JPH09181411A - 熱伝導性基板の製造方法 - Google Patents

熱伝導性基板の製造方法

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JPH09181411A
JPH09181411A JP35159595A JP35159595A JPH09181411A JP H09181411 A JPH09181411 A JP H09181411A JP 35159595 A JP35159595 A JP 35159595A JP 35159595 A JP35159595 A JP 35159595A JP H09181411 A JPH09181411 A JP H09181411A
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JP
Japan
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insulating layer
aluminum
substrate
layer
pores
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JP35159595A
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English (en)
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Kazufumi Nakamura
和史 中村
Hitoshi Owada
仁 大和田
Hirotaka Senba
裕隆 仙波
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Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Chichibu Onoda Cement Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属アルミニウム基板基材と絶縁層、及び該
絶縁層と電極などからなる電気回路が何れも強固に結合
或いは接着し、かつ熱抵抗が極めて小さい熱伝導性基板
を製造する。 【課題の解決手段】 アルミニウム基板基材を陽極酸化
処理し、該基材表層部に、表面に開口孔端を有する多孔
質の部分と該多孔質部とアルミニウム層との間に介在す
るバリアー層の部分からなる酸化アルミニウムの絶縁層
を生成させ、該絶縁層上にスパッタリング法又は蒸着法
により電極などからなる電気回路を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、熱を発生及び/又
は吸収する素子などを搭載する為の高い熱伝導性を備え
た基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】優れた材料の開発によってエ
ネルギー変換効率を高めた熱電変換材料が作製されつつ
あるが、依然として実用的な変換効率を有する部材は得
られていない。従来の熱電変換材料は、基板基材に絶縁
性のセラミックス板を用い、該セラミックス板上にメタ
ライズ法やハンダ付けによって電極などの電気回路を形
成したものの上に熱電変換素子等が搭載されていた。こ
の為、基板基材の熱伝導率の低さ、基板基材と電気回路
との間の熱抵抗、電気回路と熱電変換材料との間の熱抵
抗等により、基板全体の熱抵抗がかなり大きなものとな
り、熱電変換素子本来の性能を十分発現するには至らな
かった。この問題点を解決する為、基板基材に優れた熱
の良導体である銅やアルミニウムなどの金属を用い、そ
の表面に電気絶縁性の物質を介在させて電極などの電気
回路を設けた熱伝導性基板が提唱されている。
【0003】このような熱伝導性基板の製造方法として
は、例えばアルミニウム基板基材の表面に樹脂などの有
機物、又はガラス等の無機物からなる電気絶縁層を公知
の物理又は化学蒸着技術で付加し、その絶縁層上に回路
を設けた熱伝導性基板の製造方法が知られている。しか
し、この方法で得られた基板は、何れも絶縁層に熱抵抗
の極めて大きい有機物層やガラス層を形成させたもので
ある為、アルミニウム等の基板基材の高い熱伝導特性が
反映され難くなり、十分な熱伝導特性を有する基板が得
られなかった。
【0004】一方、アルミニウム基板基材の表面を、陽
極酸化法によって電気絶縁性の酸化アルミニウム(以
下、アルマイトと称す)の層を生成させ、次いで該アル
マイト層上に電気回路を設けることにより、熱伝導性基
板を製造する方法も知られている。この方法は、アルミ
ニウム基板基材とアルマイト絶縁層とを、物理的な結合
力を主体とした結合によらず、より結合強度の高い化学
的な結合力を主体とした結合によって一体化できるこ
と、及び絶縁層の厚みが非常に薄いものを容易に作製で
きることから、熱抵抗の極めて小さな基板を製造できる
可能性がある。しかし、この方法では、陽極酸化処理の
過程で生成絶縁層の部分剥離や亀裂が屡々発生し、絶縁
性の低下や不足を来すことがあるので、樹脂を含浸させ
たりハードコートによって剥離や亀裂部分を覆う、或い
は2次電解によって絶縁層の厚さを増すことで対処され
てきたが、一方では、低熱伝導性の層を付与、又は増大
させる結果になり、基板の熱伝導性を著しく低下させる
ことに繋がる。
【0005】また、絶縁層上への電気回路の取り付け方
法としては、絶縁層上に有機系の絶縁性接着物質を用い
て取り付ける方法やハンダによって取り付ける方法が知
られているが、有機系接着物質は一般に熱伝導率が極め
て低いので大きな熱抵抗となる他、安定した接着強度を
維持して長期間の使用に耐えるのも困難であり、また、
ハンダも熱伝導率が高くない為、大幅な熱抵抗の低減化
には繋がり難く、更に、アルマイト等に対するハンダの
濡れ性がかなり低いことから電気回路をアルマイト絶縁
層に強固に取り付けるのも困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属アルミ
ニウムからなる導電性基板基材と絶縁層、及び該絶縁層
と電極又は電極などからなる電気回路が何れも強固に結
合或いは接着した熱伝導性基板であって、かつ熱抵抗が
極めて小さくなるような熱伝導性基板を製造することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、緻密質金属アルミ
ニウム基板基材の表面をいわゆるポーラス型の陽極酸化
処理を行うことによって、該基材の表層部分を多孔質部
を含む酸化アルミニウム層に変化させて絶縁層とし、次
いで、該絶縁層上にスパッタリング法または蒸着法によ
り、例えば熱電変換素子などの熱の発生及び/又は吸収
する部材を搭載する為の電極又は電極などからなる電気
回路を直接形成させることにより、該絶縁層と電極又は
電極などからなる電気回路が強固に接着した熱抵抗が著
しく低い熱伝導性基板を製造できることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0008】即ち、この発明は、アルミニウム基板基材
の表層部を陽極酸化処理し、該基材表層部に、表面に開
口孔端を有する孔が存在する多孔質部分と、該多孔質部
分とアルミニウム基板基材との間に介在し、孔が存在し
ないバリアー層とからなる酸化アルミニウムの絶縁層を
生成せしめ、次いで該絶縁層上に、スパッタリング法又
は蒸着法により電極又は電極などからなる電気回路を形
成することを特徴とする熱伝導性基板の製造方法であ
る。
【0009】また、この発明は、アルミニウム基板基材
の表層部を陽極酸化処理し、該基材表層部に、表面に開
口孔端を有する孔が存在する多孔質部分と、該多孔質部
分とアルミニウム基板基材との間に介在し、孔が存在し
ないバリアー層とからなる酸化アルミニウムの絶縁層を
生成せしめ、更に、電流回復法により酸化アルミニウム
生成時の印加電圧よりも低い電圧を印加することによっ
て該絶縁層のバリアー層に、該絶縁層の表面に開口孔端
を有する孔と連通し、かつアルミニウム基板基材には連
通することがない、前記多孔質層内の孔よりも孔径が小
さい細孔を形成せしめ、次いで該絶縁層上に、スパッタ
リング法又は蒸着法により電極又は電極などからなる電
気回路を形成することを特徴とする熱伝導性基板の製造
方法である。
【0010】また、この発明は、前記何れかの陽極酸化
処理が、蓚酸浴、クロム酸浴、硫酸浴、リン酸浴、硼酸
浴のうち、何れか1種の酸化浴を用いることを特徴とす
る熱伝導性基板の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で用いる基板基材として
は、所望の素子を搭載する為の電極や電極などからなる
電気回路等を設置するに足る形状寸法の主として板状の
形を呈するものであって、優れた熱の良導体であり、か
つ比較的容易に電気絶縁性の金属酸化物に酸化反応可能
な金属アルミニウムとする。
【0012】本発明における絶縁層の生成方法は、絶縁
層の厚さ、構造ともに容易に制御できる陽極酸化法によ
り行う。即ち、前記のような金属アルミニウムの基板基
材を必要に応じ、水酸化ナトリウム、流水、希硝酸、流
水の順に化学処理により表面を洗浄、表面の酸化物皮膜
の除去、及び表面の活性化を行った後、絶縁層を形成し
ようとする部分以外の表面は、例えば耐酸性樹脂等で該
部分を覆ったマスキングを施しておく。このような基板
基材を酸化浴、好ましくは蓚酸浴、クロム酸浴、硫酸
浴、リン酸浴、硼酸浴の何れか1種に浸することで該基
板基材表層部を陽極酸化処理し、表層部に酸化アルミニ
ウム(アルマイト)を生成させる。本製造方法での陽極
酸化処理は、いわゆるポーラス型陽極酸化処理とし、使
用する浴の種類に適した処理条件、例えば酸化浴の種類
や濃度により異なる印加電圧を選定し、また電流密度及
び反応に伴う発熱状況を考慮した条件で処理を行う。こ
のような陽極酸化処理によってポーラス型陽極酸化層と
しての開口性の孔を有するアルマイトの絶縁層を生成す
る。即ち、該絶縁層は、その表面に一方の孔端が開口
し、該絶縁層中で他方の孔端が閉口若しくは他孔と連通
している孔が存在する多孔質の部分と、該多孔質の部分
とアルミニウム基板基材との間に介在する層であって、
孔が存在しないバリアー層の部分とからなる。
【0013】また、本発明は、前記と同様に酸化浴、好
ましくは蓚酸浴、クロム酸浴、硫酸浴、リン酸浴、硼酸
浴の何れか1種に浸することで該基板基材表面の一部若
しくは全表面をポーラス型陽極酸化処理することにより
前記と同様のアルマイト絶縁層を基板基材表層部に生成
させ、更に公知の電流回復法を行って、前記アルマイト
絶縁層内のバリアー層の構造を調整し、バリアー層中に
新たに細孔を形成させることができる。即ち、多孔質部
を含むアルマイト絶縁層生成時の印加電圧よりも低い電
圧を、電流回復法によって印加することにより、前記陽
極酸化処理により生成したアルマイト絶縁層中の多孔質
部分のバリアー層近傍部に位置する孔の主として孔端か
ら殆どが複数に分岐している新たな細孔を生成し、該細
孔はバリアー層を含まない部分の孔と比較してより小さ
な孔径であって、かつアルミニウム基板基材には連通す
ることがないものである。このような細孔が存在する領
域が、バリアー層を含まないアルマイト絶縁層とバリア
ー層を含むアルマイト絶縁層との界面付近からバリアー
層内にかけて形成される。ここで、陽極酸化処理時の印
加電圧および電圧印加時間は、要求される酸化物絶縁層
の厚さ及びその構造によって定めれば良く、印加時間の
増大に伴ってバリアー層を除く多孔質アルマイト絶縁層
が厚くなり、該絶縁層のバリアー層の部分の厚さは印加
電圧を増大することによって厚くなる。尚、孔径は、孔
を横断する切り口の形を円として近似した場合のおよそ
の直径とする。
【0014】本発明の何れの製造方法に於いても、基板
基材上に生成させたアルマイト絶縁層上に、電極又は電
極などからなる電気回路を形成させる。電極又は電極な
どからなる電気回路の形成方法は、公知のスパッタリン
グ法または蒸着法を行うことによって、該絶縁層上及び
その表面の開口孔端から孔の内部に至るまで形成するこ
とができる。ここで孔内部については内部の全域まで電
極又は回路材を存在させる必要はないが、陽極酸化処理
後に電流回復法を施して新たに細孔を形成させる方法に
よる場合は、その細孔の内部まで電極又は回路材を到達
させるのが望ましく、スパッタリング法や蒸着法は孔の
深部まで導電性材料を容易に到達させることができる。
電極又は電極などからなる電気回路の材質としては、熱
伝導率が少なくとも絶縁層よりも高い金属単体、合金、
或いは金属間化合物であれば何れのものでも良いが、こ
のうち特に電極材では電気抵抗がより低いものの方が望
ましく、例えば、Cu、Ag、Au、Al、Co、F
e、Pd、Pt、Ni、Rh、Ru、W、Zn等を挙げ
ることができる。また、電極又は電極などからなる電気
回路の形状構成等は公知のものを含め、前記のような絶
縁層及び該絶縁層の孔に設置可能で素子等を搭載できる
ものであれば限定されることはないが、例えば回路間隔
は、要求される回路間の絶縁抵抗に応じて定めることが
でき、更に回路断面積は、回路を流れる電流に応じて定
めても良い。
【0015】
【作用】この基板製造方法に於いて、金属アルミニウム
基板基材をポーラス型陽極酸化処理することにより処理
を受けた該金属基板基材の表層部が酸化アルミニウムに
変化するので、接着物質や結合剤等の異物を介在させる
ことなく、直接金属アルミニウム基板基材と化学的に結
合し、その結合強度が極めて強固な絶縁層を形成するこ
とができる。更に該絶縁層は、表面が開孔した多孔質構
造であるので、放熱性や熱応力緩和性に優れている。更
に電極または電極などからなる電気回路を該絶縁層上に
スパッタリング法や蒸着法によって形成させるので、多
孔質絶縁層の孔内まで電極又は回路材が進入し、強固な
物理的付着強度が加味されて絶縁層に取り付けることが
できる。また、このアルマイト絶縁層のバリアー層の構
造を電流回復法により調整した場合は、新たに形成され
た複数に分岐した細孔部に至るまで電極又は電極などか
らなる電気回路材を入り込ませると、いわゆるアンカー
効果が生じ、電極や回路の付着強度は格段に向上する
為、一層強固に電極や回路材を絶縁層に取り付けること
ができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明に基づく実施例および本発明の
範囲から外れる比較例をあわせて記し、この発明を具体
的に詳しく説明する。 [実施例1] 純度98%、形状寸法20×20×1.
5mmの金属アルミニウム板2枚を温度50℃で濃度5
wt%の水酸化ナトリウム水溶液中に5分間浸し、次い
で蒸留水で洗浄し、更に温度20℃で濃度25wt%の
硝酸中に3分間浸した後、再び蒸留水で洗浄した。
【0017】この洗浄を終えた2枚のアルミニウム板の
うち一方のアルミニウム板の片面及び側面を耐酸樹脂に
よりマスキングを施し、温度15℃で濃度5wt%の蓚
酸を酸化浴とし、該酸化浴中に両アルミニウム板の平面
を対抗させて設置し、マスキングを施したアルミニウム
板を陽極とし、他方のアルミニウム板を陰極として印加
電圧50Vで60分間ポーラス型陽極酸化処理を行い、
陽極のアルミニウム板の非マスキング部である片面の表
層部に酸化アルミニウム層を生成させた後、マスキング
を除去した。次いで、該酸化アルミニウム層上に所定の
電極パターンを有したメタルマスクを装着し、rfマグ
ネトロンスパッタリング法により、真空度1.0×10
-3Pa、印加電圧5W/cm2、120分間銅をスパッ
タリングし、厚さ約20μmの銅電極パターンを形成さ
せた。このように作製した基板は絶縁層や電極の剥離等
が生じていなのを実体顕微鏡で確認し、銅電極と基材の
アルミニウムとの間での導通をテスターで調べたが、導
通はなく絶縁が保たれていた。更に220℃に加熱した
ホットプレート上に該基板を置き約60分経過後、同様
に220℃での導通を調べたが導通はなく、電極の剥離
も見られなかった。
【0018】次いで、この基板を電極部が上部となるよ
うに、温度一定(約25℃)に保った水冷式ヒートシン
ク上に、市販のサーモモジュール板を介在させて設置し
た。該サーモモジュールに設置した基板面が加熱される
ようにサーモモジュールに2000mAの電流を60秒
流して加熱した後直ちに、設置した基板面が冷却される
ようにサーモモジュールに2000mAの電流を流し、
急冷を行った。該基板上表面の温度と該基板が設置され
たサーモモジュール表面の温度をT型熱電対により測定
し、急冷開始後の両者の温度差の経時変化を調べた。そ
の結果を図1に示す。図1は、縦軸を温度差(℃)、横
軸を冷却開始からの経過時間(秒)とし、外部温度変化
に対する基板の熱的応答性を表したものである。両温度
差は冷却開始約5秒後に最大となったが、その値は約
7.0℃と比較的小さな値であり、本製造法で作製した
基板は殆ど蓄熱することなく放熱性に優れた熱抵抗の極
めて小さいものであることが判明した。又、該基板を上
下方向に切断し、切断面をSEM(走査型電子顕微鏡)
で観察したところ、酸化アルミニウム層は表面に開口孔
端を有する孔が多数存在し、この孔はアルミニウムとの
界面には到達していなかった。また該孔内部まで深く銅
電極が入り込んでいるのも確認した。
【0019】[実施例2] 前記実施例1と同様のマス
キングを施したものと施していないアルミニウム板を、
温度35℃で濃度3wt%のクロム酸を酸化浴とし、該
酸化浴中に両アルミニウム板の平面を対抗させて設置
し、マスキングを施したアルミニウム板を陽極とし、他
方のアルミニウム板を陰極として印加電圧50Vで30
分間ポーラス型陽極酸化処理を行い、陽極のアルミニウ
ム板の片面の表層部に酸化アルミニウム層を生成させ
た。該酸化アルミニウム層上に、市販の真空蒸着装置に
より、真空度4.0×10-4Pa、エミッション電流2
00mAで約40分蒸着処理し、厚さ約20μmの銅電
極パターンを形成させた。このように作製した基板は絶
縁層や電極の剥離等が生じていなのを実体顕微鏡で確認
し、実施例1と同様の方法で室温及び220℃での銅電
極と基材のアルミニウムとの間での導通を調べたが何れ
も導通はなく、220℃での電極の剥離も見られなかっ
た。次に、実施例1と同じ方法で基板上表面の温度とサ
ーモモジュール表面の温度を測定し、両温度差の経時変
化(基板の熱的応答性)を調べた。両温度差は冷却開始
5秒後に最大となったが、その値は約7.2℃と比較的
小さな値であり、熱抵抗の極めて小さな基板であること
が判明した。又、該基板を上下方向に切断し、切断面を
SEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、酸化ア
ルミニウム層は表面に開口孔端を有する孔が多数存在
し、この孔はアルミニウムとの界面には到達していなか
った。また該孔内部まで深く銅電極が入り込んでいるの
も確認した。
【0020】[実施例3] 前記実施例1と同様のマス
キングを施したものと施していないアルミニウム板を、
温度10℃で濃度14wt%の硫酸を酸化浴とし、該酸
化浴中に両アルミニウム板の平面を対抗させて設置し、
マスキングを施したアルミニウム板を陽極とし、他方の
アルミニウム板を陰極として印加電圧15Vで60分間
ポーラス型陽極酸化処理を行い、陽極のアルミニウム板
の表層部に酸化アルミニウム層を生成させた。更に同浴
中で引き続き、15Vから2.5Vおきに10Vまでの
電流回復処理を2分毎に行った。電流回復処理後のアル
ミニウム板の酸化アルミニウム層上に実施例1と同様の
方法で厚さ約20μmの銅電極パターンを形成させた。
このように作製した基板は絶縁層や電極の剥離等が生じ
ていなのを実体顕微鏡で確認し、実施例1と同様の方法
で室温及び220℃での銅電極と基材のアルミニウムと
の間での導通を調べたが何れも導通はなく、220℃で
の電極の剥離も見られなかった。次に、実施例1と同じ
方法で基板上表面の温度とサーモモジュール表面の温度
を測定し、両温度差の経時変化を調べた。両温度差は冷
却開始約5秒後に最大となったが、その値は約6.5℃
と比較的小さな値であり、熱抵抗の極めて小さな基板で
あることが判明した。又、該基板を上下方向に切断し、
切断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したとこ
ろ、酸化アルミニウム層は表面に開口孔端が存在し、か
つアルミニウムとの界面には到達していない孔が存在し
た。更に該孔は、酸化アルミニウム層内深部で複数に分
岐したより孔径の小さい細孔を形成しており、この細孔
はアルミニウム層には連通しておらず、また、細孔を含
む孔内深部まで銅電極が入り込んでいるのも確認した。
【0021】[実施例4] 前記実施例1と同様のマス
キングを施したものと施していないアルミニウム板を、
温度25℃で濃度3wt%の燐酸を酸化浴とし、該酸化
浴中に両アルミニウム板の平面を対抗させて設置し、前
記実施例1と同様のマスキングを施した一方のアルミニ
ウム板を陽極とし、他方のアルミニウム板を陰極として
印加電圧30Vで60分間ポーラス型陽極酸化処理を行
い、陽極のアルミニウム板の表層部に酸化アルミニウム
層を生成させた。更に同浴中で引き続き、30Vから
2.5Vおきに10Vまで2分毎に電流回復処理を行っ
た。電流回復処理後のアルミニウム板の酸化アルミニウ
ム層上に実施例1と同様の方法で厚さ約20μmの銅電
極パターンを形成させた。このように作製した基板は絶
縁層や電極の剥離等が生じていなのを実体顕微鏡で確認
し、実施例1と同様の方法で室温及び220℃での銅電
極と基材のアルミニウムとの間での導通を調べたが何れ
も導通はなく、220℃での電極の剥離も見られなかっ
た。次に、実施例1と同じ方法で基板上表面の温度とサ
ーモモジュール表面の温度を測定し、両温度差の経時変
化を調べた。両温度差は冷却開始約5秒後に最大となっ
たが、その値は約7.3℃と比較的小さな値であり、熱
抵抗の極めて小さな基板であることが判明した。又、該
基板を上下方向に切断し、切断面をSEM(走査型電子
顕微鏡)で観察したところ、酸化アルミニウム層は表面
に開口孔端が存在し、かつアルミニウムとの界面には到
達していない孔が存在した。更に該孔は、酸化アルミニ
ウム層内深部で複数に分岐したより孔径の小さい細孔を
形成しており、この細孔はアルミニウム層には連通して
おらず、また、細孔を含む孔内深部まで銅電極が入り込
んでいるのも確認した。
【0022】[実施例5] 前記実施例1と同様の方法
で洗浄を行った2枚のアルミニウム板を何れもマスキン
グ処理せずに、温度20℃で濃度5wt%の硼酸を酸化
浴とし、該酸化浴中に両アルミニウム板の平面を対抗さ
せて設置し、一方のアルミニウム板を陽極とし、他方の
アルミニウム板を陰極として印加電圧35Vで120分
間ポーラス型陽極酸化処理を行い、陽極のアルミニウム
板の全表層部に酸化アルミニウム層を生成させた。更に
同浴中で引き続き、35Vから2.5Vおきに2分毎に
10Vまでの電流回復処理を行った。電流回復処理後の
アルミニウム板の片面の酸化アルミニウム層上に実施例
1と同様の方法で厚さ約20μmの銅電極パターンを形
成させた。このように作製した基板は絶縁層や電極の剥
離等が生じていなのを実体顕微鏡で確認し、又基板上面
の銅電極部と基板下面、及び基板側面の一部を削り露出
させたアルミニウムと銅電極部の間での導通をそれぞれ
テスターで調べたが、何れも導通はなく絶縁が保たれて
いた。更に220℃に加熱したホットプレート上に該基
板を置き、同様に導通を調べたが何れも導通はなく、電
極の剥離も見られなかった。次に、実施例1と同じ方法
で基板上表面の温度とサーモモジュール表面の温度を測
定し、両温度差の経時変化を調べた。両温度差は冷却開
始約5秒後に最大となったが、その値は約6.7℃と比
較的小さな値であり、熱抵抗の極めて小さな基板である
ことが判明した。又、該基板を上下方向に切断し、切断
面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、酸
化アルミニウム層は表面に開口孔端が存在し、かつアル
ミニウムとの界面には到達していない孔が存在した。更
に該孔は、酸化アルミニウム層内深部で複数に分岐した
より孔径の小さい細孔を形成しており、この細孔はアル
ミニウム層には連通しておらず、また、細孔を含む孔内
深部まで銅電極が入り込んでいるのも確認した。
【0023】[比較例1] 前記実施例1と同様の方法
で蓚酸を酸化浴としてポーラス型陽極酸化処理を行った
アルミニウム板に生成した酸化アルミニウム層上に所定
の電極パターンとなるようにスクリーン印刷法によりハ
ンダ回路を形成させた。このように作製した基板は絶縁
層や電極の剥離等が生じていなのを実体顕微鏡で確認
し、実施例1と同様の方法で室温及び220℃での銅電
極と基材のアルミニウムとの間での導通を調べた結果、
室温での導通は見られなかったが、220℃で約60分
経過後の基板ではハンダ回路が剥がれていた。
【0024】[比較例2] 前記実施例1と同様の方法
で蓚酸を酸化浴としてポーラス型陽極酸化処理を行った
アルミニウム板に生成した酸化アルミニウム層上に、多
孔質開口部を全て覆うように、液状のポリイミド樹脂を
含浸させて固化し、封孔処理を行った。この封孔処理を
行った酸化アルミニウム層上に所定の電極パターンを有
したメタルマスクを装着し、rfマグネトロンスパッタ
リング法により、真空度1.0×10-3Pa、印加電圧
5W/cm2で120分間銅をスパッタし、厚さ約20
μmの銅電極パターンを形成させた。このように作製し
た基板の銅電極と基材のアルミニウムとの間での導通を
テスターで調べたが、導通はなかった。更に220℃に
加熱したホットプレート上に該基板を置き約60分経過
後、導通を調べたが導通はなかったものの、電極の一部
が剥離し、絶縁層に対する電極の付着強度がかなり弱い
ものとなった。又、該基板を上下方向に切断し、切断面
をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、酸化
アルミニウム層は表面に開口孔端が存在し、かつアルミ
ニウムとの界面には到達していない孔が存在したが、孔
内部には銅電極が入り込んでいなかった。
【0025】[比較例3] 前記実施例1と同様の方法
で蓚酸を酸化浴としてポーラス型陽極酸化処理を行い、
酸化アルミニウム層を片面表層部に生成させたアルミニ
ウム板を作製し、該浴から取り出し、水で洗浄した。次
いでこの酸化アルミニウム層を有するアルミニウム板
を、80℃に保たれた、硼酸31wt%と硼砂20wt
%との混酸浴中で、金属部を電源に接続して150Vの
電圧を5分間印加した。印加後流水で洗浄したものを、
実施例1と同様に、rfマグネトロンスパッタリング法
により銅電極を形成させた。このように作製した基板は
絶縁層や電極の剥離等が生じていなのを実体顕微鏡で確
認し、実施例1と同様の方法で室温及び220℃での銅
電極と基材のアルミニウムとの間での導通等を調べた結
果、室温での導通は見られなかったが、220℃で約6
0分経過後の基板では電極の一部が剥離していた。
【0026】[比較例4] 形状寸法20×20×1.
5mmの酸化アルミニウムに、厚さ20μmの銅電極パ
ターンをスクリーン印刷法により形成させ、基板を作製
した。この基板を温度一定(約25℃)に保った水冷式
ヒートシンク上に、加温可能なサーモモジュールを介在
させて電極部が上部となるように設置し、このサーモモ
ジュールに2000mAの電流を60秒流して加熱した
後直ちに、設置した基板面が冷却されるようにサーモモ
ジュールに2000mAの電流を流し、急冷を行った。
冷却開始後の該基板上表面の温度とサーモモジュール表
面の温度をT型熱電対により測定し、両温度差の経時変
化を調べた。その結果を図2に示す。図2は、縦軸に温
度差(℃)、横軸を冷却開始からの経過時間(秒)と
し、経過時間に対する温度差の関係(基板の熱的応答
性)を表したものである。両温度差は冷却開始5秒後に
最大となったが、その最大値は約12.1℃と比較的大
きな値となり、この方法で作製した基板は放熱性に劣
り、熱抵抗の比較的大きな基板であった。
【0027】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、従来の電極
等が設置された基板では達成できなかった極めて低い熱
抵抗の基板を比較的容易に作製することができる。それ
故、例えば熱電変換モジュール等の熱電変換素子搭載用
基板として用いると、素子本来が有するのエネルギー変
換特性を極めて少ない損失で発現できる熱電変換モジュ
ールが得られる可能性がある。又、本製法による基板
は、基板基材と絶縁物質、絶縁物質と電極又は電極など
からなる電気回路が極めて強固に結合したものを製造す
ることができるので、耐久性が優れた基板となり、従来
の熱伝導性基板では困難であった用途へ適用できる可能
性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で製造された熱伝導性基板の熱的
応答性を表した説明図である。
【図2】従来の方法で製造された熱伝導性基板の熱的応
答性を表した説明図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム基板基材の表層部を陽極酸
    化処理し、該基材表層部に、表面に開口孔端を有する孔
    が存在する多孔質部分と、該多孔質部分とアルミニウム
    基板基材との間に介在し、孔が存在しないバリアー層と
    からなる酸化アルミニウムの絶縁層を生成せしめ、次い
    で該絶縁層上に、スパッタリング法又は蒸着法により電
    極又は電極などからなる電気回路を形成することを特徴
    とする熱伝導性基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム基板基材の表層部を陽極酸
    化処理し、該基材表層部に、表面に開口孔端を有する孔
    が存在する多孔質部分と、該多孔質部分とアルミニウム
    基板基材との間に介在し、孔が存在しないバリアー層と
    からなる酸化アルミニウムの絶縁層を生成せしめ、更
    に、電流回復法により酸化アルミニウム生成時の印加電
    圧よりも低い電圧を印加することによって該絶縁層のバ
    リアー層に、該絶縁層の表面に開口孔端を有する孔と連
    通し、かつアルミニウム基板基材には連通することがな
    い、前記多孔質層内の孔よりも孔径が小さい細孔を形成
    せしめ、次いで該絶縁層上に、スパッタリング法又は蒸
    着法により電極又は電極などからなる電気回路を形成す
    ることを特徴とする熱伝導性基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 陽極酸化処理が、蓚酸浴、クロム酸浴、
    硫酸浴、リン酸浴、硼酸浴のうち、何れか1種の酸化浴
    を用いることを特徴とする請求項1又は2何れか記載の
    熱伝導性基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008159647A (ja) * 2006-12-21 2008-07-10 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 電気回路用放熱基板の製造方法

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JP2008159647A (ja) * 2006-12-21 2008-07-10 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 電気回路用放熱基板の製造方法

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