JPH09182762A - 人工角膜 - Google Patents

人工角膜

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JPH09182762A
JPH09182762A JP34342095A JP34342095A JPH09182762A JP H09182762 A JPH09182762 A JP H09182762A JP 34342095 A JP34342095 A JP 34342095A JP 34342095 A JP34342095 A JP 34342095A JP H09182762 A JPH09182762 A JP H09182762A
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JP
Japan
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artificial cornea
water
flexible material
impermeable layer
optical
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JP34342095A
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English (en)
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Yoshito Ikada
義人 筏
Junichi Ohashi
準一 大橋
Kazuhiko Nakada
和彦 中田
Naoki Kondo
直毅 近藤
Aoi Nishizawa
あをい 西沢
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Menicon Co Ltd
Original Assignee
Menicon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 眼組織と良好に癒合し、眼内の房水の流出お
よび細菌などの眼内への侵入を防ぎ、瞼結膜への刺激を
少なくすることができる人工角膜を提供すること。 【解決手段】 前面と後面とを有し、光学的に透明な素
材からなる光学部と、該光学部の少なくとも一部を取り
囲んで支持するための支持部とからなる人工角膜であっ
て、前記支持部が微細間隙構造を有する可撓性材料から
なり、かつ少なくともその表面または内部に非透水層が
設けられていることを特徴とする人工角膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工角膜に関す
る。さらに詳しくは、眼組織疾患などにより、角膜の機
能が低下したり、喪失した角膜を置換し、視覚機能を回
復させるために用いられる人工角膜に関する。
【0002】
【従来の技術】人工角膜は、一般に、生体適合性が良好
な透光性材料からなる光学部と、人体の眼組織の表面に
固定するかまたは角膜の前層と後層とのあいだに挿入す
ることにより、前記光学部を支持するための支持部とか
ら構成されている。このような人工角膜としては、光学
部と支持部とを同一材料で一体的に成形したもの、これ
ら光学部と支持部とを別々の材料で成形し、組合せたも
のが知られている。このような人工角膜の材料として
は、ポリメチルメタクリレート、シリコーンなどが主と
して用いられている。
【0003】しかしながら、これらの材料は、それ自身
が微細間隙構造を有するものではないため、周囲の眼組
織との接着性がわるく、人工角膜と眼組織とのあいだに
わずかな隙間を生じ、その隙間を通じて細菌が前房内に
侵入し、全眼球炎をひき起こすことがあり、さらにひど
いときには、炎症によって埋植した人工角膜が眼組織よ
り排出されてしまうという不具合がある。
【0004】人工角膜の支持部に微細間隙構造を有する
材料が用いられたものとしては、可視光線透過性透明プ
ラスチック材からなる光学部と、軟質多孔性フッ素樹脂
からなる支持部とで構成された人工角膜が知られている
(特開平4−158859号公報)。
【0005】しかしながら、かかる人工角膜は、支持部
がただ単に微細間隙構造を有する軟質多孔性フッ素樹脂
でつくられたものであるため、眼内の房水の流出や細菌
などの侵入を防ぐことができないという欠点がある。
【0006】また、近年、支持部材が金属などの硬質材
料からなる人工角膜が提案されているが、かかる人工角
膜には、縫合針による支持部材の縫合がきわめて困難で
あり、しかも房水の損失を起こして手術に失敗したり、
またその形状が角膜の形状と完全に一致しているとは限
らないことから、眼組織内に埋植したのち、しばらくす
ると支持部材の一部が角膜を破って外部に露出し、その
部分から細菌が前房内に侵入して全眼球炎をひき起こす
という欠点がある。
【0007】また、従来の人工角膜のなかには、人工角
膜を固定するために、支持部に孔を設けるなどの改良が
施されたものがあるが、かかる人工角膜は、眼圧の上
昇、孔からの房水の損失や、細菌の侵入、周囲の眼組織
との接着性などの点で問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、眼組織と良好に癒合
し、眼内の房水の流出および細菌などの眼内への侵入を
防ぎ、瞼結膜への刺激を少なくすることができる人工角
膜を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前面と後面と
を有し、光学的に透明な素材からなる光学部と、該光学
部の少なくとも一部を取り囲んで支持するための支持部
とからなる人工角膜であって、前記支持部が微細間隙構
造を有する可撓性材料からなり、かつ少なくともその表
面または内部に非透水層が設けられていることを特徴と
する人工角膜に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の人工角膜は、前記したよ
うに、前面と後面とを有し、光学的に透明な素材からな
る光学部と、該光学部の少なくとも一部を取り囲んで支
持するための支持部とからなり、前記支持部が微細間隙
構造を有する可撓性材料からなり、かつ少なくともその
表面または内部に非透水層が設けられていることを特徴
とする。
【0011】本発明の人工角膜に用いられる光学部は、
前面と後面とを有し、光学的に透明な素材からなる。か
かる光学部は、人工角膜のほぼ中央に位置し、透明性を
保つことでその機能を果たすものである。
【0012】前記光学部に用いられる材料は、人工角膜
の内面(後面)が眼内の房水に直接接触することがある
ため、人体に対して無害であり、安全性にすぐれたもの
であることが好ましい。このような材料としては、たと
えばポリウレタン、シリコーン、ポリメチルメタクリレ
ートなどで代表されるアクリル樹脂などがあげられ、こ
れらのなかから透明なものが選択して用いられる。
【0013】前記光学部の平面形状は、とくに限定がな
く、実用上支障がないかぎり、いかなる形状であっても
よいが、機械的強度を保ち、眼内からの圧力による変形
を防止するという点から、円形であることが好ましい。
【0014】前記光学部の平面形状が円形であるばあ
い、その直径は、人工角膜に置換される眼組織の部位の
大きさなどによって異なるので一概にはいえないが、通
常、2〜8mm程度、なかんづく3〜6mm程度である
ことが実用面で好ましい。
【0015】また、前記光学部の厚さは、機械的強度の
点から、0.05〜1mm程度であることが好ましい。
かかる厚さは、必要により屈折率を付与させるばあいに
は、中心部と周辺部との厚さを変えればよく、たとえば
前記光学部の少なくとも一部を球面とすればよい。とく
に、前記光学部にレンズ度数を付与するばあいには、該
光学部の前面および後面にそれぞれ曲率が異なる球面を
設ければよい。
【0016】前記光学部は、直接眼組織に縫合すること
ができないので、前記光学部を眼内で固定するために支
持部が用いられる。
【0017】前記支持部は、前記光学部の少なくとも一
部を取り囲んで支持するように設けられる。
【0018】前記支持部は、微細間隙構造を有する可撓
性材料からなり、かつ少なくともその表面または内部に
非透水層が設けられている。
【0019】本発明においては、前記支持部の素材とし
て微細間隙構造を有する可撓性材料が用いられている点
に、1つの大きな特徴がある。
【0020】前記微細間隙構造を有する可撓性材料は、
眼組織との縫合を容易にし、また眼組織との接着が強固
になるという利点を有する。また、人工角膜を埋植した
周囲の眼組織に由来する細胞および毛細血管は、可撓性
材料の微細間隙に入り込み、人工角膜と眼組織とが結果
として親和的に強固に結合するようになる。
【0021】前記微細間隙構造を有する可撓性材料は、
縫合によって裂けない程度の機械的強度を有し、眼組織
と癒合して強固に接着し、生体適合性にすぐれたもので
あることが好ましい。このような材料としては、たとえ
ばポリウレタン、シリコーン、コラーゲン、ポリプロピ
レンなどの素材からなるスパンボンド不織布、スポンジ
で代表される連続気泡を有する軟質発泡体などがあげら
れる。
【0022】前記支持部の平面形状は、とくに限定がな
く、実用上支障がないかぎり、いかなる形状であっても
よいが、機械的強度を保ち、眼内からの圧力による変形
を防止するという点から、同心円の環状であることが好
ましい。
【0023】前記支持部の平面形状が同心円の環状であ
るばあい、その内径は、人工角膜に置換される眼組織の
部位の大きさなどによって異なるので一概には決定する
ことができないが、通常、前記光学部の直径と等しいこ
とが好ましい。また、その外径は、人工角膜に置換され
る眼組織の部位の大きさなどによって異なるので一概に
は決定することができないが、通常、6〜20mm程
度、なかんづく7〜16mm程度であることが実用面で
好ましい。
【0024】また、前記支持部の厚さは、一概にはいえ
ないが、通常、0.01〜3mm程度、なかんづく0.
2〜2.5mm程度であることが実用面で好ましい。
【0025】なお、本発明においては、支持部には、角
膜の曲率に合致するような曲率を与えることが好まし
い。
【0026】また、前記可撓性材料が疎水性を呈するば
あい、該可撓性材料の微細間隙内で眼組織に由来する細
胞の増殖が抑制されるのを防ぎ、該可撓性材料と眼組織
とが強固に結合するようにするために、該可撓性材料に
は、あらかじめプラズマ処理などの親水化処理を施して
おくことが好ましい。
【0027】前記支持部を構成している可撓性材料の少
なくとも表面または内部には非透水層が設けられてい
る。
【0028】本発明においては、前記支持部を構成して
いる可撓性材料の少なくとも表面または内部に非透水層
が設けられている点に、さらに1つの大きな特徴があ
る。
【0029】可撓性材料の少なくとも表面または内部に
非透水層が設けられていないばあい、該可撓性材料の微
細間隙から眼内の房水が流出してしまうが、本発明にお
いては、可撓性材料の少なくとも表面または内部に非透
水層が設けられているので、眼内の房水が流出するのを
防止することができる。
【0030】また、本発明においては、可撓性材料の少
なくとも表面または内部に非透水層が設けられているこ
とにより、外部からの細菌などが微細間隙を通じて眼内
に侵入することが阻止されるため、細菌感染を防止する
ことができる。
【0031】さらに、可撓性材料の表面に非透水層が設
けられていないばあい、該可撓性材料の表面には、微視
的に凹凸が存在しているため、瞬きをしたときには瞼結
膜とのあいだで摩擦による刺激が生じるが、瞼結膜と接
触する面に非透水層が設けられているばあい、その面は
平滑であるため、摩擦による刺激を減少させることがで
きる。
【0032】前記非透水層がこれらの性質を充分に発現
するようにするためには、前記非透水層は、実質的に非
含水性を呈するか、または含水率が10%以下の低含水
性を呈するものであることが好ましい。
【0033】さらに、前記非透水層が実質的に非含水性
を呈するか、または含水率が10%以下の低含水性を呈
するばあい、前記非透水層はほとんど膨潤しないので、
膨潤によって光学部との接着強度が低下するのを防止す
ることができる。
【0034】前記非透水層に用いられる材料としては、
たとえばポリウレタン、シリコーン、ポリメチルメタク
リレートなどで代表されるアクリル樹脂などがあげられ
る。これらの樹脂のなかには、非透水性を向上させると
いう点から、フッ素原子が含まれていてもよい。
【0035】可撓性材料の少なくとも表面または内部に
非透水層を形成させる方法としては、とくに限定がな
く、たとえば、(イ)非透水層として非透水性フィルム
を用意し、可撓性材料からなるフィルムの前面、後面ま
たは前後面に非透水性フィルムを接着させる方法、
(ロ)非透水層として非透水性フィルムを用意し、2枚
の可撓性材料からなるフィルムのあいだに非透水性フィ
ルムを挟んで接着させる方法、(ハ)非透水層に用いら
れる材料を適当な溶媒で溶解させた溶液に、溶媒が完全
に蒸発してしまう前に可撓性材料と接触させ、ついで溶
媒を完全に蒸発させて可撓性材料の少なくとも表面に非
透水層を形成させる方法、(ニ)非透水層に用いられる
材料の原料モノマーをあらかじめ可撓性材料に接触させ
ておき、これに熱、光などの適当なエネルギーを与え
て、該原料モノマーを重合させることにより、可撓性材
料の少なくとも表面に非透水層を形成させる方法などが
あげられる。なお、前記(ニ)の方法を採用するばあ
い、疎水性の可撓性材料と原料モノマーとして疎水性モ
ノマーを用いれば、疎水性モノマーが可撓性材料の微細
間隙に入り込んで該間隙を埋めてしまい、埋植後に可撓
性材料への眼組織の侵入を阻害するおそれがあるので、
該可撓性材料には、あらかじめプラズマ処理などの親水
化処理を施しておくことが好ましい。
【0036】前記非透水層の厚さは、前記可撓性材料の
材質などによって異なるので一概には決定することがで
きないが、通常、充分な非透水性を付与し、房水の流出
や細菌の侵入を防ぎ、瞼結膜への刺激を減少させ、可撓
性を保つためには、0.02〜0.5mm程度、なかん
づく0.05〜0.3mm程度であることが好ましい。
【0037】前記可撓性材料に設けられる非透水層は、
房水の流出および細菌などの侵入を防ぎ、瞼結膜への刺
激を減少させるために、えられる人工角膜の前面にあた
る側の可撓性材料に設けられていることが好ましく、と
くにその可撓性材料の全面に設けられていることが好ま
しい。
【0038】本発明の人工角膜は、前記構成を有するこ
とにより、眼組織と良好に癒合し、眼内の房水の流出お
よび細菌などの眼内への侵入を防ぎ、瞼結膜への刺激を
少なくすることができるものである。
【0039】なお、本発明の人工角膜は、涙液や房水と
の馴染みをよくし、少なくとも良好な光学的特性を付与
するために、涙液や房水と接触する部分、好ましくはそ
の全表面に親水性が付与されていることが好ましい。
【0040】本発明の人工角膜に親水性を付与させる方
法としては、とくに限定がないが、たとえばアクリルア
ミド、ヒドロキシエチルメタクリレートなどの親水性成
分(モノマー)を人工角膜の表面にグラフト結合(重
合)させる方法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、
コラーゲンなどの親水性ポリマーを適当な溶媒に溶解さ
せた溶液中に人工角膜を浸漬し、さらに光線を照射させ
て架橋させ、親水性を付与させる方法などがあげられ
る。
【0041】
【実施例】つぎに本発明の人工角膜を実施例にもとづい
てさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみ
に限定されるものではない。
【0042】実施例1〔片面(前面)に非透水層を形成
させたもの〕 あらかじめ酸素ガスによるプラズマ処理(酸素ガス濃
度:3Torr、出力:10W、処理時間:10分間)
を施した厚さ0.6mmのポリウレタン製スパンボンド
不織布(目付50g/m2)を外径9mm、内径5mmの
リングドーナツ状にポンチで打ち抜いた。
【0043】つぎに、図1に示されるように、えられた
リングドーナツ状の不織布1を成形金型2内に入れ、つ
いでシリコーンオイル(信越化学工業(株)製、KE−
106)3を注入し、蓋4をし、50℃に加熱して該シ
リコーンオイル3を硬化させ、そののち脱型して人工角
膜をえた。
【0044】えられた人工角膜は、図2の概略断面図に
示されるような形状を有し、光学部5の平均厚さが約
0.8mm、光学部5の直径が約5mm、前記不織布か
らなる支持部6の外径が約9mmであり、支持部6の前
面7に厚さが約0.2mmのシリコーンの非透水層が同
時に形成されていた。
【0045】えられた人工角膜に酸素ガスによるプラズ
マ処理(酸素ガス濃度:3Torr、出力:10W、処
理時間:10分間)を施し、人工角膜の全表面を親水性
に改質させた。
【0046】つぎに、この人工角膜を家兎眼に埋植した
ところ、容易に縫合することができた。そののち、経過
を観察したが、12週間経過後でも人工角膜の透明性が
保持され、人工角膜と眼組織とが強固に癒合し、眼内の
房水の流出を認めなかった。
【0047】実施例2〔両面(前面および後面)に非透
水層を形成させたもの〕 コラーゲン粉末をpH4程度の酸性水に溶解させ、えら
れたコラーゲン水溶液を撹拌、ばっ気しながらアンモニ
アガス雰囲気中に置き、ゲル化させた。えられたゲルを
流水で一晩洗浄し、凍結乾燥させたのち、紫外線を照射
させて架橋させ、微細間隙構造を有するコラーゲンスポ
ンジをえた。
【0048】えられた厚さ0.7mmのコラーゲンスポ
ンジ(目付30g/m2)を外径9mm、内径5mmのリ
ングドーナツ状にポンチで打ち抜いた。
【0049】つぎに、図3に示されるように、えられた
リングドーナツ状のコラーゲンスポンジ8を成形金型2
内に入れ、ついでシリコーンオイル(信越化学工業
(株)製、KE−106)3を注入し、蓋4をし、50
℃に加熱して該シリコーンオイル3を硬化させ、そのの
ち脱型して人工角膜をえた。
【0050】えられた人工角膜は、図4の概略断面図に
示されるような形状を有し、光学部5の平均厚さが約1
mm、光学部5の直径が約5mm、前記コラーゲンスポ
ンジからなる支持部6の外径が約9mmであり、支持部
6の前面7および後面9にそれぞれ厚さが約0.15m
mのシリコーンの非透水層が同時に形成されていた。
【0051】えられた人工角膜に酸素ガスによるプラズ
マ処理(酸素ガス濃度:3Torr、出力:10W、処
理時間:10分間)を施し、人工角膜の全表面を親水性
に改質させた。
【0052】つぎに、この人工角膜を家兎眼に埋植した
ところ、容易に縫合することができた。そののち、経過
を観察したが、瞼結膜の充血および眼脂はわずかで、眼
内での感染症などの炎症もなく、12週間経過後でも人
工角膜の透明性が保持され、人工角膜と眼組織とが強固
に癒合し、眼内の房水の流出を認めなかった。
【0053】実施例3〔片面(前面)に非透水層を有
し、前面と後面にそれぞれ異なる曲率の球面を有し、光
学部に度数が付与されたもの〕 厚さ0.6mmのポリウレタン製スパンボンド不織布
(目付50g/m2)を外径9mm、内径5mmのリング
ドーナツ状にポンチで打ち抜いた。
【0054】つぎに、図5に示されるように、えられた
リングドーナツ状の不織布1を雌型10内に入れ、つい
でシリコーンオイル(信越化学工業(株)製、KE−1
06)3を不織布1のリングの内側から注入し、雄型1
1で蓋をし、50℃に加熱して該シリコーンオイル3を
硬化させ、そののち脱型して人工角膜をえた。
【0055】えられた人工角膜は、図6の概略断面図に
示されるような形状を有し、光学部5の平均厚さが約
0.8mm、光学部5の直径が約5mm、前記不織布か
らなる支持部6の外径が約9mmであり、支持部6の前
面7に厚さが約0.2mmのシリコーンの非透水層が同
時に形成され、前面7と後面9にそれぞれ異なる曲率を
有する球面が与えられ、光学部5には度数が付与されて
いた。
【0056】えられた人工角膜に酸素ガスによるプラズ
マ処理(酸素ガス濃度:3Torr、出力:10W、処
理時間:10分間)を施し、人工角膜の全表面を親水性
に改質させた。
【0057】つぎに、この人工角膜を家兎眼に埋植した
ところ、容易に縫合することができた。そののち、経過
を観察したが、瞼結膜の充血および眼脂はわずかで、眼
内での感染症などの炎症もなく、12週間経過後でも人
工角膜の透明性が保持され、人工角膜と眼組織とが強固
に癒合し、眼内の房水の流出を認めなかった。
【0058】
【発明の効果】本発明の人工角膜は、支持部が微細間隙
構造を有する可撓性材料からなるので、眼組織に容易に
縫合することができ、かかる微細間隙中に毛細血管など
の眼組織が入り込みやすく、眼組織への固定が容易であ
り、よって眼組織と良好に癒合する。
【0059】さらに、本発明の人工角膜は、支持部には
非透水層が設けられていることから、眼内の房水の流出
および細菌などの眼内への侵入を防ぎ、かかる非透水層
が支持部の前面に施されているばあいには、瞼結膜への
刺激を少なくするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における人工角膜の製造法の
一実施態様を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施例1でえられた人工角膜の概略断
面図である。
【図3】本発明の実施例2における人工角膜の製造法の
一実施態様を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施例2でえられた人工角膜の概略断
面図である。
【図5】本発明の実施例3における人工角膜の製造法の
一実施態様を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施例3でえられた人工角膜の概略断
面図である。
【符号の説明】
1 不織布 3 シリコーンオイル 5 光学部 6 支持部 7 前面 8 コラーゲンスポンジ 9 後面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 直毅 愛知県春日井市高森台五丁目1番10 株式 会社メニコン総合研究所内 (72)発明者 西沢 あをい 愛知県春日井市高森台五丁目1番10 株式 会社メニコン総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前面と後面とを有し、光学的に透明な素
    材からなる光学部と、該光学部の少なくとも一部を取り
    囲んで支持するための支持部とからなる人工角膜であっ
    て、前記支持部が微細間隙構造を有する可撓性材料から
    なり、かつ少なくともその表面または内部に非透水層が
    設けられていることを特徴とする人工角膜。
  2. 【請求項2】 前記非透水層が実質的に非含水性である
    かまたは含水率が10%以下の低含水性である請求項1
    記載の人工角膜。
  3. 【請求項3】 少なくとも表面に親水性が付与されてな
    る請求項1または2記載の人工角膜。
  4. 【請求項4】 前記光学部の少なくとも一部が球面を有
    する請求項1、2または3記載の人工角膜。
  5. 【請求項5】 前記光学部の前面および後面にそれぞれ
    曲率が異なる球面を有し、レンズ度数が付与されてなる
    請求項1、2、3または4記載の人工角膜。
JP34342095A 1995-12-28 1995-12-28 人工角膜 Pending JPH09182762A (ja)

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