JPH09170950A - 測光装置 - Google Patents

測光装置

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JPH09170950A
JPH09170950A JP33048295A JP33048295A JPH09170950A JP H09170950 A JPH09170950 A JP H09170950A JP 33048295 A JP33048295 A JP 33048295A JP 33048295 A JP33048295 A JP 33048295A JP H09170950 A JPH09170950 A JP H09170950A
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尚宜 高本
Shinji Osuga
慎二 大須賀
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Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光検出器の光電変換面から放出される光電子
の個数の平均値を高精度に推定して入射光量を精度よく
測定する。 【解決手段】 入射光束Aが光検出器10に入射すると
光電子Bが放出され、APD15aないし15dそれぞ
れで増倍されて電流信号が出力される。この電流信号そ
れぞれは、積分器20で所定時間積分されて電圧信号と
なり、この電圧信号は、AD変換器50でデジタル値に
変換され、このデジタル値は、ヒストメモリ60に入力
して、各APDについて電圧信号の波高分布が生成され
る。被測定光束が光検出器10に入射して各APDにつ
いて生成された波高分布と、単一光電子事象の波高分布
と、k-光電子事象の波高分布(k=2,3,…)とに基づい
て、演算部70において、被測定光束が光検出器10に
入射して放出されて各APDに入射した光電子の個数分
布が推定され、さらに被測定光束の光量が求められる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光束の光子数を計
数する測光装置に関するものであり、例えば生化学等の
分野においてパルス光源で励起された試料から発生する
蛍光を光子計数してその試料中の蛍光分子数を定量測定
するために利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、試料中の蛍光物質(或いは、蛍光
分子)を定量測定するために、その試料に励起光を照射
し、蛍光物質から発生する蛍光の強度を測定している。
このような測定に用いられる装置として、蛍光光度計が
ある。この蛍光光度計には、光源として例えばキセノン
ランプが用いられ、また、蛍光検出器として光電子増倍
管が用いられる。一般には、キセノンランプは、パルス
点灯ではなく連続点灯され、また、光電子増倍管は、蛍
光物質で発生した蛍光を受光して、その蛍光強度に応じ
た出力電流を連続的に出力する。このようにして、蛍光
強度が測定され、光電子増倍管の出力値に基づいて蛍光
物質が定量される。
【0003】しかし、試料中の蛍光物質の量が微量であ
り蛍光強度が検出限界以下である場合には、蛍光光度計
を用いることができない。そこで、このような場合に
は、励起光源としてレーザ光源が用いられる。この場合
も同様にレーザ光で励起された試料中の蛍光物質から発
生した蛍光の強度が光電子増倍管で測定され、光電子増
倍管の出力値に基づいて蛍光物質が定量される。
【0004】レーザ光源から出力されたパルスレーザ光
で試料中の蛍光物質を励起し、蛍光強度測定結果すなわ
ち光電子増倍管からの出力値から試料中の蛍光物質を定
量する方法として、光電子増倍管からの出力パルスの計
数値を利用するいわゆる光子計数法によるものと、光電
子増倍管からの出力パルスの波高値を利用する方法とが
ある。更に、光子計数法による定量法には、計数値に比
例した蛍光物質があるものと推定する方法と、1パルス
のレーザ光の試料照射につき光電子増倍管の光電変換面
から放出される光電子の個数が0個である確率p(0) か
ら蛍光物質の量を推定する方法とがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の光子計
数法による定量方法で計数値に比例した量の蛍光物質が
あると推定すると以下のような問題がある。1パルスの
レーザ光の試料照射につき光電子増倍管の光電変換面か
ら放出される光電子の個数は、入射光量に応じた光電子
数分布に従う。この光電子数分布に従って放出される光
電子の個数が1個である確率をp(1) とし、また、その
個数が2個以上である確率をp(x≧2)とする。また、光
電変換面における光電子数分布がポアソン分布に従うも
のとする。この時、例えば、1パルスのパルスレーザ光
によって励起された蛍光物質から発生した蛍光を光電子
増倍管が受光して光電変換面から放出される光電子の個
数の平均値λが 0.1を越えると、p(x≧2)/p(1) は5
%以上になる。この比が大きい程、光電子増倍管に入射
した蛍光の光量と光電子増倍管からの出力パルスの計数
値とは比例関係から大きく外れるので、光電子増倍管か
らの出力パルスの計数値から蛍光物質を定量すると誤差
が大きくなる。
【0006】また、ゼロ確率を利用する定量方法では以
下のような問題がある。この定量方法では、光電変換面
における光電子数分布がポアソン分布に従うものとし
て、光電子数の平均値λを λ=−log(p(0) ) … (1) なる式で推定し、これに比例するものとして蛍光物質を
定量する。ここで、パルスレーザ光による励起回数をN
とし、光電子増倍管からの出力パルスの計数値をnとす
ると、 p(0) =1−p(x≧1)=1−n/N … (2) であるので、(1)式は、 λ=−log(1−n/N) … (3) となる。上式でλ値を推定する場合であっても、λ値が
大きくなると(例えば、λ>1.5 )、すなわち、nがN
に近付くと、λ値の推定誤差は大きくなる。
【0007】また、光電子増倍管からの出力パルスの波
高値を利用する従来方法では以下のような問題点があ
る。この方法では、1回のパルス励起当たり光電変換面
から放出される平均光電子数が、出力パルスの波高値の
平均値<h>に比例するとして、蛍光物質を定量する。
ここで、<h>は、
【0008】
【数4】
【0009】なる式で与えられ、Nは励起回数であり、
n(h) は波高値がhである光電子増倍管の出力パルスの
計数値であり、hmax は、波高値をデジタル値に変換す
るAD変換器のビット数で決まる最大波高値であり、h
min は、平均波高値の計算に使用する最小の波高値であ
る。hmin =0であることが望ましいが、光電子増倍管
からの出力パルスに重畳する増幅器系のノイズの為に、
min =0とすることはできない。それ故、(4)式で
計算した平均波高値は真の値とは異なるものとなる。ま
た、平均光電子数が大きくなると、hmax よりも大きな
波高値のパルスが出力される頻度が増えてくるが、この
ような波高値のパルスは計数されないので、(4)式で
平均波高値を計算して蛍光物質を定量すると過小評価す
ることになる。
【0010】このような問題点を解決する為に、アバラ
ンシェフォトダイオード(以下、APD)を利用した光
検出器(参考文献: Shawn J. Fagen, "Vacuum avalanc
he photodiodes can count single photons", Laser Fo
cus World, Nov. (1993) pp.125-132 )が提案されてい
る。このAPDを利用した光検出器は、光電子増倍管と
比較して、低雑音、高感度であり、単一光子をも計数す
ることができる。更に、一定光量の光束を多数回測定し
て得られる電流信号の波高分布において、k-光電子事象
すなわち光電変換面に光束が入射して放出される光電子
の個数がk個である事象(k=1,2,3,…)それぞれに対応
するピークを識別することができるという優れた特徴を
有する。このような特徴を有することから、光電変換面
で放出された光電子の数すなわち被測定光束の光量を精
度良く測定することができるものとして期待されてい
る。
【0011】しかし、このAPDを利用した光検出器で
あっても、光電変換面で発生する光電子の個数が数個程
度(5ないし8程度以下)である場合には、光電子数を
精度良く測定できるが、光電子の個数が多い場合には、
光電子数を精度良く測定することができない。
【0012】例えば、分光器によるスペクトル測定に関
して、中心波長の周辺の多数の波長に強度ピークが現れ
る場合がある。このとき、最も大きいピーク強度に対し
て光子計数法による測定が理想的に行なえるように被測
定光束の全波長帯域の光量を調整する。しかし、波長そ
れぞれにおけるピーク強度の差が大きい場合、最大ピー
ク強度については精度良く測定することができても、小
さいピーク強度の測定に際しては量子ノイズが大きくな
って測定精度が悪くなる。一方、小さいピーク強度を精
度よく測定しようとすると、被測定光束全体の光量を大
きくする必要があり、今度は大きなピーク強度の測定精
度が悪くなる。
【0013】本発明は、上記問題点を解消する為になさ
れたものであり、被測定光束が光検出器の光電変換面に
入射して放出される光電子数が大きい場合であっても、
或いは、被測定光束のスペクトル測定に際してピーク強
度差が大きい場合であっても、その被測定光束の光量あ
るいはスペクトルを精度よく測定することができる測光
装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る測光装置
は、(1) 被測定光束の光量に応じた分布に従った個数の
光電子を放出する光電変換面と、それぞれ光電子数分布
に従った個数の光電子を入射し増倍して電流信号を出力
する2以上の所定数の増倍部と、被測定光束を透過させ
る入射窓を有し光電変換面および所定数の増倍部を内部
に含む真空容器と、を備える光検出器と、(2) 所定数の
増倍部それぞれから出力された電流信号それぞれを所定
時間積分して電圧信号に変換する積分手段と、(3) 電圧
信号に応じたデジタル値に変換するAD変換手段と、
(4) 所定数の増倍部のそれぞれ及びデジタル値に対応す
る番地に所定値を累積加算して、所定数の増倍部それぞ
れについて電圧信号の波高分布を生成する波高分布生成
手段と、(5) 所定数の増倍部それぞれに入射する光電子
が1個の場合に波高分布生成手段で生成される波高分布
を単一光電子事象波高分布として獲得する単一光電子事
象波高分布生成手段と、(6) 所定数の増倍部それぞれに
入射する光電子の個数kが2以上かつ一定数以下のそれ
ぞれの場合におけるk-光電子事象波高分布を、単一光電
子事象波高分布に基づいて漸化的にコンボリューション
計算によって算出するk-光電子事象波高分布生成手段
と、(7) 被測定光束が光電変換面に入射して放出された
光電子が所定数の増倍部の何れかに入射して波高分布生
成手段で生成された波高分布と、単一光電子事象波高分
布と、光電子の個数kそれぞれの場合におけるk-光電子
事象波高分布とに基づいて、被測定光束が光電変換面に
入射した場合の所定数の増倍部それぞれについての光電
子数分布を推定することによって、被測定光束の光量を
求める光電子数分布推定手段と、を備えることを特徴と
する。
【0015】本装置は以下のように作用する。光検出器
に入射した被測定光束が真空容器の入射窓を透過して光
電変換面に入射すると、光電変換面から光量に応じた個
数の光電子が放出される。光検出器内の所定数の増倍部
それぞれに光電子数分布に従った個数の光電子が入射す
ると、増倍されて電流信号が出力される。所定数の増倍
部それぞれから出力された電流信号それぞれは、積分手
段により所定時間積分されて電圧信号に変換され、AD
変換手段によりその電圧信号に応じたデジタル値に変換
される。このデジタル値は波高分布生成手段に入力され
て、所定数の増倍部それぞれについて波高分布が生成さ
れる。そして、単一光電子事象波高分布生成手段で獲得
された単一光電子事象波高分布と、k-光電子事象波高分
布生成手段で算出されたk-光電子事象波高分布(k=2,3,
…,K)と、被測定光束が光検出器に入射して波高分布生
成手段で生成された所定数の増倍部それぞれについての
波高分布とに基づいて、光電子数分布推定手段におい
て、所定数の増倍部それぞれに入射した光電子数分布が
推定され、被測定光束の光量が求められる。
【0016】また、本装置に用いられる光検出器の所定
数の増倍部それぞれが、アノードとカソードとの間に逆
バイアス電圧が印加され、且つ、光電変換面に対向する
部位が光電変換面の電位よりも高電位に設定されて、光
電子を入力して生成された電子・正孔対をアバランシェ
増倍し、アバランシェ増倍された電子・正孔対の数に応
じた電流信号を出力するアバランシェフォトダイオード
であることが好適である。この場合には、優れた定量性
が維持され、且つ、被測定光束の光量の測定レンジが拡
大される。
【0017】また、光電子数分布推定手段は、最尤法に
より光電子数分布を推定してもよいし、また、光電子数
分布がポアソン分布等の所定の分布であると仮定して光
電子数分布を推定してもよい。
【0018】また、光検出器の入射窓の前面に備えら
れ、入射した被測定光束の径を拡大または縮小して、そ
の拡大または縮小された被測定光束を入射窓に入射させ
るレンズ系を更に備える場合には、光量の大きな被測定
光束を測定する場合に有効である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明におい
て同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省
略する。
【0020】まず、本発明に係る測光装置の構成につい
て説明する。図1は、本発明に係る測光装置の構成図で
ある。
【0021】入射光束Aを受光する光検出器10は、そ
の入射光束Aが光電変換面13に入射するとその光量に
応じた分布に従った個数の光電子が光電変換面13から
放出され、その光電変換面13にそれぞれ対向してアレ
イ状に配置された所定数の増倍部それぞれに入射した光
電子を増倍して電流信号を出力するものである。この増
倍部として、例えば、アバランシェフォトダイオード
(以下、APD)が好適に用いられる。
【0022】この光検出器10は、内部が真空に保たれ
ている真空容器11の一部に入射窓12が設けられてお
り、入射光束Aは、その入射窓12を透過して、光電変
換面13に到達する。この光電変換面13に対向して、
APD15aないし15dが1次元状または2次元状に
アレイ配置されており、そのアレイは光電変換面13と
略平行である。この図では、4つのAPDが1次元アレ
イで配置されている。光電変換面13には、アレイ状配
置されたAPD15aないし15dに対して例えば−1
0kVないし−15kVの高電圧が、高圧電源19によ
って印加されているので、入射光束Aが光電変換面13
に入射すると、その入射光束Aの光量に応じた分布に従
った個数の光電子Bが放出され、そして、その光電子B
は、光電変換面13とAPD15aないし15dとの間
の電界によって加速され、APD15aないし15dの
何れかに入射する。
【0023】この内の1つであるAPD15aについて
説明する。アノード16aとカソード17aとの間に、
逆バイアス電源18によって逆バイアス電圧(例えば、
+2.5kV)が印加され、且つ、光電変換面13に対
向するアノード16aの電位は光電変換面13の電位よ
りも高電位に設定されている。このAPD15aに対向
する光電変換面13の領域から光電子Bが放出される
と、その光電子Bはアノード15aに衝突し、電離作用
により光電子がAPD15a中で失ったエネルギ3.6
eV当たり1対の電子および正孔が生成され、そして、
この電子・正孔対はAPD15a内でアバランシェ増倍
され、アノード端子およびカソード端子の間に電流信号
として出力される。但し、光電子がAPD15a内で失
うエネルギは一定値ではなく或る分布に従うため、ま
た、APD15aの増倍率も一定値ではなく或る増倍率
分布に従うため、1個の光電子の入射により出力される
電流信号の大きさも或る分布を有する。
【0024】したがって、光検出器10が一定光量の光
束を多数回測定すると、光電変換面13で放出されて、
APD15aに入射する光電子の個数分布(光電子数分
布)は、光量に応じた或る平均値の周りに広がった分布
となり、光検出器10から出力される電流信号は、光電
子1個によりAPD15から出力される電子・正孔対の
個数の分布に従って更に広がりのある分布となる。
【0025】他のAPD15bないし15dも、上述の
APD15aと同様である。但し、アノード16aない
し16dそれぞれと光電変換面13との間の電位差は、
一定値であってもよいし異なる値であってもよい。ま
た、APD15aないし15dに印加される逆バイアス
電圧も、一定値であってもよいし異なる値であってもよ
い。APD15aないし15dそれぞれが同一の特性を
有する場合には、同一の電位を印加して同一の増倍率を
確保することが、その後の処理の上で好都合である。一
方、APD15aないし15dそれぞれが異なる特性を
有する場合には、同一の増倍率を確保すべく、それぞれ
に適切な電位を印加することが好ましい。
【0026】また、APD15aないし15dそれぞれ
は、互いに独立の素子であってもよいし、また、基板上
に集積化されたものであってもよい。後者の場合には、
同一の特性を有する多数のAPDが所定の位置に精度よ
くアレイ配置されるので、扱いが容易となる。
【0027】この光検出器10から出力された電流信号
は以下のように処理される。光検出器10内のAPD1
5aから出力された電流信号に関する処理について先ず
以下に説明する。他のAPD15bないし15dそれぞ
れから出力された電流信号の処理も同様である。
【0028】APD15aから出力された電流信号を入
力する積分器20aは、その電流信号を一定時間積分し
て電圧信号に変換する。この積分器20aには、光検出
器10のAPD15aのアノード端子と接地端子との間
に、スイッチ21aとコンデンサ22aとが並列に設け
られている。スイッチ21aは、入射光束Aが光検出器
10へ入射するタイミングに同期して開閉され、例え
ば、パルス状の入射光束Aの入射時刻を基準として時間
t1から時刻t2までの一定時間だけ開かれる。コンデ
ンサ22aは、スイッチ21aが開いている間だけ、A
PD15aから出力された電流信号を積分し、その積分
結果である電位が一方の端子(図中の点Pa)に現れ
る。スイッチ21が閉じると、コンデンサ22に蓄積さ
れた電荷は放電され、点Paの電位は接地電位となる。
【0029】積分器20aで電流信号が積分された結果
である点Paの電位は、増幅器30aによって、後段の
サンプルホールド回路40aやAD変換器50における
動作に際して適当な振幅となるよう増幅される。その増
幅された電圧信号は、サンプルホールド回路40aでサ
ンプリングされてホールドされる。
【0030】APD15a以外のAPD15iそれぞれ
から出力された電流信号も同様に、積分器20iで一定
時間積分されて、その積分結果である電位が点Piに現
れ、その点Piの電位は増幅器30iで増幅されて、サ
ンプルホールド回路40iでサンプルされホールドされ
る(i=b,c,d)。
【0031】そして、サンプルホールド回路40aない
し40dそれぞれでサンプルされホールドされて出力さ
れた電圧信号それぞれは、マルチプレクサ45を介して
順次AD変換器50に入力し、それぞれの電圧値に応じ
たデジタル値に変換される。
【0032】サンプルホールド回路40aないし40
d、マルチプレクサ45およびAD変換器50も、入射
光束Aが光検出器10へ入射するタイミングに同期して
動作し、例えば、時刻t2の直前の時刻における点Pa
ないしPdそれぞれの電位が増幅された電圧値が、サン
プルホールド回路40aないし40dそれぞれでサンプ
ル・ホールドされ、そして、それぞれの電圧値に応じた
デジタル値それぞれがAD変換器50から順次出力され
る。なお、マルチプレクサ45を設けることなく、サン
プルホールド回路40aないし40dそれぞれに対し
て、AD変換器を設けてもよい。
【0033】これらのデジタル値を入力するヒストメモ
リ(波高分布生成手段)60は、積分器20aないし2
0dそれぞれにおいて一定時間の積分が行われる度に、
APD15aないし15dそれぞれ、および、AD変換
器50から出力されたデジタル値に応じた番地に所定値
(例えば、1)を累積加算する。積分器20aないし2
0dそれぞれにおける多数回の積分結果についてヒスト
メモリ60に累積加算することによって、APD15a
ないし15dそれぞれについてAD変換器50から出力
された電圧信号の波高値の分布が得られる。
【0034】このようにして得られたAPD15aない
し15dそれぞれについての波高分布に基づいて、演算
部70は、光検出器10の光電変換面13で放出されて
APD15aないし15dそれぞれに入射した光電子の
個数の分布(光電子数分布)を推定し、この推定された
光電子数分布に基づいて入射光束Aの光量を求める。演
算部70として例えばコンピュータが用いられる。
【0035】次に、光検出器10の光電変換面13に入
射光束が入射して放出される光電子数分布の推定方法に
ついて詳細に説明する。この推定は、演算部70におい
て行われるものである。なお、この推定方法は、APD
15aないし15dそれぞれについて行なわれるもので
あるので、以下ではAPD15aについて述べる。
【0036】推定に先立って、先ず、演算部70は、単
一光電子事象の場合にヒストメモリ60で生成される単
一光電子事象波高分布を獲得する。ここで、単一光電子
事象とは、1個の光電子がAPD15aに入射する事象
をいい、単一光電子事象波高分布とは、その事象が発生
した場合にヒストメモリ60で生成される波高分布であ
る。すなわち、単一光電子事象波高分布は、光電変換面
13で放出された1個の光電子がAPD15aに入射し
たことによりAPD15aから出力される電子・正孔対
の個数の分布を表すものである。この単一光電子事象波
高分布を、波高値hの関数としてp1 (h) で表す。h
は、AD変換器50からの出力値である。なお、この単
一光電子事象波高分布は、単一光電子事象が発生する確
率が圧倒的に支配的となるような極めて微弱な光束を光
検出器10に入射させることにより獲得する。
【0037】なお、このp1 (h) の低波高部には増幅器
系のノイズが重畳しているので、実データを使用するこ
とができない。そこで、低波高部では実データを用いる
ことなく、ノイズが重畳していない隣接した波高域のデ
ータから外挿して求める。また、p1 (h) は、
【0038】
【数5】
【0039】で規格化しておく。hmax は、波高値をデ
ジタル値に変換するAD変換器50のビット数で決まる
最大波高値である。
【0040】続いて、演算部70は、k-光電子事象波高
分布、すなわち、k個の光電子がAPD15aに入射し
た場合にヒストメモリ60で生成される波高分布p
k (h) を、
【0041】
【数6】
【0042】なるコンボリューション計算によって漸化
的に算出する(k=2,3,…,K)。Kは2以上である。光電
子数分布を推定する際に任意の分布を仮定する場合に
は、p1(h) のピーク値を与える波高値をhpeak1 とし
て、K=hmax /hpeak1 とする。hmax =4095、
peak1 =400であれば、Kは10程度である。ま
た、光電子数分布としてポアソン分布を仮定する場合に
は、Kは、hmax /hpeak1の2ないし3倍程度、すな
わち、hmax =4095、hpeak1 =400であれば、
Kは30程度にする。なお、以上のようにして波高分布
k-1 (h) とp1 (h)とのコンボリューション計算から
波高分布pk (h) を求めることができることの根拠は、
波高分布pk (h) が、光電変換面13で放出されたk個
の光電子がAPD15に入射してアバランシェ増倍され
た電子・正孔対の個数の分布を表すものであることに基
づく。
【0043】なお、光検出器10、積分器20a、増幅
器30a、サンプルホールド回路40aおよびAD変換
器50において発生するノイズに起因する波高分布の広
がりが無視できない場合には、波高分布p1 (h) からそ
のノイズの影響をデコンボリューション計算によって取
り除いたものに基づいて、(5)式で波高分布pk (h)
それぞれを算出し、その後、波高分布pk (h) それぞれ
にノイズの影響をコンボリューション計算によって重畳
しておく(k=2,3,…,K)。
【0044】以上のようにして、測光装置が固有的に有
しているノイズの影響を考慮した波高分布pk (h) (k=
1,2,3,…,K)を、光電子数分布の推定に先立って用意し
ておく。図2は、このようにして求められたk-光電子事
象の波高分布pk (h) それぞれを示す図である。
【0045】そして、演算部70は、測定対象である光
束を光検出器10で受光してヒストメモリ60に生成さ
れた波高分布n(h) を獲得し、この波高分布n(h) およ
び上述した単一光電子事象およびk-光電子事象それぞれ
場合の波高分布pk (h) から、被測定光束を受光してA
PD15aに入射した光電子の個数の平均値すなわち光
電子数分布を、以下の要領で推定する。
【0046】この波高分布n(h) は、規格化する必要は
なく、ヒストメモリ60に蓄積されたままの値でよい。
すなわち、波高分布n(h) は、波高値hが得られた事象
の分布を表す。入射光束を受光して光検出器10の光電
変換面13で放出された光電子がAPD15aに入射す
る個数の分布(光電子数分布)の推定に際しては例えば
最尤法を用いる。すなわち、k-光電子事象それぞれが生
起する確率をqk (k=0,1,2,…,K)として、
【0047】
【数7】
【0048】なる式で表される対数尤度が最大になるq
k を求め、これを推定光電子数分布とする。ここで、N
は測定回数であり、hmin は解析に使用できる最小の波
高値hである。波高値hが小さい場合には、APD15
aや増幅器30aなどに因るノイズが重畳されているの
で解析には使用できないので、波高値hmin 以上につい
てのみ解析する。また、p(h) およびpNDは、
【0049】
【数8】
【0050】
【数9】
【0051】である。このp(h) は、k-光電子事象(k=
1,2,3,…,K)それぞれの生起確率(光電子数分布)をも
考慮した波高値hの発生確率分布を表す。(7)式の対
数尤度を最大とするqk を求めるには、例えば最適化問
題に対して使われる準ニュートン法等の数値計算法を適
用する。
【0052】光電子数分布としてポアソン分布を仮定す
る場合には、k-光電子事象それぞれが生起する確率qk
は、
【0053】
【数10】
【0054】で表される。ここで、λは、APD15a
に入射する光電子の個数の平均値である。この場合、対
数尤度を最大とする光電子数分布を求めることは、対数
尤度を最大とするλ値を求めることであり、例えば黄金
分割法等の数値計算により求めることができる。以下で
は、光電子数分布としてポアソン分布を仮定する。図3
は、被測定光束を光検出器10で受光してヒストメモリ
60に生成された波高分布(破線)と、最尤法で推定さ
れたλ値に基づいて計算された波高分布(実線)との1
例を示す。両者は、波高値hmin (=150)以上の範
囲で良い一致を示している。なお、このとき推定された
光電子数の平均値λは、1.03であった。
【0055】以上のようにして、APD15aに入射し
た光電子の個数の分布(光電子数分布)すなわち入射し
た光電子の個数の平均値が求められる。APD15bな
いし15dについても同様である。APD15aないし
15dそれぞれに入射した光電子の個数の平均値は、A
PD15aないし15dそれぞれに対向する光電変換面
13の領域それぞれで放出された光電子の個数の平均値
であり、その領域に入射した被測定光束の光量を表して
いる。したがって、APD15aないし15dそれぞれ
に入射した光電子の個数の平均値から、光電変換面13
に入射した被測定光束の光量分布が求められ、また、A
PD15aないし15dそれぞれに入射した光電子の個
数の総和から、光電変換面13に入射した被測定光束の
光量の総和が求められる。
【0056】このようにして、被測定光束の光量を測定
すれば、被測定光束が光検出器の光電変換面に入射して
放出される光電子数が大きい場合であっても、複数のA
PDそれぞれで電子・正孔対をアバランシェ増倍するの
で、その被測定光束の光量を精度よく測定することがで
きる。
【0057】なお、光量の大きい被測定光束を測定する
場合には、この測光装置を有効に利用するには、被測定
光束が入射窓12にスポット状に入射するのではなく、
広い領域に亘って入射することが好ましい。そこで、被
測定光束の光束径が小さい場合には、入射窓の前面に被
測定光束の光束径を拡大するレンズを備えるのが好適で
ある。このようにすれは、優れた定量性を維持しなが
ら、被測定光束の光量の測定レンジを拡大することがで
きる。
【0058】しかし一方、光量の小さい被測定光束を測
定する場合に、被測定光束を光電変換面13の全領域で
受光して、APD15aないし15dそれぞれで光電子
を入射するようにすると、個々のAPDに入射する光電
子の個数は少なくなり測定に時間を要して効率が悪くな
る。この場合には、光電変換面13の或る限られた領域
にのみ被測定光束が入射するようにして、APD15a
ないし15dの内の一部に光電子を入射させて、その光
電子が入射したAPDから出力された電流信号のみにつ
いて処理を行なえば、短時間で効率良く測定することが
できる。
【0059】次に、本発明に係る測光装置を蛍光分光測
定に適用した場合について説明する。図4は、本発明に
係る測光装置を用いた蛍光分光測定の説明図である。
【0060】励起光であるパルスレーザ光を出力するパ
ルスレーザ光源80は、そのレーザ光出力のタイミング
信号をも出力する。制御部91は、このタイミング信号
に基づいて、出力されたパルスレーザ光のパルス数すな
わち蛍光物質の励起回数Nを計数するとともに、スイッ
チ21aないし21d、サンプルホールド回路40aな
いし40d、マルチプレクサ45、AD変換器50およ
びヒストメモリ60それぞれの動作を制御する信号を生
成し出力し、これらの動作を制御する。
【0061】パルスレーザ光源80から出力された蛍光
物質励起の為のパルスレーザ光は、レンズ81および8
2で集光されて試料83に照射され、試料83中の蛍光
物質を励起する。この蛍光物質から発生した蛍光は、レ
ンズ84および86で集光され、バリアフィルタ85を
透過して、分光器90に入射する。バリアフィルタ85
は、蛍光を透過させるが、試料83で散乱されて分光器
90の方向に向かうパルスレーザ光を遮断する。
【0062】蛍光を入力した分光器90は、その蛍光を
成分波長に分散し、選択された波長の光束のみを出力す
るものであり、その選択波長を走査することができる。
分光器90から出力された所定波長の光束は、一般的に
は或る広がり角を持って出力される。この光束の光量が
小さい場合には、光束はレンズ87によって集束されて
光検出器10の入射窓12の或る小さい領域に入射され
る。一方、分光器90から出力された光束の光量が大き
い場合には、光束はレンズ87によって光検出器10の
入射窓12の略全面に入射される。このように光束の光
量に応じて光検出器10の入射窓12に光束が入射する
面積を可変に設定できるよう、このレンズ87は、分光
器90と光検出器10との間で光軸に沿って移動可能で
あると好適である。そして、光検出器10の光電変換面
13に蛍光が入射すると、その光量に応じて光電子が放
出され、APD15aないし15dそれぞれに光電子が
入射してアバランシェ増倍された電子・正孔対の数に応
じた電流信号が出力される。APD15aないし15d
それぞれから出力された電流信号それぞれは、積分器、
増幅器、サンプルホールド回路、マルチプレクサ、AD
変換器、ヒストメモリおよび演算部からなる信号処理部
100に入力する。
【0063】以下では、信号処理部100における動作
を、パルスレーザ光(励起光)光量、蛍光光量および各
信号の時間変化とともに説明する。先ず、APD15a
から出力された電流信号の処理およびそのタイミングに
ついて説明する。図5は、本発明に係る測光装置の動作
の説明図であり、図6は、パルスレーザ光光量、蛍光光
量および各信号の時間変化を示す図である。図6では、
パルスレーザ光(励起光)発生時刻を基準にしている
(図6(a))。
【0064】試料83中の蛍光物質から発生する蛍光の
光量(図6(b))は、パルスレーザ光照射時刻から発
生し、その後漸減する。この蛍光を受光した光検出器1
0のAPD15aから出力される電流信号(図6
(c))は、蛍光光量変化に応じて変化する。すなわ
ち、光電変換面13から放出された光電子がAPD15
aに入射してアバランシェ増倍された電子・正孔対の数
に応じた電流信号が出力されるまで或程度時間を要する
ので、APD15aから出力される電流信号の大きさ
は、蛍光を初めて受光した時刻から次第に増加し、やが
て蛍光光量と同様に漸減する。
【0065】積分器20aは、このAPD15aから出
力された電流信号を積分する。その積分時間Twは、パ
ルスレーザ光発生時刻またはその直前に始まり、蛍光放
出が殆ど終了するまで(例えば蛍光寿命の4〜5倍程
度)とする。制御部91は、この積分時間Twの間だけ
スイッチ21が開状態となることを指示するゲート信号
(図6(d))を、レーザ光出力のタイミング信号に基
づいて生成し出力する。コンデンサ22aには、この積
分時間Twの間にAPD15aから出力された電流信号
(図6(c))を積分した電荷が蓄積される。図5中の
点Paにおける電位(図6(e))は次第に増加する
が、蛍光光量の漸減に伴ってやがて飽和状態となり略一
定値となる。この一定値となった点Paの電位は、AP
D15aで生成された電子・正孔対の総数に応じたもの
である。
【0066】増幅器30aで増幅された点Paの電位
は、サンプルホールド回路40aでサンプリングされて
ホールドされる。そのタイミングは、積分器20aにお
ける積分時間Twの終了直前、すなわち、ゲート信号が
オフになる直前である。この動作を指示する信号(図6
(f))も制御部91から出力される。
【0067】他のAPD15bないし15dそれぞれか
ら出力された電流信号それぞれも、以上に説明したAP
D15aから出力された電流信号についての処理と同様
に処理される。かつ、積分器20aないし20bそれぞ
れにおける動作は同一のタイミングで行なわれ、サンプ
ルホールド回路40aないし40dそれぞれにおける動
作も同一のタイミングで行なわれる。すなわち、APD
15aないし15dそれぞれから出力される電流信号そ
れぞれについて、パルスレーザ光発生後の同一時刻から
同一時間の間の積分結果を得ることができる。
【0068】サンプルホールド回路40aないし40d
それぞれから出力された信号は、マルチプレクサ45に
よって順次選択されてAD変換器50に入力しデジタル
値に変換される。このマルチプレクサ45の選択動作
は、サンプルホールド40aないし40dそれぞれのセ
トリング時間(サンプルおよびホールドの動作を開始し
て出力値が確定するまでに要する時間)経過後に行なわ
れ、制御部91から出力されるアドレス信号(APD1
5aないし15dの何れかを指示する信号)に従って動
作する。また、AD変換器50の動作は、マルチプレク
サ45からの出力値それぞれが確定した後に行なわれ、
これも制御部91から出力される制御信号に従って行な
われる。
【0069】AD変換器50から出力されたデジタル値
は、ヒストメモリ60に入力されて、アドレス信号およ
びデジタル値に応じた番地に所定値が累積加算されて、
APD15aないし15dそれぞれについての波高分布
n(h) が生成される。
【0070】演算部70は、この波高分布n(h) と、こ
れとは別に(5)式および(6)式から求めた単一光電
子事象およびk-光電子事象それぞれの波高分布pk (h)
(k=1,2,3,…,K)と、制御部91でパルスレーザ光の出
力パルス数を計数して得られた値Nとから、(7)式で
表される対数尤度が最大になるλ値を求める。このよう
にして、APD15aないし15dそれぞれに入射した
光電子の個数の平均値を推定し、これらの総和から光検
出器10の入射窓12に入射した光束の光量を求める。
そして、分光器90の選択波長を走査して、蛍光の波長
成分それぞれの光量を上述と同様の要領で求めて、蛍光
スペクトルを測定する。
【0071】以上のようにしてスペクトルを測定すれ
ば、複数のAPDを備えたことにより光検出器で精度よ
く検出することができる光量範囲が広がるので、被測定
光束のスペクトルのピーク強度差が大きい場合であって
も、そのスペクトルを精度よく測定することができる。
【0072】なお、図6では、蛍光寿命と積分時間Tw
との関係について触れる必要があったため、多数の蛍光
光子が発生するものとして、その蛍光光量や光検出器1
0から出力される電流信号などの時間変化を図示した。
しかし、蛍光物質が微量で蛍光光子数が数個程度である
場合には、蛍光光量の時間変化は、図6(b)に図示し
た漸減曲線ではなく、個々の蛍光光子の発生時刻に対応
したパルス状のものとなる。このような場合でも、本発
明に係る測光装置は有効に用いられ得る。
【0073】また、上記実施形態では、光検出器には4
つのAPDが1次元アレイ状に配置されていたが、これ
に限られるものではない。1次元アレイであっても、よ
り多数のAPDを配置してもよいし、また、例えば4×
4個、より一般的にはm×n個(m≧2、n≧2)のA
PDを2次元アレイ状に配置してもよく、更に、2次元
アレイ配置であっても矩形形状に配置するものに限られ
るものではなく、一定形状の領域内に任意配置されてい
ても構わない。何れにしても、複数のAPDそれぞれ
は、光電変換面に光束が入射して放出された光電子が加
速されて入射するような配置と電位であることが重要で
ある。
【0074】また、本発明に係る測光装置は、上述のパ
ルス状に発生する蛍光の測定だけでなく他の適用の態様
が可能である。例えば、連続的に発生する光束の光量の
測定も可能である。この場合、測光装置の積分器は、一
定時間の積分を繰り返し行い、サンプルホールド回路お
よびAD変換器は、積分器の動作に同期して動作する。
積分器における積分動作が所定回数行われた時点におい
てヒストメモリに生成された波高分布に基づいて、演算
部は、上述の同様の要領で光検出器で放出された光電子
の個数分布を推定し、この推定値に基づいて被測定光束
の光量を求めることができる。
【0075】また、光電子数分布の推定は、最尤法によ
るのが最も好適であるが、他の方法、例えば、最小二乗
法を用いることもできる。
【0076】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり本発明に係
る測光装置では、先ず、被測定光束が光検出器の光電変
換面に入射すると光電子が放出され、その光電子は光検
出器内の所定数の増倍部の何れかに入射し増倍されて電
流信号が出力される。ここで増倍部それぞれに入射した
光電子の個数は、入射した光束の光量に応じた光電子数
分布に従う。この所定数の増倍部それぞれから出力され
た電流信号それぞれは、積分手段で所定時間積分されて
電圧信号となり、この電圧信号は、AD変換手段でデジ
タル値に変換され、このデジタル値は、波高分布生成手
段に入力して、増倍部ごとに電圧信号の波高分布が生成
される。被測定光束が光検出器に入射して生成された波
高分布と、単一光電子事象波高分布生成手段で獲得され
た単一光電子事象の波高分布と、k-光電子事象波高分布
生成手段で算出されたk-光電子事象の波高分布(k=2,3,
…)とに基づいて、光電子数分布推定手段において、被
測定光束が光検出器に入射してた場合の増倍部ごとの光
電子数分布が推定され、さらに被測定光束の光量が求め
られる。この測光装置に用いられる光検出器の増倍部と
して、アバランシェフォトダイオードを利用するのが好
適である。また、光電子の個数分布を推定するに際して
は、ポアソン分布を仮定して最尤法による。また、光検
出器の入射窓の前面にレンズ系を備えて、被測定光束の
光束径を拡大して入射窓に入射させるようにしてもよ
い。
【0077】このような構成としたので、被測定光束が
光検出器の光電変換面に入射して放出される光電子数が
大きい場合であっても、被測定光束の光量を精度良く測
定することができる。したがって、本装置がスペクトル
測定に用いられる場合には、被測定光束のスペクトル測
定に際してピーク強度差が大きい場合であっても、スペ
クトルを精度よく測定することができる。また、例えば
生化学等の分野において、パルスレーザ光源で励起され
た試料から発生する蛍光を光子計数してその試料中の蛍
光分子数を定量測定する測光装置としても好適に用いる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る測光装置の構成図である。
【図2】k-光電子事象の波高分布pk (h) を示す図であ
る。
【図3】測定対象である光束を実際に測定して得られた
波高分布(破線)と、最尤法で推定されたλ値に基づい
て計算された波高分布(実線)とを示す図である。
【図4】本発明に係る測光装置を用いた蛍光分光測定の
説明図である。
【図5】本発明に係る測光装置の動作の説明図である。
【図6】パルスレーザ光光量、蛍光光量および各信号の
時間変化を示す図である。
【符号の説明】
10…光検出器、11…真空容器、12…入射窓、13
…光電変換面、15a,15b,15c,15d…アバ
ランシェフォトダイオード(APD)、16a,16
b,16c,16d…アノード、17a,17b,17
c,17d…カソード、18…逆バイアス電源、19…
高圧電源、20a,20b,20c,20d…積分器、
21a,21b,21c,21d…スイッチ、22a,
22b,32c,22d…コンデンサ、30a,30
b,30c,30d…増幅器、40a,40b,40
c,40d…サンプルホールド回路、45…マルチプレ
クサ、50…AD変換器、60…ヒストメモリ、70…
演算部、80…パルスレーザ光源、81,82…レン
ズ、83…試料、84…レンズ、85…バリアフィル
タ、86,87…レンズ、90…分光器、91…制御
部、A…被測定光束、B…光電子。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定光束の光量に応じた分布に従った
    個数の光電子を放出する光電変換面と、それぞれ光電子
    数分布に従った個数の光電子を入射し増倍して電流信号
    を出力する2以上の所定数の増倍部と、前記被測定光束
    を透過させる入射窓を有し前記光電変換面および前記所
    定数の増倍部を内部に含む真空容器と、を備える光検出
    器と、 前記所定数の増倍部それぞれから出力された前記電流信
    号それぞれを所定時間積分して電圧信号に変換する積分
    手段と、 前記電圧信号に応じたデジタル値に変換するAD変換手
    段と、 前記所定数の増倍部のそれぞれ及び前記デジタル値に対
    応する番地に所定値を累積加算して、前記所定数の増倍
    部それぞれについて前記電圧信号の波高分布を生成する
    波高分布生成手段と、 前記所定数の増倍部それぞれに入射する光電子が1個の
    場合に前記波高分布生成手段で生成される波高分布を単
    一光電子事象波高分布として獲得する単一光電子事象波
    高分布生成手段と、 前記所定数の増倍部それぞれに入射する光電子の個数k
    が2以上かつ一定数以下のそれぞれの場合におけるk-光
    電子事象波高分布を、前記単一光電子事象波高分布に基
    づいて漸化的にコンボリューション計算によって算出す
    るk-光電子事象波高分布生成手段と、前記被測定光束が
    前記光電変換面に入射して放出された光電子が前記所定
    数の 増倍部の何れかに入射して前記波高分布生成手段で生成
    された波高分布と、前記単一光電子事象波高分布と、前
    記光電子の個数kそれぞれの場合における前記k-光電子
    事象波高分布とに基づいて、前記被測定光束が前記光電
    変換面に入射した場合の前記所定数の増倍部それぞれに
    ついての前記光電子数分布を推定することによって、前
    記被測定光束の光量を求める光電子数分布推定手段と、 を備えることを特徴とする測光装置。
  2. 【請求項2】 前記所定数の増倍部それぞれは、アノー
    ドとカソードとの間に逆バイアス電圧が印加され、且
    つ、前記光電変換面に対向する部位が前記光電変換面の
    電位よりも高電位に設定されて、前記光電子を入力して
    生成された電子・正孔対をアバランシェ増倍し、アバラ
    ンシェ増倍された電子・正孔対の数に応じた前記電流信
    号を出力するアバランシェフォトダイオードである、こ
    とを特徴とする請求項1記載の測光装置。
  3. 【請求項3】 前記光電子数分布推定手段は、最尤法に
    より前記光電子数分布を推定する、ことを特徴とする請
    求項1記載の測光装置。
  4. 【請求項4】 前記光電子数分布推定手段は、前記光電
    子数分布がポアソン分布であると仮定して前記光電子数
    分布を推定する、ことを特徴とする請求項1記載の測光
    装置。
  5. 【請求項5】 前記光検出器の前記入射窓の前面に備え
    られ、入射した前記被測定光束の径を拡大または縮小し
    て、その拡大または縮小された前記被測定光束を前記入
    射窓に入射させるレンズ系を更に備えることを特徴とす
    る請求項1記載の測光装置。
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