JPH09165271A - 塩基性質吹付材 - Google Patents
塩基性質吹付材Info
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- JPH09165271A JPH09165271A JP7327271A JP32727195A JPH09165271A JP H09165271 A JPH09165271 A JP H09165271A JP 7327271 A JP7327271 A JP 7327271A JP 32727195 A JP32727195 A JP 32727195A JP H09165271 A JPH09165271 A JP H09165271A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】工業窯炉・溶融金属容器の補修に使用するマグ
ネシア・カルシアクリンカー系の吹付材において、耐消
化性を向上して接着性、耐食性の向上を図る。 【構成】CaOが10〜70wt%、MgOが30〜85wt%
でMgO+CaOが95wt%以上の化学成分を有し、か
つ、表面に耐消化無機質層を有するマグネシア・カルシ
アクリンカー 5〜90wt%を含む塩基性耐火原料主材を
骨材として、この骨材 100wt%に、平均粒径 7μm以
下で比表面積10m2 /g以上の耐火超微粉を外掛け 0.1
〜10wt%、消石灰を外掛け 0.1〜 5wt%及び結合剤
を配合する。耐火超微粉と消石灰との相乗作用による摩
擦緩衝効果により、吹付け施工に際してマグネシア・カ
ルシアクリンカー表面の耐消化無機質層が剥離すること
を防止できるため、付着性を向上できる。
ネシア・カルシアクリンカー系の吹付材において、耐消
化性を向上して接着性、耐食性の向上を図る。 【構成】CaOが10〜70wt%、MgOが30〜85wt%
でMgO+CaOが95wt%以上の化学成分を有し、か
つ、表面に耐消化無機質層を有するマグネシア・カルシ
アクリンカー 5〜90wt%を含む塩基性耐火原料主材を
骨材として、この骨材 100wt%に、平均粒径 7μm以
下で比表面積10m2 /g以上の耐火超微粉を外掛け 0.1
〜10wt%、消石灰を外掛け 0.1〜 5wt%及び結合剤
を配合する。耐火超微粉と消石灰との相乗作用による摩
擦緩衝効果により、吹付け施工に際してマグネシア・カ
ルシアクリンカー表面の耐消化無機質層が剥離すること
を防止できるため、付着性を向上できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性および付着
性に優れた塩基性質吹付材に関する。
性に優れた塩基性質吹付材に関する。
【0002】
【従来の技術】製鉄産業等で用いられる転炉、取鍋、電
気炉、真空脱ガス炉などの工業窯炉・溶融金属容器にお
いて、内張り耐火物を吹付け補修することが行われてい
る。この補修に使用される吹付材に要求される主な特性
は、耐食性と付着性(接着性)である。
気炉、真空脱ガス炉などの工業窯炉・溶融金属容器にお
いて、内張り耐火物を吹付け補修することが行われてい
る。この補修に使用される吹付材に要求される主な特性
は、耐食性と付着性(接着性)である。
【0003】従来の吹付材としては、耐食性の面からマ
グネシアクリンカーを主骨材とした塩基性質の材質のも
のが汎用されていたが、最近の炉操業の過酷化から、こ
の従来材質では十分な耐用性が得られていない。そこ
で、マグネシア・カルシアクリンカーを骨材として使用
した吹付材が提案されている(例えば特開昭51-79112号
公報)。この材質の吹付材は、マグネシア・カルシアク
リンカー中のCaO成分の作用によって耐スラグ浸潤性
および熱間強度に優れた効果を発揮する。しかし、室温
または比較的低温で吹付けを行う場合(以下、冷間吹付
け)、吹付材の特性に必要な接着強度に劣る問題があ
る。
グネシアクリンカーを主骨材とした塩基性質の材質のも
のが汎用されていたが、最近の炉操業の過酷化から、こ
の従来材質では十分な耐用性が得られていない。そこ
で、マグネシア・カルシアクリンカーを骨材として使用
した吹付材が提案されている(例えば特開昭51-79112号
公報)。この材質の吹付材は、マグネシア・カルシアク
リンカー中のCaO成分の作用によって耐スラグ浸潤性
および熱間強度に優れた効果を発揮する。しかし、室温
または比較的低温で吹付けを行う場合(以下、冷間吹付
け)、吹付材の特性に必要な接着強度に劣る問題があ
る。
【0004】すなわち、被補修面が例えば700℃以上
の熱間吹付けでは、施工水分が即座に蒸発するため問題
はないが、冷間吹付けではCaO成分が施工水分との反
応で消化し〔CaO+H2 O→Ca(OH)2 〕、その
消化に伴う体積膨張でクリンカー表面をぜい弱化し、接
着強度が低下すると考えられている。そこで、マグネシ
ア・カルシアクリンカーに耐消化性を付与する技術とし
て、クリンカー表面に耐消化無機質層を設けることが提
案されている。耐消化無機質層としては、例えば特開昭
61-256961 号公報に記載されている炭酸カルシウム、特
開平5-294713号公報に記載されているリン酸カルシウム
やリン酸マグネシウム、或いは特開平2-160657号公報に
記載されている酸化マグネシウム等がある。
の熱間吹付けでは、施工水分が即座に蒸発するため問題
はないが、冷間吹付けではCaO成分が施工水分との反
応で消化し〔CaO+H2 O→Ca(OH)2 〕、その
消化に伴う体積膨張でクリンカー表面をぜい弱化し、接
着強度が低下すると考えられている。そこで、マグネシ
ア・カルシアクリンカーに耐消化性を付与する技術とし
て、クリンカー表面に耐消化無機質層を設けることが提
案されている。耐消化無機質層としては、例えば特開昭
61-256961 号公報に記載されている炭酸カルシウム、特
開平5-294713号公報に記載されているリン酸カルシウム
やリン酸マグネシウム、或いは特開平2-160657号公報に
記載されている酸化マグネシウム等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ピッチ、フェノール樹
脂などの有機質層でクリンカー表面を被覆することでも
耐消化性の効果は得られる。しかし有機質層は熱によっ
て焼失するため、吹付材の粒子間に空隙が生じて耐食性
が低下する欠点がある。これに対し、無機質層の場合は
熱によって焼失しないだけでなく、材質によっては焼結
剤としての効果をもつものもあり、更に吹付材の耐食性
を低下させることもない利点を有する。
脂などの有機質層でクリンカー表面を被覆することでも
耐消化性の効果は得られる。しかし有機質層は熱によっ
て焼失するため、吹付材の粒子間に空隙が生じて耐食性
が低下する欠点がある。これに対し、無機質層の場合は
熱によって焼失しないだけでなく、材質によっては焼結
剤としての効果をもつものもあり、更に吹付材の耐食性
を低下させることもない利点を有する。
【0006】ところで、吹付材による補修工事は、貯留
タンクに溜められた吹付材をインペラーで切り出して、
これをホースに通し、ホースの先端に設けたノズルから
被補修面に向けて噴出させるものであるが、無機質層は
有機質層に比べて衝撃に弱く、剥離しやすいため、タン
クから切り出す際のインペラーによる摩擦や、ホース内
を高速で通過する際の粒子間の摩擦等のために、クリン
カー表面の耐消化層が剥離する問題があった。
タンクに溜められた吹付材をインペラーで切り出して、
これをホースに通し、ホースの先端に設けたノズルから
被補修面に向けて噴出させるものであるが、無機質層は
有機質層に比べて衝撃に弱く、剥離しやすいため、タン
クから切り出す際のインペラーによる摩擦や、ホース内
を高速で通過する際の粒子間の摩擦等のために、クリン
カー表面の耐消化層が剥離する問題があった。
【0007】このように表面の耐消化層が剥離すると、
クリンカーは耐消化層が失われた部分から消化が進み、
表面がぜい弱組織となることで、被補修面に対する付着
性が低下する。吹付け施工の方法としては、吹付材を予
め泥しょう化して吹き付ける湿式法と、吹付材を乾粉あ
るいは湿潤(水分を微量添加)の状態でホース内に通
し、ノズルの先端付近で水分添加を行う乾式法とに大別
され、施工性の面から乾式法で行われるのが一般的であ
る。しかし、乾式法では、インペラーによる摩擦や、骨
材粒子同士がこすれ合うことによる摩擦がより大きいた
め、耐消化無機質層の剥離現象が顕著に現れていた。
クリンカーは耐消化層が失われた部分から消化が進み、
表面がぜい弱組織となることで、被補修面に対する付着
性が低下する。吹付け施工の方法としては、吹付材を予
め泥しょう化して吹き付ける湿式法と、吹付材を乾粉あ
るいは湿潤(水分を微量添加)の状態でホース内に通
し、ノズルの先端付近で水分添加を行う乾式法とに大別
され、施工性の面から乾式法で行われるのが一般的であ
る。しかし、乾式法では、インペラーによる摩擦や、骨
材粒子同士がこすれ合うことによる摩擦がより大きいた
め、耐消化無機質層の剥離現象が顕著に現れていた。
【0008】本発明は、耐消化無機質層を有するマグネ
シア・カルシアクリンカーを用いた吹付材において、上
記従来の問題を解決することを目的としている。
シア・カルシアクリンカーを用いた吹付材において、上
記従来の問題を解決することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、CaOが10〜70wt%、MgOが30〜85wt%で
MgO+CaOが95wt%以上の化学成分を有し、か
つ、表面に耐消化無機質層を有するマグネシア・カルシ
アクリンカー5 〜90wt%を含む塩基性耐火原料主材の
骨材100 wt%に、平均粒径7 μm以下で比表面積10m
2 /g以上の耐火超微粉を外掛け0.1 〜10wt%、消石
灰を外掛け0.1 〜5 wt%および結合剤を配合した塩基
性質吹付材である。
ろは、CaOが10〜70wt%、MgOが30〜85wt%で
MgO+CaOが95wt%以上の化学成分を有し、か
つ、表面に耐消化無機質層を有するマグネシア・カルシ
アクリンカー5 〜90wt%を含む塩基性耐火原料主材の
骨材100 wt%に、平均粒径7 μm以下で比表面積10m
2 /g以上の耐火超微粉を外掛け0.1 〜10wt%、消石
灰を外掛け0.1 〜5 wt%および結合剤を配合した塩基
性質吹付材である。
【0010】
【発明の実施形態】本発明は、マグネシア・カルシアク
リンカーを使用した吹付材において、優れた接着強度を
発揮する。これは、比表面積が大きい耐火超微粉と比重
の小さい微粒子である消石灰との組合せが摩擦緩衝材と
して作用し、接着強度の低下の原因となるマグネシア・
カルシアクリンカーの耐消化層の剥離を防止するためと
考えられる。
リンカーを使用した吹付材において、優れた接着強度を
発揮する。これは、比表面積が大きい耐火超微粉と比重
の小さい微粒子である消石灰との組合せが摩擦緩衝材と
して作用し、接着強度の低下の原因となるマグネシア・
カルシアクリンカーの耐消化層の剥離を防止するためと
考えられる。
【0011】吹付材は接着強度に劣ると被補修面から脱
落し、いかに耐食性に優れていてもその効果は発揮でき
ない。本発明によると、接着強度の向上によって、マグ
ネシア・カルシアクリンカーを使用した吹付材がもつ耐
スラグ浸潤性および熱間強度がいかんなく発揮され、優
れた耐用性が得られる。本発明者たちの実験によると、
マグネシア・カルシアクリンカーの化学成分として、C
aOが10wt%未満では耐スラグ浸潤性および熱間強度
の効果が発揮されず、CaOが70wt%を超えると耐消
化性に劣っていた。MgOの割合が30wt%未満では耐
食性および耐消化性に劣り、85wt%を超えるとCaO
の量が少なくなるので耐スラグ浸潤性および熱間強度に
劣っていた。MgO+CaO量は、十分な耐食性、耐ス
ラグ浸潤性および熱間強度の効果を得るために95wt%
以上が必要であった。
落し、いかに耐食性に優れていてもその効果は発揮でき
ない。本発明によると、接着強度の向上によって、マグ
ネシア・カルシアクリンカーを使用した吹付材がもつ耐
スラグ浸潤性および熱間強度がいかんなく発揮され、優
れた耐用性が得られる。本発明者たちの実験によると、
マグネシア・カルシアクリンカーの化学成分として、C
aOが10wt%未満では耐スラグ浸潤性および熱間強度
の効果が発揮されず、CaOが70wt%を超えると耐消
化性に劣っていた。MgOの割合が30wt%未満では耐
食性および耐消化性に劣り、85wt%を超えるとCaO
の量が少なくなるので耐スラグ浸潤性および熱間強度に
劣っていた。MgO+CaO量は、十分な耐食性、耐ス
ラグ浸潤性および熱間強度の効果を得るために95wt%
以上が必要であった。
【0012】マグネシア・カルシアクリンカーにおける
MgOとCaO以外の成分としては、例えばTiO2 、
Fe2 O3 、Al2 O3 、SiO2 などであり、その合
量は5wt%未満とする。これらのその他成分は、クリ
ンカーの製造工程において不可避的に混入するものだけ
でなく、耐消化性付与を目的として特定量添加してもよ
い。
MgOとCaO以外の成分としては、例えばTiO2 、
Fe2 O3 、Al2 O3 、SiO2 などであり、その合
量は5wt%未満とする。これらのその他成分は、クリ
ンカーの製造工程において不可避的に混入するものだけ
でなく、耐消化性付与を目的として特定量添加してもよ
い。
【0013】本発明のマグネシア・カルシアクリンカー
は以上の化学成分を有し、かつ表面に耐消化無機質層を
形成したものを使用する。耐消化無機質層としては、例
えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネ
シウム、酸化マグネシウムまたはこれらの組合せを採用
できる。炭酸カルシウムから成る無機質層は、例えば特
開平1−72959号公報に記載されいる通り、マグネ
シア・カルシアクリンカーを高温炭酸ガス中にさらし、
クリンカー表面のCaO成分を炭酸カルシウムに変化さ
せることで形成される。リン酸カルシウム、リン酸マグ
ネシウムから成る無機質層は、例えば特開平5−294
713号公報に記載されている通り、マグネシア・カル
シアクリンカーを酸性リン酸溶液と接触させ、クリンカ
ー表面のCaO成分とMgO成分をそれぞれリン酸カル
シウム、リン酸マグネシウムに変化させることによって
形成される。
は以上の化学成分を有し、かつ表面に耐消化無機質層を
形成したものを使用する。耐消化無機質層としては、例
えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネ
シウム、酸化マグネシウムまたはこれらの組合せを採用
できる。炭酸カルシウムから成る無機質層は、例えば特
開平1−72959号公報に記載されいる通り、マグネ
シア・カルシアクリンカーを高温炭酸ガス中にさらし、
クリンカー表面のCaO成分を炭酸カルシウムに変化さ
せることで形成される。リン酸カルシウム、リン酸マグ
ネシウムから成る無機質層は、例えば特開平5−294
713号公報に記載されている通り、マグネシア・カル
シアクリンカーを酸性リン酸溶液と接触させ、クリンカ
ー表面のCaO成分とMgO成分をそれぞれリン酸カル
シウム、リン酸マグネシウムに変化させることによって
形成される。
【0014】酸化マグネシウムから成る無機質層は、例
えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、リン酸などの酸の水溶
液、あるいは塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化
アンモニウム、酢酸マグネシウムなどの塩の水溶液に接
触させ、マグネシア・カルシアクリンカー表面のMgO
成分とCaO成分のうち、CaO成分を溶解除去するこ
とで形成される。
えば、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、リン酸などの酸の水溶
液、あるいは塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化
アンモニウム、酢酸マグネシウムなどの塩の水溶液に接
触させ、マグネシア・カルシアクリンカー表面のMgO
成分とCaO成分のうち、CaO成分を溶解除去するこ
とで形成される。
【0015】本発明では、この耐消化無機質層を有する
マグネシア・カルシアクリンカーを骨材の5 〜90wt%
に使用する。含有割合が5 wt%未満では耐スラグ浸潤
性および熱間強度に劣り、90wt%を超えると耐消化機
能が不十分となる。耐消化無機質層で被覆されたマグネ
シア・カルシアクリンカー以外の骨材としては、塩基性
材料が好ましい。例えば合成または天然のマグネシアク
リンカー、ドロマイトクリンカー、石灰石、耐消化無機
質層を有しないマグネシア・カルシアクリンカーなどで
もよい。塩基性以外の骨材としては、スピネルクリンカ
ー、アルミナクリンカー、シリカ、ジルコン、ジルコニ
ア、炭素、炭化物、窒化物などを使用できる。また、前
記のクリンカーは、焼結品、電融品を問わない。
マグネシア・カルシアクリンカーを骨材の5 〜90wt%
に使用する。含有割合が5 wt%未満では耐スラグ浸潤
性および熱間強度に劣り、90wt%を超えると耐消化機
能が不十分となる。耐消化無機質層で被覆されたマグネ
シア・カルシアクリンカー以外の骨材としては、塩基性
材料が好ましい。例えば合成または天然のマグネシアク
リンカー、ドロマイトクリンカー、石灰石、耐消化無機
質層を有しないマグネシア・カルシアクリンカーなどで
もよい。塩基性以外の骨材としては、スピネルクリンカ
ー、アルミナクリンカー、シリカ、ジルコン、ジルコニ
ア、炭素、炭化物、窒化物などを使用できる。また、前
記のクリンカーは、焼結品、電融品を問わない。
【0016】比表面積の大きい耐火超微粉は、本発明に
おいて骨材同士の摩擦を緩衝する効果を持つ。この耐火
超微粉は、平均粒径7 μm以下でしかも比表面積10m2
/g以上でなければその効果が得られない。平均粒径の
下限あるいは比表面積の上限は限定されないが、現在の
超微粉の製造技術からして、平均粒径0.01μm以下、比
表面積 500m2 /g以上のものは入手が困難である。
おいて骨材同士の摩擦を緩衝する効果を持つ。この耐火
超微粉は、平均粒径7 μm以下でしかも比表面積10m2
/g以上でなければその効果が得られない。平均粒径の
下限あるいは比表面積の上限は限定されないが、現在の
超微粉の製造技術からして、平均粒径0.01μm以下、比
表面積 500m2 /g以上のものは入手が困難である。
【0017】平均粒径 7μm以下で比表面積10m2 /g
以上の耐火超微粉としては、例えばシリカフラワー或い
はマイクロシリカの商品名として一般に知られている揮
発シリカや、ホワイトカーボンの商品名で知られている
気相法シリカなどの無定形シリカ、或いは気相法アルミ
ナ、気相法チタニアなどがある。また、水酸化マグネシ
ウムを 700〜1000℃程度の低温で加熱処理して得られる
軽焼マグネシアも使用できる。
以上の耐火超微粉としては、例えばシリカフラワー或い
はマイクロシリカの商品名として一般に知られている揮
発シリカや、ホワイトカーボンの商品名で知られている
気相法シリカなどの無定形シリカ、或いは気相法アルミ
ナ、気相法チタニアなどがある。また、水酸化マグネシ
ウムを 700〜1000℃程度の低温で加熱処理して得られる
軽焼マグネシアも使用できる。
【0018】これらの耐火超微粉の割合は、前記の骨材
100wt%に対する外掛けで、0. 5wt%未満では効果
がない。10wt%を超えると緩衝材としての効果は向上
するが、付着性を維持するために添加水分が多くなり、
施工体の気孔率が高くなって耐食性に劣る。消石灰は結
合剤の硬化助剤としての作用することが知られている
が、本発明では前記耐火超微粉との組合せにおいて、接
着強度を格段に向上させる。その理由は明らかではない
が、消石灰の比重が主材の骨材に比べて小さいために、
比表面積が大きな耐火超微粉による耐消化無機質層の剥
離防止の緩衝作用を助長するためと思われる。
100wt%に対する外掛けで、0. 5wt%未満では効果
がない。10wt%を超えると緩衝材としての効果は向上
するが、付着性を維持するために添加水分が多くなり、
施工体の気孔率が高くなって耐食性に劣る。消石灰は結
合剤の硬化助剤としての作用することが知られている
が、本発明では前記耐火超微粉との組合せにおいて、接
着強度を格段に向上させる。その理由は明らかではない
が、消石灰の比重が主材の骨材に比べて小さいために、
比表面積が大きな耐火超微粉による耐消化無機質層の剥
離防止の緩衝作用を助長するためと思われる。
【0019】耐火超微粉の割合を多くすれば緩衝作用も
向上するが、前記のとおり、耐火超微粉が増えると添加
水分が多くなる問題から、それには自ずと限度がある。
これに対して、耐火超微粉に加えて消石灰を配合する
と、添加水分量を増やすことなく耐火超微粉の緩衝作用
を向上させることができるから、耐食性を損なうことな
く接着強度を向上できる。
向上するが、前記のとおり、耐火超微粉が増えると添加
水分が多くなる問題から、それには自ずと限度がある。
これに対して、耐火超微粉に加えて消石灰を配合する
と、添加水分量を増やすことなく耐火超微粉の緩衝作用
を向上させることができるから、耐食性を損なうことな
く接着強度を向上できる。
【0020】消石灰の配合割合は、骨材 100wt%に対
する外掛けで 0.1wt%未満では接着性向上の効果がな
く、 5wt%を超えると結合剤の硬化速度が過多となっ
て付着性の低下を招く。結合剤は、具体的な材質および
割合ともに従来材質と特に変わりない。例えばリン酸
塩、ケイ酸塩、アルミナセメント、ポルトランドセメン
トなどを使用できる。割合は、骨材 100wt%に対する
外掛けで、例えば 1〜10wt%とする。
する外掛けで 0.1wt%未満では接着性向上の効果がな
く、 5wt%を超えると結合剤の硬化速度が過多となっ
て付着性の低下を招く。結合剤は、具体的な材質および
割合ともに従来材質と特に変わりない。例えばリン酸
塩、ケイ酸塩、アルミナセメント、ポルトランドセメン
トなどを使用できる。割合は、骨材 100wt%に対する
外掛けで、例えば 1〜10wt%とする。
【0021】さらに、本発明の効果を損なわない範囲で
あれば、吹付材の使用条件に合わせて、例えば、解こう
剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、金属粉、金属ファイバ
−、有機ファイバ−、鉱物ファイバ−、無機ファイバ−
などを添加してもよい。
あれば、吹付材の使用条件に合わせて、例えば、解こう
剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、金属粉、金属ファイバ
−、有機ファイバ−、鉱物ファイバ−、無機ファイバ−
などを添加してもよい。
【0022】
【実施例】以下に本発明実施例とその比較例を示す。表
1は、本発明の実施例及び比較例で使用した主な配合物
の化学組成・性状を示したもの、表2は本発明実施例に
係る吹付材の配合組成を示したもの、表3は比較例の配
合組成とその試験結果を示したものである。
1は、本発明の実施例及び比較例で使用した主な配合物
の化学組成・性状を示したもの、表2は本発明実施例に
係る吹付材の配合組成を示したもの、表3は比較例の配
合組成とその試験結果を示したものである。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】表1において、マグネシア・カルシアクリ
ンカーAは、炭酸ガス処理によって表面に炭酸カルシウ
ム層から成る耐消化無機質層を形成したものである。マ
グネシア・カルシアクリンカーBは、リン酸水溶液に浸
漬することにより、表面にリン酸カルシウムおよびリン
酸マグネシウムよりなる耐消化無機質層を形成したもの
である。
ンカーAは、炭酸ガス処理によって表面に炭酸カルシウ
ム層から成る耐消化無機質層を形成したものである。マ
グネシア・カルシアクリンカーBは、リン酸水溶液に浸
漬することにより、表面にリン酸カルシウムおよびリン
酸マグネシウムよりなる耐消化無機質層を形成したもの
である。
【0027】マグネシア・カルシアクリンカーCは、塩
酸水溶液に浸漬してカルシア成分を溶解除去すること
で、表面に酸化マグネシウム層より成る耐消化無機質層
を形成したものである。なお、マグネシア・カルシアク
リンカーCの表面には、酸化マグネシウム以外に、塩酸
水溶液からくる水溶性塩類も同時に付着している。マグ
ネシア・カルシアクリンカーDは、表面に耐消化有機質
層としてピッチを被覆コーティングしたものである。マ
グネシア・カルシアクリンカーEは、表面に耐消化層を
有していないクリンカーである。
酸水溶液に浸漬してカルシア成分を溶解除去すること
で、表面に酸化マグネシウム層より成る耐消化無機質層
を形成したものである。なお、マグネシア・カルシアク
リンカーCの表面には、酸化マグネシウム以外に、塩酸
水溶液からくる水溶性塩類も同時に付着している。マグ
ネシア・カルシアクリンカーDは、表面に耐消化有機質
層としてピッチを被覆コーティングしたものである。マ
グネシア・カルシアクリンカーEは、表面に耐消化層を
有していないクリンカーである。
【0028】試験は、いずれもアルミナ−スピネル質キ
ャスタブル耐火物の成形体に対し、室温下において乾式
ガンを使用して吹付けたのものについて行った。各試験
方法は次の通りである。 耐消化性;成形体への付着体から40×40×160 mmのピ
ースを切出し、オートクレーブ装置を用いて3気圧2時
間処理し、線変化率を測定した。
ャスタブル耐火物の成形体に対し、室温下において乾式
ガンを使用して吹付けたのものについて行った。各試験
方法は次の通りである。 耐消化性;成形体への付着体から40×40×160 mmのピ
ースを切出し、オートクレーブ装置を用いて3気圧2時
間処理し、線変化率を測定した。
【0029】接着強度;昇温速度6℃/min、1000℃
加熱下で母材に対する接着強度を試験した。 耐食性;転炉スラグと鋼を侵食剤とした1650℃×3時間
の回転侵食試験を行った。 実機試験;アルミナ−スピネル質不定形耐火物で内張り
された 250t溶鋼取鍋に対し、スラグライン部を中心と
した吹付け補修を行った。
加熱下で母材に対する接着強度を試験した。 耐食性;転炉スラグと鋼を侵食剤とした1650℃×3時間
の回転侵食試験を行った。 実機試験;アルミナ−スピネル質不定形耐火物で内張り
された 250t溶鋼取鍋に対し、スラグライン部を中心と
した吹付け補修を行った。
【0030】表2のとおり、本発明実施例による吹付材
はいずれも耐消化性、接着強度、付着性および耐食性の
効果を兼ね備えている。その結果、実機試験のとおり、
耐用性が格段に向上している。これに対し、耐火超微粉
を使用しない比較例2は、耐消化性および接着強度に劣
る。比較例1と比較例3は耐火超微粉(溶融シリカ、焼
結マグネシア超微粉)を配合しているが、使用している
耐火超微粉の比表面積が小さいため、耐消化性および接
着強度に劣る。
はいずれも耐消化性、接着強度、付着性および耐食性の
効果を兼ね備えている。その結果、実機試験のとおり、
耐用性が格段に向上している。これに対し、耐火超微粉
を使用しない比較例2は、耐消化性および接着強度に劣
る。比較例1と比較例3は耐火超微粉(溶融シリカ、焼
結マグネシア超微粉)を配合しているが、使用している
耐火超微粉の比表面積が小さいため、耐消化性および接
着強度に劣る。
【0031】耐消化層として有機質のピッチで被覆した
マグネシア・クリンカーDを使用した比較例4は、耐火
超微粉及び消石灰を含有しているが耐食性に劣る。耐消
化層を有していないマグネシア・カルシアクリンカーE
を使用した比較例5は、耐火超微粉と消石灰を含んでい
ても、耐消化性および接着強度に劣る。比較例6は消石
灰を添加しておらず、耐火超微粉を含んでいても耐消化
性および接着強度に劣る。
マグネシア・クリンカーDを使用した比較例4は、耐火
超微粉及び消石灰を含有しているが耐食性に劣る。耐消
化層を有していないマグネシア・カルシアクリンカーE
を使用した比較例5は、耐火超微粉と消石灰を含んでい
ても、耐消化性および接着強度に劣る。比較例6は消石
灰を添加しておらず、耐火超微粉を含んでいても耐消化
性および接着強度に劣る。
【0032】マグネシア・カルシアクリンカーを含まず
にマグネシアクリンカーのみを骨材とした比較例7は、
耐食性に劣る。耐火超微粉の添加量が多過ぎる比較例8
と消石灰の添加量が多すぎる比較例9は、いずれも付着
性に劣っている。
にマグネシアクリンカーのみを骨材とした比較例7は、
耐食性に劣る。耐火超微粉の添加量が多過ぎる比較例8
と消石灰の添加量が多すぎる比較例9は、いずれも付着
性に劣っている。
【0033】
【発明の奏する効果】以上の説明より明らかな通り、マ
グネシア・カルシアクリンカーを配合した本発明の吹付
材は、冷間吹付けによる補修工事においても十分な耐消
化性を示し、被補修面に対する優れた接着強度が得られ
る。その結果、マグネシア・カルシアクリンカーがもつ
耐スラグ浸潤性および熱間強度の効果がいかんなく発揮
され、優れた補修効果を得ることができる。
グネシア・カルシアクリンカーを配合した本発明の吹付
材は、冷間吹付けによる補修工事においても十分な耐消
化性を示し、被補修面に対する優れた接着強度が得られ
る。その結果、マグネシア・カルシアクリンカーがもつ
耐スラグ浸潤性および熱間強度の効果がいかんなく発揮
され、優れた補修効果を得ることができる。
【0034】もとより、本願発明の吹付材は熱間吹付け
工法にも使用することができ、従って、補修条件は熱間
・冷間を問わないから、マグネシア・カルシアクリンカ
ーを使用した吹付材の用途の拡大を図ることができる。
工法にも使用することができ、従って、補修条件は熱間
・冷間を問わないから、マグネシア・カルシアクリンカ
ーを使用した吹付材の用途の拡大を図ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 角一 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内 (72)発明者 安田 尚俊 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内 (72)発明者 竹内 公彦 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】CaOが10〜70wt%、MgOが30〜85w
t%でMgO+CaOが95wt%以上の化学成分を有
し、かつ、表面に耐消化無機質層を有するマグネシア・
カルシアクリンカー 5〜90wt%を含む塩基性耐火原料
主材の骨材100wt%に、平均粒径 7μm以下で比表面
積10m2 /g以上の耐火超微粉を外掛け0.1 〜10wt
%、消石灰を外掛け0.1 〜5 wt%および結合剤を配合
した塩基性質吹付材。 - 【請求項2】前記耐消化無機質層が炭酸カルシウム、リ
ン酸カルシウム、リン酸マグネシウムまたは酸化マグネ
シウムより選ばれる1種以上である「請求項1」に記載
の塩基性質吹付材。 - 【請求項3】前記耐火超微粉が無定形シリカおよび/ま
たは軽焼マグネシアである「請求項1」または「請求項
2」に記載の塩基性質吹付材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7327271A JPH09165271A (ja) | 1995-12-15 | 1995-12-15 | 塩基性質吹付材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7327271A JPH09165271A (ja) | 1995-12-15 | 1995-12-15 | 塩基性質吹付材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09165271A true JPH09165271A (ja) | 1997-06-24 |
Family
ID=18197263
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7327271A Withdrawn JPH09165271A (ja) | 1995-12-15 | 1995-12-15 | 塩基性質吹付材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09165271A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006016887A1 (en) * | 2004-07-12 | 2006-02-16 | Specialty Minerals (Michigan) Inc. | High durability refractory composition |
-
1995
- 1995-12-15 JP JP7327271A patent/JPH09165271A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006016887A1 (en) * | 2004-07-12 | 2006-02-16 | Specialty Minerals (Michigan) Inc. | High durability refractory composition |
JP2008505839A (ja) * | 2004-07-12 | 2008-02-28 | スペシャルティ ミネラルズ (ミシガン) インク. | 高耐性耐火組成物 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030304 |