JPH09183729A - 凍結乾燥ウラシルを含有する抗腫瘍医薬組成物 - Google Patents

凍結乾燥ウラシルを含有する抗腫瘍医薬組成物

Info

Publication number
JPH09183729A
JPH09183729A JP35376695A JP35376695A JPH09183729A JP H09183729 A JPH09183729 A JP H09183729A JP 35376695 A JP35376695 A JP 35376695A JP 35376695 A JP35376695 A JP 35376695A JP H09183729 A JPH09183729 A JP H09183729A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
uracil
solution
antitumor
present
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35376695A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaru Otsuka
優 大塚
Hiroshi Ueno
洋 上野
Mayumi Yanai
真弓 矢内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meiji Dairies Corp
Original Assignee
Meiji Milk Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meiji Milk Products Co Ltd filed Critical Meiji Milk Products Co Ltd
Priority to JP35376695A priority Critical patent/JPH09183729A/ja
Publication of JPH09183729A publication Critical patent/JPH09183729A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗腫瘍活性を有するフッ化ピリミジン系化合
物と抗腫瘍活性増強作用を有するウラシルとの配合剤の
直腸内での吸収性を改善し、直腸投与可能な医薬組成物
を提供する。 【解決手段】 抗腫瘍活性を有するフッ化ピリミジン系
化合物とウラシルまたはその塩の溶液の凍結乾燥物とを
含有することを特徴とする、直腸投与可能な医薬組成物
を提供した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗腫瘍活性を有するフ
ッ化ピリミジン系化合物と凍結乾燥ウラシルとを含有す
る抗腫瘍投与組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】フルオロウラシル(5-fluorouracil;5-
FU)は、1957年にハイデルベンガー(Heiderbenger)ら
により最初に合成されて以来(Dushisky, R., Pleven,
E., Heidelberger, J. Am. Chem. Soc., 79, 4559-456
0, 1957)、消化器癌など多くの固形癌の基本薬剤とし
て現在まで広く臨床で使用されてきている。その作用機
序は、 生体内でリボシル化及びリン酸化を受け、5-フルオ
ロ-2'-デオキシウリジン-5'-リン酸に変換され、この代
謝産物がデオキシウリジル酸をチミジル酸に転換するチ
ミジル酸シンターゼを阻害することによりDNA合成を阻
害する フルオロウリジル酸(FUMP)に変換され、FUMPが容
易にRNAに取込まれRNA機能を障害する ことによるといわれている。5-FUは強力な抗腫瘍効果が
ある半面、骨髄機能抑制などの重篤な副作用があり、投
与量に制限を受けた。
【0003】これに対し、1966年ソビエトのヒラー(Hi
ller)らは、5-FUのN-1位にテトラヒドロフランを結合
させた化合物テガフール[1-(2-テトラヒドロフリル)-5
-フルオロウラシル、1-(2-tetrahydrofuryl)-5-fluorou
racil、tegafur;FT]を合成し[Hiller, S. A.: Dokl,
Akad. Nauk. SSSR, 176(2) 332-335, 1967]、ソビエ
トと日本で臨床応用が試みられた。この結果FTは5-FUに
匹敵する抗腫瘍効果を有し、しかも5-FUに比較して毒性
の少ない化合物であることが明らかにされた。
【0004】その後の研究で、FTは肝のミクロソームの
薬物代謝酵素であるP-450により5-FUに転換され、その5
-FUが抗腫瘍効果を持つ、5-FUのプロドラッグまたはマ
スクドコンパウンド(masked-compound)であることが
明らかにされた(Toide, H.,Akiyoshi, A., Manato,
Y., Okuda, H., Fujii, S., Gann, 68, 553-560, 197
7)。すなわち、FTは生体内で長時間にわたって5-FUに
転換され、血中及び組織中の濃度を長時間維持し、5-FU
に比べ副作用が極めて低く、経静脈、経口、経直腸投与
による長期連用が可能なことから、注射剤、経口薬及び
坐薬が開発された。
【0005】しかし、その直接的な腫瘍縮小効果は緩徐
なため、より活性の強い化合物が探求された。その結
果、FTに比し、5-FUの放出速度の優れた5-FUの誘導体が
開発された。しかし、これらの誘導体のいくつかは、血
中5-FUの濃度が高濃度となったためか毒性が増大してし
まった。
【0006】このようなことから、より選択毒性の高い
もの、すなわち、5-FUの血中濃度を上げることなく、腫
瘍内濃度を特異的に上昇させる薬剤として藤井らにより
FTとウラシルの配合剤UFTが開発された(Fujii, S. et
al.: Gann, 69(6): 763-772,1978)。UFTは各種5-FU、FT
及びその他の抗腫瘍薬の中で、重篤な副作用の比較的少
ない優れた抗腫瘍薬であり、経口剤として現在臨床に広
く使用されている。
【0007】しかし、この優れた抗腫瘍効果を有するUF
Tも、経口投与できない癌患者等に適用できる直腸投与
剤としては、いまだ開発されるに至っていない。その一
番の原因はウラシルの溶解性が低く[冷水にはほとんど
不溶、25℃の水に対し0.358g/100g、メルクインデック
ス(MERCK INDEX)による]、直腸に投与した際十分な
吸収が得られないためと考えられており、多くの研究者
によりウラシルの溶解性と生物学的利用性(bioavailab
ility)に関する研究がなされてきた。
【0008】また、FTの臨床用量に対するウラシルの至
適配合比が、動物及びヒトで検討された結果1:4(F
T:ウラシルのモル比)が至適配合比として決定された
(田口鐵男他:癌と化学療法5(6):1167-1172, 1978; K
imura, K. et al.: Gastroenterologia Japonica, 15
(4): 324-329, 1980)。しかし、ウラシルの至適配合比
を更に低下させることができれば、従来のものに比較し
て、血中の5-FU濃度を同じにするためのウラシルの配合
量を少なくすることができるが、いまだにこのような検
討はなされていない。
【0009】ウラシルの直腸吸収性を促進した例とし
て、ウラシルをニコチンアミド或いは尿素と共に粉砕
し、これにポリオキシエチレンセチルエーテル或いはカ
プリン酸ナトリウムなどの吸収促進剤を添加したものを
ビーグル犬に直腸投与すると、血中濃度がそれぞれ10.9
倍及び14.5倍に上昇したとの報告がある(Takeichi, Y.
et al: Chem. Pharm. Bull. 38(9): 2541-2551, 199
0)。
【0010】また、ウラシルとFTの配合剤に、リン酸及
び炭酸の群から選ばれる酸のアルカリ金属塩もしくはア
ルカリ土類金属塩を1つ以上含有せしめた直腸投与用製
剤が報告されている(特公平1-36442号公報)。
【0011】また、水に難溶性のアンホテリシンB(AM
B)とグリチルリチンのカリウム塩(dipotassium glyrr
hiznate; GLYK)との混合物を凍結乾燥したものは、ウ
サギを用いた直腸投与試験において、AMBのみを凍結乾
燥したものと比較して35倍の血中薬物濃度下面積(area
under the curve; AUC)を示したとの報告がある(Tan
aka, M. et al.: Chem. Pharm. Bull. 40(6) 1559-156
2, 1992)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抗腫瘍活性
を有するフッ化ピリミジン系化合物とウラシルとを有効
成分とする抗腫瘍医薬組成物において、該組成物中のウ
ラシルの吸収性を向上させ、それによって、フッ化ピリ
ミジン系化合物の臨床投与量に対するウラシルの至適配
合比を低下させた抗腫瘍医薬組成物を提供することを目
的とする。また、本発明は、経直腸投与を可能とするフ
ッ化ピリミジン系化合物とウラシルとからなる抗腫瘍直
腸投与組成物を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ウラシル
の均一な溶液を凍結し、高真空下で直接溶媒を昇華させ
ることによりウラシルの水溶解性が増し、直腸からの吸
収性が向上したウラシルが得られ、該凍結乾燥ウラシル
とフッ化ピリミジン系化合物との組成物は生体内(in v
ivo)において良好な吸収性を示すことを見出し本発明
を完成した。
【0014】すなわち、本発明は抗腫瘍活性を有するフ
ッ化ピリミジン系化合物とウラシル溶液の凍結乾燥物
(凍結乾燥ウラシル)とを含有することを特徴とする抗
腫瘍医薬組成物に関する。
【0015】具体的には、本発明は以下のものを含む。 (1) 抗腫瘍活性を有するフッ化ピリミジン系化合物
とウラシルの溶液の凍結乾燥物とを含有することを特徴
とする抗腫瘍医薬組成物。 (2) ウラシルの溶液が熱飽和溶液である(1)の抗
腫瘍医薬組成物。 (3) フッ化ピリミジン系化合物がテガフール(1-(2
-テトラヒドロフリル)-5-フルオロウラシル)である
(1)又は(2)の抗腫瘍医薬組成物。 (4) 直腸投与組成物である(1)、(2)又は
(3)のいずれかに記載の抗腫瘍医薬組成物。 以下に本発明を詳細に説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】ウラシルはピリミジン塩基の一つ
で核酸(主としてRNA)の構成成分である。分子式はC4H
4N2O2で示され、分子量112.09、融点335℃の白色結晶性
粉末で、冷水にわずかに溶け、熱水及び希アルカリに可
溶、アルコール及びエーテルに難溶である。本発明者ら
が測定した、ウラシルの水に対する溶解度曲線を図1に
示す。
【0017】本発明で使用されるウラシル溶液の溶媒と
しては水が好ましいが、凍結乾燥工程において実際に用
いられる温度範囲内で固化し、減圧下で昇華する溶媒で
あれば、いずれの溶媒も用いうる。用いるウラシル水溶
液の温度及び濃度は、凍結乾燥工程における凍結過程及
び乾燥過程の効率を考慮すると、ウラシルの溶解濃度が
大きい約70℃以上(図1参照)の熱水飽和溶液が好まし
い。参考までに、70℃及び80℃におけるウラシルの飽和
溶液濃度は、図1からそれぞれ約14.7mg/ml(1.47%)及
び約21.0mg/ml(2.1%)である。なお、本発明における
ウラシルには、薬剤学的に許容される塩の形態をとって
いているものも含まれる。
【0018】凍結乾燥を行うには、一般的に、常圧下で
冷却凍結する凍結過程と、溶質に拘束されない自由水を
減圧下で昇華乾燥する一次乾燥過程と、溶質固体の吸着
水や結晶水を除去する二次乾燥過程の3つの単位操作が
必要とされている。
【0019】本発明の凍結乾燥ウラシルは、凍結過程に
おいてウラシル溶液を急速に凍結することにより、溶液
中のウラシルを非晶質のまま固化することを特徴として
おり、凍結は瞬間的に行われることが好ましい。例え
ば、ウラシルの熱飽和溶液をドライアイス−アセトン又
はエタノール、或いは液体窒素等の冷却溶媒中に浸した
容器の中に注ぎ、該容器を冷却溶媒中でゆっくり回転さ
せながら溶液が内壁に凍り付くように凍らせていくこと
により実施することもできる。
【0020】続いて行われる一次乾燥過程及び二次乾燥
過程は、医薬品の凍結乾燥に用いられる当業者に公知の
方法、すなわち、減圧、加熱(昇華熱の補給)及び溶媒
の昇華等によって実施できる。このようにして得られた
本発明の凍結乾燥ウラシルは、一般には白色非晶質性の
微粉末で、その粉末のX線解析の測定結果の一例を図2
に示す。
【0021】本発明に用いられるフッ化ピリミジン系化
合物には、5-FUを基本骨格とし、生体内において5-FUに
変換される化合物が包含され、例えば、現在臨床応用さ
れているFT、カルモフール、ドキシフルリジン、フロク
スウリジン等や現在開発中のTT-62、FO-152、FTC-092、
BOF-A1などが含まれる。
【0022】本発明の組成物を直腸投与する場合の剤型
としては、常温で固体、体温で溶解する通常の坐剤でも
よく、また液状の基材に分散させた軟膏状或いは液状の
ものを例えばソフトカプセル、或いは直腸投与用注入器
等を用いて投与する剤型等でもよい。
【0023】本発明に使用される薬剤の基剤としては、
薬剤学的に許容される当業者に公知のものが使用可能で
あり、例えば、親水性又は親油性の基剤の何れでもよ
い。親水性基剤としては、各種分子量のマクロゴール
(ポリエチレングリコール)、好ましくは分子量300〜
2,000のマクロゴール、グリセロゼラチン、ゲル基剤等
が挙げられ、親油性基剤としては、カカオ脂、ラウリン
脂、ニッケイ脂、硬化油、半合成油脂性基剤等が挙げら
れる。中でも、半合成油脂性基剤はカカオ脂などの天然
脂の持つ欠点を改善したもので、化学的に安定で成型加
工しやすく、適度の保水性があり、また主薬の分散性が
優れているなど、多くの利点があり、油脂性基剤の中で
は最も広く利用されており、代表的なものとして「ウイ
テップゾール」(登録商標)が挙げられる。
【0024】以上の基剤は、単独で使用しても2種以上
混合して使用してもよい。基剤の使用量は使用する本発
明の医薬組成物に対して、約1〜20倍、特に約2〜10倍
(重量)が好ましい。
【0025】本発明の組成物の投与量は、患者の症状、
体重、年齢等によって異なり、一般に限定することはで
きないが、通常成人1日当たり本組成物約10〜2,000mg
の範囲となる量が好ましい。
【0026】
【実施例】以下本発明の実施例及び実験例を示すが、本
発明はこれらに限定されない。
【0027】[実施例1] ウラシルの凍結乾燥 水300mlをビーカーに取り、湯煎にて80℃に加温し、約6
gのウラシルを添加し溶解する。一方、デューワー瓶に
冷浴の溶媒として液体窒素を入れ、その中でビーカーを
冷却する。上記ウラシル溶液をビーカー内に滴下し、ビ
ーカー内壁に均等に凍結させる。凍結乾燥機に入れ、−
20℃で約60時間、0℃で約24時間更に20℃で約5時間凍結
乾燥を行った。
【0028】[実施例2] 坐剤の調製 ウイテップゾールH-12(ミツバ貿易株式会社)を湯煎に
て50℃に加温して溶融させ、これにFTと実施例1で製造
したウラシルとを配合比1:4(モル比)で混合したもの
を加えよく混合して均一に分散させた後、1個の内重量
約0.5〜2.5gの坐剤型(ディスポーザブルプラスチック
コンテナー)に分注し室温にて固化した。
【0029】[実験例1] 血中濃度の測定 実施例2で得られた坐剤S1と、対照品として経口剤C1及
び坐剤C2をそれぞれウサギに投与し、FT、5-FU及びウラ
シルの血中濃度を測定した。なお、用いたC1、C2、S1を
まとめて表1に記載する。
【0030】
【表1】 ──────────────────────────────────── C1 経口剤 UFT(カフ゜セル、大鵬薬品、商品名ユーエフティー、製造番号5E84) ──────────────────────────────────── C2 坐剤 FT(坐剤、大鵬薬品、商品名フトラフールス゛ホ゜N、製造番号2E81) ──────────────────────────────────── S1 坐剤 FTと凍結乾燥ウラシルとの配合剤(実施例で製造したもの) ────────────────────────────────────
【0031】投与方法は、雄性家兎(25〜35kg)を24時
間絶食させ、坐剤C2及びS1については経直腸投与し、C1
は経口投与とした。座剤については、家兎1kg当たりFT
20mgを含有する坐剤を調製し、兎の肛門に挿入した。経
口剤については、同様に家兎1kg当たりFT 20mgとなるよ
うに調製し、カプセルとしてゾンデで使用した。
【0032】採血は、投与後それぞれ0、0.25、0.5、
1、2、3、5、8時間においておよそ2 mlずつ耳静脈より
採血し、遠心分離によって血漿を得た。測定は丸中らの
方法(丸中照義ら、医薬品研究11(2): 307〜313(1980))
に準じて、血漿からの抽出操作を行い、得られたFTをHP
LCにて、また得られた5-FU及びウラシルをGC-MSにて測
定した。FT、5-FU及びウラシルのそれぞれの血中濃度測
定結果を、図3、図4及び図5にそれぞれ示す。
【0033】これらの図から以下のことが明らかとなっ
た。 (1)FTの血中濃度(図3) FTの血中濃度推移は、対照として用いた経口カプセル剤
C1を投与したウサギでは緩やかに持続し、Tmax.(最高
血中濃度表示時間)=300分、Cmax.(最高血中濃度)=
約10μg/mlを示した。これに対し、坐剤であるC2及びS1
を投与したウサギにおいて、FTの血中濃度推移は、Tma
x.=30〜60分、Cmax.=約20〜25μg/mlであり、経口投
与に比較し直腸投与では吸収が速やかに行われ、その血
中からの消失もC1投与より速いことが判明した。なお、
S1とC2との比較では、S1の方がかなり持続性を示すこと
が確認された。
【0034】(2)5-FUの血中濃度(図4) FTの活性代謝物である5-FUの血中濃度推移を見ると、C1
投与ではFTと同様に緩やかな持続性を示し、Tmax.=300
分、Cmax.=90〜100ng/mlであり、C2投与もFTの推移と
同様にTmax.=30〜60分、Cmax.=190〜200ng/mlを示し
たが、S1投与では大きく異なり、Tmax.=300分、Cmax.
=約630ng/mlと、血中貯留時間、血中濃度共に有意に増
大し、C1、C2投与に比べてS1投与ではAUCが顕著に増大
していることが確認された。
【0035】(3)ウラシルの血中濃度(図5) ウラシルの血中濃度推移を見ると、C1投与ではFT及び5-
FUと同様な傾向が見られ、Tmax.=300分、Cmax.=400ng
/mlであったのに対し、C2投与では坐剤中にウラシルが
存在しないためか、血中濃度はほとんど増加せず、通常
の生体に存在するレベル程度と考えられた。しかし、S1
投与においては、Tmax.=300分、Cmax.=2,200〜2,300n
g/mlと、かなりの持続性と極めて顕著な濃度の増加を示
し、本発明の抗腫瘍医薬組成物が市販の製剤に比較し
て、ウラシルの吸収及び血中ウラシル濃度の持続性の点
から見て、極めて優位であることが実証された。
【0036】なお、ウラシルの薬理作用として「FTが肝
臓において代謝を受け活性体である5-FUとなり抗腫瘍効
果が発揮される過程において、併存するウラシルが5-FU
の更なる代謝(失活化)と拮抗し5-FUの効果増強及び持
続をもたらす」ことが考えられ、このことからすればウ
ラシルの血中濃度と5-FUの血中濃度とは高い相関性があ
ることになるが、本実験例においては該相関性が存在す
ることが明確であり、本実験例は、前記ウラシルの薬理
作用を裏付けるものであると考えられる。
【0037】
【発明の効果】フッ化ピリミジン系化合物と該化合物の
抗腫瘍効果を高めかつ副作用を軽減するために用いられ
るウラシルとの配合剤は、直腸内で難吸収性を示すた
め、従来は経口剤としてのみ使用されてきたが、本発明
によって該配合剤に凍結乾燥ウラシルを用いることが見
いだされ、薬剤の直腸内での吸収性が向上されたため、
該配合剤の直腸投与が可能となった。
【0038】また、ウラシルの吸収改善により抗腫瘍活
性を有するフッ化ピリミジン系化合物の臨床投与量を現
在より減少させることができるので、直腸投与以外の他
の剤型、例えば経口剤(錠剤、顆粒剤)や軟膏剤などに
も使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウラシルの水に対する溶解度曲線を示す図であ
る。
【図2】凍結乾燥ウラシルの粉末のX線回析図を示す図
である。
【図3】本発明の抗腫瘍医薬組成物及び対照品をウサギ
に投与した際のFTの血中濃度を経時的に測定した結果を
示す図である。
【図4】本発明の抗腫瘍医薬組成物及び対照品をウサギ
に投与した際の5-FUの血中濃度を経時的に測定した結果
を示す図である。
【図5】本発明の抗腫瘍医薬組成物及び対照品をウサギ
に投与した際のウラシルの血中濃度を経時的に測定した
結果を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗腫瘍活性を有するフッ化ピリミジン系
    化合物とウラシルの溶液の凍結乾燥物とを含有すること
    を特徴とする抗腫瘍医薬組成物。
  2. 【請求項2】 ウラシルの溶液が熱飽和溶液である請求
    項1記載の抗腫瘍医薬組成物。
  3. 【請求項3】 フッ化ピリミジン系化合物がテガフール
    (1-(2-テトラヒドロフリル)-5-フルオロウラシル)で
    ある請求項1又は2記載の抗腫瘍医薬組成物。
  4. 【請求項4】 直腸投与組成物である請求項1、2又は
    3のいずれかに記載の抗腫瘍医薬組成物。
JP35376695A 1995-12-29 1995-12-29 凍結乾燥ウラシルを含有する抗腫瘍医薬組成物 Pending JPH09183729A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35376695A JPH09183729A (ja) 1995-12-29 1995-12-29 凍結乾燥ウラシルを含有する抗腫瘍医薬組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35376695A JPH09183729A (ja) 1995-12-29 1995-12-29 凍結乾燥ウラシルを含有する抗腫瘍医薬組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09183729A true JPH09183729A (ja) 1997-07-15

Family

ID=18433079

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35376695A Pending JPH09183729A (ja) 1995-12-29 1995-12-29 凍結乾燥ウラシルを含有する抗腫瘍医薬組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09183729A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20070015728A1 (en) * 2005-07-08 2007-01-18 Ford John P Metered-dose and safety and compliance packaging for systemic anticancer therapy
JP2008510695A (ja) * 2004-08-20 2008-04-10 フイルメニツヒ ソシエテ アノニム フレーバー又はフレグランス成分又は組成物を炭水化物マトリックス中に導入する方法
JP2010264249A (ja) * 1999-01-28 2010-11-25 Merck Patent Gmbh 改善された再生能を有する凍結乾燥体

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010264249A (ja) * 1999-01-28 2010-11-25 Merck Patent Gmbh 改善された再生能を有する凍結乾燥体
JP2008510695A (ja) * 2004-08-20 2008-04-10 フイルメニツヒ ソシエテ アノニム フレーバー又はフレグランス成分又は組成物を炭水化物マトリックス中に導入する方法
US20070015728A1 (en) * 2005-07-08 2007-01-18 Ford John P Metered-dose and safety and compliance packaging for systemic anticancer therapy

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU713383B2 (en) Stable freeze-dried pharmaceutical formulation
KR950007908B1 (ko) 약물을 함유하는 동결 건조 제형물의 제조방법
EP0721335B1 (en) Mycophenolate mofetil high dose oral suspensions
EP0754030B1 (en) Method for stabilizing duocarmycin derivatives
FI89065C (fi) Foerfarande foer framstaellning av en ny siklosporin kristallform
US4904668A (en) Benzoyl urea compound
AU2010211981A1 (en) Bortezumib containing pharmaceutical composition
US20080275036A1 (en) Prevention and treatment of cardiac conditions
JPH04360833A (ja) 1,4−ジヒドロピリジン誘導体を含有する製剤
PT99041B (pt) Processo para a preparacao de derivados de uracilo inactivadores da reductase e de composicoes farmaceeuticas que os contem
AU599034B2 (en) Furosemide salts
HU218216B (hu) Stabil, liofilizált tiotepa készítmény
JPH09183729A (ja) 凍結乾燥ウラシルを含有する抗腫瘍医薬組成物
JP2004517808A5 (ja)
JPH10502616A (ja) Dx−52−1化合物の安定化法及びその凍結乾燥組成物
US4085214A (en) Stable pro-drug forms of theophylline
EP0917458B1 (en) Lyophilized thioxanthenone antimumor agents
JP2687398B2 (ja) アルドースリダクターゼ阻害剤
JP2001523644A (ja) アテローム性動脈硬化症と結びついた動脈血栓合併症を予防するための製薬組成物の製造のためのケトリドの使用
KR20010034114A (ko) 칼륨 채널 활성화제
US6596755B2 (en) Oral formulation of methylglyoxal and its imino acid conjugates for human use
US6060498A (en) Composition containing antitumor agent
JP3156112B2 (ja) 癌転移抑制剤ならびに制癌剤の副作用治療剤
JPS61171421A (ja) 安定なプロスタグランジンe類製剤の製造方法
JP3125083B2 (ja) Tnf過剰産生抑制剤