JPH09165699A - クロムめっきにおけるクロムめっき液、クロムめっき廃液、クロム酸洗浄水用クローズド・リサイクル・システム - Google Patents

クロムめっきにおけるクロムめっき液、クロムめっき廃液、クロム酸洗浄水用クローズド・リサイクル・システム

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JPH09165699A JP7327367A JP32736795A JPH09165699A JP H09165699 A JPH09165699 A JP H09165699A JP 7327367 A JP7327367 A JP 7327367A JP 32736795 A JP32736795 A JP 32736795A JP H09165699 A JPH09165699 A JP H09165699A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロムめっき工場で発生する有害物質を含む
廃液を活用し、公害物質の発生を防止する。 【解決手段】 クロムめっき室1に、めっき液、めっき
廃液、クロム酸洗浄水などを室外へ流出せしめずに回収
する回収槽2、クロムめっき槽3、めっき液用濾過機
4、不純物を除去する不純物回収電気分解槽5、クロム
酸ミスト回収装置6、クロム酸ミスト洗浄塔7を設け
る。濾過機4、クロム酸ミスト回収装置6、クロム酸ミ
スト洗浄塔7などを回収槽2に連通し、不純物回収電気
分解槽5をクロムめっき槽3に連通してなる。回収槽2
は、クロムめっき室1の地下に設けること、及びクロム
めっき槽3を回収槽2内に設けることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロムめっきにお
けるクロムめっき液、クロムめっき廃液、クロム酸洗浄
水などの処理手段の改良に関する。
【0002】
【従来技術と課題】クロムめっき液、クロムめっき廃液
などの処理手段は、次の3種類に大別される。 (1)各種の還元手段により、六価クロムを三価クロム
(Cr3+)に還元した後、アルカリ性薬剤により、水酸
化クロムとして沈殿除去する。 (2)クロム酸の金属塩中溶解度の少いバリウム塩(B
aCrO4 )、鉛塩(PbCrO4 )等のクロメートを
生成して沈殿除去する。 (3)イオン交換手段によるもので、遊離塩基型、強塩
基アニオン交換樹脂を使用してクロム酸を回収する。 上記処理手段のうち、2番目の不溶性クロメート生成手
段は、使用するバリウム塩、鉛塩の価格が高く、これら
の塩類が毒性を有し、化学量論的に正確な添加量が求め
られ、排液、流量、クロム酸濃度の変動などに対し、常
に添加量を変えなければならず、運転管理上の問題が多
く、現在殆ど利用されていない。3番目のイオン交換手
段においては、クロム酸排液の処理に際し、クロム酸濃
度の上限管理や強塩基アニオン交換樹脂の脱着が必要で
あり、PHを調整した後、六価のクロムを三価のクロム
に還元し、その後に薬剤を加えると水酸化クロムが生成
されて沈殿するが、廃棄物としては、公害廃棄物になっ
てしまう。いずれの処理手段にしろ、還元処理、中和処
理を行い、スラッジを生成し、処理法に規定されている
毒物、劇物に該当しないように処理しているのが現状で
ある。かかる現状は、設備費、無害化のための処理薬剤
費、公害処理費(スラッジ処理費)などの諸経費が頗る
高価であり、加えて運転管理上高度の技術を必要とする
ため、中小企業の経費負担能力、技術力などを超える場
合が多い。本発明は、上述した従来技術の問題点解消を
目指し、クロムめっき工場などで多量に発生する有害物
質を含む廃液を簡便かつ経済的に有効活用することを企
図し、無公害、省資源、省エネルギーに徹してクロムめ
っき全体のクローズド・リサイクル・システムを確立
し、公害物質の発生を防止することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、叙上の目的を
達成するために、クロムめっき作業を行うクロムめっき
室に、クロムめっき液及びクロムめっき廃液、クロム酸
洗浄水をクロムめっき室外へ流出せしめない回収槽、被
めっき物にクロムめっきを行う為のクロムめっき槽、酸
化力の強いクロムめっき液用であって、回収槽に連通す
る濾過機、不純物の鉄イオンを還元によって水酸化鉄と
して沈殿させ、三価クロムを酸化によってクロム酸の六
価クロムに変換する不純物回収電気分解槽であって、前
記クロムめっき槽と前記濾過機とに連通する不純物回収
電気分解槽を夫々配設すると共に、前記クロムめっき室
に、クロムめっきを行うと生成されるクロム酸ミストを
回収して液化するクロム酸ミスト回収装置であって、回
収槽に連通するクロム酸ミスト回収装置及び該クロム酸
ミスト回収装置から流入するクロム酸ミストを洗浄する
クロム酸ミスト洗浄塔であって、回収槽に連通するクロ
ム酸ミスト洗浄塔を夫々配設するという技術的手段を講
じる。また、クロムめっき室の地下に回収槽を構成する
こと、その回収槽の内部にクロムめっき槽を設けること
がクローズド・リサイクル・システムを構成するのに好
ましい。
【0004】
【発明の実施の形態】図1を参照しながら説明する。ク
ロムめっき室1は、クロムめっきに必要な諸設備を設け
てクロムめっき作業を行うめっき室であって、回収槽
2、クロムめっき槽3、濾過機4、不純物回収電気分解
槽5、クロム酸ミスト回収装置6、クロム酸ミスト洗浄
塔7などクロムめっきに必要な設備を設けると共に、濾
過機4、クロム酸ミスト回収装置6、クロム酸ミスト洗
浄塔7などを回収槽2に連通せしめ、また、不純物回収
電気分解槽5をクロムめっき槽3に連通し、さらに回収
槽2内にクロムめっき槽3を設けて、クロムめっき液、
クロムめっき廃液、クロム酸洗浄水などを全て回収槽2
に回収させ、クロムめっき室外へ流出せしめないクロー
ズド・リサイクル・システムを構成する。
【0005】回収槽2は、クロムめっき液、クロムめっ
き廃液、クロム酸洗浄水などを全て回収し、クロムめっ
き室1の外部へ一切流出せしめないようにするため使用
するもので、クロムめっき室1に建設した地下室を回収
槽2として使用する。回収槽2は、開口部に透水性の蓋
8(たとえば、グレーチング)を配置し、クロムめっき
室1内に漏出したクロムめっき液、クロムめっき廃液、
クロム酸洗浄水などが回収されるように構成する。
【0006】クロムめっき槽3は、被めっき物aにクロ
ムめっきを施すための設備で、回収槽2の内部に配設
し、この槽内配設によって、クロムめっき液が漏出する
ような事故が起きても回収槽2に回収されるようにする
と共に、クロムめっき物Aを引上げてクロムめっき槽3
上でシャワー水洗した場合に発生するクロム酸水を回収
槽2に回収し得るようにする。クロムめっき槽3を低位
置の回収槽2内に設ける目的は、クロムめっき槽3を地
上に設ける場合に比し、大型の被めっき物a、重量のあ
る被めっき物a、大きくて重い被めっき物aなどをクロ
ムめっき槽3に出入れする出入れ作業を楽に行い得、か
つクロムめっき作業を行うに際して作業員が高所に上ら
なくても地上に居ながらにして安全に作業を遂行でき、
めっき作業の安全性確保に寄与し得るからである。クロ
ムめっきは、電気分解が行われるので、クロムめっき槽
3内の間隔の空いた対向部位に陽極を配置し、それら電
極間に被めっき物aを置いてクロムめっきを行うように
する。
【0007】濾過機4は、回収槽2内のクロムめっき
液、クロムめっき廃液、クロム酸洗浄水などに含まれて
いる固形懸濁浮遊物質(粒度1.7〜7.0μ)の濾過
分離のために使用するものであって、回収槽2内のクロ
ムめっき液、クロム酸洗浄水、クロムめっき廃液などを
吸上管9を経由して吸上げ、内部の濾過筒(不図示)で
固形懸濁浮遊物質を濾過した後、不純物除去のために不
純物回収電気分解槽5に送込む。
【0008】不純物回収電気分解槽5は、主として不純
物(たとえば、鉄、銅、亜鉛などの金属イオン、三価ク
ロムなど)の減少、沈殿除去を目的として使用するもの
で、その構造は、図3に示す如く、槽自体22を外槽と
内槽の2重槽に形成し、外槽は鉄製でフロンシートを内
張りし、内槽は硬質塩化ビニル樹脂製であり、内槽の内
部を隔膜23で陽極室24と陰極室25とに区分する。
不純物回収電気分解槽5は、槽自体22の上部に+,−
のブスバーを有し、各ブスバーに鉛合金陽極26及び鉄
製陰極27が吊下げられ、隔膜23を介して対向してい
る。
【0009】前記陽極室24及び陰極室25に夫々クロ
ムめっき液、クロムめっき廃液或いはクロム酸洗浄水が
移流され、(濾過槽4から固形懸濁浮遊物質が濾過分離
された液が移流され)、電気分解を開始すると、3つの
反応が並行してすすみ、陽極室24に不純物が少くて濃
度の高いクロム酸(6価クロム)再生液が生成される。
【0010】即ち、前記陽極室24及び陰極室25内で
電気分解が開始されると、陰極室25から隔膜23を通
過して陽極室24へのクロム酸の電気透析が起り、クロ
ム酸の透析と同時に陽極室24内では3価クロム(Cr
3+)のクロム酸への電気分解酸化(Cr3+→CrO3
がすすみ、結果として陽極室24のクロム酸濃度が増大
し、3価クロムが減少して電気分解終了時には、そのま
まクロムめっき液として使用可能な再生液が得られる。
一方、不純物回収電気分解槽5の陰極室25では、不純
物の金属イオン(鉄、銅、亜鉛などの金属イオン)を水
酸化物として沈殿除去する。
【0011】クロム酸ミスト回収装置6は、乾式の装置
であって、クロムめっきの電気分解が行われる時に発生
する酸素と水素とによって生成されるクロム酸ミストを
回収して液化し、回収槽2へ移流させるという目的のも
とに使用する装置である。乾式クロム酸ミスト回収装置
6の内部構造は、図4、図5に示す如くクロム酸ミスト
の流れの方向に対して45度のクロム酸ミスト液化板2
7が上下方向に多数配列され、クロム酸ミストが慣性と
回転力とにより衝突すると液化して付着し、該液化板を
流れて捕集溝28に集められ、クロム酸液となって回収
液受槽29から流出管11を経て回収槽2に流出する。
クロム酸ミスト回収装置6は、装置自体の大きさを風量
によって変える場合があり、クロム酸ミスト液化板27
の大きさ及び配設数なども風量によって変える場合があ
る。
【0012】前記クロム酸ミスト液化板27は、平らな
板をクロム酸ミストの流れの方向に対して45度の角度
に配設するものではなく、図4、図5などに示す如く板
部材の一端部を略U字形に屈曲した後、他端部側を45
度の傾斜角度に折曲げ、さらに45度の角度でU字形部
とほぼ平行に折曲して構成した加工板部材を傾斜部がク
ロム酸ミストの流れの方向に対して45度になるよう
に、装置本体内部のミスト入口側部位(クロムめっき槽
側部位)とミスト出口側部位(クロム酸ミスト洗浄塔側
部位)に夫々同数ずつ、かつ上下逆方向に向けて配設す
る。
【0013】クロム酸ミスト洗浄塔7は、湿式の装置で
あって、乾式クロム酸ミスト回収装置6で液化できなか
ったクロム酸ミストを洗浄除去するといった目的のため
に使用する装置である。クロム酸ミスト洗浄塔7の構造
は、塔内の上部にシャワー12を設け、そのシャワー上
方のダクト中間部位にクロム酸排気濃度測定検査孔13
を開穿し、さらにその検査孔上方に排風機14を配置
し、この排風機の上方に排気窓15を開設して構成す
る。クロム酸ミスト洗浄塔7を上述のように構成して排
風機14を運転すると、乾式クロム酸ミスト回収装置6
で液化できなかったクロム酸ミストが塔内に吸引され、
シャワー12から注がれる洗浄水によって回収槽2に洗
浄除去される。クロム酸ミスト洗浄塔7のシャワー12
用洗浄水は、該洗浄塔から排出される空気のクロム酸濃
度がクロム酸排気濃度測定検査孔13で測定され、その
測定値が環境基準で定められている基準値を示す前に古
い洗浄水が回収槽2に排出されて新しい洗浄水と交換さ
れ、クロム酸ミストの洗浄除去効率が低下しないように
する。
【0014】前記クロム酸排気濃度測定検査孔13を利
用したクロム酸濃度の測定は、排風機14で吸引される
空気中の液体を捕集器で捕集し、(捕集時間20分位、
吸引流量3.0l/min)、原子吸光々度計で検査す
る。一方、クロム酸ミストが洗浄除去された後の無害に
なった空気は、排気窓15から排気される。
【0015】上記したように、クロムめっき中に発生す
るクロム酸ミストは、乾式の除去手段と、湿式による除
去手段での洗浄水のリサイクルとを併用し、水の使用量
を最少限にとどめ、環境基準に定められた数値で回収槽
2に回収する。被めっき物aがクロムめっきされたクロ
ムめっき物Aは、クロムめっき終了後、クロムめっき槽
3から引上げられ、そのめっき槽上方でシャワー水洗
後、クロムめっき室1において、電極、コーティングが
取外され、再度シャワー水洗し、クロムめっき液分を取
除いた後、クロムめっき室1から搬出する。クロムめっ
き槽3の上方でシャワー水洗されて生成されたクロム酸
水は、回収槽2に回収される。
【0016】次に上述したクロムめっきに使用されるク
ロムめっき液の温度管理クローズド・リサイクル・シス
テムを図2参照のもとに説明する。該リサイクル・シス
テムの構成は、クロムめっき槽3内にクロムめっき液の
温度管理に使用する循環式の加温冷却管16と、温度セ
ンサー17とを取付け、加温冷却管16を2個の方向切
替電磁弁18−1と18−2とを介して周知のヒートポ
ンプ19、冷水槽20と蓄熱槽21とに配管する。そし
て、ヒートポンプ19からポンプを介して冷水槽20に
配管すると共に、別のポンプを介して蓄熱槽21に配管
して構成し、かつヒートポンプ19と蓄熱槽21とにわ
たって蓄熱槽用温度センサー30を配設する。このクロ
ーズド・リサイクル・システムの作用を説明する。
【0017】クロムめっきに必要な最適温度がセットさ
れた温度センサー17により、クロムめっき中の液温が
検知され、その温度によって方向切替電磁弁18−1又
は18−2が冷水又は温水のいずれかに流れを切替え
る。方向切替電磁弁18−1又は18−2の上記動作
は、クロムめっき液の温度を検知した温度センサー17
からの信号でなされる。
【0018】クロムめっき液温度が、定められた温度よ
りも上昇すると、温度センサー17の検知により、冷水
槽20からポンプP1の作動で冷水(15℃)が方向切
替電磁弁18−1を経由して加温冷却管16に流れ、
(図2の点線と一点鎖線矢印参照)、その冷水がクロム
めっき液で温められて戻った温水がヒートポンプ19を
介して冷水の設定温度(15℃)となり、ポンプP1で
冷水槽20に送入され、分離された温水及び熱がポンプ
P2で蓄熱槽21に蓄熱される。クロムめっき液温度が
設定温度よりも下降すると、加温冷却管16に流れる温
水は、温度センサー17の検知により、方向切替電磁弁
18−1によって、冷水槽20から送られてきた冷水が
蓄熱槽21からの温水に切替えられ、温水が加温冷却管
16内を流れ、クロムめっき液の温度を加温する。そし
て、もう一方の方向切替電磁弁18−2では、冷水回路
が温水をヒートポンプ19へ送る温水戻りヒートポンプ
回路に切替わる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明クロムめっき液、クロムめっき廃液、
クロム酸洗浄水用クローズド・リサイクル・システムの
説明図。
【図2】 クロムめっき液の温度管理クローズド・リサ
イクル・システムの説明図。
【図3】 不純物回収電気分解槽の内部概略説明図。
【図4】 クロム酸ミスト回収装置の内部概略説明平面
図。
【図5】 図4の(5)−(5)線断面図。
【符号の説明】
1 クロムめっき室 2 回収槽 3 クロムめっき槽 4 濾過機 5 不純物回収電気分解槽 6 クロム酸ミスト回収装置 7 クロム酸ミスト洗浄塔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロムめっき作業を行うクロムめっき室
    に、クロムめっき液及びクロムめっき廃液、クロム酸洗
    浄水をクロムめっき室外へ流出せしめない回収槽、被め
    っき物にクロムめっきを行う為のクロムめっき槽、酸化
    力の強いクロムめっき液用であって、回収槽に連通する
    濾過機、不純物の鉄イオンを還元によって水酸化鉄とし
    て沈殿させ、三価クロムを酸化によってクロム酸の六価
    クロムに変換する不純物回収電気分解槽であって、前記
    クロムめっき槽と前記濾過機とに連通する不純物回収電
    気分解槽を配設すると共に、前記クロムめっき室に、ク
    ロムめっきを行うと生成されるクロム酸ミストを回収し
    て液化するクロム酸ミスト回収装置であって、回収槽に
    連通するクロム酸ミスト回収装置及び該クロム酸ミスト
    回収装置から流入するクロム酸ミストを洗浄するクロム
    酸ミスト洗浄塔であって、回収槽に連通するクロム酸ミ
    スト洗浄塔を配設してなるクロムめっきにおけるクロム
    めっき液、クロムめっき廃液、クロム酸洗浄水用クロー
    ズド・リサイクル・システム。
  2. 【請求項2】 クロムめっき室の地下に回収槽を構成し
    てなる請求項1記載のクロムめっきにおけるクロムめっ
    き液、クロムめっき廃液、クロム酸洗浄水用クローズド
    ・リサイクル・システム。
  3. 【請求項3】 回収槽の内部にクロムめっき槽を設けた
    請求項1記載のクロムめっきにおけるクロムめっき液、
    クロムめっき廃液、クロム酸洗浄水用クローズド・リサ
    イクル・システム。
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