JPH09188726A - フラーレン含有高分子材料及びその製造方法 - Google Patents

フラーレン含有高分子材料及びその製造方法

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JPH09188726A
JPH09188726A JP65196A JP65196A JPH09188726A JP H09188726 A JPH09188726 A JP H09188726A JP 65196 A JP65196 A JP 65196A JP 65196 A JP65196 A JP 65196A JP H09188726 A JPH09188726 A JP H09188726A
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JP
Japan
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fullerene
compound
furan ester
ester
furan
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JP65196A
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Yuusuke Tajima
右副 田島
Jun Onoe
順 尾上
Kazuo Takeuchi
一夫 武内
Tadahiro Ishii
忠浩 石井
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RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フラーレン導入率を高めたり変化させたりで
きることができる、新たなフラーレン含有高分子化合物
とその製造方法を提供すること。 【解決手段】 フラーレン化合物、例えば、フラーレン
60、C70又はC82、とヘテロ環、例えば、フラン、チ
オフェン又はピロール、を側鎖に有する高分子化合物と
をディールスアルダー反応させるフラーレン含有高分子
化合物の製造方法。ポリメタクリル酸フランエステルの
フランエステル基の1つ又は2つ以上が下記式(1)で
表されるフラノ基とフラーレン化合物との付加基である
フラーレン含有ポリメタクリル酸フランエステル。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なフラーレン
含有高分子化合物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フラーレンは、炭素のからなり、かつ中
空を有する分子である。炭素数が60であるC60の他、
炭素数が70であるC70や炭素数が82であるC82も知
られている。さらに、これらのフラーレンを高分子化合
物中に導入することも知られている。例えば、高分子化
合物中にC60をドーピングすることでフォトリフラクテ
ィブなどの光機能を発現させることができる〔Appl
ied Physics Letters 61 29
67 1992〕。しかし、ドーピングによる導入では
化学的に不安定である。
【0003】
【発明が解決すべき課題】化学結合によるC60の導入も
試みられている。例えば、DE4344840A1(1
995.7.6)には、芳香族置換基を有する高分子化
合物とC60とを反応させることが報告されている。しか
し、反応速度や収率が極めて低いという問題があった。
また、末端にフラノ基を有するメリーフィールズペプチ
ド樹脂(クロロメチル化ポリスチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合体)の末端にフラノ基とC60とを反応させる方
法も報告されている〔Tetrahedron Let
ters,Vol.36,No.21,pp.3617
−3618,1995〕。この方法によれば比較的高い
収率で生成物が得られる。しかるに、上記方法では末端
にフラノ基のみにしかC60を導入できない。ところが、
フラーレン導入高分子化合物を利用する観点からは、フ
ラーレン導入率を高めたり変化させたりできることが必
要である。
【0004】そこで本発明の目的は、フラーレン導入率
を高めたり変化させたりできることができる、新たなフ
ラーレン含有高分子化合物とその製造方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、フラーレン化
合物とヘテロ環を側鎖に有する高分子化合物とをディー
ルスアルダー反応させることを特徴とするフラーレン含
有高分子化合物の製造方法に関する。さらに本発明は、
ポリメタクリル酸フランエステルのフランエステル基の
1つ又は2つ以上が下記式(1)で表されるフラノ基と
フラーレン化合物との付加基であることを特徴とするフ
ラーレン含有ポリメタクリル酸フランエステル。
【0006】
【化3】
【0007】以下本発明についてさらに説明する。本発
明の製造方法は、フラーレン化合物とヘテロ環を側鎖に
有する高分子化合物とをディールスアルダー反応させる
ことを特徴とする。原料となるフラーレン化合物には特
に制限はなく、高分子化合物に付与したい特性に応じて
適宜のフラーレンを選ぶことができる。容易に入手でき
るという観点からは、例えば、フラーレンC60、C70
びC82等を挙げることができる。
【0008】ヘテロ環を側鎖に有する高分子化合物にお
けるヘテロ環は、原料フラーレン化合物とディールスア
ルダー反応し得るものであれば特に制限はない。例え
ば、フラン、チオフェン及びピロールを挙げることがで
きる。また、ヘテロ環の側鎖への導入量にも特に制限は
なく、フラーレンの導入量等を考慮して適宜決定でき
る。従って、ヘテロ環を側鎖に有するホモポリマーであ
っても、ヘテロ環を側鎖に有する単位とそれ以外の単位
との共重合体であってもよい。このようなヘテロ環を側
鎖に有する高分子化合物は、例えば、フルフリルアルコ
ールを用いることによって、日本化学会編新実験化学講
座19〔I〕p333等に記載の公知方法により製造す
ることができる。
【0009】フラーレン化合物とヘテロ環を側鎖に有す
る高分子化合物とのディールスアルダー反応は、フラー
レン化合物とヘテロ環を側鎖に有する高分子化合物とを
任意の割当、例えば、フラーレン化合物1〜30重量部
に対して高分子化合物99〜70重量部の割合で混合し
て行うことができる。反応は室温で攪拌下で行うことが
適当である。反応時間は、フラーレン導入量や反応収率
等を考慮して1〜48時間の範囲とすることができる。
【0010】フラーレン化合物とヘテロ環を側鎖に有す
る高分子化合物とのディールスアルダー反応は、有機溶
媒中で行うことが、均一な系を形成できることから適当
である。さらに有機溶媒としては、反応を促進できると
いう観点から、蒸発熱が20kJ/mol〜40kJ/
molの有機溶媒を用いることが好ましい。このような
有機溶媒としては、ジクロロメタン(△Hvap =28k
J/mol)、クロロホルム(△Hvap =29.4kJ
/mol)、四塩化炭素(△Hvap =30kJ/mo
l)、ベンゼン(△Hvap =31.7kJ/mol)、
トロエン(△Hvap =33.5kJ/mol)、キシレ
ン(△Hvap =36.4kJ/mol)、クロロベンゼ
ン(△Hvap =37.2kJ/mol)等を挙げること
ができる。
【0011】反応生成物は、以下のように精製して、目
的とするフラーレン含有高分子化合物を得ることができ
る。例えば、多量のトルエン/石油エーテル(2/8)
中に反応生成物をゆっくりと注ぎ、得られた凝固沈殿物
を濾過し、1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解
させ、再度トルエン/石油エーテル(2/8)中に投入
して、生成物を分離し、減圧乾燥させることで、目的と
するフラーレン含有高分子化合物を得ることができる。
【0012】本発明のフラーレン含有ポリメタクリル酸
フランエステルは、ポリメタクリル酸フランエステルの
フランエステル基の1つ又は2つ以上が下記式(1)で
表されるフラノ基とフラーレン化合物との付加基である
ことを特徴とする。
【0013】
【化4】
【0014】特に本発明では、1つの分子中に上記式
(1)で表されるフラノ基とフラーレン化合物との付加
基を2つ以上ことが好ましい。さらに本発明のフラーレ
ン含有ポリメタクリル酸フランエステルは、ポリメタク
リル酸フランエステルが、下記式(2)で表されるフラ
ンエステル基を有することができる。
【0015】
【化5】
【0016】さらに本発明のフラーレン含有ポリメタク
リル酸フランエステルは、式(2)で表されるフランエ
ステル基を有する繰り返し単位を50モル%以上を含有
することができる。また、式(2)で表されるフランエ
ステル基を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位がメ
タクリル酸2−ヒドロキシエチルエステルであることが
できる。さらに本発明のフラーレン含有ポリメタクリル
酸フランエステルは、ポリエチレン換算数平均分子量が
10000〜100000の範囲であることができる。
【0017】本発明のフラーレン含有ポリメタクリル酸
フランエステルは、例えば、下記スキームに示す方法に
より製造することができる。
【0018】
【化6】
【0019】メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(1)
を、重合開始剤アゾビスイソブチルニトリル(AIB
N)の存在下重合してポリメタクリル酸2−ヒドロキシ
エチル(2)を得る。この重合条件を調整することで、
最終生成物の分子量を変化させることができる。次いで
ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2)と塩化2
−フロイル(3)とをピリジン中で反応させてポリメタ
クリル酸フランエステル(4)を得る。塩化2−フロイ
ルの反応量を変化させることで、フランエステル基の導
入量と2−ヒドロキシエチル量の比率を変化させること
ができる。ポリメタクリル酸フランエステル(4)をフ
ラーレン化合物と反応させて、本発明のフラーレン含有
ポリメタクリル酸フランエステル(5)を得ることがで
きる。この反応は、上記本発明の製造方法で説明したと
同様に行うことができ、好ましくは、蒸発熱が20kJ
/mol〜40kJ/molの有機溶媒中で行う。
【0020】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、1つの分子
に2つ以上のフラーレンを含有する高分子化合物を得る
ことができる。さらに本発明によれば、新規なフラーレ
ン含有ポリメタクリル酸フランエステルを提供すること
ができる。このフラーレン含有ポリメタクリル酸フラン
エステルは従来にない光学的特性を有するものである。
【0021】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに説明する。 実施例1 メタクリル酸2−ヒドロキシエチル30gとアゾビスイ
ソブチルニトリル0.1gをイソプロパノール100m
lに溶解させ、80℃で加熱攪拌を6時間行った。次い
で、約1リットルのn−ヘキサノール中に反応液をゆっ
くりと注ぎ、凝固沈殿物を濾過して、ポリメタクリル酸
2−ヒドロキシエチル(ポリスチレン換算数平均分子量
約50000)の白色粉末24gを得た。得られた粉末
10gをピリジン50mlに溶解させ、室温で攪拌しな
がら塩化2−フロイル12gを滴下し、約12時間攪拌
を続けた。次いで、2N塩酸および飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液で洗浄した。その結果、淡赤色粉末のポリメ
タクリル酸フランエステル11.5gを得た。
【0022】予めフラーレンC60(Term社製、9
9.98%)1gをジクロロメタン(△Hvap =28k
J/mol)100mlに十分溶解させてC60溶液を作
成した。このC60溶液に上記ポリメタクリル酸フランエ
ステル10gを加え、23℃で24時間攪拌した。生成
した淡赤色の溶液を濾過し、濾液をトルエン/石油エー
テル中で凝固沈殿精製して褐色粉末の生成物(ポリメタ
クリル酸フランエステル−C60)8.5gを得た。各段
階で得られた中間体及び最終生成物は、紫外、可視、赤
外及びH1 −NMRの各分光スペクトルによって同定し
た。表1に、ポリメタクリル酸フランエステル(中間体
と記載)及びポリメタクリル酸フランエステル−C
60(生成物と記載)の結果を示す。
【0023】
【表1】
【0024】その結果、ポリメタクリル酸フランエステ
ル中に含まれるフラン変成率は、ポリメタクリル酸2−
ヒドロキシエチルのアルコール水酸基に対して約80モ
ル%であった。さらに、最終生成物であるフラーレン含
有ポリメタクリル酸フランエステルのC60変成率は約
0.9%であり、フラーレン含有ポリメタクリル酸フラ
ンエステル1分子当たり4個のC60が導入されていた。
【0025】実施例2 予めフラーレンC60(Term社製、99.98%)1
gをトルエン(△Hvap =33.5kJ/mol)10
0mlに十分溶解させてC60溶液を作成した。このC60
溶液に実施例1と同様にして調製したポリメタクリル酸
フランエステル10gを加え、23℃で24時間攪拌し
た。生成した淡赤色の溶液を濾過し、濾液をトルエン/
メタノール中で精製して褐色粉末の生成物75mgを得
た。最終生成物は、実施例1と同様にして紫外、可視、
赤外及びH1 −NMRの各分光スペクトルによって同定
した。尚、ポリメタクリル酸フランエステル中に含まれ
るフラン変成率は、実施例1と同様にポリメタクリル酸
2−ヒドロキシエチルのアルコール水酸基に対して約8
0モル%であった。さらに、最終生成物であるフラーレ
ン含有ポリメタクリル酸フランエステルのC60変成率は
約0.9%であり、フラーレン含有ポリメタクリル酸フ
ランエステル1分子当たり4個のC60が導入されてい
た。
【0026】実施例3 予めフラーレンC60(Term社製、99.98%)
0.1gをトルエン(△Hvap =33.5kJ/mo
l)100mlに十分溶解させてC60溶液を作成した。
このC60溶液に実施例1と同様にして調製したポリメタ
クリル酸フランエステル10gを加え、23℃で24時
間攪拌した。生成した淡赤色の溶液を濾過し、濾液をト
ルエン/メタノール中で精製して褐色粉末の生成物70
mgを得た。最終生成物は、実施例1と同様にして紫
外、可視、赤外及びH1 −NMRの各分光スペクトルに
よって同定した。尚、ポリメタクリル酸フランエステル
中に含まれるフラン変成率は、実施例1と同様にポリメ
タクリル酸2−ヒドロキシエチルのアルコール水酸基に
対して約80モル%であった。さらに、最終生成物であ
るフラーレン含有ポリメタクリル酸フランエステルのC
60変成率は約0.05%であり、フラーレン含有ポリメ
タクリル酸フランエステル1分子当たり2個のC60が導
入されていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 忠浩 埼玉県川越市伊勢原町1−11−1

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラーレン化合物とヘテロ環を側鎖に有
    する高分子化合物とをディールスアルダー反応させるこ
    とを特徴とするフラーレン含有高分子化合物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 フラーレン化合物がフラーレンC60、C
    70及びC82からなる群から選ばれる少なくとも1つであ
    る請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 ヘテロ環がフラン、チオフェン又はピロ
    ールである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ディールスアルダー反応を蒸発熱が20
    kJ/mol〜40kJ/molの有機溶媒中で行う請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリメタクリル酸フランエステルのフラ
    ンエステル基の1つ又は2つ以上が下記式(1)で表さ
    れるフラノ基とフラーレン化合物との付加基であること
    を特徴とするフラーレン含有ポリメタクリル酸フランエ
    ステル。 【化1】
  6. 【請求項6】 ポリメタクリル酸フランエステルが、下
    記式(2)で表されるフランエステル基を有する請求項
    5記載のフラーレン含有ポリメタクリル酸フランエステ
    ル。 【化2】
  7. 【請求項7】 式(2)で表されるフランエステル基を
    有する繰り返し単位を50モル%以上を含有する請求項
    6記載のフラーレン含有ポリメタクリル酸フランエステ
    ル。
  8. 【請求項8】 式(2)で表されるフランエステル基を
    有する繰り返し単位以外の繰り返し単位がメタクリル酸
    2−ヒドロキシエチルエステルである請求項7記載のフ
    ラーレン含有ポリメタクリル酸フランエステル。
  9. 【請求項9】 ポリエチレン換算数平均分子量が100
    00〜100000の範囲である請求項5〜8のいずれ
    か1項に記載のフラーレン含有ポリメタクリル酸フラン
    エステル。
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