝撃
吸収式のものとする事が、一般的に行なわれている。
【0003】この様な目的で使用される衝撃吸収式のス
テアリングコラム装置として従来から、例えば実開平5
−75057号公報に開示されたものが知られている。
この従来から知られた衝撃吸収式ステアリングコラム装
置は、図13〜15に示す様に構成されている。ステア
リングコラム1は、例えばアウターコラムとインナーコ
ラムとをテレスコープ状に組み合わせる事により構成さ
れ、軸方向(図13の左右方向、図14の表裏方向)に
亙る強い力が加わった場合には全長が縮まる。この様な
ステアリングコラム1の内側にはステアリングシャフト
2を、回転のみ自在に支持している。このステアリング
シャフト2の後端部で、上記ステアリングコラム1の後
端開口から突出した部分には、ステアリングホイールを
固定する。
【0004】上記ステアリングコラム1を車体30に支
持する為の支持ブラケット3は、左右1対の支持板部
4、4を有する。そして、これら両支持板部4、4によ
り、上記ステアリングコラム1の中間部下面にこのステ
アリングコラム1の幅方向(図13の表裏方向、図14
の左右方向)に亙って溶接固定された、被支持ブラケッ
トである昇降ブラケット5を、左右両側から挟持してい
る。この昇降ブラケット5の左右両側壁には、後端縁
(図13の右端縁)側が開口した切り欠き6、6を形成
している。又、上記各支持板部4、4の一部でこれら各
切り欠き6、6と整合する部分には、通孔である、上下
方向に長い長孔7、7を、それぞれ形成している。そし
て、これら各長孔7、7と切り欠き6、6とを一方から
他方(図14の右から左)に挿通した、杆状の結合部材
であるチルトボルト8の先端に、チルトナット9を螺合
させている。このチルトボルト8は、頭部10と一方の
長孔7の側縁との係合により、各長孔7、7に沿って昇
降する事はあっても、回転する事はない。
【0005】上記チルトナット9と上記頭部10との間
隔は、図示しないチルトレバーにより上記チルトナット
9を回転させる事で変化する。そして、この間隔を変化
させれば、上記昇降ブラケット5を固定したステアリン
グコラム1を、上記支持ブラケット3に対し固定した
り、或は固定を解除して、上記ステアリングホイールの
上下位置の調節を行なえる。
【0006】更に、上記チルトボルト8の中間部で、上
記昇降ブラケット5の内側に存在する部分には、エネル
ギ吸収部材11の後端部(前後は自動車の進行方向で表
わし、図13、15の右端部)を外嵌支持している。そ
して、このエネルギ吸収部材11の前端部(図13、1
5の左端部)を、上記ステアリングコラム1の中間部下
面に溶接固定している。従って、上記エネルギ吸収部材
11の後端部は、チルトボルト8、支持ブラケット3を
介して、二次衝突時にも変位する事のない車体30に支
持され、前端部は、二次衝突時に前方に変位するステア
リングコラム1に支持される。
【0007】このエネルギ吸収部材11は、可塑性を有
する1枚の金属板を打ち抜き形成する事により、図15
に示す様な波形形状に造られている。又、このエネルギ
吸収部材11の後端部に設けた支持部12には、左右1
対の折り曲げ部13、13を形成し、各折り曲げ部1
3、13に、上記チルトボルト8を挿通する為の円孔1
4、14を形成している。更に、上記エネルギ吸収部材
11の前端部には舌片15を形成し、この舌片15を前
記ステアリングコラム1の下面に溶接固定自在としてい
る。
【0008】上述の様な形状を有するエネルギ吸収部材
11を、図13〜14に示す様にチルトボルト8とステ
アリングコラム1との間に組み込んで成る、従来の衝撃
吸収式ステアリングコラム装置は次の通り作用する。衝
突事故に伴う二次衝突により上記ステアリングコラム1
を前方に押す衝撃力が加わると、エネルギ吸収部材11
が前後方向に伸びる様に塑性変形しつつ、上記ステアリ
ングコラム1が前方に変位する事を許容する。上記エネ
ルギ吸収部材11の塑性変形に基づいて、ステアリング
ホイールからステアリングコラム1に伝わった衝撃エネ
ルギが吸収される。この為、二次衝突の際に運転者の身
体に加わる衝撃力を緩和して、運転者の保護を図れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図13〜15に示した
従来構造の場合、二次衝突時に於ける運転者の保護の面
からは特に問題ないが、次のの理由でエネルギ吸収部
材11の製作費が嵩むだけでなく、次のの理由でこ
のエネルギ吸収部材11の組み付け作業が面倒になる。 エネルギ吸収部材11の形状が複雑である為、プレ
ス型の製作費が嵩む。しかも、このエネルギ吸収部材1
1を鋼板から打ち抜き形成した場合に、多くの廃材が生
じる為、材料の歩留が悪い。 組み付け時には結合部材であるチルトボルト8を、
それぞれ1対ずつ設けた切り欠き6、6と長孔7、7と
円孔14、14とに挿通する必要がある。この挿通作業
の為、エネルギ吸収部材11に設けた円孔14、14を
上記切り欠き6、6及び長孔7、7に整合させる作業は
面倒である。 エネルギ吸収部材11前端の舌片15をステアリン
グコラム1の中間部下面に結合する為の、溶接作業が必
要になる。衝撃吸収式ステアリングコラム装置の組立時
にこの様な溶接作業が入ると、組立工程が面倒になる。
【0010】上記の理由によるエネルギ吸収部材11
のコスト上昇と上記の理由による組み付け作業の能
率低下とにより、図13〜15に示した衝撃吸収式ステ
アリングコラム装置は、全体としてのコストが嵩んでし
まう。本発明の衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、
この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の衝撃吸収式ステ
アリングコラム装置は、前述した従来の衝撃吸収式ステ
アリングコラム装置と同様に、ステアリングコラムの中
間部にこのステアリングコラムの幅方向に亙って固定さ
れた被支持ブラケットと、この被支持ブラケットを左右
両側から挟持する1対の支持板部を有し、車体に支持固
定される支持ブラケットと、上記被支持ブラケットの一
部で上記各支持板部に対向する部分に、この被支持ブラ
ケットの後端縁側に開口する状態で形成された切り欠き
と、上記各支持板部に形成された通孔と、これら各切り
欠き及び通孔を挿通した状態で上記被支持ブラケットを
上記支持ブラケットに結合支持する杆状の結合部材と、
上記支持ブラケットと上記ステアリングコラムとの間に
設けられたエネルギ吸収部材とから構成される。
【0012】特に、本発明の衝撃吸収式ステアリングコ
ラム装置に於いては、上記エネルギ吸収部材は金属線を
曲げ形成する事により造られたもので、基部及びこの基
部に対して一体に結合された変形部を備える。そして、
このうちの基部は、上記被支持ブラケットの一部で上記
結合部材よりも前側部分に結合支持されている。又、上
記変形部はその途中に形成した折り返し部を上記結合部
材の後面側周囲に配置して、この結合部材の後側で折り
返している。
【0013】更に、必要に応じて、上記エネルギ吸収部
材を構成する金属線の全体又は一部に弾性を持たせると
共に、このエネルギ吸収部材を支持ブラケットの一部
に、二次衝突に伴って脱落自在に係止する。そして、上
記エネルギ吸収部材を上記支持ブラケットと結合部材と
の間に設ける事により、上記ステアリングコラムの重量
を弾性的に支える様に構成する。
【0014】
【作用】上述の様に構成される本発明の衝撃吸収式ステ
アリング装置の作用は次の通りである。二次衝突時には
ステアリングホイールからステアリングシャフトを介し
てステアリングコラムに、前方に向いた荷重が衝撃的に
加わる。そしてこの荷重により、ステアリングコラムの
全部又は一部が前方に変位する。これに対して、支持ブ
ラケット及び結合部材は、車体に支持されたまま変位し
ない。従って、ステアリングコラムの変位開始に伴って
上記結合部材が、ステアリングコラムに対して後方に変
位する(実際には、結合部材が動かずに、ステアリング
コラムが前方に変位する)。同時に、エネルギ吸収部材
の基部が、上記ステアリングコラムにより前方に引っ張
られる。
【0015】この様にエネルギ吸収部材の基部が前方に
引っ張られると、このエネルギ吸収部材の変形部に形成
された折り返し部が上記結合部材により扱かれる事で、
このエネルギ吸収部材が変形する。即ち、上記ステアリ
ングコラムが前方に変位するのに伴って上記折り返し部
が、元々形成されていた部分から変形部の先端に向けて
移動する。この様に、折り返し部を変形部の先端に向け
て移動させるべく、上記エネルギ吸収部材を変形させる
事で、上記二次衝突に伴って運転者の身体からステアリ
ングホイールに加えられた衝撃エネルギが吸収される。
この結果、運転者の身体に加わる衝撃が緩和され、運転
者の保護が図られる。
【0016】上述の作用に関しては、先発明の特願平7
−102567号に係る衝撃吸収式ステアリングコラム
装置と類似している。特に、本発明の衝撃吸収式ステア
リングコラム装置の場合には、エネルギ吸収部材を金属
線を折り曲げる事により構成し、このエネルギ吸収部材
の基部を被支持ブラケットに結合支持する為、このエネ
ルギ吸収部材を所定部分に組み付ける為の溶接作業が不
要になる。
【0017】更に、必要に応じてエネルギ吸収部材の弾
性によりステアリングコラムの重量を弾性的に支える様
に構成した場合には、ステアリングホイールの高さ調節
を行なう為のチルト作業時に上記ステアリングコラムの
重量を支えておくばねを、独立して設ける必要がなくな
る。即ち、チルト作業の為に支持ブラケットに対する被
支持ブラケットの支持力を喪失させると、そのままでは
ステアリングコラムが調節可能な最下位置にまで落下す
る。この様な状態ではチルト作業を行ないにくくなるの
で、従来から車体に固定の部分とステアリングコラムに
固定の部分との間に釣り合いばねを設け、このステアリ
ングコラムの重量を支えている。本発明の衝撃吸収式ス
テアリングコラム装置の場合には、エネルギ吸収部材と
して金属線を使用しているので、必要とすれば、このエ
ネルギ吸収部材により上記ステアリングコラムの重量を
支えて、上記釣り合いばねを省略し、コストをより低減
する事も可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1〜3は本発明の実施の形態の
第1例を示している。ステアリングコラム1は、二次衝
突に伴ってステアリングホイール及びステアリングシャ
フト2を介して前方に向いた強い衝撃荷重が加わった場
合には、前方への変位を自在としている。尚、この様な
構造は、従来から周知であり、本発明の要旨でもないの
で、図示及び詳しい説明を省略する。この様なステアリ
ングコラム1の中間部には、被支持ブラケットである昇
降ブラケット5を、このステアリングコラム1の幅方向
(図1の表裏方向、図2の左右方向)に亙って、溶接に
より固定している。一方、車体30には支持ブラケット
3を、上記衝撃荷重に拘らずこの車体30から脱落しな
い様に、しっかりと支持固定する。この支持ブラケット
3は、上記昇降ブラケット5を左右両側から挟持する、
1対の支持板部4、4を有する。
【0019】上記昇降ブラケット5の一部で上記各支持
板部4、4に対向する部分には左右1対の切り欠き6、
6を、この昇降ブラケット5の後端縁側(図1の右端縁
側)に開口する状態で形成している。又、上記各支持板
部4、4には、通孔である上下方向に長い長孔7、7を
形成している。これら各切り欠き6、6及び長孔7、7
には、杆状の結合部材であるチルトボルト8を挿通する
と共に、このチルトボルト8の先端部(図2の左端部)
にチルトナット9を螺合させて、上記昇降ブラケット5
を上記支持ブラケット3に結合支持している。
【0020】そして、上記支持ブラケット3と上記ステ
アリングコラム1との間に、本発明の特徴であるエネル
ギ吸収部材16を装着している。図示の例の場合にこの
エネルギ吸収部材16は、上記支持ブラケット3にその
両端部を支持されて、二次衝突時の衝撃荷重に拘らず前
後方向(図1の左右方向、図2の表裏方向)に動く事の
ないチルトボルト8と、この衝撃荷重によってステアリ
ングコラム1と共に前方(図1の左方)に変位する、上
記昇降ブラケット5との間に設けている。
【0021】本例の衝撃吸収式ステアリングコラム装置
を構成する上記エネルギ吸収部材16は、塑性変形自在
な金属線(針金)を曲げ形成する事により、図3に示す
様な形状に造られている。このエネルギ吸収部材16
は、中央に設けられた基部17と、この基部17と一体
に結合された左右1対の変形部18、18とを備える。
上記基部17は、直線部の両端を後方に直角に折り曲げ
る事によりコ字形に形成されている。又、上記各変形部
18、18は、それぞれの中間部に半円弧形の折り返し
部19、19を設ける事により、全体をJ字形に形成し
ている。
【0022】上述の様なエネルギ吸収部材16を装着す
べく、前記昇降ブラケット5の前端部(図1の左端部)
には、係止板部20を折り立て形成している。衝撃吸収
式ステアリングコラムを組み立てた状態ではこの係止板
部20の前面側(図1の左面側)に、上記エネルギ吸収
部材16の基部17を係止する。又、このエネルギ吸収
部材16の変形部18、18は、それぞれの途中に形成
した折り返し部19、19を上記チルトボルト8の中間
部後面側(図1の右面側)周囲に配置する事により、こ
のチルトボルト8の後側で折り返している。
【0023】上述の様に構成される本発明の衝撃吸収式
ステアリング装置は次の様に作用して、衝突事故の際に
運転者の保護を図る。二次衝突時にはステアリングホイ
ールからステアリングシャフト2を介してステアリング
コラム1に、前方(図1の左方)に向いた荷重が衝撃的
に加わる。そしてこの荷重により、ステアリングコラム
1の全部又は一部で、少なくとも昇降ブラケット5を固
定した部分が前方に変位する。これに対して、支持ブラ
ケット3及びチルトボルト8は、車体30に支持された
まま変位しない。従って、ステアリングコラム1の変位
開始に伴って上記チルトボルト8が、ステアリングコラ
ム1に対して後方に変位する(実際には、チルトボルト
8が動かずに、ステアリングコラム1が前方に変位す
る)。同時に、エネルギ吸収部材16の基部17が、上
記昇降ブラケット5の前端部に形成した係止板部20に
より前方に引っ張られる。
【0024】この様にエネルギ吸収部材16の基部17
が前方に引っ張られると、このエネルギ吸収部材16の
変形部18、18に形成された折り返し部19、19が
上記チルトボルト8により扱かれる事で、このエネルギ
吸収部材16が変形する。即ち、上記ステアリングコラ
ム1が前方に変位するのに伴って上記折り返し部19、
19が、元々形成されていた部分から上記各変形部1
8、18の先端に向けて移動する。この様に、折り返し
部19、19をこれら各変形部18、18の先端に向け
て移動させるべく、上記エネルギ吸収部材16を変形さ
せる事により、上記二次衝突に伴って運転者の身体から
ステアリングホイールに加えられた衝撃エネルギを吸収
する。この結果、運転者の身体に加わる衝撃が緩和さ
れ、運転者の保護が図られる。
【0025】特に、本発明の衝撃吸収式ステアリングコ
ラム装置の場合には、エネルギ吸収部材16を金属線を
折り曲げる事により構成し、このエネルギ吸収部材16
の基部17を昇降ブラケット5に結合支持する為、この
エネルギ吸収部材16を所定部分に組み付ける為の溶接
作業が不要になる。又、金属線を折り曲げる事により造
られるエネルギ吸収部材16は、材料の無駄が殆ど生じ
ない為、材料の歩留が向上する。又、エネルギ吸収部材
16を加工する為に複雑な型を必要としないので、この
面からの製作費の低減を図れる。更に、組み立て時に、
チルトボルト8を挿通すべく、切り欠き6、6と長孔
7、7と折り返し部19、19とを整合させる作業も容
易である。従って、組み立て作業の能率化を図れる。
【0026】次に、図4は、本発明の実施の形態の第2
例として、第1例の場合とは若干異なる形状を有するエ
ネルギ吸収部材16aを示している。本例の場合には、
基部17の両端部と1対の変形部18、18との間部分
に傾斜部21、21を形成している。二次衝突時に上記
基部17が前方に引っ張られると、先ずこれら各傾斜部
21、21が伸長してから、上記各変形部18、18に
設けられた折り返し部19、19がチルトボルト8(図
1〜2参照)により扱かれる。従って本例の場合には、
二次衝突に伴ってステアリングコラム1(図1〜2)が
前方に変位を開始する瞬間の荷重低減を図れる。
【0027】次に、図5〜7は、本発明の実施の形態の
第3例を示している。本例の場合にはエネルギ吸収部材
16を、前記第1例の場合とは上下逆に組み込んでい
る。これに伴って本例の場合には、昇降ブラケット5の
前端縁部(図5の左端縁部)に形成した係止板部20a
の上端部左右両側縁に1対の係止切り欠き22、22
を、これら各係止切り欠き22、22の下側に左右1対
の小円孔23、23を、それぞれ形成している。尚、こ
の小円孔23、23に代えて、これら両小円孔23、2
3を連続させた如き長円形の長孔を1個形成する事もで
きる。この様な係止板部20aに上記エネルギ吸収部材
16を、基部17を上記両係止切り欠き22、22に係
止すると共に、左右1対の変形部18、18の中間部で
折り返し部19よりも先端寄り部分(図5の左端寄り部
分)を上記両小円孔23、23に挿通した状態で組み込
む。尚、組み込んだ状態で上記エネルギ吸収部材16の
一部が上記各係止切り欠き22、22の縁部及び小円孔
23、23の内周縁に弾性的に押圧される様に、このエ
ネルギ吸収部材16と上記係止板部20aとの形状及び
寸法を規制する。従って、組み付け後に上記エネルギ吸
収部材16が係止板部20aに対してがたつく事はな
く、組み付け部でがたつき音が発生する事はない。
【0028】本例の場合も、前述した第1例の場合と同
様の作用により、二次衝突時に変形部18、18の折り
返し部19、19をこの変形部18、18の先端に向け
移動させつつ、衝撃エネルギを吸収する。特に、本例の
場合には、上記各変形部18、18の中間部で折り返し
部19、19よりも先端寄り部分を上記両小円孔23、
23に挿通しているので、二次衝突の開始後に、チルト
ボルト8の中間部に対する上記各折り返し部19、19
の巻き付き量(角度)を安定して確保できる。従って、
二次衝突時に於けるエネルギの吸収性能が安定する。
【0029】次に、図8は、本発明の実施の形態の第4
例を示している。本例の場合には、チルトボルト8の中
間部に金属、合成樹脂等により円管状に造られたスリー
ブ24を回転自在に外嵌し、このスリーブ24にエネル
ギ吸収部材16の折り返し部19を巻き掛けている。こ
の様に構成される本例の場合には、二次衝突時に上記ス
リーブ24が回転する事により、上記折り返し部19の
扱きを安定して行なわせる。その他の構成及び作用は、
上述した第3例の場合と同様である。
【0030】次に、図9は、本発明の実施の形態の第5
例を示している。本例の場合には、チルトボルト8と折
り返し部19との間に隙間25を介在させている。二次
衝突時には、ステアリングコラム1がこの隙間25の長
さ寸法L25分だけ前方(図9の左方)に変位してから、
上記折り返し部19がチルトボルト8により扱かれ始め
る。ステアリングコラム1の変位開始時に打ち勝たなけ
ればならない抵抗(支持板部4の内側面と昇降ブラケッ
ト5の外側面との間に作用する静止摩擦抵抗)は比較的
大きい為、上記隙間25によりステアリングコラム1の
変位開始直後には上記折り返し部19が扱かれない様に
する事により、衝撃吸収式ステアリングコラム装置全体
としての荷重制御を行ない易くなる。その他の構成及び
作用は、前述した第3例の場合と同様である。
【0031】次に、図10は、本発明の実施の形態の第
6例を示している。本例の場合には、エネルギ吸収部材
16bを構成する金属線に弾性を持たせると共に、この
エネルギ吸収部材16bを構成する1対の変形部18
a、18aの先端部を、支持ブラケット3の一部に、二
次衝突に伴って脱落自在に係止している。即ち、上記各
変形部18a、18aに、その先端部が下方に変位する
方向(各変形部18a、18aに設けた折り返し部分の
曲率半径を小さくする方向)の弾性を付与すると共に、
上記各変形部18a、18aの先端部にそれぞれ折り曲
げ形成した各係止部26を、支持ブラケット3を構成す
る1対の支持板部4、4の前端縁(図10の左端縁)に
形成した切り込み27に係止している。上記各係止部2
6をこの様に切り込み27に係止し、上記各変形部18
a、18aをこの切り込み27と昇降ブラケット5の係
止板部20aの小円孔23との間に設ける事により、左
右1対の変形部18a、18aが上記ステアリングコラ
ム1の重量を弾性的に支える。
【0032】この様にエネルギ吸収部材16bの弾性に
よりステアリングコラム1の重量を弾性的に支える様に
構成すれば、ステアリングホイールの高さ調節を行なう
為のチルト作業時に上記ステアリングコラム1の重量を
支えておくばねを、独立して設ける必要がなくなる為、
コストをより低減する事も可能になる。
【0033】尚、本第6例の場合、変形部18aの先端
部は、二次衝突に伴って脱落自在に係止すれば良く、必
ずしも図10に示す様な構造である必要はない。例え
ば、図11〜12に示す様に、支持ブラケット3の支持
板部4の先端縁部に側方に突出した折り曲げ部28が存
在すれば、この折り曲げ部28に小円孔29を形成する
と共に、この小円孔29に上記変形部18aの先端部を
挿入する事もできる。
【0034】
【発明の効果】本発明の衝撃吸収式ステアリングコラム
装置は、以上に述べた通り構成され作用するので、二次
衝突時の衝撃を緩和して運転者の保護を有効に図れる構
造を安価に得られる。更に、必要とすれば、ステアリン
グコラムの重量を支える為の釣り合いばねを省略して、
チルト機構を有する衝撃吸収式ステアリングコラム装置
のコストをより一層低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す要部切断側
面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】第1例に使用するエネルギ吸収部材の斜視図。
【図4】本発明の実施の形態の第2例に使用するエネル
ギ吸収部材の斜視図。
【図5】同第3例を示す要部切断側面図。
【図6】図5のB−B断面図。
【図7】第3例に使用する昇降ブラケットの斜視図。
【図8】本発明の実施の形態の第4例を示す要部切断側
面図。
【図9】同第5例を示す要部切断側面図。
【図10】同第6例を示す要部切断側面図。
【図11】第6例の変形例を示す、図10のC部に相当
する図。
【図12】図11のD矢視図。
【図13】従来の衝撃吸収式ステアリングコラム装置を
示す要部切断側面図。
【図14】図13のE−E断面図。
【図15】エネルギ吸収部材の平面図。
【符号の説明】
1 ステアリングコラム 2 ステアリングシャフト 3 支持ブラケット 4 支持板部 5 昇降ブラケット 6 切り欠き 7 長孔 8 チルトボルト 9 チルトナット 10 頭部 11 エネルギ吸収部材 12 支持部 13 折り曲げ部 14 円孔 15 舌片 16、16a、16b エネルギ吸収部材 17 基部 18、18a 変形部 19 折り返し部 20、20a 係止板部 21 傾斜部 22 係止切り欠き 23 小円孔 24 スリーブ 25 隙間 26 係止部 27 切り込み 28 折り曲げ部 29 小円孔 30 車体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリングコラムの中間部にこのステ
    アリングコラムの幅方向に亙って固定された被支持ブラ
    ケットと、この被支持ブラケットを左右両側から挟持す
    る1対の支持板部を有し、車体に支持固定される支持ブ
    ラケットと、上記被支持ブラケットの一部で上記各支持
    板部に対向する部分に、この被支持ブラケットの後端縁
    側に開口する状態で形成された切り欠きと、上記各支持
    板部に形成された通孔と、これら各切り欠き及び通孔を
    挿通した状態で上記被支持ブラケットを上記支持ブラケ
    ットに結合支持する杆状の結合部材と、上記支持ブラケ
    ットと上記ステアリングコラムとの間に設けられたエネ
    ルギ吸収部材とから成る衝撃吸収式ステアリングコラム
    装置に於いて、上記エネルギ吸収部材は金属線を曲げ形
    成する事により造られたもので、基部及びこの基部に対
    して一体に結合された変形部とを備え、このうちの基部
    は、上記被支持ブラケットの一部で上記結合部材よりも
    前側部分に結合支持されており、上記変形部はその途中
    に形成した折り返し部を上記結合部材の後面側周囲に配
    置して、この結合部材の後側で折り返している事を特徴
    とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
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