JPH09188655A - シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法 - Google Patents
シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法Info
- Publication number
- JPH09188655A JPH09188655A JP144196A JP144196A JPH09188655A JP H09188655 A JPH09188655 A JP H09188655A JP 144196 A JP144196 A JP 144196A JP 144196 A JP144196 A JP 144196A JP H09188655 A JPH09188655 A JP H09188655A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cis
- trans
- general formula
- formula
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造
方法において、安価で工業的な製造を可能にする。 【構成】 一般式(I)(Xは酸性条件下で引き抜か
れ、テトラリン骨格の1位にカルボカチオンを生成し得
る置換基、Yはハロゲン原子)で表される1,2−ジ置
換テトラリン類を酸性条件下に一般式(II)(Rはフェ
ニル基もしくは低級アルキル基)で表されるニトリル類
と反応させることにより、トランス−アミド誘導体ない
しシス−オキサゾリン誘導体を経て、一般式(V)(N
H2 基とOH基はシス配置)で表されるシス−1−アミ
ノ−2−テトラロ−ルを製造する。 【化21】
方法において、安価で工業的な製造を可能にする。 【構成】 一般式(I)(Xは酸性条件下で引き抜か
れ、テトラリン骨格の1位にカルボカチオンを生成し得
る置換基、Yはハロゲン原子)で表される1,2−ジ置
換テトラリン類を酸性条件下に一般式(II)(Rはフェ
ニル基もしくは低級アルキル基)で表されるニトリル類
と反応させることにより、トランス−アミド誘導体ない
しシス−オキサゾリン誘導体を経て、一般式(V)(N
H2 基とOH基はシス配置)で表されるシス−1−アミ
ノ−2−テトラロ−ルを製造する。 【化21】
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業的に有用な、
シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法に関す
るものである。
シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】環状シス−アミノアルコ−ル類は医薬中
間体として重要である。例えば、J.Med.Che
m.,35,2525(1992),J.Med.Chem.,3
5,1702(1992)、J.Med.Chem.,35,1685
(1992)等にはシス−1−アミノ−2−インダノ−ルが
抗HIV薬の製造の有用中間体であることが開示されて
いる。また、J.Chem.Soc.Chem.Com
mun.,1992,1673には、これらの環状シス−アミノ
アルコ−ル類が光学活性ヒドロキシエステル合成の原料
として有用であることが開示されている。さらに、Te
trahedoronLett.,35(36),6631(19
94)等には、これらの環状シス−アミノアルコ−ル類か
ら誘導されるボラン錯体がケトン類の不斉還元のための
有用な触媒となることが開示されている。
間体として重要である。例えば、J.Med.Che
m.,35,2525(1992),J.Med.Chem.,3
5,1702(1992)、J.Med.Chem.,35,1685
(1992)等にはシス−1−アミノ−2−インダノ−ルが
抗HIV薬の製造の有用中間体であることが開示されて
いる。また、J.Chem.Soc.Chem.Com
mun.,1992,1673には、これらの環状シス−アミノ
アルコ−ル類が光学活性ヒドロキシエステル合成の原料
として有用であることが開示されている。さらに、Te
trahedoronLett.,35(36),6631(19
94)等には、これらの環状シス−アミノアルコ−ル類か
ら誘導されるボラン錯体がケトン類の不斉還元のための
有用な触媒となることが開示されている。
【0003】これまでにもいくつかのシス−1−アミノ
−2−テトラロ−ルの製造方法が提案されている。例え
ば、ハスナー(Hassner)等[J.Org.Ch
em.,32,540 (1967)]は、エチル−N−(トラン
ス−2−ヨ−ド−1−テトラリン)カ−バメ−トを無水
グライム中で加熱して閉環し、シス−テトラリノ[1,
2−d]−2−オキサゾリドンを形成し、これを加水分
解することにより、所望のシス−(±)−1−アミノ−
2−テトラロ−ルを得ている(下記式)。
−2−テトラロ−ルの製造方法が提案されている。例え
ば、ハスナー(Hassner)等[J.Org.Ch
em.,32,540 (1967)]は、エチル−N−(トラン
ス−2−ヨ−ド−1−テトラリン)カ−バメ−トを無水
グライム中で加熱して閉環し、シス−テトラリノ[1,
2−d]−2−オキサゾリドンを形成し、これを加水分
解することにより、所望のシス−(±)−1−アミノ−
2−テトラロ−ルを得ている(下記式)。
【0004】
【化12】
【0005】しかしながら、この原料のカーバメート体
はヨードイソシアネートのジヒドロナフタレンへの付加
反応によって得られるものの、ヨードイソシアネートの
合成方法が困難であるため、工業的とは考えられず、オ
キサゾリドン体の生成には高い温度が必要である等の欠
点を有する。
はヨードイソシアネートのジヒドロナフタレンへの付加
反応によって得られるものの、ヨードイソシアネートの
合成方法が困難であるため、工業的とは考えられず、オ
キサゾリドン体の生成には高い温度が必要である等の欠
点を有する。
【0006】一方、セナナヤケ(Senanayak
e)等[Tetrahedron Lett.,36(4
2),7615(1995)]は、シス−1,2−エポキシテト
ラリンを−40℃の低温下で強酸の存在下にアセトニトリ
ルと反応させることにより、シス−オキサゾリン誘導体
とし、これを加水分解することで所望のシス−1−アミ
ノ−2−テトラロ−ルを得ている。しかしながら、この
方法ではシス−オキサゾリン誘導体と共にトランス−オ
キサゾリン誘導体が大量に副生してしまい、目的物の収
量は低い(下記式)。
e)等[Tetrahedron Lett.,36(4
2),7615(1995)]は、シス−1,2−エポキシテト
ラリンを−40℃の低温下で強酸の存在下にアセトニトリ
ルと反応させることにより、シス−オキサゾリン誘導体
とし、これを加水分解することで所望のシス−1−アミ
ノ−2−テトラロ−ルを得ている。しかしながら、この
方法ではシス−オキサゾリン誘導体と共にトランス−オ
キサゾリン誘導体が大量に副生してしまい、目的物の収
量は低い(下記式)。
【0007】
【化13】
【0008】さらに、前出のセナナヤケ等は、シス−
1,2−ジヒドロキシテトラリン、およびトランス−
1,2−ジヒドロキシテトラリンを原料として類似の反
応条件を適応することにより、所望のシス−1−アミノ
−2−テトラロ−ルを良好な収率で得ている。しかしな
がら、反応に−40℃の低温条件が必要であり工業的に容
易な方法とはいい難い(下記式)。
1,2−ジヒドロキシテトラリン、およびトランス−
1,2−ジヒドロキシテトラリンを原料として類似の反
応条件を適応することにより、所望のシス−1−アミノ
−2−テトラロ−ルを良好な収率で得ている。しかしな
がら、反応に−40℃の低温条件が必要であり工業的に容
易な方法とはいい難い(下記式)。
【0009】
【化14】
【0010】以上のように、シス−1−アミノ−2−テ
トラロ−ルはその満足できる製造方法が知られておら
ず、工業的かつ安価に製造することが困難であった。
トラロ−ルはその満足できる製造方法が知られておら
ず、工業的かつ安価に製造することが困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シス
−1−アミノ−2−テトラロ−ルの効率的な製造方法を
提供することにある。
−1−アミノ−2−テトラロ−ルの効率的な製造方法を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは既にシス−
1−アミノ−2−インダノ−ルの工業的な製造方法を発
明している(特願平5−301989号、特願平6−57649
号、特願平6−298619号)。
1−アミノ−2−インダノ−ルの工業的な製造方法を発
明している(特願平5−301989号、特願平6−57649
号、特願平6−298619号)。
【0013】本発明者等はこれらの知見を類似のテトラ
リン骨格に適応可能かどうかの検討を行った。
リン骨格に適応可能かどうかの検討を行った。
【0014】類似の反応条件を用いても、環構造が異な
る場合には異なる生成物を与えたり、生成物の収率が異
なることは同業者には常識である。例えば、シス−1−
アミノ−2−テトラロ−ルとシス−1−アミノ−2−イ
ンダノ−ルの製造方法について、これらの先行技術で比
較すれば、より反応性の相違は明瞭である。
る場合には異なる生成物を与えたり、生成物の収率が異
なることは同業者には常識である。例えば、シス−1−
アミノ−2−テトラロ−ルとシス−1−アミノ−2−イ
ンダノ−ルの製造方法について、これらの先行技術で比
較すれば、より反応性の相違は明瞭である。
【0015】前出のセナナヤケ等は類似構造である、シ
ス−1,2−エポキシインダンとシス−1,2−エポキ
シテトラリンを−40℃の低温下で強酸の存在下にアセト
ニトリルと反応させ、結果を比較している。シス−1,
2−エポキシインダンを基質に用いた場合、生成するオ
キサゾリン誘導体のシス:トランス比は100 :0であ
り、完全なシス選択性を示しており、生成したシス−オ
キサゾリン誘導体は所望のシス−1−アミノ−2−イン
ダノ−ルに誘導できる。しかしながら、シス−1,2−
エポキシテトラリンを基質に用いた場合、オキサゾリン
誘導体のシス:トランス比は37:63〜50:50であり、所
望のシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの前駆体であ
るシス−オキサゾリン誘導体の選択性は50%以下であ
る。これは、シクロアルカンの炭素数の1個の違いが反
応の立体選択性に大きく影響することを端的に示してい
る。さらに、前出のハスナ−等はインダン骨格を有する
β−ヨ−ドカ−バメ−ト誘導体である、エチル−N−
(トランス−2−ヨ−ド−1−インダン)カ−バメ−ト
とテトラリン骨格を有するβ−ヨ−ドカ−バメ−ト誘導
体である、エチル−N−(トランス−2−ヨ−ド−1−
テトラリン)カ−バメ−トのジグライム中、155 ℃、12
0 分の同一反応条件での閉環による対応する、2−オキ
サゾリドン誘導体の合成を報告している。それぞれの収
率を比較すると、インダン骨格の場合には87%であるの
に対し、テトラリン骨格では45%であり、明らかに炭素
数1個の違いが収率に影響を与えている。
ス−1,2−エポキシインダンとシス−1,2−エポキ
シテトラリンを−40℃の低温下で強酸の存在下にアセト
ニトリルと反応させ、結果を比較している。シス−1,
2−エポキシインダンを基質に用いた場合、生成するオ
キサゾリン誘導体のシス:トランス比は100 :0であ
り、完全なシス選択性を示しており、生成したシス−オ
キサゾリン誘導体は所望のシス−1−アミノ−2−イン
ダノ−ルに誘導できる。しかしながら、シス−1,2−
エポキシテトラリンを基質に用いた場合、オキサゾリン
誘導体のシス:トランス比は37:63〜50:50であり、所
望のシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの前駆体であ
るシス−オキサゾリン誘導体の選択性は50%以下であ
る。これは、シクロアルカンの炭素数の1個の違いが反
応の立体選択性に大きく影響することを端的に示してい
る。さらに、前出のハスナ−等はインダン骨格を有する
β−ヨ−ドカ−バメ−ト誘導体である、エチル−N−
(トランス−2−ヨ−ド−1−インダン)カ−バメ−ト
とテトラリン骨格を有するβ−ヨ−ドカ−バメ−ト誘導
体である、エチル−N−(トランス−2−ヨ−ド−1−
テトラリン)カ−バメ−トのジグライム中、155 ℃、12
0 分の同一反応条件での閉環による対応する、2−オキ
サゾリドン誘導体の合成を報告している。それぞれの収
率を比較すると、インダン骨格の場合には87%であるの
に対し、テトラリン骨格では45%であり、明らかに炭素
数1個の違いが収率に影響を与えている。
【0016】以上のように、ベンゾシクロアルカン誘導
体の反応性には大きな差異があり、インダン骨格を有す
る化合物とテトラリン骨格を有する化合物についても、
同じ反応条件において同じ結果が生じることは予測が困
難である。
体の反応性には大きな差異があり、インダン骨格を有す
る化合物とテトラリン骨格を有する化合物についても、
同じ反応条件において同じ結果が生じることは予測が困
難である。
【0017】本発明者等は以上の事実を考慮し、先願の
シス−1−アミノ−2−インダノ−ルの製造技術がシス
−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造に適応可能かど
うかを鋭意検討し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、一般式(I)
シス−1−アミノ−2−インダノ−ルの製造技術がシス
−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造に適応可能かど
うかを鋭意検討し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、一般式(I)
【0018】
【化15】
【0019】(ただし、式中、Xは酸性条件下において
引き抜かれることにより、テトラリン骨格の1位にカル
ボカチオンを生成し得る置換であり、Yはハロゲン原子
であり、XとYはシス配置でもトランス配置でもよく、
ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表される1,2−
ジ置換テトラリン類を酸性条件下に一般式(II)
引き抜かれることにより、テトラリン骨格の1位にカル
ボカチオンを生成し得る置換であり、Yはハロゲン原子
であり、XとYはシス配置でもトランス配置でもよく、
ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表される1,2−
ジ置換テトラリン類を酸性条件下に一般式(II)
【0020】
【化16】
【0021】(ただし、式中、Rはフェニル基もしくは
低級アルキル基である)で表されるニトリル類と反応さ
せる工程を有する、1,2−ジ置換テトラリン類の製造
方法を提供する。一般式(I)で表される、1,2−ジ
置換テトラリン類と一般式(II)で表されるニトリル類
の反応においては、一般式(III )
低級アルキル基である)で表されるニトリル類と反応さ
せる工程を有する、1,2−ジ置換テトラリン類の製造
方法を提供する。一般式(I)で表される、1,2−ジ
置換テトラリン類と一般式(II)で表されるニトリル類
の反応においては、一般式(III )
【0022】
【化17】
【0023】(ただし、式中、Rはフェニル基もしくは
低級アルキル基であり、Yはハロゲン原子であり、NH
COR基とYはトランス配置であり、ラセミ体でも光学
活性体でもよい)で表されるトランス−アミド誘導体を
形成し、これを閉環して一般式(IV)
低級アルキル基であり、Yはハロゲン原子であり、NH
COR基とYはトランス配置であり、ラセミ体でも光学
活性体でもよい)で表されるトランス−アミド誘導体を
形成し、これを閉環して一般式(IV)
【0024】
【化18】
【0025】(ただし、式中、Rはフェニル基もしくは
低級アルキル基であり、オキサゾリン環はシス配置であ
り、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシス
−オキサゾリン誘導体とする。
低級アルキル基であり、オキサゾリン環はシス配置であ
り、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシス
−オキサゾリン誘導体とする。
【0026】一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリ
ン誘導体を公知の方法で加水分解することにより、一般
式(V)
ン誘導体を公知の方法で加水分解することにより、一般
式(V)
【0027】
【化19】
【0028】(ただし、式中、NH2 基とOH基はシス
配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表さ
れるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルが生成する。
配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表さ
れるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルが生成する。
【0029】アルコール類が濃硫酸の存在下にニトリル
類と反応してアミド類を生成する反応はリッター(Ri
tter)反応としてよく知られている。例えば、リッ
ター(Ritter)等[J.Am.Chem.So
c.,70,4048(1948)]は第3級アルコールからのア
ミドの合成を報告している。さらに、この反応はハロア
ルコールにも適用可能であり、ルスキン(Lusski
n)等[J.Am.Chem.Soc.,72,5577(19
50)]は脂肪族ハロヒドリンを濃硫酸の存在下にニトリ
ル類と反応させ、種々のN−(2−ハロ−1−エチル)
アミド類を合成している。さらに、ウォール(Woh
l)[J.Org.Chem.,38,3099(1973)]
は、3−ブロモ−2−ブタノールを濃硫酸中でアセトニ
トリルもしくはベンゾニトリル類と反応させて2−アミ
ド−3−ブロモブタン類を得ている。また、これらのア
ミド類は不安定であり、容易に閉環して2−オキサゾリ
ン類を生成することが報告されている。
類と反応してアミド類を生成する反応はリッター(Ri
tter)反応としてよく知られている。例えば、リッ
ター(Ritter)等[J.Am.Chem.So
c.,70,4048(1948)]は第3級アルコールからのア
ミドの合成を報告している。さらに、この反応はハロア
ルコールにも適用可能であり、ルスキン(Lusski
n)等[J.Am.Chem.Soc.,72,5577(19
50)]は脂肪族ハロヒドリンを濃硫酸の存在下にニトリ
ル類と反応させ、種々のN−(2−ハロ−1−エチル)
アミド類を合成している。さらに、ウォール(Woh
l)[J.Org.Chem.,38,3099(1973)]
は、3−ブロモ−2−ブタノールを濃硫酸中でアセトニ
トリルもしくはベンゾニトリル類と反応させて2−アミ
ド−3−ブロモブタン類を得ている。また、これらのア
ミド類は不安定であり、容易に閉環して2−オキサゾリ
ン類を生成することが報告されている。
【0030】しかしながら、2−ハロゲノ−1−テトラ
ロ−ルを用いてのリッター反応の例はこれまで知られて
いない。本発明者等は、この反応についての検討を行っ
た。
ロ−ルを用いてのリッター反応の例はこれまで知られて
いない。本発明者等は、この反応についての検討を行っ
た。
【0031】一般式(I)で表される出発原料のトラン
ス−2−ハロゲノ−1−テトラロ−ルとしては、トラン
ス−2−クロロ−1−テトラロ−ル、トランス−2−ブ
ロモ−1−テトラロ−ル、トランス−2−ヨ−ド−1−
テトラロ−ル等があげられる。
ス−2−ハロゲノ−1−テトラロ−ルとしては、トラン
ス−2−クロロ−1−テトラロ−ル、トランス−2−ブ
ロモ−1−テトラロ−ル、トランス−2−ヨ−ド−1−
テトラロ−ル等があげられる。
【0032】例えば、トランス−2−ブロモ−1−テト
ラロ−ルはフォン・ブラウン(von Braun)等
の方法[Chem.Ber.,54,597 (1921)]の方
法により、トランス−1,2−ジブロモテトラリンから
合成できる。
ラロ−ルはフォン・ブラウン(von Braun)等
の方法[Chem.Ber.,54,597 (1921)]の方
法により、トランス−1,2−ジブロモテトラリンから
合成できる。
【0033】本発明者等はトランス−2−ハロテトラリ
ン−1−オ−ルを用いてリッター反応を行ったところ、
反応は円滑に進行して所望の一般式(III )で表される
トランス−アミド誘導体が得られた。このトランス−ア
ミド誘導体はこれまで知られていないものである。さら
に、本発明者等は、このアミド誘導体が容易に閉環して
一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリン誘導体に転
化することを見いだした。先のウォール等の報文からリ
ッター反応は立体特異性保持で進行することから、トラ
ンス−2−ハロテトラリン−1−オ−ルのリッター反応
生成物は一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体であり、ルッツ等の報文から、一般式(III )で表
されるトランス−アミド誘導体が閉環することによって
生成するオキサゾリン誘導体はシス配置を有する。この
化合物は公知の方法により、容易に加水分解して一般式
(V)で表される所望のシス−1−アミノ−2−テトラ
ロ−ルを与えた。
ン−1−オ−ルを用いてリッター反応を行ったところ、
反応は円滑に進行して所望の一般式(III )で表される
トランス−アミド誘導体が得られた。このトランス−ア
ミド誘導体はこれまで知られていないものである。さら
に、本発明者等は、このアミド誘導体が容易に閉環して
一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリン誘導体に転
化することを見いだした。先のウォール等の報文からリ
ッター反応は立体特異性保持で進行することから、トラ
ンス−2−ハロテトラリン−1−オ−ルのリッター反応
生成物は一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体であり、ルッツ等の報文から、一般式(III )で表
されるトランス−アミド誘導体が閉環することによって
生成するオキサゾリン誘導体はシス配置を有する。この
化合物は公知の方法により、容易に加水分解して一般式
(V)で表される所望のシス−1−アミノ−2−テトラ
ロ−ルを与えた。
【0034】本発明者等はさらに検討を進めた結果、リ
ッター反応終了後の反応混合物を水分散した後に一般式
(III )で表されるトランス−アミド誘導体を単離せず
とも、分散状態でかき混ぜることで連続的に一般式(I
V)で表されるシス−オキサゾリン誘導体および一般式
(V)で表されるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ル
が生成することを見いだした。リッター反応はカルボカ
チオンの生成に引き続くニトリルの攻撃で進行すること
が知られている。トランス−2−ハロテトラリン−1−
オ−ルとニトリル類の酸性条件下における反応によるト
ランス−アミド誘導体の生成は、テトラリン骨格の1位
にカルボカチオンが容易に生成すること、さらに1位の
置換基の配置は2位の置換基に対してシス配置でもトラ
ンス配置でも可能であることを示唆している。
ッター反応終了後の反応混合物を水分散した後に一般式
(III )で表されるトランス−アミド誘導体を単離せず
とも、分散状態でかき混ぜることで連続的に一般式(I
V)で表されるシス−オキサゾリン誘導体および一般式
(V)で表されるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ル
が生成することを見いだした。リッター反応はカルボカ
チオンの生成に引き続くニトリルの攻撃で進行すること
が知られている。トランス−2−ハロテトラリン−1−
オ−ルとニトリル類の酸性条件下における反応によるト
ランス−アミド誘導体の生成は、テトラリン骨格の1位
にカルボカチオンが容易に生成すること、さらに1位の
置換基の配置は2位の置換基に対してシス配置でもトラ
ンス配置でも可能であることを示唆している。
【0035】本発明者等は、テトラリン骨格の1位に酸
性条件下で容易に引き抜きが起こり得る置換基Xを、2
位には置換基Yとしてハロゲンを有する一般式(I)の
1,2−ジ置換テトラリンを選択して、一般式(II)で
表されるニトリル類との反応を検討した結果、リッター
反応が進行して一般式(III )で表されるトランス−ア
ミド誘導体が生成することを見いだした。
性条件下で容易に引き抜きが起こり得る置換基Xを、2
位には置換基Yとしてハロゲンを有する一般式(I)の
1,2−ジ置換テトラリンを選択して、一般式(II)で
表されるニトリル類との反応を検討した結果、リッター
反応が進行して一般式(III )で表されるトランス−ア
ミド誘導体が生成することを見いだした。
【0036】一般式(I)で表される1,2−ジ置換テ
トラリン類の1位の置換基Xとしては塩素、臭素、沃素
等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、フェノキ
シ基、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオ
キシ基、フェニルカルボニルオキシ基、水酸基等があげ
られる。また、2位の置換基であるハロゲン原子Yとし
ては塩素、臭素、沃素等があげられる。さらに具体的な
一般式(I)の化合物としては、2−クロロ−1−テト
ラロ−ル、2−ブロモ−1−テトラロ−ル、2−ヨ−ド
−1−テトラロ−ル、1,2−ジクロロテトラリン、
1,2−ジブロモテトラリン、1,2−ジヨ−ドテトラ
リン、1−メトキシ−2−クロロテトラリン、1−メト
キシ−2−ブロモテトラリン、1−メトキシ−2−ヨ−
ドテトラリン等があげられる。
トラリン類の1位の置換基Xとしては塩素、臭素、沃素
等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、フェノキ
シ基、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオ
キシ基、フェニルカルボニルオキシ基、水酸基等があげ
られる。また、2位の置換基であるハロゲン原子Yとし
ては塩素、臭素、沃素等があげられる。さらに具体的な
一般式(I)の化合物としては、2−クロロ−1−テト
ラロ−ル、2−ブロモ−1−テトラロ−ル、2−ヨ−ド
−1−テトラロ−ル、1,2−ジクロロテトラリン、
1,2−ジブロモテトラリン、1,2−ジヨ−ドテトラ
リン、1−メトキシ−2−クロロテトラリン、1−メト
キシ−2−ブロモテトラリン、1−メトキシ−2−ヨ−
ドテトラリン等があげられる。
【0037】一般式(I)で表される1,2−ジ置換テ
トラリン類と一般式(II)で表されるニトリル類との混
合は酸性条件下で行う。この酸性条件を得るためには発
煙硫酸もしくは濃硫酸を用いることが好ましいが、これ
らに限らず、過塩素酸、三フッ化ホウ素、メタンスルホ
ン酸、ゼオライト、イオン交換樹脂等、適当な酸性物質
を用いることによっても所望の条件を得ることができ
る。
トラリン類と一般式(II)で表されるニトリル類との混
合は酸性条件下で行う。この酸性条件を得るためには発
煙硫酸もしくは濃硫酸を用いることが好ましいが、これ
らに限らず、過塩素酸、三フッ化ホウ素、メタンスルホ
ン酸、ゼオライト、イオン交換樹脂等、適当な酸性物質
を用いることによっても所望の条件を得ることができ
る。
【0038】一般式(II)で表されるニトリル類の使用
量は一般式(I)で表される1,2−ジ置換テトラリン
類に対して等モル以上が好ましく、過剰に用いてもよ
い。経済性や回収を考慮すると、アセトニトリルの使用
が好ましい。使用する酸の使用量は一般式(I)で表さ
れる1,2−ジ置換テトラリン類に対して等モル以上が
好ましい。より好ましい酸としては発煙硫酸、濃硫酸で
ある。これらの酸の使用量が少ないと反応は完結しない
こともある。反応には不活性な溶媒を用いてもよい。こ
の工程における反応温度は−30℃から100 ℃が好まし
い。より好ましくは10〜100 ℃である。温度が低すぎる
と反応の進行が遅く、高すぎると副反応により収率が低
下する。反応終了後に混合物を冷水中に分散すること等
により、一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体となる。これを濾過や抽出等の適当な方法で分離
し、適当な条件で処理すると、一般式(IV)で表される
シス−オキサゾリン誘導体が得られる。一般式(IV)の
シス−オキサゾリン体は、公知の方法で加水分解すると
一般式(V)で表されるシス−1−アミノ−2−テトラ
ロ−ルが得られる。反応生成物の一般式(V)で表され
るシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルは酸性では水に
溶解している。このため、不純物を除去する目的でこの
水溶液を塩化メチレン等の水に不溶の有機溶媒で洗浄し
た後に、水酸化ナトリウム等の水溶液を加えることが好
ましい。強アルカリ性になると目的とする一般式(V)
で表されるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルが晶出
するため、これを濾別した後に乾燥すればよい。また、
強アルカリ性にした後に適当な抽出溶媒を用いて抽出
し、溶媒を留去することにより目的とする一般式(V)
で表されるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルを得る
ことも可能である。
量は一般式(I)で表される1,2−ジ置換テトラリン
類に対して等モル以上が好ましく、過剰に用いてもよ
い。経済性や回収を考慮すると、アセトニトリルの使用
が好ましい。使用する酸の使用量は一般式(I)で表さ
れる1,2−ジ置換テトラリン類に対して等モル以上が
好ましい。より好ましい酸としては発煙硫酸、濃硫酸で
ある。これらの酸の使用量が少ないと反応は完結しない
こともある。反応には不活性な溶媒を用いてもよい。こ
の工程における反応温度は−30℃から100 ℃が好まし
い。より好ましくは10〜100 ℃である。温度が低すぎる
と反応の進行が遅く、高すぎると副反応により収率が低
下する。反応終了後に混合物を冷水中に分散すること等
により、一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体となる。これを濾過や抽出等の適当な方法で分離
し、適当な条件で処理すると、一般式(IV)で表される
シス−オキサゾリン誘導体が得られる。一般式(IV)の
シス−オキサゾリン体は、公知の方法で加水分解すると
一般式(V)で表されるシス−1−アミノ−2−テトラ
ロ−ルが得られる。反応生成物の一般式(V)で表され
るシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルは酸性では水に
溶解している。このため、不純物を除去する目的でこの
水溶液を塩化メチレン等の水に不溶の有機溶媒で洗浄し
た後に、水酸化ナトリウム等の水溶液を加えることが好
ましい。強アルカリ性になると目的とする一般式(V)
で表されるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルが晶出
するため、これを濾別した後に乾燥すればよい。また、
強アルカリ性にした後に適当な抽出溶媒を用いて抽出
し、溶媒を留去することにより目的とする一般式(V)
で表されるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルを得る
ことも可能である。
【0039】
【化20】
【0040】リッター反応によって得られた一般式(II
I )(ただし、式中、Yはハロゲン原子であり、Rはフ
ェニル基もしくは低級アルキル基である)で表されるト
ランス−アミド誘導体は単離することなしに、そのまま
分散状態でかき混ぜることによって目的とする一般式
(V)のシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルを得るこ
とも可能である。この場合、アセトニトリルのような水
溶性で揮発性の高いニトリルを過剰に使用した場合は、
反応終了後に蒸留等によって除去した後に、溶媒洗浄し
て晶出させることが好ましい。出発原料はラセミ体でも
光学活性体でもよく、光学活性な一般式(I)で表され
る1,2−ジ置換テトラリン類を出発原料として用いた
場合は、一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体、一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリン体お
よび最終的に得られる一般式(V)で表されるシス−1
−アミノ−2−テトラロ−ルも光学活性体になる。
I )(ただし、式中、Yはハロゲン原子であり、Rはフ
ェニル基もしくは低級アルキル基である)で表されるト
ランス−アミド誘導体は単離することなしに、そのまま
分散状態でかき混ぜることによって目的とする一般式
(V)のシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルを得るこ
とも可能である。この場合、アセトニトリルのような水
溶性で揮発性の高いニトリルを過剰に使用した場合は、
反応終了後に蒸留等によって除去した後に、溶媒洗浄し
て晶出させることが好ましい。出発原料はラセミ体でも
光学活性体でもよく、光学活性な一般式(I)で表され
る1,2−ジ置換テトラリン類を出発原料として用いた
場合は、一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体、一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリン体お
よび最終的に得られる一般式(V)で表されるシス−1
−アミノ−2−テトラロ−ルも光学活性体になる。
【0041】原料となるそれぞれの光学活性なトランス
−2−ハロテトラリン−1−オ−ル類はアク−タ−(A
khter)等[J.Chem.Soc.Perkin
Trans.I,1979,2437]の方法によって、ラセ
ミ体の一般式(I)で表されるトランス−2−ハロテト
ラリン−1−オールを(−)−メンチルオキシアセチル
クロリドと反応させて、それぞれのジアステレオマーエ
ステルとし、これをクロマトグラフィ−等で分離した後
ジボラン処理することで得られる。あるいはカワイ(K
awai)等[Tetrahedron Lett.,
22(27),1981]が報告しているようにラセミ体の一般
式(I)で表されるトランス−2−ハロテトラリン−1
−オールをアセチル化してラセミ体のトランス−2−ハ
ロ−1−テトラリンとし、これを微生物的に加水分解す
ることにより得ることができる。
−2−ハロテトラリン−1−オ−ル類はアク−タ−(A
khter)等[J.Chem.Soc.Perkin
Trans.I,1979,2437]の方法によって、ラセ
ミ体の一般式(I)で表されるトランス−2−ハロテト
ラリン−1−オールを(−)−メンチルオキシアセチル
クロリドと反応させて、それぞれのジアステレオマーエ
ステルとし、これをクロマトグラフィ−等で分離した後
ジボラン処理することで得られる。あるいはカワイ(K
awai)等[Tetrahedron Lett.,
22(27),1981]が報告しているようにラセミ体の一般
式(I)で表されるトランス−2−ハロテトラリン−1
−オールをアセチル化してラセミ体のトランス−2−ハ
ロ−1−テトラリンとし、これを微生物的に加水分解す
ることにより得ることができる。
【0042】例えば、出発原料にトランス−(−)−2
−ブロモテトラリン−1−オ−ルを選択した場合は、シ
ス−(+)−1−アミノテトラリン−2−オ−ルが得ら
れ、トランス−(+)−2−ブロモテトラリン−1−オ
−ルを選択した場合は、シス−(−)−1−アミノテト
ラリン−2−オ−ルが得られる。
−ブロモテトラリン−1−オ−ルを選択した場合は、シ
ス−(+)−1−アミノテトラリン−2−オ−ルが得ら
れ、トランス−(+)−2−ブロモテトラリン−1−オ
−ルを選択した場合は、シス−(−)−1−アミノテト
ラリン−2−オ−ルが得られる。
【0043】また、それぞれの光学活性な一般式(I)
で表される出発原料は2−ハロ−1−テトラロ−ル類か
ら誘導できる。
で表される出発原料は2−ハロ−1−テトラロ−ル類か
ら誘導できる。
【0044】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、安価に
製造可能な1,2−ジ置換テトラリン類を原料としてト
ランス−アミド誘導体ないしシス−オキサゾリン誘導体
を中間体として生成することによって、これまで工業的
に製造することが困難であったシス−1−アミノ−2−
テトラロ−ルを容易かつ効率的に製造し、これを有効に
利用することが可能になる。
製造可能な1,2−ジ置換テトラリン類を原料としてト
ランス−アミド誘導体ないしシス−オキサゾリン誘導体
を中間体として生成することによって、これまで工業的
に製造することが困難であったシス−1−アミノ−2−
テトラロ−ルを容易かつ効率的に製造し、これを有効に
利用することが可能になる。
【0045】
【実施例】以下の実施例で本発明をさらに詳細に説明す
る。
る。
【0046】実施例1 トランス−(±)−2−ブロモ−1−テトラロ−ル
(I、X=OH、Y=Br)から、トランス−(±)−
アミド誘導体(III 、Y=Br、R=CH3 )の合成 300 ml4つ口フラスコにアセトニトリル(II、R=C
H3 )25ml、トランス−2−ブロモ−1−テトラロ−
ル10.0g(44.0mmol)を分散させ、かき混ぜなが
ら、20〜36℃で40分を要して、97%硫酸7.2 g(71.0m
mol)を滴下した。その後室温で4時間かき混ぜた。
微黄色透明の反応液36.54 gのうち12.18g(Iを14.7
mmol使用した場合の反応液に相当)をとり、氷水冷
却下に水20mlに分散したところ、白色結晶が析出し
た。これを減圧で濾過し、洗浄液のpHが7になるまで
水洗し、減圧下に乾燥し、目的物であるトランス−
(±)−アミド誘導体(III 、Y=Br、R=CH3 )
を3.62g(収率91.8%)得た。
(I、X=OH、Y=Br)から、トランス−(±)−
アミド誘導体(III 、Y=Br、R=CH3 )の合成 300 ml4つ口フラスコにアセトニトリル(II、R=C
H3 )25ml、トランス−2−ブロモ−1−テトラロ−
ル10.0g(44.0mmol)を分散させ、かき混ぜなが
ら、20〜36℃で40分を要して、97%硫酸7.2 g(71.0m
mol)を滴下した。その後室温で4時間かき混ぜた。
微黄色透明の反応液36.54 gのうち12.18g(Iを14.7
mmol使用した場合の反応液に相当)をとり、氷水冷
却下に水20mlに分散したところ、白色結晶が析出し
た。これを減圧で濾過し、洗浄液のpHが7になるまで
水洗し、減圧下に乾燥し、目的物であるトランス−
(±)−アミド誘導体(III 、Y=Br、R=CH3 )
を3.62g(収率91.8%)得た。
【0047】IR(KBr、cm-1):3243(νNH)、
16511 (νC=O )。
16511 (νC=O )。
【0048】1 H−NMR(CDCl3 、ppm):δ
=2.03(3H、s、CH3 )、2.2〜2.4 (2H、m、
CH2 )、2.78〜3.18(2H、m、CH2 )、4.47〜4.
55(1H、m、CH)、5.31(1H、dd、CH)、5.
81(1H、d、NH)、7.11〜7.28(4H、m、aro
m.)。
=2.03(3H、s、CH3 )、2.2〜2.4 (2H、m、
CH2 )、2.78〜3.18(2H、m、CH2 )、4.47〜4.
55(1H、m、CH)、5.31(1H、dd、CH)、5.
81(1H、d、NH)、7.11〜7.28(4H、m、aro
m.)。
【0049】実施例2 トランス−(±)−2−ブロモ−1−テトラロ−ル
(I、X=OH、Y=Br)から、シス−(±)−1−
アミノ−2−テトラロ−ル(V)の合成 実施例1の反応で得られた微黄色透明の反応液36.54 g
のうち、24.36 g(Iを29.4mmol使用した場合の反
応液に相当)をとり、これを水70mlに分散したとこ
ろ、トランス−(±)−アミド誘導体(III 、Y=B
r、R=CH3 )が析出した。これを分離することなし
に60℃で10.5時間かき混ぜた。室温まで冷却後に不溶物
を減圧で濾別した。濾液を減圧下に濃縮して、過剰のア
セトニトリルを留去し、残液をジクロロメタンで洗浄後
に分液した。冷やしながら、水層に25%水酸化ナトリウ
ム水溶液を加えてpH11.8とした。析出した結晶を減圧
濾過し、冷水20mlで洗浄後に乾燥し、白色結晶のトラ
ンス−(±)−1−アミノ−2−テトラロ−ル(V)3.
49g(収率73.0%)を得た。
(I、X=OH、Y=Br)から、シス−(±)−1−
アミノ−2−テトラロ−ル(V)の合成 実施例1の反応で得られた微黄色透明の反応液36.54 g
のうち、24.36 g(Iを29.4mmol使用した場合の反
応液に相当)をとり、これを水70mlに分散したとこ
ろ、トランス−(±)−アミド誘導体(III 、Y=B
r、R=CH3 )が析出した。これを分離することなし
に60℃で10.5時間かき混ぜた。室温まで冷却後に不溶物
を減圧で濾別した。濾液を減圧下に濃縮して、過剰のア
セトニトリルを留去し、残液をジクロロメタンで洗浄後
に分液した。冷やしながら、水層に25%水酸化ナトリウ
ム水溶液を加えてpH11.8とした。析出した結晶を減圧
濾過し、冷水20mlで洗浄後に乾燥し、白色結晶のトラ
ンス−(±)−1−アミノ−2−テトラロ−ル(V)3.
49g(収率73.0%)を得た。
【0050】IR(KBr、cm-1):3322(νNH)、
3262(νNH)。
3262(νNH)。
【0051】1 H−NMR(CDCl3 、ppm):δ
=1.7 〜2.0 (2H、m、CH2 )、1.9 〜2.3 (2
H、t、br、NH2 )、2.7 〜3.0 (2H、m、CH
2 )、3.85〜3.95(2H、m、CH×2)、7.08〜7.35
(4H、m、arom.)。
=1.7 〜2.0 (2H、m、CH2 )、1.9 〜2.3 (2
H、t、br、NH2 )、2.7 〜3.0 (2H、m、CH
2 )、3.85〜3.95(2H、m、CH×2)、7.08〜7.35
(4H、m、arom.)。
【0052】融点:107 〜108 ℃実施例3 (±)−1,2−ジブロモテトラリン(I、X=Y=B
r)から、シス−1−アミノ−2−テトラロ−ル(V)
の合成 300 mlの4ツ口フラスコに1,2−ジヒドロナフタレ
ン13.0g(0.1 mol)、アセトニトリル50mlを仕込
み、0〜4℃で臭素16.05 g(0.1 mol)をアセトニ
トリル50mlに溶解した液を2時間を要して加えた。室
温で2.5 時間かき混ぜた。このときのHPLCによる
1,2−ジブロモテトラリンの面積百分率法による純度
は94.5%であった。反応混合物に50℃で96%硫酸15.17
g(0.15mol)を1時間で加えた。さらに60℃で2時
間かき混ぜたのちに水160 mlを加えたところ、トラン
ス−アミド誘導体(III 、Y=Br、R=CH3 )が析
出した。反応混合物を60℃で2時間かき混ぜ、一夜放冷
した。反応混合物からアセトニトリルを水と共沸して除
去し、水30ml、ジクロロメタン100 mlを加えてかき
混ぜた。静置、分液して水層をジクロロメタンで洗浄し
た。分液後の水層に、水冷下で25%水酸化ナトリウム水
溶液を加え、pHを11.5に調整した。析出した結晶を減
圧で濾過し、乾燥すると、白色結晶のシス−1−アミノ
−2−テトラロ−ル(V)10.70 g(1,2−ジヒドロ
ナフタレンからの収率:65.6 %)が得られた。融点:
105 〜107 ℃
r)から、シス−1−アミノ−2−テトラロ−ル(V)
の合成 300 mlの4ツ口フラスコに1,2−ジヒドロナフタレ
ン13.0g(0.1 mol)、アセトニトリル50mlを仕込
み、0〜4℃で臭素16.05 g(0.1 mol)をアセトニ
トリル50mlに溶解した液を2時間を要して加えた。室
温で2.5 時間かき混ぜた。このときのHPLCによる
1,2−ジブロモテトラリンの面積百分率法による純度
は94.5%であった。反応混合物に50℃で96%硫酸15.17
g(0.15mol)を1時間で加えた。さらに60℃で2時
間かき混ぜたのちに水160 mlを加えたところ、トラン
ス−アミド誘導体(III 、Y=Br、R=CH3 )が析
出した。反応混合物を60℃で2時間かき混ぜ、一夜放冷
した。反応混合物からアセトニトリルを水と共沸して除
去し、水30ml、ジクロロメタン100 mlを加えてかき
混ぜた。静置、分液して水層をジクロロメタンで洗浄し
た。分液後の水層に、水冷下で25%水酸化ナトリウム水
溶液を加え、pHを11.5に調整した。析出した結晶を減
圧で濾過し、乾燥すると、白色結晶のシス−1−アミノ
−2−テトラロ−ル(V)10.70 g(1,2−ジヒドロ
ナフタレンからの収率:65.6 %)が得られた。融点:
105 〜107 ℃
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 乙供 慎也 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内 (72)発明者 森田 雅之 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内 (72)発明者 下山田 誠 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内
Claims (19)
- 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (ただし、式中、Xは酸性条件下で引き抜かれることに
よって、テトラリン骨格の1位にカルボカチオンを生成
し得る置換基であり、Yはハロゲン原子であり、XとY
はシス配置でもトランス配置でもよく、ラセミ体でも光
学活性体でもよい)で表される1,2−ジ置換テトラリ
ン類を酸性条件下に、一般式(II) 【化2】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
基である)で表されるニトリル類と反応させ、一般式
(III ) 【化3】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
い)で表されるトランス−アミド誘導体を生成させ、こ
れを閉環することにより、一般式(IV) 【化4】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
基であり、オキサゾリン環はシス配置であり、ラセミ体
でも光学活性体でもよい)で表されるシス−オキサゾリ
ン誘導体とし、これを加水分解することからなる一般式
(V) 【化5】 (ただし、式中、NH2 基とOH基はシス配置であり、
ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシス−1
−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法。 - 【請求項2】 一般式(I)において、XがOH基であ
り、XとYはトランス配置であるトランス−2−ハロゲ
ノ−1−テトラロ−ルを用いることを特徴とする請求項
1記載のシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方
法。 - 【請求項3】 一般式(I)において、Yが臭素原子で
あることを特徴とする請求項2記載のシス−1−アミノ
−2−テトラロ−ルの製造方法。 - 【請求項4】 一般式(I)において、Xがハロゲン原
子である1,2−ジハロゲノテトラリンを用いることを
特徴とする請求項1記載のシス−1−アミノ−2−テト
ラロ−ルの製造方法。 - 【請求項5】 一般式(I)において、XおよびYが臭
素原子である1,2−ジブロモテトラリンを用いること
を特徴とする請求項1記載のシス−1−アミノ−2−テ
トラロ−ルの製造方法。 - 【請求項6】 一般式(II)においてRがメチル基であ
るアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項1記
載シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法。 - 【請求項7】 前記酸性条件を得るために発煙硫酸もし
くは濃硫酸を用いることを特徴とする請求項1記載のシ
ス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法。 - 【請求項8】 一般式(III ) 【化6】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
い)で表されるトランス−アミド誘導体。 - 【請求項9】 前記Yが臭素原子であることを特徴とす
る請求項8記載のトランス−アミド誘導体。 - 【請求項10】 前記Rがメチル基であることを特徴と
する請求項8記載のトランス−アミド誘導体。 - 【請求項11】 一般式(I) 【化7】 (ただし、式中、Xは酸性条件下で引き抜かれることに
よって、インダン骨格もしくはテトラリン骨格の1位に
カルボカチオンを生成し得る置換基であり、Yはハロゲ
ン原子であり、XとYはシス配置でもトランス配置でも
よく、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表される
1,2−ジ置換テトラリン類を酸性条件下に一般式(I
I) 【化8】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
基である)で表されるニトリル類と反応させることから
なる一般式(III ) 【化9】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
い)で表されるトランス−アミド誘導体の製造方法。 - 【請求項12】 一般式(II)において、Rがメチル基
であるアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項
11記載のトランス−アミド誘導体の製造方法。 - 【請求項13】 前記酸性条件を得るために発煙硫酸も
しくは濃硫酸を用いることを特徴とする請求項11記載の
トランス−アミド誘導体の製造方法。 - 【請求項14】 一般式(I)において、XがOH基で
あり、XとYはトランス配置であり、ラセミ体でも光学
活性体でもよい、トランス−2−ハロゲノ−1−テトラ
ロ−ルを用いることを特徴とする請求項11記載のトラン
ス−アミド誘導体の製造方法。 - 【請求項15】 一般式(I)において、Yが臭素原子
であることを特徴とする請求項14記載のトランス−ア
ミド誘導体の製造方法。 - 【請求項16】 一般式(I)において、XおよびYが
臭素原子である1,2−ジブロモテトラリンを用いるこ
とを特徴とする請求項11記載のトランス−アミド誘導体
の製造方法。 - 【請求項17】 一般式(III ) 【化10】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
い)で表されるトランス−アミド誘導体を閉環すること
からなる一般式(IV) 【化11】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
基であり、オキサゾリン環はシス配置であり、ラセミ体
でも光学活性体でもよい)で表されるシス−オキサゾリ
ン誘導体の製造方法。 - 【請求項18】 一般式(III )においてRがメチル基
であるトランス−アミド誘導体を用いることを特徴とす
る請求項16記載のシス−オキサゾリン誘導体の製造方
法。 - 【請求項19】 一般式(III )においてYが臭素原子
であるトランス−アミド誘導体を用いることを特徴とす
る請求項16記載のシス−オキサゾリン誘導体の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP144196A JPH09188655A (ja) | 1996-01-09 | 1996-01-09 | シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP144196A JPH09188655A (ja) | 1996-01-09 | 1996-01-09 | シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09188655A true JPH09188655A (ja) | 1997-07-22 |
Family
ID=11501537
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP144196A Withdrawn JPH09188655A (ja) | 1996-01-09 | 1996-01-09 | シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09188655A (ja) |
-
1996
- 1996-01-09 JP JP144196A patent/JPH09188655A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100758620B1 (ko) | 4-알콕시 사이클로헥산-1 아미노 카복실산 에스테르 및그의 제조방법 | |
JP5548129B2 (ja) | 不斉有機触媒 | |
RU2273628C2 (ru) | Способ получения производных фенилуксусной кислоты | |
US5516943A (en) | Process for preparing cyclic CIS-1-amino-2-alkanols | |
JPH0987258A (ja) | オキサゾリン類、その製造方法およびそれを用いる不斉シクロプロパンカルボン酸類の製造方法 | |
JP6885947B2 (ja) | プラジカンテルおよびその前駆体の製造方法 | |
JPH09188655A (ja) | シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法 | |
US7432396B2 (en) | Process for producing (Z)-1-phenyl-1-diethylaminocarbonyl-2-hydroxymethylcyclopropane | |
JP2010513531A (ja) | 1−アミノ、3−置換フェニルシクロペンタンカルボン酸エステルの個々の立体異性体の製造および単離方法 | |
JP2010513531A5 (ja) | ||
JP3731913B2 (ja) | シス−1−アミノインダン−2−オールの製造方法 | |
CN111556861A (zh) | 茉莉酸酯化合物的制备方法 | |
JPH11508567A (ja) | β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の製造方法 | |
JPH0617342B2 (ja) | 光学活性β−アミノアルコ−ルの製造方法 | |
WO1990008126A1 (en) | Resolution process | |
JP2659587B2 (ja) | 4―アジリジニルピリミジン誘導体及びその製造法 | |
US5688985A (en) | Process for producing keto nitrile derivative | |
JP4064645B2 (ja) | 多置換シクロアルケン類の新規製造法 | |
JP2002371060A (ja) | 光学活性アミノピペリジン誘導体の製造方法 | |
JP3740783B2 (ja) | 4−(2−アルケニル)−2,5−オキサゾリジンジオン類の製造法 | |
US20040006225A1 (en) | Preparation of enantiomerically enriched amine-functionalized compounds | |
CN118026867A (zh) | 一种制备2-(1r,5s,6s)-6-(氨甲基)-3-乙基双环[3.2.0]庚烷-3-烯-6-乙酸的方法 | |
JP2021530564A (ja) | ビシナルジアミンのジアステレオ選択合成のための改良プロセス | |
JPH10182578A (ja) | 不斉な含フッ素一級アミンの製造法 | |
JP2002069038A (ja) | トリフルオロメチル基含有ベンゾイルギ酸アルキル類、その製造方法およびトリフルオロメチル基含有フェニル酢酸の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030401 |