JPH09188098A - 貝殻利用の容器およびその製造法 - Google Patents

貝殻利用の容器およびその製造法

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JPH09188098A
JPH09188098A JP2038396A JP2038396A JPH09188098A JP H09188098 A JPH09188098 A JP H09188098A JP 2038396 A JP2038396 A JP 2038396A JP 2038396 A JP2038396 A JP 2038396A JP H09188098 A JPH09188098 A JP H09188098A
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shell
base
container
pieces
glass
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Fumiyo Matsushima
冨美代 松島
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TOKAI GLASS KK
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TOKAI GLASS KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貝殻を表面の装飾として利用した容器におけ
る、貝殻の光沢や質感、さらに透明感を損なわず、しか
も強度および非透水性を高くする。 【解決手段】 湾曲面を有する容器の形態を備えたガラ
ス製のベース1と、そのベース1の外周の湾曲面に沿っ
て貼着される多数の薄い貝殻片2とからなる貝殻利用の
容器A。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は貝殻利用の容器およ
びその製造法に関する。さらに詳しくは、「カピス」な
どの薄くて比較的平坦な二枚貝の貝殻を利用した、装飾
性および実用性が高い貝殻利用の容器およびその効率的
な製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、二枚貝は、食用の肉を取った後、
貝殻は廃棄される。しかしカピス(Kapiz 、学名「Plac
una Placenta」)などの貝殻は真珠色の光沢があり、厚
さが1mm前後あるいはそれ以下と薄く、ある程度の透光
性を有するため、さらに材質の意外性が好まれて、装飾
皿や盆などの比較的強度を要しない、平坦で装飾性に富
む用具類に加工される。そして主としてフィリピンなど
の東南アジアや太平洋の島国の土産物として、販売され
ている。このような用具は、あらかじめ軟化剤に漬けて
おいた多数の貝殻片を、1枚ずつ、たとえば平板の表
面、あるいは皿状の型の表面に互いに一部が重なるよう
に貼り合せながら配列し、さらに乾燥させて固化した後
に型から外すことにより、貝殻だけを用いた形態に製造
される。なおランプシェードなどのように立体的にする
場合は、ステンドグラスのように、多数の平坦な貝殻片
をハンダや鉛のフレームなどで貼り合わせて用いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらの貝殻だ
けを用いた用具は、材料費が安価である反面、材質が脆
く、強度が低いため、装飾価値は高いが実用性に乏し
い。また立体的にするには極めて手間がかかる。そのた
め容器などに利用する場合は、皿状など、型から剥し易
い形状のものしか得ることができない。そこで本出願人
らは、素焼きの陶器(テラコッタ)の表面に貝殻を装飾
的に散らして張りつけることを試みた。しかしこのもの
は真珠色の光沢は維持させるものの、貝殻が陶器の中に
埋没し、その透明感や質感が失われてしまうという問題
がある。さらに貝殻だけで製造される皿状の用具や素焼
きの陶器に貝殻片を散らした容器は、基本的に水を透過
するので、花瓶などのような長期間水を入れた状態を継
続する容器としては使用できない。
【0004】本発明は貝殻の光沢や質感、さらに透明感
を損なうことなく、しかも透水性がない、貝殻利用の容
器を提供することを技術課題としている。さらに本発明
は、そのような貝殻利用の容器の効率的な製造法を提供
することを技術課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の貝殻利用の容器
は、容器の形態を備えたガラス製のベースと、そのベー
スの外周面に沿って貼着される多数の薄い貝殻片とから
なることを特徴としている。このものはベースがガラス
製であるので、貝殻片が裏面から補強され、充分な強度
を有する。しかもベースがガラス製であるので、全体と
しての透光性を自由に選択でき、かつ水を通さない。そ
のため、とくに花瓶ないし花器として好適に用いること
ができる。
【0006】さらにこのような貝殻利用の容器では、前
記ベースとして凸面状の湾曲表面を備えたものを用いる
場合でも、前記貝殻片として、あらかじめ軟化剤につけ
て軟化させ、ベースの表面に合わせて湾曲させ、硬化さ
せることにより、ベースとの一体化を図ることができ
る。
【0007】ベースを透明なガラス製とし、自然の形態
の貝殻片を、その一部が重なるように、かつベースの表
面の全体ないし所定の範囲を覆い尽くすように配置した
ものは、全体が真珠色の光沢および透光性を有するの
で、とくに好ましい。他方、ベースの表面の全体ないし
所定の範囲に着色層を設け、多角形状に切断した多数の
貝殻片を隙間を開けて配列したものは、貝殻部分の透光
性がほぼ均一になり、しかも隙間が目地のように現れて
ステンドグラス様の独特の風合いを醸すので、好まし
い。
【0008】本発明の貝殻利用の容器は、皿状に構成す
ることもできるが、むしろベースを壺状の形態とするこ
とにより、その真価が現れる。すなわちこのような壺状
の容器、いわゆる「立ち物」の形態は、強度的な面か
ら、従来の貝殻だけのものでは実際上は実現が困難であ
る。とくに首部で細くなっているものは、肩から抜くこ
とができないので、従来の製造法では製造できない。し
かし本発明の容器では、ガラスのベースが強度を維持す
るので、立ち物も実現可能である。また表面に貝殻片を
貼着していくだけであるから、首部があるものも容易に
製造することができる。
【0009】本発明の貝殻利用の容器の製造法は、薄い
貝殻片を低温で焼成し、軟化剤に漬けて軟化し、軟化状
態で容器の形態を備えたガラス製のベースの表面に貼着
し、その表面に転動体を押し当てながら転動させ、つい
で乾燥・固化させることを特徴としている。
【0010】肉を除いた後の貝殻は、一部ににおいが残
っていたり、貝殻の表面側に汚れが付着しているが、焼
成することによりこれらが除かれる。また長時間焼成す
ることにより、茶色に着色することもできる。そして固
くて脆い貝殻を軟化剤に漬けることにより軟化させるの
で、ベースの湾曲した表面にもなじみ易くなる。しかも
漂白作用を有する軟化剤を用いれば、きれいな白色にな
る。そしてボール状ないしローラ状の転動体を押し当て
ながら転がすと、貝殻片の一部が伸ばされて湾曲した表
面に充分になじむ。その状態で乾燥・固化させると、そ
の湾曲した状態のまま安定した固化形状が得られる。
【0011】ベースの全体ないし所定範囲を着色してお
き、軟化状態の貝殻を所定の形状に整形した上で、隣接
する貝殻片同士の間に隙間を開けながらベースの着色し
た部位に貼着してもよい。それにより周囲が欠けた貝殻
なども利用できる。その場合、貝殻片の乾燥・固化後
に、貝殻片の隙間に充填材を充填し、固化させるように
してもよい。それにより表面が平滑化される。
【0012】なお貝殻片を直接ベースに貼着させるほ
か、低温で焼成し、軟化剤に漬けて軟化した貝殻片を、
軟化状態で容器の形態を備えた型の表面に配列して互い
に貼着し、その表面に転動体を押し当てながら転動さ
せ、ついで乾燥・固化させて型から抜き、ついでガラス
製のベースに被せることもできる。この場合も全体とし
て強度が高く、水を漏らさない効果を有する。しかも貝
殻片だけで製造した部品を輸入し、国内で製造したガラ
ス製のベースに組みつけることができるので、ガラス製
のベースを輸出し、再度運び込む手間を省くことができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに図面を参照しながら本発明
の貝殻利用の容器およびその製造法を説明する。図1は
本発明の容器の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図、
図2は図1の容器の部分拡大断面図、図3は本発明の製
造法の一実施形態を示す工程図、図4は図3の製造法に
加える追加の加工工程を示す部分工程図、図5は本発明
の容器の他の実施形態を示す一部切り欠き斜視図、図6
は図5の容器の部分拡大断面図、図7は本発明の製造法
の他の実施形態を示す工程図、図8は本発明の製造法の
さらに他の実施形態を示す工程図である。
【0014】図1は本発明の容器を花瓶Aに適用したも
のであり、壺状の形態を備えている。この花瓶Aはガラ
ス製のベース1と、その表面全体に貼り着けた多数の貝
殻片2とから構成されている。貝殻片2同士は互いに一
部が重なって、全体として貝殻層3を構成している。
【0015】ベース1は上部に開口部5を有し、その開
口部5の周辺からしだいに細くなる首部6、そこから下
側に向かってしだいに拡がる肩部7、ほぼ円筒状で、下
側に向かってゆっくりと細くなっている胴部8、および
底部9からなる透明なガラス製の容器である。貝殻片2
は首部6、肩部7、胴部8および底部9の全体に貼着し
ている。しかし、底部9には必ずしも貝殻片2を貼着す
る必要はない。またベース1のガラスとして、透明度が
高く、強度が高い高級なガラスを使用する必要はなく、
使用済みの飲み物などのガラス瓶を溶融・再生した再生
ガラスなどで充分である。
【0016】貝殻片2はカピスと呼ばれる二枚貝の貝殻
で、食用のための肉を除いた廃棄物を利用することがで
きる。各貝殻片2は、二枚の貝殻片のうち比較的平面的
な方を使用するが、中央部の厚さ1mm前後、直径5cm前
後のほぼ円形のものが好ましい。しかしそれより大きい
ものを成型して使用してもよい。この貝は自然の状態で
は、ほぼ透明で、表裏とも真珠色の光沢を帯びており、
また固く、脆く、薄片に剥れ易い性質がある。そして後
述するように焼成することにより、透明性を失い、いく
ぶん茶色を帯びる。さらに軟化剤で処理すると、軟化剤
が貝殻に含浸され、貝殻が軟化し、いくぶん厚くなる。
また漂白作用を有する軟化剤を用いるのが好ましく、そ
の場合は、貝殻が軟化されると共に漂白されて、光沢の
ある白色になる。ただし本発明で用いる貝殻はカピスに
限らず、同様な性質を有するものであれば、他の貝殻も
使用することができる。
【0017】この貝殻片2は図2に示すように、中心部
が厚く、周辺に向かってしだいに薄くなっているので、
隣接する貝殻片2の周辺同士を重ねるように配列するこ
とにより貝殻層3の全体の厚さを均一化することがで
き、しかも剥れ易い周辺部をしっかりとさせることがで
きる。図1はそのように上側から順に重ねながら配列し
貼着していった鱗状の形状を示している。
【0018】上記の花瓶Aは、本発明の製造法の実施形
態である図2の手順により製造することができる。すな
わちまず貝殻材料10をトレー11などに配列し、オー
ブンなどで低温で2時間程の時間をかけて焼成する(工
程S1)。ここで高温で焼成すると、貝殻材料10が強
い褐色になるので、白色を維持するために、比較的低温
で、ゆっくりと時間をかけて焼成するのが好ましい。
【0019】ついで貝殻材料10を、軟化剤12を入れ
たボウルないしバケット13などに漬け込んだ上で、さ
らに乾燥しないようにシートで包んで数時間ないし数日
間放置し、軟化させる(工程S2)。上記の焼成および
軟化処理は、従来の貝殻だけで皿状の容器を製造する場
合の工程と同じでよい。軟化剤も従来使用されている漂
白剤、たとえば次亜塩素酸ソーダなどの塩素系漂白剤な
どのほか、無機酸、有機酸などの酸化剤を軟化剤として
使用してもよい。
【0020】ついでガラス製のベース1の表面に、軟化
した貝殻片2を順に貼着していく(工程S3)。この場
合、軟化した貝殻片2はベース1に対し接着剤を使用し
て貼り付けられ、また貝殻片2同士の重なり部にも適当
に接着剤を使用して接合される。接着剤は白色または透
明なものが好ましい。また貝殻片2を貼着するとき、ベ
ース1の湾曲面に沿わせるように押しつけながら行な
う。このようにベース1全体への貝殻片2の貼り付けが
完了した後、ボールないしローラなどの転動体を押し当
てながら表面上を転動させ、貝殻片2をその湾曲面に沿
うようになじませる。そのとき貝殻片2の周辺部には皺
が寄ることがあるが、周辺部自体がきわめて薄いので、
それほど目立たない。
【0021】貝殻片2を貼着し終った後、全体を乾燥さ
せ、貝殻層3を固化させる。さらに無色透明なコーティ
ング剤を表面に塗布することにより(工程S4)、貝殻
片2の剥離を防止すると共に、表面を平滑にするのが好
ましい。コーティング剤は光沢を有するものが好まし
い。これにより図1に示すような、花瓶Aが得られる。
なお、絵付けをする場合は、上記の通り貝殻片2を乾燥
した後、かつコーティング剤を塗布する前に行なう。
【0022】得られた花瓶Aは内部が透明なガラスで、
表面が薄い貝殻片2からなる貝殻層3であるので、ある
程度の透光性を有する白色の外観を呈する。さらに貝殻
の真珠光沢を維持しているので、ガラス容器、あるいは
陶磁器などとは異なる独特の風合いを備えている。そし
てこのような独特の外観を備えながら、高い強度を備え
た実用的なものとなる。そしてもちろん水を長期間入れ
ておいても漏れることがない。なお図1では各貝殻片2
の輪郭を明確に示しているが、実際には皺が寄った周辺
部が薄ぼやけた輪の模様のように見えるだけで、図1の
ような明確な輪郭は見えない。
【0023】なお上記の実施形態では、工程S4で無色
透明なコーティング剤を塗布しているが、もちろん有色
透明な塗料を塗布してもよく、場合により全体に、ある
いは部分的に不透明のコーティング剤を塗布してもよ
い。さらにコーティング剤を塗布する前に、絵の具など
で模様を描いてもよい。
【0024】図4は上記の製造法の一部を変更した実施
形態を示している。この製造法では、貝殻層3の乾燥・
固化の前、すなわち貝殻片2がまだ軟化している状態の
時に、所望の模様の凹所15ないし切り抜きを有する型
板16を貝殻層3の表面に押し当てて、貝殻層3に凸状
のレリーフ模様17を形成する(工程S5)。そしてそ
のレリーフ模様17の表面に、筆18などで着色を行う
(工程S6)。この場合、絵付けは貝殻片2が乾燥した
後に行い、コーティン剤の塗布は絵付け作業が完了した
後に行なう。前述の白一色の花瓶Aも充分に高級感があ
るが、このようにレリーフ模様17を設けると、透光性
と相俟って図柄が立体的に表面に現れるので、高級感が
一層増す。なお型板16に凸模様を設けておき、貝殻層
3に凹状のレリーフ模様を形成してもよく、さらに貝殻
層3の表面に凹溝を形成してその凹溝に飾りひもなどを
埋め込んでもよい。
【0025】図5に示す花瓶Bは有底円筒状のガラス製
のベース1と、その表面に設けた着色層20と、さらに
その表面に間隔を開けて配列した、多角形状の貝殻片2
1とからなる。各貝殻片21の間隔はほぼ同じ程度であ
り、いわば貝殻片をタイルと見立てた場合の目地22と
なっている。図6に示すように、その目地22には着色
層20の塗料と同じ塗料などからなる充填材22aが充
填されている。なお図示されていないが、底部23は図
1の実施形態と同様の貝殻片2を隙間なく貼り付けてい
る。しかしガラスのままであってもよく、多角形状の貝
殻片21と目地22の構成にしてもよい。充填材22a
として透明ないし透光性を有するものを使用してもよ
い。
【0026】ガラス製のベース1は図1の場合と同じも
のでよいが、全体に着色層20を設けるので、さらに品
質の低いものも使用できる。着色層20を構成する塗料
は透光性を有するものであってもよく、また不透明のも
のでもよい。透光性を有する場合は、ステンドグラスの
ような効果を奏する。不透明な場合は、ガラスのベース
はほとんど単なる構造材として利用するだけであり、一
層低品質のものを利用し得る。なお透明なガラス製のベ
ース1に着色層20を設けるのに代えて、ガラス自体を
着色した着色ガラス製のベースを採用することもでき
る。その場合は価格が高くなるが、高級感を演出でき
る。
【0027】貝殻片21は自然の状態のカピスなどの貝
殻の周辺部を直線状に切り欠いたものであり、この実施
形態ではほぼ正方形のもの21aと正三角形状のもの2
1bの2種類を使用している。ただし他の形状、とくに
多角形などの形状に切り欠いてもよい。貝殻をこのよう
に切り欠くと、薄い周辺部を除くことができる。ただし
その切り欠いた縁部分にはある程度の厚さが出てくるの
で、目地22の部分が溝になる。そのため充填材22a
を充填するのが好ましく、それにより表面を円滑にする
ことができると共に、貝殻片21を確実に保持させるこ
とができる。なおステンドグラスの効果を得たい場合
や、着色ガラス製のベースを採用する場合は、目地をそ
のままにし、充填材22aを充填しないか、あるいは前
述の透明ないし透光性を有する充填材を用いる。
【0028】上記の花瓶Bは、図7に示すように、まず
ガラス製のベース1に塗装スプレー24などを用いて着
色塗料などを吹きつけ、着色層20を形成する(工程S
11)。これと平行して図3のカピスを焼成し、軟化さ
せる工程(工程S1、S2)を経て軟化させた貝殻材料
10を製造し、その周辺部を切り取り、多角形状の貝殻
片21a、21bを製造しておく(工程S12)。つい
で着色層20を設けたベース1の表面に、貝殻片21を
貼り付ける(工程S13)。このときもボールなどの転
動体を押し当てながら転がして、貝殻片21をベース1
の湾曲面になじませるのが好ましい。さらに筆25など
で目地22に充填剤22aを塗布し(工程S14)、全
体を乾燥させて貝殻片21を乾燥・固化させることによ
り、図5の花瓶Bが得られる。
【0029】このようにして得られる花瓶Bも、前述の
図1の花瓶Aと同じように、安価な材料で製造すること
ができるにも関わらず、強度が高く、装飾効果が優れて
おり、しかも水を入れても漏れることがない。
【0030】上記の製造法の実施形態では、いずれもベ
ース1の上に1枚ずつ貝殻片を貼着しているが、図8に
示すように、貝殻層3を別個に独立して製造しておき、
その後、ガラス製のベース1に貼り付けるか、あるいは
組み合わせるようにしてもよい。すなわち図8の製造法
では、使用しようとするベース1と同形状の型30の表
面に軟化させたカピスなどの貝殻片2を1枚ずつ配列し
ながら、その周辺部分同士を接着剤により互いに貼り合
せ(工程S21)、乾燥・固化した後、得られた貝殻層
のみからなるコップ状ないしリング状の成形物31を型
30から抜き取る(工程S22)。そしてガラス製のベ
ース1の胴部32に接着剤を塗布した上で、その成形物
31を嵌め込み、一体化させる(工程S23)。このよ
うにすると、全体を貝殻で覆うことはできないが、上部
がガラスのままで、下部が貝殻片で覆われた花瓶Cが得
られる。なお上方に向かって単調に拡がる首部のない花
瓶や、下方に向かって単調に拡がる花瓶を製造する場合
は、ほぼ全体を貝殻片で覆うことができる。
【0031】成形物31は底部を有するコップ状のもの
でもよく、また底部を有しないリング状のものでもよ
い。しかし図8のようにテーパー状の胴部32に成形物
31を被せる場合は、底部を有しない方がぴったりと密
着するので好ましい。また図5のベース1のように、円
筒状の胴部を有するものの場合は、成形物31の位置が
決まりにくいので、底部を有するコップ状のものが好ま
しい。なお通常は成形物31は接着剤でベース1に貼り
付けるが、単に嵌め込むだけでもよい。その場合は竹籠
の中にガラス瓶を入れたものと同等の趣がある。
【0032】上記の実施形態では胴部32に成形物31
を嵌め込んでいるが、上側から肩部33にリング状の成
形物を嵌め込み、接着するようにしてもよい。また胴部
32および肩部33の両方に設けてもよい。
【0033】上記のようにあらかじめ貝殻層のみからな
る成形物31を製造し、しかる後にベースに嵌め込むよ
うにする製造法によれば、貝殻層だけで製造した成形品
31を輸入し、国内で製造したガラス製のベースに組み
つけることができる。そのため、ガラス製のベースを輸
出してカピスなどを貼り付けた後、再度運び込む場合に
比して、ベースの輸出および再輸入の手間を省くことが
できる。
【0034】以上の実施形態はいずれも本発明を花瓶に
適用する場合を示しているが、本発明の容器および製造
法は、花瓶のほか、食器類、飾り壺、水盤状の花器な
ど、装飾性を備えた種々の容器に適用することができ
る。
【0035】
【発明の効果】本発明の貝殻利用の容器は、その表面が
貝殻の光沢や質感、さらに透明感を有し、しかも強度お
よび非透水性が高い。したがって実用性および装飾性を
兼ね備えた容器として、たとえば花瓶などに使用し得
る。本発明の製造法は、上記の貝殻利用の容器を効率的
に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の容器の一実施形態を示す一部切り欠
き斜視図である。
【図2】 図1の容器の部分拡大断面図である。
【図3】 本発明の製造法の一実施形態を示す工程図で
ある。
【図4】 図3の製造法に加える追加の加工工程を示す
部分工程図である。
【図5】 本発明の容器の他の実施形態を示す一部切り
欠き斜視図である。
【図6】 図5の容器の部分拡大断面図である。
【図7】 本発明の製造法の他の実施形態を示す工程図
である。
【図8】 本発明の製造法のさらに他の実施形態を示す
工程図である。
【符号の説明】
A 花瓶 1 ベース 2 貝殻片 3 貝殻層 B 花瓶 20 着色層 21 貝殻片 22 目地 22a 充填材 C 花瓶

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器の形態を備えたガラス製のベース
    と、そのベースの外周面に沿って貼着される多数の薄い
    貝殻片とからなる、貝殻利用の容器。
  2. 【請求項2】 前記ベースが凸面状の湾曲表面を備えて
    おり、前記貝殻片が、あらかじめ軟化剤に漬けて軟化
    し、ベースの表面に合わせて湾曲させ、硬化させたもの
    である請求項1記載の貝殻利用の容器。
  3. 【請求項3】 前記ベースが透明であり、自然の形態の
    貝殻片を、その一部が重なるように、かつベースの表面
    の全体ないし所定の範囲を覆い尽くすように配置した請
    求項1記載の貝殻利用の容器。
  4. 【請求項4】 前記ベースの全体ないし所定の範囲が着
    色されており、所定の形状に整形した多数の貝殻片が隙
    間を開けて配列されている請求項1記載の貝殻利用の容
    器。
  5. 【請求項5】 前記ベースが壺状の形態を備えている請
    求項1、2、3または4記載の貝殻利用の容器。
  6. 【請求項6】 薄い貝殻を焼成し、軟化剤に漬けて軟化
    し、軟化状態で容器の形態を備えたガラス製のベースの
    表面に貼着し、その表面に転動体を押し当てながら転動
    させ、ついで乾燥・固化させる、貝殻利用の容器の製造
    法。
  7. 【請求項7】 前記ベースの全体ないし所定範囲を着色
    しておき、前記軟化状態の貝殻を所定の形状に整形した
    上で、隣接する貝殻片同士の間に隙間を開けながらベー
    スの着色した部位に貼着する、請求項6記載の貝殻利用
    の容器の製造法。
  8. 【請求項8】 貝殻片の乾燥・固化後に、貝殻片の隙間
    に充填材を充填し、固化させる請求項7記載の貝殻利用
    の容器の製造法。
  9. 【請求項9】 薄い貝殻片を低温で焼成し、軟化剤に漬
    けて軟化し、軟化状態で容器の形態を備えた型の表面に
    配列して互いに貼り合わせ、その表面に転動体を押し当
    てながら転動させ、ついで乾燥・固化させて型から抜
    き、ついでガラス製のベースに被せる、貝殻利用の容器
    の製造法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010029277A (ja) * 2008-07-25 2010-02-12 Atsushi Miyaoka 海葬用の遺骨収納体
CN102616071A (zh) * 2012-03-30 2012-08-01 尹国荣 一种用贝壳加工装饰薄片材的方法
RU2498756C1 (ru) * 2012-06-13 2013-11-20 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Амурский государственный университет" Ваза
US10723501B1 (en) 2018-12-18 2020-07-28 Alexis Davidson Decorative pet food container assembly

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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