JPH09160552A - 楽音処理方法及び装置 - Google Patents

楽音処理方法及び装置

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JPH09160552A
JPH09160552A JP8271639A JP27163996A JPH09160552A JP H09160552 A JPH09160552 A JP H09160552A JP 8271639 A JP8271639 A JP 8271639A JP 27163996 A JP27163996 A JP 27163996A JP H09160552 A JPH09160552 A JP H09160552A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エフェクト処理とその他の処理とを同一のマ
イクロプロセッサで実行させる場合の際のマイクロプロ
セッサ資源の有効な配分を図った方法の提供。 【解決手段】 その他の処理に要する演算量が多い場合
には、該演算量が少ない場合と比較して、エフェクト処
理の内容を低いグレードに設定することにより、エフェ
クト処理に要する演算量が少なくなるので、その他の処
理のためにマイクロプロセッサの演算能力が多く割り当
てられる。他方、その他の処理に要する演算量が少ない
場合には、該演算量が多い場合と比較して、エフェクト
処理の内容を高いグレードに設定することにより、楽音
信号に高度なエフェクトが付与される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、楽音信号に効果
を付与するエフェクト処理の技術分野に属し、特に、エ
フェクト処理とその他の処理とを同一のマイクロプロセ
ッサに実行させる場合の際のマイクロプロセッサ資源の
有効な配分を図ったものに関する。
【0002】
【従来の技術】今日の電子楽器には、DSP(ディジタ
ルシグナルプロセッサ)のような、楽音信号に対して所
定または所望の効果(例えば、リバーブのような遅延系
の効果等)を付与するエフェクト処理を実行するマイク
ロプロセッサが、広く採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】こうしたマイクロプロ
セッサに、エフェクト処理のみを実行させ、その他の処
理を実行させない場合には、マイクロプロセッサ資源を
すべてエフェクト処理のために利用できる。しかし、エ
フェクト付与処理とその他の処理とを並行して実行させ
たり、所定時間内にエフェクト付与処理とその他の処理
との両方を実行させたりする場合には、その他の処理に
要する演算量が時間的に変化することにより、エフェク
ト処理に要する演算量とその他の処理に要する演算量と
の合計がマイクロプロセッサの演算能力を上回ってしま
うことや、逆に、演算量の合計が演算能力を大きく下回
ってしまってマイクロプロセッサの演算能力が十分に活
かされないことがあった。
【0004】この発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、エフェクト処理とその他の処理とを同一のマイクロ
プロセッサで実行させる場合の際のマイクロプロセッサ
資源の有効な配分を図った方法及び装置を提供しようと
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第1の楽
音処理方法は、供給された楽音信号に効果を付与するエ
フェクト処理と、その他の処理とを同一のマイクロプロ
セッサで実行する楽音処理方法であって、前記その他の
処理に要する演算量に応じて、前記エフェクト処理の内
容を制御する第1のステップと、供給された楽音信号に
対し、前記第1のステップで制御した内容で前記エフェ
クト処理を実行する第2のステップとを含んだことを特
徴としている。
【0006】また、この発明に係る第1の楽音処理装置
は、供給された楽音信号に効果を付与するエフェクト処
理と、その他の処理とを実行する処理手段と、前記その
他の処理に要する演算量に応じて、前記処理手段が実行
する前記エフェクト処理の内容を制御する制御手段とを
具えたことを特徴としている。
【0007】その他の処理に要する演算量が時間的に変
化すると、エフェクト処理の内容がその演算量に応じて
制御され、制御された内容でエフェクト処理が実行され
る。すなわち、例えばその他の処理に要する演算量が比
較的多い場合には、エフェクト処理の内容を低いグレー
ドに設定するような制御がなされることにより、低いグ
レードの内容でエフェクト処理が実行される。したがっ
て、エフェクト処理に要する演算量が少なくなるので、
その他の処理のためにマイクロプロセッサの演算能力を
多く割り当てることができる。他方、例えばその他の処
理に要する演算量が比較的少ない場合には、エフェクト
処理の内容を高いグレードに設定するような制御がなさ
れることにより、高いグレードの内容でエフェクト処理
が実行される。したがって、楽音信号に高度なエフェク
トが付与される。このようにして、マイクロプロセッサ
資源の有効な配分が図られる。
【0008】次に、この発明に係る第2の楽音処理方法
は、供給された楽音信号に効果を付与するエフェクト処
理と、その他の処理とを同一のマイクロプロセッサで実
行する楽音処理方法であって、前記エフェクト処理のグ
レードを選択的に指定する第1のステップと、供給され
た楽音信号に対し、前記第1のステップで指定されたグ
レードに対応する内容で前記エフェクト処理を実行する
第2のステップとを含んだことを特徴としている。
【0009】また、この発明に係る第2の楽音処理装置
は、供給された楽音信号に効果を付与するエフェクト処
理と、その他の処理とを実行する処理手段と、前記エフ
ェクト処理のグレードを選択的に指定するための操作子
手段とを具え、前記処理手段は前記操作子手段により指
定されたグレードに対応する内容で前記エフェクト処理
を実行することを特徴としている。
【0010】演奏者がエフェクト処理のグレードを選択
的に指定すると、そのグレードに対応する内容でエフェ
クト処理が実行されることにより、楽音信号に効果が付
与される。したがって、例えば、上記第1の楽音処理方
法及び装置におけるように、その他の処理に要する演算
量に応じて演奏者がグレードを指定することや、あるい
は、効果を付与された演奏音を実際に聴きながら演奏者
がグレードを随時調整することによって、やはりマイク
ロプロセッサ資源の有効な配分が図られる。
【0011】次に、この発明に係る第3の楽音処理方法
は、供給された楽音信号に効果を付与するエフェクト処
理と、その他の処理とを同一のマイクロプロセッサで実
行する楽音処理方法であって、供給された楽音信号の音
量レベルを検出する第1のステップと、前記音量レベル
が所定の値以上である場合、前記楽音信号に対して前記
エフェクト処理を実行し、他方、前記音量レベルが前記
所定の値未満の場合、前記楽音信号に対する前記エフェ
クト処理を省略する第2のステップとを含んだことを特
徴としている。
【0012】また、この発明に係る第3の楽音処理装置
は、供給された楽音信号の音量レベルを検出する検出手
段と、前記楽音信号に効果を付与するエフェクト処理
と、その他の処理とを実行する処理手段と、前記検出手
段によって検出された音量レベルが所定の値未満である
場合、前記エフェクト処理の実行を省略することを前記
処理手段に指示する指示手段とを具えたことを特徴とし
ている。
【0013】楽音信号が供給されると、その楽音信号の
音量レベルが検出され、検出した音量レベルが所定の値
未満の場合には、その楽音信号に対するエフェクト処理
が省略される。したがって、音量レベルが所定の値未満
の場合(例えば、非発音時のように音量レベルがゼロあ
るいは非常に小さい値の場合)には、エフェクト処理の
ためにマイクロプロセッサの演算能力を浪費することな
く、その他の処理のためにマイクロプロセッサの演算能
力をすべて割り当てることができる。これにより、やは
りマイクロプロセッサ資源の有効な配分が図られる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発
明の実施の形態を詳細に説明する。以下の説明では、ハ
ードウェアとしての音源LSIとDSPとに替えて、楽
音信号を生成する楽音生成処理を記述したコンピュータ
プログラムと、エフェクト処理を記述したコンピュータ
プログラムとの両方を、CPU(セントラルプロセッシ
ングユニット)に実行させるようにしたものにこの発明
を適用している。ここでは、このような楽音生成処理方
式とエフェクト処理方式とを総称して、CPU音源ある
いはソフトウェア音源と呼ぶことにする。
【0015】図1は、この発明を適用したソフトウェア
音源を搭載した電子楽器18の全体構成ブロック図であ
る。この電子楽器18は、例えばパーソナルコンピュー
タベースで構成されており、演奏者の演奏に応じて他の
MIDI楽器(図示せず)から出力されるMIDI形式
の演奏情報に基づき、楽音生成処理(該MIDI情報が
指示するピッチと音色等の楽音特性を持つ楽音波形デー
タを生成する処理)及びエフェクト処理(該MIDI情
報が指示する又はパネル操作によって指示された絵ふぇ
くとを該楽音に付与する処理)をパーソナルコンピュー
タのCPU1に実行させるコンピュータミュージックシ
ステムである。
【0016】CPU1には、MIDI楽器に接続される
MIDIのインターフェース2,ROM(リードオンリ
ーメモリ)3,RAM(ランダムアクセスメモリ)4,
タイマ5,キーボード6,ディスプレイ7,ハードディ
スク装置8,及びDMA(ダイレクトメモリアクセス)
回路9が、データ及びアドレスバス10を介して接続さ
れている。ハードディスク装置8には、演奏情報に応じ
て読み出されて適宜加工される音色データ(例えば、P
CM方式で記録した波形データ等)が記録されている。
RAM4には、生成されて効果を付与された楽音信号を
一時的に記憶させるための記憶領域等が設けられてい
る。
【0017】DMA回路9は、RAM4に一時記憶され
た楽音信号を、D/A(ディジタル/アナログ)変換器
11の再生サンプリング周波数(一例として48kHz
とする)に合わせてダイレクトメモリアクセス方式で1
サンプルずつ順次RAM4から読み出してD/A変換器
11に送る再生処理を実行するものである。DMA回路
9は、一例として、128サンプルの楽音信号を単位と
してこの再生処理を実行する。DMA回路9は、各単位
の楽音信号に対する再生処理を開始する毎に、所定のフ
ラグを立てるようになっている。D/A変換器11でア
ナログ信号に変換された楽音信号は、サウンドシステム
12に供給されて音響的に発音される。
【0018】また、ハードディスク8には、波形データ
に限らず、自動演奏データやコード進行データ等の各種
データを記憶していてもよく、更に前記動作プログラム
を記憶するようにしてもよい。前記ROM3に前記動作
プログラムを記憶せずに、ハードディスク8に該動作プ
ログラムを記憶させておき、それをRAM4に読み込む
ことにより、ROM3に動作プログラムを記憶したとき
と同様の動作をCPU1に行わせることができる。この
ようにすると、動作プログラムの追加やバージョンアッ
プ等が容易に行える。着脱自在な外部記録媒体の1つと
して、CD−ROM(コンパクト・ディスク)13を使
用してもよく、このCD−ROM13には上記と同様に
自動演奏データやコード進行データや楽音波形データ等
の各種データおよび任意の動作プログラムを記憶してい
てよい。CD−ROM13に記憶されている動作プログ
ラムや各種データは、CD−ROMドライブ14によっ
て読み出され、ハードディスク8に転送記憶させること
ができる。これにより、動作プログラムの新規のインス
トールやバージョンアップを容易に行うことができる。
勿論、外部記録媒体として使用できるのは、CD−RO
Mに限らず、フロッピーディスク、光磁気ディスク(M
O)等適宜のものを使用できる。
【0019】更に、通信インタフェース15をバス10
に接続し、該通信インタフェース15を介してLAN
(ローカルエリアネットワーク)やインターネット、電
話回線等の通信ネットワーク16に接続できるように
し、該通信ネットワーク16を介して適宜のサーバコン
ピュータ17と接続されるようにしてもよい。これによ
り、ハードディスク8内に動作プログラムや各種データ
が記憶されていないような場合、サーバコンピュータ1
7から該動作プログラムや各種データを受入れて該ハー
ドディスク8内にこれらをダウンロードすることができ
る。その場合、クライアントとなる電子楽器18より、
通信インタフェース15および通信ネットワーク16を
介してサーバコンピュータ17に動作プログラムや各種
データのダウンロードを要求するコマンドを送信する。
サーバコンピュータ17は、このコマンドを受け、要求
された動作プログラムやデータを、通信ネットワーク1
6を介して電子楽器18へと配信する。電子楽器18で
は、通信インタフェース15を介してこれらの動作プロ
グラムやデータを受信して、ハードディスク8にこれら
を蓄積することにより、ダウンロードが完了する。
【0020】なお、本発明の実施例に係る電子楽器18
は、市販のパーソナルコンピュータを使用して、これに
本発明に対応する動作プログラムや各種データをインス
トールすることにより実現するようにしてもよい。その
場合には、本発明に対応する動作プログラムや各種デー
タを、CD−ROMやフロッピーディスク等の、パーソ
ナルコンピュータが読み込むことのできる記憶媒体、に
記憶させた状態で、ユーザに提供する。そのパーソナル
コンピュータがLAN等の通信ネットワークに接続され
ている場合には、上述と同様に、該通信ネットワークを
介して、動作プログラムや各種データを該パーソナルコ
ンピュータに提供してもよい。
【0021】図2は、ソフトウェア音源の基本原理を示
した図である。CPU1は、所定の時間長の区間を単位
として、各区間内に入力したMIDIインタフェース2
からの演奏情報に基づき、それぞれ当該区間の次の区間
に、同時に生成すべき楽音数に応じた発音チャンネル数
での楽音生成処理と、生成した楽音信号に対するエフェ
クト処理とを実行する。DMA回路9は、こうして各区
間毎に生成されて効果を付与された楽音信号を単位とし
て、それぞれ当該区間の次の区間に再生処理を実行す
る。(例えば、時刻T1からT2までの区間に入力した
演奏情報に基づき、時刻T2からT3までの区間に楽音
生成処理を実行し、時刻T3からT4までの区間に再生
処理を実行する。)したがって、1区間の長さは、DM
A回路9が再生処理の1単位とするサンプル数と再生サ
ンプリング周期との積であり、前述の例では128÷4
8000≒0.0027秒となる。
【0022】そして、再生処理は、楽音を切れ目なく発
音させるために各区間毎に途切れることなく連続して実
行する必要があるので、CPU1は、DMA回路9が各
区間で再生処理を実行する128サンプルの楽音信号に
ついては、必ずその直前の区間内に楽音生成処理及びエ
フェクト処理を完了している必要がある。しかし、楽音
生成処理に要する演算量は、入力する演奏情報に応じて
発音チャンネル数が時間的に変化すること等により、区
間毎に大きく変動するという特徴を有している。(これ
に対し、エフェクト処理に要する演算量は、各発音チャ
ンネルで生成した信号を累算した信号に対して実行する
ので、発音チャンネル数によって変動することはな
い。)また、CPU1は、このソフトウェア音源の処理
を、他のアプリケーションソフトの処理と並行してマル
チタスクで実行しなければならない。
【0023】以上がソフトウェア音源の基本原理であ
る。但し、ソフトウェア音源の動作タイミングは、厳密
に図2に示したとおりである必要はない。すなわち、例
えば、連続する所定数の区間内に入力した演奏情報に基
づく楽音生成処理及びエフェクト処理を、1つの区間に
おいてまとめて実行するようにしてもよく、更に、上記
所定数の大きさを、時間の経過に伴って変化させるよう
にしてもよい。この電子楽器は、このような他のアプリ
ケーションソフトの処理に要する演算量や、楽音生成処
理に要する演算量に応じて、エフェクト処理の内容を制
御することにより、CPU資源の有効な配分を図りつ
つ、こうしたソフトウェア音源における楽音生成処理及
びエフェクト処理を実行しようとするものである。次
に、この楽音生成処理の一例を、図3以下を参照して説
明することにする。
【0024】図3は、CPU1の実行するメインルーチ
ンを示すフローチャートである。メインルーチンでは、
所定の初期設定(ステップS1)の後、RAM4内の入
力バッファに受信データが記憶されているか否かを判断
し(ステップS2)、記憶されていれば、受信データ処
理を実行する(ステップS3)。受信データ処理には、
例えば、MIDIインタフェース2からのノートオン信
号に基づくノートオンイベント処理や、MIDIインタ
フェース2からのノートオフ信号に基づくノートオフイ
ベント処理等が含まれる。
【0025】続いて、キーボード6上に設けられたパネ
ルスイッチの操作イベントの有無を判断し(ステップS
4)、操作イベントがあれば、パネルスイッチイベント
処理を実行する(ステップS5)。パネルスイッチイベ
ント処理には、例えば、音色選択スイッチの操作に基づ
く音色選択処理や、エフェクトスイッチの操作に基づく
エフェクトの種類の選択処理等が含まれる。続いて、楽
音信号を生成する「音源処理」(ステップS6)と、そ
の他の処理(ステップS7)とを実行し、以下、ステッ
プS2乃至ステップS7の処理を繰り返す。
【0026】ステップS3の受信データ処理は、MID
Iインタフェース2からの受信データが入力バッファに
書き込まれたことを条件としてステップS2でイエスと
判断されて開始されるが、この書込みは、MIDI2か
らの受信データが発生する都度に、図4に示す「最優先
の割込み処理」を実行することによって行なわれる。こ
の割込み処理では、受信データが発生すると、最初のス
テップS11で、当該受信データを取り込む。続くステ
ップS12では、取り込んだ受信データを、現在の時刻
を示す時刻データとともにRAM4内の入力バッファに
書き込む。時刻データを書き込む理由は、受信データの
入力バッファへの書込みは、受信データが発生する都度
直ちに行なうが、入力バッファに書き込んだ受信データ
に対するメインルーチンでの処理は、直ちに実行するわ
けではないので、いつ発生した受信データかを識別でき
るようにしておくことにある。図5は、入力バッファの
記憶領域の一例を示す。この例では、受信データを1件
毎に時刻データとともに書き込む領域である「データ
1」,「データ2」,「データ3」…と、受信データの
件数を書き込む領域である「イベント数」とが設けられ
ている。
【0027】次に、受信データ処理のうちのノートオン
イベント処理の一例を、図6に示す。この処理では、最
初のステップS21で、入力バッファから、ノートナン
バ,ベロシティ及び音色パートを示すデータと時刻デー
タとを読み出してそれぞれ所定のレジスタに格納する。
続くステップS22では、上記ノートナンバに対応する
楽音信号を発生すべき発音チャンネルの割当てを行な
う。続くステップS23では、パネルスイッチイベント
処理(図3のステップS5)のうちの音色選択処理によ
って予め上記音色パートについて選択された音色データ
をRAM4の音色データ領域から読み出し、その音色デ
ータを上記ノートナンバ及びベロシティに応じて加工す
る。図7は、ハードディスク装置9から読み出されてR
AM4の音色データ領域に記憶された音色データの内容
の一例を示す。この例では、音色データには、所定音域
毎の複数周期分の波形データ,エンベロープを制御する
データ,タッチを制御するデータ及びその他のデータが
含まれている。
【0028】続くステップS24では、加工した音色デ
ータ(楽音信号生成アルゴリズムを示すデータ及びピッ
チを制御するデータを含む)を、時刻データとともにR
AM4内の当該発音割当てされた発音チャンネル用の音
源レジスタに書き込む、最後にステップS25で、ノー
トオンを示すデータを当該音源レジスタに書き込む。そ
してリターンする。図8は、音源レジスタの記憶領域の
一例を示す。この例では、32チャンネル分の音源レジ
スタが用意されており、各音源レジスタに、ノートナン
バ,波形データ,エンベロープ制御データ、ノートオ
ン,時刻データ及びその他データを書き込む領域と、ワ
ーキングエリアとが設けられている。その他のデータに
は、パネルスイッチイベント処理で選択されたエフェク
トのアルゴリズムを示すデータ等が含まれる。
【0029】次に、「音源処理」(図3のステップS
6)の一例を、図9に示す。この処理では、最初のステ
ップS31で、各発音チャンネル用の音源レジスタ(図
8参照)の記憶内容をチェックし、続くステップS32
で、いずれかの発音チャンネル用の音源レジスタに新規
の書込みがあったか否かを判断する。ノートオンイベン
ト処理(図6)等が実行されたことによって新規の書込
みが行なわれた音源レジスタがあれば、ステップS33
に進み、その音源レジスタ内のデータを、現在の区間の
次の区間での楽音生成処理及びエフェクト処理の対象と
して予約する。そしてステップS34に進む。他方、新
規の書込みがなければ、ステップS32からそのままス
テップS34に進む。
【0030】ステップS34では、DMA回路10が1
28サンプル分の楽音信号に対する再生処理を開始する
毎(すなわち、各区間からその次の区間に移行した毎)
に立てる前述のフラグをチェックする。続いてステップ
S35では、フラグが立っているか否か(すなわち、新
たな区間に移行したか否か)を判断する。
【0031】フラグが立っていなければ、そのままリタ
ーンし、フラグが立つまで、メインルーチンのステップ
S7,S2乃至S5の処理(図3)と「音源処理」のス
テップS31乃至S35の処理とを繰り返す。フラグが
立つと、ステップS35からステップS36に進み、当
該区間でのソフトウェア音源の処理に要する最大演算量
(楽音生成処理に要する演算量と、パネルスイッチイベ
ント処理(図3)で選択された種類のエフェクト処理の
内容を最も高いグレードに設定した場合にそのエフェク
ト処理に要する演算量との合計)を算出する。この最大
演算量は、一例として、ステップS33で予約を行なっ
た発音チャンネルの数に比例する量として算出するよう
にすればよい。そして、算出した最大演算量と、1区間
においてソフトウェア音源の処理のために許容される演
算量とに応じて、一部の発音チャンネルの発音の制御
(最大演算量が許容演算量を上回る場合に、一部の発音
チャンネルの発音を消音すること)と、エフェクト処理
の内容の制御との、いずれか一方または両方を行なう。
【0032】ところで、エフェクト処理は、楽音生成処
理と比較して、処理内容を低いグレードに設定しても聴
感上の影響が生じる度合いが小さいという利点があるの
で、その点からは、エフェクト処理の内容の制御を行な
うことが好適である。したがって、ここでは、エフェク
ト処理の内容の制御のみを行なうものとして説明を進め
る。但し、エフェクト処理の内容の制御には、処理内容
が増加または減少されるまでに或る程度の移行時間がか
かってしまうのに対し、発音チャンネルの制御のほうに
は、直ちに消音処理を完了することができるという利点
がある。そこで、緊急に制御を行なう必要がある場合に
は、発音チャンネルの発音の制御のほうを優先的に行な
うべきである。
【0033】尚、ここでは、1区間においてソフトウェ
ア音源の処理のために許容される演算量は、CPU1の
演算能力と、CPU1がソフトウェア音源の処理と並行
して実行するアプリケーションソフトの処理に要する演
算量とに応じて決定するものとする。したがって、アプ
リケーションソフトの種類が異なれば許容演算量も異な
ってくる。また、アプリケーションソフトの種類が同じ
であっても、必要な演算量は時間的に変動することがあ
るので、許容演算量を幾分少なめに設定して余裕をもた
せておくことが望ましい。
【0034】但し、別の例として、この許容演算量を、
CPU1の演算能力の範囲内で演奏者が任意に設定でき
るようにしてもよい。更に、演奏の進行に応じて許容演
算量が時間的に変化するように、許容演算量の変化特性
を演奏者が任意に設定できるようにしてもよい。
【0035】図10は、エフェクト処理の内容の制御を
概念的に説明するために、許容演算量と、ソフトウェア
音源の処理に要する演算量と、楽音生成処理に要する演
算量と、エフェクト処理に要する演算量との関係を示し
た図である。ソフトウェア音源の処理に要する最大演算
量Z(楽音生成処理に要する演算量Yと、エフェクト処
理の内容を最も高いグレードに設定した場合にエフェク
ト処理に要する演算量B1との合計)が、ソフトウェア
音源の処理のための許容演算量Aを上回っていない範囲
(X0からX1までの範囲)では、エフェクト処理のグ
レードを最も高く設定する。
【0036】楽音生成処理に要する演算量Yが多いため
に最大演算量Zが許容演算量Aを上回っているが、Zと
Aとの差が、B1とエフェクト処理の内容を2番目に高
いグレードに設定した場合にエフェクト処理に要する演
算量B2との差より大きくない範囲(X1からX2まで
の範囲)では、エフェクト処理の内容を2番目に高いグ
レードに設定する。これにより、ソフトウェア音源の処
理に要する演算量が Z−(B1−B2)≦Z−(Z−A)=A となり、許容演算量A以内に収まるようになる。
【0037】他方、最大演算量Zが許容演算量Aを上回
っており、ZとAとの差が、B1とB2との差より大き
いが、B1とエフェクト処理の内容を3番目に高いグレ
ードに設定した場合にエフェクト処理に要する演算量B
3との差より大きくない範囲(X2以降)では、エフェ
クト処理の内容を3番目に高いグレードに設定する。こ
れにより、ソフトウェア音源の処理に要する演算量が Z−(B1−B3)≦Z−(Z−A)=A となり、許容演算量A以内に収まるようになる。このよ
うにして、いずれの範囲においても、ソフトウェア音源
の処理に要する演算量が、許容演算量A以内に収まるよ
うになる。
【0038】次に、エフェクト処理の内容の制御の具体
的態様を、遅延系のエフェクトであるリバーブを例にと
って説明する。図11は、リバーブの全体のアルゴリズ
ムを示す。楽音生成処理によって生成された楽音信号を
記憶したバッファXL,XR,XX(XLは、エフェク
ト処理を施さずにステレオの左側の系列に送る楽音信号
用のバッファであり、XRは、エフェクト処理を施さず
にステレオの右側の系列に送る楽音信号用のバッファで
あり、XXは、エフェクト処理を施すべき楽音信号用の
バッファである)のうち、バッファXXから読み出した
楽音信号SXについて、最初に、アーリーリフレクショ
ンER1の処理を施すことにより、所定時間遅延した初
期反射音を求め(101)、該初期反射音を、バッファ
XL,XRから読み出した楽音信号SL,SRにそれぞ
れ加算する(102,103)。続いて、楽音信号SX
について更にアーリーリフレクションER2の処理を施
すことにより、再び初期反射音を求め(104)、該初
期反射音を、再び楽音信号SL,SRにそれぞれ加算す
る(105,106)。
【0039】次に、こうして遅延させた楽音信号SXに
対し、オールパスフィルタAP1及びAP2を通過させ
る処理(107,108)と、相互に遅延時間の異なる
6系統のコムフィルタCF1〜CF6を並列的に通過さ
せる処理(109〜114)とを施す。相互に遅延時間
の異なる複数系統のコムフィルタを並列的に通過させる
ようにしたのは、1系統のコムフィルタを通過させただ
けでは周波数特性が波状になってしまうので、全体とし
て周波数特性を平坦化するためであり、コムフィルタの
系統数が多いほど、この平坦化の度合いが進む。次に、
各コムフィルタCF1〜CF6を通過した楽音信号を、
ミキサMixL,MixRでそれぞれ合成することによ
り、遅延時間間隔の粗い残響音データをそれぞれ形成す
る(115,116)。
【0040】次に、ミキサMixLで形成した残響音デ
ータに対して、コムフィルタCF1〜CF6よりも遅延
時間の短いオールパスフィルタAP3及びAP5を通過
させる処理を施すことにより、遅延時間間隔の密な残響
音データを形成し(117,119)、その残響音デー
タを楽音信号SLに加算する(121)。また、Mix
Rで形成した残響音データに対して、コムフィルタCF
1〜CF6よりも遅延時間の短いオールパスフィルタA
P4及びAP6を通過させる処理を施すことにより、遅
延時間間隔の密な残響音データを形成し(118,12
0)、その残響音データを楽音信号SRに加算する(1
22)。このように楽音信号SL,SRにそれぞれ初期
反射音と残響音とを加算することによって得られた楽音
信号SL’,SR’は、ステレオの左右2系列用の出力
バッファXL’,XR’にそれぞれ書き込まれる。
【0041】ソフトウェア音源の処理に要する最大演算
量(楽音生成処理に要する演算量と、以上のようなアル
ゴリズムの全体を実行する際に要する演算量との合計)
が、ソフトウェア音源の処理のための許容演算量を上回
っていない場合には、ステップS36では、このアルゴ
リズムをすべて実行するように設定する(すなわち、リ
バーブの内容を最も高いグレードに設定する)。他方、
最大演算量が許容演算量を上回っている場合には、アル
ゴリズムの一部のブロックを次のような順序で段階的に
削除していくことにより、リバーブの内容を段階的に低
いグレードに設定していく。
【0042】すなわち、第1段階として、コムフィルタ
CF6のブロック(114)を削除する。それでもまだ
ソフトウェア音源に要する演算量が許容演算量を上回っ
ている場合には、第2段階として、コムフィルタCF5
のブロック(113)を削除する。それでもまだソフト
ウェア音源に要する演算量が許容演算量を上回っている
場合には、第3段階として、オールパスフィルタAP
3,AP4のブロック(117,118)を削除する。
以下同様にして、第4段階として、オールパスフィルタ
AP2のブロック(108)を削除し、第5段階とし
て、アーリーリフレクションER2のブロック(10
4)を削除する。
【0043】この順序は、削除しても聴感上の影響の少
ないブロックの順に削除する(コムフィルタの系統数が
6から5または4に減少しても、周波数特性の平坦化に
とって大きな支障は生じないので、聴感上の影響は少な
い)という観点と、演算量の削減効果の大きいブロック
の順に削除する(オールパスフィルタAP2のブロック
を削除するよりも先にオールパスフィルタAP3,AP
4のブロックを削除したほうが、一度に2つのブロック
を削除できるので演算量の削減効果が大きい)という観
点とから定めたものである。
【0044】他方、上述のようにブロックを削除するこ
とによってリバーブの内容を低いグレードに設定した状
態において、楽音生成処理に要する演算量が少なくなっ
たために、リバーブのグレードが現在よりも高くなって
もソフトウェア音源の処理に要する演算量が許容演算量
を上回らなくなったような場合には、ステップS36で
は、上述の順序とは逆に、削除したブロックを第5段階
から第1段階の順に復活させることにより、リバーブの
内容を段階的に高いグレードに設定していく。
【0045】このように、エフェクト処理の内容の制御
とは、具体的には、エフェクト処理のアルゴリズムの一
部のブロックを段階的に削除したり、逆に、削除したブ
ロックを段階的に復活したりすることにより、エフェク
ト処理の演算量を制御することである。そして、この演
算量の多い状態がグレードの高い状態であり、演算量の
少ない状態がグレードの低い状態である。ここではリバ
ーブを例にとって説明を行なったが、それ以外の種類の
エフェクト(例えばコーラスやフランジャーやフェーザ
ー等)についても、そのアルゴリズムの一部のブロック
を同様に削除または復活することによって演算量を増減
させることができるのはもちろんである。
【0046】尚、ステップS36において、エフェクト
処理のアルゴリズムの一部のブロックを削除した(すな
わち、エフェクト処理の内容をそれまでよりも低いグレ
ードに設定した)場合には、エフェクト処理を実行する
ステップ(後述するステップS41)では、削除したブロ
ックでの動作をいきなり中止するのではなく、エフェク
トのパラメータを変化させてそのブロックでの動作を徐
々に弱めていくようにし、動作を中止しても聴感上の影
響がほとんどない程度にまで動作が十分弱くなった状態
で、動作を中止するようにする。そして、そのブロック
での動作を徐々に弱めていく途中においても、そのブロ
ック以外のブロックでの動作の特性を変化させることに
より、そのブロックでの動作の特性の変化による聴感上
の影響(音量レベルの不自然な変化が聴きとられること
等)を相殺するようにする。
【0047】同様に、ステップS36において、それま
で削除していたブロックを復活した(すなわち、エフェ
クト処理の内容をそれまでよりも高いグレードに設定し
た)場合にも、エフェクト処理を実行するステップで
は、削除していたブロックを初期化した後、エフェクト
のパラメータを変化させてそのブロックでの動作を徐々
に強めていくようにする。
【0048】以上のようにしてステップS36を終了す
ると、次にステップS37に進み、ステップS33で演
算の対象として予約したデータに対して楽音生成処理を
実行することにより、1区間分の楽音信号(128サン
プルの楽音信号)を生成する。
【0049】図12は、楽音生成処理のアルゴリズムの
概要を示した図である。楽音生成処理では、まず、演算
の対象として予約したデータを音源レジスタから読み出
して該データから原波形を生成する処理(201)と、
生成した原波形に対し、フィルタ係数を示す情報に基づ
いてフィルタ演算を行なうことによって音色を制御する
処理(202)と、フィルタ演算を行なった波形に対
し、振幅(音量)を示す情報を乗算することによって振
幅を制御する処理(203)とを、各発音チャンネルに
ついて、エフェクト処理を施さずにステレオの左側の系
列に送る楽音信号用の出力系列と、エフェクト処理を施
さずにステレオの右側の系列に送る楽音信号用の出力系
列と、エフェクト処理を施すべき楽音信号用の出力系列
との合計3つの出力系列(図11参照)別に時分割に実
行する。
【0050】ここで、上記原波形の生成処理では、波形
メモリ方式、周波数変調方式、高調波合成方式等の波形
生成方式を用いて生成を行なう。また、上記フィルタ演
算では、タッチ等の演奏情報や時間経過に従ってフィル
タ係数を変化させ、楽音の音色を制御する。また、上記
振幅制御では、各発音チャンネルの楽音の発音開始から
終了までの音量の時間的変化を制御する音量エンベロー
プに、上記3つの出力系列にそれぞれ対応した比率で重
み付けを行なうことにより3つの音量情報を求め、該3
つの音量情報を順次時分割に入力波形に乗算する。この
比率を適宜調整することにより、ステレオ効果または音
像定位効果を得たり、エフェクトを付与した音の音量を
大きくしたりすることができる。次に、上記各処理によ
って求められた各発音チャンネルの楽音信号を、上記3
つの出力系列別に時分割に累算し、その累算結果をそれ
ぞれバッファXL,XR,XXに記憶させる(20
4)。図13は、バッファXL,XR,XXの記憶領域
の一例を示す。それぞれ、1区間内に生成される128
サンプルの楽音信号を記憶する領域が設けられている。
【0051】図9に戻り、ステップS37に続くステッ
プS38で、当該区間の残り時間内に応じて、その残り
時間内に処理を完了できるエフェクト処理のグレードを
求める。続くステップS39では、ステップS38で求
めたグレードが、ステップS36で設定したグレードよ
りも低いか否かを判断する。低ければ、ステップS40
に進み、エフェクト処理のグレードを、ステップS38
で求めたグレードに設定し直す。そしてステップS41
に進む。他方、ステップS36で設定したグレードより
も低くなければ、そのまま(すなわち、ステップS36
で設定したグレードのまま)ステップS41に進む。こ
うしたエフェクト処理のグレードの見直しを行なう理由
は、ステップS36の終了後、何らかの事情(例えば、
CPU1がソフトウェア音源の処理と並行して実行して
いるアプリケーションソフトの割込み処理等に予想以上
に時間を要したこと)によって、ステップS36で設定
したグレードのままでは当該区間の残り時間内にエフェ
クト処理を完了できなくなくなることもありうると考え
たことにある。
【0052】ステップS41では、バッファXL,X
R,XX(図13参照)から楽音信号を読み出し、該楽
音信号に対し、パネルスイッチイベント処理(図3)で
選択された種類のエフェクトの処理を、ステップS36
で設定したグレード(ステップS40でグレードを設定
し直した場合には、そのグレード)に対応する演算量で
実行する。そして、エフェクト処理を終えた楽音信号
を、ステレオの左右2系列用の出力バッファXL’,X
R’にそれぞれ書き込む。エフェクト処理の具体例は、
ステップS36の説明の際に図11を用いて詳述したと
おりである。このように制御した内容でエフェクト処理
を実行することにより、各区間毎に、ソフトウェア音源
の処理を当該区間内に完了させることができるととも
に、並行して実行しているアプリケーションソフトの処
理も、支障なく実行することができるようになる。最後
のステップS42では、上記出力バッファXL’,X
R’にそれぞれ書き込まれた楽音信号(図11のS
L’,SR’のような楽音信号)を、当該区間の次の区
間で再生処理を実行する対象としてDMA回路9に予約
する。そしてリターンする。この楽音信号に対して、当
該区間の次の区間に、DMA回路9によって前述のよう
な再生処理が実行されることになる。
【0053】このように、他のアプリケーションソフト
の処理に要する演算量や楽音生成処理に要する演算量が
多い区間では、それらの演算量が少ない場合と比較し
て、エフェクト処理の内容が低いグレードに設定される
ことにより、エフェクト処理に要する演算量が少なくな
るので、その他の処理のためにCPU1の演算能力を多
く割り当てることができる。他方、その他の処理に要す
る演算量が少ない区間では、該演算量が多い場合と比較
して、エフェクト処理の内容が高いグレードに設定され
ることにより、楽音信号に高度なエフェクトが付与され
る。これにより、CPU資源の有効な配分が図られる。
特に、同時発音数が減ったときにはエフェクトを付与し
た音が一層聞こえやすくなるので、そのときにエフェク
ト処理の内容が高いグレードに設定されていると、聴感
上の効果が大きい。
【0054】次に、「音源処理」(図3のステップS
6)の別の一例を、図14に示す。この処理は、ステッ
プS51からステップS56の楽音生成処理までは、図
9のステップS36に相当する処理が存在しないことを
除き、図9のステップS31からステップS37の楽音
生成処理までと同じである。そして、ステップS56に
続くステップS57で、ステップS56でバッファXX
に記憶させた楽音信号(エフェクト処理を施すべき楽音
信号)の音量レベルを検出する。続くステップS58で
は、検出した音量レベルが、所定の閾値未満であるか否
かを判断する。この閾値は、一例として、楽音信号の非
発音時のレベル(ゼロあるいは聴感上認識できないよう
な非常に小さい値)に設定するようにする。閾値以上で
あれば、ステップS60に進み、エフェクトスイッチの
操作によって選択されたエフェクト処理を実行する。ス
テップS60で効果を付与した楽音信号を、ステレオの
左右2系列用の出力バッファXL’,XR’にそれぞれ
書き込んで、最後のステップS61で、該出力バッファ
XL’,XR’の波形を当該区間の次の区間で再生処理
を実行する対象としてDMA回路9に予約する。そして
リターンする。
【0055】他方、閾値未満であれば、ステップS59
に進んでエフェクト処理の省略を指示した後、ステップ
S60に進む。ステップS60では、この省略の指示に
応じてエフェクト処理を省略する。これにより、ステッ
プS61では、バッファXL,XRに記憶された効果を
付与しない楽音信号(図11のSL,SRのような楽音
信号)を、そのまま、ステレオの左右2系列用の出力バ
ッファXL’,XR’の楽音信号として、再生処理の対
象としてDMA回路9に予約する。このように、エフェ
クトに入力する楽音信号の音量レベルが所定の閾値未満
である区間(例えば非発音時の区間あるいは非常に小音
量レベルの区間)では、エフェクト処理が省略されるの
で、エフェクト処理のためにCPU1の演算能力を浪費
することなく、CPU1の演算能力をすべて楽音生成処
理及び他のアプリケーションソフトの処理のために割り
当てることができる。これにより、CPU資源の有効な
配分を図ることができる。
【0056】尚、この実施の形態では、「音源処理」の
ステップS36において、ソフトウェア音源の処理に要
する最大演算量と、ソフトウェア音源の処理のために許
容される演算量とに応じて、一部の発音チャンネルの発
音の制御またはエフェクト処理の内容の制御を行なうよ
うにしている。しかし、同ステップにおいて、最大演算
量と許容演算量とに応じて一部の発音チャンネルの楽音
生成処理の内容を制御するようにしてもよい。すなわ
ち、最大演算量が許容演算量を上回っている場合には、
エフェクト処理の内容の制御について図10及び図11
に例示したのと同様にして、一部の発音チャンネルの楽
音生成処理アルゴリズムのブロックを削除することによ
ってその楽音生成処理の内容を段階的に低いグレードに
設定していくようにしてもよい。
【0057】また、この実施の形態では、楽音生成処理
と、該処理によって生成した楽音信号に対するエフェク
ト処理とを、同一のCPUに他のアプリケーションソフ
トの処理と並行して実行させるものにこの発明を適用し
ている。しかし、これに限らず、当該CPU以外から供
給される楽音信号(例えば、コンパクトディスクプレー
ヤ等のオーディオ機器で再生された楽音信号や、マクロ
フォンから入力してアナログ/ディジタル変換した楽音
信号や、音声合成用ソフトウェアで合成した楽音信号
や、別のCPUが楽音生成処理によって生成した楽音信
号等)に対するエフェクト処理を他のアプリケーション
ソフトの処理と並行してCPUに実行させるものにこの
発明を適用してもよい。その場合には、当該CPUは楽
音生成処理を実行しないのであるから、「音源処理」の
ステップS36では、許容演算量とエフェクト処理に要
する演算量自体とを比較してエフェクト処理の内容を制
御するようにする。あるいは逆に、他のアプリケーショ
ンソフトの処理を実行させず、楽音生成処理及びエフェ
クト処理のみを同一のCPUに実行させるものにこの発
明を適用してもよい。その場合には、「音源処理」のス
テップS36における許容演算量は、当該CPUの演算
能力のみから決定するようになる。
【0058】また、この実施の形態では、MIDIから
の受信データに基づき、パーソナルコンピュータのCP
Uに楽音生成処理及びエフェクト処理を実行させるソフ
トウェア音源にこの発明を適用している。しかし、これ
に限らず、電子楽器自体の内部に設けられたCPUに楽
音生成処理及びエフェクト処理を実行させるソフトウェ
ア音源にもこの発明を適用してよいことはもちろんであ
る。その場合には、CPUは、ソフトウェア音源の処理
を、音色エディタやシーケンサ等の処理と並行して実行
しなければならないので、「音源処理」のステップS3
6における許容演算量は、CPU1の演算能力と、これ
ら音色エディタやシーケンサ等の処理に要する演算量と
に応じて決定することになる。
【0059】また、この実施の形態では、ソフトウェア
音源にこの発明を適用している。しかし近年、DSPに
も、エフェクト処理を実行するだけでなくエフェクト処
理とその他の処理とを併せて実行できるもの(汎用DS
P)が出現しているので、そうした汎用DSPにもこの
発明を適用してよいことはもちろんである。
【0060】最後に、この発明の実施態様を幾つか列挙
する。 (a) 前記第1のステップにおけるエフェクト処理の
内容の制御は、エフェクト処理のアルゴリズムの一部の
ブロックを削除することや、削除した前記ブロックを復
活させることを含むものである請求項1に記載の楽音処
理方法。 (b) 前記ブロックの削除は、聴感上の影響の少ない
ブロックの順に行なうものである(a)に記載の楽音処
理方法。 (c) 前記ブロックの削除は、演算量の削減効果の大
きいブロックの順に行なうものである(a)に記載の楽
音処理方法。 (d) 前記第1のステップにおいて削除したブロック
での動作を、前記第2のステップにおいて徐々に弱めて
いくようにするものである(a)乃至(c)のいずれか
に記載の楽音処理方法。 (e) 削除したブロック以外のブロックでの動作の特
性を変化させることにより、削除したブロックでの動作
の特性の変化による聴感上の影響を相殺するものである
(d)に記載の楽音処理方法。
【0061】(f) 前記楽音処理方法は、所定の時間
長の区間を単位として、各区間毎に、同時に生成すべき
楽音数に応じた発音チャンネル数で楽音信号を生成する
楽音生成処理と、該処理によって生成した楽音信号に対
するエフェクト処理とを実行する方法であり、各前記区
間毎に、前記第1のステップ及び前記第2のステップを
実行するものである請求項1または(a)乃至(e)の
いずれかに記載の楽音処理方法。 (g) 前記楽音処理方法は、所定の時間長の区間を単
位として、各区間毎に、同時に生成すべき楽音数に応じ
た発音チャンネル数で楽音信号を生成する楽音生成処理
と、該処理によって生成した楽音信号に対するエフェク
ト処理とを実行する方法であり、各前記区間毎に、前記
第1のステップ及び前記第2のステップを実行するもの
である請求項5に記載の楽音処理方法。
【0062】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る第1の楽
音処理方法及び装置によれば、ソフトウェア音源や汎用
DSPのように、楽音信号に効果を付与するエフェクト
処理とその他の処理とを同一のマイクロプロセッサに実
行させるものにおいて、その他の処理に要する演算量が
比較的多い場合には、その他の処理のためにマイクロプ
ロセッサの演算能力を多く割り当てることができ、他
方、その他の処理に要する演算量が比較的少ない場合に
は、高いグレードの内容でエフェクト処理を実行するこ
とができる。したがって、マイクロプロセッサ資源の有
効な配分を図り、限られた演算量の中で実現可能な最大
限に質の高いエフェクトを楽音に付与することができる
という優れた効果を奏する。
【0063】また、この発明に係る第2の楽音処理方法
及び装置によれば、例えば演奏者が演奏音を実際に聴き
ながらエフェクト処理のグレードを随時調整することが
できるので、第1の楽音処理方法及び装置と同様な効果
が、一層演奏状況に即応した態様で発揮される。また、
この発明に係る第3の楽音処理方法及び装置によれば、
ソフトウェア音源や汎用DSPのように、楽音信号に効
果を付与するエフェクト処理とその他の処理とを同一の
マイクロプロセッサに実行させるものにおいて、非発音
時のように楽音信号の音量レベルが所定値未満であると
きには、エフェクト処理のためにマイクロプロセッサの
演算能力を浪費することなく、その他の処理のためにマ
イクロプロセッサの演算能力をすべて割り当てることが
できる。したがって、やはりマイクロプロセッサ資源の
有効な配分を図ることができるという優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ソフトウェア音源の基本原理を示す図。
【図2】この発明に係るソフトウェア音源を採用した電
子楽器の全体構成処理図。
【図3】CPUの実行するメインルーチンを示すフロー
チャート。
【図4】CPUの実行する割込み処理を示すフローチャ
ート。
【図5】入力バッファの記憶領域の一例を示す図。
【図6】CPUの実行するノートオンイベント処理を示
すフローチャート。
【図7】音色データの内容の一例を示す図。
【図8】音源レジスタの記憶領域の一例を示す図。
【図9】CPUの実行する音源処理の一例を示すフロー
チャート。
【図10】CPUが各処理のために要する演算量の関係
を示す図。
【図11】リバーブのアルゴリズムを示す図。
【図12】楽音生成処理のアルゴリズムの概要を示す
図。
【図13】出力バッファの記憶領域の一例を示す図。
【図14】CPUの実行する音源処理の別の一例を示す
フローチャート。
【符号の説明】
1 CPU 2 MIDI 3 ROM 4 RAM 5 タイマ 6 キーボード 7 ディスプレイ 8 ハードディスク装置 9 DMA回路 10 データ及びアドレスバス 11 D/A変換器 12 サウンドシステム

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 供給された楽音信号に効果を付与するエ
    フェクト処理と、その他の処理とを同一のマイクロプロ
    セッサで実行する楽音処理方法であって、 前記その他の処理に要する演算量に応じて、前記エフェ
    クト処理の内容を制御する第1のステップと、 供給された楽音信号に対し、前記第1のステップで制御
    した内容で前記エフェクト処理を実行する第2のステッ
    プとを含んだ楽音処理方法。
  2. 【請求項2】 供給された楽音信号に効果を付与するエ
    フェクト処理と、その他の処理とを実行する処理手段
    と、 前記その他の処理に要する演算量に応じて、前記処理手
    段が実行する前記エフェクト処理の内容を制御する制御
    手段とを具えた楽音処理装置。
  3. 【請求項3】 供給された楽音信号に効果を付与するエ
    フェクト処理と、その他の処理とを同一のマイクロプロ
    セッサで実行する楽音処理方法であって、 前記エフェクト処理のグレードを選択的に指定する第1
    のステップと、 供給された楽音信号に対し、前記第1のステップで指定
    されたグレードに対応する内容で前記エフェクト処理を
    実行する第2のステップとを含んだ楽音処理方法。
  4. 【請求項4】 供給された楽音信号に効果を付与するエ
    フェクト処理と、その他の処理とを実行する処理手段
    と、 前記エフェクト処理のグレードを選択的に指定するため
    の操作子手段とを具え、前記処理手段は前記操作子手段
    により指定されたグレードに対応する内容で前記エフェ
    クト処理を実行する楽音処理装置。
  5. 【請求項5】 供給された楽音信号に効果を付与するエ
    フェクト処理と、その他の処理とを同一のマイクロプロ
    セッサで実行する楽音処理方法であって、 供給された楽音信号の音量レベルを検出する第1のステ
    ップと、 前記音量レベルが所定の値以上である場合、前記楽音信
    号に対して前記エフェクト処理を実行し、他方、前記音
    量レベルが前記所定の値未満の場合、前記楽音信号に対
    する前記エフェクト処理を省略する第2のステップとを
    含んだ楽音処理方法。
  6. 【請求項6】 供給された楽音信号の音量レベルを検出
    する検出手段と、 前記楽音信号に効果を付与するエフェクト処理と、その
    他の処理とを実行する処理手段と、 前記検出手段によって検出された音量レベルが所定の値
    未満である場合、前記エフェクト処理の実行を省略する
    ことを前記処理手段に指示する指示手段とを具えた楽音
    処理装置。
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