JPH09143621A - 疲労特性に優れたばね用オイルテンパー線およびその製造方法 - Google Patents

疲労特性に優れたばね用オイルテンパー線およびその製造方法

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JPH09143621A
JPH09143621A JP32226695A JP32226695A JPH09143621A JP H09143621 A JPH09143621 A JP H09143621A JP 32226695 A JP32226695 A JP 32226695A JP 32226695 A JP32226695 A JP 32226695A JP H09143621 A JPH09143621 A JP H09143621A
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JP
Japan
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quenching
spring
wire
surface layer
oil
Prior art date
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Application number
JP32226695A
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English (en)
Inventor
Takeshi Matsumoto
断 松本
Takeshi Yoshioka
剛 吉岡
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ばね用オイルテンパー線において、疲労強度
と耐へたり性を両立させる。 【解決手段】 炭素を0.5〜0.8重量%含有する鋼
であって、残留γ相の割合が体積率を、全体では1%以
上5%以下であり、かつ深さが線径の1/10である表
層部では5%超14%以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オイルテンパー
線、特に自動車のエンジン弁ばねなどに用いられる高強
度ばね用として好適なオイルテンパー線に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】自動
車の弁ばねは高応力、高回転で用いられており、最も厳
しい使用環境にあるばねである。近年自動車エンジンの
小型化、低燃費化のためにさらに厳しい条件下で使用さ
れるようになってきている。このため弁ばね用材料とし
てさらなる高強度化が要求されている。弁ばね用材料と
しては主として弁ばね用クロムバナジウム鋼オイルテン
パー線や弁ばね用シリコンクロム鋼オイルテンパー線が
用いられており、これらの高強度化が進んでいる。
【0003】しかし、これら材料を高強度化すると材料
の靱延性が劣化し、ばね成形中に折損を起こすという問
題がある。これに対し、特開平3-162550号公報に示され
るように、オイルテンパー線の焼入れ、焼戻し後のマト
リクス組織である焼戻しマルテンサイト中に残留オース
テナイト相を5〜20%存在させることにより靱性を確
保し、ばね成形中の折損を防止する方法がある。しか
し、残留オーステナイト相が多量に存在するとばねとし
て使用中に残留オーステナイト相がマルテンサイト相に
変態し、体積膨張することによりばねに永久歪みが生じ
る。すなわち耐へたり性が劣化するという問題があっ
た。
【0004】また、特公平7-13269 号公報に示されるよ
うに、ばね成形後に焼入れして形成させた残留オーステ
ナイト相を室温〜400℃でセッティング中にマルテン
サイト変態させることによりばね線表面に圧縮残留応力
を生じさせる方法もある。従って、本発明の目的は、ば
ね使用中の耐へたり性を劣化させることなく、高い疲労
強度を有するばね用オイルテンパー線を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するため、炭素を0.5〜0.8重量%含有する鋼で
あって、残留γ(オーステナイト)相の割合が体積率で
全体では1%以上5%以下であり、かつ深さが線径(直
径)の1/10である表層部では5%超14%以下であ
ることを特徴とする。このような線材を得る方法は、焼
入れ・焼戻しを行うオイルテンパー線の製造方法におい
て、上記炭素含有量の鋼線材に焼入れを2回行った後、
焼戻しを行うことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】より具体的に上記の発明を説明す
る。本発明のオイルテンパー線は、線材の表層部と内部
とで残留オーステナイト相の分布量が異なるよう構成
し、疲労強度と耐へたり性の両立を図るものである。即
ち、表層部の残留オーステナイト相を多くすることで疲
労強度を確保し、内部のオーステナイト相を少なくする
ことで耐へたり性を確保している。
【0007】このような線材を作製するには2回の焼入
れを行った後に焼戻しを行う。その際、2回目の焼入れ
領域を線径の1/10の深さである表層部のみとするこ
とが好ましい。表層部のみ焼入れする具体的な手段とし
ては高周波加熱が挙げられる。また、2回目の焼入れ加
熱温度を1回目の焼入れ加熱温度以上とすることが好適
である。さらに、2回目の焼入れの際の冷却速度を1回
目の焼入れの際の冷却速度よりも遅くすると望ましい。
【0008】各構成の限定理由は次の通りである。 <炭素:0.5〜0.8重量%>炭素量が0.5%未満
または0.8%超の鋼においても残留オーステナイト相
量の線断面分布を制御することはできる。しかし、ばね
用オイルテンパー線として用いる場合には、0.5%未
満ではばね線としての強度が得られず、0.8%超では
熱間圧延線材から所定の線径にするための引き抜き加工
時やばね加工時に靱性が低く、加工できなくなるからで
ある。
【0009】<残留オーステナイト量(全体):1〜5
%(体積率)>焼き戻しマルテンサイト中に存在する残
留オーステナイト相は疲労強度や靱性を向上するが、体
積率1%未満ではその効果がなく、5%を越えるとばね
使用中のマルテンサイト変態により耐へたり性が劣化す
るからである。
【0010】<残留オーステナイト量(表層部):深さ
が線径の1/10の表層部に5%超14%以下(体積
率)>ばね使用中にばね線に作用する応力は線表面で最
も高くなる。そこで、表層部に残留オーステナイト相を
多く分布させ、そのマルテンサイト相への変態によって
圧縮残留応力を生じさせて応力を緩和する。表層部の深
さは線径の1/10が好適であり、これより小さいと効
果がなく、大きいと耐へたり性が劣化する。また、表層
部での残留オーステナイト相量が5%以下では疲労強度
向上に効果が小さく、14%超では残留オーステナイト
相量を5%以下にすることができない上、へたりが増大
することが予想されるからである。
【0011】<2回の焼入れ>残留オーステナイト相の
分布を制御するためには一度の焼き入れでは不十分であ
るため2回行う必要がある。 <2回目の焼入れ領域が線径の1/10の深さである表
層部のみ>線材表層部のオーステナイト相の分布を制御
するには上記表層部のみに再度焼入れ処理を施す必要が
あるからである。
【0012】<2回目の焼入れ加熱温度が1回目のそれ
よりも高い>2回目の焼入れで残留オーステナイト相量
の多い領域を確保する場合、1回目よりも焼入れ温度を
高くすることで炭化物を固溶させ、マトリクス中の炭素
濃度を上げてオーステナイト相の安定度を高くするため
である。 <2回目の焼入れ冷却速度が1回目のそれよりも遅い>
2回目の焼入れで残留オーステナイト相量の多い領域を
確保する場合、1回目よりも焼入れ冷却速度を遅くし、
マルテンサイト変態中の炭素の拡散時間を長くして、オ
ーステナイト相の炭素濃度を上げ、その安定度を高くす
るためである。
【0013】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
化学成分が重量%で、C:0.55%、Si:1.39
%、Mn:0.68%、P:0.007%、S:0.0
09%、Cr:0.70%、残部:Feの熱間圧延線材
を引き抜き加工によって線径4.0mmとした後、表1に
示す焼入れ・焼戻し処理を行って、表2に示すオーステ
ナイト相量のオイルテンパー線を作製した。なお、表1
における「水冷」の冷却速度は約250℃/secで、
「油冷」の冷却速度は約50℃/secである。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】これらの線材をばね成形し歪み取り焼鈍を
行った後にさらにショットピーニングと歪み取り焼鈍を
行ったばねについて平均応力を640MPa としたばね疲
労試験(試験回数5×107 回)を実施し、疲労強度を
評価した。また、試験応力640±380MPa における
試験後のばねの残留剪断歪み量で耐へたり性を評価し
た。その結果を表3に示す。
【0017】
【表3】
【0018】表3に示すように、比較例であるサンプル
Bは耐へたり性に優れるものの、疲労強度が不十分であ
る。また、同じく比較例であるサンプルCは疲労強度に
優れるものの耐へたり性が不十分である。これに対して
実施例であるサンプルAは疲労強度と耐へたり性とが両
立していることがわかる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば疲
労強度と耐へたり性を両立するばね用オイルテンパー線
を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素を0.5〜0.8重量%含有する鋼
    であって、残留γ相の割合が体積率で、全体では1%以
    上5%以下であり、かつ深さが線径の1/10である表
    層部では5%超14%以下であることを特徴とするばね
    用オイルテンパー線。
  2. 【請求項2】 炭素を0.5〜0.8重量%含有する鋼
    を焼入れ・焼戻しするばね用オイルテンパー線の製造方
    法であって、焼入れを2回行った後、焼戻しを行うこと
    を特徴とするばね用オイルテンパー線の製造方法。
  3. 【請求項3】 2回目の焼入れ領域が線径の1/10の
    深さである表層部のみであることを特徴とする請求項2
    記載のばね用オイルテンパー線の製造方法。
  4. 【請求項4】 2回目の焼入れ加熱温度が1回目の焼入
    れ加熱温度以上であることを特徴とする請求項2または
    3記載のばね用オイルテンパー線の製造方法。
  5. 【請求項5】 2回目の焼入れの際の冷却速度が1回目
    の焼入れの際の冷却速度よりも遅いことを特徴とする請
    求項2〜4のいずれかに記載のばね用オイルテンパー線
    の製造方法。
JP32226695A 1995-11-15 1995-11-15 疲労特性に優れたばね用オイルテンパー線およびその製造方法 Pending JPH09143621A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004036791A (ja) * 2002-07-04 2004-02-05 Shinjo Mfg Co Ltd 耐熱ドリルねじ
JP2016191098A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 株式会社神戸製鋼所 加工性に優れた熱処理鋼線の製造方法
JP2019007081A (ja) * 2013-03-12 2019-01-17 本田技研工業株式会社 ばね用鋼線の製造方法
JP2022541813A (ja) * 2019-07-12 2022-09-27 ポスコ 高強度ばね用線材および鋼線並びにその製造方法

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