JP4853658B2 - 蒸気採取方法 - Google Patents
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Description
食品製造工場では、原材料のおいしさや新鮮さをできるだけ維持するために、蒸気を直接食品に吹き込み、殺菌することが行われ始めた。このような状況下では、蒸気に万一異物が含まれると、この蒸気を吹き込んだ食品は品質が維持できないため出荷されず、廃棄されてしまう。従来は、十分に水処理された水を用い、かつ十分に管理されたボイラが使用されているので、このような蒸気の質は殆んど問題になることはなく、最終製品の品質を経験者が試験により判定し、合格品のみを出荷していた。このような状況は、コーンフレークなどのシリアル、レトルト食品や缶詰などの製造工程でも発生する他に、病院におけるガーゼ、包帯などの殺菌などでも発生する。
また、従来においては、十分に水処理された水を用い、かつ十分に管理されたボイラを使用する場合であっても、蒸気への異物の混入を防止するために、ボイラの運転開始初期の蒸気は廃棄し、運転開始から相当な時間が経過後の蒸気を使用に供しているため、いたずらに廃棄される蒸気量が多く、蒸気の無駄を生じていた。蒸気の質を的確に計測することができるならば、このような蒸気の無駄を防止することができる。
そこで本願出願人は、具体的に蒸気質を調べる装置を完成させ提案した(特許文献1)。
ところが、既設低圧プラントの多くは、蒸気採取箇所が設けられていることが少なく、また、工場連続操業中に蒸気採取箇所が新設できない問題が存在する。そこで、既設の圧力計等を外して蒸気採取箇所を設け、任意の期間、蒸気質の監視を実施することになる。
一般に、圧力計は、ブルドン管式のものが使用される。圧力計のブルドン管は扁平な管を円弧状に曲げ、その一端を固定し多端を閉じて自由に動けるようにしたもので、その先に歯付扇形片をかみ合わせる構造となっている。この圧力計は蒸気が直接接触する位置に取付けると、蒸気がブルドン管に入り熱せられて温度が高くなり、正しい値を示さないことがあった。そのため、圧力計の手前にサイホン管を取付け、その中に水を入れてブルドン管に蒸気や高温の水が直接入らないようにして用いる(80℃以下での使用)手法がとられている。
この状態より蒸気を採取する場合には、バルブから先の圧力計のみを取り外して、蒸気を採取する以外の手段はなく、蒸気を採取しながら、同時に圧力を測定することができなかった。このため、蒸気の取出し口を設置する作業時に蒸気が噴出するなど、作業員に常に危険が付きまとっていたのが実状である。
一方、ボイラの復水系の腐食状況を監視する装置として、ボイラから蒸気を受け入れて凝縮させる蒸気冷却器と、復水出口を有し、内部にテストピースを装着可能な、透明材料で構成されたテストピースカラムと、前記蒸気冷却器からの復水を該テストピ−スカラムに供給する配管とを備えてなるボイラ復水系用監視装置が開示されている(特許文献2参照)。しかし、この技術においても、前に挙げた特許文献1においてもボイラより発生する蒸気を採取する方法について、なんら言及されていない。
すなわち、本発明は、
(1)ボイラにおける蒸気質を調べるために、ボイラより発生する蒸気を、蒸気取出し配管に設けたサンプリング口から採取する方法であって、前記蒸気取出し配管の末端に圧力計を設置すると共に、該圧力計と前記サンプリング口との間にサイホン管を設けることを特徴とする蒸気採取方法、
(2)主蒸気配管、蒸気ヘッダー及び高温再生器入口のいずれかに、蒸気取出し配管を配設する上記(1)に記載の蒸気採取方法、
(3)サンプリング口から採取された蒸気は凝縮され、凝縮水の水質を計測し、当該蒸気の質が製品を直接加熱・殺菌する蒸気として適しているか否かを評価する上記(1)又は(2)に記載の蒸気採取方法、及び
(4)サンプリング口から採取された蒸気は凝縮され、凝縮水の電気伝導率、pH、TOC及び溶存酸素濃度の少なくとも一つを測定する上記(1)又は(2)に記載の蒸気採取方法、
を提供するものである。
また、本発明によれば、安全に採取した蒸気を凝縮し、必要項目の水質分析を行うことによって、ボイラ水系が好適に運転されているか否かや、製品直接加熱用蒸気として適しているか否かを評価する方法を提供することができる。その結果、腐食やスケールによる突発事故や、質の低い蒸気を食品などの製品に誤って直接吹き込で不良品を発生させるような事故を未然に防止することができる。
本発明の蒸気採取方法においては、ボイラより発生する蒸気を採取する箇所に特に制限はないが、主蒸気配管、蒸気ヘッダー及び高温再生器入口のいずれかにおいて採取することが好ましい。
次に、圧力計が設置されている既設の蒸気ヘッダーより、蒸気を採取する例について、添付図面に従って説明する。
図1は、既設の蒸気ヘッダーに圧力計が設置されている状態の一例を示す概要図であって、通常、圧力計4は、「蒸気ヘッダー1−サイホン管2a−バルブ3a−圧力計4」の順に取付けられている。この状態の場合、サイホン管2aの中にドレンが溜まるため、圧力計4のブルドン管に蒸気や高温の水が直接入ることはない。
蒸気取出し配管10は、以下に示す操作によって作製することができる。まず、図1において、バルブ3aを閉め、圧力計4を外す。次いで、図2において、チーズ5、バルブ3b、サンプリング口6、サイホン管2bを取付け、さらに末端に圧力計4を設置することにより、蒸気取出し配管10が作製される。
前記構成の蒸気取出し配管10においては、サンプリング口6から連続的に蒸気を採取すると、サイホン管2aは、蒸気が凝縮した水は溜まらない。一方、サイホン管2bは、圧力計4が末端に設置されており、蒸気が送られないため、蒸気凝縮水が溜まり、圧力計4は、そのブルドン管に蒸気や高温の水が直接入らず、高温になることはない。
本発明においては、蒸気取出し配管を、図2に示す構成とすることにより、暫定的に蒸気採取箇所を設けた場合においても、圧力計を設置することができ、蒸気の噴出などによる作業員への危険を回避することができる。
本発明の方法が適用されるボイラに特に制限はなく、丸ボイラ、水管ボイラ、小型貫流ボイラなどの特殊ボイラ、さらには低圧ボイラ、中・高圧ボイラのいずれにも適用することができる。
本発明によれば、このように、ボイラより発生する蒸気を安全に採取して蒸気質を調べることができ、蒸気凝縮水の電気伝導率やpH、TOC、溶存酸素濃度などを測定することにより、蒸気を直接加熱用蒸気として適しているか否かを評価することができる。
実施例
多管式小型貫流式ボイラ〔(株)サムソン製〕の蒸気ヘッダーに、図2に示す、サンプリング口を取付けてなる蒸気取出し配管を配設した。次いで、この小型貫流式ボイラにおいて、常用圧力0.6〜0.8MPaまで圧力をかけ、その状態を1ヶ月間維持した。その結果圧力計には全く異常が見られず、正常値を示し続けた。また、サンプリング口から採取した蒸気は水冷式熱交換器に供給して、常温の凝縮水とした。
これらから、本発明方法においては何の危険性も伴わず、常に正常な圧力計による計測のもと蒸気を採取することができ、しかも蒸気は容易に凝縮されて水質分析用機器に供することができることがわかる。
2a、2b サイホン管
3a、3b バルブ
4 圧力計
5 チーズ
6 サンプリング口
10 蒸気取出し配管
Claims (4)
- ボイラにおける蒸気質を調べるために、ボイラより発生する蒸気を、サイホン管2a、バルブ3a、及び圧力計を順次設置した蒸気取出し配管から分岐して設けられたサンプリング口から採取する方法であって、前記蒸気取出し配管の末端に圧力計を設置すると共に、バルブ3aと該圧力計との間にチーズとサイホン管2bを順次設置し、該チーズにバルブ3bを介してサンプリング口を設けることを特徴とする蒸気採取方法。
- 主蒸気配管、蒸気ヘッダー及び高温再生器入口のいずれかに、蒸気取出し配管を配設する請求項1に記載の蒸気採取方法。
- サンプリング口から採取された蒸気は凝縮され、凝縮水の水質を計測し、当該蒸気の質が製品を直接加熱・殺菌する蒸気として適しているか否かを評価する請求項1又は2に記載の蒸気採取方法。
- サンプリング口から採取された蒸気は凝縮され、凝縮水の電気伝導率、pH、TOC及び溶存酸素濃度の少なくとも一つを測定する請求項1又は2に記載の蒸気採取方法。
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