JPH09173433A - 救急絆創膏用フィルム - Google Patents

救急絆創膏用フィルム

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JPH09173433A
JPH09173433A JP7336763A JP33676395A JPH09173433A JP H09173433 A JPH09173433 A JP H09173433A JP 7336763 A JP7336763 A JP 7336763A JP 33676395 A JP33676395 A JP 33676395A JP H09173433 A JPH09173433 A JP H09173433A
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JP
Japan
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film
aid
bandage
aid bandage
deformation
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Application number
JP7336763A
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English (en)
Inventor
Yozo Kirie
洋三 桐榮
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 剥離紙を剥離する際の変形に起因する救急絆
創膏用フィルムにおける所望でないカールを効果的に抑
制し得る救急絆創膏用フィルムを得る。 【解決手段】 10%変形時応力が100〜400kg
f/mm2 の範囲にあり、フィルムが単層で構成されて
いる場合には、その構成樹脂の複数の層で構成されてい
る場合には、最外層を構成している樹脂の下記の式
(1)で定義される値Xが50以上であることを特徴と
する救急絆創膏用フィルム。 (但し、式(1)において、νは樹脂のポアソン比、a
は20%引っ張り時の弾性率(単位はkgf/m
2 ))。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂を用いた救急絆創膏用フィルムに関し、特に、ポリ
オレフィン系樹脂フィルムの機械的性質を改善すること
により、貼付に際しての作業性を高めた救急絆創膏用フ
ィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】救急絆創膏では、合成樹脂フィルムより
なる基材の表面に粘着剤層が形成されている。従来、上
記基材を構成する救急絆創膏用フィルムとしては、軟質
ポリ塩化ビニルからなるものが広く用いられていた。
【0003】しかしながら、軟質ポリ塩化ビニルよりな
るフィルムでは、含有されている可塑剤が染み出し、救
急絆創膏用フィルムと粘着剤との粘着力が低下すること
があった。そこで、軟質ポリ塩化ビニルよりなる救急絆
創膏用フィルムでは、アンカーコート剤により表面を処
理した後でなければ、粘着剤をフィルム表面に塗布する
ことができなかった。
【0004】これに対して、ポリエチレンやポリプロピ
レンなどのポリオレフィン系樹脂フィルムを救急絆創膏
用フィルムとして用いた場合、上記アンカーコート剤に
よる処理を省略することができる。このようなポリオレ
フィン系樹脂フィルムを用いた救急絆創膏用フィルム
は、例えば、特開平7−62154号公報などに開示さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリオ
レフィン系樹脂フィルムを救急絆創膏用フィルムとして
用いた場合、使用に際して粘着剤層を覆っている剥離紙
から救急絆創膏を剥離した際に、基材すなわち救急絆創
膏用フィルムがカールし、貼付を容易に行い得ないとい
う問題があった。これを、図1を参照して説明する。
【0006】救急絆創膏1は、ポリオレフィン系樹脂よ
りなり、基材としての救急絆創膏用フィルム2の片面に
粘着剤層3を形成した構造を有する。なお、図示の救急
絆創膏1では、中央に患部を覆うためのガーゼ4が貼り
付けられている。また、使用に先立っては、粘着剤層3
及びガーゼ4を被覆する剥離紙(図示されず)が配置さ
れている。使用に際しては、剥離紙を取り除き、患部に
ガーゼ4を当接させると共に、粘着剤層3を皮膚表面に
貼り付ける。
【0007】ところが、救急絆創膏用フィルム2をポリ
オレフィン系樹脂で構成した場合、剥離紙を除去した段
階では、図示のように粘着剤層3を外側にして救急絆創
膏用フィルム2がカールするという問題があった。従っ
て、救急絆創膏用フィルム2の端部2a,2bが救急絆
創膏用フィルム2の背面(粘着剤層3が設けられていな
い側の面)側にまで至るようにカールするため、救急絆
創膏1の皮膚表面への貼付が非常に困難であった。
【0008】本発明の目的は、アンカーコートを必要と
せずに粘着剤層を形成し得るだけでなく、貼付に際して
のカールの発生程度を効果的に抑制することができ、従
って貼付性に優れた救急絆創膏を与え得るポリオレフィ
ン系樹脂を用いた救急絆創膏用フィルムを提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1,2に記載の発
明は、上記課題を達成するために成されたものであり、
それぞれ、下記の構成を備えることを特徴とする。
【0010】すなわち、請求項1に記載の発明に係る救
急絆創膏用フィルムは、10%変形時応力が100〜4
00kgf/mm2 の範囲にあるポリオレフィン系樹脂
フィルムよりなる。このフィルムを構成しているポリオ
レフィン系樹脂組成物の下記の式(1)で定義される値
Xは、50以上である。
【0011】
【数3】
【0012】但し、式(1)において、νはポアソン比
(単位は無次元)を、aは面内方向20%引っ張り変形
時の弾性率(単位はkgf/mm2 )を示す。また、請
求項2に記載の発明に係る救急絆創膏用フィルムは、1
0%変形時応力が100〜400kgf/mm2 であ
り、かつ複数のポリオレフィン系樹脂フィルム層を積層
してなる多層フィルムにより構成されている。請求項2
に記載の発明では、多層フィルムにより救急絆創膏用フ
ィルムが構成されており、そのうち最外層のフィルム層
を構成しているポリオレフィン系樹脂組成物が、上記式
(1)で定義される値Xが50以上となるように構成さ
れていることを特徴とする。
【0013】以下、本発明の原理及び構成の詳細を説明
する。救急絆創膏用フィルムにおけるカールの発生原因
は多岐にわたるが、その中でも、局所的な大変形を発生
させる要因が、最も大きな要因である。救急絆創膏用フ
ィルムに局所的な大変形を発生させる要因は、救急絆創
膏用フィルムを構成している樹脂の応力−歪み曲線(S
Sカーブ)の形態と、ポアソン比との関数となるが、実
際に局所的な大きな変形が発生するのは、救急絆創膏か
ら剥離紙を剥離する際に救急絆創膏用フィルムに加えら
れる力によるものと考えられる。
【0014】すなわち、救急絆創膏から剥離紙を剥離す
るに際し、ポリオレフィン系樹脂フィルムよりなる救急
絆創膏用フィルムでは、柔軟性に優れているため、図2
に側面図で示すように、救急絆創膏用フィルムを側面視
した場合に円形の変形部分を有するように剥離紙が剥離
されていく。すなわち、剥離紙を剥離していくにつれ、
救急絆創膏用フィルム5が側面視で円形となるように変
形し、この変形部分が徐々に移動し、最終的に剥離紙が
剥離されることになる。この場合、救急絆創膏用フィル
ム5の最大変形量は、図2に示す最大変形部分における
曲率半径をR、救急絆創膏用フィルムの厚みをhとする
と、最大変形量はh/2Rとなる。
【0015】他方、ポリオレフィン系樹脂フィルムにお
いて、上述した所望でないカールが残存する場合には、
剥離紙の剥離に際し、図3に示すように、側面視した場
合に、円形よりもさらに屈曲された形状に変形し、該変
形による歪みが残存することにより上記カールが発生し
ているものと考えられる。
【0016】ところで、フィルムに曲げ変形を与えた場
合、曲げられている部分における円周方向に沿う微細部
分に加えられる力は、ポアソン比をνとおくと、1/
(1−ν2 )に比例し、歪みに対する応力の変化率dδ
/dεに比例することになる。また、プラスチック材料
の応力−歪み曲線は、図4に示すように、一般に歪み量
5〜15%の間に変曲点を有する。
【0017】また、フィルムを剥離紙から剥離するに際
しては、フィルムに側面視円形の変形が生じるが、この
円の半径は、フィルムの厚みの約2倍〜3倍程度と考え
られる。従って、側面視で円形に変形されている部分の
最外周位置では、約15〜25%の変形を受けると考え
られる。従って、図5に示すように、フィルム5の変形
部分の任意の横断面に作用する曲げモーメントMは、
【0018】
【数4】
【0019】で表される。なお、式(2)において、E
はフィルムの弾性率を、hは厚みを、Rは曲率半径を示
す。ところで、上記曲げモーメントMは、変形部分が任
意の横断面曲げモーメントである。
【0020】他方、剥離紙を剥離するに際してのモーメ
ントは、単位幅あたりの剥離力をPとすると、M=2R
Pで表される。ここでのMと式(2)のMとを等しいと
すれば、
【0021】
【数5】
【0022】が導き出される。なお、式(3)におい
て、aは図4に示した応力−歪み曲線の変曲点よりも歪
みの大きな部分の傾きを示す。また、hはフィルムの厚
み、νはポアソン比を示す。
【0023】なお、式(3)を導くまでの過程において
は、粘着剤層の厚みは考慮していない。従って、上記R
を絶対的な曲率半径とすることはできないが、Rの大小
は、曲率半径の大小と相関している。
【0024】前述したように、曲率半径が大きければ大
きいほど局所的な変形、すなわちカールは抑制すること
ができる。従って、式(3)の右辺の値が大きくなれば
よいことがわかる。式(3)において、剥離力Pの値に
ついては、剥離紙や粘着剤を選択することにより自由に
設定することができる。従って、同一の剥離力Pの場合
に、同一厚みの救急絆創膏用フィルムを比較した場合、
樹脂組成の性質としてRの大きいものは、局所的な変形
が小さく、従って、カールの発生も抑制されると考えら
れる。
【0025】そこで、式(3)を基に、実際の救急絆創
膏用フィルムの設計を考えると、通常の使用に際して要
求される剥離力及びフィルムの厚みhはある程度の値に
限定される。従って、剥離力P及びフィルムの厚みhに
ついては、一定の定数として考えることができる。よっ
て、式(3)において、h3 /Pは定数に置き換えるこ
とができるため、以下の式(4)を導き得る。
【0026】
【数6】
【0027】なお、式(4)において、kは定数であ
り、上記h3 /Pに相当する。よって、Rの値は、a/
(1−ν2 )の大きさに依存することになる。すなわ
ち、式(1)で定義した値Xが、Rの大きさと関係し、
Xの値が大きければ大きいほど、上記曲率半径が大きく
なり、側面視で略円形の変形が生じた場合の円周部分の
最大変化量が小さくなり、上記所望でないカールの発生
が生じ難いことがわかる。
【0028】本願発明者は、上記のような考察の基に、
式(1)で定義した値Xを種々変更してポリオレフィン
系樹脂フィルムからなる救急絆創膏用フィルムについて
実験を繰り返したところ、Xの値が50未満の場合に
は、剥離紙を剥離する際に所望でないカールが大きく発
生し、好ましくないことがわかった。
【0029】そこで、請求項1に記載の発明では、上記
式(1)に示すXの値が50以上であるポリオレフィン
系樹脂により救急絆創膏用フィルムが構成されており、
また、請求項2に記載の発明では、最外層のポリオレフ
ィン系樹脂フィルム層においてXが50以上とされてい
る。
【0030】なお、上記式(1)で定義した値Xが10
000を超えると、救急絆創膏用フィルムの柔軟性が損
なわれ、好ましくない。従って、好ましくは、Xの値
は、50〜10000、より好ましくは、50〜100
0の範囲とされる。
【0031】救急絆創膏用フィルムでは、上記所望でな
いカールが発生しないだけでなく、十分な柔軟性を有す
ることが要求される。従って、請求項1,2に記載の発
明では、柔軟性については、10%の変形が加えられた
際の応力で柔軟性を限定している。10%変形時の応力
が100kgf/mm2 未満の場合には、救急絆創膏用
フィルムにおいて、いわゆる腰が十分でなくなり、良好
な使用感が得られなくなる。他方、400kgf/mm
2 を超えると、フィルムが硬くなり、使用時における締
め付け感が強くなり、救急絆創膏用フィルムとして好適
なものとはならない。
【0032】請求項1,2に記載の発明に係る救急絆創
膏用フィルムで用いられる上記ポリオレフィン系樹脂に
ついては、特に限定されるものではないが、エチレン、
プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、4−メチル−1ペンテン、1−オクテンなどのα−
オレフィンの単独重合体もしくはこれらα−オレフィン
の共重合体、またはエチレン−プロピレンゴム、エチレ
ン−プロピレン−ジエン3元共重合体、エチレン−アク
リル酸、エチレン−アクリル酸メチル、エチレン−メタ
クリル酸メチル、エチレン−ビニルアセテートなどを単
独であるいは2種以上併用して用いることができる。ま
た、プロピレンにエチレンをアロイ化してなる反応性熱
可塑性オレフィンエラストマーを組み合わせて用いても
よい。
【0033】また、請求項2に記載の発明のように、複
数のポリオレフィン系樹脂フィルム層を積層した多層フ
ィルムを構成する場合には、各フィルム層を選択するこ
とにより、柔軟性と表面性(すなわちアンチブロッキン
グ性)との両立を容易に図り得る。すなわち、柔軟性に
優れた材料よりなるフィルムでは、ブロッキング性が大
きくなってしまうことが知られている。そこで、柔軟性
と表面性との両立を図るために、柔軟性及び表面性の異
なる複数のポリオレフィン系樹脂フィルム層を積層する
ことにより、両者を両立し得る救急絆創膏用フィルムを
容易に得ることができる。
【0034】もっとも、請求項2に記載の発明において
は、上記複数のポリオレフィン系樹脂フィルム層のう
ち、最外層に位置するポリオレフィン系樹脂フィルム層
が、前述した式(1)で定義されるXの値が50以上で
あることが必要であり、それによって、請求項1に記載
の発明の場合と同様に、局所的な大きな変形、ひいては
剥離紙を剥離する際の所望でないカールを効果的に抑制
することができる。
【0035】なお、請求項1,2に記載の発明では、上
記柔軟性及び表面性の両立を図るために、アンチブロッ
キング剤として知られている球状シリカ、炭酸カルシウ
ム、タルクまたはマイカなどの無機物を配合してもよ
い。また、救急絆創膏用フィルムでは透明性を要求され
ない場合には、十分な量の無機物を配合することができ
るため、請求項1に記載の発明のように、単層のポリオ
レフィン系樹脂フィルムにより救急絆創膏用フィルムを
構成した場合には、上記アンチブロッキング剤を十分な
量配合することができ、従って、アンチブロッキング剤
の作用により柔軟性及び表面性の両立を図り得る。
【0036】もっとも、透明性を要求される場合には、
請求項2に記載の発明のように、多層構造とし、密度
0.88〜0.935g/cm3 の範囲にある低密度ポ
リエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンを表層とす
ることが、ブロッキング性を回避する上で好ましい。な
お、密度が0.88g/cm3 未満の場合には、ブロッ
キングが発生し、好ましくない。また、密度が0.93
5g/cm3 を超えると、フィルムが硬くなり過ぎ、柔
軟性を失い、好ましくない。同様の理由により、上記密
度は、より好ましくは、0.90〜0.93g/cm3
の範囲とすることが望ましい。
【0037】請求項1,2に記載の発明に係る救急絆創
膏用フィルムは、上記ポリオレフィン系樹脂をTダイ法
やインフレーション法などの慣用されている成形法によ
り所定の厚みに押出または共押出法により成形すること
により得ることができる。また、請求項2に記載の発明
のように複数のポリオレフィン系樹脂フィルム層を積層
する場合には、各層を押し出した後、熱ラミネートによ
り積層させてもよい。
【0038】また、式(1)におけるaの値、すなわち
20%引っ張り時の弾性率を高めるには、インフレーシ
ョン成形や二軸延伸により、分子を配向させる方法を採
用してもよく、すなわち樹脂組成だけでなく、成形方法
により上記弾性率aの値を高めてもよい。
【0039】また、請求項1,2に記載の発明に係る救
急絆創膏用フィルムの厚みとしては、薄すぎると、使用
に際しての強度が不足し、厚すぎると硬くなり、救急絆
創膏としての風合いが悪化する。従って、好ましくは、
救急絆創膏用フィルムの厚みは、15〜300μm、よ
り好ましくは、実用的な厚みとして50〜80μmとさ
れる。
【0040】また、救急絆創膏用フィルムは、無色透明
であってもよく、あるいは着色透明であってもよく、さ
らに不透明であってもよい。また、救急絆創膏用フィル
ムには、梨地や絹目などのエンボス加工を施してもよ
く、それによってより高級な意匠感を与えることができ
る。
【0041】請求項1,2に記載の発明に係る救急絆創
膏用フィルムを用いて救急絆創膏を構成するに際して
は、該救急絆創膏用フィルム上に粘着剤層を形成する。
使用し得る粘着剤としては、特に限定されるものではな
いが、皮膚に対する粘着力があり、刺激性の少ないもの
が好ましく、天然ゴム系粘着剤、SIS(スチレン−イ
ソプレン−スチレン)などの合成ゴム系粘着剤、アクリ
ル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを挙げることがで
きる。中でも、アクリル系粘着剤が一般に多く用いられ
ている。
【0042】また、粘着剤の厚みにおいては、20〜1
00μmが好ましく、より好ましくは30〜80μmで
ある。粘着剤層の厚みが薄すぎると、十分な粘着力を得
られず、厚すぎると、側面から粘着剤がはみ出し、ごみ
等の汚れが付着して外観上好ましくないことになる。
【0043】また、上記粘着剤層を救急絆創膏用フィル
ム上に形成するに際しては、一般には、救急絆創膏用フ
ィルムをポリオレフィン系樹脂フィルムで構成した場
合、粘着剤層形成面をコロナ放電処理し、粘着剤塗工時
の濡れ性が38dyn/cm以上となるように処理す
る。なお、コロナ放電処理以外に、プラズマ放電処理や
電子線照射処理により濡れ性を高めてもよい。上記のよ
うにして、ポリオレフィン系樹脂フィルムの表面の濡れ
性を高めた後に、上記粘着剤を溶剤塗工または粘着剤層
の転写により付与し、粘着剤層を形成する。また、スチ
レン−ブタジエンブロック共重合体やスチレン−イソプ
レンブロック共重合体などのような粘着剤の場合には、
救急絆創膏用フィルムを押出しするに際し、上記粘着剤
層を共押出して形成してもよい。また、救急絆創膏で
は、上記粘着剤層の所望の位置に患部を覆うためのガー
ゼ等が固着されていてもよい。
【0044】さらに、粘着剤層や上記ガーゼを使用に先
立って被覆するために、通常は、粘着剤層を覆うように
剥離紙が貼り付けられている。この剥離紙としては、特
に限定されるものではないが、天然の繊維シート(紙)
にポリエチレンもしくはポリプロピレンなどのポリオレ
フィンをラミネートしたものに剥離剤を塗工したもの、
ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフ
ィルムに直接剥離剤を塗工したもの、ポリエチレンテレ
フタレートフィルムに剥離剤を塗工したものなどを例示
することができる。剥離紙の剥離力については、使用方
法によって様々な値が要求されており、一概に定義する
ことができないが、一般には、0.5〜5.0g/mm
程度の範囲とされる。
【0045】救急絆創膏の製造に際しては、請求項1,
2に記載の発明に係る救急絆創膏用フィルム上に粘着剤
層を形成した後、上記剥離紙を粘着剤層を覆うように積
層し、救急絆創膏用原反を得る。しかる後、救急絆創膏
原反を製品寸法に応じてスリットした後、絆創膏製造機
械により熱ピン穿孔加工し、その上に上記ガーゼや捨て
紙などを貼り付け、所定寸法に打ち抜き、個別包装紙を
重ね製品化することにより救急絆創膏を得ることができ
る。
【0046】作用請求項1,2に記載の発明に係る救急
絆創膏用フィルムを用いた場合には、後述の実施例から
明らかなように、剥離紙の剥離に際しての局所的な救急
絆創膏用フィルムの大きな変形を抑制することができ、
所望でないカールの発生を効果的に抑制し得る。このよ
うな著しいカール発生抑制効果が発揮される理由は、必
ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。すな
わち、ポリオレフィン系樹脂よりなる救急絆創膏用フィ
ルムでは、変形に際しての変形部分の曲率半径Rが大き
ければ大きいほど、剥離に際しての剥離紙の救急絆創膏
用フィルムに対する角度を180度として剥離した場合
の救急絆創膏用フィルムの変形量が大きくなくなる。従
って、上述した式(1)で定義される値Xを50以上と
することにより、救急絆創膏用フィルムの変形をさほど
大きくすることなく剥離紙を剥離し得るため、フィルム
に蓄積されるエネルギーが小さくなり、所望でないカー
ルを効果的に抑制し得ると考えられる。
【0047】また、請求項2に記載の発明についても、
同様であるが、請求項2に記載の発明では、最外層のポ
リオレフィン系樹脂フィルム層が上記式(1)で定義さ
れるXの値が50以上のポリオレフィン系樹脂で構成さ
れているため、請求項1に記載の発明の場合と同様にし
てカールの発生が効果的に抑制されると考えられる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を説明する
ことにより、本発明を明らかにする。
【0049】まず、後述の実施例及び比較例の救急絆創
膏用フィルムについての評価項目として、引っ張り特
性(10%歪み時応力)、ポアソン比の測定及びカ
ール発生程度の評価を説明する。
【0050】引っ張り特性 後述の実施例及び比較例で用いる樹脂を、東洋精機社
製、プラストグラフで190℃で混練した後、190
℃、100kg/cm2 の条件でプレスし、2mmの厚
みのシートを作製した。
【0051】上記シートをサンプルとして、引っ張り試
験機(オリエンテック社製、商品名:テンシロンUCT
−500)を用い、幅25mm、チャック間距離100
mmのサンプルを100mm/分の速度で引っ張り、そ
の値を応力単位で示した。10%歪み時の応力(10%
伸び時応力)が、400kgf/mm2 を超えるとフィ
ルムが硬くなり、救急絆創膏に用いた際に締め付け感を
与え好ましくないことがわかっている。また、10%歪
み時の応力が100kgf/mm2 以下であると、腰が
なく、フィルムとして自立することができず、好ましく
ない。
【0052】なお、この測定により得られた初期弾性率
と、図6に示す応力−歪み曲線における歪み量=0.2
の位置で引かれた接線の傾きを20%歪み時弾性率とし
て定義した(単位は応力(kgf/mm2 )/歪み量
(無次元)とした)。以下においては、初期弾性率をE
で表し、上記20%歪み時接線の傾きをaで表すことと
する。
【0053】ポアソン比の測定 でサンプルとして用意した2mmの厚みのシートをJ
IS1号ダンベルの大きさに打ち抜き、引っ張り試験機
(オリエンテック社製、商品名:テンシロンUCT−5
00)を用い、チャック間距離50mmに設定し、幅と
厚みをノギスで4点以上の測定位置で測定し、20mm
/分で25%(12.5mm)引っ張り、静止した。こ
こで、先ほど測定した位置において、幅及び厚みを再度
ノギスで測定し、その変化率(%)を求め、平均値をと
った。この平均値をb(%)としたとき、b/25を計
算し、その結果をポアソン比とした。
【0054】カール発生の評価 Tダイ押出成膜により、後述の実施例1〜5及び比較例
1〜5の厚さ約65μmのフィルムを成形した。このよ
うにして得たフィルムに、アクリル系粘着剤(綜研化学
社製、商品名:SKダイン1720)に硬化剤としての
イソシアネートを固形分比(重量比)で100:1.2
となるように混合した粘着剤溶液を、乾燥後の厚みが4
0μmとなるように塗工し、救急絆創膏用原反とした。
【0055】また、上記救急絆創膏用原反に、剥離紙と
して、クラフト紙の表面をポリエチレンによりコート
し、さらに、シリコーン系ポリマー(信越化学社製、商
品名:KS−705F)を固形分0.8g/m2 で塗工
したものを貼り合わせた。
【0056】ステンレス板の片面に両面テープを貼り付
け、予め19mm幅にスリットした上記救急絆創膏用原
反の剥離紙側を両面テープに貼り合わせた。次に、救急
絆創膏用原反の救急絆創膏用フィルムすなわち基材側を
引っ張るために、該基材の端部を少しめくり、引っ張り
試験機(オリエンテック社製、商品名:テンシロンUC
T−500)において、引っ張り速度500mm/分で
180度剥離テストを行った。
【0057】このようにして剥離紙から剥離された救急
絆創膏用フィルムを目視により観察し、そのカールの発
生度合いを評価した。カールの評価基準については、図
7(a)〜(e)に示す状態を基準として数値化した。
すなわち、図7の各救急絆創膏1における救急絆創膏用
フィルムでは、図7(a)から図7(e)に示すに従っ
てカールの度合いが強くなっており、評価点は、図7
(a)の状態を5点、図7(b)を4点、図7(c)を
3点、図7(d)を2点、図7(e)を1点とした。3
点以上が実使用可能なレベルである。
【0058】〔使用した樹脂及びその特性〕実施例1〜
6及び比較例1〜5で用いた樹脂と、その特性は、下記
の表1に示す通りである。
【0059】
【表1】
【0060】なお、表1において、LLDPEは線状低
密度ポリエチレン、PPはポリプロピレン、EVAはエ
チレン酢酸ビニル共重合体を示す。
【0061】〔実施例1〜6〕下記の表2に示すよう
に、表1に示した樹脂を単層あるいは複層で用い、フィ
ルムを作製し、上記引っ張り特性における10%歪み時
応力を測定した。また、上記のカールの発生の評価方
法に従って、救急絆創膏用フィルムを作製し、かつカー
ルの発生状態を評価した。結果を下記の表2に併せて示
す。
【0062】〔比較例1〜5〕下記の表3に示す樹脂を
用い、単層もしくは複層のフィルムを作製し、上記引
っ張り特定を測定し、10%歪み時応力を測定した。ま
た、上記のカールの発生の評価方法に従って、救急絆
創膏用フィルムを作製し、かつカール発生状況を評価し
た。結果を下記の表3に併せて示す。
【0063】実施例1〜6では、10%歪み時応力が2
80kgf/mm2 以上であり、従って、フィルムは十
分な腰を有し、自立し得ることがわかる。また、10%
歪み時応力が380kgf/mm2 以下であるため、フ
ィルムがさほど硬くはなく、従って救急絆創膏用フィル
ムとして適当であることがわかる。
【0064】加えて、実施例1〜6では、カール評価点
が3点以上であり、従って、剥離紙を剥離した際のカー
ルが生じ難く、貼付作業を容易に行い得ることがわか
る。これは、実施例1〜4では、式(1)で定義される
値Xが54.54以上であるポリオレフィン系樹脂を用
いており、かつ実施例5,6では最外層を構成している
ポリオレフィン系樹脂が、式(1)で定義される値Xが
62.0以上であるため、剥離紙の剥離に際しての変形
部分の曲率半径Rが大きくなったことによると考えられ
る。
【0065】これに対して、比較例1〜3では、10%
歪み時応力が210kgf/mm2以上、310kgf
/mm2 以下であるため、フィルムは十分な腰を有し、
かつ硬すぎないため、救急絆創膏として使用した場合の
締め付け感が少ないことがわかる。しかしながら、比較
例1〜3では、カール評価が2点以下と低かった。これ
は、比較例1〜3で用いられているポリオレフィン系樹
脂の式(1)で定義される値Xが50未満と小さいた
め、剥離紙を剥離する際に局所的な大きな変形が生じた
ためと考えられる。
【0066】また、比較例4,5では、同様に、最外層
を構成している樹脂の式(1)で定義される値Xが50
未満であるため、カール評価点が2点以下と低くなった
と考えられる。加えて、比較例5では、10%歪み時応
力も420kgf/mm2 と高く、従って救急絆創膏用
フィルムとして硬くなりすぎ、使用に際して締め付け感
を与えることが懸念される。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明で
は、10%変形時応力が100kgf/mm2 〜400
kgf/mm2 であるポリオレフィン系樹脂フィルムに
より救急絆創膏用フィルムが構成されているため、該救
急絆創膏用フィルムは十分な腰を有し、かつさほど強度
が高くないため使用者に締め付け感を与え難い。さら
に、式(1)で定義される値Xが50以上である樹脂組
成物により救急絆創膏用フィルムが構成されているた
め、剥離紙を剥離する際の局所的な大きな変形が抑制さ
れ、従って剥離紙剥離によるカールの発生を効果的に抑
制し得る。
【0070】また、請求項2に記載の発明では、複数の
ポリオレフィン系樹脂フィルム層のうち最外層が、式
(1)で表される値Xが50以上のポリオレフィン系樹
脂組成物により構成されているため、同様に、剥離紙を
剥離する際の局所的な大きな変形を抑制することがで
き、剥離紙を剥離した後のカールの発生を効果的に抑制
し得る。
【0071】よって、本発明によれば、ポリオレフィン
系樹脂を用いて、貼付に先立ち剥離紙を剥離した際の所
望でないカールが生じ難い、救急絆創膏用フィルムを確
実に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】救急絆創膏において、剥離紙を剥離した後の救
急絆創膏用フィルムの変形を示す側面図。
【図2】剥離紙を剥離した際の救急絆創膏用フィルムに
おける通常の変形部分を略図的に示す側面図。
【図3】剥離紙を剥離した際の救急絆創膏用フィルムの
変形部分であって、局所的な大きな変形が発生している
状態を示す略図的側面図。
【図4】プラスチック材料の応力−歪み曲線を示す図。
【図5】本発明の原理を説明するための図であり、救急
絆創膏用フィルムが曲げられている部分における応力と
変位との関係を示す図。
【図6】実施例において引っ張り特性を評価した際の応
力−歪み特性を示す図。
【図7】(a)〜(e)はカールの評価基準を説明する
ための剥離紙が剥離された救急絆創膏用フィルムの模式
的側面図。
【符号の説明】
1…救急絆創膏 2…救急絆創膏用フィルム 3…粘着剤層 4…ガーゼ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10%変形時応力が100〜400kg
    f/mm2 であるポリオレフィン系樹脂フィルムよりな
    り、 前記ポリオレフィン系樹脂フィルムを構成している樹脂
    組成物の下記の式(1)で定義される値X、 【数1】 (但し、式(1)において、νはポアソン比、aは面内
    方向において20%引っ張り時の弾性率(単位はkgf
    /mm2 ))が50以上であることを特徴とする救急絆
    創膏用フィルム。
  2. 【請求項2】 10%変形時応力が100〜400kg
    f/mm2 であり、かつ複数のポリオレフィン系樹脂フ
    ィルム層が積層されてなる多層フィルムよりなり、 最外層のポリオレフィン系樹脂フィルム層を構成してい
    る樹脂組成物の下記の式(1)で定義される値X、 【数2】 (但し、式(1)において、νはポアソン比、aは面内
    方向20%引っ張り時の弾性率(単位は、kgf/mm
    2 ))が50以上であることを特徴とする救急絆創膏用
    フィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013070798A (ja) * 2011-09-27 2013-04-22 Bando Chemical Industries Ltd 救急絆創膏用基材フィルム、救急絆創膏及び救急絆創膏の製造方法
JP6329309B1 (ja) * 2017-06-29 2018-05-23 小林 正則 二重瞼形成用粘着テープ

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JP2013070798A (ja) * 2011-09-27 2013-04-22 Bando Chemical Industries Ltd 救急絆創膏用基材フィルム、救急絆創膏及び救急絆創膏の製造方法
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