JPH0918063A - 酸化物超電導体量子干渉素子 - Google Patents
酸化物超電導体量子干渉素子Info
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Abstract
合が再現性良く得られる超電導体量子干渉素子を提供
し、それによって高感度の磁場検出を可能にする。 【構成】 Ga+の集束イオンビーム法により基板11
の表面に劣化領域13を形成し、その上に酸化物超電導
体 14を堆積することにより作製したジョセフソン接
合15を同一基板上に2個以上作製し、それらの接合を
リング状に接続した超伝導リングによって酸化物超伝導
体量子干渉素子が構成される。好ましくは、このような
超伝導リングが同一基板上に2個以上形成されている。
Description
なる超電導リングの干渉効果を用いた酸化物超電導体量
子干渉素子に関するものである。
の干渉効果を用いた超電導体量子干渉素子は、単一磁束
量子という限界の微弱磁場まで高感度に磁場を検出でき
ることで知られており、現在、地磁気や生体磁気のセン
サーとして使用されている。
るに当たって、トンネル障壁を制御良く形成しなければ
ならないが、この際、接合界面での超電導コヒーレンス
長が重要なパラメータとなる。ジョセフソン接合からな
る超電導リングの種類には大きく分けて、積層型と平坦
型とがある。酸化物超電導体は結晶構造や組成によって
超電導特性が敏感に影響され、接合界面の欠陥により劣
化層が生じる。この場合コヒーレンス長が短いと、良好
な接合特性が得られなくなる。積層型で広く用いられる
C軸配向薄膜では、C軸方向のコヒーレンス長が短いた
め、トンネル接合の作製が困難でしかも再現性が問題と
なっていた。
る超電導体量子干渉素子では、それぞれの接合の特性の
一致の程度が感度に影響を与えることが知られており、
かかる観点から再現性の研究が活発に続けられている。
そして、基板上に1次元的な粒界があるバイクリスタル
基板に作製した粒界接合を用いた平坦型のものが再現性
が良く、比較的容易に超電導体量子干渉素子を実現でき
る。しかしながら、接合の位置が固定されてしまい制御
することができないので、集積化する場合に問題とな
る。
型、平坦型いずれの超電導リングを用いた場合も実用上
の問題点を含んでおり、改善が望まれていた。
課題を解決し、基板上の任意の位置に良質のジョセフソ
ン接合が再現性良く得られる超電導体量子干渉素子を提
供し、それによって高感度の磁場検出を可能にすること
を目的とする。
の本発明による酸化物超電導体量子干渉素子の特徴は、
Ga+の集束イオンビーム法により基板表面に劣化領域
を形成し、その上に酸化物超電導体を堆積することによ
り作製したジョセフソン接合を同一基板上に2個以上含
む超電導リングからなる点にある。
にジョセフソン接合を形成することができ、これによっ
て特性の良好な超電導体量子干渉素子を再現性良く作成
することができる。
上に2個以上形成されていることにより、微弱磁場の空
間分布を検出することができる。
説明する。図1に本発明による酸化物超電導体量子干渉
素子の基本構造の外観を示す。1は基板、2は酸化物超
電導薄膜、3はジョセフソン接合であり、フォトリソグ
ラフ(フォトエッチング)法により酸化物超電導体量子
干渉素子を作製した。
電導体量子干渉素子の作製工程の概略図を示す。 a)まず、MgO単結晶基板11を用意し、b)その表
面に真空蒸着法により、約230nm厚の金薄膜12を堆積
する。c)その後、集束イオンビーム装置(FIB)を
用いて、30KeVに加速したGa+イオンビームを、上記基
板上のトンネル接合を形成する2箇所の位置に照射し
て、Ga劣化領域13を形成する。このときのビーム径
は50nm、ビーム電流は0.1pAである。
e)基板上にYBa2Cu3O7-d(YBCO)薄膜14を作製
する。薄膜作製条件は、ターゲットとしてYBCO多結
晶体を用い、基板温度は790℃、酸素分圧100mTorr、成
長時間27分で膜厚は300nmである。用いたレーザーはK
rFのエキシマレーザーで波長248nm、エネルギー密度
5J/cm2である。その後、Ga劣化領域を横切る部分に
ジョセフソン接合15を形成し、f)フォトリソグラフ
及びArイオンを用いたエッチング技術により幅5μm
長さ90μmの配線パターンを有する超電導リングを作
製する。g)最後に2箇所のジョセフソン接合15が並
列接続されるように、超電導リングの2箇所に電極用金
薄膜16を作成する。
く拡大平面図である。90×90μmの超電導リング中に2
つのジョセフソン接合15が形成されている。図4は上
記のようにして作成された酸化物超電導体量子干渉素子
の電気抵抗の温度依存性を示す。88K以下で超電導状態
になっており、良質の薄膜が作製されていることがわか
る。
超電導体量子干渉素子の二つの電極16の間に直流バイ
アス電流電源を接続して所定の小電流を印加する。そし
て、両電極間の電圧をディジタル電圧計22によって測
定する。ジョセフソン接合15が超伝導状態にあるとき
電圧は発生しないが、印加電流が臨界値Icを超えると
電圧が発生する。この臨界値Icは超伝導リングを貫く
磁束Φの振動関数であり、その周期は1磁束量子Φ0=
h/2e=2.07×10-15Wbである したがって、臨界電流Icより大きい一定のバイアス電
流を流しておけば、ディジタル電圧計22によって測定
される電圧はΦ0の振動関数となる。図5の測定系で
は、超伝導リングを貫く磁束Φは、超伝導リングを囲む
コイル24とそれに接続された交流電流電源23によっ
てに印加される。
に、磁束Φを変化させたときの出力電圧の周期的な変化
が観測された。磁場の周期は約1.7×10-7T(テス
ラ)であって、超伝導リングの面積と単一磁束量子の関
係から求められる値に一致する。このようにして、微弱
な磁場が測定される。また、出力電圧は、臨界電流近傍
のバイアス電流を印加することにより、最大約8μVで
あった。
実施例と基本的には同様の工程により作成される。Mg
O単結晶基板の表面に真空蒸着法により、約200nm厚の
金薄膜を堆積する。その後、集束イオンビーム装置(F
IB)中に上記基板を置き30KeVに加速したGa+イオン
ビームを、基板のトンネル接合を形成する位置に照射す
る。ビーム径は50nm、ビーム電流は0.1pAである。金蒸
着膜を全面にわたり除去した後、基板上にNdBa2Cu307-d
(NBCO)薄膜を作製する。薄膜作製条件は、ターゲ
ットとしてNBCO多結晶体を用い、基板温度は740
℃、雰囲気圧70mTorr、酸素ガス流量0.1sccmでアルゴン
ガス流量0.4sccm、成長時間60分で膜厚は300nmである。
用いたRFパワーは60Wである。
を用いたエッチング技術により、Ga劣化領域を横切る
部分がジョセフソン接合となるように、幅5μm長さ90
μmの配線パターンを有する超電導リングを作製する。
大平面図は、上述の実施例1の説明において図3に示し
たものと同様であり、90×90μmの超電導リング中に2
つのジョセフソン接合15が形成されている。
性を示す。86K以下で超電導状態になっており、良質の
薄膜が作製されていることがわかる。第1実施例で説明
した測定系によって観測される磁場を変化させたときの
出力電圧の変化は図8のようになり、やはり周期的な変
化が観測されている。磁場の周期は約1.7×10-7T
(テスラ)であって、超伝導リングの面積と単一磁束量
子の関係から求められる値に一致する。このようにして
微弱な磁場が測定される。また、出力電圧は、臨界電流
近傍のバイアス電流を印加することにより、最大約16
μVであり、第1実施例の2倍の値であった。
実施例の製造工程も基本的には実施例1と同様である。
MgO単結晶基板の表面に真空蒸着法により、約200nm
厚の金薄膜を堆積する。その後、集束イオンビーム装置
(FIB)中に上記基板を置き30KeVに加速したGa+イ
オンビームを、基板のトンネル接合を形成する位置に照
射する。この際、基板上の任意の位置および任意の数の
接合形成部にビームを照射することができる。ビーム径
は50nm、ビーム電流は0.1pAである。金蒸着膜を全面に
わたり除去した後、基板上にNBCO薄膜を作製する。
薄膜作製条件は、ターゲットとしてNBCO多結晶体を
用い、基板温度は740℃、雰囲気圧70mTorr、酸素ガス流
量0.1sccmでアルゴンガス流量0.4sccm、成長時間60分で
膜厚は300nmである。用いたRFパワーは60Wである。
その後、フォトリソグラフ及びArイオンを用いたエッ
チング技術により、Ga劣化領域を横切る部分がジョセ
フソン接合となるように幅5μm長さ90μmの配線パタ
ーンを有する超電導リングを作製する。
大平面図を図9に示す。また、図9中の円で囲んだ領域
17の拡大図を図10に示す。図10から、領域17に
は一対のジョセフソン接合15を有する90×90μmの超
電導リングが2箇所に形成されていることがわかる。図
9に示された2cm角の基板上には領域17と同一のパ
ターンが9箇所に形成されているので、合計18個の超
伝導リングが形成されていることになる。各超伝導リン
グごとに第1実施例で説明したような測定系を接続すれ
ば、各超伝導リングごとに磁束の測定データが得られる
ので、超電導リング集合素子全体として、微弱な磁場の
空間分布を測定することができる。
基板上の任意の場所にジョセフソン接合を形成すること
ができる。したがって、複数の超伝導リングを形成する
場合も、基板上の任意の位置に形成することができる。
このように、従来のバイクリスタル基板等を用いた平坦
型超電導体量子干渉素子では実現できなかった良質の超
電導体量子干渉素子を再現性良く作製することができ
る。より微弱な磁気測定を可能にする超電導体量子干渉
素子を簡便な作製プロセスによって作製すことができる
だけでなく、集積化にも適している。
素子の外観を示す斜視図
の作成行程の概略図
干渉素子の光学顕微鏡像に基づく拡大平面図
の温度依存性を示す図
構成図
の磁場依存性を示す図
干渉素子の電気抵抗の温度依存性を示す図
の磁場依存性を示す図
干渉素子の光学顕微鏡像に基づく拡大平面図
Claims (2)
- 【請求項1】 Ga+の集束イオンビーム法により基板
表面に劣化領域を形成し、その上に酸化物超電導体を堆
積することにより作製したジョセフソン接合を同一基板
上に2個以上含む超電導リングからなることを特徴とす
る酸化物超電導体量子干渉素子。 - 【請求項2】 前記超電導リングが同一基板上に2個以
上形成されている請求項1記載の酸化物超電導体量子干
渉素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7161696A JPH0918063A (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 酸化物超電導体量子干渉素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7161696A JPH0918063A (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 酸化物超電導体量子干渉素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0918063A true JPH0918063A (ja) | 1997-01-17 |
Family
ID=15740131
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7161696A Pending JPH0918063A (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 酸化物超電導体量子干渉素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0918063A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
MD174Z (ro) * | 2009-05-19 | 2010-10-31 | Институт Электронной Инженерии И Промышленных Технологий Академии Наук Молдовы | Material semiconductor |
MD323Z (ro) * | 2009-12-29 | 2011-08-31 | Институт Электронной Инженерии И Промышленных Технологий Академии Наук Молдовы | Microfir termoelectric în izolaţie de sticlă |
-
1995
- 1995-06-28 JP JP7161696A patent/JPH0918063A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
MD174Z (ro) * | 2009-05-19 | 2010-10-31 | Институт Электронной Инженерии И Промышленных Технологий Академии Наук Молдовы | Material semiconductor |
MD323Z (ro) * | 2009-12-29 | 2011-08-31 | Институт Электронной Инженерии И Промышленных Технологий Академии Наук Молдовы | Microfir termoelectric în izolaţie de sticlă |
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