JPH09168410A - 面ファスナーベルトおよび射出成形金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な製作手段により強力な係合機能を備え
た面ファスナーベルトを提供する。 【構成】 ループ係合子１、またはループ係合子１とフ
ック係合子２を植設した面ファスナーベルト体８の植設
面上に熱可塑性樹脂からなるフック係合子３を備えた基
材４を間隔をおいて射出成形手段によって成形と同時に
装着し、その際ベルト体８に穿った連結孔を介してベル
ト体８の裏面に大径の座板６を基材４と一体成形で装着
した面ファスナーベルトであり、ループ係合子１上にフ
ック係合子３を強固に取付けることができ、強力な係合
力を備えた面ファスナーベルトに仕上げることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、緊締用または結
束用のベルトであって、ベルトの表面に面ファスナーの
係合子を配備し、ベルトの一端にリングを取付け、ベル
トの他端をリングに挿通して折返し、面ファスナーの係
合子面を係合させて止着させる面ファスナーベルト、お
よびその成形手段に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、基布の表面に多数の係合子を植設
した面ファスナーにおいて、表面に備えた表示部、裏面
に支持基部を連結具によって連結した装飾部を合成樹脂
の射出成形によって成形した面ファスナーテープ、たと
えば図６に示す面ファスナーテープが実開昭６１−１５
６５０８号公報に開示されている。

【０００３】また基材シート上に接着剤を塗布し、この
部分にパイルを植毛し、ヒーターによって加熱溶融する
ことにより、植毛の先端を球形に形成してフックを設
け、次に裏面側から多数のニードルを備えたニードル板
を押付けることによって、基材シートのナイロン糸がニ
ードルにより押上げられループが形成される。たとえば
図７、８に示すようにフックとループを交互に配した面
ファスナーベルトが特開平３−２８０９０３号公報に開
示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前項で述べた公知の第
一例の面ファスナーテープは、表面に装飾部を成形した
面ファスナーテープであって、それ自体では緊締用また
は結束用のベルトとして使用することができない、また
テープに装飾部を射出成形するが、装飾部は任意の方法
で面ファスナー面を平坦化した後に成形するので、取付
接着強度に不安があり緊締用または結束用ベルトとして
利用できないという問題点がある。

【０００５】さらに、公知の第２例の面ファスナーベル
トは、係合子の製造手段からみて、強固に係合させる面
ファスナーベルトであるとはいえず、強力な面ファスナ
ーベルトとしては期待できない、また製造手段がきわめ
て複雑であるという問題点がある。

【０００６】この発明は、上述の問題点を考慮し発明さ
れたのであり、発明のうち請求項１記載の発明は、フッ
ク係合子を面ファスナー係合子の植設面上に簡単かつ強
固に装着でき、しかも強力な係合機能を備え、かつ製造
がきわめて簡易である緊締および結束用の面ファスナー
ベルトを提供することが主たる目的である。

【０００７】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明の目的に加え、面ファスナーベルトを使用する際、ベ
ルトを折返し係合させるとき、いかなるベルト面におい
ても均整がとれた係合、かつ強固に係合できる緊締およ
び結束用の面ファスナーベルトを提供することが目的で
ある。

【０００８】請求項３記載の発明は、請求項１または２
記載の発明の目的に加え、成形フック係合子が安定かつ
強固に面ファスナーの係合面上に成形固定でき、フック
係合子が剥離離脱しない緊締および結束用の面ファスナ
ーベルトを提供することが目的である。

【０００９】請求項４記載の発明は、請求項１、２また
は３記載の発明の目的に加え、ベルト操作が容易であっ
て、長尺状の面ファスナーベルトに適した係合機構を備
えた緊締および結束用の面ファスナーベルトを提供する
ことが目的である。

【００１０】請求項５記載の発明は、請求項１、２、３
または４記載の発明の目的に加え、成形フック係合子の
装着形態を特定することによって、フック係合子をより
強固にベルトに取付け、安定した状態で長期の使用に耐
えられる緊締および結束用の面ファスナーベルトを提供
することが目的である。

【００１１】請求項６記載の発明は、緊締および結束用
の面ファスナーベルトにおいて、成形フック係合子を面
ファスナー係合子の植設面上に簡易かつ強固に射出成形
手段によって成形できる射出成形金型を提供することが
主たる目的である。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、この発明のうち請求項１記載の発明は、長尺状の面
ファスナーベルト体８の表面に熱可塑性合成繊維からな
るループ係合子１を多数植設し、このループ係合子１面
上に熱可塑性樹脂から形成され、かつループ係合子１と
略同高に面ファスナーのフック係合子３を備えた基材４
を間隔をおいて射出成形によって成形し装着した緊締お
よび結束用の面ファスナーベルトを主な構成としてい
る。

【００１３】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明の構成に加え、長尺状の面ファスナーベルト体８の表
面にループ係合子１とフック係合子２とを混在状に植設
した面上へフック係合子３を備えた基材４を射出成形手
段によって成形し装着した緊締および結束用の面ファス
ナーベルトである。

【００１４】請求項３記載の発明は、請求項１または２
記載の発明の構成に加え、フック係合子３を備えた基材
４は、長尺状の面ファスナーベルト体８の表面に植設さ
れたループ係合子１、またはループ係合子１とフック係
合子２を封入溶着し、双方が合体して成形された緊締お
よび結束用の面ファスナーベルトである。

【００１５】請求項４記載の発明は、請求項１、２また
は３記載の発明の構成に加え、面ファスナーベルトの端
部のみにフック係合子３を備えた基材４を射出成形によ
って成形し装着した緊締および結束用の面ファスナーベ
ルトである。

【００１６】請求項５記載の発明は、請求項１、２、３
または４記載の発明の構成に加え、フック係合子３を備
えた基材４を射出成形手段によって装着した長尺状の面
ファスナーベルト体８の裏面に、このベルト体８に穿っ
た連結孔５を介して基材４と連結孔５よりも大径の座板
６を一体成形で装着した緊締および結束用の面ファスナ
ーベルトである。

【００１７】請求項６記載の発明は、成形金型に関する
もので、固定金型１０の表面に長尺状の面ファスナーベ
ルト体８をガイドするためのガイド溝１２、およびこの
ガイド溝１２に沿って一定間隔でゲート１３を設け、こ
のゲート１３の先端に座板６を成形するための拡大凹部
１４を刻設し、一方可動金型１１の表面にはガイド溝１
２に対向して一定間隔でループ係合子１、またはループ
係合子１とフック係合子２を収容するための収容凹部１
６を刻設し、またこの収容凹部１６間であって、前記ゲ
ート１３に対向して一定範囲にフック係合子３を備えた
基材４を成形するためのキャビティ１５を刻設するとと
もに、フック係合子３のフックを成形するためのコア１
７を配設装備した面ファスナーベルトの射出成形金型を
主な構成としている。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、この発明における面ファス
ナーベルトおよび射出成形金型の実施の形態について、
図面を参照しながら具体的に説明する。

【００１９】この発明の面ファスナーベルトは、ポリア
ミド繊維、ポリエステル繊維などの合成繊維を用いた編
織布の一面に、これら合成繊維のマルチフィラメントま
たはモノフィラメントから形成されたループ係合子、ま
たはループ係合子とフック係合子が混在する形態に面フ
ァスナー係合子を植設した面ファスナーを基体に形成し
た面ファスナーベルトであって、たとえば図１に示す面
ファスナーベルト体８は表面一面にループ係合子１が植
設されており、このループ係合子１の面上に一定範囲の
大きさをもつフック係合子３を表面に多数立設した基材
４を一定間隔で射出成形手段によって成形した面ファス
ナーベルト体８であり、長尺状の面ファスナーベルト体
８は一定長さにカットされ、その端部にリング９を取付
けて面ファスナーベルトに仕上げられる。

【００２０】フック係合子３を備えた基材４をループ係
合子１が植設された面上に射出成形する場合、図５に示
す成形金型を用いて成形する。その際面ファスナーベル
ト体８に一定間隔で２個並んで穿設された連結孔５を通
じて面ファスナーベルト体８の表面にフック係合子３を
備えた基材４を射出成形し、かつ面ファスナーベルト体
８の裏面に連結孔５よりも大径の円板状の座板６が基材
４と一体に２個成形され、面ファスナーベルト体８から
基材４が脱落するのを阻止している。

【００２１】射出成形されるフック係合子３は面ファス
ナーベルト体８のループ係合子１と略同じ高さに成形さ
れ、基材４は射出成形の際、図５に示すようにループ係
合子１を基材４内に封入溶着し、合体状に成形され基材
４を強固に面ファスナーベルト体８の表面に装着すると
ともに、面ファスナーベルト体８からの剥離を未然に防
止する。

【００２２】また面ファスナーベルト体８は図３に示す
ように、表面にループ係合子１のみならずフック係合子
２を植設した、いわゆるループ係合子１とフック係合子
２の混在形態の面ファスナーベルト体８の表面にフック
係合子３を備えた基材４を前例と同様に射出成形するこ
ともできる。

【００２３】さらに面ファスナーベルトの一端にのみに
フック係合子３を備えた基材４を数個、あるいは大判状
の基材４を１個成形し装着することもできる。またこの
際図４に示すように、面ファスナーベルトの一端にルー
プ係合子１もフック係合子２も存在しない無地部７を形
成し、この無地部７に前例と同様に数個の連結孔を設
け、この連結孔を通じてフック係合子３を備えた基材４
を表面に、また裏面に座板を数個射出成形手段によって
一体に成形し、端部にリング９を装備させて面ファスナ
ーベルトを完成させることもできる。

【００２４】以上説明した実施の形態の面ファスナーベ
ルトは、図５に示す射出成形金型を用いて製造される。
たとえば一方の固定金型１０の表面には面ファスナーベ
ルト体８をガイドするガイド溝１２が凹設され、このガ
イド溝１２に沿って一定間隔に２個並列したゲート１
３、勿論数個であってもよいが穿設され、この穿設され
た各ゲート１３の先端には座板６を成形するための拡大
凹部１４が形成されている。

【００２５】他方、可動金型１１の表面には、ガイド溝
１２に対向し、かつ拡大凹部１４に対向して基材４、お
よびフック係合子３を成形するためのキャビティ１５
が、金型中央の一定範囲にわたって刻設されている。ま
たこのキャビティ１５の中間には面ファスナーベルト体
８のループ係合子１を収容できる収容凹部１６が刻設さ
れている。さらに側面から進退可能にフック係合子３の
フック成形用のコア１７が、基材４とフック係合子３の
フック間に配装されている。

【００２６】以上説明した成形金型は、射出成形機に配
備され成形加工が行われるが、固定金型と可動金型とを
逆に、たとえば固定金型を可動させ、可動金型を固定す
ることもでき、いずれの場合も成形金型の作動によっ
て、面ファスナーベルト体８にフック係合子３を備えた
基材４を連続的に成形加工することができる。なお成形
金型に搬送される長尺状の面ファスナーベルト体８に
は、あらかじめゲート１３と合致する間隔で連結孔５が
穿設されているのが好都合である。

【００２７】

【発明の効果】この発明の面ファスナーベルトおよびそ
の製造に使用される射出成形金型は、以上説明したとお
りの構成であり、この構成によって下記の効果を奏す
る。

【００２８】この発明のうち請求項１記載の発明は、熱
可塑性合成繊維からなるループ係合子を植設した面ファ
スナーベルト体の面上に、ループ係合子１と同高にフッ
ク係合子を備えた基材を熱可塑性樹脂で射出成形して装
着したことによって、ループ係合子の面ファスナー面に
簡単にフック係合子を配設でき、しかも強固に固定でき
る利点がある。また適宜間隔をおいて配置できるから使
用目的に基づいて簡易に面ファスナーベルトを製造でき
る効果がある。

【００２９】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明の効果に加え、面ファスナーベルト体にループ係合子
とフック係合子を混在状に植設した面上に、フック係合
子を備えた基材を装着したことによって、緊締用、結束
用ベルトに使用した場合、ベルトの先端を折返し係合さ
せるとき、面ファスナー自体の係合子が係合できるか
ら、いかなるベルト面においても均整がとれた強力な係
合が達成できる効果がある。

【００３０】請求項３記載の発明は、請求項１または２
記載の発明の効果に加え、フック係合子を備えた基材
が、面ファスナーベルト体のループ係合子、またはルー
プ係合子とフック係合子を封入溶着し、合体状に成形し
たことによって、基材内に面ファスナーベルト体の係合
子を封入溶着し、基材と面ファスナーベルト体の係合子
とが合体しているから、基材を強固に面ファスナー面に
装着でき、基材が剥離する恐れがないなどの効果があ
る。

【００３１】請求項４記載の発明は、請求項１、２また
は３記載の効果に加え、面ファスナーベルトの端部のみ
にフック係合子を備えた基材を装着したことによって、
長尺ベルトあるいは緊締調節が微調節ですむ形態の面フ
ァスナーベルトに適し、かつベルトの一端のみに係合機
構を配したから製造がきわめて容易であるなどの効果が
ある。

【００３２】請求項５記載の発明は、請求項１、２、３
または４記載の発明の効果に加え、フック係合子を備え
た基材を面ファスナーベルト体に穿設した連結孔を介し
て、基材と座板を一体成形で装着したことによって、フ
ック係合子をより強固に面ファスナーに固着でき、いか
なる使用にも基材が脱落することがないので、長期の使
用に耐えられる効果がある。

【００３３】請求項６記載の発明は、固定金型にガイド
溝およびゲートを設け、ゲートの先端に拡大凹部を刻設
し、可動金型に収容凹部およびフック係合子を備えた基
材の成形用のキャビティ、さらにフック成形用コアを配
備した射出成形金型であるから、ループおよびフック係
合子を植設した面ファスナーベルト体にフック係合子を
備えた基材を簡易に射出成形することができ、しかも連
続的に成形加工ができるから、生産性の向上が図れるな
ど、この発明の効果は顕著である。

【図面の簡単な説明】

【図１】面ファスナーベルトの斜視図である。

【図２】同上面ファスナーベルトの一部を破断した正面
図である。

【図３】他の形態の面ファスナーベルトにおける一部破
断した正面図である。

【図４】さらに他の形態の面ファスナーベルトの斜視図
である。

【図５】成形金型による成形加工様態を示す断面図であ
る。

【図６】公知の面ファスナーテープの縦断面図である。

【図７】公知の面ファスナーベルトの平面図である。

【図８】同上面ファスナーベルトの縦断面図である。

【符号の説明】

１ ループ係合子 ２ フック係合子 ３ フック係合子（基材） ４ 基材 ５ 連結孔 ６ 座板 １０ 固定金型 １１ 可動金型 １２ ガイド溝 １３ ゲート １４ 拡大凹部 １５ キャビティ １６ 収容凹部 １７ コア

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成７年１２月２０日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図５

【補正方法】変更

【補正内容】

【図５】

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 面ファスナーベルト体８の表面に熱可塑
   性合成繊維からなるループ係合子１を多数植設し、該面
   上に熱可塑性樹脂からなる前記ループ係合子１と略同高
   に面ファスナーのフック係合子３を備えた基材４を間隔
   をおいて射出成形によって装着したことを特徴とする面
   ファスナーベルト。
2. 【請求項２】 面ファスナーベルト体８の表面にループ
   係合子１とフック係合子２とを混在状に植設した面上へ
   フック係合子３を備えた基材４を装着してなる請求項１
   記載の面ファスナーベルト。
3. 【請求項３】 フック係合子３を備えた基材４は、面フ
   ァスナーベルト体８の表面に植設されたループ係合子
   １、またはループ係合子１とフック係合子２を封入溶着
   し、合体状に成形してなる請求項１または２記載の面フ
   ァスナーベルト。
4. 【請求項４】 面ファスナーベルトの端部のみにフック
   係合子３を備えた基材４を装着してなる請求項１、２ま
   たは３記載の面ファスナーベルト。
5. 【請求項５】 フック係合子３を備えた基材４を装着し
   た面ファスナーベルト体８の裏面に、該ベルト体８に穿
   した連結孔５を介して、基材４と一体の連結孔５よりも
   大径の座板６を一体成形で装着した請求項１、２、３ま
   たは４記載の面ファスナーベルト。
6. 【請求項６】 固定金型１０の表面に面ファスナーベル
   ト体８のガイド用のガイド溝１２、および該ガイド溝１
   ２に沿って一定間隔でゲート１３を設け、該ゲート１３
   の先端に拡大凹部１４を刻設し、可動金型１１の表面に
   ガイド溝１２に対向して一定間隔で係合子収容凹部１６
   を刻設し、かつ該収容凹部１６間であって、前記ゲート
   １３に対向して一定範囲にフック係合子３を備えた基材
   ４成形用のキャビティ１５を刻設するとともに、フック
   成形用のコア１７を配備したことを特徴とする面ファス
   ナーベルトの射出成形金型。