JPH09170704A - 蒸気凝縮水の水質モニタおよびそれを用いたエネルギー変換システム - Google Patents

蒸気凝縮水の水質モニタおよびそれを用いたエネルギー変換システム

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JPH09170704A
JPH09170704A JP33301295A JP33301295A JPH09170704A JP H09170704 A JPH09170704 A JP H09170704A JP 33301295 A JP33301295 A JP 33301295A JP 33301295 A JP33301295 A JP 33301295A JP H09170704 A JPH09170704 A JP H09170704A
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water
steam
condensed water
water quality
chamber
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JP33301295A
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Hiroshi Yamauchi
博史 山内
Mamoru Hirota
広田  守
Toshio Kawakami
寿雄 川上
Taku Honda
卓 本田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)
  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は蒸気タービンの乾湿交播域で凝
縮する凝縮水の水質を測定するモニタを提供し、前記モ
ニタによる水質情報をもとに給水水質および蒸気系薬品
注入を制御する機構を備えた蒸気タービン材料の腐食損
傷を防止する高い信頼性を有する蒸気タービンを提供す
ることにある。 【解決手段】蒸気タービン翼表面近傍の凝縮条件を模擬
した凝縮室により凝縮水を得、その凝縮水を分析するこ
とにより水質をモニタする、さらにモニタ結果により蒸
気タービンの運転条件の制御,薬品の注入を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発電用蒸気タービ
ン,船舶用蒸気タービン、その他の熱エネルギーにより
水を気化させ、気化した水蒸気のエネルギーによりター
ビン羽根を回転させ機械的エネルギーを得る、エネルギ
ー変換システムに係り、特に蒸気と金属が接するシステ
ム全体の腐食損傷を防止したエネルギー変換システム及
び蒸気の水質モニタに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば蒸気を扱う火力プラントにおいて
はプラントの形式に応じて種々の給水の水質管理方法が
設定されている。その一例として、火力プラントのAV
T(All Volatile Treatment:全揮発性処理)では、給
水の電気伝導度,溶存酸素濃度,pHを測定して基準値
(例えば一般的にpH9.5,溶存酸素濃度<10ppb )
に収まるようにイオン交換樹脂による給水中イオン成分
の除去,脱気器による溶存酸素の除去,アンモニアおよ
びヒドラジンの給水への注入等で水質制御している。
【0003】最近になって、CWT(Combined Water T
reatment)と呼ばれる水処理法が従来のAVT法に代わ
り、採用されようとしている。AVT処理法では次に述
べる問題点があったためである。AVT処理した給水の
場合、給水系,ボイラ等で生成した腐食生成物がボイラ
の蒸発細管内に波状に堆積する。この波状堆積物が水の
移動の障害となり、ボイラ差圧を上昇させ、結果的に発
電効率を悪化させた。また、ボイラ差圧上昇を避けるた
めに前出の腐食生成物を定期的に脱スケール処理するた
めの費用など、経済的に問題があった。
【0004】CWT法はpHを8.0から8.5,DO濃
度を50から200ppb に制御する方法で、これら諸問
題に対し、効果的に働く。しかし、この手法もAVT法
同様にタービン材料を積極的に防食しようとするもので
はない。また、タービン材料の腐食性からこの水処理方
法を考えた場合、逆にAVT法より腐食環境が厳しくな
ると考えられる。これらAVT,CWTの水質条件は日
本工業規格「ボイラの給水及びボイラ水の水質」B 8223
−1989により規定されている。
【0005】以上述べた従来の給水処理方法は主に蒸気
を発生させるボイラ部の構造材の腐食損傷防止を目的と
しているため、給水はボイラ入口側からサンプリングし
た水の水質を測定し、測定値が基準値におさまるように
管理されてきた。
【0006】このような状況の中で、動翼,静翼及びロ
ータ等、タービン材料の腐食損傷が発生することがあ
る。特に高圧,中圧及び低圧タービンで構成される火力
発電プラントでは蒸気の乾湿交播域にあたる低圧タービ
ンの後段で蒸気が凝縮して液滴が発生し、これに腐食媒
体が混入して腐食を進行させることがある。さらにプラ
ントの起動及び停止時において主タービン高,中,低圧
タービンおよび給水ポンプ駆動用タービンに凝縮水が発
生し、低圧タービン同様、腐食損傷が発生する懸念があ
る。AVTからCWTへの水処理法の移行が進む中で、
AVTのpH9.5から耐食性が劣るpHの低いCWTの
pH8.5 への移行により、ますますタービン材の腐食
損傷を引き起こす懸念が生じる。
【0007】そこで、湿り蒸気または腐食防止用薬品と
タービンに吹き付けることにより、タービンに付着した
腐食媒体を洗い流しかつ、防食するようにした蒸気ター
ビンが提案されている(例えば特開平3−121202 号公
報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これまで、環境および
材料面からの種々の対策にも関わらずタービン材の腐食
損傷が発生する問題がある。なかでも、動翼およびロー
タのダブテイル部で発生する腐食疲労,応力腐食割れが
顕著である。これら腐食損傷が発生する環境は特に蒸気
がエネルギーを使い果たして水に変化する乾湿交播域で
ある。金属材料の腐食損傷は材料が接する環境に大きく
依存するため、タービン材を腐食損傷から守るためには
タービン材が接している凝縮水水質を把握し、把握した
情報をもとに給水水質を管理することが効果的と考えら
れる。
【0009】従来は給水をサンプリングした水の水質を
代表して管理してきたが、以下に述べるようにタービン
系で生成する凝縮水の水質は給水の水質と同じではない
ことが分かってきた。蒸気中に含まれるある種の不純物
は凝縮水の核となり、選択的に凝縮すると考えられる。
したがって給水中の不純物濃度より、乾湿交播域で凝縮
する凝縮水中の不純物濃度のほうが高いことが予想され
る。この種の不純物として塩化物イオンが代表される。
塩化物イオンは腐食性イオンであるので、タービン材の
腐食損傷を加速する懸念が大きい。
【0010】その他、腐食損傷を加速する化学種として
酸素がある。蒸気が乾湿交播域で凝縮するとき、蒸気中
に含まれる酸素は気液平衡的に凝縮水に溶け込むが、そ
の速度は比較的遅い。条件によって異なるが、水と酸素
が気液平衡を達成するためには、分から時間単位以上の
時間を要する。一方、動翼やロータ上で凝縮した凝縮水
は材料表面を伝って、瞬時に下流へ流れてしまうため、
蒸気中の酸素が再び凝縮水へ溶け込んで平衡を形成する
ための十分な時間はない。したがって凝縮水中の酸素濃
度は給水中の酸素濃度に比較すると低くなることが予想
される。
【0011】以上のように凝縮水と給水とではその水質
が異なることが考えられ、給水の水質を監視するだけで
は不十分である。そこで、凝縮水の水質を直接測定する
ことが重要となる。復水器の水やタービンから抽気した
蒸気で給水を加熱する給水加熱器で発生するドレン水も
凝縮水の一種ではあるが、凝縮条件はタービンにおける
乾湿交播域と異なるためタービン上の凝縮水を再現でき
ないと考えられる。本発明はタービン環境と同じ条件で
凝縮させた水の水質を測定する凝縮水水質モニタを提供
し、さらに、上述した蒸気モニタで測定した各種水質因
子の情報をもとに、給水の水質を制御する、あるいは蒸
気系に耐腐食性を向上させる薬品を積極的に注入するこ
とによって腐食損傷性に強い蒸気プラントを提供するこ
とにある。
【0012】これを実現する方法として、腐食防止用薬
品とタービンに吹き付ける方法では、タービンに吹き付
ける湿り蒸気または腐食防止用薬品の量を規定する判断
基準がない。したがって湿り蒸気または腐食防止用薬品
の吹き付け量が過小であれば防食の効果が少なく、逆に
過大であれば経済的でないといった問題と、腐食形態に
適した腐食防止用薬品が使用されていない場合は防食の
効果がうすいといった問題がある。
【0013】本発明の目的はタービン表面で凝縮する水
を模擬し、凝縮した水の水質および非凝縮性の気体成分
をモニタする装置を提供し、かつ、ここで得られた水の
水質あるいは非凝縮性気体成分の濃度から給水の水質を
制御し、あるいは蒸気系への薬品注入によりタービン構
造材の腐食損傷を未然にかつ効果的に防止できるように
した蒸気タービンシステムを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
本発明では、熱エネルギーにより水を気化させ、気化し
た水蒸気のエネルギーによりタービン羽根を回転させ機
械的エネルギーを得る、エネルギー変換システムの水質
モニタにおいて、前記水蒸気の一部を抽出する抽出管,
前記抽出した水蒸気を前記タービン羽根表面近傍と同様
の凝縮条件で凝縮させるように圧力,温度を制御した凝
縮室,凝縮した水を蓄える凝縮水室,前記凝縮水室中の
凝縮水の水質を測定する水質検査部を有することを特徴
とする蒸気凝縮水の水質モニタを提供する。
【0015】上記凝縮水室は該凝縮水の凝縮水室外への
排出速度を調節するための凝縮水流量調節部,未凝縮の
気体成分の排出を調整する気体成分流量調節部のいずれ
か少なくとも一方を有することが好ましい。
【0016】また、上記凝縮水室が無機セラミックス,
合成樹脂、または耐食性金属のいずれかで構成されるこ
とを好ましい。
【0017】さらに上記水質検査部が、pH,電気伝導
度,化学種の成分および濃度,腐食電位,全有機炭素濃
度を測定できる機能のうち、少なくとも一つを有するこ
とが好ましい。
【0018】上記凝縮水室が、未凝縮の気体成分の組成
の同定,濃度の測定のいずれか一方、または両方の機能
を有することが好ましい。
【0019】また、本発明により上記の水質モニタから
の水質情報に基づき、前記水の水質を制御する機構を有
するエネルギー変換システムが提供される。
【0020】上記の水質を制御する機構が、水質情報が
一定範囲になるように、復水系,給水系,蒸気系のいず
れか少なくとも一カ所の任意の場所に薬品を注入する機
構であることが好ましい。
【0021】上記の薬品が金属材料の不動態化を助ける
化学種,金属が接する環境中の酸化種を減少させる化学
種のうち、少なくともいずれかの特徴を有する薬品であ
ることが好ましい。
【0022】さらに本発明により蒸気あるいは耐食性薬
品を構造材料に噴霧し、構造材料表面の腐食媒体を洗浄
する蒸気システム表面洗浄装置において、前記蒸気シス
テムに上記の水質モニタを設置し、前記表面洗浄装置か
ら噴霧した流体を前記水質モニタに導入し、前記水質モ
ニタの指示値が一定値に達するまで噴霧を指示する蒸気
システム表面洗浄装置が提供される。
【0023】次に本発明の作用について述べる。最初に
腐食損傷の一つである腐食疲労及び応力腐食割れについ
て説明する。
【0024】金属が交番応力や繰り返し応力を受けた結
果、割れが進行する現象を疲労という。金属は固有の疲
労限を持ち、疲労限以下の応力では応力サイクルを繰り
返し与えても破壊は起こらない。一方、腐食疲労は腐食
環境下において、応力をいくら小さくしても応力サイク
ルの繰り返し数が十分大きければいずれ破壊が起こる。
腐食疲労の中には応力腐食割れによる破壊を同時に引き
起こすこともある。腐食疲労は一般に、全面腐食度が大
きいほど疲労寿命も短くなるといわれている。また、腐
食疲労に対する抵抗性は金属の機械的強さよりはむしろ
腐食に対する強さに依存する。したがって、金属材料が
接する腐食環境を緩和することによって金属を腐食疲労
から保護することができる。
【0025】応力腐食割れは腐食作用と静的応力とが同
時に働いたときに起こる割れである。応力腐食割れは腐
食疲労と異なり、特定の環境下において引っ張り応力が
加わった場合、生じる。タービン材の一つであるマルテ
ンサイト系ステンレス鋼は塩化物イオン,アンモニア存
在下の環境で応力腐食割れを生じることが知られてい
る。また、応力腐食割れには材料個々の応力腐食割れ発
生臨界電位がある。
【0026】このほか、タービン材料の腐食で問題にな
る形態として、隙間腐食や孔食,水素脆性割れが挙げら
れる。隙間腐食は特に動翼とロータとの間のダブテイル
部で問題となる。
【0027】孔食は塩化物イオン等腐食性アニオンが環
境中に存在した時に問題となる。発電プラントにおいて
時として復水器からの海水リークが発生した場合、塩化
物イオンはタービン系へ飛来することがある。これら腐
食についても応力腐食割れ同様、発生臨界電位が存在す
る。水素脆化割れは腐食とは異なり、腐食が進行した結
果生じる原子状水素が鋼中に進入して材料を脆化させる
ものの現象である。特に動翼に使用されているマルテン
サイト系ステンレス鋼のような固い材料で顕著となる。
本発明ではこれら腐食を総じて腐食損傷と呼ぶことにす
る。
【0028】以上、腐食損傷について述べたように、金
属材料の腐食は環境に依存するため、構造材料を腐食か
ら守るためにはまず第一に、構造材料がおかれている腐
食環境、すなわち水質を把握することが重要である。
【0029】蒸気が凝縮し、液滴に変化したときの水の
水質を検査する装置である。「発明が解決しようとする
課題」で述べたように給水と凝縮液滴の水質が同一でな
いことが次第に明らかになってきたため、給水の水質を
代表して液滴の水質とみなすことはできない。したがっ
て材料表面で凝縮する水を再現し、その水を検査する必
要がある。これを達成するために、次のような構造を用
いる。ある任意の主蒸気の流路から検査として使用する
蒸気を抽気する抽気管を設ける。この抽気された蒸気を
凝縮水室部の導入し、前記凝縮水室部を温度調節部で冷
却する。例えば前記温度調節部は蒸気タービンの場合、
動翼,静翼等に相当する。
【0030】蒸気はある温度および圧力になると凝縮し
始めるので、温度調節部を蒸気凝縮する条件に設定す
る。これによって凝縮液が前記凝縮水室部に溜まる。こ
のほか、非凝縮性の気体成分、例えば給水に酸素が含ま
れていれば気体の酸素が未凝縮ガスとして凝縮液室に溜
まる。この状態で放置すると、次第に前記凝縮液室内の
水が満水になるとともに、非凝縮性の気体成分が気液平
衡を形成しようとするために凝縮液中に溶け込み始め
る。したがって、タービンの動翼や静翼のように凝縮し
た水が瞬時に表面から排出される状態を再現するため
に、前記凝縮室内の未凝縮の気体成分を排気する排出口
を設ける。
【0031】次に凝縮した水の水質を測定するために前
記凝縮室部の液溜に水質検査部を設ける。前記凝縮室部
に溜まった水は、例えばタービンの表面上の水に相当す
ると考えられるので、これによって金属材料が接する環
境を把握することができる。凝縮室部の蒸気圧を飽和蒸
気圧以上に保持することによって蒸気を凝縮させること
ができる。飽和蒸気圧は、雰囲気の温度によって変化す
るため、凝縮室部の温度,圧力を制御することにより、
凝縮条件を変化させることができる。蒸気タービンシス
テムのタービン翼は何段にも分かれているため、タービ
ン翼表面近傍の圧力,温度は蒸気供給側に近いか遠いか
で異なっている。これらの異なる翼それぞれの凝縮水の
水質をモニタするためには、それぞれの翼に対応した圧
力,温度で水を凝縮させて凝縮水を分析する必要があ
る。そのため凝縮室部の温度,圧力を任意に変化させら
れるように、温度調整機構,圧力調整機構を備えること
が好ましい。また、凝縮水室部では凝縮水が時間ととも
に蓄積されるため、前記凝縮水室部が満水になることが
ある。これを防ぐためには前記凝縮室から一定量凝縮水
が蓄積したら排水するか、一定流量で前記凝縮水を排水
すればよい。これを達成するために前記凝縮水室部の前
記凝縮水出口および未凝縮の気体成分の排出口にバル
ブ,ノズル,ポンプ等で構成される流量を調節できる機
能を有する凝縮水流量調節部および気体成分流量調節部
を設置する。
【0032】前記凝縮水室部には水質検査部が設置され
ているため、前記凝縮水室部自身の溶解あるいは腐食に
よって凝縮水を汚染されると指示値の誤差が大きくな
る。よって前記凝縮水室部が耐食性のある無機セラミッ
クス、あるいは合成樹脂あるいは金属で構成されること
によって誤差を防ぐことができる。
【0033】蒸気システムに本発明の凝縮水水質モニタ
を接続し、蒸気システムの構造材料上の凝縮水環境を検
査するものである。
【0034】ボイラからの蒸気は配管を通して要求元へ
送られ、放熱、あるいは機械運動等によりエネルギーを
消費する。実際の蒸気システムがおかれている腐食環境
を測定するために、検査対象部の蒸気を抽気し、抽気し
た蒸気を前記凝縮水水質モニタに導入する。これによっ
て、前記蒸気システムの構造材料がどのような腐食環境
にさらされているか、常時監視できるようになる。
【0035】さらに蒸気水質をモニタした結果、金属材
料にとって腐食環境が強くなったことがわかった場合、
将来的に構造材料の腐食損傷が発生する危険性がある。
この危険性を給水の水質を改善することにより回避する
ことができることがある。しかし、給水の水質の改善と
いってもいずれの成分をどれほど改善すればよいか判断
する基準がない。そこで、凝縮水水質モニタを用いて得
られた水質結果が、構造材料の腐食性にとって無視ある
いは軽減できるようなレベルになるように制御する。こ
れによって効果的かつ適正な給水管理が可能となる。た
だし、ここで述べた給水管理とは、各蒸気システムにつ
いてJIS規格等で定められた管理項目のことをいう。
【0036】また、給水の管理項目で定められた成分の
制御のみで、構造材料の腐食環境を軽減できない場合が
ある。その場合、別途蒸気システムに耐食性を向上させ
る薬品を注入することによって構造材料を腐食損傷から
守ることができる。この場合も、適切な成分を適正量注
入する指標として前記凝縮水水質モニタの値が一定範囲
内におさまるように制御する。これによって経済的に腐
食損傷を防止できるようになる。
【0037】水質検出部の手段としてはpH,電気伝導
度,化学種の成分および濃度,腐食電位,全有機炭素濃
度は腐食におよぼす重要な因子であるため、これらを測
定する必要がある。例えば一般にpHの低下は腐食を高
め、電気伝導度増加も腐食を高める。また、化学種のう
ち、酸素(溶存酸素)は腐食の原因となるため、これも
腐食を高める。腐食電位はSCCや孔食,隙間腐食等の
発生の指標となる。
【0038】SCCや孔食,隙間腐食は発生臨界電位が
存在し、腐食電位がこの臨界電位を越えると腐食が進行
する。したがって凝縮水水質モニタはpH,電気伝導
度,化学種の成分および濃度,腐食電位,全有機炭素濃
度の手段を有することにより、構造材料が接する腐食環
境を知ることができる。
【0039】気体は凝縮性と非凝縮性に分けることがで
きる。蒸気中のアンモニア等は凝縮時に蒸気とともに凝
縮液滴に溶け込むが、酸素等は水への溶解速度が遅いた
めに気相部に残る。よって、水質検査部と気体成分検査
部から蒸気中のある気体成分の全濃度を知ることができ
る。
【0040】気体成分検査部によって求められた気体成
分の酸化成分が予め定められた範囲から逸脱した場合、
薬品を注入することで、防食効果が得られる。例えばシ
ステム停止時,保管時あるいは起動時に何らかの原因で
空気が混入することがある。空気は酸素を含んでいるた
め金属材料の腐食の点で好ましくない。この空気を検出
し、窒素ガス等の気体を蒸気システムに注入して外部か
らの空気混入を防ぐことができる。
【0041】一般に腐食を抑えるには大きく2つの手段
がとられる。第1は環境中の酸化種を取り除くことであ
る。腐食は酸化還元反応であるため、腐食が進行するに
は環境中に酸化種が存在する必要がある。例えば、酸素
は腐食のもとであるが、これを消費するような水素,ヒ
ドラジン,亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。第2は金
属表面上に酸化物等の安定な皮膜を生成させることであ
る。腐食は物質移動がともなうため、物質移動を抑制す
るような酸化皮膜、あるいは不動態皮膜を生成させるこ
とにより腐食が抑制される。例えば硝酸塩,リン酸塩,
モリブデン酸塩は塩化物イオンによる不動態皮膜の破壊
から保護する性質を持つ。以上から金属材料の不動態化
を助ける化学種,金属が接する環境中の酸化種を減少さ
せる化学種を蒸気システムに添加することにより、腐食
を抑制できる。
【0042】給水中に例えば塩化ナトリウム等の不純物
が含まれていると、ボイラから下流側に塩化ナトリウム
が析出し、構造材表面に析出する。この塩化ナトリウム
が水と接して金属の腐食を進行させることがある。した
がって腐食を予防するためには、金属表面に付着した不
純物を取り除く必要がある。これを実現する手段として
金属表面を蒸気や水で洗浄することが挙げられる。これ
に加え、金属の耐食性を付与する目的で耐食性薬品を含
ませることもある。また、洗浄によって不純物を含んだ
水が前記抽気管を通って前記凝縮水水質モニタに運ば
れ、洗浄を継続する条件を前記凝縮水水質モニタの水質
検査部の不純物濃度の指示で判断することにより洗浄を
時間的に効率化できるとともに、前記洗浄液に薬品を用
いるときは、経済的にも有利となる。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明による実施例を図を用いて
説明する。
【0044】図1は本願の凝縮水水質モニタの図であ
る。
【0045】まずはじめに凝縮水水質モニタの構造を説
明する。主蒸気系の蒸気を抽気し、凝縮水水質室モニタ
へ導入する蒸気抽気管28が蒸気室18へ接続されてい
る。蒸気室18は温度調節部20により蒸気が凝縮する
環境に保たれ、蒸気室18に導入された蒸気はここで凝
縮し始める。温度調節部20の役割は蒸気の持つエネル
ギーを奪うことにある、これは例えばタービンでは仕事
によるエネルギー消費に相当する。蒸気室18内の温度
および圧力は蒸気温度計27および蒸気室圧力計26で
それぞれ管理される。蒸気室18で凝縮した凝縮水は蒸
気室18の壁面をつたって凝縮水室19に流入し、蓄積
される。このとき、実機タービン材料表面の凝縮水を再
現するために、蒸気室18で凝縮した水は瞬時に凝縮水
室19に移動できるように蒸気室18は傾斜している。
蒸気室18内の未凝縮の気体成分は系外へ排気される。
凝縮水室19に溜まった凝縮水の水質は水質検査部で測
定される。なお、必ずしも凝縮水室19と蒸気室18と
を分離する必要はなく、例えば図2に示すような一つの
円筒状の筒の一カ所に気体成分排出管48を設置し、下
部に水質検査部を設けてもよい。
【0046】凝縮水室19の条件を蒸気温度計27およ
び蒸気室圧力計26を監視し、前記蒸気室18の温度お
よび圧力が飽和蒸気圧以上になるように制御することに
よって凝縮水を得ることができる。上記と同様に蒸気室
18には蒸気入口,凝縮水出口および気体成分出口が設
けられている。
【0047】図3は本発明の凝縮水水質モニタの図であ
る。
【0048】蒸気の温度,圧力によっては蒸気が凝縮し
ない、あるいは凝縮によって蒸気室18が系外と比較し
て圧力が低くなることがある。その結果、系外より蒸気
室へ流体の逆流が発生する可能性があるので、これを防
止する手段を施したのが上記発明である。また、凝縮水
室の満水を避けるために、凝縮水を一定量で系外へ排出
する機構を施策してある。
【0049】次に本発明の詳細構造を説明する。主蒸気
系の蒸気を抽気し、凝縮水水質室モニタへ導入する蒸気
抽気管28が蒸気室18へ入口側圧力調節弁21を介し
て接続されている。入口側圧力調節弁21は蒸気室18
内の圧力を制御するために使用される。蒸気室18は温
度調節部20および入口側圧力調節弁21により蒸気が
凝縮する環境に保たれ、蒸気室18に導入された蒸気は
ここで凝縮し始める。蒸気室18内の温度および圧力は
蒸気温度計27および蒸気室圧力計26でそれぞれ管理
される。蒸気室18で凝縮した凝縮水は蒸気室18の壁
面をつたって凝縮水室19に流入する。凝縮水室19の
温度は凝縮室温度調節部37を用いて、温度調節部20
と独立して制御できる機構を有している。その後、液面
計35が一定値を示すように、凝縮水排水ポンプ25お
よび凝縮水排水弁を用いて凝縮水室19の液量を調節す
る。蒸気室18内の未凝縮の気体成分は出口側圧力調節
弁22および蒸気出口逆止弁24を介して復水器(凝縮
器)へ排気される。蒸気室18内の設定環境によっては
蒸気室18は復水器(凝縮器)に比較して負圧になり、
復水器(凝縮器)からの逆流する可能性があるので、こ
れを防ぐために蒸気出口逆止弁24が設けられている。
【0050】凝縮水室19に溜まった凝縮水の水質はp
Hセンサ29,参照電極30,溶存酸素センサ31,温
度計32,イオンセンサ33,金属電極34,伝導度計
36,対極38により測定する。ここで参照電極30は
金属電極34の腐食電位およびpHセンサのpH測定用
の基準電極として使用し、金属電極34の材質としてタ
ービン材を選ぶ。対極38は凝縮水環境下で金属電極3
4の電気化学特性を調べるときに金属電極34の電流通
過用電極として使用する。これらセンサからの信号はそ
れぞれ専用の機器により解析され、適当な値を提供す
る。
【0051】本凝縮水水質モニタを用いて得た結果を図
4を用いて示す。給水は伝導度を16μS/cm,溶存酸
素濃度を4ppm ,pHをアンモニアで8.5 に調整した
水とし、これを給水ポンプを用いてボイラに給水し、蒸
気化する。本実施例では蒸気は全て蒸気室18に送られ
るものとした。また、ボイラ給水量は10cm2/minとし
た。蒸気室18の条件は圧力101kPa,温度30〜
70℃の間で変化させた。凝縮水室内の温度は30℃一
定に保った。凝縮水室内19内の水質はそれぞれガラス
電極によるpH,平行白金板による伝導度,酸素の電気
化学還元反応を利用した参照電極,白金試料電極および
白金対極による溶存酸素濃度,タービンの動翼に相当す
る12Crマルテンサイトステンレス鋼の金属電極によ
る腐食電位について測定した。
【0052】図4は蒸気室18の温度を変化させたとき
の凝縮水室19内に溜まった水のpH,伝導度,溶存酸
素濃度,腐食電位の変化である。蒸気室18の温度が高
くなるにしたがってpH,溶存酸素濃度,伝導度,腐食
電位はそれぞれ低下する。これらの値は給水の値に比べ
て低い。これは蒸気室18内で凝縮した水が瞬時に凝縮
水室19に移動するため、蒸気相のアンモニアおよび酸
素が凝縮水に溶け込む時間が十分になかったことに起因
する。凝縮水に溶けなかったアンモニアおよび酸素は出
口側圧力調節弁および出口逆止弁を通って排出される。
さらに蒸気室18の温度が高くなると、ぞれぞれの水質
因子は低下する。これは温度の増加により溶解度が低下
することに起因すると考えられ、蒸気室18における凝
縮水へのアンモニアおよび酸素の溶解量が低下したと推
測される。
【0053】このように給水と凝縮水との水質は明らか
に異なり、蒸気タービンの水質環境を知るためには本装
置のような凝縮水を速やかに測定することが重要であ
る。
【0054】上述した実施例における凝縮水水質モニタ
は一例にすぎず、蒸気を一定の条件下で凝縮させ、凝縮
水の水質を速やかに測定し、かつ凝縮水および未凝縮の
蒸気や蒸気中に含まれていたその他成分が系外に排出で
きる構造を有していればいずれであってもよい。また、
凝縮水の水質を測定する手段は目的を達成する物であれ
ば形式,形状,個数等を限定しない。さらに本実施例の
構造の項で述べた一連の動作をマイクロコンピュータ制
御による自動化した構造を有することができる。
【0055】前記凝縮水室19が耐食性のある無機セラ
ミックス、あるいは合成樹脂あるいは金属で構成される
ことが好ましい。前記凝縮水室部には水質検査部47が
設置されているため、凝縮水室19自身の溶解あるいは
腐食によって凝縮水を汚染されると指示値の誤差が大き
くなる。よって前記凝縮水室19の材料組成として耐食
性のある無機セラミックス、あるいは合成樹脂あるいは
金属で構成されている。本実施例では凝縮水室19で蒸
気の熱交換があるため、ステンレス製を用いている。
【0056】本発明の他の実施例を図5を用いて説明す
る。図5は凝縮水水質モニタを従来の火力発電プラント
へ組み込み、凝縮水水質モニタの情報をもとに給水を制
御する火力プラント系統図の一例である。まずはじめ
に、給水系および蒸気系の動作について説明し、追って
凝縮水水質モニタの情報から給水を制御する方法につい
て説明する。
【0057】給水は復水器6から復水ポンプ7,復水昇
圧ポンプ11および給水ポンプ14によりボイラ1へ供
給される。この途中、給水はこれを浄化するための復水
ろ過器9,復水脱塩装置10,給水のpHを調整するア
ンモニア注入装置17,低圧給水加熱器12,給水に溶
存している気体を除去するための脱気器13,酸素を注
入する酸素注入装置16、そして最後に高圧給水加熱器
15を経る。ボイラ1により給水は蒸気相となり、蒸気
は高圧タービン2と給水駆動用タービン5へ供給され
る。高圧タービンに供給された蒸気は、タービンを回転
させる運動エネルギーを放出した後、一部はボイラ1へ
戻り、再熱される。残りは中圧タービン3へ供給され、
同様に仕事をした後、低圧タービン4へ移動する。中圧
タービン3から出た蒸気の一部は給水駆動用タービン5
へも供給されるが、供給するかどうかはボイラの負荷状
態に応じて変化する。低圧タービン4で仕事をした蒸気
はそのほとんどのエネルギーを使い果たし、復水器6で
凝縮,回収される。凝縮した水は再び、給水となって、
ボイラ1へ供給され、このサイクルを循環する。
【0058】蒸気の乾湿交播域は低圧タービンのおおよ
そ中間に位置し、ここで蒸気は凝縮し始める。凝縮水水
質モニタ39へ送る蒸気は低圧タービン4内の乾湿交播
域の前段から抽気される。低圧タービン抽気管40を通
って蒸気室18へ送られた蒸気はここで凝縮する。前記
低圧タービン抽気管40は途中凝縮しないように保温さ
れている。蒸気室18の温度および圧力は低圧タービン
の乾湿交播域の条件を設定する。これによって低圧ター
ビンの環境を再現することができる。ただしここでは簡
単のためにウィルソン域を無視して考える。蒸気室18
で生成した凝縮水は凝縮水室19に溜まり、凝縮水室1
9に組み込まれている各種水室測定センサにより水質測
定される。水質測定センサで測定された信号は水質信号
解析部43で解析され、その結果は水質制御部44へ送
られる。水質制御部44では前記水質情報が予め定めら
れた値になるように酸素注入装置16およびアンモニア
注入装置17を制御する。
【0059】これによりタービン材にとって耐腐食損傷
性の高い環境を提供でき、結果として高信頼性のタービ
ンが得られる。ただし、ここで述べた、予め定められた
値とはプラントの構造と他の機器の腐食を勘案して、タ
ービン系の腐食損傷が最小になる環境条件である。前記
環境条件と材料の耐食性との関係は多くの研究者により
明らかになっている。
【0060】蒸気の監視手段としてのみ用いる場合は凝
縮水水質モニタ39を設置するだけでよい。
【0061】本発明の他の実施例を図6を用いて説明す
る。上記の実施例で述べた機構によってもタービンの環
境が十分に改善されないことがある。あるいは凝縮水水
質モニタにより測定された水質情報をもとに給水を制御
する場合、前記情報により制御されようとする給水の水
質がタービン系以外の機器にとって悪害となるときがあ
る。図6は水質制御部44により、タービンへの薬品注
入部を制御する機能を追設した火力プラントの系統図で
ある。薬品注入部45は水質信号解析部43の情報に基
づき、水質制御部44により薬品の種類および注入量に
ついて制御される。この方法によると、給水ではボイラ
や給水系機器の腐食損傷防止に適した水質を、そしてタ
ービン系ではタービン系に適した水質をそれぞれ独立に
制御することができる。
【0062】一例として溶存酸素濃度について具体的に
示すと、本プラントの通常(本発明を動作させない)の
給水のpHおよび溶存酸素濃度はそれぞれ8.5および
100ppb であり、この環境はボイラ材料として使用さ
れている炭素鋼にとって耐食性、経済性の面で効果が大
きいとされている。このとき凝縮水水質モニタ39で測
定した溶存酸素濃度は10ppb である。一般的にタービ
ン材、特にロータに使用されるような低合金鋼の耐食性
は炭素鋼と同様にある程度酸素が高い方(約50ppb以
上,700ppb 以下)がよい。したがって、溶存酸素セ
ンサ31が50ppb以上を示すように給水を制御すれば
よいことになる。次に溶存酸素センサ31が示す溶存酸
素濃度が例えば50ppb になるように給水の溶存酸素濃
度を制御すると最終的に給水のpHを約800ppb にす
る必要があった。この値は先に述べたボイラ材が耐食性
を維持できる酸素濃度の上限を超えている。本発明では
水質制御部44は水質信号解析部43および給水水質測
定部46の溶存酸素濃度を監視する。これと同時に水質
制御部44は水質信号解析部43の溶存酸素濃度が予め
定められた一定値に近づくように薬品注入部45を制御
するが、前記水質信号解析部43の溶存酸素濃度が予め
定められた一定値に近づく前に給水水質測定部46の溶
存酸素濃度が700ppb を越えようとするときは給水系
への酸素の注入を700ppb で止め、これにかわって薬
品注入部45から酸素注入するように制御する。これに
よって、ボイラの環境を悪化させることなくタービン系
の環境改善を図ることができる。
【0063】次の例として、孔食起点の腐食疲労あるい
は応力腐食割れ防止について示す。復水器6の熱交換に
使用されている冷却管が腐食等何らかの理由により冷却
材として使用されている海水がリークし、復水に混入す
ることがある。復水脱塩装置10により全ての塩化物イ
オンを取り除くことができずにボイラへ給水すると、貫
流型ボイラの場合、給水中の塩化物イオンはすべてター
ビン系へ飛び、タービン内に析出する。塩化物イオンは
鉄基材料の腐食にとって有害なイオンであり、タービン
材の腐食損傷を加速することが分かっている。いくつか
のタービンでの腐食損傷は塩化物イオンが引き起こした
と考えられる孔食起点の腐食疲労あるいは応力腐食割れ
であった。孔食は腐食電位が孔食発生電位といわれる電
気化学的な電位以上になったときに発生する(ただし、
孔食に対し安全な電位は孔食が一旦発生した後に不動態
化する電位である再不動態化電位以下である)。したが
って、タービン材料の自然電位が孔食発生電位以下にな
るように保持すれば孔食は発生せず、孔食起点の腐食疲
労あるいは応力腐食割れといった損傷を防止できるもの
と考えられる。
【0064】本発明によるとイオンセンサ33として塩
化物イオンを検出する機能を有するセンサを用いて、凝
縮水中の塩化物イオンを監視する。前記センサにより塩
化物イオンが検出されると、水質制御部44は薬品注入
部45に対し、腐食電位を低下させる効果のある水素を
注入するように指示する。注入量は凝縮水室19に設置
されているタービン動翼材と同じ組成を有する金属電極
34の腐食電位を測定し、この値が前記タービン動翼材
に対し予め求められている孔食発生電位あるいは再不動
態化電位を、越えないように制御される。以上によって
孔食起点の腐食疲労あるいは応力腐食割れといった損傷
を防止できる。
【0065】以上述べてきた実施例では凝縮水水質モニ
タへの送る蒸気は低圧タービン内から抽気したものであ
るが、本発明はこれに限定するものではない。例えば低
圧給水加熱器12を加熱するための熱源は一般に低圧タ
ービン4から抽気した蒸気を利用するため、低圧タービ
ン4と低圧給水加熱器12との間の抽気管の途中から蒸
気を分岐し、凝縮水水質モニタへ送ってもよい。同様に
高圧,低圧タービンの中,入口,出口にも給水加熱器に
よる給水の加熱のための抽気管があるので、ここから蒸
気を採取してもよい。また、薬品注入部45の薬品は水
素としたが、タービン材を腐食損傷から守るものであれ
ばいずれでもよい。水質検査部47の構成は上記実施例
の用いられたpHセンサ29,参照電極30,溶存酸素
センサ31,イオンセンサ33,金属電極34に限定す
るものではなく、これに類似する機能を有するものであ
ればいずれでもよい。さらに電気伝導度,全有機炭素濃
度,凝縮水中の化学種の定量あるいは定性可能な機能を
有する手段を付加してもよい。
【0066】本発明の他の実施例を図7を用いて説明す
る。
【0067】通常、短期のプラント停止時には高圧ター
ビン入口側の弁を閉じ、復水器6に設置されている復水
器真空ポンプ51を用いて蒸気系を真空に保持する。こ
のとき何らかの原因で蒸気系に空気が混入することがあ
る。空気には酸素が含まれているので、タービン構造材
表面に水滴が存在するとタービン材の腐食が進行する。
本実施例ではプラント停止時および起動時にかけての酸
素等の蒸気系内腐食媒体検出および除去方法に適用した
例を説明する。
【0068】本実施例の構成を次に示す。蒸気系として
高圧タービン2,低圧タービン4で構成され、低圧ター
ビン4の下部には蒸気を凝縮させる復水器6が設けられ
ている。さらに低圧タービン4は凝縮水水質モニタ39
が蒸気抽気管28を介して接続されている。
【0069】通常、短期のプラント停止時には高圧ター
ビン入口側の弁を閉じ、復水器6に設置されている復水
器真空ポンプ51を用いて蒸気系を真空に保持する。こ
のとき何らかの原因で蒸気系に空気が混入することがあ
る。空気には酸素が含まれているので、タービン構造材
表面に水滴が存在するとタービン材の腐食が進行する。
【0070】タービン系に侵入した一部の空気は復水器
真空ポンプ51から排出され、一部は凝縮水水質モニタ
39に設置してある気体成分検出部52を経由して排出
される。気体成分検出部52には溶存酸素センサ31お
よび気体成分検出部52が備えられている。また、高圧
タービン2の入口側には薬品を注入する薬品注入部45
が設置されている。この薬品注入部45は凝縮水水質モ
ニタ39の情報をもとに、信号解析部43と注入制御部
44によってコントロールされるで、溶存酸素センサ3
1の酸素の濃度が一定値を越えたときに不活性なアルゴ
ンや窒素からなる薬品注入部45からガスが注入され
る。これによって空気の蒸気系へのリークを抑えること
ができる。
【0071】本発明の他の実施例を図を用いて説明す
る。
【0072】図8は低圧タービン4の洗浄装置について
示したものである。低圧タービン4は水の噴射を用いて
タービン表面の不純物を洗浄する洗浄装置49が設置さ
れている。さらに低圧タービン4は凝縮水水質モニタ3
9が蒸気抽気管28を介して接続されている。
【0073】洗浄時はタービンが回転している状態で実
施すると洗浄水が細部まで行きわたるため効果的であ
る。したがって低圧タービン4の洗浄はプラントの停止
操作後実施されるとよい。ただし停止中であっても数時
間のような単時間の停止である場合は通常、ターニング
モータによって回転が維持されており、このような状態
でもよい。
【0074】洗浄が開始されると、薬品注入部45から
水が噴霧される。これによって低圧タービン4に付着し
ていた不純物が水に溶け込み、一部の水は蒸気抽気管2
8に流れ込む。この不純物を含んだ水は抽気管を通って
凝縮水水質モニタ39に導入され、凝縮水水質モニタ3
9に設置されている水質検査部47で水質が測定され
る。水質検査部47では不純物の濃度を測定し、不純物
濃度の減少の度合いが変化しなくなった時点で洗浄装置
制御部50が洗浄装置49の水の噴霧を停止するように
指示する。これによって洗浄を時間的に効率化できると
ともに、前記洗浄液に薬品を用いるときは、経済的にも
有利となる。
【0075】
【発明の効果】本発明により従来知ることができなかっ
た乾湿交播域におけるタービン材料表面の凝縮水環境を
測定することが可能となる。さらに蒸気タービン材料の
腐食損傷を防止できる高い信頼性を有する蒸気タービン
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蒸気入口に流量調節部を設けた凝縮水水質モニ
タの概要を示す図。
【図2】凝縮水水質モニタの概要を示す図。
【図3】凝縮水室部に水質測定部を設けた凝縮水水質モ
ニタの概要を示す図。
【図4】凝縮水水質モニタを使用して測定したpH,溶
存酸素濃度,伝導度および腐食電位の凝縮温度依存性を
示す図。
【図5】火力蒸気プラントのタービン凝縮水水質測定に
よる給水水質制御を示す図。
【図6】火力蒸気プラントのタービン凝縮水水質測定に
よる給水水質制御および蒸気系への薬品注入を示す図。
【図7】火力蒸気プラントのタービン凝縮水水質測定に
よる給水水質制御および蒸気系への薬品注入を示す図。
【図8】火力蒸気プラントのタービン凝縮水水質測定に
よる給水水質制御および蒸気系への薬品注入を示す図。
【符号の説明】
1…ボイラ、2…高圧タービン、3…中圧タービン、4
…低圧タービン、5…給水駆動用タービン、6…復水
器、7…復水ポンプ、8…グランドコンデンサ、9…復
水ろ過器、10…復水脱塩装置、11…復水昇圧ポン
プ、12…低圧給水加熱器、13…脱気器、14…給水
ポンプ、15…高圧給水加熱器、16…酸素注入装置、
17…アンモニア注入装置、18…蒸気室、19…凝縮
水室、20…温度調節部、21…入口側圧力調節弁、2
2…出口側圧力調節弁、23…凝縮水排出弁、24…出
口逆止弁、25…凝縮水排出ポンプ、26…圧力計、2
7…蒸気温度計、28…蒸気抽気管、29…pHセン
サ、30…参照電極、31…溶存酸素センサ、32…温
度計、33…イオンセンサ、34…金属電極、35…液
面計、36…伝導度計、37…凝縮室温度調節部、38
…対極、39…凝縮水水質質モニタ、40…低圧タービ
ン抽気管、41…非凝縮蒸気排出管、42…凝縮水排出
管、43…信号解析部、44…水質制御部、45…薬品
注入部、46…給水水質測定部、47…水質検査部、4
8…気体成分排出管、49…洗浄装置、50…洗浄装置
制御部、51…復水器真空ポンプ、52…気体成分検出
部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 卓 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱エネルギーにより水を気化させ、気化し
    た水蒸気のエネルギーによりタービン羽根を回転させ機
    械的エネルギーを得る、エネルギー変換システムの水質
    モニタにおいて、 前記水蒸気の一部を抽出する抽出管、 前記抽出した水蒸気を前記タービン羽根表面近傍と同様
    の凝縮条件で凝縮させるように圧力,温度を制御した凝
    縮室、 凝縮した水を蓄える凝縮水室、 前記凝縮水室中の凝縮水の水質を測定する水質検査部を
    有することを特徴とする蒸気凝縮水の水質モニタ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の凝縮水室が該凝縮水の凝縮
    水室外への排出速度を調節するための凝縮水流量調節
    部,未凝縮の気体成分の排出を調整する気体成分流量調
    節部のいずれか少なくとも一方を有することを特徴とす
    る水質モニタ。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の凝縮水室が無機セ
    ラミックス,合成樹脂、または耐食性金属のいずれかで
    構成されることを特徴とする水質モニタ。
  4. 【請求項4】請求項1記載の水質検査部が、pH,電気
    伝導度,化学種の成分および濃度,腐食電位,全有機炭
    素濃度を測定できる機能のうち、少なくとも一つを有す
    ることを特徴とする水質モニタ。
  5. 【請求項5】請求項1または2記載の凝縮水室が、 未凝縮の気体成分の組成の同定,濃度の測定の、いずれ
    か一方、または両方の機能を有することを特徴とする水
    質モニタ。
  6. 【請求項6】熱エネルギーにより水を気化させ、気化し
    た水蒸気のエネルギーによりタービン羽根を回転させ機
    械的エネルギーを得る、エネルギー変換システムにおい
    て、 請求項1〜5のいずれかに記載の水質モニタからの水質
    情報に基づき、前記水の水質を制御する機構を有するこ
    とを特徴とするエネルギー変換システム。
  7. 【請求項7】請求項6記載の水質を制御する機構が、 水質情報が一定範囲になるように、復水系,給水系,蒸
    気系のいずれか少なくとも一カ所の任意の場所に薬品を
    注入する機構であることを特徴とするエネルギー変換シ
    ステム。
  8. 【請求項8】請求項7記載の薬品が金属材料の不動態化
    を助ける化学種,金属が接する環境中の酸化種を減少さ
    せる化学種のうち、少なくともいずれかの特徴を有する
    薬品であることを特徴とするエネルギー変換システム。
  9. 【請求項9】蒸気あるいは耐食性薬品を構造材料に噴霧
    し、構造材料表面の腐食媒を洗浄する蒸気システム表面
    洗浄装置において前記蒸気システムに請求項1〜5のい
    ずれかに記載の水質モニタを設置し、 前記表面洗浄装置から噴霧した流体を前記水質モニタに
    導入し、 前記水質モニタの指示値が一定値に達するまで噴霧を指
    示することを特徴とする蒸気システム表面洗浄装置。
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