JPH09188655A - シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法 - Google Patents

シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法

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JPH09188655A
JPH09188655A JP144196A JP144196A JPH09188655A JP H09188655 A JPH09188655 A JP H09188655A JP 144196 A JP144196 A JP 144196A JP 144196 A JP144196 A JP 144196A JP H09188655 A JPH09188655 A JP H09188655A
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JP144196A
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English (en)
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Yoshio Igarashi
喜雄 五十嵐
Shigeru Nakano
茂 中野
Masahiro Harada
昌普 原田
Shinya Otomo
慎也 乙供
Masayuki Morita
雅之 森田
Makoto Shimoyamada
誠 下山田
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ICHIKAWA GOSEI KAGAKU KK
Original Assignee
ICHIKAWA GOSEI KAGAKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造
方法において、安価で工業的な製造を可能にする。 【構成】 一般式(I)(Xは酸性条件下で引き抜か
れ、テトラリン骨格の1位にカルボカチオンを生成し得
る置換基、Yはハロゲン原子)で表される1,2−ジ置
換テトラリン類を酸性条件下に一般式(II)(Rはフェ
ニル基もしくは低級アルキル基)で表されるニトリル類
と反応させることにより、トランス−アミド誘導体ない
しシス−オキサゾリン誘導体を経て、一般式(V)(N
2 基とOH基はシス配置)で表されるシス−1−アミ
ノ−2−テトラロ−ルを製造する。 【化21】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業的に有用な、
シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】環状シス−アミノアルコ−ル類は医薬中
間体として重要である。例えば、J.Med.Che
m.,35,2525(1992),J.Med.Chem.,3
5,1702(1992)、J.Med.Chem.,35,1685
(1992)等にはシス−1−アミノ−2−インダノ−ルが
抗HIV薬の製造の有用中間体であることが開示されて
いる。また、J.Chem.Soc.Chem.Com
mun.,1992,1673には、これらの環状シス−アミノ
アルコ−ル類が光学活性ヒドロキシエステル合成の原料
として有用であることが開示されている。さらに、Te
trahedoronLett.,35(36),6631(19
94)等には、これらの環状シス−アミノアルコ−ル類か
ら誘導されるボラン錯体がケトン類の不斉還元のための
有用な触媒となることが開示されている。
【0003】これまでにもいくつかのシス−1−アミノ
−2−テトラロ−ルの製造方法が提案されている。例え
ば、ハスナー(Hassner)等[J.Org.Ch
em.,32,540 (1967)]は、エチル−N−(トラン
ス−2−ヨ−ド−1−テトラリン)カ−バメ−トを無水
グライム中で加熱して閉環し、シス−テトラリノ[1,
2−d]−2−オキサゾリドンを形成し、これを加水分
解することにより、所望のシス−(±)−1−アミノ−
2−テトラロ−ルを得ている(下記式)。
【0004】
【化12】
【0005】しかしながら、この原料のカーバメート体
はヨードイソシアネートのジヒドロナフタレンへの付加
反応によって得られるものの、ヨードイソシアネートの
合成方法が困難であるため、工業的とは考えられず、オ
キサゾリドン体の生成には高い温度が必要である等の欠
点を有する。
【0006】一方、セナナヤケ(Senanayak
e)等[Tetrahedron Lett.,36(4
2),7615(1995)]は、シス−1,2−エポキシテト
ラリンを−40℃の低温下で強酸の存在下にアセトニトリ
ルと反応させることにより、シス−オキサゾリン誘導体
とし、これを加水分解することで所望のシス−1−アミ
ノ−2−テトラロ−ルを得ている。しかしながら、この
方法ではシス−オキサゾリン誘導体と共にトランス−オ
キサゾリン誘導体が大量に副生してしまい、目的物の収
量は低い(下記式)。
【0007】
【化13】
【0008】さらに、前出のセナナヤケ等は、シス−
1,2−ジヒドロキシテトラリン、およびトランス−
1,2−ジヒドロキシテトラリンを原料として類似の反
応条件を適応することにより、所望のシス−1−アミノ
−2−テトラロ−ルを良好な収率で得ている。しかしな
がら、反応に−40℃の低温条件が必要であり工業的に容
易な方法とはいい難い(下記式)。
【0009】
【化14】
【0010】以上のように、シス−1−アミノ−2−テ
トラロ−ルはその満足できる製造方法が知られておら
ず、工業的かつ安価に製造することが困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シス
−1−アミノ−2−テトラロ−ルの効率的な製造方法を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは既にシス−
1−アミノ−2−インダノ−ルの工業的な製造方法を発
明している(特願平5−301989号、特願平6−57649
号、特願平6−298619号)。
【0013】本発明者等はこれらの知見を類似のテトラ
リン骨格に適応可能かどうかの検討を行った。
【0014】類似の反応条件を用いても、環構造が異な
る場合には異なる生成物を与えたり、生成物の収率が異
なることは同業者には常識である。例えば、シス−1−
アミノ−2−テトラロ−ルとシス−1−アミノ−2−イ
ンダノ−ルの製造方法について、これらの先行技術で比
較すれば、より反応性の相違は明瞭である。
【0015】前出のセナナヤケ等は類似構造である、シ
ス−1,2−エポキシインダンとシス−1,2−エポキ
シテトラリンを−40℃の低温下で強酸の存在下にアセト
ニトリルと反応させ、結果を比較している。シス−1,
2−エポキシインダンを基質に用いた場合、生成するオ
キサゾリン誘導体のシス:トランス比は100 :0であ
り、完全なシス選択性を示しており、生成したシス−オ
キサゾリン誘導体は所望のシス−1−アミノ−2−イン
ダノ−ルに誘導できる。しかしながら、シス−1,2−
エポキシテトラリンを基質に用いた場合、オキサゾリン
誘導体のシス:トランス比は37:63〜50:50であり、所
望のシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの前駆体であ
るシス−オキサゾリン誘導体の選択性は50%以下であ
る。これは、シクロアルカンの炭素数の1個の違いが反
応の立体選択性に大きく影響することを端的に示してい
る。さらに、前出のハスナ−等はインダン骨格を有する
β−ヨ−ドカ−バメ−ト誘導体である、エチル−N−
(トランス−2−ヨ−ド−1−インダン)カ−バメ−ト
とテトラリン骨格を有するβ−ヨ−ドカ−バメ−ト誘導
体である、エチル−N−(トランス−2−ヨ−ド−1−
テトラリン)カ−バメ−トのジグライム中、155 ℃、12
0 分の同一反応条件での閉環による対応する、2−オキ
サゾリドン誘導体の合成を報告している。それぞれの収
率を比較すると、インダン骨格の場合には87%であるの
に対し、テトラリン骨格では45%であり、明らかに炭素
数1個の違いが収率に影響を与えている。
【0016】以上のように、ベンゾシクロアルカン誘導
体の反応性には大きな差異があり、インダン骨格を有す
る化合物とテトラリン骨格を有する化合物についても、
同じ反応条件において同じ結果が生じることは予測が困
難である。
【0017】本発明者等は以上の事実を考慮し、先願の
シス−1−アミノ−2−インダノ−ルの製造技術がシス
−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造に適応可能かど
うかを鋭意検討し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、一般式(I)
【0018】
【化15】
【0019】(ただし、式中、Xは酸性条件下において
引き抜かれることにより、テトラリン骨格の1位にカル
ボカチオンを生成し得る置換であり、Yはハロゲン原子
であり、XとYはシス配置でもトランス配置でもよく、
ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表される1,2−
ジ置換テトラリン類を酸性条件下に一般式(II)
【0020】
【化16】
【0021】(ただし、式中、Rはフェニル基もしくは
低級アルキル基である)で表されるニトリル類と反応さ
せる工程を有する、1,2−ジ置換テトラリン類の製造
方法を提供する。一般式(I)で表される、1,2−ジ
置換テトラリン類と一般式(II)で表されるニトリル類
の反応においては、一般式(III )
【0022】
【化17】
【0023】(ただし、式中、Rはフェニル基もしくは
低級アルキル基であり、Yはハロゲン原子であり、NH
COR基とYはトランス配置であり、ラセミ体でも光学
活性体でもよい)で表されるトランス−アミド誘導体を
形成し、これを閉環して一般式(IV)
【0024】
【化18】
【0025】(ただし、式中、Rはフェニル基もしくは
低級アルキル基であり、オキサゾリン環はシス配置であ
り、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシス
−オキサゾリン誘導体とする。
【0026】一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリ
ン誘導体を公知の方法で加水分解することにより、一般
式(V)
【0027】
【化19】
【0028】(ただし、式中、NH2 基とOH基はシス
配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表さ
れるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルが生成する。
【0029】アルコール類が濃硫酸の存在下にニトリル
類と反応してアミド類を生成する反応はリッター(Ri
tter)反応としてよく知られている。例えば、リッ
ター(Ritter)等[J.Am.Chem.So
c.,70,4048(1948)]は第3級アルコールからのア
ミドの合成を報告している。さらに、この反応はハロア
ルコールにも適用可能であり、ルスキン(Lusski
n)等[J.Am.Chem.Soc.,72,5577(19
50)]は脂肪族ハロヒドリンを濃硫酸の存在下にニトリ
ル類と反応させ、種々のN−(2−ハロ−1−エチル)
アミド類を合成している。さらに、ウォール(Woh
l)[J.Org.Chem.,38,3099(1973)]
は、3−ブロモ−2−ブタノールを濃硫酸中でアセトニ
トリルもしくはベンゾニトリル類と反応させて2−アミ
ド−3−ブロモブタン類を得ている。また、これらのア
ミド類は不安定であり、容易に閉環して2−オキサゾリ
ン類を生成することが報告されている。
【0030】しかしながら、2−ハロゲノ−1−テトラ
ロ−ルを用いてのリッター反応の例はこれまで知られて
いない。本発明者等は、この反応についての検討を行っ
た。
【0031】一般式(I)で表される出発原料のトラン
ス−2−ハロゲノ−1−テトラロ−ルとしては、トラン
ス−2−クロロ−1−テトラロ−ル、トランス−2−ブ
ロモ−1−テトラロ−ル、トランス−2−ヨ−ド−1−
テトラロ−ル等があげられる。
【0032】例えば、トランス−2−ブロモ−1−テト
ラロ−ルはフォン・ブラウン(von Braun)等
の方法[Chem.Ber.,54,597 (1921)]の方
法により、トランス−1,2−ジブロモテトラリンから
合成できる。
【0033】本発明者等はトランス−2−ハロテトラリ
ン−1−オ−ルを用いてリッター反応を行ったところ、
反応は円滑に進行して所望の一般式(III )で表される
トランス−アミド誘導体が得られた。このトランス−ア
ミド誘導体はこれまで知られていないものである。さら
に、本発明者等は、このアミド誘導体が容易に閉環して
一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリン誘導体に転
化することを見いだした。先のウォール等の報文からリ
ッター反応は立体特異性保持で進行することから、トラ
ンス−2−ハロテトラリン−1−オ−ルのリッター反応
生成物は一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体であり、ルッツ等の報文から、一般式(III )で表
されるトランス−アミド誘導体が閉環することによって
生成するオキサゾリン誘導体はシス配置を有する。この
化合物は公知の方法により、容易に加水分解して一般式
(V)で表される所望のシス−1−アミノ−2−テトラ
ロ−ルを与えた。
【0034】本発明者等はさらに検討を進めた結果、リ
ッター反応終了後の反応混合物を水分散した後に一般式
(III )で表されるトランス−アミド誘導体を単離せず
とも、分散状態でかき混ぜることで連続的に一般式(I
V)で表されるシス−オキサゾリン誘導体および一般式
(V)で表されるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ル
が生成することを見いだした。リッター反応はカルボカ
チオンの生成に引き続くニトリルの攻撃で進行すること
が知られている。トランス−2−ハロテトラリン−1−
オ−ルとニトリル類の酸性条件下における反応によるト
ランス−アミド誘導体の生成は、テトラリン骨格の1位
にカルボカチオンが容易に生成すること、さらに1位の
置換基の配置は2位の置換基に対してシス配置でもトラ
ンス配置でも可能であることを示唆している。
【0035】本発明者等は、テトラリン骨格の1位に酸
性条件下で容易に引き抜きが起こり得る置換基Xを、2
位には置換基Yとしてハロゲンを有する一般式(I)の
1,2−ジ置換テトラリンを選択して、一般式(II)で
表されるニトリル類との反応を検討した結果、リッター
反応が進行して一般式(III )で表されるトランス−ア
ミド誘導体が生成することを見いだした。
【0036】一般式(I)で表される1,2−ジ置換テ
トラリン類の1位の置換基Xとしては塩素、臭素、沃素
等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、フェノキ
シ基、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオ
キシ基、フェニルカルボニルオキシ基、水酸基等があげ
られる。また、2位の置換基であるハロゲン原子Yとし
ては塩素、臭素、沃素等があげられる。さらに具体的な
一般式(I)の化合物としては、2−クロロ−1−テト
ラロ−ル、2−ブロモ−1−テトラロ−ル、2−ヨ−ド
−1−テトラロ−ル、1,2−ジクロロテトラリン、
1,2−ジブロモテトラリン、1,2−ジヨ−ドテトラ
リン、1−メトキシ−2−クロロテトラリン、1−メト
キシ−2−ブロモテトラリン、1−メトキシ−2−ヨ−
ドテトラリン等があげられる。
【0037】一般式(I)で表される1,2−ジ置換テ
トラリン類と一般式(II)で表されるニトリル類との混
合は酸性条件下で行う。この酸性条件を得るためには発
煙硫酸もしくは濃硫酸を用いることが好ましいが、これ
らに限らず、過塩素酸、三フッ化ホウ素、メタンスルホ
ン酸、ゼオライト、イオン交換樹脂等、適当な酸性物質
を用いることによっても所望の条件を得ることができ
る。
【0038】一般式(II)で表されるニトリル類の使用
量は一般式(I)で表される1,2−ジ置換テトラリン
類に対して等モル以上が好ましく、過剰に用いてもよ
い。経済性や回収を考慮すると、アセトニトリルの使用
が好ましい。使用する酸の使用量は一般式(I)で表さ
れる1,2−ジ置換テトラリン類に対して等モル以上が
好ましい。より好ましい酸としては発煙硫酸、濃硫酸で
ある。これらの酸の使用量が少ないと反応は完結しない
こともある。反応には不活性な溶媒を用いてもよい。こ
の工程における反応温度は−30℃から100 ℃が好まし
い。より好ましくは10〜100 ℃である。温度が低すぎる
と反応の進行が遅く、高すぎると副反応により収率が低
下する。反応終了後に混合物を冷水中に分散すること等
により、一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体となる。これを濾過や抽出等の適当な方法で分離
し、適当な条件で処理すると、一般式(IV)で表される
シス−オキサゾリン誘導体が得られる。一般式(IV)の
シス−オキサゾリン体は、公知の方法で加水分解すると
一般式(V)で表されるシス−1−アミノ−2−テトラ
ロ−ルが得られる。反応生成物の一般式(V)で表され
るシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルは酸性では水に
溶解している。このため、不純物を除去する目的でこの
水溶液を塩化メチレン等の水に不溶の有機溶媒で洗浄し
た後に、水酸化ナトリウム等の水溶液を加えることが好
ましい。強アルカリ性になると目的とする一般式(V)
で表されるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルが晶出
するため、これを濾別した後に乾燥すればよい。また、
強アルカリ性にした後に適当な抽出溶媒を用いて抽出
し、溶媒を留去することにより目的とする一般式(V)
で表されるシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルを得る
ことも可能である。
【0039】
【化20】
【0040】リッター反応によって得られた一般式(II
I )(ただし、式中、Yはハロゲン原子であり、Rはフ
ェニル基もしくは低級アルキル基である)で表されるト
ランス−アミド誘導体は単離することなしに、そのまま
分散状態でかき混ぜることによって目的とする一般式
(V)のシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルを得るこ
とも可能である。この場合、アセトニトリルのような水
溶性で揮発性の高いニトリルを過剰に使用した場合は、
反応終了後に蒸留等によって除去した後に、溶媒洗浄し
て晶出させることが好ましい。出発原料はラセミ体でも
光学活性体でもよく、光学活性な一般式(I)で表され
る1,2−ジ置換テトラリン類を出発原料として用いた
場合は、一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体、一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリン体お
よび最終的に得られる一般式(V)で表されるシス−1
−アミノ−2−テトラロ−ルも光学活性体になる。
【0041】原料となるそれぞれの光学活性なトランス
−2−ハロテトラリン−1−オ−ル類はアク−タ−(A
khter)等[J.Chem.Soc.Perkin
Trans.I,1979,2437]の方法によって、ラセ
ミ体の一般式(I)で表されるトランス−2−ハロテト
ラリン−1−オールを(−)−メンチルオキシアセチル
クロリドと反応させて、それぞれのジアステレオマーエ
ステルとし、これをクロマトグラフィ−等で分離した後
ジボラン処理することで得られる。あるいはカワイ(K
awai)等[Tetrahedron Lett.,
22(27),1981]が報告しているようにラセミ体の一般
式(I)で表されるトランス−2−ハロテトラリン−1
−オールをアセチル化してラセミ体のトランス−2−ハ
ロ−1−テトラリンとし、これを微生物的に加水分解す
ることにより得ることができる。
【0042】例えば、出発原料にトランス−(−)−2
−ブロモテトラリン−1−オ−ルを選択した場合は、シ
ス−(+)−1−アミノテトラリン−2−オ−ルが得ら
れ、トランス−(+)−2−ブロモテトラリン−1−オ
−ルを選択した場合は、シス−(−)−1−アミノテト
ラリン−2−オ−ルが得られる。
【0043】また、それぞれの光学活性な一般式(I)
で表される出発原料は2−ハロ−1−テトラロ−ル類か
ら誘導できる。
【0044】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、安価に
製造可能な1,2−ジ置換テトラリン類を原料としてト
ランス−アミド誘導体ないしシス−オキサゾリン誘導体
を中間体として生成することによって、これまで工業的
に製造することが困難であったシス−1−アミノ−2−
テトラロ−ルを容易かつ効率的に製造し、これを有効に
利用することが可能になる。
【0045】
【実施例】以下の実施例で本発明をさらに詳細に説明す
る。
【0046】実施例1 トランス−(±)−2−ブロモ−1−テトラロ−ル
(I、X=OH、Y=Br)から、トランス−(±)−
アミド誘導体(III 、Y=Br、R=CH3 )の合成 300 ml4つ口フラスコにアセトニトリル(II、R=C
3 )25ml、トランス−2−ブロモ−1−テトラロ−
ル10.0g(44.0mmol)を分散させ、かき混ぜなが
ら、20〜36℃で40分を要して、97%硫酸7.2 g(71.0m
mol)を滴下した。その後室温で4時間かき混ぜた。
微黄色透明の反応液36.54 gのうち12.18g(Iを14.7
mmol使用した場合の反応液に相当)をとり、氷水冷
却下に水20mlに分散したところ、白色結晶が析出し
た。これを減圧で濾過し、洗浄液のpHが7になるまで
水洗し、減圧下に乾燥し、目的物であるトランス−
(±)−アミド誘導体(III 、Y=Br、R=CH3
を3.62g(収率91.8%)得た。
【0047】IR(KBr、cm-1):3243(νNH)、
16511 (νC=O )。
【0048】1 H−NMR(CDCl3 、ppm):δ
=2.03(3H、s、CH3 )、2.2〜2.4 (2H、m、
CH2 )、2.78〜3.18(2H、m、CH2 )、4.47〜4.
55(1H、m、CH)、5.31(1H、dd、CH)、5.
81(1H、d、NH)、7.11〜7.28(4H、m、aro
m.)。
【0049】実施例2 トランス−(±)−2−ブロモ−1−テトラロ−ル
(I、X=OH、Y=Br)から、シス−(±)−1−
アミノ−2−テトラロ−ル(V)の合成 実施例1の反応で得られた微黄色透明の反応液36.54 g
のうち、24.36 g(Iを29.4mmol使用した場合の反
応液に相当)をとり、これを水70mlに分散したとこ
ろ、トランス−(±)−アミド誘導体(III 、Y=B
r、R=CH3 )が析出した。これを分離することなし
に60℃で10.5時間かき混ぜた。室温まで冷却後に不溶物
を減圧で濾別した。濾液を減圧下に濃縮して、過剰のア
セトニトリルを留去し、残液をジクロロメタンで洗浄後
に分液した。冷やしながら、水層に25%水酸化ナトリウ
ム水溶液を加えてpH11.8とした。析出した結晶を減圧
濾過し、冷水20mlで洗浄後に乾燥し、白色結晶のトラ
ンス−(±)−1−アミノ−2−テトラロ−ル(V)3.
49g(収率73.0%)を得た。
【0050】IR(KBr、cm-1):3322(νNH)、
3262(νNH)。
【0051】1 H−NMR(CDCl3 、ppm):δ
=1.7 〜2.0 (2H、m、CH2 )、1.9 〜2.3 (2
H、t、br、NH2 )、2.7 〜3.0 (2H、m、CH
2 )、3.85〜3.95(2H、m、CH×2)、7.08〜7.35
(4H、m、arom.)。
【0052】融点:107 〜108 ℃実施例3 (±)−1,2−ジブロモテトラリン(I、X=Y=B
r)から、シス−1−アミノ−2−テトラロ−ル(V)
の合成 300 mlの4ツ口フラスコに1,2−ジヒドロナフタレ
ン13.0g(0.1 mol)、アセトニトリル50mlを仕込
み、0〜4℃で臭素16.05 g(0.1 mol)をアセトニ
トリル50mlに溶解した液を2時間を要して加えた。室
温で2.5 時間かき混ぜた。このときのHPLCによる
1,2−ジブロモテトラリンの面積百分率法による純度
は94.5%であった。反応混合物に50℃で96%硫酸15.17
g(0.15mol)を1時間で加えた。さらに60℃で2時
間かき混ぜたのちに水160 mlを加えたところ、トラン
ス−アミド誘導体(III 、Y=Br、R=CH3 )が析
出した。反応混合物を60℃で2時間かき混ぜ、一夜放冷
した。反応混合物からアセトニトリルを水と共沸して除
去し、水30ml、ジクロロメタン100 mlを加えてかき
混ぜた。静置、分液して水層をジクロロメタンで洗浄し
た。分液後の水層に、水冷下で25%水酸化ナトリウム水
溶液を加え、pHを11.5に調整した。析出した結晶を減
圧で濾過し、乾燥すると、白色結晶のシス−1−アミノ
−2−テトラロ−ル(V)10.70 g(1,2−ジヒドロ
ナフタレンからの収率:65.6 %)が得られた。融点:
105 〜107 ℃
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 乙供 慎也 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内 (72)発明者 森田 雅之 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内 (72)発明者 下山田 誠 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (ただし、式中、Xは酸性条件下で引き抜かれることに
    よって、テトラリン骨格の1位にカルボカチオンを生成
    し得る置換基であり、Yはハロゲン原子であり、XとY
    はシス配置でもトランス配置でもよく、ラセミ体でも光
    学活性体でもよい)で表される1,2−ジ置換テトラリ
    ン類を酸性条件下に、一般式(II) 【化2】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基である)で表されるニトリル類と反応させ、一般式
    (III ) 【化3】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
    はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
    い)で表されるトランス−アミド誘導体を生成させ、こ
    れを閉環することにより、一般式(IV) 【化4】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、オキサゾリン環はシス配置であり、ラセミ体
    でも光学活性体でもよい)で表されるシス−オキサゾリ
    ン誘導体とし、これを加水分解することからなる一般式
    (V) 【化5】 (ただし、式中、NH2 基とOH基はシス配置であり、
    ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシス−1
    −アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式(I)において、XがOH基であ
    り、XとYはトランス配置であるトランス−2−ハロゲ
    ノ−1−テトラロ−ルを用いることを特徴とする請求項
    1記載のシス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 一般式(I)において、Yが臭素原子で
    あることを特徴とする請求項2記載のシス−1−アミノ
    −2−テトラロ−ルの製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(I)において、Xがハロゲン原
    子である1,2−ジハロゲノテトラリンを用いることを
    特徴とする請求項1記載のシス−1−アミノ−2−テト
    ラロ−ルの製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(I)において、XおよびYが臭
    素原子である1,2−ジブロモテトラリンを用いること
    を特徴とする請求項1記載のシス−1−アミノ−2−テ
    トラロ−ルの製造方法。
  6. 【請求項6】 一般式(II)においてRがメチル基であ
    るアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項1記
    載シス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記酸性条件を得るために発煙硫酸もし
    くは濃硫酸を用いることを特徴とする請求項1記載のシ
    ス−1−アミノ−2−テトラロ−ルの製造方法。
  8. 【請求項8】 一般式(III ) 【化6】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
    はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
    い)で表されるトランス−アミド誘導体。
  9. 【請求項9】 前記Yが臭素原子であることを特徴とす
    る請求項8記載のトランス−アミド誘導体。
  10. 【請求項10】 前記Rがメチル基であることを特徴と
    する請求項8記載のトランス−アミド誘導体。
  11. 【請求項11】 一般式(I) 【化7】 (ただし、式中、Xは酸性条件下で引き抜かれることに
    よって、インダン骨格もしくはテトラリン骨格の1位に
    カルボカチオンを生成し得る置換基であり、Yはハロゲ
    ン原子であり、XとYはシス配置でもトランス配置でも
    よく、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表される
    1,2−ジ置換テトラリン類を酸性条件下に一般式(I
    I) 【化8】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基である)で表されるニトリル類と反応させることから
    なる一般式(III ) 【化9】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
    はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
    い)で表されるトランス−アミド誘導体の製造方法。
  12. 【請求項12】 一般式(II)において、Rがメチル基
    であるアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項
    11記載のトランス−アミド誘導体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記酸性条件を得るために発煙硫酸も
    しくは濃硫酸を用いることを特徴とする請求項11記載の
    トランス−アミド誘導体の製造方法。
  14. 【請求項14】 一般式(I)において、XがOH基で
    あり、XとYはトランス配置であり、ラセミ体でも光学
    活性体でもよい、トランス−2−ハロゲノ−1−テトラ
    ロ−ルを用いることを特徴とする請求項11記載のトラン
    ス−アミド誘導体の製造方法。
  15. 【請求項15】 一般式(I)において、Yが臭素原子
    であることを特徴とする請求項14記載のトランス−ア
    ミド誘導体の製造方法。
  16. 【請求項16】 一般式(I)において、XおよびYが
    臭素原子である1,2−ジブロモテトラリンを用いるこ
    とを特徴とする請求項11記載のトランス−アミド誘導体
    の製造方法。
  17. 【請求項17】 一般式(III ) 【化10】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
    はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
    い)で表されるトランス−アミド誘導体を閉環すること
    からなる一般式(IV) 【化11】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、オキサゾリン環はシス配置であり、ラセミ体
    でも光学活性体でもよい)で表されるシス−オキサゾリ
    ン誘導体の製造方法。
  18. 【請求項18】 一般式(III )においてRがメチル基
    であるトランス−アミド誘導体を用いることを特徴とす
    る請求項16記載のシス−オキサゾリン誘導体の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 一般式(III )においてYが臭素原子
    であるトランス−アミド誘導体を用いることを特徴とす
    る請求項16記載のシス−オキサゾリン誘導体の製造方
    法。
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