JPH09157889A

JPH09157889A - 錫めっき鋼板の冷却装置

Info

Publication number: JPH09157889A
Application number: JP31795495A
Authority: JP
Inventors: Kiyoshi Watanabe; 清渡辺; Koji Katsushima; 剛二勝島
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1995-12-06
Filing date: 1995-12-06
Publication date: 1997-06-17

Abstract

(57)【要約】【課題】錫めっき鋼板のクエンチステイン表面欠陥の
防止を可能とする錫めっき鋼板の冷却装置の提供。【解決手段】錫めっきラインにおける錫めっき溶融処
理後の錫めっき鋼板の冷却装置において、錫めっき鋼板
冷却用タンク２内冷却水の強制循環用の配管系統を有す
る錫めっき鋼板の冷却装置、および前記冷却用タンク２
内の冷却水中に冷却水スプレーノズル３を有し、さらに
該スプレーノズル３の冷却水配管系統とは別個に、前記
冷却用タンク２内冷却水の強制循環用の配管系統を有す
る錫めっき鋼板の冷却装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、錫めっきラインに
おける錫めっき溶融処理後の錫めっき鋼板の冷却装置に
関し、特に電気錫めっきラインにおける錫めっき溶融処
理後の冷却過程におけるクエンチステイン表面欠陥の防
止に適した冷却装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】錫めっき鋼板の製造工程においては、め
っきされたままの錫は無光沢であるため、めっきされた
鋼板を錫の融点以上に加熱して錫を溶融（リフロー）
し、直ちに冷却用タンク（以下クエンチタンクと記す）
内の冷却水中で水冷して光沢のある錫めっき鋼板を製造
している。

【０００３】しかし、前記水冷時にクエンチステインと
呼ばれる汚れ模様が生じる問題があり、その解決が望ま
れていた。一般に、電気錫めっき鋼板のクエンチステイ
ン表面欠陥を防止するために、クエンチタンク内の冷却
水中に一対のスプレーヘッダを設置して対処している
（特開昭５０−７５１３１号公報参照）。

【０００４】また、クエンチタンク内の水温を一定範囲
内に制限することによりクエンチステインおよび経時的
な酸化錫の生成を防止する方法が開示されている（特開
平４−８８１９３号公報参照）。しかしながら、タンク
内の冷却水中にスプレーヘッダを設けて冷却水を噴出す
る場合、ライン速度、鋼板板厚、鋼板めっき厚の変化に
よって、クエンチステインを発生させてしまうといった
問題があった。

【０００５】また、クエンチタンク内の水温を一定範囲
内に制限する方法の場合、ライン速度、鋼板板厚、鋼板
めっき厚の変化に対する応答性が悪く、クエンチステイ
ン表面欠陥の防止対策としては不十分であった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
を解決し、錫めっき鋼板のクエンチステイン表面欠陥の
防止を可能とする錫めっき鋼板の冷却装置を提供するこ
とを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】第１の発明は、錫めっき
ラインにおける錫めっき溶融処理後の錫めっき鋼板の冷
却装置において、該冷却装置が、錫めっき鋼板冷却用タ
ンク内冷却水の強制循環用の配管系統を有することを特
徴とする錫めっき鋼板の冷却装置である。第２の発明
は、錫めっきラインにおける錫めっき溶融処理後の錫め
っき鋼板(1a)の冷却装置において、該冷却装置が、錫め
っき鋼板冷却用タンク(2) 内の冷却水中に冷却水スプレ
ーノズル(3) を有し、さらに該スプレーノズル(3) の冷
却水配管系統とは別個に、冷却用タンク(2) 内冷却水の
強制循環用の配管系統を有することを特徴とする錫めっ
き鋼板の冷却装置である。

【０００８】前記第１の発明、第２の発明においては、
前記冷却用タンク(2) 内冷却水の強制循環用の配管系統
が、冷却用タンク(2) 内の鋼板引き揚げ側の鋼板(1b)面
をその一部として形成する仮想平面(P) に対して一方の
側の前記タンク壁面に冷却水取り出し口(4a,4b,4c)を設
け、前記仮想平面(P) に対して他方の側の前記タンク壁
面に冷却水の戻し口(5a)を設け、前記取り出し口(4a,4
b,4c)と戻し口(5a)の間の配管(6) に冷却水強制循環用
ポンプ(7a,7b) を備えた配管系統であることが好まし
い。

【０００９】また、本発明においては、前記冷却水取り
出し口(4a,4b,4c)の前記タンク壁面における開口部の全
てが前記仮想平面(P) に対して一方の側の前記タンク壁
面に形成され、かつ前記冷却水の戻し口(5a)の前記タン
ク壁面における開口部の全てが前記仮想平面(P) に対し
て他方の側の前記タンク壁面に形成されていることが好
ましい。

【００１０】また、本発明においては、前記取り出し口
(4a,4b,4c)の前記タンク壁面における開口部の中心が、
シンクロール(8) の上端より上部に設けられることが好
ましい。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、クエンチステイン表面欠陥の防止に関し
て検討した結果、鋼板進入部のタンク内冷却水温度は、
タンク下層部分に比べかなり高温となり、特にシンクロ
ール上部の鋼板間に囲まれる領域の冷却水は滞留し、シ
ンクロールに対して鋼板外面側の領域の冷却水と温度差
を生じ、また、鋼板の中央部と端部で約５〜８℃の温度
差を生じ、さらにライン速度、鋼板板厚、鋼板めっき厚
に応じたクエンチ条件の変更時に、クエンチタンク内の
冷却水温度が設定値に対して均等になるのに時間を要
し、この現象がクエンチステイン表面欠陥を発生させる
原因となっていることを見出し本発明に至った。

【００１２】すなわち、本発明は、前記問題点を解決す
るために、クエンチタンク内の冷却水を強制循環させる
ための配管系統を設けることにより、クエンチタンク内
の冷却水の部分的な滞留を解消し、鋼板進入部の冷却水
温度の上昇を防止し、クエンチタンク内の温度分布を均
一にし、クエンチステイン表面欠陥を防止可能としたも
のである。

【００１３】本発明によれば、例えば、スプレーノズル
の冷却水循環配管系統とは別個に、クエンチタンク両側
の壁面および前後の壁面に、冷却水取り出し口および冷
却水の戻し口を設け、タンク内の高温部の冷却水をタン
ク内の低温領域に強制循環させるための配管系統を設け
るようにしたため、タンク内の温度を短時間に均等にさ
せ、かつシンクロール上部の鋼板間に囲まれる領域の冷
却水が滞留することなく、鋼板進入部の冷却水温度の上
昇を防止し、タンク内の冷却水の温度分布を、クエンチ
条件の変更が必要な場合においても迅速に、均一に保て
るようになった。

【００１４】また、これにより適性なクエンチ条件が確
保できるようになり、クエンチステイン表面欠陥を防止
できるようになった。

【００１５】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。（実施例１）本発明の１実施例を図１、図２および図３
を用いて説明する。図１は、本発明の錫めっき鋼板の冷
却装置を示す平面図、図２は本発明が適用される電気錫
めっき鋼板の溶融・合金化処理、冷却装置の一例を示す
概略断面図、図３は本発明が適用される電気錫めっき鋼
板の冷却装置の一例を示す概略断面図である。

【００１６】図１において、1aはクエンチタンク進入側
の鋼板、1bはクエンチタンク引き揚げ側の鋼板、２は冷
却用タンク（クエンチタンク）、３は冷却水循環式スプ
レーノズル、4a、4b、4cは冷却水取り出し口、5aは冷却
水戻し口、６は冷却水強制循環用の配管、7a、7bは冷却
水強制循環用ポンプ、８はシンクロール、9a、9bはバル
ブ、10は冷却水の流れ方向、Ａはクエンチタンク２内
の、シンクロール８上部の鋼板1a、1bに囲まれる領域、
Ｂはクエンチタンク２内の、シンクロール８に対して鋼
板１ａ外面側の領域を示す。

【００１７】図２において、１は鋼板、11a 、11b はコ
ンダクタロール、12はマッフル炉、13はデフレクタロー
ル、14は鋼板進行方向、他の符号は図１と同じ部材を示
す。また、図３において、15はスプレーノズル冷却水循
環用ポンプ、16はスプレーノズル冷却水循環用配管、17
は温度調節用給水配管、他の符号は図１、図２と同じ部
材および内容を示す。

【００１８】電気錫めっきの溶融光輝化処理に際して
は、先ず、図２において、電気錫めっきされた鋼板１
は、コンダクタロール11a 〜11b 間で通電抵抗加熱さ
れ、マッフル炉12内で鋼板表面の錫が溶融、合金化（光
沢化）処理される。その後、表面錫が溶融している鋼板
1aはクエンチタンク２内で冷却される。クエンチタンク
２内には、図３に示すように、鋼板の冷却速度を調整す
るための冷却水循環式スプレーノズル３が設置されてい
て、片側当たり0.5m³/min の吐出水量で、タンク内の冷
却水を循環スプレーしている。

【００１９】クエンチタンク２内の冷却水温度は、錫め
っきの厚みの変化に対応して、温度調節用給水配管17か
ら温水または冷却水を供給して調節しているが、内容積
５m³のタンク内の冷却水温度を70℃から50℃に低下させ
るのに通常１分半ほど時間を要していた。この間は、ク
エンチステイン表面欠陥が発生するため、従来はその防
止対策としてライン速度を下げて運転していた。

【００２０】このため、本実施例においては、図１に示
すように、クエンチタンク２の両側壁面および前後の壁
面に設けた冷却水取り出し口4a、4b、4cおよび冷却水戻
し口5a、冷却水強制循環用の配管６、冷却水強制循環用
ポンプ7a、7b、およびバルブ9a、9bから構成される冷却
水の強制循環用の配管系統を設けた。なお、前記冷却水
取り出し口4a、4b、4cは、クエンチタンク２内の鋼板引
き揚げ側の鋼板1b面をその一部として形成する仮想平面
Ｐに対して鋼板進入側のタンク壁面に設け、前記冷却水
の戻し口5aは前記仮想平面Ｐに対して鋼板進入側と反対
側のタンク壁面に設けた。

【００２１】本装置を用い、冷却水強制循環用ポンプ7
a、7bによって冷却水を２m³/minの流量で強制循環させ
るようにしたところ、シンクロール８上部の鋼板1a、1b
に囲まれた領域Ａの冷却水やシンクロール８に対して鋼
板1a外面側の領域Ｂの冷却水など、冷却水が滞留する領
域の水の移動が激しくなり、タンク内の冷却水温度を70
℃から50℃に低下させる場合、クエンチタンク２内の冷
却水の温度分布を僅か約15秒程で均一にすることが可能
となった。

【００２２】また、滞留領域の板巾方向の温度差は±１
℃程度のほぼ均等な温度が得られるようになった。この
結果、適正なクエンチ条件（冷却水温度）が安定的に、
迅速に確保できるようになり、クエンチステイン表面欠
陥の防止が可能となった。（実施例２）本発明の他の１実施例を図４に示す。

【００２３】図４は、シンクロール８上部の鋼板1a、1b
に囲まれた領域の冷却水およびシンクロール８に対して
鋼板1a外面側の領域の冷却水、すなわちクエンチタンク
内の高温部の冷却水を、図においてクエンチタンク２内
の後側壁面に設けた冷却水取り出し口から抜き出し、ク
エンチタンク２内の右側側壁面に設けた冷却水の戻し口
からクエンチタンク２内の鋼板引き揚げ側の低温領域に
戻して循環した例を示す。

【００２４】図４において、4d、4eは冷却水取り出し
口、5bは冷却水戻し口、7cは冷却水強制循環用ポンプ、
9c、9d、9eはバルブ、他の符号は図１と同様の部材およ
び内容を示す。なお、前記冷却水取り出し口4d、4eは、
クエンチタンク２内の鋼板引き揚げ側の鋼板1b面をその
一部として形成する仮想平面Ｐに対して鋼板進入側のタ
ンク壁面に設け、前記冷却水の戻し口5bは前記仮想平面
Ｐに対して鋼板進入側と反対側のタンク壁面に設けた。

【００２５】本装置を用い、冷却水強制循環用ポンプ7c
によって冷却水を２m³/minの流量で強制循環させるよう
にしたところ、タンク内の冷却水温度を70℃から50℃に
低下させる場合、クエンチタンク２内の冷却水の温度分
布を僅か約10秒程で均一にすることが可能となった。ま
た、滞留領域の板巾方向の温度差もなくすことができ
た。

【００２６】この結果、適正なクエンチ条件（冷却水温
度）が安定的に、迅速に確保できるようになり、クエン
チステイン表面欠陥の防止が可能となった。なお、前記
実施例１、２においては、クエンチタンク内の鋼板進入
側の高温冷却水を鋼板引き揚げ側の低温冷却水中へ強制
循環する方式を示したが、図５に示すように、クエンチ
タンク内の鋼板引き揚げ側の低温冷却水を鋼板進入側の
高温冷却水中へ強制循環する方式も好ましく用いられ
る。

【００２７】すなわち、本発明におけるクエンチタンク
内冷却水の強制循環用の配管系統の具体的構成として
は、前記仮想平面(P) に対して一方の側のクエンチタン
ク壁面に冷却水取り出し口を設け、前記仮想平面(P) に
対して他方の側のクエンチタンク壁面に冷却水の戻し口
を設け、前記取り出し口と戻し口の間の配管に冷却水強
制循環用ポンプを備えた配管系統であれば特に制限され
るものではない。

【００２８】また、冷却水取り出し口および冷却水の戻
し口の個数も特に制限されるものではない。さらに、鋼
板の冷却速度を調整するためのスプレーノズルは前記実
施例１、２の冷却水循環式スプレーノズルに特に限定さ
れることはなく、冷却水供給方式のスプレーノズルでも
よい。

【００２９】

【発明の効果】本発明は、クエンチタンク内の冷却水が
滞留する部分を、常に強制的に循環させるようにしたた
め、タンク内冷却水温度分布を迅速に均一に保てるよう
になった。これにより、適正クエンチ条件が安定的に、
迅速に確保でき、クエンチステイン表面欠陥の防止が可
能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の錫めっき鋼板の冷却装置を示す平面図
である。

【図２】本発明が適用される電気錫めっき鋼板の錫めき
溶融・合金化処理、冷却装置の一例を示す概略断面図で
ある。

【図３】本発明が適用される電気錫めっき鋼板の冷却装
置の一例を示す概略断面図である。

【図４】本発明の錫めっき鋼板の冷却装置を示す平面図
である。

【図５】本発明の錫めっき鋼板の冷却装置を示す平面図
である。

【符号の説明】

１、1a、1b 鋼板２冷却用タンク（クエンチタンク）３冷却水循環式スプレーノズル 4a、4b、4c、4d、4e 冷却水取り出し口 5a、5b 冷却水戻し口６冷却水強制循環用の配管 7a、7b、7c 冷却水強制循環用ポンプ８シンクロール 9a、9b、9c、9d、9e バルブ 10 冷却水の流れ方向 11a 、11b コンダクタロール 12 マッフル炉 13 デフレクタロール 14 鋼板進行方向 15 スプレーノズル冷却水循環用ポンプ 16 スプレーノズル冷却水循環用配管 17 温度調節用給水配管

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】錫めっきラインにおける錫めっき溶融処
理後の錫めっき鋼板の冷却装置において、該冷却装置
が、錫めっき鋼板冷却用タンク内冷却水の強制循環用の
配管系統を有することを特徴とする錫めっき鋼板の冷却
装置。
【請求項２】錫めっきラインにおける錫めっき溶融処
理後の錫めっき鋼板(1a)の冷却装置において、該冷却装
置が、錫めっき鋼板冷却用タンク(2) 内の冷却水中に冷
却水スプレーノズル(3) を有し、さらに該スプレーノズ
ル(3) の冷却水配管系統とは別個に、冷却用タンク(2)
内冷却水の強制循環用の配管系統を有することを特徴と
する錫めっき鋼板の冷却装置。
【請求項３】前記冷却用タンク(2) 内冷却水の強制循
環用の配管系統が、冷却用タンク(2) 内の鋼板引き揚げ
側の鋼板(1b)面をその一部として形成する仮想平面(P)
に対して一方の側の前記タンク壁面に冷却水取り出し口
(4a,4b,4c)を設け、前記仮想平面(P) に対して他方の側
の前記タンク壁面に冷却水の戻し口(5a)を設け、前記取
り出し口(4a,4b,4c)と戻し口(5a)の間の配管(6) に冷却
水強制循環用ポンプ(7a,7b) を備えた配管系統であるこ
とを特徴とする請求項１または２記載の錫めっき鋼板の
冷却装置。