JPH09188586A - 有機質物を高速発酵処理によりコンポスト化する施設 - Google Patents

有機質物を高速発酵処理によりコンポスト化する施設

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JPH09188586A
JPH09188586A JP35378695A JP35378695A JPH09188586A JP H09188586 A JPH09188586 A JP H09188586A JP 35378695 A JP35378695 A JP 35378695A JP 35378695 A JP35378695 A JP 35378695A JP H09188586 A JPH09188586 A JP H09188586A
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fermentation
air
organic
functional space
organic matter
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Akira Tokito
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/40Bio-organic fraction processing; Production of fertilisers from the organic fraction of waste or refuse

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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Fertilizers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 発酵条件を整える機能を備えた発酵槽を用意
し、環境を整えることにより有機質物を効率よくコンポ
スト化するための施設を提供する。 【解決手段】 発酵に必要な所定の距離がある上階に発
酵槽を有し、下階にメンテナンス用空室を有する二階建
ての発酵処理装置本体を設け、その発酵槽の底面部に
は、吸気と排気の出来る吸排気孔が開口する第2通気管
が配設されており、その基部には吸排気装置が設けられ
て、前記機能性空間部を負圧状態にしたり加圧状態にし
たり湿度を調整したりできる機能性空間部空調設備とを
設け、発酵槽の上方に堆積貯溜されている有機質物の下
から発酵条件調整設備を介して全体に暖かい空気が吹き
上げられるようにして、収納されている有機質物を切り
替えつつ排出口方向へ搬送する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、汚泥、動物植物性残
さ、その他の有機性廃棄物を短期間で堆肥化するための
に使用する発酵堆肥化装置発酵堆肥化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】廃棄物には、ごみ、粗大ごみ、汚泥、動
植物性残さ、糞尿、燃えがら、木屑、繊維屑、紙屑、動
物死体、廃油、廃酸、廃アルカリ、その他の汚物または
不要物質などがあり、これらは生活環境保全及び公衆衛
生の向上を図るため、焼却処分、高温分解処分、陸上埋
立処分、水面埋立処分、海洋還元処分、再生利用処分が
なされている。
【0003】これらの有機性廃棄物の望ましい処理法
は、発酵により完全な堆肥化をし、緑農地に利用をする
再生利用処分である。しかし、現実には、食物残渣や動
植物性残さなどの有機性廃棄物から利用価値の高い堆肥
を製造するための、良質の堆肥化原料としての条件を備
えた廃棄物はなかなかなく、利用範囲も狭い場合が多
い。また有機性廃棄物を堆肥化するための発酵技術が難
しいうえ、完熟させるためには長時間かかり、経済性も
ないので、現在ほとんど有機性廃棄物の堆肥化処理は行
われていない。特に、水分の多い汚泥や、し尿等の有機
性廃棄物は、堆肥化が困難とされ、一般には濃縮、消
費、汚泥調整、機械脱水、天日乾燥、焼却などの処理法
を組み合わせた中間処理をしたうえ、最終的処分として
埋立処分させるというのが殆どである。
【0004】すなわち、廃棄物処理法のなかにおける高
速堆肥化処理法というのは、最終的に埋め立て処分をす
るための中間処理として、位置付けられているに過ぎな
いため、必ずしも完熟堆肥にならない堆肥化処理でも充
分目的が達成できた。このため、廃棄物の処理による堆
肥を農業や土地改良に役立てることが出来る程度に完熟
させることのできる満足すべき発酵堆肥化装置は、まだ
開発されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】有機性廃棄物を堆肥化
するための技術課題は、当該廃棄物にうまくバクテリア
菌などの土壌微生物類をいかに盛んに繁殖させるかであ
る。土壌微生物類を盛んに繁殖させる条件というのは、
栄養分のある繁殖媒体と、土壌微生物類の存在と、適正
温度と、適正水分と、酸素を含んだ新鮮な空気とが、存
在することである。しかし、多くの有機性廃棄物がその
時の状態によって、成分にしても含水率にしても繁殖媒
体の状態にしてもかなり差異があり、土壌微生物類が常
に盛んに繁殖させるに充分な条件を備えている場合の方
が少ない。また、その発酵に要する発酵菌の種類によっ
ても、その処理を行う土地の気候条件や土質条件、その
他の環境条件によっても、土壌微生物類が盛んに繁殖す
るとは限らず、安定して堆肥化するのは技術的に大変難
しい。
【0006】従来より、発酵槽に空気を供給する装置を
備えたり、温度を調整する装置を備えたり水分を調整し
たりするものはあったが、上記のような廃棄物独特の多
様な条件に広く対応できできるような実用性の高い堆肥
化装置は、まだ開発されていない。
【0007】そのため、従来の廃棄物の堆肥化に対する
考え方は、強力な消化力を有する土壌微生物類の発見に
努めたり、組み合わせ方を考えたり、対象廃棄物の種類
によって最適な菌類を発見する研究が盛んに行われてお
り、その種となる菌株を保存しておいて、必要な時、必
要なだけ菌株分けをして、対象となる廃棄物に植え付
け、温度管理と水分補給をすることにより、堆肥化をせ
んとするものが多い。しかし、この種菌は、それ自体と
しては優れた消化力を持った強力な土壌微生物群である
としても、これをうまく繁殖させるには、上記のように
その使用する菌種や選定された微生物に適した条件を整
えなければ期待するような効果はあげられない。従っ
て、使用する地方によって、またそのときの環境によっ
て、効果に大きなバラツキが出る。もし、その種菌がそ
の場所に適しない場合には、人工的にその適合環境条件
を造らなければならない。
【0008】本発明は、投入口から排出口まで発酵に必
要な所定の距離がある上階に発酵槽を有し、下階にメン
テナンス用空室を有する二階建ての発酵堆肥化装置本体
を設け、発酵槽の底面部より少し上がった位置には通気
性を有する中間底面部を形成してその中間底面部の下部
に機能性空間部を形成しておき、更に発酵槽の底面部に
送り、その吹き出し孔から吹き出すようにして通気管の
上部に堆積貯溜されている有機性廃棄物中に、適度に暖
めた温度と、土壌微生物を含んだ空気とを連続的に供給
し得るように構成する発酵条件調整設備と、その発酵槽
の底面部には、吸気と排気の出来る吸排気孔が開口する
第2通気管が配設されており、当該第2通気管の基部に
は吸排気装置が設けられて、前記機能性空間部を負圧状
態にしたり加圧状態にしたり湿度を調整したりできる機
能性空間部空調設備とを設けておき、有機性廃棄物が上
下両方から土壌微生物類の存在と、適正温度と、適正水
分と、酸素を含んだ新鮮な空気について、その発酵条件
を調整出来るようにしたものである。
【0009】本発明は、発酵堆肥化装置本体をメンテナ
ンスが容易なように二階建てにしたことと、発酵槽の底
面部より少し上がった位置には通気性を有する中間底面
部を形成してその中間底面部の下部に機能性空間部を形
成して、有機性廃棄物を宙に浮いたような状態とし、上
下両方から土壌微生物類の存在と、適正温度と、適正水
分と、酸素を含んだ新鮮な空気について、その発酵条件
を調整出来るようにした点に特徴がある。これによって
処理を行う土地の気候条件や土質条件、その他の環境条
件がいかようであっても確実に有機性廃棄物を短期間に
堆肥化できる発酵堆肥化装置を具現化せんとするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者、自然界のなか
には、その地方や土地に適したバクテリア菌等の土壌微
生物群が必ず生存しているという事実に着目し、人工的
に造られた種菌や、他の地方で効果があったとされる種
菌などを一切用意せず、その地方に土着の土壌微生物類
が繁殖し易い環境と条件を整えさえすれば、その地方の
環境下で望まれる最も適切な土壌菌が集まり効率の良い
発酵効果が出来るはずである、との考え方に立脚してい
る。
【0011】上記のような基本的な考え方をもとに開発
した有機性廃棄物の発酵堆肥化装置は次のようなもので
ある。
【0012】本願発明に係る前記有機性廃棄物の発酵堆
肥化装置は、投入口から排出口まで発酵に必要な所定の
距離がある上階に発酵槽を有し、下階にメンテナンス用
空室を有する二階建ての発酵堆肥化装置本体を設け、発
酵槽の底面部より少し上がった位置には通気性を有する
中間底面部を形成してその中間底面部の下部に機能性空
間部を形成しておき、発酵槽の底面部で機能性空間部に
は、ほぼ全面にわたって空気を吹き出す空気吹出部の散
在する通気管が配設されており、当該通気管の基部には
圧縮装置の付いた送風機を設け、該送風機によって自然
界の土壌微生物を含んだ新鮮な空気を取り込み、この空
気を圧縮することにより所定の温度に前記圧縮装置で暖
めたうえ、前記通気管を介して発酵槽の底面部に送り、
その吹き出し孔から吹き出すようにして通気管の上部に
堆積貯溜されている有機性廃棄物中に、適度に暖めた温
度と、土壌微生物を含んだ空気とを連続的に供給し得る
ように構成する発酵条件調整設備と、その発酵槽の底面
部には、吸気と排気の出来る吸排気孔が開口する第2通
気管が配設されており、当該第2通気管の基部には吸排
気装置が設けられて、前記機能性空間部を負圧状態にし
たり加圧状態にしたり湿度を調整したりできる機能性空
間部空調設備とを設け、発酵槽の上方に堆積貯溜されて
いる有機性廃棄物の下から発酵条件調整設備を介して全
体に暖かい空気が吹き上げられるように構成して、平時
より短時間に能率よく有機性廃棄物の水分が流下調整す
るとともに、機能性空間部空調設備の作動によって、機
能性空間部を負圧状態にしたり加圧状態にしたり湿度を
調整したり水分流下を促したりして発酵条件を補助調整
するようにし、発酵槽の投入口近傍の底面部には、流下
してきた水分を集水して排水し得るように構成した排水
装置を設け、発酵槽内には走行しながら収納されている
有機性廃棄物を切り替えつつ排出口方向へ搬送する切り
替え搬送装置とから構成される有機性廃棄物の発酵堆肥
化装置である。
【0013】また、前記有機性廃棄物とは、例えば食肉
処理場、食肉品加工工場などの処理施設からでる有機物
脱水汚泥、菓子製造工場などの排水処理施設からでる脱
水汚泥、植物性スラッジやこの植物性スラッジの焼却灰
などを混ぜ合わせたもので、発酵槽中において発酵し易
いようにしたものである。尚、前記有機性廃棄物とは、
汚泥、動植物性残さ、糞尿、燃えがら、木屑、繊維屑、
紙屑、動物死体、その他有機性不要物質を含むものであ
る。また、食肉処理場、食品加工工場、食堂雑廃、家庭
雑廃、等の各排水処理施設、し尿浄化槽から出る生汚泥
の場合には、中性にPH調整したうえ、植物性スラッジ
と、凝集剤と、スラッジ焼却灰を混入して凝集させた
後、脱水させて、有機性廃棄物となるようにしてもよ
い。
【0014】また、切り替え搬送装置は、走行チェーン
スクープ式、走行スクリュースクープ式、走行ドラムス
クープ式、走行ロータリィクラシャー式のいずれでもよ
い。て凝集させた後、脱水させて、有機性廃棄物となる
ようにしてもよい。
【0015】
【作用】本願発明に係る前記有機性廃棄物の発酵堆肥化
装置は、発酵槽の底面部より少し上がった位置には通気
性を有する中間底面部を形成してその中間底面部の下部
に機能性空間部を形成して、投入した有機性廃棄物が宙
に浮いたような状態となすとともに、前記発酵条件調整
設備と機能性空間部空調設備を有する発酵槽に、投入口
から前記有機性廃棄物を投入し、当該有機性廃棄物中に
空気と30℃〜40℃の温度とバクテリア菌等の土壌微
生物類とを連続供給して有機性廃棄物の水分調整をする
とともに、自然発酵させ、有機性廃棄物の水分調整をす
るとともに、自然発酵中の有機性廃棄物の切り替えと排
出口側への移送をしながら完熟させる有機性廃棄物の高
速堆肥化処理法に使用することができる。
【0016】すなわち、有害物質を含まない有機性廃棄
物及びその混合物に、植物性スラッジと、必要に応じて
スラッジ焼却灰や凝集剤を混入して有機性廃棄物となす
第1工程と、投入口から排出口まで所定の距離がある発
酵槽にしてその底面部には空気を吹き出す空気吹出部の
散在する通気管が配設されており、該通気管の基部には
圧縮装置の付いた送風機を設けており、発酵槽の投入口
近傍の底面部に配設された通気管の下の底部には流下し
てきた水分を集水して排水し得るように構成した排水口
を設け、発酵槽内には走行しながら収納されている有機
性廃棄物を取り替えつつ搬送する切り替え搬送装置とか
ら構成される発酵堆肥化装置に、前記有機性廃棄物をそ
の投入口側から投入するようにした第2工程と、前記発
酵槽内に貯溜された有機性廃棄物中に、送風機で自然界
のバクテリア菌等の土壌微生物を含んだ新鮮な空気を取
り込み、この空気を圧縮することにより30℃〜40℃
に暖めたうえ、前記吹き出し孔から噴出し、これによっ
て投入口近傍では投入直後の有機性廃棄物の水切りを行
い水分調整をするとともに、当該有機性廃棄物中に空気
と、30℃〜40℃の温度と、バクテリア菌等の土壌微
生物類とを連続供給しながら自然発酵させる第3工程
と、機能性空間部空調設備の作動によって、堆積貯溜さ
れている有機性廃棄物の下の機能性空間部を負圧状態に
したり加圧状態にしたり湿度を調整したり水分流下を促
したりして発酵条件を補助的に調整するようにする第4
工程と、所定の間隔で切り替え搬送装置を駆動させ、発
酵槽内で自然発酵中の有機性廃棄物を切り替えて活性化
しながら、少しずつ排出口側に移送し、完熟する第5工
程とからなる有機性廃棄物の高速堆肥化処理法をおこな
うことができる。
【0017】更にまた、発酵槽内へ有機性廃棄物を投入
し、送風機で圧縮加熱した30℃〜40℃の空気を連続
供給しながら、水分調整し、まもなく自然発酵させそれ
が活性化しやがて活性低下してくるまで第1次発酵さ
せ、第1次発酵の活性が低下したの時点で水分を補給し
て発酵を再度活性化する第2次発酵を起こさせて完熟さ
せるようにすることが望ましい。
【0018】
【実施例】以下、発酵堆肥化装置について、図示実施例
に基づいて詳細に説明する。図1は、有機性廃棄物の発
酵堆肥化装置の全体を示す正面図であり、図2は同有機
性廃棄物の発酵堆肥化装置の縦断側面図であり、図3
は、発酵堆肥化装置本体の構成を説明する縦断正面図で
ある。
【0019】図中1は、発酵堆肥化装置本体であり、2
は屋根部であり、3は投入口側上坂部であり、4は上部
メンテナンス足場部である。図2、図3に示すように、
発酵堆肥化装置本体1は、投入口から排出口まで発酵に
必要な所定の距離がある上階に発酵槽4を有し、下階に
メンテナンス用空5室を有する二階建てとなっている。
当該発酵槽4の底面部より少し上がった位置には通気性
を有する中間底面部6を形成してその中間底面部6の下
部に機能性空間部7を形成してある。
【0020】発酵堆肥化装置本体1は、図4に示すよう
に上階に発酵槽4を有し、下階にメンテナンス用空室5
を有する二階建てとなっている装置本体用ブロック1a
を前もって形成しておき、この装置本体用ブロック1a
を必要なだけ連結する故意にすれば、と長尺な発酵堆肥
化装置本体1の製造が容易である。
【0021】発酵条件調整設備11は、発酵槽4の底面
部で機能性空間部7には、ほぼ全面にわたって空気を吹
き出す空気吹出部8,8,…の散在する通気管9が配設
されており、メンテナンス用空室5を通った当該幹線通
気管9aの基部には圧縮装置の付いた送風機10を設
け、該送風機10によって自然界の土壌微生物を含んだ
新鮮な空気を取り込み、この空気を圧縮することにより
所定の温度に前記圧縮装置で暖めたうえ、前記幹線通気
管9aと通気管9を介して発酵槽4の底面部に送り、そ
の吹き出し孔から吹き出すようにして通気管9の上部に
堆積貯溜されている有機性廃棄物中Aに、適度に暖めた
温度と、土壌微生物を含んだ空気とを連続的に供給し得
るように構成されている。
【0022】機能性空間部空調設備12は、その発酵槽
4の底面部には、吸気と排気の出来る吸排気孔13が開
口する第2通気管14がメンテナンス用空室5を通った
第2幹線通気管14a配設されており、当該第2幹線通
気管14aの基部には吸排気装置15が設けられて、前
記機能性空間部7を負圧状態にしたり加圧状態にしたり
湿度を調整したりできるように構成する。
【0023】その発酵槽4には、発酵条件調整設備11
と機能性空間部空調設備12が設けられているので、発
酵槽4の上方に堆積貯溜されている有機性廃棄物Aの下
から発酵条件調整設備を11介して全体に暖かい空気が
吹き上げられるように構成して、平時より短時間に能率
よく有機性廃棄物の水分が流下調整することができる。
【0024】圧縮装置の付いた送風機5は、空気を取り
入れて圧縮し吹き出し孔3から空気を柔らかい所定の圧
力で吹き出させることにより、堆積している有機性廃棄
物の内奥部まで空気を供給するようにするためと、空気
を圧縮することにより温度が上昇する原理を利用して空
気を30℃〜40℃に暖めるためである。
【0025】同時に、機能性空間部空調設備12の作動
によって、機能性空間部7を負圧状態にしたり加圧状態
にしたり湿度を調整したり水分流下を促したりして発酵
条件を補助調整するように構成した。
【0026】中間底面部6は、図6,図7,図8にしめ
す実施例のように、空気吹出部8を用いて形成する。、
図6は中間底面部6を構成する部材の分解図であり、1
6は空気吹出部8であり、17仕切り枠であり、18は
網枠であり、19は腐食しない材質で形成された人工芝
状の緩衝用底枠である。図示実施例は、図5に示したよ
うにこれらを組み合わせることにより中間底面部6を形
成したが、これに限らないこと勿論である。
【0027】発酵槽4の投入口近傍の底面部には、流下
してきた水分を集水して排水し得るように構成した排水
装置20を設けてある。また、発酵槽4の投入口B近傍
底部には集水用の傾斜部排水口を有しており、その下に
は余分になっている濾過され流下してきた水を溜める貯
溜水槽21が形成されている。
【0028】発酵槽4内には走行しながら収納されてい
る有機性廃棄物を切り替えつつ排出口方向へ搬送する切
り替え搬送装置22である。発酵槽4内には走行しなが
ら収納されている切り替え搬送装置22を設けてある。
当該切り替え搬送装置22は、有機性廃棄物を切り替え
つつ少しづつ排出口1b側に搬送する装置である。図示
実施例の切り替え搬送装置22は、図3に示したよう
に、走行チェーンスクープ式であっても良いが、図示し
ない既存の走行スクリュースクープ式、行ドラムスクー
プ式、走行ロータリィクラシャー式のいずれでも良い。
【0029】図3に示した実施例に示した切り替え搬送
装置22を詳しく説明すると、堆積している有機性廃棄
物の底部から上方まで斜めに配設されている羽付無端チ
ェーンベルト体が回転して、廃棄物をすくい上げて後方
(排出口側)に移送して投下し、羽付無端チェーンベル
ト体の長さ分だけ移送する。
【0030】当該発酵堆肥化装置を使用して有機性廃棄
物を堆肥化する場合には、次のようにする。
【0031】まず第1工程として有機性廃棄物を有機性
廃棄物に前処理する。有害物質を含まない有機性廃棄
物、またはその混合物に、植物性スラッジと、必要に応
じてスラッジ焼却灰や凝固剤を混入して有機性廃棄物と
なす。前記有機性廃棄物とは、汚泥、動植物性残さ、糞
尿、燃えがら、木屑、繊維屑、紙屑、動物死体、その他
有機性不要物質のことをいう。しかし、肥料にする以
上、有機性廃棄物であっても、これに有害物質が含まれ
ているものは除かれる。この有害物質とは、水銀、また
はその化合物、カドミウム化合物、鉛化合物、有機リン
化合物、六価クロム化合物、放射性物質などをいう。
【0032】すなわち、堆肥原料になるものは、有害物
質を含まない有機性廃棄物の単体、またはその混合物で
あればよい。しかし、これら堆肥原料といえどもその成
分や含水率など状態が様々なので、これに植物性スラッ
ジと、必要に応じてスラッジ焼却灰や凝集剤を混入して
有機性廃棄物となす。すなわち、植物性スラッジは必ず
混入することとするが、これは有機成分を吸着する性質
があるうえ、繊維質でもあるので、保形効果が大きく、
含水率が98%以上の汚泥でも効率良く凝集させる。し
かも、植物性スラッジはバクテリア菌等の土壌微生物を
繁殖させる媒体として優れているので、脱水して出来た
保形性のある調整廃棄物は、堆肥原料としての条件を備
えたものとなっている。
【0033】尚、必要に応じてスラッジ焼却灰を混入す
るのは、悪臭の強い場合の脱臭のためと、肥料として土
壌改良効果が期待出来るからである。また、凝集剤を混
入するのは、含水率が特に多いときや水溶性蛋白等が多
いときなどこれら有機成分をさらに効率良く凝集させる
ためである。
【0034】例えば、食肉処理場、食品加工工場、食堂
雑廃、等の各排水処理施設、し尿浄化槽から出る生汚泥
の場合には、中性にPH調整したうえ、植物性スラッジ
と、凝集剤と、スラッジ焼却灰を混入して凝集させた
後、脱水させて、有機性廃棄物とすると良い。
【0035】尚、既存の方法で既に保形性のある汚泥ケ
ーキに処理されているものや、有機性廃棄物である程度
の保形性があるものの場合には、植物性スラッジを混入
し、臭気の強い場合にはスラッジ焼却灰を入れて混合
し、有機性廃棄物としても良い。
【0036】以上のように、本発明に係る前処理をすれ
ば、従来堆肥原料としては利用出来ないと思われてきた
幅広い範囲の有機性廃棄物の発酵媒体である有機性廃棄
物にすることが出来る点に特徴がある。
【0037】第2工程として前工程で前処理された有機
性廃棄物を開発された発酵堆肥化装置の中に投入し、充
分発酵させる。発酵堆肥化装置については、先に図示実
施例に基づいて詳細に説明したので省略するが、当該発
酵堆肥化装置に前記保形制調整廃棄物をその投入口B側
から投入し、排出口C側に切り替えながら移送する。
【0038】第3工程として保形制調整廃棄物の水分調
整をするとともに、当該有機性廃棄物中に空気と30℃
〜40℃の温度とバクテリア菌等の土壌微生物類とを連
続供給して発酵条件を整え自然発酵させる。
【0039】前記発酵槽1内に貯溜された有機性廃棄物
中に、圧縮装置付きの送風機5で自然界のバクテリア菌
等の土壌微生物を含んだ新鮮な空気を取り込み、この空
気を圧縮することにより30℃〜40℃に暖めたうえ前
記吹き出し孔から吹き出し、これによって投入口B近傍
では投入直後の有機性廃棄物の水切りを行い水分調整を
するとともに、当該有機性廃棄物中に空気と30℃〜4
0℃の温度とバクタリア菌等の土壌微生物類とを連続供
給しながら自然発酵させるのである。
【0040】まず、水分調整についてであるが、これ
は、重力により、有機性廃棄物に保水出来ない余分な水
分は濾過されて流下し、排水口から下の貯溜水槽8に落
下するが、このとき、下から空気を吹き上げているた
め、水は毛細管現象が壊されたり活性化するうえ、下方
の気圧が低下することによって吸引力が生じ、水と空気
のすりかえ現象を起こし、平時より素早く流下して短時
間に水切りが出来る。この水切りした状態というのがバ
クテリア菌等の土壌微生物類の繁殖には最とも適した含
水率の状態である。すなわち、空気の噴射環境下におけ
る濾過方式により短時間に能率良く最適な状態に水分調
整を実現出来る点に特色がある。
【0041】次に、送風機10で自然界のバクテリア菌
等の土壌微生物を含んだ新鮮な空気を取り込み、この空
気を圧縮することにより30℃〜40℃に暖めたうえ、
前記吹き出し孔3から噴出する。この点が本発明の大き
な特徴のひとつである。
【0042】つまり、当該有機性廃棄物中に空気と、3
0℃〜40℃の温度の温度と、バクテリア菌等の土壌微
生物類とを連続供給するからである。もし、仮に、空気
を前もって加熱し、暖めてからこれを送風機10に取り
込み、これを30℃〜40℃の温風として当該有機性廃
棄物中に吹き出した場合には、堆肥化のための発酵はう
まく起こらない。なぜなら、空気を前もって加熱した時
点で、自然界の土壌微生物類は死滅するか、逃げ出して
しまって、熱と空気は供給しても繁殖すべきバクテリア
菌を供給しないからである。従来は、種菌を別に植え付
けることが前提になっているので、熱と空気を供給して
もらっただけでも良かったが、本発明は、種菌を用意せ
ず、その地方に土着の土壌微生物を集めてこれを繁殖さ
せ、自然発酵を起こさせるようにするのが、基本的考え
方であるから、自然界に存在する土壌微生物を含んだ空
気を取り込むか否かは極めて重大な差異となる。
【0043】また、取り込んだ空気の温度を30℃〜4
0℃の温度に暖める方法として、火や高温の外熱を使っ
た場合には、土壌微生物類が死滅してしまって、自然繁
殖を阻害する行為となり、うまく自然発酵を起こさな
い。
【0044】これに対して、本発明の発酵堆肥化装置
は、バクテリア菌等の土壌微生物類を含んだ常温で自然
のままの空気を送風機10のなかに取り込み、それにな
んの外熱をも加えず、空気を圧縮することによってのみ
温度を30℃〜40℃に上昇させるものである。
【0045】従って、土壌微生物類は死滅せず、かえっ
て30℃〜40℃という土壌微生物類の活性化に適した
温度を得て、繁殖活動を活発化した状態で有機性廃棄物
中に吹き出され、自然発酵するのである。これも、本発
明の特徴点のひとつである。
【0046】実施例の場合をみると、約半日で水分調整
を終わり自然発酵が開始される。そして、当初は発酵槽
内の温度が上昇し、嫌気性土壌微生物を中心に繁殖する
が、すぐに好気性土壌微生物を中心に繁殖するように移
行していくのが観察されている。
【0047】第4工程、機能性空間部空調設備12の作
動によって、堆積貯溜されている有機性廃棄物の下の機
能性空間部を負圧状態にしたり加圧状態にしたり湿度を
調整したり水分流下を促したりして発酵条件を補助的に
調整するようにする。
【0048】第5工程、有機性廃棄物の切り替えと排出
口側への移送と完熟のための工程である。所定の間隔で
切り替え搬送装置22を駆動させ、発酵槽4内で自然発
酵中の有機性廃棄物を切り替えて活性化しながら、少し
づつ排出口C側に移送しながら完熟させる第4工程とか
らなる有機性廃棄物の高速堆肥化処理法である。
【0049】尚、発酵槽1内へ有機性廃棄物を投入し、
送風機10で圧縮加熱した30℃〜40℃の空気を連続
供給しながら、水分調整し、まもなく自然発酵させ、そ
れが、活性化しやがて活性低下してくるまで第1次発酵
をさせ、第1次発酵の活性が低下した時点で水分を補給
して発酵を再度活性化する第2次発酵をおこさせて完熟
させるようにした有機性廃棄物の高速堆肥化処理法であ
る。
【0050】図3は、発酵槽4内の温度変化と供給温度
と、含水率の経時的変化について示したもので、発酵槽
4内の温度変化は発酵状態の変化を示している。つま
り、水分調整は、1日半位で終了するが、水分調整の途
中から自然発酵が始まり、投入時常温だったものが急速
に発酵が進み、発酵の最盛期には温度が70℃〜80℃
位まで上昇する。1日2回切り替えを行い、1回当たり
2mほど排出口C側に移送する。
【0051】発酵温度は、発酵が進むにつれてしだいに
低下しはじめるが、15日を経過したあたりで60℃〜
70℃位となる。この時点で水を撒いて水分補給する。
すると再び発酵活動が活発化し、温度が少し上昇する。
これが第2次発酵である。その後、発酵温度は次第に低
下し、25日目には完全発酵した状態の堆肥が出来上が
っている。
【0052】本発明に係る発酵堆肥化装置は、その投入
口Bに、毎日新たな有機性廃棄物を投入し続ければ25
日間経過し、排出口1bまで移送された時点で、完全発
酵堆肥が出来ていることになる。このように本発明は、
流れ作業により連続的に堆肥が生産出来る装置であると
いった点も大きな特徴である。
【0053】この発酵工程における含水率の変化を観測
してみると、有機性廃棄物を投入時70℃〜80℃あっ
た含水率は、2日間位で60%以下に低下し、発酵が進
むにつれて低下し、2次発酵のため水を補給したときに
は一時含水率が増加傾向をしめしたがすぐ低下し、25
日目の堆肥として出来上がった時には、25%〜45%
の含水率となっていて、さらさらした感触になってい
る。
【0054】本発明によって出来た上記堆肥は、上記定
量分析成績のごとく大変バランスよく肥料となる成分が
含まれており品質の高いものとなっている。特に、市販
のものと比較して好気性土壌微生物数が豊富であり、臭
いのほとんどない肥料として、また土壌改良剤としての
効果が高いことを実証している。また、炭素率が多い点
も特徴のひとつで、これは、脱臭効果があるうえ土壌改
良効果も発揮し、肥料としての品質を高めている。ま
た、更に、含水率が従来方法で堆肥化されたものに比較
して低いので、手触りがさらさらしており、取り扱い易
いといった特性がある。
【0055】
【効果】本発明である発酵堆肥化装置は、投入口から排
水出口まで所定の距離がある発酵槽と、その発酵槽の底
面部には、ほぼ全面にわたって吹き出し孔の散在する通
気管が配設されており、当該通気管の基部には圧縮装置
の付いた送風機を設け、該送風機によって自然界のバク
テリア菌等の土壌微生物を含んだ新鮮な空気を取り込
み、この空気を圧縮することにより所定の温度に前記圧
縮装置で暖めたうえ、前記通気管を介して発酵槽の底面
部に送り、その吹き出し孔から吹き出すようにして通気
管の上部に堆積貯溜されている有機性廃棄物中に、適度
に暖めた温度と、バクテリア菌などの土壌微生物を含ん
だ空気とを連続的に供給し得るように構成する発酵条件
を整える設備と、発酵槽の投入口近傍の底面部に配設さ
れた通気管の下の底部には、流下してきた水分を集水し
て排水し得るように構成した排水口を設けるとともに、
底面部の通気管から暖められた空気を吹き出し、その上
方に堆積貯溜されている有機性廃棄物の下から全体に暖
かい空気が吹き上げられるように構成して、平時より短
時間に能率よく保形性廃棄物の水分が流下調整するよう
にした水切り部分と、発酵槽内には走行しながら収納さ
れている有機性廃棄物を切り替えつつ排出口方向へ搬送
する切り替え搬送装置とから構成されているので、有機
性廃棄物の堆肥化処理を流れ作業方式により連続的にし
かも完熟した良質の堆肥になるまで行うことが出来る便
利な一貫生産システム装置である。
【0056】本発明は、発酵堆肥化装置本体をメンテナ
ンスが容易なように二階建てにしたことと、発酵槽の底
面部より少し上がった位置には通気性を有する中間底面
部を形成してその中間底面部の下部に機能性空間部を形
成して、有機性廃棄物を宙に浮いたような状態とし、上
下両方から土壌微生物類の存在と、適正温度と、適正水
分と、酸素を含んだ新鮮な空気について、その発酵条件
を調整出来るようにした点に特徴がある。これによって
処理を行う土地の気候条件や土質条件、その他の環境条
件がいかようであっても確実に有機性廃棄物を短期間に
堆肥化できる発酵堆肥化装置を具現化したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 有機性廃棄物の発酵堆肥化装置の全体を示す
正面図である。
【図2】 同有機性廃棄物の発酵堆肥化装置の縦断側面
図である。
【図3】 発酵堆肥化装置本体の構成を説明する縦断正
面図である。
【図4】 装置本体用ブロックを示す斜視図である。
【図5】 中間底面部の一実施例を示す平面図である。
【図6】 中間底面部を構成する一実施例の部材の分解
図である。
【図7】 中間底面部の一実施例を示す断面説明図であ
る。
【図8】 空気吹出部を示す正面図である。
【図9】 空気吹出部を示す断面図である。
【符号の説明】
1:発酵堆肥化装置 5:メンテナンス用空室 4:発酵槽 9:通気管 9a:幹線通気管 14a:第2通気管 10:送風機 6:弁 20:排水装置 21:貯溜水槽 22:切り替え搬送装置
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年3月25日
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 有機質物を高速発酵処理によりコンポ
スト化する施設
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工場若しくは事業場か
ら排出される排水、下水道終末処理場における下水、し
尿又は家畜排せつ物などの有機質物を発酵処理して急速
特殊肥料化したり、汚泥、動物・植物性残さ、分別収集
した生ごみ、その他の有機性廃棄物を短期間で発酵処理
して堆肥化するなどの有機質物を高速発酵処理によりコ
ンポスト化(有機肥料化)する施設に関する。
【0002】
【従来の技術】古来、地球上で生成された有機物は全て
微生物の発酵作用によって分解し、肥料となって土壌を
肥沃にし、当該肥沃な土壌は、植物を発芽育成して地球
上を緑化し、植物は餌となって動物の生命を維持すると
ともに、枯れると発酵、分解して土に還る。このように
肥沃な土壌は、地球上の有機物の輪廻転生の源であり、
その動植物の生成発展循環を繰り返しながら、現在のよ
うな地球上の大自然を創ってきたものである。その意味
では有機物を微生物で発酵分解しコンポスト化する還元
作用は、生物に満ちた地球上の自然環境を生成し維持す
るための最も重要な作用のひとつである。
【0003】しかるに近代化した人間社会は、この輪廻
転成する自然界の法則を無視して急速に発達したため、
有機物質の生成循環作用に異変が起き、自然環境破壊や
農地の地力低下などの問題が表面かしはじめた。その最
大の原因は、人間も自然の一部であることを忘れ、有機
物質を人間社会の勝手な価値観により有価物と廃棄物に
評価分類して、両者の取り扱い方に差異をつけた点にあ
る。つまり、前者は、未利用有機物を農業における土ず
くりの原料と考え、有機肥料(特殊肥料を含む)として
還元処理を図ろうとするのに対し、後者は未利用有機物
を生活環境を害し公衆衛生を悪化させる廃棄物として、
廃棄処分を図ろうとする考え方である。近年の先進国で
は、当該未利用有機物を後者の廃棄物と考える方向に偏
し、有機質物の再生処理を怠った結果、環境破壊や農地
の地力低下をもたらすことになったのである。心ある人
々はこのような近代人間社会の考え方や処理方法が誤り
であったことに気付き、未利用有機物資源や有機性廃棄
物のコンポスト化による有効利用の機運が高まってき
た。しかし、当該未利用有機物資源をコンポスト化する
際の発酵作用のメカニズムについては未だ学問的解明が
なされておらず、多くは、古来からの自然発酵作用に依
存した方法による堆肥化が行われているのが現状であ
る。
【0004】我国における未利用有機質物は、し尿、汚
泥、動植物性残さ、動物の糞尿、燃えがら、木屑、繊維
屑、紙屑、動物の死体などに分類されているが、これら
の殆どは生活環境保全及び公衆衛生を害するおそれあり
との観点から、廃棄物とされ、焼却処分、高温分解処
分、陸上埋立処分、水面埋立処分、海洋還元処分、再生
利用処分等がなされてきた。しかし、近年、世界的な環
境保全運動の高まりによって、有機物廃棄物の陸上埋立
処分、水面埋立処分、海洋還元処分については、制限さ
れたり禁止されたりする傾向にある。我国では、有機性
廃棄物について堆肥化する処分方法や、糞尿及び浄化槽
汚泥の使用方法を制限する規定はあるが、効率的、実用
的なコンポスト化(堆肥化)技術が確立されていないこ
とと、経済性がないことから、あまり実施されておら
ず、ほとんどの有機生廃棄物は主として焼却処分により
廃棄しているのが現状である。
【0005】一方、約半世紀まえに、外国より日本に紹
介された化学肥料農法は、一時的な収穫の増加、病虫害
の有効な駆除、農作業の簡便化などをもたらしたため、
急速に普及したが、その結果は農地の地力低下をもたら
し、農業の未来に不安が生じはじめた。その結果、活力
の減退している農地の地力増強に伴う土壌改良策とし
て、有機物質の適量施用の重要性が見直され、有機質物
のコンポスト化技術や施設の開発と、それを促進するた
めの社会的な仕組みの確立が望まれている。
【0006】そのような観点から近年、各方面で、有機
質物の発酵処理に関する技術の開発が行われ、提案され
はじめた。その開発の方向は、有機質物を急速に発酵分
解する特定な種菌類の提案やそれらの利用方法であった
り、その効率的な発酵処理装置の提案であったり、有機
質物の成分を分析してその構成成分毎に分解したり無害
化する方法であったりする。つまり、従来の有機質物の
コンポスト化に対する考え方は、強力な消化力を有する
土壌微生物類の発見に努めたり土壌微生物類の組み合わ
せ方を考えたり、対象廃棄物の種類によって最適な菌類
を発見するなどの研究が盛んに行われており、その種と
なる菌株を保存しておいて、必要な時、必要なだけ菌株
分けをして、対象となる廃棄物に植え付け、温度管理と
水分補給をすることにより、コンポスト化をせんとする
ものが多い。しかし、有機質物を発酵分解するのは微生
物である。このようにその土壌微生物菌はその永続的な
確保が困難であったり、その管理が困難であったり、そ
の菌の活性化や発酵作用をコントロ−ルするのが困難で
あったりする。そのため、各方面で独自の方法で有機質
物のコンポスト化が試みられているが、結局は、効率
性、実用性、経済性において満足すべき状況にはない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】有機質物を発酵処理し
てコンポスト化するための技術課題は、当該有機質物に
うまくバクテリア菌などの土壌微生物類をいかに盛んに
繁殖させ、活性化するかである。土壌微生物類を盛んに
繁殖させる条件というのは、栄養分のある繁殖媒体と、
土壌微生物類の存在と、適正温度と、適正水分と、酸素
を含んだ新鮮な空気とが、存在することである。しか
し、多くの有機質物がその時の状態によって、成分にし
ても含水率にしても繁殖媒体の状態にしてもかなり差異
があり、土壌微生物類が常に盛んに繁殖させるに充分な
条件を備えている場合の方が少ない。また、その発酵に
要する発酵菌の種類によっても、その処理を行う土地の
気候条件や土質条件、その他の環境条件によっても、土
壌微生物類が盛んに繁殖するとは限らず、安定して発酵
処理によるコンポスト化するのは技術的に大変難しい。
【0008】従来より、発酵槽に空気を供給する装置を
備えたり、温度を調整する装置を備えたり水分を調整し
たり、機構を備えたものはあったが、上記のような発酵
分解中の有機質物の多様な条件に広く対応でき、発酵条
件を調整できる手段を備え、しかもメンテナンスも容易
な実用性の高いコンポスト化施設や装置は、まだ開発さ
れていない。
【0009】上記技術課題を解決するために研究した結
果、発酵処理装置本体を投入口から排出口まで発酵に
必要な所定の距離がある発酵槽を上階とし、下階にメン
テナンス用空室を設けた二階建てとしてメンテナンスが
容易なようにすること、当該発酵槽には、底面部より
少し上がった位置に通気性と通水性を有する中間底面部
を設け、その中間底面部の上部を発酵処理部となし、下
部を機能性空間部となし、有機質物を宙に浮いたような
状態で可及的に均一な発酵環境条件の整備ができるよう
にすること、発酵槽には、発酵条件調整設備を設ける
とともに、機能性空間部空調設備を設け、発酵処理部内
の環境を直接的、間接的に調整できる二重の調整手段を
用意すること。発酵条件調整設備は、中間底面部上の
発酵処理部内に貯溜されている有機質物中に、適度に暖
めた温度と、土壌微生物を含んだ空気とを連続的に供給
し、直接的に発酵条件を整え得るように構成すること、
機能性空間部空調設備は、必要に応じて前記機能性空
間部を負圧状態にしたり加圧状態にしたり温度や湿度を
調整して、発酵処理部内に貯溜されている有機質物の発
酵条件を間接的に調整できるように構成すること。など
が発酵条件をコントロ−ルするのに有効な手段であるこ
とを見いだした。そこで本発明では、これらの構成を採
用することにより有機質物の上下両方から土壌微生物類
の供給と、適正温度と、適正水分と、酸素を含んだ新鮮
な空気供給と気圧調整、湿度調整など、発酵処理部内に
貯溜されている有機質物の発酵条件を調整出来るように
し、そのメンテナンスも容易な構成にすることによっ
て、発酵処理を行う土地の気候条件や土質条件、その他
の環境条件がいかようであっても、簡単に発酵条件を調
整して確実に有機質物を短期間にコンポスト化できる施
設を具現化せんとした。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者、自然界のなか
には、その地方や土地に適したバクテリア菌等の土壌微
生物群が必ず生存しているという事実に着目し、人工的
に造られた種菌や、他の地方で効果があったとされる種
菌などを用意せず、その地方に土着の土壌微生物類が繁
殖する環境と条件を整えさえすれば、その地方の環境下
で望まれる最も適切な土壌菌が集まり効率の良い発酵効
果が出来るはずである、との考え方に立脚している。し
かも本発明に係る有機質物を短期間に発酵処理によるコ
ンポスト化できる施設では、土壌微生物類が繁殖し易い
環境と条件を整えるとともに、メンテナンスの容易な施
設の具現化を目指して開発したものである。
【0011】上記のような基本的な考え方をもとに開発
した有機質物の発酵処理によるコンポスト化装置は次の
ようなものである。
【0012】本願発明は、投入口から排出口まで発酵に
必要な所定の距離がある発酵槽を上階に配し、下階にメ
ンテナンス用空室を配設してなる二階建ての発酵処理装
置本体を設け、当該発酵槽には、底面部より少し上がっ
た位置に通気性と通水性を有する中間底面部を設け、そ
の中間底面部の上部を発酵処理部となし、下部を機能性
空間部となしておき、発酵槽の底面部で機能性空間部内
には通気管を配設し、この通気管には、中間底面部の位
置から発酵処理部内のほぼ全面にわたって空気を吹出す
ように構成した複数の空気吹出部を連設するとともに、
当該通気管の基部にはメンテナンス用空室を通る幹線通
気管を連設し、更にその幹線通気管の基部には、取り込
んだ自然界の空気を圧縮によって暖めることが可能な圧
縮装置の付いた送風機を設け、当該圧縮装置付き送風機
の作動により、自然界の土壌微生物を含んだ新鮮な空気
を取り込み、この空気を圧縮することにより発酵に適し
た温度に暖めたうえ、前記幹線通気管および通気管を介
して複数の空気吹出部に送り、その空気吹出部から吹き
出すようにして中間底面部上の発酵処理部内に貯溜され
ている有機質物中に、適度に暖めた温度と、土壌微生物
を含んだ空気とを連続的に供給し得るように構成する発
酵条件調整設備を設けるとともに、その発酵槽の底面部
には、機能性空間部内に吸気と排気の出来る吸排気孔が
開口する第2通気管が配設されており、当該第2通気管
の基部にはメンテナス用空室を通る第2幹線通気管を連
設し、更にその第2幹線通気管の基部には吸排気装置の
付いた空調装置が設けられて、必要に応じて前記機能性
空間部を負圧状態にしたり加圧状態にしたり温度や湿度
を調整したりできる機能性空間部空調設備を設け、発酵
槽の発酵処理部内に貯溜されている有機質物の下側から
発酵条件調整設備を介して全体に暖かい空気が吹き上げ
温度調整することによって、平時より短時間に能率よく
有機質物の水分流下を促し、土壌微生物の活性化を促し
て発酵条件を整え、発酵処理を促進するとともに、機能
性空間部空調設備の作動によって、機能性空間部を負圧
状態にしたり加圧状態にしたり温度や湿度を調整して、
発酵処理部内の有機質物の発酵条件を通気性と通水性を
有する中間底面部を介して下側から補助調整できるよう
に構成し、発酵槽の底面部には、機能性空幹部に流下し
てきた水分を集水して排水し得るように構成した排水装
置を設け、発酵槽内には走行しながら収納されている有
機質物を切り替えつつ排出口方向へ搬送する切り替え搬
送装置とから構成される有機質物を高速発酵処理により
コンポスト化する施設である。
【0013】本発明における前記有機質物とは、特殊肥
料化の有価物の総称であり、汚泥肥料の原料(汚泥「工
場若しくは事業場から排出される排水、下水道終末処理
場における下水、し尿又は家畜排せつ物、し尿浄化槽の
汚泥ばっ気処理又は発酵処理出来るもの」及びその処理
物)、たい肥の原料(わら、もみがら、生草、樹皮、海
藻又は動物質の廃棄物を主体とし、堆積腐熟できるも
の、動植物性残さ、動物の糞尿、燃え殻、木くず、繊維
くず、紙くず、動物の死体、分別収集した生ごみなど有
機性廃棄物と称されるもの全てを含むものとする。
【0014】従って、本発明に係る有機質物を高速発酵
処理によりコンポスト化する施設は、その用途や発酵処
理の対象となる有機質物によって、種々の装置や施設と
して応用できるものである。例えば、農林水産分野にお
いて利用する場合には、有機質物を発酵処理して急速特
殊肥料化する装置として、或は堆きゅう肥等生産施設、
家畜ふん尿処理施設、家畜排せつ物土地還元施設、家畜
排せつ物処理施設、有機物供給施設、土壌改良施設など
として活用できるものである。また、廃棄物処理施設と
して利用する場合には、汚泥、動植物性残さ、その他の
有機性廃棄物を短期間で発酵処理して堆肥化するための
高速発酵処理施設や有機性廃棄物の再生利用処理施設等
となり得るものである。
【0015】尚、これら有機質物の発酵処理に際して
は、未利用有機質物をそのままの状態で投入しても良い
が、複数の各種の原材料を組み合わせ混合して成分を多
様化した方が発酵し易いので、そのように前処理するこ
とが望ましい。例えば食肉処理場、食肉品加工工場など
の処理施設からでる有機物脱水汚泥、菓子製造工場など
の排水処理施設からでる脱水汚泥と植物性スラッジや植
物性スラッジの焼却灰などを混ぜ合わせて発酵し易いよ
うに調整有機質物としたり、家畜ふん尿に、木くずや農
産物残渣等を混合して、発酵し易い調整有機質物として
から発酵槽に投入すると、発酵効率が良い。
【0016】発酵槽は、投入口から排出口まで発酵に必
要な所定の距離が必要であるが、この所定の距離という
のは切り替え搬送装置によって、切替え移送されながら
発酵分解処理が完了するのに必要な長さということにな
る。例えば、1日2mずつ切り替え移送するのであれば
25日で約50m、1日4m移送するのであれば100
mの長さの発酵槽ということになる。
【0017】また、発酵槽の底面部には、機能性空間部
に流下してきた余分な水分を集水し排水し得るように構
成した排水装置を設けてあるので、発酵処理部内の水分
調整ができるだけでなく、機能性空間部の湿度調整も容
易である。更に、切り替え搬送装置は、走行チェーンス
クープ式、走行スクリュースクープ式、走行ドラムスク
ープ式、走行ロータリィクラシャー式のいずれでもよ
い。
【0018】
【作用】本願発明に係る前記有機質物を発酵作用により
コンポスト化する装置は、発酵槽の底面部より少し上が
った位置には通気性を有する中間底面部を設け、中間底
面部の上部を発酵処理部とし、下部を機能性空間部とし
て、発酵処理部に投入した有機質物が上下両方において
大気と接触するようになす。しかも、当該発酵槽には発
酵条件調整設備と機能性空間部空調設備とを設け、前者
により発酵処理部内に適度に暖めた温度と、土壌微生物
を含んだ空気とを連続的に供給して直接的に発酵条件を
整えるようになし、後者により機能性空間部を負圧状態
にしたり加圧状態にしたり温度や湿度を調整したりし
て、発酵処理部内に貯溜されている有機質物の発酵条件
を間接的に調整できるように構成している。
【0019】このため、発酵槽に投入された有機質物
は、上下両面において大気と接触するとともに、発酵処
理部内に連続的に土壌微生物を含んだ空気を供給される
ので当該有機物は土壌微生物類と新鮮な酸素に連続的に
且極めて豊富に供給され接触することになる。
【0020】また、当該有機質物は、主に発酵処理部内
に連続的に供給される適度に暖めた空気によって発酵に
適した温度(土壌微生物が活性化する温度)が維持され
る。しかし、場所によって或は季節によって気温が発酵
に適した温度(30〜40℃)より低くなったり、高く
なったりする場合がある。この大気に接触する有機質物
の温度が低下し過ぎたり、上昇し過ぎたりする等の影響
を受けた場合には、下側の機能性空間部の温度を調整し
て、有機質物全体の温度を有効に補助調整することがで
きる。
【0021】更に、有機質物の水分調整は、重力と発酵
処理部内に連続的に供給される適度に暖めた空気の緩慢
な吹き出しによって余分な水分の流下を促すことができ
るが、有機質物の含有水分が多過ぎて発酵しにくく、発
酵開始を急ぐ場合には、機能性空幹部を負圧状態となし
半強制的に有機質物中の水分を吸引、流下させて急速に
水分を除去調整することができる。逆に、有機質物の水
分が不足しているため、有機質物の未消化部分が残って
いるにもかかわらず発酵作用が鎮静化したり、停止した
りする場合には、上から散水して、有機質物の二次発酵
を促すことが従来より行われているが、このような場合
にも上から散水と下側の機能性空間部の湿度調整と加圧
状態にするなどの調整作用によって、有機質物全体の均
一な水分調整を短時間に且つ有効にすることができる。
【0022】更に又、機能性空間部の気圧調整により土
壌微生物の活性化を図り発酵作用を促進させることもで
きる。
【0023】このように発酵条件調整設備と機能性空間
部空調設備という二種類の調整手段を状況に応じて操作
駆使することにより、発酵処理部内に貯溜されている有
機質物の温度と、水分と、酸素(空気)と、湿度という
発酵条件を調整して、土壌微生物を活性化し、高速に発
酵作用を進め、短期間に完熟させることができるもので
ある。
【0024】本発明に係る有機質物を高速発酵処理によ
りコンポスト化する施設は、次のように使用される。
【0025】発酵槽の発酵処理部内に、投入口から必要
に応じて複数の有機質物を混合調整した有機質物を投入
し、発酵条件調整設備と機能性空間部空調設備を駆使し
て当該有機質物中の水分を発酵し易い60〜70%程
度、好ましくは65%前後に急速調整するとともに、空
気の圧縮により30〜40℃の温度に温かくした空気を
連続的に供給し、急速な土壌微生物による自然発酵を開
始させる。有機質物の土壌微生物による自然発酵の開始
を、どれだけ早期に実現させるかが高速発酵処理を実現
するための重要なポイントである。
【0026】次に、前記発酵槽内に貯溜された有機質物
中に、発酵条件調整設備を作動させて、送風機で自然界
のバクテリア菌等の土壌微生物を含んだ新鮮な空気を取
り込み、この空気を圧縮装置で圧縮することにより30
〜40℃に暖めたうえ、空気吹き出し部により中間底面
部の位置から発酵処理部内のほぼ全面にわたって連続的
に空気を吹き出して、堆積貯溜されている有機質物への
酸素の供給と適正温度維持を直接行い、盛んな発酵分解
活動を促すようにする。また、この際、機能性空間部空
調設備を必要に応じて作動させ、機能性空間部を負圧状
態にしたり加圧状態にしたり温度や湿度を調整して、発
酵処理部内の有機質物の発酵条件を通気性と通水性を有
する中間底面部を介して下側から補助調整して、環境の
違いや変化があっても、確実に発酵分解活動がすすむよ
うに補助調整する。
【0027】しかし、対象となる有機質物の種類やその
状態の差異によって、あるいは気温や湿度や気圧の変化
によって、または装置の故障や操作のミスによって土壌
微生物による発酵分解活動を損なうことが考えられる。
土壌微生物は環境条件の変化に非常に敏感に反応するの
で、ちょっとした原因で、たちまち活性が盛んになった
り、低下したり、停止したりする。そのように装置が故
障したり、発酵槽内に貯溜された有機質物の自然発酵が
予定通りに進まない場合や、発酵分解作用が途中で停止
し進まなくなった場合、装置を修理したり、メンテナン
スしたり、発酵槽内の発酵条件を急速に修正して発酵活
動を再開させたり、その発酵作用を順調に進行させたり
する必要がある。
【0028】本発明は、発酵処理装置本体を二階建てと
し、発酵槽を上階に配し、下階にメンテナンス用空室を
配設したので、発酵条件調節設備やの機能性空間部空調
設備故障を修理したり、清掃などのメンテナンスをした
りすることが、極めて簡単となった。また、本発明は、
発酵条件調整設備のほかに機能性空間部と機能性空間部
空調設備を装備してあるので、この手段を利用して、機
能性空間分を負圧状態にしたり、加圧状態にしたり湿度
や温度を調整したり、水分流下を促したりして、間接的
に発酵処理部内の有機質物の発酵条件を調整することが
できるようにしたので、発酵活動の再開や修正などの調
整操作が容易である。
【0029】また、所定の時間的間隔をおいて、切り替
え搬送装置を駆動させ、発酵槽内で自然発酵中の有機質
物を切り替えて活性化しながら、少しずつ排出口側に移
送する。従って入口近傍は発酵初期段階の状態にあり、
移送が進むしたがって一次発散段階、二次発散段階と次
第に発酵消化状態が進み、排出口側の近傍では完熟状態
となっている。このように場所によって発酵段階や消化
状態が徐々に進行するように展開しているので、各発酵
段階に応じた適切な発酵条件の調整を段階的、部分的に
することも可能である。このように発酵条件調整設備や
機能性空間部空調設備という調整手段を駆使すれば、確
実に発酵分解を促進し、高い完熟度を実現することがで
きる。
【0030】更にまた、発酵槽内へ有機質物を投入し、
送風機で圧縮加熱した30〜40℃の空気を連続供給し
ながら自然発酵させ、それを活性化して有機質物の盛ん
な発酵をさせたうえで、やがて活性低下するまでの第1
次発酵させ、その後、当該第1次発酵作用が低下した時
点で上から水分を補給するとともに下側から機能性空間
の湿度を調整して水分を補給し、発酵作用を再度活性化
する第2次発酵を起こさせて完熟させるようにしてもよ
い。
【0031】
【実施例】以下、有機質物の高速発酵処理によりコンポ
スト化する施設について、図示実施例に基づいて詳細に
説明する。図1は、有機質物の高速発酵処理によりコン
ポスト化する施設の全体を示す正面図であり、図2は同
有機質物の高速発酵処理によりコンポスト化する施設の
縦断側面図であり、図3は、発酵処理本体の構成を説明
する縦断正面図である。
【0032】図中1は、発酵処理装置本体であり、2は
屋根部であり、3は投入口側上坂部であり、23は上部
メンテナンス足場部である。図2、図3に示すように、
発酵処理装置本体1は、投入口から排出口まで発酵に必
要な所定の距離がある上階に発酵槽4を有し、下階にメ
ンテナンス用空室5を有する二階建てとなっている。当
該発酵槽4の底面部より少し上がった位置には通気孔と
通水性を有する中間底面部6を形成し、その中間底面部
6の上部を発酵処理部4aとなし、その中間底面部6の
下部を機能性空間部7となす。
【0033】発酵処理装置本体1は、図4に示すように
上階に発酵槽4を有し、下階にメンテナンス用空室5を
有する二階建てとなっている装置本体用ブロック1aを
前もって形成しておき、この装置本体用ブロック1aを
必要な数だけ連結することにより発酵に必要所定の距離
がある発酵槽を有する発酵処理装置本体1を製造でき
る。
【0034】本実施例の場合は、1日当たりの切り替え
移送距離と回数にもよるが、発酵処理装置本体の長さは
50〜100mあれば充分である。これは、発酵処理に
より完熟したコンポストになるのに25日あれば充分で
あるとの設計に基づくものである。
【0035】発酵条件調整設備11は、発酵槽4の底面
部で機能性空間部7内には、ほぼ全面にわたって空気を
吹き出す空気吹き出し部8,8,…の連設散在する通気
管9が配設されている。当該通気管9の基部にはメンテ
ナンス用空室5を通った当該幹線通気管9aを連設し、
更にその幹線通気管9aの基部には、圧縮装置のついた
送風機10を設けてある。当該圧縮装置付き送風機10
が作動すると、自然界の土壌微生物を含んだ新鮮な空気
を取り込み、この空気を圧縮することにより所定の温度
に前記前記圧縮装置で暖めたうえ、送風機10の作用に
より前記幹線通気管9aと通気管9を介して複数の空気
吹き出し部8,8,…に送り、その空気吹き出し部8,
8,…から吹き出すように構成されている。すると中間
底面部6上の発酵処理部4a内に貯溜されている有機質
物中Aに、適度に暖めた温度と、土壌微生物を含んだ空
気とを連続的に供給し得るように構成されている。
【0036】機能性空間部空調設備12は、その発酵槽
4の底面部に吸気と排水の出来る吸排気口13,13,
…の排泄が開口しており、それは第2通気管14,1
4,…に連接されている。しかも当該第12通気管1
4,14,…の基部にはメンテナンス用空室5を通る第
2幹線通気管14aが連接されている。更に当該第2幹
線通気管4aの基部には吸排気装置の付いた空調装置1
5が設けられている。当該機能性空間部空調設備12を
作動させると、必要に応じて前記機能性空間部7を負圧
状態にしたり加圧状態にしたり温度や湿度を調整したり
できる。
【0037】このように本発明に係る発酵槽4には、発
酵条件調整設備11と機能性空間部空調設備12が装備
されているので、発酵槽4の発酵処理部4a内に貯溜さ
れている有機質物Aの下から発酵条件調整設備11を介
して直接的に全体に温かい空気が吹き上げられるように
構成されている。このため発酵条件調整設備11を作動
させると平時より短時間に効率よく有機質物の水分が流
下するのを促し、水分調整するとともに、湿度調整する
ことができる。
【0038】また、圧縮装置の付いた送風機10は、空
気を取り入れて圧縮装置で圧縮し空気吹き出し部8,
8,…から空気を柔らかい所定の圧力で吹き出せること
により、貯溜している有機質物の内奥部まで空気を供給
するようにする。圧縮装置は空気を圧縮することにより
温度が上昇する原理を利用して空気を30〜40℃に暖
め供給するためである。
【0039】同時に、機能性空間部空調設備12の作動
によって、機能性空間部7を負圧状態にしたり加圧状態
にしたり湿度や温度を調整したりして貯溜している有機
質物の発酵条件を補助的に調整するように構成してあ
る。
【0040】中間底面部6の実施例は、図6、図7、図
8に示すように、空気吹出部8と仕切り枠17と網枠1
8と緩衝用底枠19が組合わされて構成されている。図
6は中間底面部6を構成する部材の分解図である。8は
空気吹出部であり、17は仕切り枠であり、18は網枠
であり、19は合成樹脂など腐食しない材質で形成され
た人口芝状の緩衝用底枠で、実施に際してはこの人口芝
状の緩衝用底枠19にはもみ殻を係合させるように詰め
込んで通気性と通水性を確保しながら、その上に貯溜す
る有機質物が機能性空間部7に落下しないようにする。
図示実施例は、図5、図7に示すようにこれらを組み合
わせることにより中間底面部6を構成されているこれら
の図示の中間底面部は一実施例であり、これに限るもの
ではないことは勿論である。
【0041】発酵槽4の投入口B近傍の底面部には、流
下してきた水分を集水して排水し得るように構成した排
水装置20を設けてある。当該排水装置20は底面部に
傾斜部を設けるなどして、水が集まるようにするととも
に、その低い部分には排水溝が穿設されており、それが
排水管によって貯溜水槽21内に誘導形成されている。
すなわち、発酵槽4の投入口B近傍底部には集水用の傾
斜部排水口を有しており、その下には余分になっている
濾過され流下してきた水をためる貯溜水槽21が形成さ
れているのである。
【0042】また図22は、発酵槽4内で走行しながら
収納されている有機質物を切り替えつつ排出口方向へ搬
送する切り替え搬送装置22である。当該切り替え搬送
装置22は、有機質物を切り替えつつ少しずつ排水口1
b側に搬送する装置である。図示実施例の切り替え搬送
装置22は、図3に示したように、走行チェ−ンスク−
プ式であるがこれに限るものではない。図示しない既存
の走行スクリュ−スク−プ式、走行ドラムスク−プ式、
走行ロ−タリィクラシャ−式の切り替え搬送装置であっ
てもよい。
【0043】図3に示した実施例に示した切り替え搬送
装置22を詳しく説明すると、堆積している有機質物の
底部から上方まで斜めに配設されている羽付無端チェ−
ンベルト体が回転して、有機質物をすくい上げて後方
(排出口側)に移送して投下し、羽付無端チェ−ンベル
ト体の長さ分だけ移送する。
【0044】以上の図示実施例のように構成された有機
質物の高速発酵処理によりコンポスト化する施設2を利
用して有機質物をコンポスト化するには、次のように操
作する。
【0045】まず第1工程として未利用有機質物を混合
して調整有機質物に前処理する。有害物質を含まない未
利用有機質物、またはその混合物に、植物性スラッジ
と、必要に応じてスラッジ焼却灰を混入して調整有機質
物となす。前記有機質物とは、おでい肥料、たい肥肥料
の原料、動物のふん尿、動植物性残渣、糞尿、燃えが
ら、木くず、繊維くず、紙くず、動物死体などの有価物
である。しかし、特殊肥料や堆肥などのコンポストにす
る以上、有機質物であっても、これに有害物質が含まれ
ているものは除かれる。この有害物質とは、製品化した
特殊肥料の乾物1Kgにつき、ひ素、カドミウム、水
銀、が規制された含有量以下であり、金属等を含む産業
廃棄物に係る判定基準を定める省令の基準に適合するも
のをいう。
【0046】すなわち、コンポスト原料になるものは、
有害物質を含まない有機質物の単体、またはその混合物
であればよい。しかし、これらコンポスト原料といえど
もその成分や含水率など状態が様々である。従って、こ
れに必要に応じて植物性スラッジとか、スラッジ焼却灰
を混入して調整有機質物となすのが望ましい。すなわ
ち、植物性スラッジは有機成分の溶液を吸着する性質が
あるうえ、繊維質でもあるので、保形効果が大きく、含
水率が98%以上の汚泥でも効率よくコンポスト原料と
して調整できる。尚、当該植物性スラッジはバクテリア
菌等の土壌微生物を繁殖させる媒体として優れているの
で、脱水を進めてできた保形性のある調整有機質物とし
ては、コンポスト原料として好ましい条件を備えたもの
となる。
【0047】また、必要に応じてスラッジ焼却灰を混入
する。これは、悪臭の強い場合の脱臭のためと、肥料と
して土壌改良効果が期待出来るからである。また、必要
に応じて凝集剤を混入するのは、含水率が特に多い汚泥
や水溶性蛋白質等が多い排水や下水であるときなどこれ
ら有機成分をさらに効率よく凝集保形化させるためであ
る。
【0048】例えば、食肉処理場、食品加工工場、食堂
雑廃水等の各排水処理施設、し尿浄化槽から出る排水や
生汚泥の場合には、中性にPH調整したうえ、植物性ス
ラッジと、凝集剤と、スラッジ焼却灰を混入して、調整
有機質物とする。
【0049】また、既存の方法で既に保形性のある汚泥
ケ−キに処理されているもの、例えば下水道汚泥などの
場合には、植物性スラッジや植物性残さを混入し、臭気
の強い場合にはスラッジ焼却灰を入れて混合し、調整有
機質物としてもよい。
【0050】以上のように、本発明に係る有機質物を前
処理調整すれば、従来コンポスト原料としては利用出来
ないと思われてきた条件の悪い有機質物であっても、発
酵媒体として好ましい有機質物に調整することが出来
る。
【0051】第2工程として前工程で前処理された有機
質物を発酵槽の中に投入し、発酵させる。本発明に係る
発酵処理によりコンポスト化する施設については、先に
図示実施例に基づいて詳細に説明したのでここでは省略
するが、その発酵槽の発酵処理部4aに前記有機質物を
その投入口b側から投入し、排出口c側に切り替え移送
しながら発酵分解を進め約25日前後で二次発酵を終え
完熟したコンポストになる。
【0052】第3工程として発酵条件調整設備11を作
動させて投入された有機質物の水分調整をするととも
に、当該有機質物中に空気と30〜40℃の温度とバク
テリア菌等の土壌微生物類とを連続供給して発酵条件を
整え自然発酵させる。
【0053】同時に、機能性空間部空調設備12を作動
させ、機能性空間分を負圧状態にしたり加圧状態にした
り、湿度や温度を調整したり、水分流下を促したりして
発酵条件を補助的に調整するようにする。
【0054】このように本発明は、発酵条件調整設備1
1と機能性空間部空調設備12の両手段を用いて発酵条
件をコントロ−ルする施設である。以下、具体的な調整
法を詳しく説明する。
【0055】まず、水分調整についてであるが、これ
は、重力により、有機質物に保水出来ない余分な水分は
濾過されて流下し、排水装置20から下の貯溜水槽21
に落下する。しかし、この時、下側の中間底面部の位置
から温かい空気を吹き上げているため、含有水は毛細管
現象が壊されて流下し易くなるうえ、下側の気圧低下に
よって吸引力が生じ、水と空気のすりかえ現象を起こ
す。このため平時より素早く流下して短時間に水切りが
出来る。この水切りした状態というのがバクテリア菌等
の土壌微生物類の繁殖には最も適した含水率の状態であ
る。すなわち、空気吹き出し環境下での濾過方式により
短時間に能率よく最適な状態に水分調整を実現出来るの
である。
【0056】特に有機質物の含水率が約90%と多い場
合、脱水に時間がかかり過ぎ、発酵開始時間が遅れるの
で、このようなときは発酵条件調整設備だけではなく、
機能性空間部空調設備12を作動させて、機能性空間分
を負圧の状態にして有機質物中の含有水分を吸引して、
水の流下を促すようにするとよい。普通は水分が75%
になるまでは比較的速いが、発酵しやすい67〜63%
に下げるには時間がかかるが、温かい空気の吹き上げと
負圧による水分の強制流下の併用により、短時間に好ま
しい水分調整が可能になった。
【0057】次に、送風機10で自然界のバクテリア
菌等の土壌微生物を含んでだ新鮮な空気を取り込み、こ
の空気付設圧縮装置で圧縮することにより30〜40℃
に暖めたうえ、前記空気吹出部8から発酵処理部4aの
全体に吹き出して温度調整をする。この点が本発明の大
きな特徴のひとつである。
【0058】取り込んだ空気の温度を30〜40℃の温
度に暖める方法として、火や高温の外熱を使った場合に
は、土壌微生物類が死滅してしまって、自然繁殖を阻害
する行為となり、うまく自然発酵を起こさない。なぜな
ら、空気を前もって加熱した時点で、自然界の土壌微生
物類は死滅するか、逃げ出してしまって、熱と空気は供
給しても繁殖すべきバクテリア菌を供給しないからであ
る。
【0059】これに対して、本発明の発酵条件調整設備
11は、バクテリア菌等の土壌微生物類を含んだ常温で
自然のままの空気を送風機10のなかに取り込み、それ
になんの外熱をも加えず、空気を圧縮することによって
のみ温度を30〜40℃に上昇させるものである。この
ようにした場合、土壌微生物は死滅せず、かえって30
〜40℃という土壌微生物類の活性化に適した温度を得
て、繁殖活動を活性化した状態で有機質物中に吹き出さ
れ、自然発酵するのである。これも、本発明の特徴のひ
とつである。
【0060】本発明の場合は、どのような状態の有機質
物であっても約半日で水分調整を終わり自然発酵が開始
される。そして、当初は発酵槽内の温度が急上昇しなが
ら、嫌気性土壌微生物を中心に繁殖するが、すぐに好気
性土壌微生物を中心に繁殖するように移行していくのが
観察されている。
【0061】第4工程、有機性廃棄物の切り替えと排出
口側への移送と完熟のための工程である。所定の間隔で
切り替え搬送装置22を駆動させ、発酵槽4内で自然発
酵中の有機質物を切り替えて活性化しながら、少しずつ
排出口C側に移送しながら完熟させる有機質物を高速発
酵処理によりコンポスト化する処理法である。
【0062】投入直後の有機質の水分調整は、普通半日
から1日位で終了するが、水分調整の途中から自然発酵
が始まり、投入時常温だったものが急速に温度上昇し、
発酵の最盛期には温度が70〜80℃位まで上昇する。
この発酵温度は、発酵が進むにつれてしだいに低下しは
じめるが、15日を経過したあたりで50〜60℃位と
なる。この時点で水を撒いて水分補給する。すると再び
発酵活動が活性化し、温度が少し上昇する。これが第に
発酵である。その後、発酵温度はしだいに低下し、25
日目には完熟発酵した常温のコンポストが出来上がる。
【0063】尚、本発明に係るコンポスト化施設により
順調に発酵作用が進む場合にはよいが、気温の変化や装
置の故障、操作ミスなどにより発酵作用が停止したり、
活性が低下した際に、再度発酵作用を再開させるために
は発酵調整装置11の操作だけではコントロ−ルするの
が困難であるが、本発明には機能性空間部空調設備12
もあり、補助的に温度や湿度、加圧、負圧状態などを調
整できるので両手段を駆使することにより、簡単にほと
んどの障害を克服できる。またそれらの装備は機能性空
間部7やメンテナンス空間5を利用しているので故障の
修理やメンテナンスが非常に容易である。
【0064】本発明に係る発酵槽は、その投入口Bに、
毎日新たな有機質物を投入し続ければ25日間発酵と移
送を繰り返し、排出口Cまで移送された時点で、完熟発
酵されたコンポストや特殊肥料ができることになる。こ
のように本発明は、流れ作業により連続的に堆肥が生産
できる装置であるといった点も大きな特徴である。
【0065】本発明のコンポスト化する施設を利用して
実施したこの発酵工程における含水率の変化を観測して
みると、有機質物を投入時70〜80%あった含水率
は、1〜2日間位で60%以下に低下し、発酵が盛んに
なって進むにつれて低下してきた。15日目ごろ、2次
発酵のため水を補給した時には一次含水率が増加傾向を
しめしたがすぐ低下し、25日目のコンポストとして出
来上がったときには、25〜45%の含水率となってい
て、さらさらした感触になっている。
【0066】本発明によって出来た上記コンポストは、
完熟しているうえ、大変バランスよく肥料成分が含まれ
ており、品質が高いものとなっている。特殊肥料の分類
に該当する市販品と比較すると、好気性の放線菌と糸状
菌の菌体数が非常に多いのが目立ち、かつ堆肥特有の臭
いも殆ど感じられない製品であることが特徴にあげられ
る。また、炭素率が高く脱臭効果があるうえ土壌改良効
果も発揮し、肥料としての品質が高いものとなってい
る。また、更に、含水率が25〜45%と従来方法で堆
肥化されたものに比較して低く、手ざわりがさらさらし
ていて、取り扱い易いといった特性がある。
【0067】
【効果】本発明は、有機質物のうち、農業形の未利用有
機質物を発酵処理して特殊肥料化したり、有機性廃棄物
と称される有機質物と短期間で発酵処理して肥料化する
など、有機質物を高速発酵処理によりコンポスト化する
施設に関し、自然界のなかには、その地方や土地に適し
たバクテリア菌等の土壌微生物群が必ず生存していると
いう事実に着目し、当該土壌微生物類が繁殖する環境と
条件を整えさえすれば、その地方の風土や環境に適合し
た土壌微生物類が集まり、可及的に効率の良い発酵作用
により、前記有機質物を可及的迅速に分解腐熟してコン
ポスト化出来るとの考え方に立脚して、土壌微生物類が
繁殖し易い環境と条件を整えやすい施設であって、しか
もメンテナンスや維持管理が容易な施設を具現化したも
のである。即ち本発明の効果は次のようなものである。
【0068】第1に本発明は、発酵処理装置本体を投入
口から排出口まで発酵に必要な所定の距離がある発酵槽
を上階とし、下階にメンテナンス用空室を設けた二階建
てとした点に特徴がある。下階にメンテナンス用空室を
配設したので、発酵条件調整設備や機能性空間部空調設
備の一部を機能性空間部に装備することができ、当該発
酵条件調整設備や機能性空間部空調設備の調整操作や清
掃や部品の交換、故障の修理などのメンテナンスを簡単
にしかも確実に行うことができる。
【0069】特に、発酵槽内に貯溜された有機質物の自
然発酵が予定通りに進まない場合や、発酵分解作用が途
中で順調に進まなくなった場合にも、その原因の発見が
容易となり、しかも発酵槽内の発酵条件を部分的にでも
または全体的にでも急速に修正して再度発酵させたり、
その発酵作用を順調に進行させたりすることが容易に出
来る。
【0070】従来発酵作用状態の管理は、多様で難しく
長年の経験を積んだ熟練者でないと操作ができないとさ
れていた。特に発酵作用が途中で停止したような場合に
は、それを再度発酵を再開させ、活性化するような修復
作業は、なおさら困難とされている。しかし、その修復
作業の際の、発酵槽内における有機質の鼻をつく強烈な
腐臭と、どろどろした汚泥の不衛生さと、環境の悪さは
大変なもので、このような悪条件の作業を行ってくれる
人手を確保するのは極めて困難である。本発明の場合に
は、発酵処理をする空間とメンテナンスを行う空間が明
確に区分されているので、当該修復作業や調整作業を行
うことが容易となり、作業環境が著しく改善される効果
がある。
【0071】更に、本発明の下階に配設したメンテナン
ス用空室は、当該メンテナンス作業用に利用出来るだけ
でなく、各種機材や原料置場、製品化したコンポスト収
納倉庫、水分貯溜槽や浄化槽、作業員休憩室等、アイデ
ア次第で多様な利用が可能である。その結果、設備用地
の利用が立体的となって利用効率が良いものとなる。
【0072】第2に、本発明は発酵槽の底面部より少し
上がった位置に、通気性と通水性を有する中間底面部を
設け、その中間底面部の上部を発酵処理部となし、下部
を機能性空間部となして、発酵処理部に投入した有機質
物が上下両方において大気と接触し、有機質物を宙に浮
いたような状態で通気性と通水性を良好にし、上下方向
から効率よく発酵環境条件を調整できるようにした点に
特徴がある。
【0073】下部の機能性空間部には、発酵条件調整設
備と機能性空間部空調設備の一部を配設し、これら設備
と発酵処理中の有機質物とが分離されて直接接触しない
ので、本発明の施設における汚れ方や腐食の進行が、従
来に比較して非常に遅く耐用年数が長くなる。また、こ
れら施設の修理や部品の交換や清掃などメンテナンスが
容易となる。
【0074】更に、本発明に係る発酵槽の底面部には、
流下してきた水分を集水して排水し得るように構成した
排水装置が設けられているが、当該排水装置は、中間底
面部の機能性空間部を隔てた底面部にあるため、発酵処
理中の有機質物の余分な水分の水切りと排水が良好であ
る。
【0075】特徴の第3は、本発明の発酵槽には発酵条
件調整設備と機能性空間部空調設備を設け、この二重の
調整手段を操作駆使することにより発酵処理部内の環境
を直接的、間接的ならびに相乗的に調整できるようにし
た点に特徴がある。
【0076】前者の発酵条件調整設備は、中間底面部上
の発酵処理部内に貯溜されている有機質物中に、圧縮に
より適度(30〜40℃)に暖めた温度と、土壌微生物
を含んだ空気とを連続的に供給して水分調整を促し、急
速な土壌微生物による自然発酵を開始させるとともに、
発酵作用を開始した有機質物の土壌微生物に豊富な空気
と好ましい温度を安定的に与えてその盛んに発酵分解す
る活性状態を持続させ、可及的に速く成分の分解消化が
完了して、高速発酵処理を実現することがでる。
【0077】後者の機能性空間部空調設備は、機能性空
間部内に吸気と排気の出来る吸排気孔が開口する第2通
気管を配設し、基部には吸排気装置の付いた空調装置を
設けて、必要に応じて前記機能性空間部を負圧状態にし
たり加圧状態にしたり温度や湿度を調整して、発酵処理
部内に貯溜されている有機質物の発酵条件を中間底面部
を介して間接的に調整できるように構成したことであ
る。
【0078】機能性空間部を負圧状態にすれば、発酵処
理部内に貯溜されている有機質物中の水分と空気は下方
の機能性空間部の方に吸引され、機能性空間部を負圧状
態にすれば、同有機質物中の水分と空気は上方に押圧上
昇しようとする。
【0079】また、外気の温度や湿度等の気候風土の変
化や差異があって、開口する発酵槽上面から発酵条件に
好ましくない影響を受けるような場合、例えば気温が高
くて有機質物の温度が高くなり過ぎたり、気温が寒過ぎ
て有機質物の温度が低くなってしまうような場合、大気
の湿度が高過ぎたり、低過ぎたりして、有機質物の水分
調整に影響を与えるような場合には、空調装置の作動す
ることにより、機能性空間部の温度や湿度を調整して、
最適の発酵条件を維持して、盛んな発酵作用による分解
消化が進むようにコントロールすることができる。
【0080】第4は、本発明の発酵槽内には走行しなが
ら収納されている有機質物を切り替えつつ排出口方向へ
搬送する切り替え搬送装置を設けておき、切り替え作業
によって土壌微生物類の発酵分解活動を活性化しながら
連続移送し、同時に連続的に発酵条件調整設備と機能性
空間部空調設備を操作駆使して発酵処理をコントロール
しながら有機質物を短期間に効率よくコンポスト化する
ようにしたものである。
【0081】この為、投入口から毎日新たな発酵処理媒
体である有機質物を投入し、発酵条件をコントロールし
ながら迅速に発酵分解処理を進めながら移送し、連続的
に完熟したコンポストを製造出来るようにした施設であ
る。
【0082】本発明は、叙上のように、当該発酵槽には
発酵条件調整設備と機能性空間部空調設備と切り替え搬
送装置とを設け、有機質物の切り替え移送操作と、前記
二調整手段である設備を操作駆使して、発酵処理部内に
適度に暖めた温度と、土壌微生物を含んだ空気とを連続
的に供給したり、機能性空間部を負圧状態にしたり加圧
状態にしたり温度や湿度を調整したり、水分流下を促し
たりして、直接的、間接的に発酵処理部内の有機質物の
発酵条件を調整することができるようにしたので、発酵
活動の早期開始、盛んな発酵作用の維持、発酵作用の停
止の再開や修正などの調整操作が非常に容易である。従
って、発酵処理を行う土地の気候条件や土質条件、その
他の環境条件がいかようであっても、簡単に発酵条件を
調整して確実に有機質物を短期間にコンポスト化できる
施設である。
【0083】このように、本発明は、土壌有効微生物菌
類が繁殖し易い環境条件を調整し易い高性能な施設であ
ると共に、メンテナンスや維持管理が容易な使い易い施
設であり、廃棄物処理業の分野では有機性廃棄物を短期
発酵処理によりコンポスト化する施設として利用出来る
し、農業の分野では農業用未利用有機質物を発酵処理に
より特殊肥料化し、この特殊肥料やコンポストを施用し
て疲弊した農地の土壌改良の一環として地力の継持増進
に役立てることのできる施設として利用するのに好適で
ある。
【0084】更に、本発明は、家畜の多頭羽飼育農業者
から発生する家畜排泄物の処理が不適当な施設の畜産環
境保全を効率的に管理する手段として、公害の生じない
特殊肥料として再生処理に利用出来ることは、地球の輪
廻転生を促す理想的な畜産業の経営安定に寄与すること
が出来る施設である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 有機質物の高速発酵処理によりコンポスト化
する施設の全体を示す正面図である。
【図2】 同有機質物を発酵処理によりコンポスト化す
る施設の縦断側面図である。
【図3】 発酵処理装置本体の構成を説明する縦断正面
図である。
【図4】 発酵処理装置本体用ブロックを示す斜視図で
ある。
【図5】 中間底面部の一実施例を示す平面図である。
【図6】 中間底面部を構成する一実施例の部材の分解
図である。
【図7】 中間底面部の一実施例を示す断面説明図であ
る。
【図8】 空気吹出部を示す正面図である。
【図9】 空気吹出部を示す断面図である。
【符号の説明】 1:発酵堆肥化装置 5:メンテナンス用空室 4:発酵槽 4a:発酵処理部 9:通気管 9a:幹線通気管 14:第2通気管 10:送風機 11:発酵条件調整設備 12:機能性空間部空調設備 20:排水装置 21:貯溜水槽 22:切り替え搬送装置
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C05F 9/02 B09B 3/00 ZABA

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 投入口から排出口まで発酵に必要な所定
    の距離がある上階に発酵槽を有し、下階にメンテナンス
    用空室を有する二階建ての発酵堆肥化装置本体を設け、
    発酵槽の底面部より少し上がった位置には通気性を有す
    る中間底面部を形成してその中間底面部の下部に機能性
    空間部を形成しておき、発酵槽の底面部で機能性空間部
    には、ほぼ全面にわたって空気を吹き出す空気吹出部の
    散在する通気管が配設されており、当該通気管の基部に
    は圧縮装置の付いた送風機を設け、該送風機によって自
    然界の土壌微生物を含んだ新鮮な空気を取り込み、この
    空気を圧縮することにより所定の温度に前記圧縮装置で
    暖めたうえ、前記通気管を介して発酵槽の底面部に送
    り、その吹き出し孔から吹き出すようにして通気管の上
    部に堆積貯溜されている有機性廃棄物中に、適度に暖め
    た温度と、土壌微生物を含んだ空気とを連続的に供給し
    得るように構成する発酵条件調整設備と、その発酵槽の
    底面部には、吸気と排気の出来る吸排気孔が開口する第
    2通気管が配設されており、当該第2通気管の基部には
    吸排気装置が設けられて、前記機能性空間部を負圧状態
    にしたり加圧状態にしたり湿度を調整したりできる機能
    性空間部空調設備とを設け、発酵槽の上方に堆積貯溜さ
    れている有機性廃棄物の下から発酵条件調整設備を介し
    て全体に暖かい空気が吹き上げられるように構成して、
    平時より短時間に能率よく有機性廃棄物の水分が流下調
    整するとともに、機能性空間部空調設備の作動によっ
    て、機能性空間部を負圧状態にしたり加圧状態にしたり
    湿度を調整したり水分流下を促したりして発酵条件を補
    助調整するようにし、発酵槽の投入口近傍の底面部に
    は、流下してきた水分を集水して排水し得るように構成
    した排水装置を設け、発酵槽内には走行しながら収納さ
    れている有機性廃棄物を切り替えつつ排出口方向へ搬送
    する切り替え搬送装置とから構成される有機性廃棄物の
    発酵堆肥化装置。
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