JPH09165377A - 新規2−フルオロ芳香環−n1置換イミダゾール化合物およびその[18f]フッ素標識体 - Google Patents

新規2−フルオロ芳香環−n1置換イミダゾール化合物およびその[18f]フッ素標識体

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JPH09165377A
JPH09165377A JP7327000A JP32700095A JPH09165377A JP H09165377 A JPH09165377 A JP H09165377A JP 7327000 A JP7327000 A JP 7327000A JP 32700095 A JP32700095 A JP 32700095A JP H09165377 A JPH09165377 A JP H09165377A
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benzyl
fluorophenyl
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JP7327000A
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Oushiyou Sai
応渉 崔
Toshiyuki Hashizume
利至 橋爪
Naoto Hashimoto
直人 橋本
Yoshihiro Miyake
可浩 三宅
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SEITAI KINOU KENKYUSHO KK
Original Assignee
SEITAI KINOU KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なアンジオテンシンII受容体拮抗作用を
有する2−フルオロ芳香環−N1置換イミダゾール化合
物およびその[18F]フッ素標識体。 【解決手段】 一般式I 【化1】 (式中、X、Yは同一または異なって水素原子または置
換基を、Ar1、Ar2はそれぞれ置換基を有していてもよ
い芳香環基を表わす。nは1または2を表わす。)で表
わされる化合物およびその[18F]フッ素標識体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な陽電子放射
断層法(ポジトロンエミッショントモグラフィー、以下
PETと言う)用標識試薬の開発に関し、さらに詳しく
は陽電子放射断層法(PET)によりイン・ビボでの生
体内のアンジオテンシンII(以下AIIと言う)受容体の
分布を画像化し、生体の関連機能、病態の診断、また、
生理学的研究や新規薬剤の開発研究に有用なフッ素−1
8標識化合物である2−[18F]フルオロ芳香環−N1
換イミダゾール化合物およびその製造法を提供するもの
である。
【0002】
【従来の技術】レニン−アンジオテンシン系は生体の血
圧および水・電解質代謝に深くかかわる重要なホルモン
系であり、血圧などのホメオスタシス調節に重要な役割
を演じており、例えばこの系の活性物質であるAIIの産
生を触媒するAII変換酵素(以下ACEという)の阻害
剤は高血圧の治療に繁用されている。しかし、これらの
薬剤にはから咳などの副作用や、ACE以外の酵素によ
るAIIの産生を抑制できないという問題点があり、それ
らの欠点を持たない薬剤としてAII受容体拮抗薬の検討
が世界中で行なわれている。これらのAII受容体拮抗作
用を有する化合物の例としてTCV−194(武田薬品
工業)に代表される(N1−置換ベンジル)イミダゾー
ル−5−酢酸系化合物がある。
【0003】一方、フッ素は、水素原子とほぼ同じファ
ンデルワールス半径を有し、水素原子とのミメティック
効果を示し、また、ヒドロキシ基と同様の水素原子との
水素結合性を示すなどの特性を有しており、そのバイオ
メディカル領域での応用に関して多くの研究が行なわ
れ、含フッ素医薬品やバイオマテリアルが多数開発され
てきた(「フッ素の化学」北爪智也著 講談社;「フッ
素の研究」松浦新之助著東大出版会;「フッ素の化合
物」石川延男著 講談社;「フッ素薬学」小林義郎著
広川書店)。
【0004】また、近年無侵襲断層撮影診断技術の一つ
として陽電子放射性核種で標識した化合物を用いる陽電
子放射断層法(PET)が急速に普及しつつある(「放
射線医学大系」6(特別巻)ポジトロンCT 中山書
店;「脳の機能とポジトロンCT」松浦啓一著 秀潤
社)。PETによれば、各種生理活性物質の陽電子放出
性核種による標識体を用いて、非侵襲的に生体内での生
理機能の分布、その活動度を示す画像を得ることが出
来、脳、循環器、消化器などの各臓器の機能検査、病変
部位の確定、病状診断が可能となるが、さらに医薬品の
体内分布、作用機序、副作用の予測など新規医薬品の開
発に、また逆にこれら薬品をプローブ(探索子)とする
生理機能の探求に有益な知見が得られる。PET用陽電
子放射性核種による標識体の合成法としては、既に[11
C]核種による標識法がよく確立されており比較的よく
普及している(「ポジトロンCT」館野之男著 医学書
院)。しかし、[11C]核種の半減期は非常に短い(20
分)ため、半減期が比較的長い(110分)フッ素−1
8による標識化がより好ましい。しかしながら、フッ素
−18は陽電子放射性核種のうち最長の半減期を有する
部類に入るとは言え、その短い半減期内に標識体を製造
し、PET試験を行うことを可能にするには十分効率の
良い製造法を必要とする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これまでAII受容体拮
抗薬の開発研究においては多数の化合物が合成されてき
たにもかかわらず、[18F]フッ素標識を可能にするフル
オロ基を持ち、AII受容体拮抗作用を有する化合物およ
びその製造法はほとんど知られていなかった。したがっ
て、PET用の陽電子放射性核種による標識体も[11C]
による標識体は合成され検討されていたが、フッ素−1
8による標識化は知られていなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
本発明者らは上記課題の解決を目指して検討した結果、
AII受容体拮抗作用を持つ化合物群として一般式I
【化2】 (式中、X、Yは同一または異なって水素原子または置
換基を、Ar1、Ar2はそれぞれ置換基を有していてもよ
い芳香環基を表わす。nは1または2を表わす。)の2
−フルオロ芳香環N1−置換イミダゾール化合物を見出
し(公知の2−フルオロ芳香環−N1−置換イミダゾー
ル化合物としては松村興一ら、武田研究所報,50,3
5(1991)において4−クロロ−1−ベンジル−2−
(2−フルオロフェニル)イミダゾール−5−酢酸および
その合成中間体が記載されていたのみであった)、さら
に、これら化合物が、対応する2−ニトロ芳香環N1
置換イミダゾールにフルオライドをフルオライドと反応
させることによりニトロ基−フルオロ基交換反応によ
り、1段階で得られることを見出し、これらの知見に基
づきさらに検討を重ね、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は一般式IにおけるFで示
されるフルオロ基の少なくとも一つがニトロ基に置き代
わった構造の2−ニトロ芳香環N1−置換イミダゾール
化合物にフルオライド(そのフッ素は天然の安定同位体
であるフッ素−19あるいは非天然不安定同位体フッ素
−18でありうる)と反応させることを特徴とする一般
式Iの2−フルオロ芳香環N1−置換イミダゾール化合
物(フルオロ基のフッ素原子は同様にフッ素−19ある
いはフッ素−18原子で有り得る。)の合成法、該方法
により得られる新規なAII受容体拮抗作用を有する2−
フルオロ芳香環N1−置換イミダゾール化合物およびそ
れらの陽電子放射性核種フッ素−18による標識体およ
び後者の化合物のPET用標識薬剤としての用途に係
る。
【0008】本発明においては一般式Iのフルオロ基が
ニトロ基に置き代わった構造の2−ニトロ芳香環N1
置換イミダゾール化合物を出発原料物質として使用す
る。一般式Iにおいて、Ar1、Ar2としての置換基を有
していてもよい芳香環基としては置換基を有していても
よい炭素数5−10のアリール基(例:フェニル基、ナ
フチル基、4−ビフェニル基など)および芳香族複素環
基(例:2−チエニル基、2−フリル基、2−ピリジル
基、2−ピラジニル基など)が挙げられるが、フェニル
基、2−チエニル基、または2−フリル基が好ましく、
より好ましくはAr1としてはフェニル基が、Ar2として
はフェニル基、2−チエニル基、または4−ビフェニル
基である。
【0009】一般式IにおいてAr1、Ar2は置換基を有
していても良く、Ar1の置換基としては炭素数1−4の
アルキル基(例:メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基、イソブチル基など)、炭素数
1−4のアルコキシ基(例:メトキシ基、エトキシ基、
プロピルオキシ基、ブトキシ基など)、メチレンジオキ
シ基、ハロゲノ基(例:フルオロ基、クロロ基、ブロモ
基など)などの基が挙げられる。置換基の数は1−3個
あってもよい。なお、Ar1の置換基としてニトロ基が含
まれないことは、Ar1の置換基Fがニトロ基に置き換わ
った構造の化合物がその原料化合物としても用いられる
ものであることからも明らかである。
【0010】Ar2上の置換基としては炭素数1−12の
アルキル基(例:メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル
基など)、シクロアルキルアルキル基(例:シクロプロ
ピルメチル基など)、アラルキル基(例:ベンジル基、
フェネチル基、4−ジフェニルメチル基、ナフチルメチ
ル基など)、複素環アルキル基(例:2−チエニルメチ
ル基、2−フリルメチル基、2−ピリジルメチル基な
ど)が挙げられる。これらの基の中の環状基は置換基を
有していても良く、それらの置換基としては炭素数1−
6のアルキル基(例:メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基
など)、炭素数1−6のアルコキシ基(例:メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソブト
キシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基など)、
炭素数4−11のシクロアルキルアルキルオキシ基
(例:シクロプロピルメトキシ基、シクロブチルメトキ
シ基、シクロペンチルメトキシ基、シクロヘキシルメト
キシ基、アダマンチルメトキシ基など)、ハロゲノ基
(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード基)、ヒドロキシ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例:メ
トキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシ
カルボニル基など)、炭素数2−11の脂肪族アシル基
(例:アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソ
ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基など)、
芳香族アシル基(例:ベンゾイル基、トルオイル基、ナ
フチルカルボニル基など)、脂環状アシル基(例:アダ
マンチルカルボニル基など)、(N−置換)カルバモイ
ル基(例:N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、
N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ヘキ
シルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエ
チルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、4−メチ
ルピペラジノ基など)、ニトロ基、アミノ基、置換アミ
ノ基(例:N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、
N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ヘキ
シルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエ
チルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、4−メチ
ルピペラジノ基など)、アシルアミノ基(例:アシルア
ミノ基としては上記炭素数2−11の脂肪族、芳香族、
複素環状および脂環状アシル基を置換基として有するア
ミノ基(例:アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、
2−フロイルアミノ基、2−テノイルアミノ基シクロプ
ロピルカルボニルアミノ基など)、アルキル−および芳
香環スルホニルアミノ基(例:アルキルスルホニルアミ
ノ基としては例えばメタンスルホニルアミノ基、エタン
スルホニルアミノ基、トリフルオロメタンスルホニルア
ミノ基などが、また芳香環スルホニルアミノ基としては
例えばベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニ
ルアミノ基、アセチルアミノベンゼンスルホニルアミノ
基、トリフルオロメチルベンゼンスルホニルアミノ基な
ど)、シアノ基、5ーテトラゾリル基があげられる。置
換基の数としては1−3個あってもよい。また、フルオ
ロ基のフッ素原子がフッ素−18原子である[18F]フッ
素標識体の場合、フッ素原子がフッ素−19原子である
安定同位化合物の混入は実際上避けがたいが、PET用
診断薬としての用途に何らの支障もないことは明らかで
ある。
【0011】一般式Iにおいて、X、Yで表わされるイ
ミダーゾール環上の置換基としては低級アルキル基
(例:メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基な
ど)、低級ハロゲノアルキル基(例:トリフルオロメチ
ル基、ペンタフルオロエチル基など)、ハロゲノ基
(例:クロロ基、ブロモ基など)、ホルミル基、ヒドロ
キシメチル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボ
ニル基(例:メトキシカルボニル基、エトキシカルボニ
ル基など)、シアノメチル基、カルボキシアルキル基
(例:カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基な
ど)、カルボキシアルケニル基(例:2−カルボキシエ
テニル基など)、カルバモイル基、N−置換カルバモイ
ル基(例:N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチ
ルカルバモイル基など)、(1H−テトラゾリル−5−
イル)メチル基が挙げられるが、ハロゲノ基、カルボキ
シメチル基、カルボキシアルキル基、(1H−テトラゾ
リル−5−イル)メチル基などが好ましい。
【0012】本発明で用いられる代表的原料化合物の例
を挙げると、1−ベンジル−4−クロロ−2−(2−ニ
トロフェニル)イミダゾール−5−酢酸、1−ベンジル
−4−クロロ−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾール
−5−酢酸、1−ベンジル−4−クロロ−2−(2,4−
ジニトロフェニル)イミダゾール−5−酢酸、1−(4−
メチルベンジル)−4−クロロ−2−(2−ニトロフェニ
ル)イミダゾール−5−酢酸、1−(4−メチルベンジ
ル)−4−クロロ−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾ
ール−5−酢酸、1−(4−メチル)ベンジル−4−クロ
ロ−2−(2,4−ジニトロフェニル)イミダゾール−5
−酢酸、1−(4−クロロベンジル)−4−クロロ−2−
(2−ニトロフェニル)イミダゾール−5−酢酸、1−
(4−クロロベンジル)−4−クロロ−2−(4−ニトロ
フェニル)イミダゾール−5−酢酸、1−(4−クロロベ
ンジル)−4−クロロ−2−(2,4−ジニトロフェニル)
イミダゾール−5−酢酸、4−クロロ−1−(4−メト
キシベンジル)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾー
ル−5−酢酸、4−クロロ−1−(4−ブトキシベンジ
ル)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾール−5−酢
酸、4−クロロ−1−(3−メチル−4−メトキシベン
ジル)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾール−5−
酢酸、4−クロロ−1−(3−メチル−4−エトキシベ
ンジル)−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾール−5
−酢酸、1−(2−クロロベンジル)−4−クロロ−2−
(4−ニトロフェニル)イミダゾール−5−酢酸、1−
(2−チエニルメチル)−4−クロロ−2−(4−ニトロ
フェニル)イミダゾール−5−酢酸、1−ベンジル−4
−クロロ−2−(4−ニトロフェニル)−5−(1H−テ
トラゾリル−5−イル)イミダゾールなどが挙げられる
が1−ベンジル−4−クロロ−2−(2−ニトロフェニ
ル)イミダゾール−5−酢酸、1−ベンジル−4−クロ
ロ−2−(4−ニトロフェニル)イミダゾール−5−酢
酸、1−ベンジル−4−クロロ−2−(2,4−ジニトロ
フェニル)イミダゾール−5−酢酸が好ましい。これら
の原料化合物は文献(松村興一ら、武田研究所報50,
35−55、および古川純康ら、同誌,56−74(199
1))記載の方法またはそれに準じた方法により製造する
ことができる。
【0013】本発明においてはこれらの原料2−ニトロ
芳香環−N1置換イミダゾール化合物(ニトロ体)を自
体公知の方法に準じ[19F]または[18F]フルオライドと
反応させニトロ−フルオロ交換反応を起こさせる。[19
F]フルオライド源としてはフッ化水素酸、アルカリ金
属フルオライド(例、フッ化ナトリウム、フッ化カリウ
ム、フッ化セシウムなど)、4級アンモニウムフルオラ
イド(例:テトラブチルアンモニウムフルオライドな
ど)が挙げられる。フルオライドは求核性に乏しく、求
核反応を起こさせるについては、活性化が必要である。
この点では、[18F]フルオライドの場合、得られるフル
オライド試薬の量が極めて微量であり、これを用いて効
率良く反応させるための反応条件がよく工夫されている
ので[19F]フルオライドを用いる場合にも同様の条件を
用いることが出来る。[18F]フルオライドによる反応の
場合、[18F]フルオライド源としては常法(ジー・シュ
テックリン、ヴィ・ダブリュー・パイク編 ラジオファ
ルマシューチカルズ・フォー・ポジトロン・エミッショ
ン・トモグラフィー、クルーワー・アカデミック・パブ
リッシャーズ(1993)(G.Stocklin,V.W.Pike(Ed
s.),Radiopharmaceuticls for Positron Emissi
on Tomography))により小型加速器により[18O]富化
水にプロトンビームを照射することにより得られる[18
F]フルオライドないし[18F]フッ化水素酸の[18O]富
化水溶液を用い、これに塩基剤を加えてフルオライドを
塩の形で捕集し、ついでさらに環状エーテル化合物を共
存させて反応することによって簡便かつ有利にニトロ基
−[18F]フルオロ基の交換反応を行うことができる
(例:エス・ファロックザードおよびエム・ディクシッ
ク、ジャーナル・オブ・ラベルド・カンパウンド・アン
ド・ラジオファルマシューチカルズ(S.Farrokhzad a
nd M.Diksic,J.Labelled Compound and Rad
iopharmaceuticals),22,721(1985);エイ・カチ
フィスら、インターナル・ジャーナル・オブ・アプライ
ド・レイディエーション・アンド・アイソトープス(A.
Katsifis,et al.,Internal J. of Applied
Radiation and Isotopes),44,1015(1993)な
ど)。
【0014】塩基剤としては弱酸の強塩基塩、例えば重
炭酸、炭酸、カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土
類金属塩類および4級アンモニウムヒドロキシド類が挙
げられる。カルボン酸としては、シュウ酸、酢酸、マロ
ン酸、フマル酸、クメン酸、プロピオン酸、吉草酸、酪
酸、乳酸、マレイン酸などが挙げられるがシュウ酸、酢
酸が好ましい。アルカリ金属類としては、リチウム、ナ
トリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げ
られるが特にカリウム、ルビジウム、セシウムが好まし
い。アルカリ土類金属類としては、カルシウム、マグネ
シウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。
従って、好ましい弱酸の強塩基塩の具体例としては、炭
酸カリウム、シュウ酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸ル
ビジウム、シュウ酸ルビジウム、酢酸ルビジウム、炭酸
セシウム、シュウ酸セシウム、重炭酸カリウムが挙げら
れるが、炭酸カリウム、シュウ酸カリウムが特に好まし
い。4級アンモニウムヒドロキシド類としてはテトラメ
チルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニ
ウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキ
シド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドな
どが挙げられるがテトラブチルアンモニウムヒドロキシ
ドが好ましい。
【0015】また、環状エーテル化合物としてはクラウ
ンエーテル類およびクリプタンド類が挙げられる。クラ
ウンエーテル類としては12−クラウン−4,15−ク
ラウン−5,18−クラウン−6−4,7,13,18−テ
トラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]サ
イコサン(クリプトフィックス[2.1.1])が、クリ
プタンド類としては4,7,13,16,21,24−ヘキ
サオクサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキ
サコサン(クリプトフィックス[2.2.2])などが用
いられるが、クリプタンド類、なかでもクリプトフィッ
クス[2.2.2]が好ましい。
【0016】反応は、例えば溶媒中、80−170℃程
度に加熱して行なわれる。溶媒としては、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テ
トラヒドロフラン、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、ペンタノール、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロホルム、塩化メ
チレン、トリクロロエタン、ジクロロエタン、ジオキサ
ンが用いられるが好ましくはジメチルスルホキサイド、
ジメチルホルムアミド、アセトニトリルが挙げられる。
反応は無水状態で行うのがよいので、小型加速器を用い
常法により得た[18F]フルオライド水溶液を塩基剤、環
状エーテルと共に減圧乾固して使用するのが好ましい。
その際、乾燥を十分に行うため、例えばアセトニトリ
ル、ベンゼンなどの溶媒と減圧下に加熱して水分を溶媒
と共沸除去するのがよい。
【0017】従って、[18F]フッ素標識体の製造におけ
る操作手順は以下のようである。 1)反応容器にあらかじめあるいは[18F]フルオライド
水溶液移送後に塩基剤および環状エーテルを加える。 2)[18O]富化水をプロトン照射して得た[18F]フルオ
ライド水溶液を反応容器に移送する。 3)減圧下に加熱して水を溜去する。 4)ニトロ体を(溶媒と共に)加えて加熱し反応を起こさ
せる。 5)反応液をカラムクロマトグラフィーなどの常法によ
り精製し目的物を採取する。 なお、本発明に使用される基質(ニトロ体)の量として
は、[18F]フルオライドによる標識反応の場合0.01m
gないし500mgが用いられるが0.1mgないし100mg
が好ましい。
【0018】本発明によれば、例えば以下のような[18
F]フッ素標識体を有利に得ることが出来る。1−ベン
ジル−2−(2−[18F]フルオロフェニル)−4−クロロ
イミダゾール−5−酢酸、1−ベンジル−2−(4−[18
F]フルオロフェニル)−4−クロロイミダゾール−5−
酢酸、1−ベンジル−2−(2−[18F]フルオロ−4−
ニトロフェニル)−4−クロロイミダゾール−5−酢
酸、1−ベンジル−2−(4−[18F]フルオロ−2−ニ
トロフェニル)−4−クロロイミダゾール−5−酢酸、
1−(4−メチルベンジル)−2−(2−[18F]フルオロ
フェニル)−4−クロロイミダゾール−5−酢酸、1−
(4−メチルベンジル)−2−(4−[18F]フルオロフェ
ニル)−4−クロロイミダゾール−5−酢酸、1−(4−
メチルベンジル)−2−(2−[18F]フルオロ−4−ニト
ロフェニル)−4−クロロイミダゾール−5−酢酸、1
−(4−メチルベンジル)−2−(4−[18F]フルオロ−
2−ニトロフェニル)−4−クロロイミダゾール−5−
酢酸、1−(4−クロロベンジル)−2−(2−[18F]フ
ルオロフェニル)−4−クロロイミダゾール−5−酢
酸、1−(4−クロロベンジル)−2−(4−[18F]フル
オロフェニル)−4−クロロイミダゾール−5−酢酸、
1−(4−クロロベンジル)−2−(2−[18F]フルオロ
−4−ニトロフェニル)−4−クロロイミダゾール−5
−酢酸、1−(4−クロロベンジル)−2−(4−[18F]
フルオロ−2−ニトロフェニル)−4−クロロイミダゾ
ール−5−酢酸、1−(4−メトキシベンジル)−2−
(4−[18F]フルオロフェニル)−4−クロロイミダゾー
ル−5−酢酸、1−(4−ブトキシベンジル)−2−(4
−[18F]フルオロフェニル)−4−クロロイミダゾール
−5−酢酸、1−(3−メチル−4−メトキシベンジル)
−2−(4−[18F]フルオロフェニル)−4−クロロイミ
ダゾール−5−酢酸、1−(3−メチル−4−エトキシ
ベンジル)−2−(4−[18F]フルオロフェニル)−4−
クロロイミダゾール−5−酢酸、1−(2−クロロベン
ジル)−2−(4−[18F]フルオロフェニル)−4−クロ
ロイミダゾール−5−酢酸、1−(2−チエニルメチル)
−2−(4−[18F]フルオロフェニル)−4−クロロイミ
ダゾール−5−酢酸、1−ベンジル−2−(4−[18F]
フルオロフェニル)−4−クロロ−5−(1H−テトラゾ
リル−5−イル)イミダゾール。これらのうち1−ベン
ジル−2−(4−[18F]フルオロフェニル)−4−クロロ
イミダゾール−5−酢酸が特に好ましい。
【0019】反応終了後反応液を溶媒溜去、中和、抽
出、クロマトグラフィー、蒸留、再結晶、など自体公知
の手段により処理することにより、目的物を得ることが
できる。これらの目的物は、そのもの自体(遊離型)と
して単離してもよいし、また、要すればその溶媒和物
(例:水和物)あるいは塩(酸付加塩を含む)の型で単
離してもよい。該塩(酸付加塩)としては、とくに限定
はなく、それ自体、医薬として用いられるかあるいは生
理的に許容される酸又は塩基類から誘導されたものであ
ってもよく、例えば塩酸、臭素酸、ヨウ素酸、硫酸、硝
酸、リン酸などの無機酸との塩、酢酸、シュウ酸、コハ
ク酸、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、p−トルエン
スルホン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、酒石酸、マ
レイン酸などの有機酸との塩、ナトリウム、カリウムな
どのアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウムな
どのアルカリ土類金属との塩、トリアルキルアミン類
(例:トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチ
ルアミンなど)、ジベンジルアミン、エタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホリンなど
の有機塩基との塩などが挙げられる。とくに[18F]フッ
素標識薬剤の製造においては、その製造量が極めて微量
であること、短い半減期内にPET試験において使用す
る必要から、HPLC精製後、要すれば水以外の溶媒を
除去し、残留液の濃度調整、pHの調整、等張化、ミリ
ポアフィルターによる無菌濾過などの操作により好まし
くは注射用製剤の形に調製される。用量は適用形態によ
っても異なるが、有効成分を0.1−100mCi、好ま
しくは0.5−20mCi、さらに好ましくは1−10mC
i含み、0.1−10mCi/回程度で用いられる。該注射
用製剤はエタノール、生理食塩水、などの希釈剤、トリ
トンX、よう化カリウム、燐酸、塩酸、クエン酸、水酸
化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ポリソルベート8
0などの添加剤を含みうる。
【0020】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに説明する
が、本発明はこれらのものに限定されるものではない。
【0021】実施例1 1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−ニトロフェニル)
イミダゾール−5−酢酸から[18F]フルオライドによる
1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−[18F]フルオロ
フェニル)イミダゾール−5−酢酸の製造 フッ素源として、小型完全同期型加速器(住友重機械工
業製)を用い、[18O]重水ターゲットにプロトンを照射
することにより得られた[18F]フルオライド水溶液に炭
酸カリウム10mgとアセトニトリル1mlおよびクリプト
フィックス[2.2.2]15mg(メルク社製)を加え、
80℃で4分間減圧下に撹拌した後、再びアセトニトリ
ル1mlを加えアルゴン気流下に80℃で4分間減圧下に
かき混ぜた後さらに110℃で10分間2kPa以下の減
圧下で乾固した。これに1−ベンジル−4−クロロ−2
−(4−ニトロフェニル)イミダゾール−5−酢酸10mg
を無水DMSO500μlに溶かした液を加え、160
℃に20分間加熱した。反応液を室温まで冷却し、直接
HPLC(条件:カラム:ワイ・エム・シー−パックO
DS−AG(φ21mm×250mm(ワイ・エム・シー社
製);溶媒:アセトニトリル−10mMりん酸水溶液
(50:50(v/v);流速:10ml/分)に付して保持
時間21分で溶出される放射活性を伴った分画を集め、
溶媒を減圧下に留去して1−ベンジル−4−クロロ−2
−(4−[18F]フルオロフェニル)イミダゾール−5−酢
酸を収率1.5%で得た。
【0022】実施例2 (1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−ニトロフェニ
ル)イミダゾール−5−酢酸から[19F]フルオライドに
よる1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−フルオロフ
ェニル)イミダゾール−5−酢酸の製造 1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−ニトロフェニル)
イミダゾール−5−酢酸(10mg,27μmol)を0.5m
lのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かした液に
4mg(27μmol)のフッ化セシウム、10mgのクリプ
トフィックス(27μmol)および3.7mg(27μmo
l)の炭酸カリウムを加え、容器内の気体をアルゴンで
置換後容器を密閉して160℃に30分加熱した。反応
液を核磁気共鳴スペクトル(NMR)および高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)(カラム:ワイ・エム・
シー−パック ODS−AQ,4.6φ×250mm(ワ
イ・エム・シー(株);溶媒:アセトニトリル−10mM
りん酸水溶液(50:50(v/v));流速1ml/分;検
出:紫外線吸収、250nm)で分析した。生成物の1
−NMRおよび19F−NMRピーク、およびHPLCに
おける保持時間は参考例1−(8)で得た対照サンプル
のものと一致した。
【0023】実施例3 1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−ニトロフェニル)
イミダゾール−5−酢酸から1−ベンジル−4−クロロ
−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾール−5−酢酸
の製造 1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−ニトロフェニル)
イミダゾール−5−酢酸(10mg)を0.6mlのDMS
Oに溶解し、等モルずつのテトラブチルアンモニウム
フルオライド、無水炭酸カリウム、クリプトフィックス
[2.2.2]を加え、反応容器内の気体をアルゴンに
置換後密閉して160℃に30分加熱した。反応液を直
接HPLC(カラム:ワイ・エム・シー −パック O
DS−AQ(4.6φ×250mm(ワイ・エム・シー
(株)製);溶媒:アセトニトリル−10mMリン酸水
溶液(50:50(v/v);流速:1ml/分)に付して
保持時間9.8分で溶出される分画を集め、溶媒を溜去
して1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−フルオロフ
ェニル)イミダゾール−5−酢酸を得た。
【0024】参考例1 1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−フルオロフェニ
ル)イミダゾール−5−酢酸の標準サンプルの合成 (1)4−フルオロベンツアミジン塩酸塩 4−フルオロベンゾニトリル(20.0g,0.17mo
l)の無水エタノール(9.6mL,0.17mol)溶液に
乾燥塩化水素ガスを7.2g(0.20mol)の重量増に
なるまで吹き込み終夜かきまぜ粗製エチル 4−フルオ
ロベンツイミデート塩酸塩を結晶性固体として得た。こ
れに粉砕後かきまぜながらアンモニア(10wt%)性無
水エタノール(85ml)を少量ずつゆっくり加えた後、
室温で24時間かきまぜた。析出しているアンモニウム
塩を濾去後濾液を結晶が出はじめるまで減圧下に濃縮
し、析出物を濾取して4−フルオロベンルアミジン塩酸
塩26.97gを得た(収率94%)。 融点:211−212℃。1H−NMR(CD3OD)
δ:7.31(2H,m)および7.90(2H,m)。19F−
NMR(CD3OD)δ:−104.27。
【0025】(2)2−(4−フルオロフェニル)−5−
ヒドロキシメチル イミダゾール 4−フルオロベンルアミジン塩酸塩(1.00g,5.7
3mmol)を10mLの28%アンモニア水に溶かし、こ
れに、かきまぜながらヒドロキシアセトン(540.0m
g,6.00mmol)を加え、60℃で8時間かきまぜた。
析出した結晶を濾取し、水ついでベンゼンで洗浄後エタ
ノール(7ml)から再結晶して516.1mgの2−(4−
フルオロフェニル)−5−ヒドロキシメチル イミダゾ
ールを無色結晶として得た。収率47%。 融点:185−186℃。1H−NMR(DMSO−
6)δ:4.44(2H,s),4.99(2H,br),7.
00(2H,m),7.28(2H,m),7.96(2H,
m),12.33(1H,br)。19F−NMR(DMSO−
6)δ:−116.67。
【0026】(3)4−クロロ−2−(4−フルオロフ
ェニル)−5−ヒドロキシメチルイミダゾール 2−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシメチル
イミダゾール(500mg,2.60mmol)とN−クロ
ロこはく酸イミド(417.0mg,3.12mmol)とを1
0mlのジオキサン−エチレングリコールモノメチルエー
テル(6:4(v/v))の混合液に加え窒素雰囲気下50
℃で8時間かきまぜた。反応液から溶媒を出来るだけ減
圧溜去し、残部に10mlのジエチルエーテルを加え、不
溶物を濾取し、ベンゼンで洗浄して302.7mgの4−
クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシ
メチルイミダゾールを無色の結晶として得た。 融点:189.5−190.5℃。1H−NMR(DMS
O−d6)δ:4.45(2H,d,J=5.3Hz),5.2
8(1H,t,J=5.3Hz),7.31(2H,m),7.9
8(2H,m),12.96(1H,br)。19F−NMR(D
MSO−d6)δ:−115.52。
【0027】(4)4−クロロ−2−(4−フルオロフ
ェニル)−5−ホルミル イミダゾール 4−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロ
キシメチルイミダゾール(570.0mg,2.52mmol)
を10mlのテトラヒドロフランに溶かした液に、かきま
ぜまがら、クロミウム(VI価)オキサイド(500.
0mg,5.14mmol)とシリカゲル(シリカゲル−60
(メルク社製),2.50g)を加え、50℃に38時間
かきまぜた。不溶物を濾去後、濾液を濃縮乾固し、得ら
れた結晶をベンゼンで洗浄し279.0mgの4−クロロ
−2−(4−フルオロフェニル)−5−ホルミル イミダ
ゾールを黄色の結晶として得た。収率49%。 融点:227−228℃。1H−NMR(DMSO−
6)δ:7.39(2H,m),8.18(2H,m),9.7
2(1H,s)。19F−NMR(DMSO−d6)δ:−1
12.35。
【0028】(5)1−ベンジル−4−クロロ−2−
(4−フルオロフェニル)−5−ホルミルイミダゾール 4−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−5−ホルミ
ル イミダゾール(215.0mg,1.63mmol)のジメ
チルホルムアミド(1ml)溶液に225.0mg(0.96
mmol)の炭酸カリウムおよび0.17mlの臭化ベンジル
(1.44mmol)を加え、50℃で2時間かきまぜた。
反応液に5mlの水を加えた後クロロホルムで抽出し、抽
出液を食塩水で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
ついで溶媒を溜去し、残留物をクロマトグラフィーに付
し、219.0mgの1−ベンジル−4−クロロ−2−(4
−フルオロフェニル)−5−ホルミルイミダゾール(収
率73%)を無色の結晶として、およびその異性体1−
ベンジル−5−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−
4−ホルミルイミダゾール(18.3mg,収率6%)(無
色油状物)を得た。 1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−フルオロフェニ
ル)−5−ホルミルイミダゾール: 融点227−228℃。1H−NMR(CDCl3)δ:
5.60(2H,s),6.97(2H,m),7.12(2H,
m),7.29(3H,m),7.54(2H,m),9.83(1
H,s)。19F−NMR(CDCl3)δ:−109.44。 1−ベンジル−5−クロロ−2−(4−フルオロフェニ
ル)−4−ホルミルイミダゾール:1 H−NMR(CDCl3)δ:5.1(2H,s),7.0
2(2H,m),7.11(2H,m),7.37(3H,m),
7.50(2H,m),10.03(1H,s)。
【0029】(6)1−ベンジル−4−クロロ−2−
(4−フルオロフェニル)−5−ヒドロキシメチルイミダ
ゾール 1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−フルオロフェニ
ル)−5−ホルミルイミダゾール(215.0mg,0.6
8mmol)の無水メタノール(3ml)溶液に、かきまぜな
がら17.0mg(0.45mmol)の水素化ホウ素ナトリウ
ムを0℃で加え、さらに室温で30分かきまぜた。反応
液に5mlの水を加え、メタノールを溜去すると結晶が析
出した。それを濾取して211.1mg(収率98%)の
1−ベンジル−4−クロロ−2−(4−フルオロフェニ
ル)−5−ヒドロキシメチルイミダゾールを無色結晶と
して得た。 融点:174.8−175.8℃。1H−NMR(CDC
3)δ:1.78(1H,t,J=6.0Hz),4.51
(2H,d,J=6.0Hz),5.36(2H,s),7.03
(2H,m),7.08(2H,m),7.36(3H,m),7.
49(2H,m)。19F−NMR(CDCl3)δ:−11
1.85。
【0030】(7)1−ベンジル−4−クロロ−5−シ
アノメチル−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾール 320.0mg(1.01mmol)の乾燥クロロホルム(6m
l)溶液に0.2ml(2.73mmol)のチオニルクロリド
を0℃で滴下し、ついで室温で2時間かきまぜた。揮発
性物を溜去後反応液に10mlのメタノールを加え、再び
乾固して粗製1−ベンジル−4−クロロ−5−クロロメ
チル−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾールを得
た。これに5mlのクロロホルムと1mlの水およびn−テ
トラメチルアンモニウム ブロミド(40.0mg,0.1
2mmol)とシアン化ナトリウム(149.0mg,3.03
mmol)とを加えて室温で38時間激しくかきまぜた。反
応液をクロロホルムで抽出し、抽出液を食塩水で洗浄後
無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、得られ
た油状物をクロマトグラフィーで精製し230.0mgの
1−ベンジル−4−クロロ−5−シアノメチル−2−
(4−フルオロフェニル)イミダゾール(収率70%)を
無色油状物として得た。1 H−NMR(CDCl3)δ:3.50(2H,s),5.
34(2H,s),7.06(2H,m),7.13(2H,
m),7.40(3H,m),7.55(2H,m)。19F−NM
R(CDCl3)δ:−110.50。
【0031】(8)1−ベンジル−4−クロロ−2−
(4−フルオロフェニル)イミダゾール−5−酢酸 1−ベンジル−4−クロロ−5−シアノメチル−2−
(4−フルオロフェニル)イミダゾール(210mg,0.
68mmol)を1.5mlの濃塩酸に加え、ついで水1mlを
加えた後2時間加熱還流した。放冷後、反応液に水を結
晶が析出し始めるまで加え、ついで該結晶を濾取し、
水、ついで石油エーテルで洗浄し218.3mgの1−ベ
ンジル−4−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)イミ
ダゾール−5−酢酸を無色結晶として得た。収率94
%。 融点:170−171℃。1H−NMR(DMSO−
d6)δ:3.53(2H,s),5.32(2H,s),6.9
8(2H,m),7.24−7.36(5H,m),7.54(2
H,m)。19F−NMR(DMSO−d6)δ:−114.
45。元素分析値(C1816ClFN23・H2Oとし
て)計算値:C,59.59;H,4.45;N,7.7
2%。実測値:C,59.45;H,4.41;N,7.
73%。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07M 5:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式I 【化1】 (式中、X、Yは同一または異なって水素原子または置
    換基を、Ar1、Ar2はそれぞれ置換基を有していてもよ
    い芳香環基を表わす。nは1または2を表わす。)で表
    わされる新規2−フルオロ芳香環−N1置換イミダゾー
    ル化合物。
  2. 【請求項2】 一般式IのFで示されるフルオロ基のフ
    ッ素原子の少なくとも一つが陽電子崩壊性核種である不
    安定同位体フッ素−18原子である請求項1のN1−置
    換イミダゾール化合物。
  3. 【請求項3】 一般式Iのフルオロ基がニトロ基に置き
    代わった構造の2−ニトロ芳香環−N1置換イミダゾー
    ル化合物をフルオライドと反応させることを特徴とする
    請求項1の新規2−フルオロ芳香環−N1置換イミダゾ
    ール化合物の製造法。
  4. 【請求項4】 フルオライドとしてそのフッ素原子が陽
    電子崩壊性核種である不安定同位体フッ素−18原子で
    あるものを用いる、請求項3の製造法。
  5. 【請求項5】 化合物が1−ベンジル−2−(4−フル
    オロフェニル)−4−クロロイミダゾール−5−酢酸で
    ある、請求項1のN1置換イミダゾール化合物。
  6. 【請求項6】 化合物が1−ベンジル−2−(4−
    [18F]フルオロフェニル)−4−クロロイミダゾール−
    5−酢酸である、請求項2の化合物。
  7. 【請求項7】 請求項2のN1置換イミダゾール化合物
    を含有してなる陽電子放射断層法(PET)用診断薬。
  8. 【請求項8】 化合物が1−ベンジル−2−(4−
    [18F]フルオロフェニル)−4−クロロイミダゾール−
    5−酢酸である、請求項7のPET用診断薬。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998018496A3 (en) * 1996-10-28 1998-07-16 Nycomed Imaging As Contrast agents
JP2006504640A (ja) * 2002-07-01 2006-02-09 コミツサリア タ レネルジー アトミーク 標識したマレイミド化合物、それを調製する方法および高分子を標識するためのその使用

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