JPH091703A - 繊維と膜の複合体の製造方法 - Google Patents

繊維と膜の複合体の製造方法

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JPH091703A
JPH091703A JP7156592A JP15659295A JPH091703A JP H091703 A JPH091703 A JP H091703A JP 7156592 A JP7156592 A JP 7156592A JP 15659295 A JP15659295 A JP 15659295A JP H091703 A JPH091703 A JP H091703A
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aliphatic polyester
polymer
fibers
composite
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JP7156592A
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Masao Matsui
雅男 松井
Hidekazu Koseki
英一 小関
Yoshifumi Kichise
良文 吉瀬
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Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】環境汚染することが少なく、防水性、防風性、
保温性などに優れたシート状または布状の新規複合材料
の製造方法を提供することを目的とする。 【構成】「織物、編物および不織布」の群から選ばれた
少なくとも1種の繊維構像物(A)に対して、脂肪族ポ
リエステルを主成分とする重合体(B)の溶融液溶剤溶
液または/およびフィルムを、コーティング法または/
およびラミネート法によって付与、接着し両者(Aと
B)を一体化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自然分解性の膜を有し
且つ防水性などに優れた、繊維と無孔質膜からなるシー
ト状または布状の新規複合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂などの無孔質膜と編織物などの
繊維構造物とが接着された複合材料は防水性、防風性、
保温性などに優れ、テント、防水材料、コート、スポー
ツ衣料鞄、袋、容器などに広く使われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらの材料
は、通常の合成樹脂膜を用いるため、使用後廃棄する
時、自然環境下では分解性が低く、焼却時は発熱量が大
きく炉を痛めるなどの問題があり、環境保護の見地から
見直しが必要である。
【0004】本発明の目的は、焼却時の発熱が少なく、
必要に応じて自然環境下で完全に分解可能とすることが
出来る、新規な繊維と無孔質膜の複合体の製造方法を提
供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段と作用】上記本発明の目的
は、「編物、織物および不織布」の群より選ばれた少な
くとも1種の繊維構造物(A)に対して、脂肪族ポリエ
ステルを主成分とする重合体(B)からなる溶融液、溶
剤溶液または/およびフィルムを、コーティング法また
は/およびラミネート法によって付与または/および接
着し、両者(AとB)を一体化することにより達成され
る。
【0006】ここで、脂肪族ポリエステルを主成分とす
る重合体とは、グリコール酸、乳酸ヒドロキシブチルカ
ルボン酸などのようなヒドロキシアルキルカルボン酸、
グリコリド、ラクチド、ブチロラクトン、カプロラクト
ンなどの脂肪族ラクトン、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールな
どのような脂肪族ジオール、コハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などの、脂肪族ポリ
エステル重合原料に由来する成分を主要な成分(40重
量%以上、特に50%以上)とするものであって、脂肪
族ポリエステルのホモポリマー、脂肪族ポリエステル共
重合ポリマー、および脂肪族ポリエステルに他の成分、
例えば芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボ
ネート、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタンなどを6
0重量%以下共重合(ブロック共重合または/及びラン
ダム共重合)したもの及び/又は混合したものをすべて
包含する。
【0007】脂肪族ポリエステルを共重合や混合によっ
て変性する目的は、結晶性の低下、融点の低下(重合温
度や成型温度の低下)、柔軟性や弾性回復性の改良、耐
熱性やガラス転移温度の低下または上昇、親水性や撥水
性の改良、分解性の向上または抑制などが挙げられる。
【0008】特に親水性化合物や撥水性化合物を共重合
または混合した場合は、特色ある複合体を得ることが出
来る。親水性化合物を応用すれば、多くの場合、膜の水
分(水蒸気)透過性が高まり、雨衣、屋外スポーツ衣類
などに適する快適性に優れた透湿防水材料が得られる。
また、親水化された脂肪族ポリエステルは、分解性が高
まることが多い。親水性化合物の例としては、アミノ
基、アミド結合、尿素結合、ウレタン結合、エーテル結
合、スルホン基(特にそのNa、Kなどの塩)、カルボ
キシル基、(特にそのNa、Kなどの塩)、リン酸基、
および水酸基などの少なくとも1種を持つものがあげら
れる。そのような親水基を多量に持つ高分子化合物の例
としては、ポリアミド、ポリアミノ酸、ペプチト、ポリ
ペプチド、各種蛋白質、各種多糖類、澱粉、変性澱粉、
セルロース、変性セルロース、ポリ尿素、ポリウレタ
ン、ポリアルキレンエーテル、ポリアクリル酸(特にそ
のNaKなどの塩)、スルホン基(特にそのNa、Kな
どの塩)をもつモノマーを重合または共重合したビニル
系、ポリアミド系、ポリエステル系などの重合体が挙げ
られる。スルホン基を持つモノマーの例としては、スル
ホン化スチレン、メタリルスルホン酸、スルホイソフタ
ル酸、それらのアルカリ金属塩などが挙げられる他方、
撥水性化合物を応用(共重合、混合、コーティングな
ど)した場合は、得られる複合材の撥水性や防水性が改
良され、雨具、テント、屋外スポーツ衣料袋、容器その
他の防水材などに好ましい。撥水性化合物の例として
は、ポリヂメチルシロキサンなどのポリオルガノシロキ
サンその他のシリコン化合物、テトラフルオロエチレン
のホモポリマーおよび他のビニルモノマーなどとのコポ
リマー水素原子の少なくとも一部がフッ素に置換された
有機アルコールとポリアクリル酸とのエステル、その他
のフッ素化合物があげられる。
【0009】これらの親水基や撥水基を持つ化合物と脂
肪族ポリエステルとの共重合は、それら共重合成分が水
酸基やカルボキシル基を持つ場合、通常のエステル化反
応で実施可能である。また、アミノ基や水酸基などの活
性水素を持つ化合物では、ジイソシアネート、ジカルボ
ン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸塩化物、ジオ
ールなどの多官能化合物を用いて、脂肪族ポリエステル
の末端水酸基やカルボキシル基と結合させることができ
る。共重合の形式は、ブロック共重合でもランダム共重
合でもよいが、耐熱性などの劣化が少なく、優れた改良
効果が得られるブロック共重合が特に好ましいことが多
い。
【0010】一方、親水基や撥水基を持つ化合物、特に
高分子化合物と、脂肪族ポリエステルとの混合は、溶媒
を用いて溶液状で行うことも出来、溶融状態で行うこと
も出来る。混合方法は、機械的攪拌によってもよく、流
れの案内装置による静止混合器を用いてもよく、両者を
併用してもよく、さらに相溶化剤や界面活性剤を応用す
ることも出来る。
【0011】本発明複合体を構成する脂肪族ポリエステ
ル(B)からなる膜は、本質的に無孔質のものすなわち
人為的に多孔質化していないものである。一般に無孔質
膜を用いた複合材は耐水性に優れ、高い耐水圧のもの、
すなわち耐水圧500mm(水柱)以上、とくに100
0mm以上のものを容易に製造することが出来る。もち
ろん、無孔質膜は完全に孔が無いものが望ましいが、実
用上差支えない程度のピンホールなどがあってもよい。
無孔質膜を用いた複合体は、ポリマーを溶融状態で繊維
構造物にコーティング(塗布)またはラミネート(接
着)する方法、別途製膜した無孔質フィルムを繊維構造
物にラミネート(接着)する方法などで製造することが
出来る。同様に、ポリマーの溶剤溶液を布などにコーテ
ィングした後、加熱などにより(多孔質化を防ぎつつ)
溶剤を気化、除去する方法も応用可能である。しかし、
溶液法でコーティングしたものを、凝固液(たとえば水
系浴中)で凝固させる方法は、膜が多孔質化する可能性
が高く、本発明の目的である無孔質複合材の製造に適さ
ないことが多い。
【0012】本発明複合体を構成する繊維構造物および
膜は、それぞれ単数でもよく複数でもよい。例えば、単
一の膜と単一の繊維構造物が接着されたものの他に、単
一の膜を二つの繊維構造物が挟んだ構造のもの、単一の
繊維構造物を二つの膜が挟んだもの、および複数の膜と
複数の繊維構造物からなる多重構造物も本発明に包含さ
れる。
【0013】公開特許公報平5−252838号には、
植物繊維からなる紙または紙からなる糸をシート状に編
んだものと、分解性プラスチックからなる複合体が開示
されている。
【0014】本発明複合体の構成要素の一つである不織
布は、シートまたは布状の繊維絡合体であり、紙とは全
く別のものである。不織布と紙の本質的な相違点は、そ
れを構成する繊維の長さにあり、不織布の繊維長は、通
常15mm程度以上、多くの場合20mm以上である。
一方、紙の繊維長は通常5mm程度以下である。みつま
た等を原料とする和紙の繊維長は15mm以上の場合も
あるが、もちろん和紙は本発明に用いる不織布ではな
い。すなわち、和紙は手工業製品であり、本発明に用い
る不織布は工業製品である。また、工業的に製造される
洋紙は、繊維長が短いだけでなく、繊維以外に無機粒子
などの充填剤や接着剤をかなり多量に含む場合が多い
が、本発明に用いる不織布はそのような充填剤は含まな
い。本発明複合体に用いる繊維の長さは、特に限定され
ないが、多くの場合、長さ20mm〜100mm程度の
短繊維および連続フィラメントが好ましく用いられる。
【0015】上記構成繊維などの相違により、不織布は
一般に紙よりも柔らかく可とう性に富み、強度もはるか
に大きい。従って本発明による複合体は、上記特開公報
に開示された複合体よりもはるかに優れた強度その他の
性能を持ち、非常に広範な用途に用いることが出来る。
【0016】本発明複合体の重要な用途は、防水材料お
よび透湿防水材料である。防水材料としては、前述のよ
うにシリコンやフッ素化合物を応用した撥水性の高い膜
が好ましい。撥水性は、JIS L 1092(198
6)のはっ水度試験(スプレー試験)により、はっ水度
80以上が好ましく、90以上が最も好ましい。耐水圧
も、上記JISの耐水度試験A法(低水圧法)で、水柱
500mm以上が好ましく、1000mm以上が特に好
ましいが、本発明による無孔質膜と繊維構造物との複合
構造によって容易に得られる。また雨具などの衣料に応
用する場合は、快適性の見地から透湿性の高いものが好
ましく、JIS L 1099(1989)A−1法
(塩化カルシウム法)により、透湿度1000g/m2
/日(24h)以上が好ましく、2000g/m2 /日
以上が特に好ましいが、親水性化合物を応用した膜によ
り実現可能である。このための脂肪族ポリエステルへの
親水性化合物の共重合や混合の比率は、例えば3〜50
重量%、特に5〜40%が好ましく、10〜30%が最
も好ましく用いられる。
【0017】本発明に用いる脂肪族ポリエステルを主成
分とする重合体の分子量は、特に限定されないが、多く
の場合平均分子量5万以上、特に8〜50万が好まし
く、10〜30万が最も好ましく用いられる。また、通
常の溶融法や溶液法で成型する場合、高度に架橋や分岐
したポリマーは用いられないが、若干の(例えば重合用
モノマー比率で5モル%以下、とくに3モル%以下の)
架橋または分岐成分を用いることも出来る。また膜の成
型後、加熱、紫外線照射、放射線照射などでポリマーを
架橋し、耐熱性、強度、耐久性、弾力性、耐溶剤性など
を改良するため、たとえば二重結合を持つ化合物を混合
または共重合しておくことも出来る。
【0018】本発明複合体の膜は、特に衣料などの用途
には、柔軟性や伸縮性に優れるものが好ましい。一般
に、脂肪族ポリエステルは、柔軟性に優れるが、さらに
柔軟性や伸縮性を強化するために、ガラス転移点20゜
C以下、特に0゜C以下の高分子成分をソフトセグメン
トとして導入することが好ましい。ソフトセグメント用
のポリマーとしては、例えばポリアルキレンエーテル、
ポリアルキレンカーボネート、ポリアルキレンラクト
ン、ポリアルキレンアルキレート、ポリオルガノシロキ
サンおよびそれらを成分とする共重合体などが挙げられ
る。ポリアルキレンエーテルの例としては、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレ
ンエーテルおよびそれらを成分とする共重合体が挙げら
れる。ポリアルキレンカーボネートの例としては、ポリ
ヘキサンカーボネート、ポリオクタンカーボネートなど
炭素数4〜12のアルキル基をもつものが挙げられ、ポ
リアルキレンラクトンの例としては、ポリブチロラクト
ン、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトンおよびそ
れらを成分とする共重合体が挙げられる。ポリアルキレ
ンアルキレートの例としては、ポリエチレンアジペー
ト、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアジペー
ト、ポリブチレンセバケートなど炭素数2−12の直鎖
または側鎖を持つグリコールと炭素数4−12の直鎖ま
たは側鎖を持つジカルボン酸から得られる重合体または
それらを成分とする共重合体が挙げられる。ポリオルガ
ノシロキサンの例としては、ポリジメチルシロキサン、
ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンな
ど、アルキル基やアリール基置換のポリシロキサンおよ
びそれらの共重合体が挙げられる。
【0019】上記のソフトセグメント成分と組み合わせ
る脂肪族ポリエステルとしては、結晶性で融点130゜
C以上、特に150゜C以上のものが、製品の耐熱性の
見地から好ましい。すなわちこの様な融点の比較的高い
ポリエステルをハードセグメントとし、上記ソフトセグ
メントに結合させたブロック共重合体は、一種のゴム弾
性体であり、柔軟性や伸縮性に優れ、本発明複合体の膜
成分として、最も好ましい例である。ハードセグメント
として好ましい融点の高いポリマーの例としては、ポリ
L−乳酸。ポリD−乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒド
ロキシブチレートおよびそれらを主成分とする共重合体
が挙げられる。高融点ハードセグメントと低ガラス転移
点ソフトセグメントからなるブロック共重合体におい
て、ハードセグメントとソフトセグメントとの重量比は
任意であるが、多くの場合、80/20〜20/80、
特に70/30〜30/70の範囲が好ましく用いら
れ、60/40〜40/60の範囲が最も広く用いられ
る。ソフトセグメントの平均分子量は特に限定されない
が、多くの場合1000以上、特に2000以上が好ま
しく用いられ、5000〜200000の範囲が最も広
く用いられる。なお、ここでセグメントとはポリマー分
子の一部分をいう。また融点は、DSC分析による吸熱
ピーク値を示す。他方、上記ゴム状弾性体ポリマーと組
み合わせる繊維構造物は、任意であるが、高い伸縮性を
目的とする場合は、経編物、横編物、丸編物などの編物
が好ましい。
【0020】本発明複合体を構成する膜の厚みは、特に
限定されないが、多くの場合、平均の厚みは、5〜50
0μm、特に10〜200μmが好ましい事が多く、1
0〜100μmの範囲が最も広く用いられる。
【0021】本発明に用いる繊維は、特に限定されない
が、通常、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィ
ン、ポリアクリル、ポリビニルなどの合成繊維、再生セ
ルロース繊維、および綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維
が用いられる。しかし環境保護の見地からは、綿、麻、
羊毛、絹などの天然繊維、再生セルロース繊維、脂肪族
ポリエステルを主成分とする人造繊維など、自然環境下
で分解するものが最も望ましい。これらの自然分解性繊
維と脂肪族ポリエステルからなる膜とが組み合わせられ
た場合、その複合体は例えば土壌中や堆肥中で自然分解
し、環境汚染することがなく、また燃焼時の発熱も少な
く極めて好ましい。
【0022】織物、編物、不織布などの布に、脂肪族ポ
リエステルを主成分とする重合体(B)の溶融液、溶剤
溶液、フィルムなどをコーティングまたは/ラミネート
する方法は任意である。たとえば、ポリマーの溶剤溶液
を回転ローラー上に均一に付着させ、それを走行する布
に接触させ一体化するローラーコーティング法が好まし
く用いられる。上記特開公報に開示されている、ポリマ
ー溶液中に布を浸漬したり、ポリマー粉体を散布付着し
その後ホットプレスする方法は、膜の均一性が劣りピン
ホールなどの欠陥が多発しやすい上に能率が悪く、工業
的にあまり好ましい方法とは言えない。なお溶剤溶液を
コーティングした後の、乾燥工程での膜の多孔質化を防
ぐため、ポリマー濃度は高めとし、溶剤の除去は比較的
ゆっくりと(例えばできるだけ低温で)行うなどの注意
が必要である。他方、重合体(B)の溶融ポリマーをス
リットよりフィルム状に押し出し、それを走行する布に
接着する方法は、膜が多孔質化することが無く高速で実
施可能で好ましい。また、別に作成した重合体(B)の
未延伸または延伸フィルムと布とを、適当な接着剤によ
り張り合わせ接着(ラミネート)することもできる。接
着剤としては、ウレタン系、アクリル系、エステル系な
どのものが好ましく用いられるが、特に自然分解性のあ
るもの、例えば脂肪族ポリエステルをソフトセグメント
とするポリウレタンや、脂肪族ポリエステルを溶剤に溶
解したものなどが好ましい。
【0023】以下の実施例において、%、部は特に断ら
ない限り重量比である。脂肪族ポリエステルの分子量
は、試料の0.1%クロロホルム溶液のGPC分析にお
いて、分子量1000以下の成分をのぞく高分子成分の
分散の重量平均値である。
【0024】
【実施例】
[実施例1]分子量198000、融点171゜Cのポ
リL−乳酸(ホモポリマー)チップを220゜Cのスク
リュウ押出機で溶融し、220゜C、スリット間隔0.
1mmのTダイより押し出し、15゜Cのロールで冷却
し、80゜Cで縦方向に2.2倍、横方向に3.1倍延
伸して得た厚み20μmのフイルムをF1とする。繊度
75デニール/30フィラメントの再生セルロース(レ
ーヨン)フィラメントを経糸及び緯糸に用いた平織物を
W1とする。
【0025】フィルムF1にアクリル系水系エマルジョ
ン接着剤を樹脂分7g/m2 塗布し、その面に織物W1
をローラーで圧着し、120゜Cの乾燥機で5分間乾燥
して得たラミネート型の複合体をC1とする。
【0026】分子量70000で片末端が水酸基のポリ
カプロラクトン12部、L−ラクチド90部、オクチル
酸錫0.1部を混合し、窒素雰囲気中190゜Cで溶融
攪拌重合し、冷却チップ化後、120゜C窒素雰囲気中
で8時間処理(固相重合)して、ポリ乳酸とポリカプロ
ラクトンのブロック共重合ポリマーP1を得た。ポリマ
ーP1の分子量は172000、ポリカプロラクトン成
分の含有率は約12%融点は170゜Cであった。ポリ
マーP1を220゜Cのスクリュウ押出機で溶融し、温
度215゜C、間隔0.1mmのスリットを持つTダイ
より押出して直ちに織物W1に張り合わせたのちローラ
ーで加圧し強固に接着して、厚み22μmの膜と織物が
一体化された複合体C2を得た。
【0027】上記複合体C1及びC2の耐水圧を測定し
たところ、いずれも1000mm以上であり、十分な耐
水圧を示した。またこれらの複合体を土壌(畑土)中に
埋没試験した結果、6ケ月で強度測定不能にまで劣化し
ており、1年後には殆ど消失していた。
【0028】[実施例2]分子量20000のポリプロ
ピレングリコール(PPG)の両側にそれぞれ分子量3
0000のポリエチレングリコール(PEG)が結合し
た分子量80000のブロック共重合体で、両末端が水
酸基であるもの30部、L−ラクチド70部、オクチル
酸錫0.1部、チバガイギー社イルガノックス1010
(酸化防止剤)0.2部を混合し、以下実施例1のポリ
マーP1と同様に重合してブロックポリマーP2を得
た。ポリマーP2の分子量は166000、融点は16
6゜Cであった。このポリマーは、PEG/PPG共重
合体をソフトセグメントとし、ポリ乳酸をハードセグメ
ントとするゴム状弾性体である。
【0029】ポリマーP2を用い、以下実施例1のフィ
ルムF1と同様にして、但しTダイの温度210゜C、
延伸倍率を縦方向2.3倍、横方向3.4倍とし、延伸
後、130゜Cで熱処理して縦方向に17%、横方向に
12%収縮させて、厚み12μmのフィルムF2を得
た。
【0030】フィルムF2の裏表両面に、実施例1の平
織物W1を、同じ水系アクリルエマルジョン接着剤を用
いて実施例1のC1と同様に接着して、三重構造の複合
体C3を得た。複合体C3の一方の織物面に、分子量9
000のジメチルシロキサン初期重合物のトリクロロエ
チレン15%溶液を噴霧法で、布に対してシリコン樹脂
付着率約4%で付着させた後、120゜Cで5分間、さ
らに140゜Cで5分乾熱処理しシリコン樹脂を硬化さ
せて、複合材C4を得た。
【0031】複合材C4のシリコン処理面を表として、
防水性および透湿性を測定した結果撥水度100、耐水
圧1000mm以上、透湿度3100g/m2 /日であ
った
【0032】
【発明の効果】本発明によって、自然分解性の樹脂膜を
有し、環境汚染が少なく、防水性、防風性、保温性など
に優れる新規繊維構造物が提供される。一般に、脂肪族
ポリエステルは、従来使われた樹脂よりも燃焼時の発熱
量が少なく、焼却も容易である特に、好ましい実施態様
として、自然分解性繊維を用いたものは、完全分解性の
複合体であり、環境保護の見地からは最も好ましい。ま
た、樹脂中に親水性成分を導入することにより、透湿性
を改良し、スポーツ衣料などに好適な透湿防水材料を得
ることが出来る。同様に、シリコンやフッ素化合物を導
入してポリマーの撥水性を高めることにより、複合体の
防水性を高めることが出来る。更に、樹脂として、高融
点の結晶性脂肪族ポリマーをハードセグメントとし、ガ
ラス転移温度の低いポリマーをソフトセグメントとする
ブロック共重合体を用いれば、柔軟性や伸縮性にすぐれ
た複合材とすることが出来るなど、自然分解性を保持し
つつ多様な応用が可能である。
【0033】本発明複合材は、土木用、建築用、農業
用、輸送用などの防水シート、テント帆、傘、スポーツ
衣料、雨衣、コート、靴、鞄、袋、容器など広範な用途
に利用される。特に、自然分解性繊維を応用した場合
は、使用後、例えば細片状に切断して土壌中、堆肥中や
海水中などに埋没すれば、分解されつつ肥料などとして
作用したのち、最終的には炭酸ガスと水に還元されるの
で、特に農業、土木、林業水産分野に極めて有用であ
り、環境保護に大きく貢献する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】「織物、編み物および不織布」の群から選
    ばれた少なくとも1種の繊維構造物(A)に対して、脂
    肪族ポリエステルを主成分とする重合体(B)溶融液、
    溶剤溶液または/およびフイルムを、コーティング法ま
    たは/およびラミネート法によって付与または/および
    接着し、両者(AとB)を一体化することを特徴とす
    る、繊維と無孔質膜の複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】脂肪族ポリエステルを主成分とする重合体
    が、脂肪族ポリエステルに「アミノ基、アミド基、尿素
    結合、ウレタン結合、エーテル結合、スルホン基、カル
    ボキシル基、リン酸基および水酸基」の群から選ばれた
    少なくとも1種の親水基を持つ化合物(C)を共重合ま
    たは/混合したものである、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】脂肪族ポリエステルを主成分とする重合体
    が、融点130゜C以上の脂肪族ポリエステルセグメン
    トと、ガラス転移点20゜C以下のソフトセグメントか
    らなるブロック共重合体である、請求項1〜2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】繊維構造物(A)を構成する繊維が、
    「綿、麻、羊毛、絹、その他の有機天然繊維、再生セル
    ロース繊維、脂肪族ポリエステルを主成分とする人造繊
    維、およびそれらに類似する自然分解性繊維」の群から
    選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜3記載の方
    法。
JP7156592A 1995-06-23 1995-06-23 繊維と膜の複合体の製造方法 Pending JPH091703A (ja)

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