JPH09175887A - 単結晶引上装置 - Google Patents

単結晶引上装置

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JPH09175887A
JPH09175887A JP34170395A JP34170395A JPH09175887A JP H09175887 A JPH09175887 A JP H09175887A JP 34170395 A JP34170395 A JP 34170395A JP 34170395 A JP34170395 A JP 34170395A JP H09175887 A JPH09175887 A JP H09175887A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単結晶引上装置において、内ルツボを設置す
る際に生じる気泡の付着を抑制することを課題とする。 【解決手段】 気密容器の内部に設けられた外ルツボに
半導体融液を貯留し、この外ルツボ内に筒状仕切り体で
ある内ルツボを載置して二重ルツボを形成し、前記内ル
ツボ内の半導体融液より半導体単結晶を引き上げる単結
晶引上装置において、前記内ルツボは、側壁に形成され
前記二重ルツボを形成した状態で半導体融液を内部に流
入させる連通孔を有し、該連通孔は、少なくとも上縁部
が連通孔の内方に向かって漸次肉厚が薄く設定されたテ
ーパ部とされている技術が採用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二重構造のルツボ
を用いて貯留された半導体融液より半導体単結晶を引き
上げる単結晶引上装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン(Si)やガリウムヒ素
(GaAs)等の半導体単結晶を成長する方法の一つと
して、CZ法が知られている。このCZ法は、大口径、
高純度の単結晶が無転位あるいは格子欠陥の極めて少な
い状態で容易に得られること等の特徴を有することか
ら、様々な半導体結晶の成長に用いられている方法であ
る。
【0003】近年、単結晶の大口径化、高純度化、酸素
濃度および不純物濃度等の均一化の要求に伴いこのCZ
法も様々に改良され実用に供されている。上記CZ法の
改良型の一つにいわゆる二重ルツボを用いた連続チャー
ジ型磁界印加CZ法(以下、CMCZ法と略称する)が
提案されている。この方法は、外部からルツボ内の半導
体融液に磁界を印加することにより、前記半導体融液内
の対流を抑制し極めて酸素濃度の制御性が良く単結晶化
率が良い単結晶を成長することができ、外側のルツボと
内側のルツボとの間に原料を連続供給し長尺の半導体単
結晶を容易に得ることができる等の特徴を有する。した
がって、大口径かつ長尺の半導体単結晶を得るには最も
優れた方法の一つであると言われている。
【0004】図7は、上記のCMCZ法を用いたシリコ
ンの単結晶引上装置の一例である。この単結晶引上装置
1は、中空の気密容器であるチャンバ2内に、二重ルツ
ボ3、ヒーター4、原料供給装置5がそれぞれ配置さ
れ、該チャンバ2の外部にマグネット6が配置されてい
る。
【0005】二重ルツボ3は、略半球状の石英(SiO
2)製の外ルツボ11と、図8の(a)に示すように、
該外ルツボ11内に設けられた円筒状の仕切り体である
石英(SiO2)製の内ルツボ12とから形成され、該
内ルツボ12の側壁には、内ルツボ12と外ルツボ11
との間(原料融解領域)と内ルツボ12の内側(結晶成
長領域)とを連通する連通孔13が複数個形成されてい
る。
【0006】この二重ルツボ3は、チャンバ2の中央下
部に垂直に立設されたシャフト14上のグラファイト製
のサセプタ15に載置されており、前記シャフト14の
軸線を中心として水平面上で所定の角速度で回転する構
成になっている。そして、この二重ルツボ3内には半導
体融液(加熱融解された半導体単結晶の原料)21が貯
留されている。
【0007】ヒーター4は、半導体の原料をルツボ内で
加熱・融解するとともに生じた半導体融液21を保温す
るもので、通常、抵抗加熱が用いられる。原料供給装置
5は、所定量の半導体の原料22を外ルツボ11と内ル
ツボ12との間の半導体融液21面上に連続的に投入す
るものである。
【0008】マグネット6は、二重ルツボ3の外方から
二重ルツボ3内の半導体融液21に磁界を印加すること
で、半導体融液21内で発生するローレンツ力により該
半導体融液21の対流の制御および酸素濃度の制御、液
面振動の抑制等を行うものである。
【0009】上記原料供給装置5から供給させる原料2
2としては、例えば、多結晶シリコンのインゴットを破
砕機等で破砕してフレーク状にしたもの、あるいは、気
体原料から熱分解法により粒状に析出させた多結晶シリ
コンの顆粒が好適に用いられ、必要に応じてホウ素
(B)(p型シリコン単結晶を作る場合)やリン(P)
(n型シリコン単結晶を作る場合)等のドーパントと呼
ばれる添加元素がさらに供給される。また、ガリウムヒ
素(GaAs)の場合も同様で、この場合、添加元素は
亜鉛(Zn)もしくはシリコン(Si)等となる。
【0010】上記の単結晶引上装置1により、内ルツボ
12の上方かつ軸線上に配された引上軸24に種結晶2
5を吊り下げ、半導体融液21上部において種結晶25
を核として半導体単結晶26を成長させる。
【0011】ところで、上記の単結晶引上装置では、特
開昭63−303894号公報に記載されているよう
に、単結晶を成長する前工程において、外ルツボ11に
予め多結晶シリコン塊等の多結晶原料を融解させて半導
体融液21を貯留し、外ルツボ11の上方に配された内
ルツボ12を、外ルツボ11内に載置して、二重ルツボ
3を形成している。このように多結晶原料の融解後に二
重ルツボ3を形成するのは、多結晶原料を完全に融解し
て半導体融液21を得るために、ヒーター4によって外
ルツボ11内の原料を単結晶成長温度以上の温度まで高
温加熱する必要があり、この際に、予め内ルツボ12を
外ルツボ11内に載置させていると、内ルツボ12に大
きな熱変形が生じてしまうからである。
【0012】したがって、多結晶原料を完全に融解した
後、ヒーター4による加熱をある程度弱めてから内ルツ
ボ12を外ルツボ11に載置させることによって、初期
原料融解時の高温加熱を避け、内ルツボ12の変形を抑
制している。
【0013】また、内ルツボ12に形成された連通孔1
3は、原料供給時に半導体融液21を内ルツボ12の外
側から内ルツボ12の内側にのみ流入させるように一定
の開口径以下に設定されている。すなわち、この理由は
連通孔13の開口面積が大きすぎると、結晶成長領域か
ら半導体融液21が対流により原料融解領域に戻る現象
が生じると単結晶成長における不純物濃度および融液温
度等の制御が困難になってしまうためである。
【0014】しかしながら、連通孔13の開口径が小さ
すぎると、内ルツボ12の外側から内ルツボ12の内側
へ半導体融液21が流入し難くなり、内ルツボ12の外
側と内ルツボ12の内側における半導体融液21の液位
に差が生じ易くなるとともに、この差を相殺させようと
する力で液面が揺れてしまい単結晶成長に悪影響を及ぼ
してしまう。このため、前記連通孔13は、内ルツボ1
2の内側から内ルツボ12の外側に半導体融液21が逆
流しないとともに、内ルツボ12の内側と内ルツボ12
の外側の半導体融液21の液位差が生じない範囲の開口
径に設定されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
単結晶引上装置には、以下のような課題が残されてい
る。すなわち、外ルツボ11内に半導体融液21を貯留
した後に、内ルツボ12を載置して二重ルツボを形成す
るため、内ルツボ12に形成されている複数の連通孔1
3には、図8の(b)に示すように、雰囲気ガスとして
用いられる不活性ガス、例えばアルゴン等の気泡Aが付
着してしまう場合がある。このように気泡Aが付着した
状態の連通孔13では、実質的な開口径が狭まってしま
うとともに、半導体融液21が内ルツボ12の外側から
連通孔13を通して内ルツボ12内に流入する際に、融
液流抵抗が増大してその流れが阻害されてしまう。すな
わち、連通孔13の開口径が前述した好適な範囲より小
さくなってしまい、単結晶成長が困難となってしまう。
また、連通孔13の開口径を大きく設定すれば、付着し
た気泡Aの影響が低減されると考えられるが、上述した
ように連通孔13の開口径には上限があり、開口径の拡
大化も制限される。
【0016】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
ので、内ルツボを設置する際に生じる気泡の付着を抑制
し、長尺大口径の単結晶を安定して引き上げる装置を提
供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために以下の構成を採用した。すなわち、請求項
1記載の単結晶引上装置では、気密容器の内部に設けら
れた外ルツボに半導体融液を貯留し、この外ルツボ内に
筒状仕切り体である内ルツボを載置して二重ルツボを形
成し、前記内ルツボ内の半導体融液より半導体単結晶を
引き上げる単結晶引上装置において、前記内ルツボは、
側壁に形成され前記二重ルツボを形成した状態で半導体
融液を内部に流入させる連通孔を有し、該連通孔は、少
なくとも上縁部が下方に向かって漸次肉厚が薄く設定さ
れたテーパ部とされている。
【0018】この単結晶引上装置では、連通孔の上縁部
がテーパ部とされているので、二重ルツボを形成する際
に、内ルツボが半導体融液中に浸入すると、半導体融液
が連通孔に浸入し付着していた気泡を押し上げるととも
にテーパ部とされた上縁部によって外部に誘導すること
から、連通孔への気泡の付着が防止される。また、前記
連通孔の上縁部先端の幅が狭くなり、連通孔の全周縁部
先端と気泡との接触面積が減少することから、この点に
おいても半導体融液が浸入する際に気泡の離脱が容易と
なる。
【0019】請求項2記載の単結晶引上装置では、気密
容器の内部に設けられた外ルツボに半導体融液を貯留
し、この外ルツボ内に筒状仕切り体である内ルツボを載
置して二重ルツボを形成し、前記内ルツボ内の半導体融
液より半導体単結晶を引き上げる単結晶引上装置におい
て、前記内ルツボは、下端に形成され前記二重ルツボを
形成した状態で半導体融液を内部に流入させる連通部を
形成する切欠部を有し、該切欠部は、少なくとも上縁部
が下方に向かって漸次肉厚が薄く設定されたテーパ部と
されている。
【0020】この単結晶引上装置では、切欠部の上縁部
がテーパ部とされているので、内ルツボの下端を半導体
融液に接触させた段階で既に切欠部の下部に半導体融液
が浸入するとともに、その半導体融液が切欠部に徐々に
浸入して切欠部の気泡を押し上げる。このとき、該気泡
は、テーパ部とされた上縁部によって外部に誘導される
ことから、切欠部への気泡の付着が防止される。また、
前記切欠部の上縁部先端の幅が狭くなり、該上縁部先端
と気泡との接触面積が減少することから、請求項1記載
の単結晶引上装置と同様に、この点においても半導体融
液が浸入する際に気泡の離脱が容易となる。なお、前記
切欠部は、内ルツボが外ルツボ内に載置されて二重ルツ
ボを形成した状態では、半導体融液を内部に流入させる
連通部となる。
【0021】請求項3記載の単結晶引上装置では、請求
項1または2のいずれかに記載の単結晶引上装置におい
て、前記上縁部は、内ルツボの外面から内面まで前記連
通孔または切欠部の内方に向けて傾斜した傾斜面を有す
る。
【0022】この単結晶引上装置では、連通孔または切
欠部の上縁部に、内ルツボの外面から内面に下方に向け
て傾斜した傾斜面が形成されているので、二重ルツボを
形成する際に、半導体融液が気泡を押し上げるととも
に、前記傾斜面に誘導されて、内ルツボの外側に押し出
される。したがって、結晶成長領域である内ルツボの内
側への前記気泡の流入が抑制される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の第1形態を
図1および図2を参照しながら説明する。これらの図に
あって、符号31はシリコンの単結晶引上装置、32は
連通孔、33は内ルツボを示している。
【0024】第1形態の単結晶引上装置31は、図1に
示すように、従来例で説明した単結晶引上装置1におい
て連通孔13が形成された内ルツボ12の代わりに、前
記連通孔13とは異なる形状の連通孔32が形成された
内ルツボ33を用いたものであり、図1において図7に
示す構成要素と同一の要素には同一符号を付してあり、
この同一要素については説明を省略する。
【0025】単結晶引上装置31は、図2に示すよう
に、円筒状の仕切り体である石英製の内ルツボ33を半
導体融液21が貯留された外ルツボ11内に載置した二
重ルツボ構造を有するものである。
【0026】前記内ルツボ33は、その側壁の下部に互
いに軸線を中心に一定距離離間して配された3つの連通
孔32が形成されている。これらの連通孔32は、図3
の(a)および(b)に示すように、上半分の上縁部3
2Aが連通孔32の内方に向かって漸次肉厚が薄く設定
されたテーパ部とされ、最小開口部分が円形状に形成さ
れている。前記上縁部32Aは、内ルツボ33の外側お
よび内側の両方とも傾斜面とされたテーパ部であり、そ
の先端32Bが連通孔32の内部に位置するように形成
されている。
【0027】また、連通孔32の開口径は、内ルツボ3
3内外の液位に差が生じず、かつ内ルツボ33内から内
ルツボ12の外側へ半導体融液21が戻る逆流現象が生
じない範囲に設定されている。
【0028】次に、本発明に係る単結晶引上装置の一形
態におけるシリコンの半導体単結晶を成長させる方法に
ついて説明する。
【0029】〔初期原料融解工程〕まず、多結晶シリコ
ン塊の多結晶原料を所定量だけ外ルツボ11内に入れ、
チャンバ2内を真空ポンプ等で排気し真空状態とする。
また、該チャンバ2内にアルゴン(Ar)等の不活性ガ
スを導入し、シャフト14を軸線を中心として所定の角
速度で水平面上で回転させることで外ルツボ11を所定
の角速度で回転させながら、ヒーター4に通電し外ルツ
ボ11内の多結晶原料を単結晶成長温度以上の温度まで
加熱し、この原料を完全に融解する。
【0030】〔二重ルツボ形成工程〕原料が完全に融解
した後、ヒーター4による加熱を若干弱めるとともに、
外ルツボ11の上方に軸線を同じくして配される内ルツ
ボ33を半導体融液21内に載置し、形成する。
【0031】このとき、連通孔32の上縁部32Aがテ
ーパ部とされているので、内ルツボ33が半導体融液2
1中に浸入すると、半導体融液21が連通孔32に浸入
し付着していた気泡Aを押し上げるとともにテーパ部と
された上縁部32Aによって外側または内側のいずれか
の外部に誘導することから、連通孔32への気泡Aの付
着が防止される。また、前記連通孔32の上縁部32A
の先端32Bの幅が狭くなり、該先端32Bと気泡Aと
の接触面積が減少することから、この点においても半導
体融液21が浸入する際に気泡Aの離脱が容易となる。
【0032】〔単結晶成長工程〕二重ルツボ3を形成し
た後、マグネット6に通電し所定の磁界を印加し、ヒー
ター4の電力を調整して半導体融液21の中央液面23
付近を単結晶成長温度に保ち、引上軸24により吊り下
げられた種結晶25を半導体融液21になじませた後、
この種結晶25を核として半導体単結晶26を成長させ
る。ここでは、種結晶を無転位化した後にこの単結晶の
径を徐々に大口径化し所定の径の半導体単結晶26とす
る。
【0033】この結晶成長過程においては、半導体単結
晶26の成長量(引上量)に応じてシリコンの粒状の原
料22が連続的に投入され(必要に応じてドーパントを
入れる。)、この投入された原料22は内ルツボ12の
外側で融解し、連通孔32を通って内ルツボ33内に連
続的に供給される。以上により、半導体単結晶26を成
長することができる。
【0034】次に、本発明の実施の第2形態を図4を参
照しながら説明する。これらの図にあって、符号41は
内ルツボ、42は連通孔を示している。
【0035】第2形態と第1形態との異なる点は、第2
形態の内ルツボ41における連通孔42の周縁部が、連
通孔42の内方に向かって漸次肉厚が薄くなるテーパ部
とされた上縁部42Aおよび下縁部42Bから構成され
ている点である。また、前記上縁部42Aは、内ルツボ
41の外面41Aから内面41Bまで連通孔42の内方
に向けて傾斜した傾斜面42Cを有するとともに、下縁
部42Bは、内ルツボ41の外面41Aから内面41B
まで連通孔42の内方に向けて傾斜した傾斜面42Dを
有している。
【0036】すなわち、二重ルツボを形成する際に、連
通孔42の気泡は、半導体融液21の流入に伴って上縁
部42Aの傾斜面42Cに誘導されるとともに、内ルツ
ボ41の外方に押し出される。したがって、結晶成長領
域となる内ルツボ41内側への気泡の流入を抑制するこ
とができる。
【0037】また、連通孔42の上縁部42Aだけでな
く下縁部42Bにおいてもテーパ部とされているので、
全周縁部の先端の幅が狭くなり、該先端と気泡との接触
面積が極めて少なくなることから、半導体融液21が浸
入する際に気泡をさらに容易に離脱させることができ
る。
【0038】次に、本発明の実施の第3形態を図5およ
び図6を参照しながら説明する。これらの図にあって、
符号51は内ルツボ、52は切欠部を示している。
【0039】第3形態と第2形態との異なる点は、第3
形態における内ルツボ51では、半導体融液21を内部
に流入させる連通部として連通孔ではなく切欠部52が
形成されている点である。すなわち、図5に示すよう
に、内ルツボ51は、その下端の2カ所に互いに軸線に
対して対称な位置に切欠部52が形成され、これらの切
欠部52は、二重ルツボを形成した状態で半導体融液2
1を内部に流入させる連通部を形成するものである。
【0040】前記切欠部52は、図6の(a)に示すよ
うに、下部に垂直に立ち上がる立ち上がり部52Bが形
成されているとともに、その上部には上方に向かって漸
次幅が狭められ90度の角度を有する頂部52Cが形成
されている。前記立ち上がり部52Bおよび頂部52C
における全周縁部52Dは、切欠部52の内方に向かっ
て漸次肉厚が薄く設定されたテーパ部とされている。
【0041】したがって、切欠部52の周縁部52Dが
テーパ部とされているので、内ルツボ51の下端を半導
体融液21に接触させた段階で既に切欠部52の下部に
半導体融液21が浸入するとともに、その半導体融液2
1が切欠部52に徐々に浸入して切欠部52の気泡を押
し上げる。このとき、該気泡は、テーパ部とされた周縁
部52Dによって内ルツボ51外側の外部に誘導される
ことから、切欠部52への気泡の付着が防止される。
【0042】また、切欠部52は、内ルツボ51を外ル
ツボ11内に載置した状態における最小開口径が、内ル
ツボ51内外の液位に差が生じず、かつ内ルツボ51の
内側から内ルツボ51の外側へ半導体融液21が戻る逆
流現象が生じない範囲に設定されている。
【0043】なお、本発明は、次のような実施形態をも
含むものである。 (1)内ルツボ33、41、51は円筒状に形成された
仕切り体であるが、筒状であれば他の形状でも構わな
い。例えば、有底円筒状の仕切り体としてもよい。 (2)連通孔32の上縁部32A、連通孔42の全周縁
部42Aおよび切欠部52の全周縁部52Dは、それぞ
れ断面形状が三角形のテーパ部としたが、断面形状が台
形とされるテーパ部としても構わない。
【0044】(3)内ルツボ33、41に連通孔32、
42をそれぞれ3個、内ルツボ51に切欠部52を2個
設けたが、これらの連通孔32、42および切欠部52
を単数または上記以外の個数設けても構わない。特に、
成長する単結晶の大口径化にともなってルツボを大口径
化する場合は、内ルツボの周方向に多数箇所設けること
が望ましい。 (4)単結晶引上装置としてCMCZ法を採用したが、
二重ルツボ構造であるなら、他の単結晶製造方法を適用
しても構わない。例えば、磁場印加を行わない連続チャ
ージ型CZ法(CCZ法)を採用してもよい。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、以下の効果を奏する。 (1)請求項1記載の単結晶引上装置によれば、連通孔
の上縁部がテーパ部とされているので、二重ルツボを形
成する際に、半導体融液が連通孔に浸入し付着していた
気泡を押し上げるとともにテーパ部とされた上縁部によ
って外部に誘導することから、連通孔への気泡の付着を
抑制することができる。また、前記連通孔の上縁部先端
の幅が狭くなり、該上縁部先端と気泡との接触面積が減
少することから、気泡の離脱が容易となる。したがっ
て、連通孔から気泡が容易に除去されるので、半導体融
液の連通孔流入時における抵抗の増加を抑制することが
でき、設定通りの連通部の開口面積が得られるととも
に、良好な単結晶成長を行うことができる。
【0046】(2)請求項2記載の単結晶引上装置によ
れば、切欠部の上縁部がテーパ部とされているので、二
重ルツボを形成する際に、半導体融液が切欠部に徐々に
浸入し気泡を押し上げるとともにテーパ部とされた上縁
部によって外部に誘導することから、切欠部への気泡の
付着をさらに抑制することができる。また、前記切欠部
の上縁部先端の幅が狭くなり、該上縁部先端と気泡との
接触面積が減少することから、気泡の離脱が容易とな
る。したがって、切欠部から気泡が容易に除去されるの
で、半導体融液の切欠部流入時における抵抗の増加を抑
制することができ、二重ルツボ形成時に設定通りの切欠
部の開口面積が得られるとともに、より良好な単結晶成
長を行うことができる。
【0047】(3)請求項3記載の単結晶引上装置によ
れば、上縁部に、内ルツボの外面から内面まで連通孔ま
たは切欠部の内方に向けて傾斜した傾斜面が形成されて
いるので、二重ルツボを形成する際に、気泡を傾斜面で
誘導して、内ルツボの外側に押し出すことができる。し
たがって、結晶成長領域である内ルツボ内側への前記気
泡の流入が抑制され、該気泡による結晶成長への影響を
低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る単結晶引上装置の第1形態を示す
断面図である。
【図2】本発明に係る単結晶引上装置の第1形態におけ
る内ルツボを示す斜視図である。
【図3】本発明に係る単結晶引上装置の第1形態におけ
る内ルツボを示す要部を拡大した正面図および該正面図
におけるX−X線矢視断面図である。
【図4】本発明に係る単結晶引上装置の第2形態におけ
る内ルツボを示す要部を拡大した正面図および該正面図
におけるY−Y線矢視断面図である。
【図5】本発明に係る単結晶引上装置の第3形態におけ
る内ルツボを示す斜視図である。
【図6】本発明に係る単結晶引上装置の第3形態におけ
る内ルツボを示す要部を拡大した正面図および該正面図
におけるZ−Z線矢視断面図である。
【図7】本発明に係る単結晶引上装置の従来例を示す断
面図である。
【図8】本発明に係る単結晶引上装置の従来例における
内ルツボを示す斜視図および要部を拡大した正面図であ
る。
【符号の説明】
11 外ルツボ 21 半導体融液 22 原料 31 単結晶引上装置 32、42 連通孔 32A、42A 上縁部 33、41、51 内ルツボ 42B 下縁部 42C 傾斜面 52 切欠部 52D 周縁部 A 気泡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 喜田 道夫 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気密容器の内部に設けられた外ルツボに
    半導体融液を貯留し、この外ルツボ内に筒状仕切り体で
    ある内ルツボを載置して二重ルツボを形成し、前記内ル
    ツボ内の半導体融液より半導体単結晶を引き上げる単結
    晶引上装置において、 前記内ルツボは、側壁に形成され前記二重ルツボを形成
    した状態で半導体融液を内部に流入させる連通孔を有
    し、 該連通孔は、少なくとも上縁部が連通孔の内方に向かっ
    て漸次肉厚が薄く設定されたテーパ部とされていること
    を特徴とする単結晶引上装置。
  2. 【請求項2】 気密容器の内部に設けられた外ルツボに
    半導体融液を貯留し、この外ルツボ内に筒状仕切り体で
    ある内ルツボを載置して二重ルツボを形成し、前記内ル
    ツボ内の半導体融液より半導体単結晶を引き上げる単結
    晶引上装置において、 前記内ルツボは、下端に形成され前記二重ルツボを形成
    した状態で半導体融液を内部に流入させる連通部を形成
    する切欠部を有し、 該切欠部は、少なくとも上縁部が切欠部の内方に向かっ
    て漸次肉厚が薄く設定されたテーパ部とされていること
    を特徴とする単結晶引上装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかに記載の単
    結晶引上装置において、 前記上縁部は、内ルツボの外面から内面まで前記連通孔
    または切欠部の内方に向けて傾斜した傾斜面を有するこ
    とを特徴とする単結晶引上装置。
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