JPH09182396A - 誘導電動機の回転子 - Google Patents
誘導電動機の回転子Info
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- JPH09182396A JPH09182396A JP34030495A JP34030495A JPH09182396A JP H09182396 A JPH09182396 A JP H09182396A JP 34030495 A JP34030495 A JP 34030495A JP 34030495 A JP34030495 A JP 34030495A JP H09182396 A JPH09182396 A JP H09182396A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】力率向上や騒音,漂遊損を低減できる高性能な
誘導電動機の回転子を提供する。 【解決手段】回転子1を形成する鉄心2に設けられた複
数のスロット3に導電性材料を鋳込み回転子バー4を構
成する。その後で、各々のスロット3にスロット開口部
8を機械加工により設ける。公称出力が40kWから60
0kWの誘導電動機で、スロット開口部8の幅wは1.0m
m〜2.0mmの範囲内に、高さhは1.0mm〜2.5mmの範
囲内に設定する。
誘導電動機の回転子を提供する。 【解決手段】回転子1を形成する鉄心2に設けられた複
数のスロット3に導電性材料を鋳込み回転子バー4を構
成する。その後で、各々のスロット3にスロット開口部
8を機械加工により設ける。公称出力が40kWから60
0kWの誘導電動機で、スロット開口部8の幅wは1.0m
m〜2.0mmの範囲内に、高さhは1.0mm〜2.5mmの範
囲内に設定する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転子鉄心の表面
部にスロット開口部を有する誘導電動機の回転子に関す
る。
部にスロット開口部を有する誘導電動機の回転子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図3に誘導電動機の回転子における軸方
向断面図を示す。また、図4に図3のA−A′方向断面
における回転子スロット周辺の拡大図を示す。図3,図
4に示すように、回転子1を形成する鉄心2には複数個
のスロット3が設けられ、同スロット3に導電性材料を
鋳込んで回転子電流の流路である回転子バー4を構成す
る。また、各々の回転子バー4は鉄心2の端部にて短絡
環5(5a,5b)により結合される。なお、6は回転
軸であり、鉄心2の内径側に嵌合されている。
向断面図を示す。また、図4に図3のA−A′方向断面
における回転子スロット周辺の拡大図を示す。図3,図
4に示すように、回転子1を形成する鉄心2には複数個
のスロット3が設けられ、同スロット3に導電性材料を
鋳込んで回転子電流の流路である回転子バー4を構成す
る。また、各々の回転子バー4は鉄心2の端部にて短絡
環5(5a,5b)により結合される。なお、6は回転
軸であり、鉄心2の内径側に嵌合されている。
【0003】ところで、回転子のスロット構造は、図4
に示すように導電性材料を鋳込むためスロット開口部を
持たない全閉スロット構造が一般に採用される。しか
し、全閉スロット構造の場合、バー4の頭部に当たる鉄
心部が磁気ブリッジ7となるため漏れ磁束が増加する。
したがって、必要以上の力率低下や一次,二次電流の増
加による温度上昇を避けるため、磁気ブリッジ7の高さ
hについては、機械強度を保ちつつできるだけ低くする
という方策がとられている。
に示すように導電性材料を鋳込むためスロット開口部を
持たない全閉スロット構造が一般に採用される。しか
し、全閉スロット構造の場合、バー4の頭部に当たる鉄
心部が磁気ブリッジ7となるため漏れ磁束が増加する。
したがって、必要以上の力率低下や一次,二次電流の増
加による温度上昇を避けるため、磁気ブリッジ7の高さ
hについては、機械強度を保ちつつできるだけ低くする
という方策がとられている。
【0004】一方、磁気ブリッジ7の漏れ磁束低減のた
め、回転子鉄心に設けられたスロットにあらかじめスロ
ット開口部を設置し、同スロットに導電性材料を鋳込む
方法もある。しかし、この場合はスロット開口部にも導
電性材料が鋳込まれることとなり、結果として騒音や高
調波二次電流による漂遊損が著しく増加することが知ら
れている。
め、回転子鉄心に設けられたスロットにあらかじめスロ
ット開口部を設置し、同スロットに導電性材料を鋳込む
方法もある。しかし、この場合はスロット開口部にも導
電性材料が鋳込まれることとなり、結果として騒音や高
調波二次電流による漂遊損が著しく増加することが知ら
れている。
【0005】これに対し、導電性材料を鋳込みつつも、
漏れ磁束低減のために設けたスロット開口部に導電性材
料が存在しないようにした構造が、例えば特開昭56−35
665号公報,特開昭58−28556 号公報等に示されてい
る。
漏れ磁束低減のために設けたスロット開口部に導電性材
料が存在しないようにした構造が、例えば特開昭56−35
665号公報,特開昭58−28556 号公報等に示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、双方
とも回転子鉄心に設けられたスロットにあらかじめスロ
ット開口部を設置し、同スロットに導電性材料を鋳込ん
だ時にスロット開口部に導電性材料が侵入しないよう
に、スロット開口部の幅を狭くすることを特徴としてい
る。これにより、スロット開口部内に導電性材料、すな
わち二次導体を存在させず、力率の向上や漂遊損の低減
を図ることが期待できる。
とも回転子鉄心に設けられたスロットにあらかじめスロ
ット開口部を設置し、同スロットに導電性材料を鋳込ん
だ時にスロット開口部に導電性材料が侵入しないよう
に、スロット開口部の幅を狭くすることを特徴としてい
る。これにより、スロット開口部内に導電性材料、すな
わち二次導体を存在させず、力率の向上や漂遊損の低減
を図ることが期待できる。
【0007】しかし、このようにスロット開口部を設け
ても、公称出力が40kWから600kWの範囲となる誘導
電動機では、必ずしも特性改善に至らない場合があるこ
とを実験等により見い出した。すなわち、スロット開口
部の周方向寸法となる幅wや径方向寸法となる高さhの
寸法によっては、騒音や漂遊損の一部を占める高調波二
次銅損が増加することが判明した。
ても、公称出力が40kWから600kWの範囲となる誘導
電動機では、必ずしも特性改善に至らない場合があるこ
とを実験等により見い出した。すなわち、スロット開口
部の周方向寸法となる幅wや径方向寸法となる高さhの
寸法によっては、騒音や漂遊損の一部を占める高調波二
次銅損が増加することが判明した。
【0008】本発明の目的は回転子鉄心に設けるスロッ
ト開口部寸法を最適値に設定することにより、力率向上
や騒音,漂遊損を低減できる高性能な誘導電動機の回転
子を提供することにある。
ト開口部寸法を最適値に設定することにより、力率向上
や騒音,漂遊損を低減できる高性能な誘導電動機の回転
子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、空隙を介し
て固定子と回転子が対向してなる誘導電動機の回転子鉄
心に回転子巻線を収納するための複数の全閉スロットを
設け、かつこの全閉スロット内に導電性材料を鋳込むこ
とにより回転子巻線を形成した後、回転子鉄心の表面部
のスロット上部に機械加工を施し、周方向寸法が1.0m
m〜2.0mmの範囲で、かつ径方向寸法を1.0mm〜2.5
mmの範囲のスロット開口部を設けることによって達せら
れる。
て固定子と回転子が対向してなる誘導電動機の回転子鉄
心に回転子巻線を収納するための複数の全閉スロットを
設け、かつこの全閉スロット内に導電性材料を鋳込むこ
とにより回転子巻線を形成した後、回転子鉄心の表面部
のスロット上部に機械加工を施し、周方向寸法が1.0m
m〜2.0mmの範囲で、かつ径方向寸法を1.0mm〜2.5
mmの範囲のスロット開口部を設けることによって達せら
れる。
【0010】本発明の発明者は公称出力の異なる誘導電
動機について、回転子スロット開口部の寸法をパラメー
タとした力率,騒音,高調波回転子損失の測定を種々行
った結果、回転子スロット開口部の幅(周方向寸法)w
と高さ(径方向寸法)hを前述した範囲の寸法とした場
合、これらの特性をいずれも改善できることを実験的に
見い出した。すなわち、スロット開口部の寸法によって
はギャップ磁束の脈動成分が増加することに加え、回転
子鉄心部の磁束の流れ方が磁気飽和等で複雑に変化する
ことに起因して特性変化が発生することが判明した。
動機について、回転子スロット開口部の寸法をパラメー
タとした力率,騒音,高調波回転子損失の測定を種々行
った結果、回転子スロット開口部の幅(周方向寸法)w
と高さ(径方向寸法)hを前述した範囲の寸法とした場
合、これらの特性をいずれも改善できることを実験的に
見い出した。すなわち、スロット開口部の寸法によって
はギャップ磁束の脈動成分が増加することに加え、回転
子鉄心部の磁束の流れ方が磁気飽和等で複雑に変化する
ことに起因して特性変化が発生することが判明した。
【0011】本発明の目的は、この回転子スロット開口
部の寸法を最適値に限定することにより、力率向上や騒
音,漂遊損を低減できる高性能な誘導電動機の回転子を
提供することにある。
部の寸法を最適値に限定することにより、力率向上や騒
音,漂遊損を低減できる高性能な誘導電動機の回転子を
提供することにある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を以下図面を用い
て説明する。
て説明する。
【0013】図1は本発明の一実施例を示す誘導電動機
の回転子スロット周辺の断面図である。同図に示すよう
に、回転子1を形成する鉄心2には複数個のスロット3
が設けられ、同スロット3に導電性材料を鋳込んで回転
子電流の流路である回転子バー4を構成する。その後、
各々のスロット3の上部に図示していないが機械加工に
より回転子バー4の頭部に凹部10が形成するようにス
ロット開口部8を設ける。これにより、同スロット開口
部8内には導電性材料が存在しなくなり、その物性値
は、図示していないが固定子と回転子1との間に存在す
る空隙部と等しくなる。
の回転子スロット周辺の断面図である。同図に示すよう
に、回転子1を形成する鉄心2には複数個のスロット3
が設けられ、同スロット3に導電性材料を鋳込んで回転
子電流の流路である回転子バー4を構成する。その後、
各々のスロット3の上部に図示していないが機械加工に
より回転子バー4の頭部に凹部10が形成するようにス
ロット開口部8を設ける。これにより、同スロット開口
部8内には導電性材料が存在しなくなり、その物性値
は、図示していないが固定子と回転子1との間に存在す
る空隙部と等しくなる。
【0014】ここで、本発明では、公称出力が40kWか
ら600kWの誘導電動機で、スロット開口部8の幅wを
1.0mm〜2.0mmの範囲内に設定し、かつスロット開口
部8の高さh(凹部10の底部までの高さ)を1.0mm
〜2.5mmの範囲内に設定するものである。
ら600kWの誘導電動機で、スロット開口部8の幅wを
1.0mm〜2.0mmの範囲内に設定し、かつスロット開口
部8の高さh(凹部10の底部までの高さ)を1.0mm
〜2.5mmの範囲内に設定するものである。
【0015】図2は本発明の一実施例を示す誘導電動機
の回転子スロット開口部8の幅wと高さhの寸法範囲を
表す説明図であり、スロット開口部寸法を上述した範囲
に限定する根拠を示すものであるが、同図については後
で詳述する。
の回転子スロット開口部8の幅wと高さhの寸法範囲を
表す説明図であり、スロット開口部寸法を上述した範囲
に限定する根拠を示すものであるが、同図については後
で詳述する。
【0016】誘導電動機の力率は、回転子スロット3の
断面形状を除く他の構造が同一であれば、主として回転
子スロット3の断面形状で定まるスロット漏れリアクタ
ンスに依存する。スロット漏れリアクタンスに限らず、
漏れリアクタンスが必要以上に大きい場合、一次電流や
二次電流が増加し力率や効率が悪化する。特に、スロッ
ト開口部8が存在しない場合、図4に示す磁気ブリッジ
部7は磁気的に短絡状態になるため、漏れ磁束が増加し
スロット漏れリアクタンスも増大する。これに対し、ス
ロット開口部8を設けることで、開口部8が存在しない
場合に比べスロット漏れ磁束を格段に低減できるため、
力率を向上することが可能になる。
断面形状を除く他の構造が同一であれば、主として回転
子スロット3の断面形状で定まるスロット漏れリアクタ
ンスに依存する。スロット漏れリアクタンスに限らず、
漏れリアクタンスが必要以上に大きい場合、一次電流や
二次電流が増加し力率や効率が悪化する。特に、スロッ
ト開口部8が存在しない場合、図4に示す磁気ブリッジ
部7は磁気的に短絡状態になるため、漏れ磁束が増加し
スロット漏れリアクタンスも増大する。これに対し、ス
ロット開口部8を設けることで、開口部8が存在しない
場合に比べスロット漏れ磁束を格段に低減できるため、
力率を向上することが可能になる。
【0017】一方、スロット開口部の設置は以下のよう
な問題を生じさせる。
な問題を生じさせる。
【0018】図5はギャップの磁束密度分布を表す説明
図である。同図に示すように、スロット開口部8を設置
した場合(開口部あり)、ギャップのパーミアンス分布
が不均一になることから、開口部8がない場合(開口部
なし)に比べギャップ磁束の脈動成分が増加する。この
結果、高調波電磁加振力が顕著になり、騒音を増大させ
ることになる。
図である。同図に示すように、スロット開口部8を設置
した場合(開口部あり)、ギャップのパーミアンス分布
が不均一になることから、開口部8がない場合(開口部
なし)に比べギャップ磁束の脈動成分が増加する。この
結果、高調波電磁加振力が顕著になり、騒音を増大させ
ることになる。
【0019】図6はスロット開口部周辺の磁束の流れを
表す説明図である。誘導電動機の負荷時では、磁束9
(9a,9b)が回転子の径方向に対し斜めに入射する
ことが知られている。このため、スロット開口部8が存
在する場合、回転子に入射する高調波成分を含む磁束9
は、鉄心2を通り回転子バー4に入射する磁束成分9a
と、鉄心2を通らず直接回転子バー4の頭部に入射する
磁束成分9bに分けられる。鉄心2を通過する磁束成分
9aについては、鉄心2における表皮効果により高調波
成分が減衰するが、直接バー4に入射する磁束成分9b
については高調波成分の減衰が少ないために回転子バー
4に生じる高調波二次銅損や鉄損を含む高調波回転子損
失を増加させることになる。
表す説明図である。誘導電動機の負荷時では、磁束9
(9a,9b)が回転子の径方向に対し斜めに入射する
ことが知られている。このため、スロット開口部8が存
在する場合、回転子に入射する高調波成分を含む磁束9
は、鉄心2を通り回転子バー4に入射する磁束成分9a
と、鉄心2を通らず直接回転子バー4の頭部に入射する
磁束成分9bに分けられる。鉄心2を通過する磁束成分
9aについては、鉄心2における表皮効果により高調波
成分が減衰するが、直接バー4に入射する磁束成分9b
については高調波成分の減衰が少ないために回転子バー
4に生じる高調波二次銅損や鉄損を含む高調波回転子損
失を増加させることになる。
【0020】以上の騒音や高調波回転子損失は、図1に
示す回転子鉄心表面から二次導体までの径方向距離、す
なわち、回転子スロット開口部高さhを増加することで
低減することができる。これは、騒音については回転子
起磁力の影響を抑制し、磁束密度中の脈動成分を低減で
きるためであり、高調波回転子損失については高調波成
分を含む磁束が回転子表面や直接回転子バーの頭部に入
射することを妨げるためである。しかしながら、回転子
スロット開口部高さhを増加することは二次漏れリアク
タンスの増加を招くため、設定値によっては力率向上が
望めなくなる。本発明の発明者は、公称出力が40kWか
ら600kWの範囲となる複数の誘導電動機について、回
転子スロット開口部幅wの寸法をパラメータとした力
率,騒音,高調波回転子損失の測定を行った。その結
果、回転子スロット開口部の幅wと高さhには最適値と
なる範囲が存在し、回転子スロット開口部を最適値に設
定することにより、先の特性をいずれも改善できること
を実験的に見い出した。本発明は、この回転子スロット
開口部の幅wと高さhの寸法を限定することにより、力
率向上や騒音、漂遊損を低減できる高性能な誘導電動機
の回転子を提供するものである。
示す回転子鉄心表面から二次導体までの径方向距離、す
なわち、回転子スロット開口部高さhを増加することで
低減することができる。これは、騒音については回転子
起磁力の影響を抑制し、磁束密度中の脈動成分を低減で
きるためであり、高調波回転子損失については高調波成
分を含む磁束が回転子表面や直接回転子バーの頭部に入
射することを妨げるためである。しかしながら、回転子
スロット開口部高さhを増加することは二次漏れリアク
タンスの増加を招くため、設定値によっては力率向上が
望めなくなる。本発明の発明者は、公称出力が40kWか
ら600kWの範囲となる複数の誘導電動機について、回
転子スロット開口部幅wの寸法をパラメータとした力
率,騒音,高調波回転子損失の測定を行った。その結
果、回転子スロット開口部の幅wと高さhには最適値と
なる範囲が存在し、回転子スロット開口部を最適値に設
定することにより、先の特性をいずれも改善できること
を実験的に見い出した。本発明は、この回転子スロット
開口部の幅wと高さhの寸法を限定することにより、力
率向上や騒音、漂遊損を低減できる高性能な誘導電動機
の回転子を提供するものである。
【0021】以下、40kW級及び600kW級の誘導電動
機それぞれについて、力率,騒音,高調波回転子損失を
測定した結果を示す。測定では、各々の誘導電動機に対
し、図1に示すスロット開口部の幅wと高さhをパラメ
ータとした。ここで、幅wに関しては開口部なしの0.
0mmから4.0mmまで機械加工により設定した。また、
高さhに関しては、あらかじめ鉄板打ち抜き時にスロッ
ト位置を異ならせ、0.5mmから3.0mm まで任意に設定
した。
機それぞれについて、力率,騒音,高調波回転子損失を
測定した結果を示す。測定では、各々の誘導電動機に対
し、図1に示すスロット開口部の幅wと高さhをパラメ
ータとした。ここで、幅wに関しては開口部なしの0.
0mmから4.0mmまで機械加工により設定した。また、
高さhに関しては、あらかじめ鉄板打ち抜き時にスロッ
ト位置を異ならせ、0.5mmから3.0mm まで任意に設定
した。
【0022】図7,図8に、400kW級及び600kW級
誘導電動機それぞれの力率比を示す。各図の縦軸は、ス
ロット開口部の幅wが0.0mm、高さhが0.5mmである
スロット開口部なしの場合を基準値とし、各測定値を同
基準値に対する比に換算して示したものである。また、
基準値以上となる測定値の間は実線で、それ以外は点線
で表記した。なお、基準としたスロット構造の値は、ス
ロット開口部を設けない場合に採用される一般的な寸法
である。
誘導電動機それぞれの力率比を示す。各図の縦軸は、ス
ロット開口部の幅wが0.0mm、高さhが0.5mmである
スロット開口部なしの場合を基準値とし、各測定値を同
基準値に対する比に換算して示したものである。また、
基準値以上となる測定値の間は実線で、それ以外は点線
で表記した。なお、基準としたスロット構造の値は、ス
ロット開口部を設けない場合に採用される一般的な寸法
である。
【0023】図7で、各スロット開口部の高さhに対
し、スロット開口部を設けることで漏れリアクタンスが
低減し、力率は各々向上したことがわかる。しかし、高
さhが2.5mm 以下でスロット開口部8の幅wが1.0m
m 以上となると基準値以上の力率になることが認められ
る。一方、図8でも絶対値は異なるが、傾向は図7とほ
ぼ同様になっている。これより、力率を基準値以上にす
るためには、スロット開口部8の幅wを1.0mm以上
で、高さhを2.5mm以下にする必要がある。
し、スロット開口部を設けることで漏れリアクタンスが
低減し、力率は各々向上したことがわかる。しかし、高
さhが2.5mm 以下でスロット開口部8の幅wが1.0m
m 以上となると基準値以上の力率になることが認められ
る。一方、図8でも絶対値は異なるが、傾向は図7とほ
ぼ同様になっている。これより、力率を基準値以上にす
るためには、スロット開口部8の幅wを1.0mm以上
で、高さhを2.5mm以下にする必要がある。
【0024】図9,図10に40kW級及び600kW級誘
導電動機それぞれの騒音比を示す。各図の縦軸は図7及
び図8と同様である。また、基準値以下となる測定値の
間は実線で、それ以外は点線で表記した。
導電動機それぞれの騒音比を示す。各図の縦軸は図7及
び図8と同様である。また、基準値以下となる測定値の
間は実線で、それ以外は点線で表記した。
【0025】図9で、各スロット開口部の高さhに対
し、スロット開口部を設け幅wを増すことで騒音は各々
増加することがわかる。これは、上述したようにスロッ
ト開口部の幅wを増すことでギャップ磁束密度の脈動成
分が増加したためといえる。しかし、高さhが1.0mm
以上の場合については基準値以下の騒音比となり、高さ
hが1.0mmの時は幅wが3.5mm以下になると基準値以
下の騒音比となることが認められる。一方、図10で
も、絶対値は異なるが図9と同様な傾向が得られてい
る。これより、騒音を基準値以下にするためには、スロ
ット開口部8の高さhを1.0mm以上で、かつ幅wを3.
5mm以下に設定する必要がある。
し、スロット開口部を設け幅wを増すことで騒音は各々
増加することがわかる。これは、上述したようにスロッ
ト開口部の幅wを増すことでギャップ磁束密度の脈動成
分が増加したためといえる。しかし、高さhが1.0mm
以上の場合については基準値以下の騒音比となり、高さ
hが1.0mmの時は幅wが3.5mm以下になると基準値以
下の騒音比となることが認められる。一方、図10で
も、絶対値は異なるが図9と同様な傾向が得られてい
る。これより、騒音を基準値以下にするためには、スロ
ット開口部8の高さhを1.0mm以上で、かつ幅wを3.
5mm以下に設定する必要がある。
【0026】図11,図12に40kW級及び600kW級
誘導電動機それぞれの高調波回転子損失比を示す。各図
の縦軸は、力率及び騒音測定結果の場合と同様である。
また、基準値以下となる測定値の間は実線で、それ以外
は点線で表記した。
誘導電動機それぞれの高調波回転子損失比を示す。各図
の縦軸は、力率及び騒音測定結果の場合と同様である。
また、基準値以下となる測定値の間は実線で、それ以外
は点線で表記した。
【0027】図11で、各スロット開口部の高さhに対
し、各々の高調波回転子損失比はスロット開口部の幅w
に対し最小値をもつことがわかる。この理由は次の二つ
が挙げられる。まず、スロット開口部を設け高調波回転
子損失比が最小値をとるまでの範囲について、これはス
ロット開口部の設置により漏れリアクタンスが減少し一
次電流、および高調波磁束に起因する鉄損が低下したこ
とにより、回転子バーに流れる二次電流自体が小さくな
ったこと、および鉄損が小さくなったことに起因する。
一方、高調波回転子損失比が最小値から再び増加してい
く範囲について、これは図6で示したようにスロット開
口部の幅wを増すことでバー4に直接入射する磁束成分
9bの影響が増加したためと、鉄損が増加したためとい
える。
し、各々の高調波回転子損失比はスロット開口部の幅w
に対し最小値をもつことがわかる。この理由は次の二つ
が挙げられる。まず、スロット開口部を設け高調波回転
子損失比が最小値をとるまでの範囲について、これはス
ロット開口部の設置により漏れリアクタンスが減少し一
次電流、および高調波磁束に起因する鉄損が低下したこ
とにより、回転子バーに流れる二次電流自体が小さくな
ったこと、および鉄損が小さくなったことに起因する。
一方、高調波回転子損失比が最小値から再び増加してい
く範囲について、これは図6で示したようにスロット開
口部の幅wを増すことでバー4に直接入射する磁束成分
9bの影響が増加したためと、鉄損が増加したためとい
える。
【0028】ところで、図11における各スロット開口
部の高さhによる高調波回転子損失比の最小値は、スロ
ット開口部の幅wが1.0mmから2.0mmの範囲に存在す
るが、それらの各値が全て基準値以下となっているの
は、高さhが1.0mmから2.5mmの範囲である。この傾
向は、図12についても同様である。これより、高調波
回転子損失比を基準値以下にするためには、スロット開
口部8の高さhを1.0mmから2.5mm の範囲で、かつ
幅wを1.0mmから2.0mmの範囲に設定する必要があ
る。
部の高さhによる高調波回転子損失比の最小値は、スロ
ット開口部の幅wが1.0mmから2.0mmの範囲に存在す
るが、それらの各値が全て基準値以下となっているの
は、高さhが1.0mmから2.5mmの範囲である。この傾
向は、図12についても同様である。これより、高調波
回転子損失比を基準値以下にするためには、スロット開
口部8の高さhを1.0mmから2.5mm の範囲で、かつ
幅wを1.0mmから2.0mmの範囲に設定する必要があ
る。
【0029】図7から図12における各回転子スロット
開口部寸法の範囲をまとめたものが図2である。各ハッ
チング部は、力率,騒音,高調波二次銅損を基準値以下
にできる範囲をそれぞれ表す。同図から、力率,騒音,
高調波回転子損失比の各特性を同時に改善できるスロッ
ト開口部寸法は、開口部の幅wが1.0mm (a点,b
点)〜2.0mm(c点,d点)の範囲で、かつ高さhが
1.0mm(b点,c点)〜2.5mm(a点,d点)の範囲
になることが見い出せる。
開口部寸法の範囲をまとめたものが図2である。各ハッ
チング部は、力率,騒音,高調波二次銅損を基準値以下
にできる範囲をそれぞれ表す。同図から、力率,騒音,
高調波回転子損失比の各特性を同時に改善できるスロッ
ト開口部寸法は、開口部の幅wが1.0mm (a点,b
点)〜2.0mm(c点,d点)の範囲で、かつ高さhが
1.0mm(b点,c点)〜2.5mm(a点,d点)の範囲
になることが見い出せる。
【0030】本実施例で示した測定例の他に、図示して
いないが、160kW級及び400kW級誘導電動機に対し
ても同様な測定を行った。その結果、各特性の絶対値は
異なるものの最適なスロット開口部寸法としては、上述
した40kW級及び600kW級の結果と同様になることを
確認している。
いないが、160kW級及び400kW級誘導電動機に対し
ても同様な測定を行った。その結果、各特性の絶対値は
異なるものの最適なスロット開口部寸法としては、上述
した40kW級及び600kW級の結果と同様になることを
確認している。
【0031】以上より、本発明による誘導電動機の回転
子スロット開口部寸法を公称出力が40kWから600kW
の範囲における誘導電動機に対し適用すれば、力率を向
上しつつ騒音、漂遊損を低減でき、特性改善を図ること
が可能となる。なお、特に騒音特性を解析的に、しかも
高精度に算出した報告例は現状なく、本発明の効果を計
算から検証することは困難であると考えられる。
子スロット開口部寸法を公称出力が40kWから600kW
の範囲における誘導電動機に対し適用すれば、力率を向
上しつつ騒音、漂遊損を低減でき、特性改善を図ること
が可能となる。なお、特に騒音特性を解析的に、しかも
高精度に算出した報告例は現状なく、本発明の効果を計
算から検証することは困難であると考えられる。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば回転子スロット開口部の
寸法を最適に設定できるため、力率向上や騒音,漂遊損
を低減できる高性能な誘導電動機の回転子を提供でき
る。
寸法を最適に設定できるため、力率向上や騒音,漂遊損
を低減できる高性能な誘導電動機の回転子を提供でき
る。
【図1】本発明の一実施例を示す誘導電動機の回転子ス
ロット周辺の断面図。
ロット周辺の断面図。
【図2】本発明の一実施例を示す誘導電動機の回転子ス
ロット開口部寸法の範囲を表す説明図。
ロット開口部寸法の範囲を表す説明図。
【図3】誘導電動機の回転子における軸方向の断面図。
【図4】図3のA−A′方向断面における回転子スロッ
ト周辺の説明図。
ト周辺の説明図。
【図5】ギャップの磁束密度分布を表す説明図。
【図6】スロット開口部周辺の磁束の流れを表す説明
図。
図。
【図7】40kW級誘導電動機の力率比の測定結果の説明
図。
図。
【図8】600kW級誘導電動機の力率比の測定結果の説
明図。
明図。
【図9】40kW級誘導電動機の騒音比の測定結果の説明
図。
図。
【図10】600kW級誘導電動機の騒音比の測定結果の
説明図。
説明図。
【図11】40kW級誘導電動機の高調波回転子損失比の
測定結果の説明図。
測定結果の説明図。
【図12】600kW級誘導電動機の高調波回転子損失比
の測定結果の説明図。
の測定結果の説明図。
1…回転子、2…鉄心、3…スロット、4…回転子バ
ー、5…短絡環、6…回転軸、7…磁気ブリッジ、8…
スロット開口部、9…磁束、10…凹部。
ー、5…短絡環、6…回転軸、7…磁気ブリッジ、8…
スロット開口部、9…磁束、10…凹部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 身佳 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 梶原 憲三 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 丸山 正一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 伊藤 元哉 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】空隙を介して固定子と回転子が対向してな
る誘導電動機の回転子鉄心に回転子巻線を収納するため
の複数のスロットが設けられ、前記回転子鉄心の表面部
に各々前記スロット毎にスロット開口部が存在する誘導
電動機の回転子において、 前記スロット開口部の周方向寸法を1.0mm〜2.0mmの
範囲に設定すると共に、前記スロット開口部の径方向寸
法を1.0mm〜2.5mmの範囲に設定したことを特徴とす
る誘導電動機の回転子。 - 【請求項2】空隙を介して固定子と回転子が対向してな
る誘導電動機の回転子鉄心に回転子巻線を収納するため
の複数のスロットが設けられ、前記回転子鉄心の表面部
に各々前記スロット毎にスロット開口部が存在する公称
出力が40kWから600kWである誘導電動機の回転子に
おいて、 前記スロット開口部の周方向寸法を1.0mm〜2.0mmの
範囲に設定すると共に、前記スロット開口部の径方向寸
法を1.0mm〜2.5mmの範囲に設定したことを特徴とす
る誘導電動機の回転子。 - 【請求項3】空隙を介して固定子と回転子が対向してな
る誘導電動機の回転子鉄心に回転子巻線を収納するため
の複数の全閉スロットを設けた誘導電動機の回転子にお
いて、前記回転子鉄心の前記スロット内に導電性材料を
鋳込むことにより回転子バーからなる前記回転子巻線を
形成した後、前記回転子鉄心の表面部のスロット上部に
機械加工を施し、周方向寸法が1.0mm〜2.0mmの範囲
で、かつ径方向寸法を1.0mm〜2.5mmのスロット開口
部を設けたことを特徴とする誘導電動機の回転子。 - 【請求項4】請求項1,2または3において、前記スロ
ット内の前記回転子バーの頭部に凹部を設け、前記凹部
の周方向寸法が1.0mm〜2.0mmの範囲であり、前記凹
部の底までの径方向寸法が1.0mm〜2.5mmである誘導
電動機の回転子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34030495A JPH09182396A (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 誘導電動機の回転子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34030495A JPH09182396A (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 誘導電動機の回転子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09182396A true JPH09182396A (ja) | 1997-07-11 |
Family
ID=18335669
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34030495A Pending JPH09182396A (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 誘導電動機の回転子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09182396A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008278642A (ja) * | 2007-04-27 | 2008-11-13 | Mitsubishi Electric Corp | 誘導電動機およびその二次導体 |
JP2011087373A (ja) * | 2009-10-14 | 2011-04-28 | Railway Technical Res Inst | 誘導電動機 |
JP2011087375A (ja) * | 2009-10-14 | 2011-04-28 | Railway Technical Res Inst | 誘導電動機 |
-
1995
- 1995-12-27 JP JP34030495A patent/JPH09182396A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008278642A (ja) * | 2007-04-27 | 2008-11-13 | Mitsubishi Electric Corp | 誘導電動機およびその二次導体 |
JP2011087373A (ja) * | 2009-10-14 | 2011-04-28 | Railway Technical Res Inst | 誘導電動機 |
JP2011087375A (ja) * | 2009-10-14 | 2011-04-28 | Railway Technical Res Inst | 誘導電動機 |
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