JPH09157870A - アルミニウム合金鋳物の応力腐食防止方法 - Google Patents

アルミニウム合金鋳物の応力腐食防止方法

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JPH09157870A
JPH09157870A JP7321967A JP32196795A JPH09157870A JP H09157870 A JPH09157870 A JP H09157870A JP 7321967 A JP7321967 A JP 7321967A JP 32196795 A JP32196795 A JP 32196795A JP H09157870 A JPH09157870 A JP H09157870A
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Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 応力腐食感受性を有するアルミニウム合
金鋳物と異種金属の鋼部材とが応力負荷下に接する構造
物において、アルミニウム合金鋳物の応力腐食を効果的
に防止することができる方法を提供する。 【手段】 応力腐食感受性を有するアルミニウム合金鋳
物と異種金属の鋼部材とが応力負荷下に接する構造物に
おいて、アルミニウム合金鋳物の応力腐食を防止する方
法であり、これら鋳物と鋼部材との間における接触領域
の少なくとも一部に、鋳物の自然電位より100mVv
sSCE以上卑であるか、あるいは、混成電位で−15
00mVvsSCE以上貴である金属部材又は金属層を
介在させるアルミニウム合金鋳物の応力腐食防止方法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金型鋳物、砂型
鋳物、シェル型鋳物等のアルミニウム合金鋳物における
応力腐食を防止する方法に係り、特にアルミニウム合金
鋳物が異種金属の鋼部材と応力負荷下に接する構造物に
おいてこのアルミニウム合金鋳物の応力腐食を防止する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金は軽
量、無公害等の特長を有することから多くの分野で用い
られているが、工業的に用いられている金属材料として
は極めて卑な金属であって水が存在すると腐食し易く、
これらアルミニウム又はアルミニウム合金を工業材料と
して用いるには如何に腐食防止を行うかが重要な課題と
なる。
【0003】そこで、これらアルミニウム又はアルミニ
ウム合金の塑性加工で得られたアルミニウム展伸材等に
ついては、従来より、その表面に陽極酸化皮膜を形成せ
しめる陽極酸化処理(アルマイト処理)が行われてお
り、耐蝕性に優れた工業材料として建材等の分野で広範
に用いられている。
【0004】しかしながら、金型、砂型、シェル型等を
用いてアルミニウム合金を鋳造して得られる鋳物、すな
わちアルミニウム合金鋳物においては、アルミニウム展
伸材に比べ、その表面への健全な陽極酸化皮膜の形成が
困難であり、また、表面に陽極酸化皮膜が形成されても
必ずしも充分ではなく、特に水と接触する可能性のある
用途に用いるためには如何にして腐食防止を行うかが重
要な課題である。
【0005】特に、このようなアルミニウム合金鋳物が
応力負荷下に異種金属の鋼部材と接するような構造物に
おいては、それが雨水や結露水、土壌中の水分や腐食性
成分、雪や道路融雪剤、海水等と接触する、いわゆる腐
食性環境下で使用されると、この応力の影響と環境の影
響とが重なって、アルミニウム合金鋳物にいわゆる応力
腐食が生起し、この応力腐食を引き金に直ちにあるいは
一定時間後に応力腐食割れが発生する。
【0006】このため、アルミニウム合金鋳物が応力負
荷下に異種金属の鋼部材と接するような構造物について
は水等が接触する腐食環境下での使用が困難であり、自
動車、自転車等の車両用部品、船舶用部品、建築用部
品、高欄用部品等の多くの工業材料においてその利用が
制約され、アルミニウム合金鋳物が有する軽量、強靱等
の特性を有効に活用できないという問題があった。
【0007】なお、本発明において、「応力腐食感受性
アルミニウム合金鋳物と異種金属の鋼部材とが応力負荷
下に接する」とは、応力腐食感受性を有するアルミニウ
ム合金鋳物を、(1) 同一材質部材あるいは他の材質部
材に組み付ける等の目的で、ボルトナット締結、リベッ
ト締結、ネジ嵌合等において鋼製締結部材により一体化
させる場合、(2) それが圧力容器のような中空状体や
成形用金型のような凹部を有するものであり、使用時に
応力負荷がなされる場合、(3) 加工による残留歪みを
有する状態、例えばネジ切り加工部や引抜き加工のよう
な強加工による歪みが残ったままの加工部が歪みを緩和
されないままの状態で使用されている場合、等において
発現する状態をいう。また、ここで「鋼部材」とは、鉄
鋼、ステンレス鋼、並びに防食処理鉄鋼等の鋼材により
製造された部材をいう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、応力腐食感受性を有するアルミニウム合金鋳物が雨
水や結露水、土壌中の水分や腐食性成分、雪や道路融雪
剤、海水等と接触する腐食性環境下で異種金属の鋼部材
と応力負荷下に接する条件の下で使用されても、このア
ルミニウム合金鋳物に応力腐食が発生しないようなアル
ミニウム合金鋳物の応力腐食防止方法について鋭意研究
を重ねた結果、これら鋳物と鋼部材との間における接触
領域の少なくとも一部に特定の性質を有する金属部材又
は金属層を介在させることにより、このアルミニウム合
金鋳物の応力腐食を効果的に防止できることを見出し、
本発明を完成した。
【0009】従って、本発明の目的は、応力腐食感受性
を有するアルミニウム合金鋳物と異種金属の鋼部材とが
応力負荷下に接する構造物において、アルミニウム合金
鋳物の応力腐食を効果的に防止することができる方法を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、応
力腐食感受性を有するアルミニウム合金鋳物と異種金属
の鋼部材とが応力負荷下に接する構造物において、上記
アルミニウム合金鋳物の応力腐食を防止する方法であ
り、これら鋳物と鋼部材との間における接触領域の少な
くとも一部に、鋳物の自然電位より100mVvsSC
E以上卑であるか、あるいは、混成電位で−1500m
VvsSCE以上貴である金属部材又は金属層を介在さ
せるアルミニウム合金鋳物の応力腐食防止方法である。
【0011】本発明において、応力腐食感受性を有する
アルミニウム合金鋳物とは、例えば、架線用導電部材、
自動車用部材、自転車用部材、航空機用油圧部材等の材
料として用いられるAl−Cu系合金(AC1A、AC
1B)や、エンジン部品、車両部品、船舶用部品、高欄
パネル等の材料として用いられるAl−Si−Mg系合
金(AC4A、AC4C、AC4CH)や、架線金具、
船舶用部品、建築金具、高欄支柱等の材料として用いら
れるAl−Mg系合金(AC7A、AC4B)や、電車
荷受け棚、プラスチック金型、漁船部品等の材料として
用いられるAl−Mg−Zn系合金(CX2A)や、釣
り道具、自転車部品等の材料として用いられるAl−M
n系合金(DX24)等の砂型鋳造材、若しくは、Al
−Mg系合金(ADC5、ADC6)等のダイカスト材
を用いて鋳造された裸材、又は、陽極酸化処理されて表
面に陽極酸化皮膜を有する陽極酸化処理材からなる鋳物
である。そして、鋳造材としては、砂型鋳造、シェル型
鋳造、重力金型鋳造、低圧鋳造、溶湯鍛造等の何れの鋳
造方式によるものであってもよい。
【0012】ここで、アルミニウム合金鋳物が陽極酸化
処理材ある場合、その際の陽極酸化処理の方法について
は特に制限されず、例えば、硫酸浴、シュウ酸浴、クロ
ム酸浴での陽極酸化処理や、低温で行う硬質陽極酸化処
理があり、通常1〜100μm、好ましくは5〜80μ
mの膜厚の陽極酸化皮膜を形成せしめる。このようにし
て陽極酸化処理されてアルミニウム合金鋳物の表面に形
成された陽極酸化皮膜には、通常、微細な欠陥があり、
そして、この皮膜欠陥部が腐食環境下に晒されることに
より皮膜欠陥部に応力腐食が発生するので、裸材との間
に陽極酸化皮膜の膜厚による腐食電位の差は生じない。
しかし、所要防食電流密度が小さくなるので、介在金属
が長期間に亘って作用し得るようになる。
【0013】上記砂型鋳造材やダイカスト材には、粒界
腐食に影響を及ぼす金属間化合物として、Al−Cu系
合金にはマトリックスに対する電位の傾向が貴なθCu
Al 2 やθ’CuAl2 が、Al−Si−Mg系合金に
はマトリックスに対する電位の傾向が貴なSiやMg2
Siが、Al−Mg系合金にはマトリックスに対する電
位の傾向が卑なβAlMg(Mg2 Al3 )が、Al−
Mg−Zn系合金にはマトリックスに対する電位の傾向
が卑なMgZn2 が、Al−Mn系合金にはマトリック
スに対する電位の傾向が貴なAl6 Mnx Fe1-x がそ
れぞれ存在(晶出・析出)し、雨水や結露水、土壌中の
水分や腐食性成分、雪や道路融雪剤、海水等と接触する
腐食性環境下にあるとマトリックスとの間に局部電池が
形成され、そこから粒界腐食が発生する。また、Al−
Si系合金であるJIS・AC4C合金においても、シ
リコン晶出物近傍のマトリックスが溶解し、肉厚方向に
侵食が見られる擬粒界腐食が発生し、上記の合金材料と
同様に応力腐食を引き起こす原因になる。
【0014】また、異種金属の鋼部材は、それが鋳物を
形成するアルミニウム合金より貴な金属であり、通常、
上述したアルミニウム合金と比べて自然電位で電位差が
30mVvsSCE以上ある。
【0015】更に、上記アルミニウム合金鋳物と異種金
属の鋼部材とが応力負荷下に接する構造物とは、例え
ば、自動車部品のように分割鋳物に対して鋼材製のボル
トナットやリベットによって組立一体化させている構造
物や、高欄のように鋳物支柱に穿設されたネジ孔に鋼材
製のアンカーボルトを螺合させてベース面に固定してい
る構造物や、鋳物に穿設した透孔内に鋼材製の固定金具
を螺合させて固定した構造物等、種々の構造物が挙げら
れる。
【0016】本発明においては、このようなアルミニウ
ム合金鋳物と異種金属の鋼部材とが応力負荷下に接する
構造物において、これら鋳物と鋼部材との間における接
触領域の少なくとも一部に、鋳物の自然電位より100
mVvsSCE以上卑、好ましくは120mVvsSC
E以上卑であるか、あるいは、混成電位で−1500m
VvsSCE以上貴、好ましくは−1200mVvsS
CE以上貴である金属部材又は金属層を介在させる。鋳
物の自然電位より100mVvsSCE未満の卑な金属
部材又は金属層では、構造物の使用環境(腐食環境)に
よってはその応力腐食防止効果が不充分になり、確実で
安定した応力腐食防止を達成することが困難になる。ま
た、鋳物と鋼部材の混成電位で−1500mVvsSC
E未満の貴な金属部材又は金属層では、腐食により生成
するアルカリによりかえって鋳物の腐食が促進されてし
まう。
【0017】ここのような目的で用いられる金属部材又
は金属層を形成するアルミニウム合金鋳物より卑な金属
材料としては、具体的には、純アルミニウム(1100
合金)や、5052合金、7072合金等の展伸加工用
アルミニウム合金や、Al−Zn−In系合金等の鋳物
用アルミニウム合金等のアルミニウム及びその合金、純
亜鉛(純度99.9重量%以上)等の金属亜鉛、純マグ
ネシウム(純度99.9重量%以上)やAZ91等のマ
グネシウム合金等のマグネシウム及びその合金、等が挙
げられる。
【0018】ここで、金属部材又は金属層を形成するア
ルミニウム合金鋳物より卑な金属材料の代表例を示す
と、下記の表1の通りである。なお、各単味の金属材料
の自然電位及び異種金属が接触する系の混成電位の測定
は、たとえ同じ腐食環境下でも腐食電位・孔食電位は経
時的に変化するので、実際に使用現実に近い状態で測定
する必要があることから、3.5重量%NaCl水溶液
3,000時間浸漬後の電位を測定して評価した。
【0019】
【表1】
【0020】金属部材の形状については、それが少なく
ともアルミニウム合金鋳物と鋼部材との間の接触領域の
一部にこれら鋳物と鋼部材とに跨がって取り付けられる
形状であれば特に制限はなく、例えばリング状、ワッシ
ャ状、板状、カマボコ状等の鋳物体や成形加工体に形成
される。そして、これらの金属部材の大きさは、対象製
品の使用機関、使用環境、使用方法、安全度等を勘案し
て選定し得るものである。
【0021】そして、このような金属部材をアルミニウ
ム合金鋳物と鋼部材との間の接触領域の一部に取り付け
る方法としては、例えば、鋼部材が鋳物に締結されるボ
ルトナット、リベット等である場合には金属部材をワッ
シャ状に形成してこれら鋳物と鋼部材との間に挟み込ん
で固定したり、導電性接着剤(例えば、藤倉化成社製商
品名:ドータイト等)で固定したり、リード線を介して
結線したり、ハンダ付け〔例えば、フラックスとハンダ
(95wt%Zn−5wt%Al)〕で接合する等の適
宜の方法を採用することができる。
【0022】また、金属層を形成するアルミニウム合金
鋳物より卑な金属材料としては、具体的には、亜鉛粉
末、クロム酸及びグリコールからなる塗布剤や、亜鉛粉
末とエタノール、キシレン、トルエン等の揮発性分散剤
からなる塗布剤等の金属粉塗布剤が挙げられ、好ましく
は鋳物の表面に塗布された後には絶縁性の樹脂等が介在
せずに金属粉のみが付着して金属層を形成しているのが
よい。
【0023】ここで、金属粉としては、純亜鉛粉末、Z
n(70〜97重量%)/Al(3〜30重量%)の合
金粉末、Zn(70〜97重量%)−Al(3〜30重
量%)の混合粉末等が挙げられ、これら金属粉の粒径と
しては325メッシュより細かいものがよく、あまり粗
いと表面に凹凸が生じて好ましくない。
【0024】この金属粉塗布剤の具体例としては、代表
的には、純亜鉛粉末塗布剤として亜鉛塗料ローバル(ロ
ーバル社製商品名)や、亜鉛塗料アメルジンク(アメル
ケミカル社製商品名)等があり、また、亜鉛含有粉末塗
布剤としてダクロ処理剤(日本ダクロシャムロック社製
商品名)等がある。
【0025】このような金属粉塗布剤を用いて金属層を
形成するには、例えば、刷毛塗り、スプレー塗装、浸漬
塗装等の方法で好ましくはアルミニウム合金鋳物の表面
に塗布剤を1〜500g/m2 の割合で塗布し、室温か
ら350℃の温度で3〜300分間乾燥させて固着さ
せ、0.2〜140μmの膜厚に形成する。金属層は、
組立後に一切の分解整備等の作業がなされない場合は、
一度の塗布形成を想定しているが、分解整備がある場合
には経時的に複数回の塗布形成もあり得る。
【0026】本発明の応力腐食防止方法は、特に、高欄
パネル、高欄支柱、建築金具等の建材や、車両部品、自
動車部品、自転車部品、エンジン部品、ブレーキキャリ
バー等の運輸部品や、架線金具、電車荷受け棚、架線用
導電部材等の鉄道部品や、漁船部品、船舶用部品、釣り
道具等の船舶部品や、油圧部品等の航空機部品や、種々
の電気部品等に好適に適用される。これらのうち、常温
以上、例えば60〜80℃を越える使用環境となる部品
については、低温時効が進行して結晶粒界に固溶してい
たものが金属間化合物として析出し、より応力腐食を引
起し易くなるので、特に本発明が好適に適用される。
【0027】
【実施例】海浜大気中で応力腐食感受性の高いJIS
AC1B合金(Al−4wt%Cu系)、JIS AC
7A合金(Al−5wt%Mg系)、Al−3wt%Z
n−3.5wt%Mg合金、Al−1.3wt%Mn合
金、及び、擬粒界腐食感受性の高いJIS AC4C合
金(Al−7wt%Si−0.3wt%Mg合金)を用
い、70mm×150mm×4mmの大きさで中心部に
直径6mmのボルト貫通孔を有する試験片を鋳造し、こ
の試験片について、室温に保持した3.5重量%NaC
l水溶液中で分極測定を行い、表2〜5に示すように孔
食電位、自然電位等を求めた。
【0028】また、鋼部材として、対角線長さ10mm
の頭部と直径6mmのネジ部とを有する電気亜鉛メッキ
鋼材(SS400材)製ボルト(膜厚8μm、表層クロ
メート処理)、無処理鋼材製ボルト(SM400B材)
等の表2〜5記載のものについて、上記と同様にその孔
食電位、自然電位等を求めた。
【0029】更に、金属部材として、(A)Al−2.
5wt%Mg合金、(B)Al−1wt%Zn合金、
(C)Al−3wt%Zn−0.02wt%In合金、
(D)99.9wt%Zn板、(E)99.9wt%M
g板、(F)9wt%Al−1wt%Zn−90wt%
Mg板、及び(G)99.0wt%Al板の金属材料で
外径12mm×内径6mm×厚さ1mmの大きさのワッ
シャを作製し、これらのワッシャについて、上記と同様
にその孔食電位、自然電位等を求めた。なお、括弧内の
記号は表2〜5中の記号に対応する。
【0030】更にまた、(H)上記試験片の表面に、市
販の高濃度亜鉛末塗料(亜鉛含有量96wt%)をスプ
レー法で塗布し、金属層として層厚10μmの亜鉛層を
形成したもの、(I)アトマイズ粉を用いて作製した粒
径20〜100μmの偏平状の亜鉛粉末を無水クロム酸
とグリコール類との混合液中に分散させて亜鉛粉懸濁液
を調製し、この亜鉛粉懸濁液中に上記試験片を浸漬し、
300℃で15分間焼付け塗装を行い、金属層として層
厚6μmの亜鉛層を形成したもの、及び(J)皮膜厚さ
50μmの硫酸陽極酸化皮膜処理のみを施したものにつ
いて、それぞれ上記と同様にその孔食電位、自然電位等
を求めた。なお、括弧内の記号は表2〜5中の記号に対
応する。
【0031】次に、室温に保持した3.5重量%NaC
l水溶液中に3,000時間浸漬した後の試験片、鋼材
製ボルト、ワッシャ及び鋼材製ナット(鋼材製ボルトと
同じ材質のもの)を用い、鋼材製ボルトの頭部と試験片
のボルト貫通孔周縁部との間にワッシャを介装し、鋼材
製ボルトのネジ部に鋼材製ナットを螺合して締付圧15
0kg/cm2 の強さで締め付けて構造物を構成し、ま
た、表面に亜鉛層を設けた試験片については鋼材製ボル
トと鋼材製ナットで同様に締付圧150kg/cm2
強さで締め付けて構造物を構成し、これらの構造物を更
に室温に保持した3.5重量%NaCl水溶液中に3,
000時間浸漬し、試験片の鋼材接触部及び鋼部材にお
ける腐食状況を外観目視観察により調べ、腐食状況の総
合判定を行った。
【0032】結果を表2〜5に示すが、構造物における
試験片の鋼材接触部及び鋼部材の腐食状況の評価は、
◎:粒界腐食及び擬粒界腐食の発生なし、○:白い腐食
生成物が観察されるが赤錆は観察されない、▲:赤錆発
生が認められる、及び×:粒界腐食及び擬粒界腐食の発
生あり、の4段階評価で行った。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】以上の結果から明らかなように、本発明の
実施例に該当する試料番号1〜70のものは、その何れ
も防食のための金属部材であるワッシャ及び金属層であ
る亜鉛層による腐食防止効果が顕著に発揮されており、
その効果が大であることが分かる。従って、防食対象の
製品形状やその製品の使用条件に応じて特定形状を有す
る部材状あるいは表面に形成した被覆層状として適用す
ることによって防食効果を発現させることができる。
【0038】しかも、単独では長時間経過後に発錆する
電気亜鉛メッキ鋼材(SS400材)製ボルト(膜厚8
μm、表層クロメート処理)についても、本発明の防食
処理により発錆に至るまでの時間が飛躍的に延長され、
また、アルミニウム合金鋳物と鋼部材との接触腐食も防
止されることが判明した。更に、アルミニウム合金鋳物
に陽極酸化皮膜処理して本発明の防食処理を施すことも
有効であることが明らかになった。
【0039】また、AC1B合金鋳物と鋼部材との間に
Al−2.5wt%Mg合金(A)の金属部材を介装す
ることにより充分な腐食防止効果が確認されたのに対
し、AC7A合金鋳物と鋼部材との間にAl−2.5w
t%Mg合金(A)の金属部材を介装した場合には腐食
防止効果が乏しく、また、同様な現象がAl−3wt%
Zn−3.5wt%Mg合金鋳物についても観察され、
更に、電位差の小さい99.0wt%Alアルミニウム
材(G)でも応力腐食の原因となる粒界腐食を防止する
ことはできなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、応力腐食感受性を有す
るアルミニウム合金鋳物と異種金属の鋼部材とが応力負
荷下に接する構造物において、応力腐食(粒界腐食)を
効果的に防止することができ、これによって応力腐食感
受性を有するアルミニウム合金鋳物における応力腐食割
れの問題を解決することができ、厳しい腐食環境下での
アルミニウム合金鋳物の使用を可能にするもので、その
工業的価値の大なるものである。また、本発明によれ
ば、単にアルミニウム合金鋳物の応力腐食が防止される
だけでなく、鋼部材側の発錆も防止できる。
【0041】更に、アルミニウム合金鋳物について、予
め陽極酸化処理を施すことにより、犠牲陽極となる金属
部材や金属層の消耗が陽極酸化皮膜の欠陥部でのみ起こ
ることになり、所要防食電流密度が小さくなり、これに
よって応力腐食防止効果をより長期間に亘って発揮せし
めることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 応力腐食感受性を有するアルミニウム合
    金鋳物と異種金属の鋼部材とが応力負荷下に接する構造
    物において、上記アルミニウム合金鋳物の応力腐食を防
    止する方法であり、これら鋳物と鋼部材との間における
    接触領域の少なくとも一部に、鋳物の自然電位より10
    0mVvsSCE以上卑であるか、あるいは、混成電位
    で−1500mVvsSCE以上貴である金属部材又は
    金属層を介在させることを特徴とするアルミニウム合金
    鋳物の応力腐食防止方法。
  2. 【請求項2】 金属部材又は金属層を形成する鋳物より
    卑な金属材料が、アルミニウム及びその合金、金属亜
    鉛、マグネシウム及びその合金から選ばれた金属材料で
    ある請求項1記載のアルミニウム合金鋳物の応力腐食防
    止方法。
  3. 【請求項3】 金属部材が、鋳物側に固着されている請
    求項1記載のアルミニウム合金鋳物の応力腐食防止方
    法。
  4. 【請求項4】 金属層が、金属粉を塗布して形成されて
    いる請求項1記載のアルミニウム合金鋳物の応力腐食防
    止方法。
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KR100532196B1 (ko) * 1997-12-10 2006-03-23 가부시키가이샤 시마노 부품 조립체
JP2010185180A (ja) * 2009-02-10 2010-08-26 Nippon Tetto Kogyo Kk 鉄骨構造物の亜鉛被覆の補修方法

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KR100532196B1 (ko) * 1997-12-10 2006-03-23 가부시키가이샤 시마노 부품 조립체
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