JPH09186054A - 電解コンデンサ用アルミニウム陰極箔 - Google Patents

電解コンデンサ用アルミニウム陰極箔

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JPH09186054A
JPH09186054A JP1592597A JP1592597A JPH09186054A JP H09186054 A JPH09186054 A JP H09186054A JP 1592597 A JP1592597 A JP 1592597A JP 1592597 A JP1592597 A JP 1592597A JP H09186054 A JPH09186054 A JP H09186054A
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capacitance
electrolytic capacitor
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豊 横山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度アルミニウムの表面に導電性で、しか
も電解コンデンサとして使用した場合に特性上安定度の
高い薄膜を形成し、単位面積あたりの静電容量が大き
く、しかも信頼性の高い電解コンデンサ用電極を得る。 【解決手段】 電解コンデンサ用アルミニウム陰極箔に
おいて、高純度アルミニウム表面に、厚さ0.02μmない
し0.10μm未満の窒化チタン層を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は電解コンデンサに
用いられるアルミニウム電極箔であって、特に陰極に用
いられるアルミニウム陰極箔に関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、小型、大容量、安価
で整流出力の平滑用などの用途に優れた特性を示し、各
種の電気・電子機器の重要な構成要素の一つである。
【0003】電解コンデンサは、一般にアルミニウム等
の絶縁性酸化皮膜が形成され得る、いわゆる弁金属を陽
極に用い、前記絶縁性酸化皮膜を誘電体層として、集電
用の陰極電極との間にセパレータに保持された電解液を
介在させてコンデンサ素子を作成し、これを密閉容器内
に収納して構成される。
【0004】陽極材料は前述したように、アルミニウム
をはじめ、タンタル、ニオブ、チタンなどが使用され
る。また集電のための陰極電極材料には、陽極材料と同
種の金属が用いられる。
【0005】ところが、弁金属は一般に自然酸化による
酸化皮膜層が表面に形成される。この傾向はアルミニウ
ムにおいて特に顕著である。そしてこの自然酸化皮膜は
極めて薄い絶縁層のため、陰極側にも静電容量が形成さ
れ、電解コンデンサは、陽極側の静電容量および陰極側
の静電容量が直列に接続された合成容量となり、所望の
静電容量が得られなくなる。また所望の静電容量を得る
ため、陽極側の静電容量を必要以上に大きくする必要が
ある。 この影響を少なくするためには、陽極側の静電
容量値に比べ陰極側の静電容量値を著しく高くすれば、
陰極側の静電容量による影響は殆ど無視できることにな
るが、低電圧用の電解コンデンサの陽極の単位面積あた
りの静電容量は相当に高い水準にあり、これをより高め
るのは困難で、合成容量による静電容量値の低下は免れ
得ない。
【0006】そこで陰極側の静電容量値をより高くする
ために、陰極電極表面をエッチング処理して表面積を拡
大する方法がある。しかしこの表面積を拡大する技術
は、現在では高度に洗練されているが、この技術のみに
よって電解コンデンサの静電容量を飛躍的に増加させる
のは次第に困難になりつつある。
【0007】むしろ陰極との合成容量による静電容量の
低下の問題の解決のためには、陰極の表面部に絶縁性の
酸化皮膜を形成しない導電性の金属からなる薄膜で被覆
することによって、合成容量による静電容量値の低下を
防止することが考えられる。
【0008】このようなものとして、例えば特開昭60-1
826 号公報のように、各種の導電性金属を真空蒸着する
ものが知られている。また薄膜を形成するためには、前
記の真空蒸着によるもののほか、イオンプレーティング
法、スパッタリング法あるいはプラズマCVD法などの
ような各種の物理的方法がある。
【0009】しかしながら、導電性金属のうち、金、白
金などのいわゆる貴金属については、薬品との反応が殆
どなく、電解コンデンサとして長期間使用しても良好な
導電性を保ち得る。しかしながらこの種の貴金属は、安
価で多量の生産が要求される電解コンデンサには、経済
的理由から採用されるに到っていない。
【0010】また他の金属は、電解液の存在化で化学反
応が起き、表面の状態が経時変化するために、腐食事故
の発生や、電解コンデンサの特性が安定しないという欠
点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、高純度ア
ルミニウムの表面に導電性で、しかも電解コンデンサと
して使用した場合に特性上安定度の高い薄膜を形成し、
単位面積あたりの静電容量が大きく、しかも信頼性の高
い電解コンデンサ用電極を得ることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、窒化チタン
がこの発明の目的に適合した薄膜を形成することに着目
したもので、この発明の電解コンデンサ用陰極箔は、高
純度アルミニウム表面に、厚さ0.02μmないし0.
10μm未満の窒化チタン層を形成したことを特徴とし
ている。
【0013】すなわちこの発明は、チタンの窒化物の薄
膜によりアルミニウム陰極箔表面を被覆することによ
り、この発明の目的を達成している。
【0014】この発明によれば、被処理材料としては、
通常の電解コンデンサの陰極に用いる高純度で箔状ある
いは板状のアルミニウムを用いることができる。このア
ルミニウム表面は、あらかじめ脱脂処理等にをより表面
を清浄化しておく。またアルミニウム表面はエッチング
処理を施しても良いし、プレーンのままであっても使用
可能である。ただエッチングの際はエッチングによる凹
凸の細かさの範囲を窒化チタン層を形成する手段によっ
て選択する必要がある場合がある。
【0015】形成される窒化チタン層の厚さは、少なく
ともアルミニウム表面を均一に覆われる必要がある。ま
た厚さが必要以上になると、被覆処理に時間がかかるこ
となどから、0.02μmないし0.10μm未満が良
好な結果が得られることが判明した。
【0016】窒化チタン薄膜を形成するための手段とし
ては、各種の手段が適用可能であるが、一般には薄膜ゆ
え、厚さや状態の制御が容易な物理的手段によるドライ
プロセスによるのが好適である。このような手段として
は、真空蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティング、プラズマCVD法などが例示でき
る。
【0017】窒化チタンは、比抵抗値が22ないし130 μ
Ω・cmと低い抵抗値を有する硬質な化合物で、切削工
具のチップ表面の保護や時計用ケースの被覆などの用途
が知られている。
【0018】また窒化チタンはアルミニウムとの反応性
も良好なことから、アルミニウム表面に低比抵抗の緻密
な薄膜が形成される。
【0019】この結果、アルミニウム電極は表面に形成
された高容量の極めて薄い自然酸化皮膜か、あるいは特
定の微小部分については自然酸化皮膜が殆ど形成されな
い電導度の高い金属アルミニウム表面がそのまま、窒化
チタンによって安定して保護されることになり、電極全
体として高い静電容量値が得られるものと思われる。
【0020】また窒化チタンは、電解液との反応が起き
にくく、電極の表面状態を長期にわたって安定して維持
させる。
【0021】
【実施例】以下実施例に基づいて、この発明を更に詳細
に説明する。この発明の窒化チタン薄膜を表面に形成し
た高純度アルミニウム被処理材を以下の実施例1および
2のごとく作成した。また比較例として、窒化物でない
金属チタン層を形成したもの、従来から用いられている
高純度アルミニウム表面をエッチング処理のみ行ったも
のを比較例1ないし3とした。
【0022】(実施例1)高純度のアルミニウム箔(純
度99.95%、厚さ100μm) を幅50mm、長さ
100mmに切断したものを被処理材として使用し、窒
素ガスを含む全圧が5×10-3Torrのチャンバ中
で、陰極アーク蒸着法を用いて蒸着を行った。蒸着条件
は、被処理材を200℃に加熱し、蒸発距離200mm
でアーク放電電圧100V、アーク電流100Aで蒸着
速度を0.01μm/分で2分間蒸着を行った。この結
果表面に、膜厚0.02μmの窒化チタン層が形成され
た。
【0023】(実施例2)実施例1と同じ高純度アルミ
ニウムに、イオンプレーティング法によって、窒化チタ
ン薄膜を形成した。形成条件は、チャンバ中の窒素ガス
を含む全圧が、1×10-2Torrの雰囲気で、被処理
材と蒸着源であるチタン電極間に1200Vを印加して
20分間イオンプレーティングを行った。この結果、表
面に、膜厚0.02μmの窒化チタン層が形成された。
【0024】(比較例1)被処理材には実施例と同じも
のを用い、これを常温状態で、2×10-3Torrのアルゴ
ンガス雰囲気のチャンバ中で実施例1と同じ陰極アーク
蒸着法によって金属チタン薄膜を形成した。蒸着条件
は、アーク放電電圧100V、アーク電流100Aで蒸
着温度を0.02μm/分で10分間蒸着を行った。こ
の結果、膜厚0.2μmの金属チタン蒸着膜が形成され
た。
【0025】(比較例2)実施例2と同じイオンプレー
ティング法によって金属チタンの薄膜を形成した。被処
理材は、実施例1と同じものを用いた。薄膜形成条件
は、2×10-2Torrのアルゴンガス雰囲気中で、被処理
材、蒸発源間に1200Vの電圧を印加して18分間蒸
着を行った。この結果、膜厚0.2μmの金属チタン膜
が形成された。
【0026】(比較例3)実施例と同じ素材からなる高
純度アルミニウム材表面を交流電解法によってエッチン
グ処理したものを準備した。
【0027】これら、各実施例および比較例の被処理材
について、各々の単位面積あたりの静電容量値を測定し
たところ、表1に示す結果が得られた。
【0028】
【表1】
【0029】この結果から明らかなように、この発明の
実施例のものは、比較のものに比べていずれも単位面積
あたりの静電容量値が高いことがわかる。
【0030】次に、形成された薄膜の安定性を調べるた
めに、これら各被処理材を電解コンデンサの陰極に用い
て電解コンデンサを作成し、寿命試験を行って特性の変
化を調べた。
【0031】作成した電解コンデンサは、リード線同一
方向型の電解コンデンサで、箔状の電極をセパレータと
共に巻回した素子に電解液を含浸し、金属ケース内に収
納し、開口部を封口ゴムで密閉したものである。電解コ
ンデンサを構成する材料は、陰極箔として上記の各実施
例ならびに比較例のものを用いた以外は全て共通のもの
を使用した。また組立方法についても全て同じである。
【0032】電解コンデンサの定格電圧は6.3V、定
格容量が47μF、外形寸法が直径5mm、長さ7mm
である。使用した電解液の組成は、エチレングリコール
78重量%、アジピン酸アンモニウム10重量%、水1
2重量%の組成からなるもので、通常用いられる電解液
に比べて、水の含有量を多くしてある。これは、水によ
る電極箔の水和劣化の発生が顕著になるようにしたため
である。
【0033】この電解コンデンサに定格電圧を印加し、
110℃で500時間の寿命試験を行った後の静電容量
値と、初期の静電容量値との変化率を調べた。この結果
を第2表に示す。
【0034】
【表2】
【0035】この結果からわかるように、この発明のア
ルミニウム電極を用いた電解コンデンサは、初期値にお
いても、高い静電容量値が得られるとともに、高温負荷
寿命試験を行った後も、電極表面に水和劣化等の特性劣
化が生じないので、電気特性に変動が少なく、長期にわ
たって安定した特性が維持できることがわかる。
【0036】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、電
解コンデンサ用の電極として、単位面積あたりの静電容
量を高めることができるので、特に低圧領域において小
型大容量の電解コンデンサが得られる。
【0037】また電極表面が窒化チタンによって保護さ
れ、水和劣化等の電極表面の劣化が防止されるので、長
期にわたって安定した特性が維持できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高純度アルミニウム表面に、厚さ0.02μ
    mないし0.10μm未満の窒化チタン層を形成した電解コ
    ンデンサ用アルミニウム陰極箔。
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