JPH09182628A - 歯ブラシ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯ブラシによるブラッシングで奥歯や歯の裏
側の清掃効果を高くし、かつ歯垢の除去を効率よく行
う。 【解決手段】 複数の毛束１を間隔をあけて歯ブラシヘ
ッド部３に配列して植毛部２を形成した歯ブラシであっ
て、歯ブラシヘッド部３の前端部および後端部位置にあ
る毛束が毛束断面形状を歯ブラシヘッド部３の前周側お
よび後周側とほぼ相似形を少なくとも一部に有して半円
形状の密毛部５，６としたことで、奥歯や歯の裏側の清
掃力や使用性に優れ、かつ刷掃実感があり、しかも歯面
を清掃すると同時に歯垢除去効果を大きくできる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、口腔内の歯牙や歯
肉の清掃並びにマッサージをするための歯ブラシ、特に
奥歯や歯の裏側を確実に清掃でき、しかも歯間部への刷
毛の進入性能と、歯間部の歯垢除去効果と、平滑面、咬
合面の歯垢除去効果に優れており、歯列のいずれの部位
でも歯垢除去の高い歯ブラシに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の歯ブラシは、植毛基台に縦横規則
的に配列した円形、または非円形植毛穴にＵ字形に折り
込んだ用毛を金属小片（平線）を打ち込んで固定する方
法で製造されているが、殆んどが生産性を考慮した円形
植毛穴に毛束を植設したものであって、なかでも植毛穴
の円形の大きさを均等にし、碁盤目状に配列した毛束断
面形状円形のものが最も典型的なものである。

【０００３】また、近年この金属小片（平線）を用いな
いで毛束を植毛基台に固定する歯ブラシとして熱融着方
法によるタイプ（特開昭６０−２４１４０４号、特開平
２−９９００２号、特開平４−２２６１０号公報）や、
集束された刷毛の一端部を溶融して融合塊に成形して、
この集束された刷毛の肥大部を柄部成形用金型内に導入
し、成形材料を射出充填したのち、成形材料の硬化によ
って、それぞれの毛束がハンドルヘッド部中に一体固定
化するインモールドタイプが知られ（特公平６−１６７
２５号公報、特表平２−５０３１５０号公報）、植毛の
毛束断面形状を円形に限らず種々な形状を採用できるよ
うになり、この歯ブラシの植毛の一部に毛束断面形状が
楕円形や長方形のものが見られる。

【０００４】このような歯ブラシによって歯をみがく時
に、特に前歯を歯の方向に沿って磨く場合や、歯ブラシ
をローリングさせながら磨く場合や、スクラブ法のよう
な小刻みなストロークを与えたり、他の方法でも歯牙表
面や歯と歯茎の境目（歯頚部）をブラッシングする場
合、歯ブラシの毛先を目的とする部位に当て、毛先を動
かすことによって清掃するわけであるが、歯ブラシ使用
者が歯を磨く場合、奥歯や歯の裏側がうまく磨けないと
言う不満が多く、従来の歯ブラシは使用性の点で必ずし
も満足のいくものではない。殊に、歯の裏側を磨く方法
として、歯ブラシの先端部の毛先を使用する「つま先磨
き」や後端部の毛先を使用する「かかと磨き」があり、
歯ブラシとしては、ヘッド部先端部を密毛としたもの
や、ヘッド部先端部の植毛穴径を他の部位の植毛穴径よ
りやや大きくしたものが市販されており、また、歯の裏
側を磨きやすくするために歯ブラシヘッド部を小さくし
た歯ブラシや先端方向（前方部）の植毛束を中央部若し
くは後方部よりも高くしたものも知られている。しかし
ながら、奥歯や歯の裏側をブラッシングした時の清掃効
果や使用実感の点で、必ずしも満足のいくものではなか
った。これは、従来の毛束断面形状が円形の歯ブラシの
場合、歯面や歯間部、歯頚部の清掃には接触面積が小さ
く、あまり効率が良くないといった問題点があり、また
熱融着タイプなどで、毛束断面形状を楕円形や長方形に
したものにしても、いずれも歯ブラシへッド部の前端部
もしくは後端部の毛束が小さく奥歯や歯の裏側の歯面を
清掃するには効率が悪く、しかも歯頚部の清掃及び歯肉
のマッサージを効率よく行うためには十分満足できるも
のではなかったからである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このように、これら従
来の歯ブラシでは一長一短があって、奥歯や歯の裏側の
清掃効果や、歯間部の歯垢除去効果と歯の平滑面の歯垢
除去効果と、咬合面の歯垢除去効果とのすべてを同時に
満足するものには至ってなく、歯磨き操作しにくかった
り、歯茎マッサージ効果や耐久性がなかったりという問
題があった。本発明は、これら従来の欠点を排除しよう
とするもので、歯磨き操作の清掃力や使用性に優れ、か
つ刷掃実感があり、奥歯や歯の裏側の清掃効果が高く、
しかも歯間部の清掃効果を向上させ歯垢除去効果と平滑
面の歯垢除去効果と咬合面の歯垢除去効果とを同時に高
め、歯茎マッサージ効果もあがり、歯面の清掃効果も高
い耐久性のある歯ブラシを提供することを目的としたも
のである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、複数の毛束を
間隔をあけて歯ブラシヘッド部に配列して植毛部を形成
した歯ブラシにおいて、歯ブラシヘッド部の前端部およ
び後端部位置にある毛束が毛束断面形状を歯ブラシヘッ
ド部の前周側および後周側とほぼ相似形を少なくとも一
部に有して密毛部としたものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態では、熱可塑性
合成樹脂よりなる刷毛の毛束を毛束断面形状を扁平形状
にした状態で毛束端に加熱手段で融合塊を形成し、該融
合塊を歯ブラシヘッド部の成形材料に埋設固化して毛束
を植毛するが、歯ブラシヘッド部の前端部および後端部
位置にある毛束が毛束断面形状を歯ブラシヘッド部の前
周側および後周側とほぼ相似形を少なくとも一部に有し
て密毛部としたことで、ブラッシングの際に毛先が奥歯
や歯の裏側によく届きうまく磨くことができ、つま先磨
きやかかと磨きを効果的に行え、しかも歯面や歯間部、
歯頚部への接触面積も大きく効率良く清掃ができ、かつ
歯面全体に毛束が接するため、刷掃実感があり、しかも
歯面を清掃すると同時に歯垢除去効果が大きく、歯頚部
の清掃及び歯肉のマッサージも効率よく出来るし、植毛
強度も高く毛立ちの良い植毛状態を維持して使用できる
ものである。

【０００８】

【実施例】本発明の実施例を図１の例で説明すると、複
数の毛束１を間隔をあけて歯ブラシヘッド部３に配列し
て植毛部２を形成した歯ブラシであって、歯ブラシヘッ
ド部３の前端部および後端部位置にある毛束が毛束断面
形状を歯ブラシヘッド部３の前周側および後周側とほぼ
相似形を少なくとも一部に有して半円形状の密毛部５，
６とし、該密毛部５，６間に配列される毛束１の毛束断
面形状が縦方向と横方向とが長短に異なる扁平形状の毛
束とし、該毛束１の長手方向を歯ブラシヘッド部３の長
軸方向に対して略直角に配列し、かつ該密毛部５の先端
の毛先部４を歯ブラシヘッド部の長軸方向に対して、傾
斜或いは階段状の山形に形成してある。

【０００９】この場合、前記毛束１は、扁平形状の毛束
の場合、植毛束断面形状の大きさ（毛束がブラシヘッド
部表面に接する界面での断面形状および大きさ）は、縦
方向が２．０ｍｍ〜０．４ｍｍ、好ましくは１．８ｍｍ
〜０．６ｍｍ、より好ましくは１．６ｍｍ〜０．８ｍ
ｍ、横方向が１０ｍｍ〜２ｍｍ、好ましくは８ｍｍ〜４
ｍｍの長方形或いは楕円形とするのが、使用性、清掃力
の点で効果的である。

【００１０】なお、前記毛束の毛束断面形状としては、
楕円形のもので形成するほか、図２に示す如く長方形と
したり、長方形と楕円形とを組合わせ、或いは円形と単
独或いは組合せた配列としたパターンにして、歯面の清
掃の他、歯間部の清掃効果の高い歯ブラシとすることが
出来る。また、密毛部５，６の先端の毛先部４を歯ブラ
シヘッド部の長軸方向に対して半円形状に形成すること
もできる。

【００１１】また、前記毛束１，１₁ ，１₂ の先端の毛
先部も毛束毎に山形カットしたもの或いは隣設する毛束
同士で山形にしたものや、毛束１の毛先を歯ブラシヘッ
ド部３の長手方向に階段状毛先に形成したものを複数繰
り返し配列、例えば向い合せに山形に配列したり、同一
方向に配列したりすることもでき、いずれにしても毛束
１の食物残渣の掻き取り力が強く、さらに複雑な形状の
歯列のあらゆる部位にも刷毛が届き汚れを落すことが容
易で、歯垢の掻き取り効果も高まり、歯を確実にみがく
ことができるように配慮される。

【００１２】このような毛束断面形状及び毛束の配置パ
ターンの歯ブラシは、平線を使わずに直接毛束を歯ブラ
シハンドルに埋設する方法や接着手段で製造することが
できる。なお、毛束１の毛先は金属刃でカットしてもよ
いし、毛束先端を各形状に揃えることで形成することが
できる。

【００１３】図３の例では、植毛部２として密毛部５，
６の間の毛束１₁ を毛束断面形状を円形にしたものや楕
円形のものを組合せて配列を変えたもので、例えば毛束
１₁の毛束断面形状を円形にしたり（図３ａ）、或いは
円形の毛束１₁ の配列中に楕円形の毛束１₂ を長手方向
に平行に複数列に並列して植毛部２とすること（図３
ｂ）や円形毛束１₁ と楕円形毛束１との両者の組合せで
植毛部２とすることもできる。この場合、前記密毛部
５，６は二つ以上の毛束で、ほぼ半円形状に形成するこ
ともでき、前記歯ブラシヘッド部３の先端方向に先細り
となる外側周を持ったものにすることも選べる（図３ｂ
及び図３ｃ）。なお、前記毛束１の配列は歯ブラシヘッ
ド部３の長軸方向に平行或いは直角方向に沿って配列す
ることが任意に選べる。

【００１４】図４の実施例では、前記密毛部５，６とし
て、歯ブラシヘッド部３の前周側および後周側とほぼ相
似形とするのに複数の毛束断面形状の組合せで半円形状
に構成したもので、歯ブラシヘッド部の長軸方向に二つ
割りにしたもの（図４ａ）や、三つ割りにしたもので、
密毛部５，６の毛束１₁ は、毛束断面形状円形のものを
用いたもの（図４ｂ）、或いは歯ブラシヘッド３の短軸
方向に二つ割りしたものとし、かつ該密毛部５，６間の
毛束は楕円形毛束１と円形毛束１₁ との組合で植毛部２
を構成したもの（図４ｃ）としたり、密毛部５，６を放
射状に分割された毛束断面形状とすることもできる（図
４ｄ）。これらの場合も毛束の毛先は前例と同様山形タ
イプで高くしたり、低くしたり適宜選べる。

【００１５】なお、本発明では、次に示す特徴的な構成
も含まれている。 植毛部に配列された密毛部間の毛束の毛束断面形状
が長方形及び／または楕円形とし、隣設される毛束で、
毛先部を歯ブラシヘッドの長手方向に向って山形にした
歯ブラシ。 植毛部に配列された密毛部の前端部毛束先端をヘッ
ド部中央、若しくは後端部よりも高くした歯ブラシ。 植毛部の内側に配列された毛束を縦横複数列に並列
配置した歯ブラシ。

【００１６】

【発明の効果】本発明は、複数の毛束を間隔をあけて歯
ブラシヘッド部に配列して植毛部を形成した歯ブラシに
おいて、歯ブラシヘッド部の前端部および後端部位置に
ある毛束が毛束断面形状を歯ブラシヘッド部の前周側お
よび後周側とほぼ相似形を少なくとも一部に有して密毛
部としたことによって、奥歯や歯の裏側の清掃が容易で
あり、しかも歯間部へ多数の毛先が進入し、歯間清掃を
効果的に行うことができ、即ち歯ブラシを歯面に当て、
小刻みなストロークを与えることにより、歯面に部分的
に接するのではなく、歯面全体に刷毛束が接するため
「つま先磨き」や「かかと磨き」を効果的に行うと共
に、咬合面歯垢を効果的に除去でき、かつ毛束の耐久性
を向上することができるし、清掃力や使用性に優れ、か
つ刷掃実感をも大幅に向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す一部の拡大図で（ａ）は
平面図、（ｂ）はその側面図である。

【図２】本発明の他の実施例の植毛部で、（ａ）は平面
図、（ｂ）はその側面図である。

【図３】本発明のさらに他の実施例の植毛部の平面図
で、（ａ）は毛束断面形状を円形としたもの、（ｂ）
（ｃ）は毛束断面形状を長方形にしたものと円形のもの
とを複数列並列して植毛部としたものである。

【図４】本発明の毛束の密毛部の他の例を示し、（ａ）
は縦二つ割りタイプであり、（ｂ）は縦三つ割り、
（ｃ）は横二つ割り、（ｄ）は放射状割りしたものであ
る。

【符号の説明】

１ 毛束 ２ 植毛部 ３ 歯ブラシヘッド部 ４ 毛先部 ５，６ 密毛部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の毛束を間隔をあけて歯ブラシヘッ
   ド部に配列して植毛部を形成した歯ブラシにおいて、歯
   ブラシヘッド部の前端部および後端部位置にある毛束が
   毛束断面形状を歯ブラシヘッド部の前周側および後周側
   とほぼ相似形を少なくとも一部に有して密毛部としたこ
   とを特徴とする歯ブラシ。