JPH09170030A - ばね用鋼線およびその製造方法 - Google Patents
ばね用鋼線およびその製造方法Info
- Publication number
- JPH09170030A JPH09170030A JP7349190A JP34919095A JPH09170030A JP H09170030 A JPH09170030 A JP H09170030A JP 7349190 A JP7349190 A JP 7349190A JP 34919095 A JP34919095 A JP 34919095A JP H09170030 A JPH09170030 A JP H09170030A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel wire
- magnetic field
- wire
- orientation
- martensitic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】剛性率の高いばね用鋼線を得る。
【解決手段】焼入によってマルテンサイト組織を得るば
ね用鋼線であって50%以上のマルテンサイト相の[1
00]方位が線軸方向に対して30°以内に配向してい
るばね用鋼線。
ね用鋼線であって50%以上のマルテンサイト相の[1
00]方位が線軸方向に対して30°以内に配向してい
るばね用鋼線。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は剛性率の高いばね用
鋼線とその製造方法に関するものである。
鋼線とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マルテンサイト相をマトリックスとする
鋼においては、A3点(オーステナイト化の温度)以上
の温度に加熱保持後、焼入れしてマルテンサイト変態さ
せてマルテンサイト相を得ている。一般的には結晶方位
によって剛性率や機械的性質は異方性が知られている
が、焼入を行ったマルテンサイト相に関しては異方性の
積極的利用はされていない。また焼入の際の磁場の利用
については特公昭63−492号公報にはマルテンサイ
ト変態の迅速化、均一化、特開平6−11662号には
マルテンサイトの変態量増加、微細化の効果があること
が示されている。さらにバウンダリー、vol.9(1
993)、No.2、p56示されているように磁場誘
起変態マルテンサイト変態において磁場方向に結晶方位
が揃うことが示唆されているが、焼入れ時のマルテンサ
イト変態における磁場による結晶方位制御をしたという
報告はない。
鋼においては、A3点(オーステナイト化の温度)以上
の温度に加熱保持後、焼入れしてマルテンサイト変態さ
せてマルテンサイト相を得ている。一般的には結晶方位
によって剛性率や機械的性質は異方性が知られている
が、焼入を行ったマルテンサイト相に関しては異方性の
積極的利用はされていない。また焼入の際の磁場の利用
については特公昭63−492号公報にはマルテンサイ
ト変態の迅速化、均一化、特開平6−11662号には
マルテンサイトの変態量増加、微細化の効果があること
が示されている。さらにバウンダリー、vol.9(1
993)、No.2、p56示されているように磁場誘
起変態マルテンサイト変態において磁場方向に結晶方位
が揃うことが示唆されているが、焼入れ時のマルテンサ
イト変態における磁場による結晶方位制御をしたという
報告はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年自動車の小型軽量
化に代表されるように部品の小型軽量化が進む現状にお
いて、ばねに関してもその細径化が要求されている。そ
こでこれを達成すべくばね用鋼線の剛性率を向上させる
検討をした。
化に代表されるように部品の小型軽量化が進む現状にお
いて、ばねに関してもその細径化が要求されている。そ
こでこれを達成すべくばね用鋼線の剛性率を向上させる
検討をした。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、研究を進めた結果、マルテンサイト相の形状
磁気異方性を利用することにより、すなわちA3点以上
の温度に鋼線を加熱保持後、焼入(マルテンサイト変
態)する際に0.5テスラ以上5テスラ以下の磁場を線
軸方向に印加することにより、マルテンサイト相の結晶
方位を制御できることを見出した。そしてこれにより5
0%以上のマルテンサイト相の[100]方位を線軸に
対して30°以内の範囲に配向しているばね用鋼線とそ
の製造方法にある。
するため、研究を進めた結果、マルテンサイト相の形状
磁気異方性を利用することにより、すなわちA3点以上
の温度に鋼線を加熱保持後、焼入(マルテンサイト変
態)する際に0.5テスラ以上5テスラ以下の磁場を線
軸方向に印加することにより、マルテンサイト相の結晶
方位を制御できることを見出した。そしてこれにより5
0%以上のマルテンサイト相の[100]方位を線軸に
対して30°以内の範囲に配向しているばね用鋼線とそ
の製造方法にある。
【0004】本発明において対象となる鋼線はオイルテ
ンパー線、マルテンサイト系ステンレス鋼線等である。
ンパー線、マルテンサイト系ステンレス鋼線等である。
【0005】(作用)上記のように本発明では50%以
上のマルテンサイト相の[100]方位が線軸方向に対
して30°以内の範囲に配向しているが、マルテンサイ
ト相において[100]方位の剛性率が他の結晶方位の
それよりも最も高く、この方位が線軸方向に対して30
°以内の範囲にあれば実質的線軸方向と平行とみなして
よく、ばね用鋼線の剛性率向上に寄与する。そしてマル
テンサイト相の50%以上が線軸方向と[100]方位
が実質的に平行となって初めて剛性率の実用的な向上が
認められる。 (磁場の作用)マルテンサイト変態は非磁性のオーステ
ナイト相から強磁性のマルテンサイト相への変態であ
る。変態の際に磁場を印加することによってマルテンサ
イト相における容易磁化方向である[100]方向が磁
場の向きにマルテンサイト相が成長し易くなる。 (磁場の強さ)磁場の強さとしては、0.5〜5テスラ
の範囲で、特に0.5〜2テスラが好ましい。これは
0.5テスラ未満では磁場印加の効果が小さく、また2
テスラを超える磁場を発生させるためには通常の電磁石
では不十分であり、大きな費用がかかる。
上のマルテンサイト相の[100]方位が線軸方向に対
して30°以内の範囲に配向しているが、マルテンサイ
ト相において[100]方位の剛性率が他の結晶方位の
それよりも最も高く、この方位が線軸方向に対して30
°以内の範囲にあれば実質的線軸方向と平行とみなして
よく、ばね用鋼線の剛性率向上に寄与する。そしてマル
テンサイト相の50%以上が線軸方向と[100]方位
が実質的に平行となって初めて剛性率の実用的な向上が
認められる。 (磁場の作用)マルテンサイト変態は非磁性のオーステ
ナイト相から強磁性のマルテンサイト相への変態であ
る。変態の際に磁場を印加することによってマルテンサ
イト相における容易磁化方向である[100]方向が磁
場の向きにマルテンサイト相が成長し易くなる。 (磁場の強さ)磁場の強さとしては、0.5〜5テスラ
の範囲で、特に0.5〜2テスラが好ましい。これは
0.5テスラ未満では磁場印加の効果が小さく、また2
テスラを超える磁場を発生させるためには通常の電磁石
では不十分であり、大きな費用がかかる。
【0006】
(実施例)Fe−0.55%C−1.41%Si−0.
71%Mn−0.70%Cr鋼(重量%)を線径4.0
mmの鋼線とした後、900℃に加熱後、a:1.5テ
スラの磁場を印加した油槽に磁場の向きと線軸方向を平
行、b:前記と同じ磁場で磁場の向きと線軸方向を垂
直、C:0.3テスラの磁場を印加した油槽に磁場の向
きと線軸方向を平行となるようにして焼入し、これを4
50℃で5分間保持後水冷の焼戻し処理した後、電子線
回折による[100]方位の集積測定(マルテンサイト
相の30個の結晶について[100]の方位を調べ、線
軸方向との角度を調査した。)、および剛性率測定を行
った。また、比較のためにd:磁場を印加しないで焼入
した場合についても測定した。その結果を表1に示す。
71%Mn−0.70%Cr鋼(重量%)を線径4.0
mmの鋼線とした後、900℃に加熱後、a:1.5テ
スラの磁場を印加した油槽に磁場の向きと線軸方向を平
行、b:前記と同じ磁場で磁場の向きと線軸方向を垂
直、C:0.3テスラの磁場を印加した油槽に磁場の向
きと線軸方向を平行となるようにして焼入し、これを4
50℃で5分間保持後水冷の焼戻し処理した後、電子線
回折による[100]方位の集積測定(マルテンサイト
相の30個の結晶について[100]の方位を調べ、線
軸方向との角度を調査した。)、および剛性率測定を行
った。また、比較のためにd:磁場を印加しないで焼入
した場合についても測定した。その結果を表1に示す。
【0007】
【表1】
【0008】上記表1に示すように磁場を線軸方向に平
行に印加した場合には[100]方位が線軸方向と30
°以内の範囲にあるマルテンサイト相の結晶が50%以
上あり、比較例b、c、dに比べて剛性率が高い。
行に印加した場合には[100]方位が線軸方向と30
°以内の範囲にあるマルテンサイト相の結晶が50%以
上あり、比較例b、c、dに比べて剛性率が高い。
【0009】
【発明の効果】本発明によれば磁場を印加することによ
り、マルテンサイトラスの方向制御ができ結晶方向が揃
う。そのため鋼線としてその異方性に従い鋼性率が向上
する。
り、マルテンサイトラスの方向制御ができ結晶方向が揃
う。そのため鋼線としてその異方性に従い鋼性率が向上
する。
Claims (2)
- 【請求項1】焼入によってマルテンサイト組織を得るば
ね用鋼線であって、50%以上のマルテンサイト相の
[100]方位が線軸方向に対して30°以内に配向し
ていることを特徴とするばね用鋼線。 - 【請求項2】ばね用鋼線をA3点以上の温度に加熱保持
後、焼入れてマルテンサイト変態させる際に線軸方向に
0.5テスラ以上5テスラ以下の磁場を印加することを
特徴とするばね用鋼線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7349190A JPH09170030A (ja) | 1995-12-19 | 1995-12-19 | ばね用鋼線およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7349190A JPH09170030A (ja) | 1995-12-19 | 1995-12-19 | ばね用鋼線およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09170030A true JPH09170030A (ja) | 1997-06-30 |
Family
ID=18402085
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7349190A Pending JPH09170030A (ja) | 1995-12-19 | 1995-12-19 | ばね用鋼線およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09170030A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104805257A (zh) * | 2015-05-08 | 2015-07-29 | 贵州大学 | 一种采用水溶性淬火介质的螺旋弹簧淬火热处理工艺 |
WO2016120366A1 (en) * | 2015-01-30 | 2016-08-04 | Nv Bekaert Sa | High tensile steel wire |
-
1995
- 1995-12-19 JP JP7349190A patent/JPH09170030A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016120366A1 (en) * | 2015-01-30 | 2016-08-04 | Nv Bekaert Sa | High tensile steel wire |
RU2695847C2 (ru) * | 2015-01-30 | 2019-07-29 | Нв Бекаэрт Са | Высокопрочная стальная проволока |
US10570479B2 (en) | 2015-01-30 | 2020-02-25 | Nv Bekaert Sa | High tensile steel wire |
CN104805257A (zh) * | 2015-05-08 | 2015-07-29 | 贵州大学 | 一种采用水溶性淬火介质的螺旋弹簧淬火热处理工艺 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102190538B1 (ko) | 오스테나이트계 스테인리스 강판 및 이를 사용한 고탄성한계 비자성 강재의 제조 방법 | |
EP2966186B1 (en) | Strength member and manufacturing method therefor | |
US20120305146A1 (en) | Non-quenched and tempered steel having ultrafine grained pearlite structure and method of manufacturing the same | |
US4343661A (en) | Method of making a low temperature bainite steel alloy gear | |
JP2011074431A (ja) | 腐食疲労強度に優れるばね用鋼、及びばね | |
US4225365A (en) | Lower bainite alloy steel article and method of making same | |
CN102549174B (zh) | 无需软化处理的高含碳量软线材及其制造方法 | |
US20170159158A1 (en) | Ultra-high-strength spring steel | |
US9540704B2 (en) | Method of making quenched and tempered steel pipe with high fatigue life | |
JPS5921370B2 (ja) | 耐応力腐食割れ性が優れた高延性高張力線材の製造法 | |
JPH09170030A (ja) | ばね用鋼線およびその製造方法 | |
JPH05320749A (ja) | 超高強度鋼の製造方法 | |
JPS62294130A (ja) | 高強度非磁性ステンレス鋼の製造方法 | |
CN108754098A (zh) | 一种调控纳米结构贝氏体钢中碳分配的热处理方法 | |
JP2001247934A (ja) | ばね用鋼線およびその製造方法ならびにばね | |
CN114929922A (zh) | 各自具有优异的延迟断裂抗力特性的用于冷锻的线材和部件及其制造方法 | |
EP0020357A4 (en) | BAINITE STEEL ALLOY ITEM. | |
JP2802155B2 (ja) | 耐疲労性および耐摩耗性に優れた熱処理省略型高張力鋼線材の製造方法 | |
JPS6393822A (ja) | 耐硫化物応力腐食割れ性の優れた鋼材の製造方法 | |
CN111647820B (zh) | 一种先进高强度钢及其分段制备方法与应用 | |
JPH1192860A (ja) | 超微細フェライト組織鋼 | |
JPH08311616A (ja) | 耐疲労性に優れたコイルばねとその製造方法 | |
US2847337A (en) | Process for the production of cast iron having needle-shaped crystalline structure | |
CN109576592B (zh) | 一种热轧磁轭钢及其制造方法 | |
JPH09143621A (ja) | 疲労特性に優れたばね用オイルテンパー線およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070822 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 11 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080822 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |